2017年06月06日

盗作されました〔5〕

 @ichinoseyayoiの最も大きな問題は、「ビブリオバトルを批判してるわけじゃない」と言いつつ、ビブリオバトルについてのデマをばらまいていることです。
 昨年11月、@ichinoseyayoiは「本を読まないと答える人が多い理由」というまとめをTogetterにアップしていました(現在は削除)。その中では、「ビブリオバトルをみると、本を読まない人が多い理由がよくわかった」として、以下のような驚くべき主張がされていました。

えーと、映画版の『宇宙戦争』について語るなら、一九五三年版についても触れないといけないのでは? あと、『タイム・マシン』や『透明人間』も映画になってますよ。

こういう質問がビブリオバトルではデフォだからホント面倒くさい。


 先にも書いたように、上の文章は7章で、ヒロインの空が対戦相手の蟹江の発表を聴いていて、心の中で抱いた感想です。
 しかし@ichinoseyayoiは、現実でも小説中でも発せられなかったその言葉を取り上げ、「ビブリオバトルではデフォだから」と主張し、あたかもそんな質問が現実にしょっちゅう発せられているかのように主張したのです。ひどい大嘘です。
 まれにルールに違反して、発表者の揚げ足を取る質問をする者がいるとしても、それが「デフォ」だなんてありえません。実際、僕はこれまで何十回もビブリオバトルに参加していますが、発表者を攻撃する質問なんて、3年ほど前に大阪の書店で行なわれたビブリオバトルで1度耳にしただけです(頭の固そうなお爺さんでしたが)。

 それ以外の発言の多くは、当時連載中の『BISビブリオバトル部』第4部『君の知らない方程式』第3話からの引用、および改変です。ここは読書好きの若者たちが、読書嫌いの人間たちの読書に対する偏見に腹を立てている部分です。

http://www.webmysteries.jp/special/biblio-01.html

 しかし、@ichinoseyayoiはあきれたことに、それを改変し、正反対の内容──読書好きがそうでない人々を罵倒している内容に改竄しているのです。

 ビブリオバトルで有名な作家の小説が紹介された場合、「〇〇さんの他の作品はお読みですか?」という質問が出るのが定番だ。本当にその作品に惚れこんだのなら、同じ作者の他の作品も読んでみようと思うのが当然だからだ。つまり発表者がその本をどのぐらい好きなのかを計る質問なのだ。だから、発表者がその小説しか読んでいないと知ると、この人の愛はその程度のものなのかとがっかりしてしまう。
――『君の知らない方程式』第3回


 ここはビブリオバトル終了後、そば屋での雑談中の場面。しかも武人のモノローグなのですが、@ichinoseyayoiはこれをこのように改変して引用します。

作者の書いた他の本質問されるなんてビブリオバトルの基本なのに、なんで答えられないんですかww

 なんと、フィクションの中の、それもモノローグを、「なんで答えられないんですかww」と実際にビブリオバトルで発表者に対して発せられたかのように嘘をついているのです。

「ほら、『さよなら絶望先生』であったろ」と部長。「普段、あまり本を読まない人間が、病気で人が死ぬだけの小説を読んで、“こんなに悲しい物語は読んだことないわ!”って泣いてしまうってネタが」
「ああ、あったあった!」と弐久寿。「『絶望先生』って感心するよね。ちょくちょく、この世の真理、鋭く突いてくる」
「まさにあれだよ。あまり本を読まない人間が、たまたま、そんなにたいしたことのない内容の本を読んで、深く感動してしまうってことがよくある。もちろん、本当にすごくいい本だということも確率的にはあるわけだけどさ。でもやっぱり“本あんまり読まないんです”ってアピールされると、どうしても疑いの目で見てしまうよな」

――『君の知らない方程式』第3回

 これもやはりビブリオバトル終了後の雑談中に、部長が『さよなら絶望先生』の中のギャグについて語っている部分ですが、@ichinoseyayoiはこれもあたかもビブリオバトルにおいて実際に発せられた発言のように改変します。

普段本読まない人間が病気で死ぬだけの話を読んで、こんな悲しい話読んだことがないって言ってるだけww

あまり本を読まない人間が、たいしたことない内容の本を読んで深く感動してるだけww


 あるいは、『翼を持つ少女』第5章、ビブリオバトルの前に、相手方の蟹江が、その性格からして不正をするかもしれないと、部長が予測するシーン。

「そんなの、ルールで禁止されてないんですか?」
「ない」部長はかぶりを振る。「さっきも言ったように、ビブリオバトル普及委員会の定めている公式ルールは最小限だ。不正の定義も、不正に対する罰則も、明確に謳われていない。基本的に性善説に基づいて作られている――なぜか分かるか?」
「……いいえ」
「不正をするメリットがないからだ。うちのBB部でも、勝っても賞賛以外の何も得られない。よほど大きな大会でも、賞状の他には、副賞の図書カードが出るぐらいだ。そんなもののために不正をやろうとするバカなんかいなかった――これまでは」
 部長はiPadの画面を指で叩いた。
「こいつにはメリットがある。県内ナンバーワンの我がBB部に勝てば評判になる。そう考えているはずだ。不正をすることにメリットがあるなら、不正をする可能性がある――その前提で対応すべきだろう」
「向こうの社会学研は九人」明日香先輩が考えこむ。「蟹江自身は自分の本に投票できないし、たぶん哲秋くんも潔癖だから、そういう工作に関わるとは思えない。でも、他の七人の会員は蟹江に心酔してるみたいだし、裏工作を持ちかけられたら断れないかも……」
「社会学研以外の人間は?」
「さあ? でも、そんな不正、信頼できる口の堅い人間にしか持ちかけられないんじゃない? あまりサクラが多いと、どこかから話が洩れる危険も生じるし。七人ぐらいが上限じゃないかな」
「よし、サクラの数は七人としよう」部長は俺に不敵な笑みを投げかけた。「どうだ、武人? 初心者相手にちょうどいいハンデだと思わないか?」

──『翼を持つ少女』第5章

 このシーンでは、通常のビブリオバトルでは「不正をするメリットがない」「不正をやろうとするバカなんていなかった──これまでは」と、今回だけの特別の事情であることを強調しています。つまりビブリオバトルで7人のサクラを仕込むというのは、この『翼を持つ少女』というフィクションの中の出来事であり、事実ではないことを明示しているんです。
 しかし、@ichinoseyayoiはやはりそれをこのように醜く書き換えます。

あんな発表に票が入ったのはサクラがいるからです。ああいう人はそういうことをするんです。7人ぐらいサクラだと考えるのが妥当です。

 当然、現実の、ごく普通のビブリオバトルで、終了後に「あんな発表に票が入ったのはサクラがいるからです」などと言う人間がいるとは思えませんし、実際、そんな話は聞いたことがありません。完璧に妄想です。

 反吐が出そうな思想を発表する自由はある。しかし、そういう思想に対して反論する自由も、もちろんある。本の中で間違ったことを書いたり、間違った本を紹介したりしたら、当然、叩かれる。叩かれる覚悟もなしに意見を発表しようと思うのは、虫のいい話だ。“撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ”――それが言論の自由ってもんだ。
 僕らがビブリオバトルを――正しいビブリオバトルをみんなに見せるんだ。そして蟹江を負かす。参加者に“こっちの方が面白い”と思わせる。それが蟹江の意図を打ち砕く最良の方法だと思う」
「でも、ビブリオバトルの公式ルールじゃ、本の内容を批判したり、発表の揚げ足を取るような行為は禁止されてますよ」と俺。
「うん。あれこそまさに、ビブリオバトルが論争の場になることを防ぐために設けられたルールだろうな」
「直接批判せずに、どうやって反論するんです? あと、さっき、政治的対決は避けるって言ってたでしょ?」
「もちろん。だから、蟹江の出してくるであろう本や、奴の主張に、直接ぶつけるようなことはしない。だから政治関係の本は一切禁止だ。そのうえで、あいつのスタンスを叩く」
「……矛盾した命題ですね」
「頭の体操になるだろ?」

──『翼を持つ少女』第5章

 これも@ichinoseyayoiはめちゃくちゃに改変します。

間違った本を紹介したりしたら、当然、叩かれる。叩かれる覚悟もなしに意見を発表しようと思うのは、虫の良い話ですよww

 原文の後の部分を見れば「叩かれる」というのが、ビブリオバトルの場で相手を直接批判するという意味ではないことがはっきり書かれているのですが、@ichinoseyayoiは卑劣にもそこを隠しています。

短編集はその並び、収録までが一つの作品。なぜ12本の構成に触れないですかww

 これは僕ではなく、「ビブリオバトル首都決戦2012」での猪瀬直樹氏の発言です。

https://www.youtube.com/watch?v=YmVssRXYsuU

 ビブリオバトル関係者の方には説明不要でしょうが、ビブリオバトル首都決戦2012は東京都と財団法人文字・活字文化推進機構が主催していたので、当時はまだ副知事だった猪瀬氏が主催者代表として招かれたのです。(この後、都知事になるも、2013年12月、徳洲会グループ問題で辞任)
 まあ、確かに公式ルールに抵触してるんで、本当は司会者が注意しなくちゃいけなかったんでしょうが、こんなのは「デフォ」ではないという事実は変わりません。
 なお、現在の全国大学ビブリオバトルと全国高等学校ビブリオバトルは、活字文化推進会議が主催しており、もう東京都も猪瀬氏も無関係です。

 他にも@ichinoseyayoiがビブリオバトルを観戦中に聞いたと主張する発言は、猪瀬氏の発言を除けば、ほとんどが『BISビブリオバトル部』シリーズからの引用、それも発表者に対して発せられていないもの(つまり、現実にも小説中にもなかったこと)ばかりです。つまり、すべて彼の創作なのです。
  

Posted by 山本弘 at 15:10Comments(1)作家の日常

2017年06月06日

盗作されました〔4〕

 さて、僕はここまでの文章を、実は数か月前にすでにほぼ書き上げていました。しかし、騒ぎ立てることをためらい、ずっとしまいこんでいました。
 腹は立ちましたが、アンチがネットで暴れるのはいつものこと。前述の小説についても、ほとんど読まれていないようです。確かに盗作はされましたが、大きな害を受けたわけでもないし、騒ぐとかえって話題になって、相手を利することになりかねない。ここは我慢した方がいいのでは……と迷っていました。
 しかし、間違いでした。下手に情けをかけ、野放しにしておいてはいけなかったのです。

 この@ichinoseyayoiというのはどういう人物か。ちょっと長くなりますが、おつきあいください。

https://twitter.com/ichinoseyayoi?lang=ja

 見ての通り、2016年10月に登録。時期的には、先の小説を書き上げ、カクヨムに投稿した直後ということになります。フォロワー数2。
 ツイートの内容は大半が僕に関するもので、自分の日常のことなどはほとんどつぶやいていません。僕への批判のために作られたアカウントなのは明白です。
 Togetterにたくさんのまとめを作っていますが、ほとんどが僕に関するものです。しかも、ある話題について、ほとんど同じ内容のまとめをいくつも作っています。

https://togetter.com/id/iciinoseyayoi

(彼は頻繁にまとめを作ったり消したりしており、これらのまとめもいずれ消されるかもしれません)
 読んでみると、この人物、僕の著作やブログをものすごく読みこんでるんですよ。『サイバーナイト』や『妖魔夜行』シリーズの頃から読んでいて、現在〈SFマガジン〉に連載中の『プラスチックの恋人』まで目を通しているようです。こんな熱心な読者、めったにいません(笑)。おそらく「40歳男性」というのも嘘ではないと思います。10代の頃から僕の小説を読みはじめたんでしょう。
 でもその内容は、僕の意見に同調しているように見せかける一方で、ちょっとした発言を取り上げてしつこく批判を続けるという矛盾したものです。ストーカーによくあるタイプの、深い愛情が何かのきっかけで憎悪に変化したというパターンではないかと推察されますが、よく分かりません。
 たとえば、こんな中傷をしていました。

親を敬うことを教えることがオカルトであることを山本弘が簡単に説明する
https://togetter.com/li/1105029

 僕は「親を敬うことを教えることがオカルトである」なんてバカなことを言ったことはありません。実際の僕の発言はこうです。

お父さんお母さんに孝行しなさいとか、兄弟仲良くしなさいとか、友達とは互いに信じ合いなさいとか、そんなことを教えるだけなら、それこそ『ちびまる子ちゃん』でもいいじゃない。紙芝居でも、人形劇でも。
なのになぜか、子供には意味不明の呪文である教育勅語を教えたがる人たちがいる。

どうも彼らは、教育勅語には魔力があると信じているらしい。子供にとっては意味不明の呪文であっても、それを暗記させて暗唱させることで、子供は正しく育つと。
あのー、それってオカルトですよ?


 ご覧のように、僕は「お父さんお母さんに孝行しなさいとか……そんなことを教えるだけなら、それこそ『ちびまる子ちゃん』でもいいじゃない。紙芝居でも、人形劇でも」と言っています。親を敬うこと自体を否定などしていません。子供に教えるべきだと言っています。でも、子供に意味不明の呪文を暗記させるのはオカルトだと言っているんです。これはどう解釈したって、「親を敬うことを教えることがオカルト」という意味にはなりません。
 もっともTogetterでも2ちゃんねるでも、タイトルだけで内容を読まずに判断する者はよくいます。そういう人間をひっかけるために、本文の内容と異なるタイトルをつける者も。この場合も、嘘のタイトルをつけることで、僕が「親を敬うことを教えることがオカルト」という珍説を唱えたことにして、炎上を企んだのではないかと思われます。

在日特権とビブリオバトル小説
https://togetter.com/li/1079744

ビブリオバトルが東京都では教育に取り入れられ、「教師達は僕のビブリオバトル小説を参考にしてほしい」と山本弘が語り、その中で安田浩一が取り上げられていることで、安田浩一の在日特権の本が注目を浴びてるらしいと2ちゃんねるに書いてあったので色々まとめてみる。

 これなんかも炎上を狙った印象操作ですね。これを読んだら誰だって、『BISビブリオバトル部』の中に安田浩一氏や在日特権についての本が取り上げられていると勘違いするでしょう。
 実際には『BISビブリオバトル部』シリーズの作中で、安田浩一氏の名前が出てくるのはたった一箇所です。

「実は安田浩一さんの本を使おうと思ってたんですが……」
「やめておけ。それこそ真正面からぶつかるだろ」

──『翼を持つ少女』5章

 在日特権については、5章でたった2ページしか触れていません。他にもこの小説には、『フェッセンデンの宇宙』をはじめとするSF作品や、『アンネの日記』などのノンフィクション本、『不確定性原理』などの科学解説本、マンガ、アニメ、日本酒、輸入食品の安全性、ウミウシ、仮面ライダーなどなど、いろいろなうんちくがびっしり詰めこまれているのに、@ichinoseyayoiはそれらを都合よく無視するのです。
 @ichinoseyayoiが注目するのは在日特権の話ばかり。しかも、ほとんどが『BISビブリオバトル部』ではなく、安田浩一氏の著書からの引用です。こんなまとめに「在日特権とビブリオバトル小説」などというタイトルをつけ、事情を知らない第三者に誤解するように仕向けるのは、いったいどういう意図なんでしょうか?

実際にあった話を大幅に改ざんし小説で他人をさらし上げる老人の話。
https://togetter.com/li/1066219

 これなんかも地道ないやがらせですね。実体験をコメディにアレンジして小説に書いたら、「こんなことありえないよな」と僕を嘘つき呼ばわりです。

その主人公に対してそのおじいさんは反論しました。
その反論に対して主人公は沈黙し逃げ出しました。


 というのも何のことやら。僕はまったく覚えがありません。妄想なんでしょうか?

 他にも、@ichinoseyayoiが作ったまとめの悪質さを指摘しはじめたら、きりがありません。ほとんどは「いちゃもん」としか言いようがない代物ですが、それを本当にしつこくしつこく繰り返すのです。
 正直言って、@ichinoseyayoiのスタンスは支離滅裂で、その思考はまったく理解できません。筋の通ったモデルを構築しようにも、できないんです。本人は自分が理性的であるかのように思っているようなのですが。
  

Posted by 山本弘 at 15:01Comments(1)作家の日常

2017年06月06日

盗作されました〔3〕

 僕が最も腹が立ったのは、シリアで亡くなられたジャーナリストの山本美香さんに関するくだりです。彼女は反政府軍によって謀殺されたという陰謀説が、当時、ネットで流れていたのです。

「その陰謀説は僕も当時、目にしましたが、四つの大きな欠点があります」早口でまくしたてます。「第一に、そんな説を唱えているのは、怪しげな陰謀論者のサイトです。信頼できる専門家の主張ではありません。第二に、山本さんが首だけでなく、頭や腰、太腿なども撃たれていることを無視しています。負傷してうつ伏せに倒れたところを、近寄ってきた兵士にとどめを刺されたと考えるのが妥当です。第三に、正面から近づいてきた政府軍と思われる兵士が発砲してきたことは、同行していた同僚の佐藤和孝さんも証言しています。第四に、反政府軍が自分たちのことを取材してくれているジャーナリストを殺す動機がありません。げんに山本さんと行動をともにしていた佐藤さんは、とっさに逃げ出して無事だったんですから、つじつまが合っていません」
「でも──」
「第五に!」武人くんは強い口調で遮りました。「9・11とか東日本大震災とかもそうですけど、名探偵気取りで幼稚な陰謀説を唱えて、人の死をゲームのように弄ぶ者を、僕は心底から軽蔑します」

──『幽霊なんて怖くない』5章

「そんなことありません。ジャーナリストの山本さん殺害事件では『山本美香って単なるアホだろ』というスレッドが立ち、多くの人が山本さんをあざ笑っていました。これこそまさにジャーナリズムの危機です。しかも、怪しげな陰謀論まで持ち上がりました。しかし、その陰謀論では4つの大きな欠点がありました。第一にそんな説を唱えているのは怪しげな陰謀論者のサイトです。信頼できる専門家の主張ではありません。第二に、山本さんが首だけでなく、腰や太腿なども撃たれていることを無視しています。負傷してうつ伏せに倒れたところを、近寄ってきた兵士にとどめをさされたと考えるのが妥当です。第三に、正面から近づいてきてた政府軍と思われる兵士が発砲していることは同行していた同僚の佐藤和孝さんも証言しています。第四に、反政府軍が自分達を取材しているジャーナリストを殺す動機がありません。げんに山本さんと行動をともにしていた佐藤さんは、とっさに逃げ出して無事だったんですから、つじつまがあっていません」
「あのー……」
「第五に!」強い口調で中さんを遮ります。「他の事件もそうですけど、名偵気取りで幼稚な陰謀説を唱えて、人の死をゲームのように弄ぶ者を、僕は心底から軽蔑します」

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881698267/episodes/1177354054881698291

 あきれたことに、@ichinoseyayoiはこうした陰謀論を否定する僕に対して、屁理屈をこねて反論しているのです。

「私はその事件について全く詳しくないのですが、それでもあなたが言ってる事には欠点があると思います。第一に怪しげなサイトだろうがそこが唱えているという事とそれが事実であるかということは関係ありません。誰がいったかということも重要な要素ではありますが、それが事実か陰謀なのかというのはそれで判断することではありません。朝日新聞の言うことだから、産経新聞の言うことだから、赤旗がいうことだから、幸福の科学がいうことだからという理由だけで判断してるネトウヨパヨクと一緒です。
 第二に政府軍と思われる兵士でも首を後ろから撃つことが出来たという話ですが、もちろん出来るでしょう。ただ、近寄ってきた兵士によってとどめをさされたと考えるのが〝妥当〟という話はどこから出てきたのでしょうか。同行していた佐藤さんも当時の戦闘状況はわからないという話をしていたと思いますし、司法解剖でもどれぐらいの距離から撃たれたかはわからない、ただ至近距離だと皮膚が焼けるから至近距離ではないという程度の情報しか私は知りません。政府軍による犯行とも断定できません。そもそもこの問題は政府軍と思われる兵士達は本当に道端でたまたま出会った政府軍なのかという問題です。
(後略)
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881698267/episodes/1177354054881698291#end

 @ichinoseyayoiの主張はきわめて幼稚です。合理的で筋の通った説があるにもかかわらず、こういう解釈もあるこう解釈もできると、何の証拠もない仮説を次々と並べたてて、妥当な解釈を帳消しにしようとするのです。もっと可能性の高い合理的な解釈を受け入れることを拒否し、可能性の低い陰謀説をいつまでも擁護し続ける。それはまさに陰謀論者がよく使う論法そのものです。
 それに反論するのは一言で十分です。「オッカムの剃刀を知らんのか」と。

(前略)『山本美香って単なるアホだろ』というスレッドにそんなに多くの人が集まりそこで多くの人が山本さんをあざ笑っていたのなら私はその人達を軽蔑します。しかし、本当にそれほど多くの悪意が書き込まれたのでしょうか。アホ扱いした人間が逆に非難されるようなレスはなかったでしょうか。どんな事件でも必ず現れる極少数の被害者をあざ笑う人達や陰謀論を引き合いに出し、そんな人が大勢いるかのように話を盛って、大勢の山本美香さんをあざ笑う人たちなんかと自分は違う、本職のジャーナリストが政府軍がやったと言ってるんだから政府軍が悪いんだ、自分は4つも大きな欠点を見つけ出すほどすごい人間なんだということがいいたいがために山本さんの死をゲームのように弄ぶ人間がいるとは思えませんが、もしいたら私は心底から軽蔑します」

 @ichinoseyayoiは「山本美香って単なるアホだろ」というスレッドに、実際には被害者を嘲笑うような発言が多くないのに、「そんな人が大勢いるかのように話を盛って」いたと、僕を嘘つき呼ばわりしています。
 実際には、僕はこう書いています。

「そのスレッドの発言者たちは、亡くなった山本さんをさんざん嘲笑っていました。“独りよがりな正義感で情勢不安定な国行って殺されてりゃ世話ないよな”とか“はっきり言って、どうでもいい。ニュースの価値はゼロだ”とか“山本っておばさん粋狂な人なんだな”とか……実におぞましい、非人間的な暴言が並んでいました」
──『幽霊なんて怖くない』5章

 そう、僕はそのスレッドの中の発言数がどれぐらいだったか、具体的に書いていないのです。「そんな人が大勢いるかのように話を盛って」なんかいません。
 そのスレッドは実在し、今でも読めますから、誰でも検証できます。2012年当時、僕が読んだのは、30番代あたりまでです。

山本美香って単なるアホだろ
http://ikura.2ch.net/test/read.cgi/news5/1345939045/


 このように、事件発生直後、暴言が数十件も並んでいたのは事実です。その後、事件発生後1年以上して、最初の頃のような暴言は少なくなりますが、それでも山本美香さんを非難する声が多数ありました。それに対し、「アホ扱いした人間が逆に非難されるようなレス」は、全体のごく一部にすぎませんでした。
「話を盛って」るのは、いったいどっちなんでしょうか?
 当時、僕はこのスレッドを読んで猛烈にむかつきました。作中で埋火くんが口にした「人の死をゲームのように弄ぶ者を、僕は心底から軽蔑します」というのは、偽らざる僕の本音です。
 @ichinoseyayoiは僕も参考にした『山本美香という生き方』(新潮文庫)という本を読んでいるようです。なら当然、山本美香さんという人がどんな立派な女性であったかを知っているはずです。死の直前、山本さんと行動をともにしていて、危うく難を逃れた佐藤和孝さんは、山本さんと公私ともに親しい人であったことも。
 山本美香さんはもちろん、佐藤和孝さんも、架空のキャラクターではありません。実在する人間です。泣き、笑い、苦悩する、魂を持った人間です。愛する人が目の前で殺された、そんな悲劇的な体験をした人を思いやるのは、人として当然のことでしょう。
 @ichinoseyayoiは僕に反論できてさぞや楽しいかもしれません。「自分は4つも大きな欠点を見つけ出すほどすごい人間なんだということがいいたい」というのは、まさに@ichinoseyayoi自身がやっていることにしか見えないんですが、彼は自分でそれに気がついていないようです。
 彼がやっているのは、「名偵気取りで幼稚な陰謀説を唱えて、人の死をゲームのように弄ぶ」行為そのものです。亡くなった山本美香さんも、愛する人を失った佐藤和孝さんも、彼にとっては単なるゲームのコマにすぎないのです。
 だから僕は、そんな彼を心底から軽蔑します。
  

Posted by 山本弘 at 14:55Comments(0)作家の日常

2017年06月06日

盗作されました〔2〕

 もっとひどいくだりもあります。

 えーと、映画版の『宇宙戦争』について語るなら、一九五三年版についても触れないといけないのでは? あと、『タイム・マシン』や『透明人間』も映画になってますよ。
──『翼を持つ少女』7章

 ここはヒロインの空のモノローグです。彼女はSFマニアなので、相手の発表を聞いて、心の中でそうツッコんだんです。しかし、口には出していません。それどころか、「発表者の揚げ足を取るような質問は禁止」というルールを、ちゃんと守っています。

 ツッコみたくてたまらないんですが、今はまだ質疑応答の時間ではありません。蟹江の発表を黙って聞くしかないんです。それに質疑応答でも、発表者の揚げ足を取るような質問は禁止です。間違いをストレートに指摘することはできません。
──『翼を持つ少女』7章

 しかし@ichinoseyayoiはそれをこう改変します。

「映画版の『宇宙戦争』を語るなら1953年版についても触れないといけないのでは?あと『タイム・マシン』や『透明人間』も映画になっています」
「触れないといけない?そんなルールありませんよ。これは好きな本を紹介するビブリオバトルであり、著者の経歴を暗記した人間がケチをつける類の発表会ではありません。この本を紹介するならあれについて触れなきゃいけない、この作者について紹介するならあれについて触れなきゃいけない、そういう思想が読書感想文嫌いを生み、読書嫌いを生んできた歴史をご存知ではないのですか。ビブリオバトルでSFについて語るならSF1000冊は読んでからでないとといって読書人口を減らすおつもりですか?」

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881698267/episodes/1177354054881698298

 はい、ひどいですね。@ichinoseyayoiは、小説の中で空が実際には言わなかった台詞を自分のキャラクターに言わせ、それに対して批判してるんです。
 僕はもう何十回もビブリオバトルを観戦してきましたが、著者の代表作について発表者に「触れないといけないのでは?」と指摘する人も、「ビブリオバトルでSFについて語るならSF1000冊は読んでから」なんてバカにする人も、「著者の経歴を暗記した人間がケチをつける」なんて場面も、見たことがありません。繰り返しますが、それはルール違反ですから。
 つまり@ichinoseyayoiは、現実のビブリオバトルでも僕の小説の中でも発せられたことのない言葉を、自分の小説の中ででっち上げ、それを攻撃しているのです。 そんな行為が「創作論・評論」なのでしょうか?

「『世界史概観』が最初に出たのは一九二二年。その二年前にウェルズは『世界文化史大系』という大部の本を書いていたんだが、それを短くしたのが『世界史概観』だ」
 朝日奈先生は授業のような口調で語る。
「その後、一九四六年、つまりウェルズが死んだ年に、それ以降の歴史を加筆した第二版が出た。ただし、ウェルズがそれを執筆したのは一九四四年だ。執筆から本になるまで二年かかったわけだな。だから当然、第二次大戦の結果については書かれていない。
 さらに一九六五年、ウェルズの息子のG・P・ウェルズと歴史家のレイモンド・ポストゲートが、第二次大戦と戦後の歴史を書き足した第三版を出した。岩波新書から出ている翻訳――蟹江が持っていたやつは、第二版をベースに、巻末に第三版による加筆箇所を付け加えた形になっている」

──『翼を持つ少女』7章

「この本には1962年キューバ危機が回避されたことまで書いてあります。この本に米ソの冷戦について書かれているという表現はまったく問題ないと思います。『世界史概観』が最初に出たのは1922年。その2年前に『世界文化史大系』という大部の本を書いていましたが、それを短くしたのが『世界史概観』です。その後、1946年、つまりウェルズが死んだ歳に、それ以降の歴史を加筆した第2版が出ました。ただしそれを執筆したのは1944年です。執筆から本になるまで2年かかったわけです。だから当然、第二次世界大戦の結果については書かれていません。さらに1965年、ウェルズの息子のG・P・ウェルズと歴史家のレイモンド・ポストゲートが、第二次世界大戦と戦後の歴史を書き足した第三版を出しました。岩波新書から出ている翻訳──この本は、第二版をベースに、巻末に第三版による加筆箇所を付け加えた形になっています。
 これだけの説明必要ですか?誰かに『この世界史の本ってどの辺までの歴史載ってるの?』と聞かれたら、『世界史概観』が最初に出たのは1922年。その2年前に『世界文化史大系』という大部の本を書いていましたが、それを短くしたのが『世界史概観』です。その後、1946年、つまりウェルズが死んだ歳に、それ以降の歴史を加筆した第2版が出ました。ただしそれを執筆したのは1944年です。執筆から本になるまで2年かかったわけです。だから当然、第二次世界大戦の結果については書かれていません。さらに1965年、ウェルズの息子のG・P・ウェルズと歴史家のレイモンド・ポストゲートが、第二次世界大戦と戦後の歴史を書き足した第三版を出しました。岩波新書から出ている翻訳──この本は、第二版をベースに、巻末に第三版による加筆箇所を付け加えた形になっています。こう答えるんですか?『この本には米ソの冷戦ぐらいまでの事が書いてあるよ』という答えのどこがいけないんですか。無理やり相手を悪役に仕立て上げる為に難癖つけてるだけじゃないですか?」

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881698267/episodes/1177354054881698298

 僕の文章を書き写しただけでなく、あきれたことに、同じ文章を繰り返して、2倍の分量に水増ししています。そんなことをする意味がまったく不明です。
『翼を持つ少女』では、ヒロインの空が、対戦相手の蟹江が実はウェルズの『世界史概観』を読んでいないことに気づき、遠回しにそれを指摘しようとします。しかし、彼女が作中、蟹江に向かって口にしたのは、「H・G・ウェルズっていつ頃の人なんでしょう? 生年と没年を教えていただけますか?」という質問だけです。なぜなら、それ以上はっきりと相手の間違いを指摘したら、「発表者の揚げ足を取るような質問は禁止」という公式ルールに抵触することになるからです。
 僕は作中で、登場人物に可能な限りビブリオバトルの公式ルールを守らせようと注意しています。しかし@ichinoseyayoiはそんなことを気にも留めません。キャラクターに平然とルールを無視させ、現実のビブリオバトルで起こり得ないことばかりを書きます。そのうえで、こんなのは間違っていると文句をつけるのです。そりゃあ、間違ってるに決まってますよ!
 僕が小説の中で書いていないことをでっち上げて批判する。それはまさに「無理やり相手を悪役に仕立て上げる為に難癖つけてるだけ」に他ならないのですが、彼は自らの矛盾にまったく気がついていないようです。

 もしかしたら@ichinoseyayoiは「これは盗用ではなく評論だ」と主張するかもしれません。しかし、引用元が明示されていないので引用の要件を満たしていませんし、作者自身がつけた種類が「オリジナル小説」なのですから、そんな言い訳は通用しません。
 そもそもカクヨムの利用規約の第13条の「禁止事項等」には、「当社が指定した作品と異なる作品の二次創作作品を当サービスに投稿する行為」「当社または第三者の知的財産権、肖像権、パブリシティ権、名誉権、所有権その他一切の権利を侵害する行為」と規定されています。つまり他社作品の二次創作や改変は明白な規約違反です。

 この小説を通して、@ichinoseyayoiは僕の小説を攻撃することに全力を燃やしているようです。もちろん、その指摘が冷静で正しいものであればかまわないのですが、実際にはきわめて偏見に満ち、嘘だらけです。
 後半では、フィクションであることを逸脱して、本物の『翼を持つ少女』の内容について論じはじめます。ここは確かに「評論」ぽいです。しかし、こんな記述はどうでしょうか?

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881698267/episodes/1177354054881698298

 しばき隊による下品な行動に理解をしめすジャーナリストを好意的に紹介している事も明らかに釣りだと思います。H・G・ウェルズが世界平和のために『軍備そのものが戦争を生むのだからドイツに対して全ての武力を放棄させる、その後それはドイツだけではなく全ての国に対しても行われなければならない』『ドイツ軍国主義を粉砕し、しかる後に新世界秩序の必要を痛感してその確立のために働こうとしている人々を妨害する、イギリス、アメリカ、フランスなどのあらゆる国家主義を打倒しようとした』と考えて、全ての国が軍事力を放棄しなければ平和が訪れない事を訴えていた事を作者がこれだけ小説の中で言っているのに、同じ発言でもこっちの団体はヘイトスピーチで、こっちの団体はヘイトスピーチじゃありません、むしろそっちの団体はヘイトスピーチするかもしれないから発言自体出来ません、なんていう事を肯定しているようなジャーナリストを肯定的に小説の中に入れるはずがないんです。ウェルズの言葉の意味を理解していれば、誰であろうと人を傷つける武器は持っちゃいけないんですから。読者に、それは明らかにおかしいよね、と言ってほしいはずです。

「しばき隊による下品な行動に理解をしめすジャーナリスト」って誰のことなんでしょう? 小説の中に出てくるジャーナリストの名を検索してみましたが、よく分かりませんでした。最初は『九月、東京の路上で』の著者の加藤直樹氏のことかと思ったのですが、Wikipediaによれば「一度だけしばき隊に参加したが、考えが合わないということで除名となった」そうですので、明らかに違います。
 何にしても、僕はそのジャーナリストが「しばき隊による下品な行動に理解をしめ」していたなどという話は聞いたこともありませんので、その点を矛盾であるかのように言われても、「はあ、そうですか?」としか答えようがありません。
 だいたい、ビブリオバトルの参加者が質疑応答の時間に長広舌を──しかも自分の紹介した本以外に関する長広舌をえんえんとぶつのは、明らかに間違っています。主催者はなぜ止めようとしないしないのでしょうか? それとも@ichinoseyayoiはビブリオバトルの基本的なルールすら知らないのでしょうか?
  

Posted by 山本弘 at 14:40Comments(0)作家の日常

2017年06月06日

盗作されました〔1〕

 KADOKAWA 様
 東京創元社 様
 一般社団法人ビブリオバトル協会 様

 いつもお世話になっております。
 今回、厄介なことをお知らせしなければなりません。

 KADOKAWAが運営している小説投稿サイト「カクヨム」において、東京創元社『BISビブリオバトル部』シリーズの文章を大幅に盗用した作品が、「オリジナル小説」と銘打って投稿されています。投稿されたのは昨年の9月のようですが、今年の初め、たまたま「ビブリオバトル」で検索していて見つけました。
 投稿者は@ichinoseyayoiという人物。「40歳男性」となっていますので、便宜上「彼」と呼ぶことにします。
 なお、僕はこの人物の本名をはじめ、個人情報を何も知らないし、詮索する気もないということを最初に明言しておきます。

ビブリオバトル部/@ichinoseyayoi
★0創作論・評論完結済 10話 2016年9月5日更新
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881698267

執筆状況完結済
エピソード10話
種類オリジナル小説
ジャンル創作論・評論
タグビブリオバトル サンダーバード グッドウィン 有川浩 山本弘 H・G・ウェルズ
総文字数61,810文字
公開日2016年9月5日 08:55
最終更新日2016年9月8日 08:08

ビブリオバトルで従軍慰安婦/@ichinoseyayoi
★0創作論・評論完結済 4話 2016年9月8日更新
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881713700

 ジャンルは「創作論・評論」になっていますが、小説仕立てで、引用元は明示されておらず、作者本人がつけた種類も「オリジナル小説」です。
 本編中でも「ビー・アイ・エス BIS ビブリオバトル部」という名称を使用しているだけでなく、登場人物も『BISビブリオバトル部』シリーズと類似。プロットも『翼を持つ少女』をなぞっています。登場人物の台詞も、『BISビブリオバトル部』シリーズの中のものをそのまま使っている箇所や、改変して使っている箇所が多数あります。
(以下、緑字は僕の小説の一部。赤字は@ichinoseyayoiによる盗用箇所です)

「そういう奴が世の中には多いのさ」先生は唇を歪めて笑った。「自分が正義だと思い上がってる連中――“正義だから、いくら間違ったことをやっても許される”と思ってる奴がな」
「正義だから間違ったことを……?」
「ああ。デマを流したり、誰かを迫害したり、戦争を起こしたり、原爆を落としたり──明らかに間違っているのに、“正義だから許される”と思ってる連中がな……」

(中略)
 いいか。世の中で最も危険な思想は、悪じゃなく、正義だ。悪には罪悪感という歯止めがあるが、正義には歯止めなんかない。だからいくらでも暴走する。過去に起きた戦争やテロや大量虐殺も、多くの場合、それが正義だと信じた連中の暴走が起こしたものだ。そして、今も世界各地でそういうことが起きている」
──『翼を持つ少女』7章

「そういう奴が世の中には多いのさ。自分が正義だと思い上がってる連中──〝正義だから、いくら間違ったことをやっても許される〟と思ってる奴がな」
「正義だから間違ったことを……?」
「ああ、デマを流したり、誰かを迫害したり、戦争を起こしたり、原爆を落としたり──明らかに間違っているのに、〝正義だから許される〟と思ってる連中がな……」
「いいか、世の中で最も危険な思想は、悪じゃなく、正義だ。悪には罪悪感という歯止めがあるが、正義には歯止めなんかない。だからいくらでも暴走する。過去に起きた戦争やテロや大量虐殺も、多くの場合、それが正義だと信じた連中の暴走が起こしたものだ。そして、今も世界各地でそういうことが起きている」

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881698267/episodes/1177354054881698290

 このくだり、あきれたことに、1話の中で7回もコピペされています。
 ストーリーはというと、『BISビブリオバトル部』と同様、高校生のビブリオバトルを題材にしていますが、ビブリオバトルの場で、紹介される本の内容と何の関係もない政治的論争がおおっぴらに繰り広げられるというひどい代物で、現実のビブリオバトルと似ても似つかない展開になっています。
 現実のビブリオバトルでは、公式ルールで「発表内容の揚げ足をとったり,批判をするようなことはせず」と定められているので、こんな展開はありえません。僕は作中で「ビブリオバトルは本を愛する者の楽しい交流の場だ。政治的プロパガンダの場じゃない」とビブリオバトル部の部長に言わせてるんですが、その精神が踏みにじられたと感じています。
 他にもこうした盗用がたくさんあります。

「さて、みなさんはH・G・ウェルズという人物をご存知でしょうか?」
 は?
 私は意表を突かれて困惑しました。ええ、もちろんよくご存知ですけど、何か?
「SFの元祖と呼ばれている人物です。『宇宙戦争』『タイム・マシン』『透明人間』などの作品で、日本でも有名です。『宇宙戦争』はトム・クルーズ主演で映画にもなってますよね」
 えーと、映画版の『宇宙戦争』について語るなら、一九五三年版についても触れないといけないのでは? あと、『タイム・マシン』や『透明人間』も映画になってますよ。
「大変に博識な人物として知られていて、潜水艦や宇宙飛行、核兵器の出現なども予言していたそうです」
 あっ、それダウトです。ウェルズは潜水艦は予言してません。ジュール・ヴェルヌとごっちゃにしてませんか?
 不安になってきました。「そうです」ということは、この人、ウェルズの小説を読まずに語ってるんですか?

(中略)
「『世界史概観』。タイトルの通り、四大文明の発祥から二〇世紀までの世界の歴史を解説した本です」
 おや、ずいぶんまともそうな本じゃないですか。どんな過激な内容の本を出してくるかと思ってたのに、拍子抜けしちゃいました。
「ここに持ってきたのは上下巻の下巻の方ですが、一一世紀から二〇世紀にかけての歴史が解説されています。モンゴル帝国、ルネサンス、アメリカ独立戦争、フランス革命、産業革命、第一次世界大戦、国際連盟、第二次世界大戦、そして戦後の米ソの冷戦……」
 ん?
 変です。絶対に変。そんなこと、あるはずがないです。私、『世界史概観』という本は読んだことありませんけど、それでもこの人の言っていることがデタラメなのは分かります。
 でも、謎です。なぜこの人、こんな勘違いをしてるんでしょう?

(中略)
 ああ、違います違います! H・G・ウェルズはイギリス人です! そんな基本的なこと、間違えないでください!
 確信しました。この人、ウェルズについて何も知りません。それなのに、偉そうに語ってるんです。

──『翼を持つ少女』7章

「さて、みなさんはサンダーバードをご存知でしょうか」
 は?
 私は意表を突かれて困惑しました。ええ、もちろんよくご存知ですけど、何か?
「海外で製作された少年少女向けCGアニメで、日本でも昨年NHKで放送され話題になりました」
 えーと、サンダーバードについて語るなら、過去の人形劇テレビシリーズについても触れないといけないのでは?あと映画も複数製作されてますよ。
「世界中で起きた災害・事故の被害者を、国際救助隊というチームが様々な巨大メカや巨大ロボットを駆使して救助する話だったそうです」
 あ、それダウトです。巨大ロボットは出てきません。巨大メカをロボットと解釈することも出来ますが、サンダーバードを巨大ロボットが出てくる話と紹介する人を私は知りません。
 不安になってきました。〝話だったそうです〟ということは、この人、サンダーバードを知らずに語ってるんですか?
「サンダーバードについてまとめた本はいくつもあります。その代表作がこれ『きみはサンダーバードを知っているか──もう一つの地球のまもり方──』です。
 おや、ずいぶんまともそうな本じゃないですか。どんな過激な内容の本を出してくるかと思ってたのに、拍子抜けしちゃいました。
「救助活動に特化した組織であるサンダーバードは武器を持たずに活動しています。武器を持って海外へ行く自衛隊とはここが大きく違います」
 ん?
 変です。絶対に変。なぜこの人、こんな勘違いしてるんでしょう。

(中略)
 ああ、違います違います。サンダーバードはアメリカアニメじゃありません。そんな基本的なこと、間違えないで下さい。
 確信しました。この人サンダーバードについて何も知りません。それなのに偉そうに語ってるんです。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881698267/episodes/1177354054881698296

 ご覧のように、『世界史概観』と『サンダーバード』を入れ替えただけで、まったく同じ文章です。こんなものを「創作論・評論」だと主張しているのです。
  

Posted by 山本弘 at 14:31Comments(3)作家の日常

2017年05月19日

あなたの知らないマイナー特撮の世界RETURNS

Live Wire 17.5.26(金) なんば紅鶴|山本弘のSF秘密基地LIVE#68
あなたの知らないマイナー特撮の世界RETURNS

 2年前にやった「あなたの知らないマイナー特撮の世界」の続編。これまであまり特撮ファンから注目されてこなかった、怪獣も宇宙人も出てこない特撮映画──特に1930~50年代のクラシックなホラー映画、戦争映画、カタストロフ映画などの中から、今見ても素晴らしい特撮シーンを発掘し、再評価しようという企画です。
 大爆発!
 大地震!
 大火災!
 大洪水!
 そして海戦や空中戦!
 CGもデジタル合成もなかった時代、当時の特撮マンが努力と創意工夫によって創り上げた迫力ある映像、「特撮のオーパーツ」とも言うべき驚異の映像マジックの数々を、たっぷり堪能しましょう。

[出演] 山本弘

[日時] 2017年5月26日(金) 開場・19:00 開始・19:30

[会場] なんば紅鶴(大阪市中央区千日前2-3-9 レジャービル味園2F)南海なんば駅より南海通り東へ180m・駐車場有

[料金] 1500円  
(店内でのご飲食には別途料金がかかります。入場時に別途ワンドリンクをご購入いただきますのでご了承ください)

 ご予約はこちらへ。
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=117117408
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 かなり前から『雨ぞ降る』(1939)の地震と洪水のシーンがすごいとか、『世界大洪水』(1933)のニューヨーク壊滅シーンがすごいとか言い続けてきたんですが、今回はその集大成。


 おもに戦前~1950年代あたりの、とっくに著作権が切れた映画の中から、今見てもすごいと思える特撮を探し出し、楽しもうという企画です。いやー、探してみたら知らなかった映画が次から次に見つかるんですよ。
 よほどの特撮マニアの方でも、「こんなすごい映画があったのか!?」と驚かれるであろう作品もいろいろ。お楽しみに!

  
タグ :特撮映画PR


Posted by 山本弘 at 22:24Comments(1)特撮PR映画

2017年05月19日

「思考盗聴」「集団ストーカー被害」を訴える人たち

 先日、このブログにこんな書きこみがあった。内容があまりにも問題なので、一部を伏字にさせていただいた。

××県××市××町×-××-××-×××に10年前に住んでいた××××の●●●、▲▲▲▲▲、■■■■■と××市××××病院に10年前に×××××科にいた看護婦とその家族に思考盗聴、集団ストーカー、ハイテク兵器で頭に強すぎる電流を流されて頭を締め付けられたり重くされていて苦しいです ■■■■■と同じ×××××の×号棟の×階に住んでいた●●●の妻の家族も共犯者です ▲▲▲▲▲の高校からの友達と彼女が思考盗聴したUSBを持っているらしいです ■■■■■はブレインマシンというので生体電流さえ分かれば誰でも遠隔から思考盗聴できるんやで人を遠隔から操るんやで××からお金をもらってるんやでと音声送信してきます ■■■■■は思考盗聴されないんでしょうか ●●●の今の住んでいる場所や人間関係を調べて下さいその家や車から思考盗聴電波が出ているはずです

 伏字にした箇所は、●●●、▲▲▲▲▲、■■■■■は人名(おそらく家族)、その他の××は地名や建物、会社の名前が入る。検索してみたら、どれも実在のものだった。
 僕が伏字にした理由はお分かりだろう。この文章は実在の人物を中傷しているうえ、その個人情報まで公表するものだったからだ。
 あきれたことに、この書きこみ主、あちこちの掲示板やブログに見境なしにこのコメントを書きこみ続けている。どうやらこの●●●さんとその家族は、この書きこみ主から「思考盗聴、集団ストーカー」とみなされ、もう長いことネットで執拗にいやがらせを受けていたようである。
 苦しみ続けてきたであろう●●●さんたちの心中を察すると、怒りさえこみ上げてくる。

 言うまでもなく、書きこみ主の主張はすべて妄想である。

実は存在しない?幻の集団ストーカーとは
http://tanteitalk.com/stalker/shudan/

>組織ぐるみの犯罪や陰謀などと言われるものが実際に存在することは事実ですし、そうした行いをする組織や団体は確実にあります。

>ただ、それはその相手が組織や集団にとって『重要なターゲット』な場合のみです。
>無作為に相手を選んだり、関係の無い人間にストーカー行為をすることはまずあり得ません。

「監視されている」「他人に心を読まれている」というのは、統合失調症による妄想の典型的な例だ。「電波で攻撃されている」という妄想にしても、ラジオ放送が開始されたころからすでにあったらしい。
 最近は何が違うかというと、そうした「思考盗聴」が科学的に可能だと主張する説が、ネットにはびこっているということである。
 無論、その根拠は、「心を読まれている」と訴えている人の証言だけなのだが。

 ちょっと前にも大阪環状線の天満駅の近くを歩いていたら、駅の近くでデモをやっている集団に遭遇し、こんなチラシを渡された。


 このNPOテクノロジー犯罪ネットワークという団体、作ったのは石橋輝勝という人。この人の著書『武器としての電波の悪用を糾弾する!』は、前に『トンデモ本の世界R』で取り上げたことがある。自分は「全人類の敵」から電波攻撃を受けていると主張する本だった。


 現実に今、科学はどれぐらい進歩しているのか。つい先日、こんなニュースが流れてきた。

思考とマシンをつなぐFacebookの挑戦--人間もアップグレードする時代へ
https://japan.cnet.com/article/35100170/

Facebookの研究部門が、人間とマシンをつなぎ、言葉によらずに意思を伝達する試みを研究しているというものだ。

>「以心伝心」という言葉も連想させるこの研究、ムーンショット(moonshot)の言葉通り、簡単にはうまくいかないけれども挑戦してみるだけの価値のある(技術の)研究ということで、うがった見方をすればFacebookにとってのある種の宣伝、あるいはMark Zuckerbergの道楽と解釈できないこともない。

>また「Building 8ではどのプロジェクトも2年の期限付きで取り組みを進めている」とのことで、この取り組みについても2018年末から2019年の初めころには何らかの成果が発表されるかもしれない。

>(前略)ただし、脳の中の信号を読み取るセンサ類を詰め込んだネットもしくは帽子のようなものは別途必要になるそうなので、そのあたりの実装をどうしてくるのかは気になるところである。

 つまり、脳の中の信号を読み取る技術はまだ研究中であり、可能だとしても、「センサ類を詰め込んだネットもしくは帽子」が必要だということだ。当然だろう。
 たとえば脳波を測定するだけでも、頭部にプローブを取り付ける必要がある。しかも脳波は思考の内容を含んでいないので、脳波だけ調べても心は読めない。脳の中のどの部位がどのように活動しているか知るためには、fMRIか何か、脳の活動状態を外部からモニターする装置が必要だ。
 だから遠く離れた場所にいる人間の思考を読み取ることはまだ無理だし、おそらく将来的にも不可能だと考えられる。

 無論、「集団ストーカー被害者」は、そんな事実を認めないだろう。彼らにとって、自分たちに降りかかっている攻撃はきわめてリアルに感じられ、本物としか思えないからだ。
 そして今、「集団ストーカー」とか「テクノロジー犯罪」で検索すると、彼らの妄想を補強するページが山ほどヒットする。それを読んだ者は「私と同じような攻撃を受けている人はいっぱいいる」「やっぱり妄想なんかじゃなかったんだ」と思いこんでしまうのだ。


 彼らが苦しみから救われる方法はひとつしかない。病院に行くことだ。
 統合失調症は直りにくい病気だが、新薬が次々に開発されていて、症状を抑えることがかなり可能になってきている(人によって効果にはかなり差があるらしいが)。病院に通いながら、薬を飲んで症状を抑え、健康な人と同じように働いている人も多い。
 しかし、ネット上に氾濫する「集団ストーカー」「テクノロジー犯罪」に関する情報は、彼らに「私は精神病ではない」と思いこませる。病院になんか行かなくても、「奴ら」に攻撃をやめさせさえすれば、苦しみから解放されるのだと。
 無論、「奴ら」など実在せず、病院で治療を受けなければ苦しみはいつまでも続くのだが。

 僕は「集団ストーカー被害者」の訴えはすべて妄想だと思う。
 その一方、先の●●●さんの一家のように、「集団ストーカー被害者」から被害者を受けている人は実在する。
 そうした被害は時として最悪の事態に発展することもある。2015年の淡路島5人殺害事件のように。

http://news.livedoor.com/article/detail/9882871/
http://www.sankei.com/west/news/170208/wst1702080034-n1.html

 こうした悲劇を阻止するには、「集団ストーカー被害」なる妄想が存在することを世間に周知することが一番だと思う。だが、マスコミは精神病に関する話題をタブーにしていて、めったに紹介しようとしない。
 問題が存在していることが世間に知れ渡らない限り、それを解決しようとする動きも起きない。「集団ストーカー被害者」はこれからも苦しみ続けるし、彼らによる殺傷事件もまた起きるに違い。
  


Posted by 山本弘 at 20:30Comments(17)社会問題作家の日常

2017年04月07日

『世にも不思議な怪奇ドラマの世界』発売記念イベント

『世にも不思議な怪奇ドラマの世界』(洋泉社)の発売を記念して、大阪と東京の2箇所でトークイベントをやります。
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Live Wire 17.4.27(木) なんば紅鶴|山本弘のSF秘密基地LIVE#67
山本弘のSF秘密基地LIVE#67
懐かしの海外SFドラマの世界


 今月は『世にも不思議な怪奇ドラマの世界 「ミステリー・ゾーン」「世にも不思議な物語」研究読本』(洋泉社)発売にちなんで、懐かしの海外ドラマの特集です。海外ドラマ研究家の松岡秀治さんをゲストにお招きし、60~70年代、日本のお茶の間のブラウン管を賑わせた海外ドラマの数々、特にSFやファンタジーを中心に語ります。
『ミッション:インポッシブル』の原作の『スパイ大作戦』って、実はけっこうSFだった?
 ジョージ・リーヴス版の『スーパーマン』って、どんな話だったの?
 他にも『ミステリー・ゾーン』はもちろん、『インベーダー』『奥さまは魔女』『タイムトンネル』『原潜シービュー号』などなど、名前だけは有名だけど、内容があまり語られない番組や、『セイント/天国野郎』『スパイのライセンス』『秘密指令S』『CSI』などの中のSF風エピソードについて、思い出を熱く語りまくります。お楽しみに!
 いつもは最終金曜日ですが、今月は最終木曜日です。お間違えなく。


[出演] 山本弘、松岡秀治(海外ドラマ研究家)

[日時] 2017年4月27日(木) 開場・19:00 開始・19:30

[会場] なんば紅鶴(大阪市中央区千日前2-3-9 レジャービル味園2F)南海なんば駅より南海通り東へ180m・駐車場有

[料金] 1500円  
(店内でのご飲食には別途料金がかかります。入場時に別途ワンドリンクをご購入いただきますのでご了承ください)

 ご予約はこちらへ。
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=115433691


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Live Wire 17.5.5(金/祝) 山本弘のSF秘密基地LIVE 東京出張編#5
山本弘のSF秘密基地LIVE 東京出張編#5
怖いこどもの日・『ミステリー・ゾーン』と海外怪奇SFドラマの世界

 いつもは大阪でやっている「山本弘のSF秘密基地LIVE」。今月は東京に出張いたします。
 新刊『世にも不思議な怪奇ドラマの世界』(洋泉社)出版にちなんで、伝説のSF・ホラー・ファンタジー番組『ミステリー・ゾーン』を中心に、懐かしの海外SFドラマの魅力をたっぷりと語ります。お楽しみに。


[出演] 山本弘

[日時] 2017年5月5日(金/祝) 開場・19:00 開始・19:30 (約2時間を予定)

[会場] Live Wire HIGH VOLTAGE CAFE
     東京都新宿区新宿5丁目12-1 新宿氷業ビル3F (1F割烹「いちりん」右階段上がる) (Googleマップ)
    ・都営新宿線「新宿3丁目」駅 C6~8出口から徒歩5分
    ・丸ノ内線・副都心線「新宿3丁目」駅 B2出口から徒歩8分
    ・JR線「新宿」駅 東口から徒歩12分
 
[料金] 1500円 (当日券500円up)

※終演後にフリーフード&フリードリンクの懇親会を開催します(21:00終了予定。出演者は参加できない場合があります)。参加費は3500円です。懇親会参加者には、入場時にウェルカムの1ドリンクをプレゼント。参加希望の方はオプションの「懇親会」の項目を「参加する」に変更してお申し込みください。参加費も一緒にお支払いただきます。
 
※懇親会に参加されない方は、当日受付時に別途1ドリンク代500円が必要となります。(2ドリンク購入の場合は100円引きの900円とお得です)

ご予約はこちらへ
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=115803915
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 二箇所のイベント、ちょっとだけ内容が違います。まあ、喋る内容はだいたい同じなんですが(笑)。
 なんば紅鶴の方のイベントは、今度の本を担当していただいた洋泉社の編集さんに、ジョージ・リーヴス版『スーパーマン』の変なエピソード(「スーパーマン製造機」とか「人間電送機」とか)を語ったら、けっこう受けたんで、イベントで話しても受けるんじゃないかと思ってます。
 あと、『スパイ大作戦』って、実はタイムスリップ起こしたり大地震起こしたり第三次世界大戦起こしたり(もちろんトリックで)、けっこうSF的な話が多かったと思うんですよ。今の『ミッション:インポッシブル』しか知らない人には、かなり意外な話じゃないかと思います。
  
タグ :SFTVドラマPR


Posted by 山本弘 at 19:39Comments(3)SF特撮PR レトロテレビ番組

2017年04月07日

新刊『世にも不思議な怪奇ドラマの世界』


山本 弘 (著), 尾之上 浩司 (監修)
『世にも不思議な怪奇ドラマの世界』
洋泉社 1944円+税


アメリカの伝説のオカルト番組『世にも不思議な物語』と、怪奇・SF・ファンタジーのアンソロジー番組『ミステリー・ゾーン』、日本の人気番組『世にも奇妙な物語』に大きな影響を与えた、伝説の番組を徹底解説したディープなガイドブック!『ミステリー・ゾーン』の未訳短編「家宝の瓶」(The Man in the Bottle)も特別収録!

 こちらも新刊です。前に出した同人誌2冊を合本にしたもの。
 同人誌の原稿を少し書き直すだけでいいかな……と侮ってたんですが、かなり書き直すはめになりました。
 やっばり力を入れたのは『ミステリー・ゾーン』です。近年、昔の外国番組を扱った本やムックはたくさん出てるんですが、『事件記者コルチャック』とかについては詳しく書かれていても、なぜか『ミステリー・ゾーン』の紹介がすっぽり抜けてるんですね。ほんの数行しか触れられていなくて、内容がさっぱり分からない。これじゃ『ミステリー・ゾーン』の素晴らしさがまったく伝わりません。
 本当に面白い番組だったんだから!
 何と言っても注目していただきたいのは脚本。全エピソードの半分以上を書いたクリエイターのロッド・サーリングの才能は言うまでもありませんが、リチャード・マシスン、チャールズ・ボーモント、レイ・ブラッドベリらの書いた話も素晴らしい。もちろん、中には駄作や凡作もありますが、傑作率がきわめて高いんです。
「誰かが何処かで間違えた」「ヒッチハイカー」「めぐりあい」「マネキン」「遠来の客」「No.22の暗示」「亡き母の招き」「消えた少女」「二万フィートの戦慄」などの、ものすごく怖い話。
「過去を求めて」「奇蹟」「トランペットに憑かれた男」「弱き者の聖夜」「縄」「幻の砂丘」などの泣ける人情話。
「奇妙な奈落」「みにくい顔」「合成人間の家」「生きている仮面」などの、ラストがショッキングな話。
「疑惑」「悪意の果て」「日本軍の洞窟」「暗黒の死刑台」などの、強い問題提起を含んだ話。
 第3シーズンの「到着」「生と死の世界」「遠い道」「栄光の報酬」「鏡」「墓」「子供の世界」「亡霊裁判」「狂った太陽」なんて並びは傑作ぞろいで、もう神がかってますね。
 この本では、それらのエピソードをすべて解説しています。
 あと、スタッフの紹介。脚本家陣だけじゃなく、演出家もすごい人が揃ってたんですよ。ドン・シーゲル、バズ・キューリック、リチャード・C・サラフィアン、ジャック・スマイト、ボリス・セーガル、リチャード・ドナー……『遊星よりの物体X』や『宇宙水爆戦』の監督までいたとは、調べてみるまで気がつきませんでした。
 本国での放映日はもちろん、日本での放映日のリストも掲載。だいぶ前に『宇宙船』にも載ってたんですが、間違いだらけで使いものにならなかったんで、新たに調べ直しました。原作のあるエピソードについては、原作のリストもつけました。

 もちろん『ミステリー・ゾーン』だけじゃなく、『世にも不思議な物語』も全エピソードを解説しています。
 データ面はもちろん、僕の評論「僕らはみんなメープル通りに住んでいる」も掲載。あと、レノア・ブレッソンの『世にも不思議な物語』やJ・マイケル・ストラジンスキーの『新トワイライトゾーン』を訳された尾之上浩司さんには、未訳のノヴェライズ「家宝の瓶」を訳していただきました。
 これ一冊あれば、『世にも不思議な物語』と『ミステリー・ゾーン』はほぼ網羅できると自負しております。これからDVDを買われる方のガイドブックとしても最適です。
 半世紀以上前にこんな素晴らしい番組があったことを、多くの人に知っていただければと思います。


   


Posted by 山本弘 at 19:09Comments(2)SF特撮PR レトロテレビ番組

2017年04月07日

『僕の光輝く世界』文庫化



【人気ミステリー作家絶賛!】
消失少女、突然変貌する世界、幽霊殺人事件……見えないのに視える!?
前代未聞、想像力探偵誕生! 視覚を失った男子と仮想美少女が織りなす、青春恋愛「本格」ミステリー。
魅力全開の謎-辻真先(作家)
すべてが最上級-黒田研二(作家)
不思議な読み味-青柳碧人(作家)

気弱なオタク男子、光輝は進学先の高校でもいじめられ、あげくに橋から突き落とされる。搬送先の病院で絶世の美少女と運命の出会いを遂げた、と思いきや、実は既に失明してしまっていた。美少女は果たして妄想なのか実在なのか……視覚を失った少年が、想像力を駆使して奇妙な謎と格闘する不思議ミステリー。

 すみません。このブログで告知するのを忘れておりました。3年前に出た『僕の光輝く世界』が文庫になりました。
 内容の紹介はこちらです。

http://kokorohaitsumo15sai.la.coocan.jp/bokunohikarikagayaku.html

【人気ミステリー作家絶賛!】というコピーは誇張じゃありません。今回、何より嬉しかったのは、敬愛する辻真先先生に解説を書いていただいたことです。
 そもそも、3年前に単行本が出た時、ほとんどの雑誌(ミステリ雑誌も含む)の書評から無視されてたんですよね。たぶん、僕が普段、ミステリを書いていないからでしょうけど。
 ほとんど唯一の例外が、『本格ミステリー・ワールド2015』(南雲堂)というムックの「読者に勧める黄金の本格ミステリー!」というページ。そこで辻真先さんと二階堂黎人さんが二重丸をつけてくださったんです。辻先生なんて、40本以上の候補の中から、二重丸ついてたのが『僕の光輝く世界』だけなんですよ。




 そもそも僕が小説家・辻真先の作品にハマったのは、10代の頃に読んだ『仮題・中学殺人事件』。今で言うメタミステリなんですけど、70年代当時、こんな趣向の小説なんて読んだことなくて、興奮したもんであります。


 この後も『盗作・高校殺人事件』『改訂・受験殺人事件 』、特撮ヒーロー番組の撮影中に事件が起きる『SFドラマ殺人事件』、アニメ界を舞台にした『TVアニメ殺人事件』、自主制作特撮映画を扱った『宇宙戦艦富嶽殺人事件』などを読みふけりました。今でこそそんなオタク的な題材を扱った小説なんて珍しくもないですが、辻先生のセンスは時代をはるかに先取りしていました。
 いちばん好きなのが『アリスの国の殺人』。主人公が『不思議の国のアリス』を愛するロリコンなんですが、現実世界の殺人事件と同時に、主人公の見る夢の中のファンタジー世界でも殺人事件が起きるんです。夢の中の殺人のトリックなんてどうやって解明するんだと思ってたら、ちゃんとファンタジー世界の論理で解明される! これはひっくり返りましたね。日本推理作家協会賞受賞も当然かなと。


 実はこの『僕の光輝く世界』は、『アリスの国の殺人』のオマージュとして書いています。特に第4話「幽霊はわらべ歌をささやく」は、現実世界と主人公が読むミステリ小説の中で並行して殺人事件が起き、それぞれ現実の論理とミステリ世界の論理で解明されるという話。
 ですから、その作品の解説を辻先生に書いていただけるなんて、本当に光栄でした。
 変わった趣向のミステリが読みたいという方、ぜひお読みください。
  


Posted by 山本弘 at 17:56Comments(4)