2017年06月06日

盗作されました〔1〕

 KADOKAWA 様
 東京創元社 様
 一般社団法人ビブリオバトル協会 様

 いつもお世話になっております。
 今回、厄介なことをお知らせしなければなりません。

 KADOKAWAが運営している小説投稿サイト「カクヨム」において、東京創元社『BISビブリオバトル部』シリーズの文章を大幅に盗用した作品が、「オリジナル小説」と銘打って投稿されています。投稿されたのは昨年の9月のようですが、今年の初め、たまたま「ビブリオバトル」で検索していて見つけました。
 投稿者は@ichinoseyayoiという人物。「40歳男性」となっていますので、便宜上「彼」と呼ぶことにします。
 なお、僕はこの人物の本名をはじめ、個人情報を何も知らないし、詮索する気もないということを最初に明言しておきます。

ビブリオバトル部/@ichinoseyayoi
★0創作論・評論完結済 10話 2016年9月5日更新
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881698267

執筆状況完結済
エピソード10話
種類オリジナル小説
ジャンル創作論・評論
タグビブリオバトル サンダーバード グッドウィン 有川浩 山本弘 H・G・ウェルズ
総文字数61,810文字
公開日2016年9月5日 08:55
最終更新日2016年9月8日 08:08

ビブリオバトルで従軍慰安婦/@ichinoseyayoi
★0創作論・評論完結済 4話 2016年9月8日更新
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881713700

 ジャンルは「創作論・評論」になっていますが、小説仕立てで、引用元は明示されておらず、作者本人がつけた種類も「オリジナル小説」です。
 本編中でも「ビー・アイ・エス BIS ビブリオバトル部」という名称を使用しているだけでなく、登場人物も『BISビブリオバトル部』シリーズと類似。プロットも『翼を持つ少女』をなぞっています。登場人物の台詞も、『BISビブリオバトル部』シリーズの中のものをそのまま使っている箇所や、改変して使っている箇所が多数あります。
(以下、緑字は僕の小説の一部。赤字は@ichinoseyayoiによる盗用箇所です)

「そういう奴が世の中には多いのさ」先生は唇を歪めて笑った。「自分が正義だと思い上がってる連中――“正義だから、いくら間違ったことをやっても許される”と思ってる奴がな」
「正義だから間違ったことを……?」
「ああ。デマを流したり、誰かを迫害したり、戦争を起こしたり、原爆を落としたり──明らかに間違っているのに、“正義だから許される”と思ってる連中がな……」

(中略)
 いいか。世の中で最も危険な思想は、悪じゃなく、正義だ。悪には罪悪感という歯止めがあるが、正義には歯止めなんかない。だからいくらでも暴走する。過去に起きた戦争やテロや大量虐殺も、多くの場合、それが正義だと信じた連中の暴走が起こしたものだ。そして、今も世界各地でそういうことが起きている」
──『翼を持つ少女』7章

「そういう奴が世の中には多いのさ。自分が正義だと思い上がってる連中──〝正義だから、いくら間違ったことをやっても許される〟と思ってる奴がな」
「正義だから間違ったことを……?」
「ああ、デマを流したり、誰かを迫害したり、戦争を起こしたり、原爆を落としたり──明らかに間違っているのに、〝正義だから許される〟と思ってる連中がな……」
「いいか、世の中で最も危険な思想は、悪じゃなく、正義だ。悪には罪悪感という歯止めがあるが、正義には歯止めなんかない。だからいくらでも暴走する。過去に起きた戦争やテロや大量虐殺も、多くの場合、それが正義だと信じた連中の暴走が起こしたものだ。そして、今も世界各地でそういうことが起きている」

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881698267/episodes/1177354054881698290

 このくだり、あきれたことに、1話の中で7回もコピペされています。
 ストーリーはというと、『BISビブリオバトル部』と同様、高校生のビブリオバトルを題材にしていますが、ビブリオバトルの場で、紹介される本の内容と何の関係もない政治的論争がおおっぴらに繰り広げられるというひどい代物で、現実のビブリオバトルと似ても似つかない展開になっています。
 現実のビブリオバトルでは、公式ルールで「発表内容の揚げ足をとったり,批判をするようなことはせず」と定められているので、こんな展開はありえません。僕は作中で「ビブリオバトルは本を愛する者の楽しい交流の場だ。政治的プロパガンダの場じゃない」とビブリオバトル部の部長に言わせてるんですが、その精神が踏みにじられたと感じています。
 他にもこうした盗用がたくさんあります。

「さて、みなさんはH・G・ウェルズという人物をご存知でしょうか?」
 は?
 私は意表を突かれて困惑しました。ええ、もちろんよくご存知ですけど、何か?
「SFの元祖と呼ばれている人物です。『宇宙戦争』『タイム・マシン』『透明人間』などの作品で、日本でも有名です。『宇宙戦争』はトム・クルーズ主演で映画にもなってますよね」
 えーと、映画版の『宇宙戦争』について語るなら、一九五三年版についても触れないといけないのでは? あと、『タイム・マシン』や『透明人間』も映画になってますよ。
「大変に博識な人物として知られていて、潜水艦や宇宙飛行、核兵器の出現なども予言していたそうです」
 あっ、それダウトです。ウェルズは潜水艦は予言してません。ジュール・ヴェルヌとごっちゃにしてませんか?
 不安になってきました。「そうです」ということは、この人、ウェルズの小説を読まずに語ってるんですか?

(中略)
「『世界史概観』。タイトルの通り、四大文明の発祥から二〇世紀までの世界の歴史を解説した本です」
 おや、ずいぶんまともそうな本じゃないですか。どんな過激な内容の本を出してくるかと思ってたのに、拍子抜けしちゃいました。
「ここに持ってきたのは上下巻の下巻の方ですが、一一世紀から二〇世紀にかけての歴史が解説されています。モンゴル帝国、ルネサンス、アメリカ独立戦争、フランス革命、産業革命、第一次世界大戦、国際連盟、第二次世界大戦、そして戦後の米ソの冷戦……」
 ん?
 変です。絶対に変。そんなこと、あるはずがないです。私、『世界史概観』という本は読んだことありませんけど、それでもこの人の言っていることがデタラメなのは分かります。
 でも、謎です。なぜこの人、こんな勘違いをしてるんでしょう?

(中略)
 ああ、違います違います! H・G・ウェルズはイギリス人です! そんな基本的なこと、間違えないでください!
 確信しました。この人、ウェルズについて何も知りません。それなのに、偉そうに語ってるんです。

──『翼を持つ少女』7章

「さて、みなさんはサンダーバードをご存知でしょうか」
 は?
 私は意表を突かれて困惑しました。ええ、もちろんよくご存知ですけど、何か?
「海外で製作された少年少女向けCGアニメで、日本でも昨年NHKで放送され話題になりました」
 えーと、サンダーバードについて語るなら、過去の人形劇テレビシリーズについても触れないといけないのでは?あと映画も複数製作されてますよ。
「世界中で起きた災害・事故の被害者を、国際救助隊というチームが様々な巨大メカや巨大ロボットを駆使して救助する話だったそうです」
 あ、それダウトです。巨大ロボットは出てきません。巨大メカをロボットと解釈することも出来ますが、サンダーバードを巨大ロボットが出てくる話と紹介する人を私は知りません。
 不安になってきました。〝話だったそうです〟ということは、この人、サンダーバードを知らずに語ってるんですか?
「サンダーバードについてまとめた本はいくつもあります。その代表作がこれ『きみはサンダーバードを知っているか──もう一つの地球のまもり方──』です。
 おや、ずいぶんまともそうな本じゃないですか。どんな過激な内容の本を出してくるかと思ってたのに、拍子抜けしちゃいました。
「救助活動に特化した組織であるサンダーバードは武器を持たずに活動しています。武器を持って海外へ行く自衛隊とはここが大きく違います」
 ん?
 変です。絶対に変。なぜこの人、こんな勘違いしてるんでしょう。

(中略)
 ああ、違います違います。サンダーバードはアメリカアニメじゃありません。そんな基本的なこと、間違えないで下さい。
 確信しました。この人サンダーバードについて何も知りません。それなのに偉そうに語ってるんです。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881698267/episodes/1177354054881698296

 ご覧のように、『世界史概観』と『サンダーバード』を入れ替えただけで、まったく同じ文章です。こんなものを「創作論・評論」だと主張しているのです。
  

Posted by 山本弘 at 14:31Comments(3)作家の日常

2017年05月19日

あなたの知らないマイナー特撮の世界RETURNS

Live Wire 17.5.26(金) なんば紅鶴|山本弘のSF秘密基地LIVE#68
あなたの知らないマイナー特撮の世界RETURNS

 2年前にやった「あなたの知らないマイナー特撮の世界」の続編。これまであまり特撮ファンから注目されてこなかった、怪獣も宇宙人も出てこない特撮映画──特に1930~50年代のクラシックなホラー映画、戦争映画、カタストロフ映画などの中から、今見ても素晴らしい特撮シーンを発掘し、再評価しようという企画です。
 大爆発!
 大地震!
 大火災!
 大洪水!
 そして海戦や空中戦!
 CGもデジタル合成もなかった時代、当時の特撮マンが努力と創意工夫によって創り上げた迫力ある映像、「特撮のオーパーツ」とも言うべき驚異の映像マジックの数々を、たっぷり堪能しましょう。

[出演] 山本弘

[日時] 2017年5月26日(金) 開場・19:00 開始・19:30

[会場] なんば紅鶴(大阪市中央区千日前2-3-9 レジャービル味園2F)南海なんば駅より南海通り東へ180m・駐車場有

[料金] 1500円  
(店内でのご飲食には別途料金がかかります。入場時に別途ワンドリンクをご購入いただきますのでご了承ください)

 ご予約はこちらへ。
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=117117408
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 かなり前から『雨ぞ降る』(1939)の地震と洪水のシーンがすごいとか、『世界大洪水』(1933)のニューヨーク壊滅シーンがすごいとか言い続けてきたんですが、今回はその集大成。


 おもに戦前~1950年代あたりの、とっくに著作権が切れた映画の中から、今見てもすごいと思える特撮を探し出し、楽しもうという企画です。いやー、探してみたら知らなかった映画が次から次に見つかるんですよ。
 よほどの特撮マニアの方でも、「こんなすごい映画があったのか!?」と驚かれるであろう作品もいろいろ。お楽しみに!

  
タグ :特撮映画PR


Posted by 山本弘 at 22:24Comments(1)特撮PR映画

2017年05月19日

「思考盗聴」「集団ストーカー被害」を訴える人たち

 先日、このブログにこんな書きこみがあった。内容があまりにも問題なので、一部を伏字にさせていただいた。

××県××市××町×-××-××-×××に10年前に住んでいた××××の●●●、▲▲▲▲▲、■■■■■と××市××××病院に10年前に×××××科にいた看護婦とその家族に思考盗聴、集団ストーカー、ハイテク兵器で頭に強すぎる電流を流されて頭を締め付けられたり重くされていて苦しいです ■■■■■と同じ×××××の×号棟の×階に住んでいた●●●の妻の家族も共犯者です ▲▲▲▲▲の高校からの友達と彼女が思考盗聴したUSBを持っているらしいです ■■■■■はブレインマシンというので生体電流さえ分かれば誰でも遠隔から思考盗聴できるんやで人を遠隔から操るんやで××からお金をもらってるんやでと音声送信してきます ■■■■■は思考盗聴されないんでしょうか ●●●の今の住んでいる場所や人間関係を調べて下さいその家や車から思考盗聴電波が出ているはずです

 伏字にした箇所は、●●●、▲▲▲▲▲、■■■■■は人名(おそらく家族)、その他の××は地名や建物、会社の名前が入る。検索してみたら、どれも実在のものだった。
 僕が伏字にした理由はお分かりだろう。この文章は実在の人物を中傷しているうえ、その個人情報まで公表するものだったからだ。
 あきれたことに、この書きこみ主、あちこちの掲示板やブログに見境なしにこのコメントを書きこみ続けている。どうやらこの●●●さんとその家族は、この書きこみ主から「思考盗聴、集団ストーカー」とみなされ、もう長いことネットで執拗にいやがらせを受けていたようである。
 苦しみ続けてきたであろう●●●さんたちの心中を察すると、怒りさえこみ上げてくる。

 言うまでもなく、書きこみ主の主張はすべて妄想である。

実は存在しない?幻の集団ストーカーとは
http://tanteitalk.com/stalker/shudan/

>組織ぐるみの犯罪や陰謀などと言われるものが実際に存在することは事実ですし、そうした行いをする組織や団体は確実にあります。

>ただ、それはその相手が組織や集団にとって『重要なターゲット』な場合のみです。
>無作為に相手を選んだり、関係の無い人間にストーカー行為をすることはまずあり得ません。

「監視されている」「他人に心を読まれている」というのは、統合失調症による妄想の典型的な例だ。「電波で攻撃されている」という妄想にしても、ラジオ放送が開始されたころからすでにあったらしい。
 最近は何が違うかというと、そうした「思考盗聴」が科学的に可能だと主張する説が、ネットにはびこっているということである。
 無論、その根拠は、「心を読まれている」と訴えている人の証言だけなのだが。

 ちょっと前にも大阪環状線の天満駅の近くを歩いていたら、駅の近くでデモをやっている集団に遭遇し、こんなチラシを渡された。


 このNPOテクノロジー犯罪ネットワークという団体、作ったのは石橋輝勝という人。この人の著書『武器としての電波の悪用を糾弾する!』は、前に『トンデモ本の世界R』で取り上げたことがある。自分は「全人類の敵」から電波攻撃を受けていると主張する本だった。


 現実に今、科学はどれぐらい進歩しているのか。つい先日、こんなニュースが流れてきた。

思考とマシンをつなぐFacebookの挑戦--人間もアップグレードする時代へ
https://japan.cnet.com/article/35100170/

Facebookの研究部門が、人間とマシンをつなぎ、言葉によらずに意思を伝達する試みを研究しているというものだ。

>「以心伝心」という言葉も連想させるこの研究、ムーンショット(moonshot)の言葉通り、簡単にはうまくいかないけれども挑戦してみるだけの価値のある(技術の)研究ということで、うがった見方をすればFacebookにとってのある種の宣伝、あるいはMark Zuckerbergの道楽と解釈できないこともない。

>また「Building 8ではどのプロジェクトも2年の期限付きで取り組みを進めている」とのことで、この取り組みについても2018年末から2019年の初めころには何らかの成果が発表されるかもしれない。

>(前略)ただし、脳の中の信号を読み取るセンサ類を詰め込んだネットもしくは帽子のようなものは別途必要になるそうなので、そのあたりの実装をどうしてくるのかは気になるところである。

 つまり、脳の中の信号を読み取る技術はまだ研究中であり、可能だとしても、「センサ類を詰め込んだネットもしくは帽子」が必要だということだ。当然だろう。
 たとえば脳波を測定するだけでも、頭部にプローブを取り付ける必要がある。しかも脳波は思考の内容を含んでいないので、脳波だけ調べても心は読めない。脳の中のどの部位がどのように活動しているか知るためには、fMRIか何か、脳の活動状態を外部からモニターする装置が必要だ。
 だから遠く離れた場所にいる人間の思考を読み取ることはまだ無理だし、おそらく将来的にも不可能だと考えられる。

 無論、「集団ストーカー被害者」は、そんな事実を認めないだろう。彼らにとって、自分たちに降りかかっている攻撃はきわめてリアルに感じられ、本物としか思えないからだ。
 そして今、「集団ストーカー」とか「テクノロジー犯罪」で検索すると、彼らの妄想を補強するページが山ほどヒットする。それを読んだ者は「私と同じような攻撃を受けている人はいっぱいいる」「やっぱり妄想なんかじゃなかったんだ」と思いこんでしまうのだ。


 彼らが苦しみから救われる方法はひとつしかない。病院に行くことだ。
 統合失調症は直りにくい病気だが、新薬が次々に開発されていて、症状を抑えることがかなり可能になってきている(人によって効果にはかなり差があるらしいが)。病院に通いながら、薬を飲んで症状を抑え、健康な人と同じように働いている人も多い。
 しかし、ネット上に氾濫する「集団ストーカー」「テクノロジー犯罪」に関する情報は、彼らに「私は精神病ではない」と思いこませる。病院になんか行かなくても、「奴ら」に攻撃をやめさせさえすれば、苦しみから解放されるのだと。
 無論、「奴ら」など実在せず、病院で治療を受けなければ苦しみはいつまでも続くのだが。

 僕は「集団ストーカー被害者」の訴えはすべて妄想だと思う。
 その一方、先の●●●さんの一家のように、「集団ストーカー被害者」から被害者を受けている人は実在する。
 そうした被害は時として最悪の事態に発展することもある。2015年の淡路島5人殺害事件のように。

http://news.livedoor.com/article/detail/9882871/
http://www.sankei.com/west/news/170208/wst1702080034-n1.html

 こうした悲劇を阻止するには、「集団ストーカー被害」なる妄想が存在することを世間に周知することが一番だと思う。だが、マスコミは精神病に関する話題をタブーにしていて、めったに紹介しようとしない。
 問題が存在していることが世間に知れ渡らない限り、それを解決しようとする動きも起きない。「集団ストーカー被害者」はこれからも苦しみ続けるし、彼らによる殺傷事件もまた起きるに違い。
  


Posted by 山本弘 at 20:30Comments(13)社会問題作家の日常

2017年04月07日

『世にも不思議な怪奇ドラマの世界』発売記念イベント

『世にも不思議な怪奇ドラマの世界』(洋泉社)の発売を記念して、大阪と東京の2箇所でトークイベントをやります。
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Live Wire 17.4.27(木) なんば紅鶴|山本弘のSF秘密基地LIVE#67
山本弘のSF秘密基地LIVE#67
懐かしの海外SFドラマの世界


 今月は『世にも不思議な怪奇ドラマの世界 「ミステリー・ゾーン」「世にも不思議な物語」研究読本』(洋泉社)発売にちなんで、懐かしの海外ドラマの特集です。海外ドラマ研究家の松岡秀治さんをゲストにお招きし、60~70年代、日本のお茶の間のブラウン管を賑わせた海外ドラマの数々、特にSFやファンタジーを中心に語ります。
『ミッション:インポッシブル』の原作の『スパイ大作戦』って、実はけっこうSFだった?
 ジョージ・リーヴス版の『スーパーマン』って、どんな話だったの?
 他にも『ミステリー・ゾーン』はもちろん、『インベーダー』『奥さまは魔女』『タイムトンネル』『原潜シービュー号』などなど、名前だけは有名だけど、内容があまり語られない番組や、『セイント/天国野郎』『スパイのライセンス』『秘密指令S』『CSI』などの中のSF風エピソードについて、思い出を熱く語りまくります。お楽しみに!
 いつもは最終金曜日ですが、今月は最終木曜日です。お間違えなく。


[出演] 山本弘、松岡秀治(海外ドラマ研究家)

[日時] 2017年4月27日(木) 開場・19:00 開始・19:30

[会場] なんば紅鶴(大阪市中央区千日前2-3-9 レジャービル味園2F)南海なんば駅より南海通り東へ180m・駐車場有

[料金] 1500円  
(店内でのご飲食には別途料金がかかります。入場時に別途ワンドリンクをご購入いただきますのでご了承ください)

 ご予約はこちらへ。
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=115433691


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Live Wire 17.5.5(金/祝) 山本弘のSF秘密基地LIVE 東京出張編#5
山本弘のSF秘密基地LIVE 東京出張編#5
怖いこどもの日・『ミステリー・ゾーン』と海外怪奇SFドラマの世界

 いつもは大阪でやっている「山本弘のSF秘密基地LIVE」。今月は東京に出張いたします。
 新刊『世にも不思議な怪奇ドラマの世界』(洋泉社)出版にちなんで、伝説のSF・ホラー・ファンタジー番組『ミステリー・ゾーン』を中心に、懐かしの海外SFドラマの魅力をたっぷりと語ります。お楽しみに。


[出演] 山本弘

[日時] 2017年5月5日(金/祝) 開場・19:00 開始・19:30 (約2時間を予定)

[会場] Live Wire HIGH VOLTAGE CAFE
     東京都新宿区新宿5丁目12-1 新宿氷業ビル3F (1F割烹「いちりん」右階段上がる) (Googleマップ)
    ・都営新宿線「新宿3丁目」駅 C6~8出口から徒歩5分
    ・丸ノ内線・副都心線「新宿3丁目」駅 B2出口から徒歩8分
    ・JR線「新宿」駅 東口から徒歩12分
 
[料金] 1500円 (当日券500円up)

※終演後にフリーフード&フリードリンクの懇親会を開催します(21:00終了予定。出演者は参加できない場合があります)。参加費は3500円です。懇親会参加者には、入場時にウェルカムの1ドリンクをプレゼント。参加希望の方はオプションの「懇親会」の項目を「参加する」に変更してお申し込みください。参加費も一緒にお支払いただきます。
 
※懇親会に参加されない方は、当日受付時に別途1ドリンク代500円が必要となります。(2ドリンク購入の場合は100円引きの900円とお得です)

ご予約はこちらへ
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=115803915
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 二箇所のイベント、ちょっとだけ内容が違います。まあ、喋る内容はだいたい同じなんですが(笑)。
 なんば紅鶴の方のイベントは、今度の本を担当していただいた洋泉社の編集さんに、ジョージ・リーヴス版『スーパーマン』の変なエピソード(「スーパーマン製造機」とか「人間電送機」とか)を語ったら、けっこう受けたんで、イベントで話しても受けるんじゃないかと思ってます。
 あと、『スパイ大作戦』って、実はタイムスリップ起こしたり大地震起こしたり第三次世界大戦起こしたり(もちろんトリックで)、けっこうSF的な話が多かったと思うんですよ。今の『ミッション:インポッシブル』しか知らない人には、かなり意外な話じゃないかと思います。
  
タグ :SFTVドラマPR


Posted by 山本弘 at 19:39Comments(3)SF特撮PR レトロテレビ番組

2017年04月07日

新刊『世にも不思議な怪奇ドラマの世界』


山本 弘 (著), 尾之上 浩司 (監修)
『世にも不思議な怪奇ドラマの世界』
洋泉社 1944円+税


アメリカの伝説のオカルト番組『世にも不思議な物語』と、怪奇・SF・ファンタジーのアンソロジー番組『ミステリー・ゾーン』、日本の人気番組『世にも奇妙な物語』に大きな影響を与えた、伝説の番組を徹底解説したディープなガイドブック!『ミステリー・ゾーン』の未訳短編「家宝の瓶」(The Man in the Bottle)も特別収録!

 こちらも新刊です。前に出した同人誌2冊を合本にしたもの。
 同人誌の原稿を少し書き直すだけでいいかな……と侮ってたんですが、かなり書き直すはめになりました。
 やっばり力を入れたのは『ミステリー・ゾーン』です。近年、昔の外国番組を扱った本やムックはたくさん出てるんですが、『事件記者コルチャック』とかについては詳しく書かれていても、なぜか『ミステリー・ゾーン』の紹介がすっぽり抜けてるんですね。ほんの数行しか触れられていなくて、内容がさっぱり分からない。これじゃ『ミステリー・ゾーン』の素晴らしさがまったく伝わりません。
 本当に面白い番組だったんだから!
 何と言っても注目していただきたいのは脚本。全エピソードの半分以上を書いたクリエイターのロッド・サーリングの才能は言うまでもありませんが、リチャード・マシスン、チャールズ・ボーモント、レイ・ブラッドベリらの書いた話も素晴らしい。もちろん、中には駄作や凡作もありますが、傑作率がきわめて高いんです。
「誰かが何処かで間違えた」「ヒッチハイカー」「めぐりあい」「マネキン」「遠来の客」「No.22の暗示」「亡き母の招き」「消えた少女」「二万フィートの戦慄」などの、ものすごく怖い話。
「過去を求めて」「奇蹟」「トランペットに憑かれた男」「弱き者の聖夜」「縄」「幻の砂丘」などの泣ける人情話。
「奇妙な奈落」「みにくい顔」「合成人間の家」「生きている仮面」などの、ラストがショッキングな話。
「疑惑」「悪意の果て」「日本軍の洞窟」「暗黒の死刑台」などの、強い問題提起を含んだ話。
 第3シーズンの「到着」「生と死の世界」「遠い道」「栄光の報酬」「鏡」「墓」「子供の世界」「亡霊裁判」「狂った太陽」なんて並びは傑作ぞろいで、もう神がかってますね。
 この本では、それらのエピソードをすべて解説しています。
 あと、スタッフの紹介。脚本家陣だけじゃなく、演出家もすごい人が揃ってたんですよ。ドン・シーゲル、バズ・キューリック、リチャード・C・サラフィアン、ジャック・スマイト、ボリス・セーガル、リチャード・ドナー……『遊星よりの物体X』や『宇宙水爆戦』の監督までいたとは、調べてみるまで気がつきませんでした。
 本国での放映日はもちろん、日本での放映日のリストも掲載。だいぶ前に『宇宙船』にも載ってたんですが、間違いだらけで使いものにならなかったんで、新たに調べ直しました。原作のあるエピソードについては、原作のリストもつけました。

 もちろん『ミステリー・ゾーン』だけじゃなく、『世にも不思議な物語』も全エピソードを解説しています。
 データ面はもちろん、僕の評論「僕らはみんなメープル通りに住んでいる」も掲載。あと、レノア・ブレッソンの『世にも不思議な物語』やJ・マイケル・ストラジンスキーの『新トワイライトゾーン』を訳された尾之上浩司さんには、未訳のノヴェライズ「家宝の瓶」を訳していただきました。
 これ一冊あれば、『世にも不思議な物語』と『ミステリー・ゾーン』はほぼ網羅できると自負しております。これからDVDを買われる方のガイドブックとしても最適です。
 半世紀以上前にこんな素晴らしい番組があったことを、多くの人に知っていただければと思います。


   


Posted by 山本弘 at 19:09Comments(2)SF特撮PR レトロテレビ番組

2017年04月07日

『僕の光輝く世界』文庫化



【人気ミステリー作家絶賛!】
消失少女、突然変貌する世界、幽霊殺人事件……見えないのに視える!?
前代未聞、想像力探偵誕生! 視覚を失った男子と仮想美少女が織りなす、青春恋愛「本格」ミステリー。
魅力全開の謎-辻真先(作家)
すべてが最上級-黒田研二(作家)
不思議な読み味-青柳碧人(作家)

気弱なオタク男子、光輝は進学先の高校でもいじめられ、あげくに橋から突き落とされる。搬送先の病院で絶世の美少女と運命の出会いを遂げた、と思いきや、実は既に失明してしまっていた。美少女は果たして妄想なのか実在なのか……視覚を失った少年が、想像力を駆使して奇妙な謎と格闘する不思議ミステリー。

 すみません。このブログで告知するのを忘れておりました。3年前に出た『僕の光輝く世界』が文庫になりました。
 内容の紹介はこちらです。

http://kokorohaitsumo15sai.la.coocan.jp/bokunohikarikagayaku.html

【人気ミステリー作家絶賛!】というコピーは誇張じゃありません。今回、何より嬉しかったのは、敬愛する辻真先先生に解説を書いていただいたことです。
 そもそも、3年前に単行本が出た時、ほとんどの雑誌(ミステリ雑誌も含む)の書評から無視されてたんですよね。たぶん、僕が普段、ミステリを書いていないからでしょうけど。
 ほとんど唯一の例外が、『本格ミステリー・ワールド2015』(南雲堂)というムックの「読者に勧める黄金の本格ミステリー!」というページ。そこで辻真先さんと二階堂黎人さんが二重丸をつけてくださったんです。辻先生なんて、40本以上の候補の中から、二重丸ついてたのが『僕の光輝く世界』だけなんですよ。




 そもそも僕が小説家・辻真先の作品にハマったのは、10代の頃に読んだ『仮題・中学殺人事件』。今で言うメタミステリなんですけど、70年代当時、こんな趣向の小説なんて読んだことなくて、興奮したもんであります。


 この後も『盗作・高校殺人事件』『改訂・受験殺人事件 』、特撮ヒーロー番組の撮影中に事件が起きる『SFドラマ殺人事件』、アニメ界を舞台にした『TVアニメ殺人事件』、自主制作特撮映画を扱った『宇宙戦艦富嶽殺人事件』などを読みふけりました。今でこそそんなオタク的な題材を扱った小説なんて珍しくもないですが、辻先生のセンスは時代をはるかに先取りしていました。
 いちばん好きなのが『アリスの国の殺人』。主人公が『不思議の国のアリス』を愛するロリコンなんですが、現実世界の殺人事件と同時に、主人公の見る夢の中のファンタジー世界でも殺人事件が起きるんです。夢の中の殺人のトリックなんてどうやって解明するんだと思ってたら、ちゃんとファンタジー世界の論理で解明される! これはひっくり返りましたね。日本推理作家協会賞受賞も当然かなと。


 実はこの『僕の光輝く世界』は、『アリスの国の殺人』のオマージュとして書いています。特に第4話「幽霊はわらべ歌をささやく」は、現実世界と主人公が読むミステリ小説の中で並行して殺人事件が起き、それぞれ現実の論理とミステリ世界の論理で解明されるという話。
 ですから、その作品の解説を辻先生に書いていただけるなんて、本当に光栄でした。
 変わった趣向のミステリが読みたいという方、ぜひお読みください。
  


Posted by 山本弘 at 17:56Comments(4)

2017年03月06日

中学生の6割は「月は西からのぼる」と信じている。(3)

 他にもいくつか、ニセ科学関係の質問をした。

15. タバコをたくさん吸う人は肺がんになりやすい。
(回答者数387人)
信じている   301人(77.8%)
やや信じている43人(11.1%)
知らない・わからない 28人(7.2%)
やや疑っている8人(2.1%)
信じない   7人(1.8%)

 これ、実は武田邦彦教授(医学は専門ではない)が唱えるニセ科学「タバコ無害論」に関する質問である。NATROMさん(本物の内科医である)がきちんと反論しているので参照されたい。

「喫煙率が下がると肺がん死が増える」のはなぜか?
http://blogos.com/article/34288/

 こちらは村上義孝氏(保健学博士)による解説。

グラフによれば、たばこは無害?
http://www.asahi.com/articles/SDI201512104752.html
「たばこは有害」示したコホート研究
http://www.asahi.com/articles/SDI201512246051.html

 こんな珍説を信じたら、若い頃からタバコを吸いまくって、肺がんで死ぬ確率を増やしてしまうかもしれない。そう警戒してアンケートの中に入れたのだが、幸い、ほとんど浸透していないようなので、ほっとした。
「やや疑っている」「信じない」15人の子供については、きちんと指導する必要があるだろうが。


17. 血液型でその人の性格がわかる。
(回答者数387人)
信じている  107人(27.6%)
やや信じている83人(21.4%)
知らない・わからない 52人(13.4%)
やや疑っている49人(12.7%)
信じない    96人(24.8%)

 日本におけるニセ科学の定番、血液型性格判断。心理学者の研究によって否定されていることはかなり知られてきたはずなんだけど、それでも根強い人気があることが分かる。

19. 超能力は存在する。
(回答者数388人)
信じている  108人(27.8%)
やや信じている75人(19.3%)
知らない・わからない 74人(19.0%)
やや疑っている51人(13.1%)
信じない    80人(20.6%)

「超能力は存在する」というのは、ちょっと曖昧な質問である。というのも、世の中には、エコロケーションのように視覚に頼らずに周囲のものを知覚する能力を「超能力」と言ってしまう人や、ブレイン・マシン・インターフェースのことを「念力」と呼んでしまう人もいるからである。さすがに科学的に根拠のあることを「超能力」と呼ぶのは、拡大解釈のしすぎだと思う。厳密なアンケートにするには、「超能力」の定義を明らかにする必要があるだろう。
 そこで、一般に「超能力」と見なされているいくつかの事例についても質問した。

18. 人間の体から出ている「オーラ」を見ることのできる人がいる。
(回答者数386人)
信じている  79人(20.5%)
やや信じている55人(14.2%)
知らない・わからない 93人(24.1%)
やや疑っている54人(14.0%)
信じない  105人(27.2%)

11. 地震が起きることをふしぎな力で予知できる人がいる。
(回答者数386人)
信じている   78人(20.2%)
やや信じている58人(15.0%)
知らない・わからない 87人(25.5)
やや疑っている52人(13.5%)
信じない  111人(28.8%)

22. 超能力者は行方不明の人を見つけるのに役立っている。
(回答者数385人)
信じている  103人(26.8%)
やや信じている50人(13.0%)
知らない・わからない 108人(28.1%)
やや疑っている40人(10.4%)
信じない   84人(20.8%)

「オーラ」と「地震予知」のパーセンテージはほぼ同じ。超能力者による行方不明者探しは、それらより信じられている率がやや高いようだ。『TVのチカラ』も『FBI超能力捜査官』も、もう放送終了して何年にもなるのだが、まだ断続的に放送されているその手の類似番組の影響だろうか。

 さらにこんな質問も。

26. ピラミッドは宇宙人が作った。
(回答者数384人)
信じている   39人(10.2%)
やや信じている19人(4.9%)
知らない・わからない 100人(26.0%)
やや疑っている46人(12.0%)
信じない   180人(46.9%)

 1970年代に流行った話だが、今ではあまり信じられていないようである。

27. 太平洋には「ムー大陸」が存在した。
(回答者数386人)
信じている  62人(16.1%)
やや信じている24人(6.2%)
知らない・わからない 219人(56.7%)
やや疑っている30人(7.7%)
信じない    51人(13.2%)

「ムー大陸」の「知らない・わからない」の数字の大きさは異常である。すべての質問項目の中で最高値なのだ。最近の子供は聞いたことがないのかな……と思ったが、そうでもないようだ。

28. バミューダ海域では船や飛行機が消滅することがよくある。
(回答者数387人)
信じている  106人(27.4%)
やや信じている35人(9.0%)
知らない・わからない 179人(46.3%)
やや疑っている23人(5.9%)
信じない   44人(11.4%)

 バミューダ・トライアングルを信じてる子供がけっこう多い! これは意外だった。てっきり時代遅れのネタだと思っていたのだが。

 こういう調査、できればもっと詳しいデータが欲しい。中学生だけでなく、ぜひ高校生、大学生、社会人についてもやってほしいと願っている。
 いくつかの項目については、大人でも中学生と大差ない結果が出るのではないか予想している。

 参考資料。
 2010年、長崎大学で行われた科学リテラシー実態調査。
http://tech.edu.nagasaki-u.ac.jp/muto/ps_questionnaires.html
  

Posted by 山本弘 at 18:28Comments(18)サイエンスオカルト

2017年03月06日

中学生の6割は「月は西からのぼる」と信じている。(2)

7. 彗星は夜空を一瞬だけ流れて消える。
(回答者数 384人)
信じている   97人(25.3%)
やや信じている 51人(13.2%)
知らない・わからない153人(39.8%)
やや疑っている 26人(6.8%)
信じない    57人(14.8%)

 僕がこの質問を思いついたきっかけは、前に『トンデモ本の世界T』で紹介した妻のエピソードである。

> 僕の妻がまだ勤めていた時のこと。百武彗星がやって来たのだが、妻がそれを職場で話題にして、「今度の彗星って、ひと晩じゅう見えてるんやて」と言うと、その場にいた同僚たちが全員、「えっ、彗星って一瞬だけ流れるもんとちゃうの?」と驚いたという。みんな、彗星と流星の区別がついていなかったのだ。

 大人でも彗星と流星の区別のつかない人が多い。だったら中学生なら……と思ったら案の定で、1/3以上が「彗星は夜空を一瞬だけ流れて消える」と信じていた。それに対し、「やや疑っている」「信じない」子供の少ないこと!

8. 人工衛星が落ちてこないのは高すぎて地球の引力が届かないから。
(回答者数388人)
信じている   98人(25.3%)
やや信じている 53人(13.7%)
知らない・わからない157人(40.1%)
やや疑っている 28人(7.2%)
信じない    52人(13.4%)

 7とほとんど同じ結果になった。
 この質問は僕の高校時代(1973~74年ごろ)のエピソードがヒント。当時、アポロ計画が終了し、スカイラブ計画がスタートしていた。アポロを打ち上げたサターンⅤ型ロケットを改造した宇宙ステーション「スカイラブ」が打ち上げられていて、その内部の模様──無重力状態でふわふわ浮かんでいる宇宙飛行士の姿が、よくテレビで紹介されていた。
 その頃、工業高校の物理の時間に、教師がこう言ったのである。
「宇宙に行くと無重力になるやろ? あれは地球の引力が届かへんほど遠くまで行ったからや」
 僕はびっくりした。教師、それも物理の教師がこんなデタラメなことを言うなんて!
 でも、さすがに授業中に立ち上がって教師に抗議をするほどの度胸はなかった。そこで授業が終わるとすぐ教室を飛び出し、廊下を歩いていた教師をつかまえて、「自由落下」というものについて教えてやった。
 そもそも学校で使われている物理の教科書には、「引力は無限遠まで届く」とはっきり書いてある。「引力は距離の2乗に反比例して減少する」とも。
 地球の中心から地表までの距離は6378km。つまり地表から高度6378kmまで上昇すれば、地球の中心からの距離は2倍になり、引力は1/4になる。
 しかし、スカイラブが回っている高度は約440km。つまり地球の中心からの距離の1.1倍もない。その地点での引力の強さは、地表の引力とほとんど変わらないのである。
「引力は無限遠まで届く」「引力は距離の2乗に反比例して減少する」──こんなことは教師も当然、知っていたはずだ。だが、その知識を現実の人工衛星や宇宙ステーションにあてはめて考えることができなかったのだ。
 理科の知識は「知っている」だけではだめなのだ。その意味を理解していないと。

9. 恐竜が地上で栄えていたころ、人類はまだ存在しなかった。
(回答者数388人)
信じている   193人(49.7%)
やや信じている 50人(12.9%)
知らない・わからない65人(16.8%)
やや疑っている 40人(10.3%)
信じない    36人(7.4%)

 この質問については、アンケートを配布した後で、「まずかった」と気がついた。最近の学説では、「鳥は恐竜の一種」という説が有力になってきているのだ。恐竜は滅びたのではなく、鳥として今でも生き残っていると。だからそこまで知っている子供なら、今でも恐竜が栄えていると解釈し、「信じない」と答えるかもしれない。
 もっとも、結果はご覧通り、「信じない」子は7.4%。何にしてもそんなに多くない数字だった。



12. 50年前に比べて、日本の少年犯罪は大幅に増えている。
(回答者数385人)
信じている  145人(37.7%)
やや信じている76人(19.7%)
知らない・わからない  125人(32.5%)
やや疑っている14人(3.6%)
信じない   25人(6.5%)

 さあ、これも問題だ。少年犯罪が大幅に増えていると信じている子供が6割近くもいる! 「やや疑っている」「信じない」子供は約1割。
 データを見れば一発で嘘だって分かるんだけど。

http://kogoroy.tripod.com/hanzai.html
http://kangaeru.s59.xrea.com/G-Satujin.htm

 もちろんこんなことは学校では教えないはずなのだが、子供たちはどこで信じこまされたのだろうか?
 やはり「最近の子供は荒れている」といった言説があまりにもまかり通っているので、自然に「昔の方が犯罪は少なかった」と錯覚するようになったのかもしれない。

 他にも『ニセ科学を10倍楽しむ本』で取り上げたニセ科学について、いくつか質問してみた。

10. 大きな地震が起きる前には「地震雲」が発生する。
(回答者数385人)
信じている   95人(24.6%)
やや信じている55人(14.3%)
知らない・わからない  145人(37.7%)
やや疑っている34人(8.8%)
信じない   56人(14.5%)

 信じている子供が多いのではないかと予想していたのだが、最も多かったのは「知らない・わからない」で、思ったほど多くはなかった。でも、やはり4割近い子が信じているのは、やや問題かもしれない。

13. マイナスイオンは健康にいい。
(回答者数387人)
信じている   126人(32.6%)
やや信じている55人(14.2%)
知らない・わからない 143人(37.0%)
やや疑っている33人(8.5%)
信じない   30人(7.6%)

 マイナスイオンブームなんてとっくに終わってるから、信じている子供は少ないかと思っていたのだが、なかなかどうして。まだかなり信じられている。

14. 水素水は健康にいい。
(回答者数387)
信じている   128人(33.1%)
やや信じている57人(14.7%)
知らない・わからない 101人(26.1%)
やや疑っている40人(10.3%)
信じない   61人(15.8%)

 マイナスイオンと水素水、あまり違わない結果だった。

16. ゲームをやりすぎると「ゲーム脳」になる。
(回答者数386人)
信じている  118人(30.6%)
やや信じている 66人(17.1%)
知らない・わからない 117人(30.3%)
やや疑っている31人(8.3%)
信じない   54人(14.0%)

 あれだけ批判を受けたのに、まだ子供たちにはニセ科学だということがあまり浸透していない印象である。今でも親が「ゲームをやりすぎるとゲーム脳になるよ」と脅しているのかもしれない。

25. 水に「ありがとう」と声をかけるときれいな結晶ができる。
(回答者数387人)
信じている    100人(25.8%)
やや信じている  29人(7.5%)
知らない・わからない 94人(24.3%)
やや疑っている  34人(8.8%)
信じない     134人(34.6%)

 これも驚きだった。『ニセ科学を10倍楽しむ本』でも書いたけど、2006年の時点で『水からの伝言』は激しい批判を受け、TOSSランドからもリンクはすべて削除された。今、日本の小中学校で『水からの伝言』を授業に使っているところはほとんどないはずなのである。(この箕面市の2つの中学でも使われていないという)
 それでもまだ約1/3の子供が信じている。
 考えてみれば、『水からの伝言』は世界75カ国で出版され、シリーズ累計250万部以上というベストセラーだ。まだ日本のあちこちに何万人もの信者がいて、こっそり広め続けているのかもしれない。
  
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Posted by 山本弘 at 18:17Comments(15)サイエンスオカルト

2017年03月06日

中学生の6割は「月は西からのぼる」と信じている。(1)

 先月、大阪府箕面市の第3中学と第4中学で、ニセ科学についての講演をしてきた。

 もともと「箕面・世界子どもの本アカデミー賞」というイベントがあって、僕の書いた『ニセ科学を10倍楽しむ本』(筑摩書房)がヤングアダルト作品賞(中学生対象)部門でノミネートされていたのである。

https://www.city.minoh.lg.jp/library/katsudou/academy/academy2016.html

 僕の本は受賞しなかったんだけど、その代わり、受賞者やノミネートされた作家を招いて小学校や中学校で講演してもらうオーサービジットという制度があり、それに招かれて2つの中学で講演させていただいたわけである。
 僕はいいチャンスだと思った。この機会に、中学生の間にどれぐらいニセ科学が浸透しているか調査してみようと。
 そこで先生方や中央図書館のスタッフの方にご協力をいただき、こんなアンケートを配って、事前に子供たちに記入してもらった。


-------------------------
科学に関する意識調査
  年  組
 以下の質問に対し、「信じている」「やや信じている」「知らない・わからない」「やや疑っている」「信じない」の5つから、あなたにあてはまるものに〇をつけてください。
 これはテストではありませんので、名前を書く必要はありません。正解かどうかを気にせず、あなたの信じていることを素直に書いてください。「地震雲」「ゲーム脳」「水素水」「ムー大陸」といった言葉を知らない場合は、Cの「知らない・わからない」に〇をつけてください。わからなくても、答えを書きこむ前にインターネットなどで正解を調べないでください。
A信じている Bやや信じている C知らない・わからない Dやや疑っている E信じない

1. 地球は太陽の周囲を回っている。A B C D E
2. 太陽は東からのぼり、月は西からのぼる。A B C D E
3. 月の表面には呼吸できるような空気はない。A B C D E
4. 月の表面は無重力である。   A B C D E
5. かつてアメリカの宇宙飛行士が月面に立ったことがある。A B C D E
6. カーナビなどに使われているGPSは、月面でも使える。A B C D E
7. 彗星は夜空を一瞬だけ流れて消える。   A B C D E
8. 人工衛星が落ちてこないのは高すぎて地球の引力が届かないから。A B C D E
9. 恐竜が地上で栄えていたころ、人類はまだ存在しなかった。A B C D E
10. 大きな地震が起きる前には「地震雲」が発生する。A B C D E
11. 地震が起きることをふしぎな力で予知できる人がいる。A B C D E
12. 50年前に比べて、日本の少年犯罪は大幅に増えている。A B C D E
13. マイナスイオンは健康にいい。   A B C D E
14. 水素水は健康にいい。   A B C D E
15. タバコをたくさん吸う人は肺がんになりやすい。A B C D E
16. ゲームをやりすぎると「ゲーム脳」になる。A B C D E
17. 血液型でその人の性格がわかる。A B C D E
18. 人間の体から出ている「オーラ」を見ることのできる人がいる。A B C D E
19. 超能力は存在する。A B C D E
20. 幽霊は存在する。   A B C D E
21. 人は死ぬと生まれ変わる。A B C D E
22. 超能力者は行方不明の人を見つけるのに役立っている。A B C D E
23. UFOには宇宙人が乗っている。   A B C D E
24. 微生物の力で放射能を消すことができる。A B C D E
25. 水に「ありがとう」と声をかけるときれいな結晶ができる。A B C D E
26. ピラミッドは宇宙人が作った。A B C D E
27. 太平洋には「ムー大陸」が存在した。A B C D E
28. バミューダ海域では船や飛行機が消滅することがよくある。A B C D E
---------------------------------

 両校の校長先生に許可を得たので、その結果の一部を発表したい。なお、人数は2つの中学の回答者を合わせたものである。
 最初の方の問題は、ニセ科学そのものではなく、基本的な科学知識を問うものだった。中学生にはどれぐらいの科学知識があるのか、まず知っておこうと思ったのだ。
 いや、この結果には驚いた。


1.地球は太陽の周囲を回っている。
(回答者数 387人)
信じている   275人(71.1%) 
やや信じている 43人(11.1%)
知らない・わからない 37人(9.6%)
やや疑っている 8人(2.1%)
信じない    24人(6.2%)

 この質問はほぼ100%の子供が正解するはずだと信じていた。地球が太陽の周囲を回ってるなんて常識だからと。
 そうじゃなかった。地球が太陽の周囲を回っていることは信じない子供が24人、6.2%もいたのだ! 「やや疑っている子」が2.1%、「知らない・わからない」子が9.6%。逆に「信じている」「やや信じている」子供は合計で82.2%でしかない。

 だが、これはまだ序の口だった。


2. 太陽は東からのぼり、月は西からのぼる。
(回答者数 388人)
信じている   177人(45.6%)
やや信じている 55人(14.2%)
知らない・わからない 83人(21.4%)
やや疑っている 11人(28.4%)
信じない    62人(16.0%)

 なんと約6割の子供が「月は西からのぼる」と信じているのだ! 「知らない・わからない」子も21.4%。はっきり「信じない」と答えた子は16.0%でしかなかった。
 ふざけてわざと間違ったことを書いた子がいたのかなとも疑ったが、さすがにふざける子供が6割もいたというのは、逆に信じがたい。この後のアンケート結果を見ても、だいたい子供の科学知識はこれぐらいだろうという気がするのだ。

 それで思い出したのは、小学校では地動説を教えておらず、地動説を元にした回答すると×をつけられるという話。

小3「まだ習ってない地球の自転の事をテストに書いたらバツをつけられた」
https://togetter.com/li/1060728

 学習したことを書かなくてはいけない……というんだけど、おそらくこの生徒はすでに地球が自転していることで見かけ上、太陽が天球上を移動していることを知っているんだから、それは「よく知ってるね」と褒めなくちゃいけないんじゃない?
 他にも似た体験をした人が何人も。

>当方成人ですが小学生の頃に実際にこの画像とまったく同じ問題でまったく同じ理由で✕をつけられたことがあります。10数年の間に教育は進歩していなく、カリキュラムや教師の都合に捕われて本質を見誤っているのを改めて感じました。

>こんにちは。私も小学校2年か3年生の時に同じ答えで×をもらい、しかも担任に全員の前で「地球が回るからって書いた人がいるんだよ、ははは」みたいな感じで言われた記憶がたった今蘇りました。

>僕の親父が小学生のころ、塩酸をかけたときに二酸化炭素を発生するもので炭酸水素ナトリウムと答えバツを貰ったという話を思い出しました(-_-;)(模範解答は貝殻とか卵の殻

>私も過去に水の体積は変わるのか?という設問に(温度によって膨張するから)変わると回答したら、習っていなく圧力による変化はない為×にされました。
>これもそうですが、太陽が動くからという言葉が記憶に残ってしまうとのちに混乱を起こす引き金になりかねないですよね。

>僕は小1の頃小数点を習っていない
>という理由で
>線の長さを定規で測ってみよう
>というプリントの答えに
>「1,2cm」と書いたら×をで
>「1cmとちょっと」と書いた友人が
>○を貰っていたことを今も根にもっていますw

「掛け算順序問題」とかもそうだけど、学校の役目は子供に正しい知識を伝えることのはず。正しいことを書いた子供に×をつけるなんて本末転倒だ。


3. 月の表面には呼吸できるような空気はない。
(回答者数 385人)
信じている  178人(46.2%)
やや信じている51人(13.2%)
知らない・わからない  103人(26.8%)
やや疑っている24人(6.2%)
信じない   29人(7.5%)

 こっちは逆に正解者が6割。先の答えを見た後では、少しほっとする。ふざけている子供が6割もいたなら、この設問も正解率が低くなるはずではないか?
 それでも「信じない」子供が7.5%というのは、やや不安になる数字なんだけど。

4. 月の表面は無重力である。
(回答者数 386人)
信じている   147人(38.1%)
やや信じている 53人(13.7%)
知らない・わからない 76人(19.7%)
やや疑っている 21人(5.4%)
信じない   89人(23.1%)

 さあ、これも驚きだ! 月の表面が無重力だと「信じている」「やや信じている」子供が約半数もいる!
 宇宙飛行士が月面に立っている映像や、月面車で走り回っている動画を見たことないのだろうか。あるいは、地球の1/6の重力しかないことを「無重力」と呼ぶと勘違いしているとか?

「今の中学生はこんなことも知らないのか!?」と早とちりしないでいただきたい。僕がこの質問を思いついたのは、前にブログでこんなことを書いたからである。


「月をなめるな」
http://hirorin.otaden.jp/e31205.html

アポロ陰謀論とかいう以前に
http://hirorin.otaden.jp/e50099.html

 いい歳をした大人でも、月面が無重力だとか、空気があるとか、月と太陽が同じものだと思っている人がいる。だったら中学生でも「月面は無重力」と思っている子が多いんじゃないかとにらんだのだ。
 僕の予想通りだったが、それでもこんなに多いとは思わなかった。

5. かつてアメリカの宇宙飛行士が月面に立ったことがある。
(回答者数 386人)
信じている   249人(64.5%)
やや信じている 45人(11.7%)
知らない・わからない 62人(16.1%)
やや疑っている 17人(4.4%)
信じない    13人(3.4%)

 これはストレートにアポロ陰謀説についての質問。これも信じてる子が多いんじゃないかと予想したのだが、意外に少なくてほっとした。
 考えてみれば、前にアポロ陰謀説が流行ったのは2002~2003年ごろ。今の中学生には生まれる前の話なんで知らないのかもしれない。(つづく)

  
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Posted by 山本弘 at 18:00Comments(10)サイエンスオカルト

2017年03月06日

LiveWire:またしてもニセ科学を楽しもう!

山本弘のSF秘密基地LIVE#66
またしてもニセ科学を楽しもう!



『ニセ科学を10倍楽しむ本』(楽工社/ちくま文庫)出版からもう7年。ニセ科学はいっこうに衰退する様子はなく、また新たなニセ科学がいくつも台頭してきています
 今、どんなニセ科学が流行っているのか?
 どこがどう間違っているのか?
 そして、小中学校の理科を知っていれば見破れる程度のウソに、なぜ多くの人があっさり騙されてしまうのか?
 ニセ科学の現状に触れるとともに、それらから目を背けるんじゃなく、そのバカバカしさを笑って楽しんじゃおうという企画です。ニセ科学に毒される前のワクチンとして、ぜひ聞きに来てください。


[出演] 山本弘

[日時] 2017年3月24日(金) 開場・19:00 開始・19:30

[会場] なんば紅鶴(大阪市中央区千日前2-3-9 レジャービル味園2F)南海なんば駅より南海通り東へ180m・駐車場有

[料金] 1500円  
(店内でのご飲食には別途料金がかかります。入場時に別途ワンドリンクをご購入いただきますのでご了承ください)

ご予約はこちらに
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=114140246
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 こちらはいつものLiveWire。今回は久しぶりにニセ科学を取り上げます。
『ニセ科学を10倍楽しむ本』を書いた後も、いっこうにニセ科学は廃れません。それどころか、EM菌、ナノ銀除染、親学、誕生学などなど、政治や教育の世界にまではびこっているニセ科学もいろいろ。江戸しぐさのような「ニセ歴史」も台頭してきています。
 そういうものを「興味がない」「分からない」と無視するのはきわめて危険。でも、「論破するには深い専門知識が必要なんじゃない?」としりごみする必要もありません。ニセ科学・ニセ歴史の多くは、小中学校程度の知識があれば間違いと分かるもの、「そんなアホな!」と笑って楽しめるものばかりですから。
 むしろ、何でそんなものに騙される人がいるの? という点を問いたいと思います。また、中学生へのアンケート調査の結果を通じて、ニセ科学が若者たちの間にどれだけ浸透しているかも紹介します。
 小難しい理屈は抜き、笑って楽しめる企画です。気軽な気持ちでお越しください。
  
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