2018年04月23日

オタク差別は消滅しつつある

 菅野完とか野間易通といった人たちの主張がどれほどデタラメで現実からかけ離れているかというのは、前にも書いたんだけど、

ムー愛読者はと学会を経てネトウヨになる?
http://togetter.com/li/721401

 またひどいデタラメを言いはじめた。

しばき隊「『宮崎勤の事件のときにオタクは差別を受けた』という偽史をなんとかしないとどうにもならないね、これ」
https://togetter.com/li/1219626

「オタク差別など今も昔も存在しない」といういつもの話
https://togetter.com/li/1219654

@scarecrow_1911e C.R.A.C.は反レイシズム運動の団体ですから、おもに人種差別や民族差別を扱います。生活に根ざしたさまざまな差別(セクシャル・マイノリティ差別、職業差別、部落差別、女性差別など)にも関心を持ちますが、「オタク差別」などというものはありませんので関心外です。

偏見はあったと思いますが、それは別に差別ではないです。さらに当時は実写のロリコン写真集やビデオがたくさんあり、そうしたものを集めている人への恐怖心は十分理由があることだと思いますよ(これは今のロリペド・オタクも同じです)。「オタク差別」として被害者面で語ってよいことではない。

@rem3545 お前の中でも同じはず。それともお前の中では「オタクであることで就職できなかったりアパート借りれなかったりレストランでオタク席に座らされたり断種されたりリンチされて木から吊り下げられたり」してるのかな? それゲームじゃね?


 僕はこの文章を目にした瞬間。「あ、この人は自分を落とすでかい落とし穴を掘っちゃったことに気づいてない」と思った。
 たとえば今の日本では、女性だからというだけの理由でリンチされて木から吊り下げられた人などいないはず。
 同じく、レストランで在日コリアン席に座らされたり、断種されたりされたりした人もいないだろう。
 つまり彼らの論法に従い、「就職できなかったりアパート借りれなかったりレストランでオタク席に座らされたり断種されたりリンチされて木から吊り下げられたり」なんてものを基準にしたら、女性差別や在日差別、部落差別なんかも差別ではないことになるのだ。被害者が「私はこんな差別を受けました」と訴えても無駄である。「それがどうした? そんなの俺の基準では差別とは認めない」と言い切ってしまえるのだから。
 彼らにとっては、自分たちの嫌いなオタクを貶めるのが優先課題であり、そのためには自分たちの掲げる反差別思想までも無視することを厭わないのである。

江戸時代のキリシタンみたいに磔にされて火であぶられてもオタクを貫くなんて人はいないと思います。自民党に投票して表現規制されても、政府が言うのだからしょうがないとか言う人ばっかりですよね笑 まあそれでいいんですよ。たかが趣味嗜好ですから。

@romsenzzz @rem3545 勝手に定義付けてないです。「差別」は生得的、あるいは変えがたい属性を持つ少数者集団あるいは弱者集団が社会的に排除され、あるいは一方的な不利益を蒙ることを言います。オタクには関係のない話です。


 彼らはオタクではないから、オタクは「たかが趣味嗜好」であり、「変えがたい属性」を持たないと思いこんでいる。「オタクをやめろ」「アニメなんか観るな」「フィギュアなんか捨てろ」とか言われたら、それに従うのは簡単だと信じている。権力者から表現規制されても「しょうがない」と安易に従うに違いないと。
 それらがどれほどの心の痛みを伴うのかを理解できない。
 東京都の「非実在青少年規制」に際して、僕らがどれほど激しい反対運動を繰り広げたか知りもしない。

(僕も寄稿してます。反対集会にも行ってきた)

 すでにツイッター上では、80年代末にオタクがどんな偏見にさらされていたか、思い出話を書いている人が多い。僕もそれに加わらせてもらう。
 もっとも、宮崎勤が逮捕された1989年頃、僕はすでに実家を出て自活していたので、家族から何かを言われた記憶はない。
 また、グループSNEに就職し、テーブルトークRPGという、いわばオタクの最先端的な仕事に従事していたから、職場で差別にあったこともない。
 しかし、80年代後半に世間のオタク蔑視が強まってきたこと、宮崎勤事件をきっかけにそれが一挙に噴出したことは覚えている。
 当時、僕が出していた同人誌『ソードマスター』の5号(1989年12月24日発行)に載せたエッセイから、当時の状況が分かる箇所を引用したい。

 先日、NHKで高校生ビデオ・コンクールとやらいう番組をやっていた。
 その中の一本、確か「高校三国志」といったタイトルだったと思うが、暗い若者を糾弾する内容のものがあった。
 画面に出てきたのはいかにもブサイクな若者で、カメラはその顔を横からのドアップで撮っている。室内にはアニメのポスターがべたべた貼られ、ビデオが散乱し、いかにも汚い。おまけに光量が少なく、画面は薄暗い。
 その男はアニメマニアでパソコンマニアという設定。「自分が好きなものに熱中してるんだから、人からとやかく言われる筋合いはない」といった意味のことをぼそぼそ喋り、インタビューを拒絶してパソコン・ゲームに熱中する。(台詞に不自然な点が多かったので、ヤラセかもしれない)
 一方、スポーツマン・タイプの若者が画面に現われ、それを批判する。「やっぱり若者ならスポーツとかで明るい青春をエンジョイすべきだ」とか何とか。こちらはいかにもハンサムで、真正面からバストサイズで撮られている。背景は白く、画面も明るい。喋り方もはきはきしている。
 このビデオを見たスタジオの女の子の感想は――
「キモチワルイ!」
 そりゃ気持ち悪いでしょうよ。わざと気持ち悪い奴を選んで、気持ち悪いアングル、気持ち悪い照明、気持ち悪い演出で撮ってるんだから。
 このビデオを撮った高校生監督の弁によれば、「いわゆるオタクと呼ばれる連中は気持ち悪くて嫌いだと前から思っていたので、それをみんなに分かって欲しくて撮った」と言っていた。
 要するにこの監督の頭の中には、「ゲームやアニメなんかに熱中している連中は気持ち悪い」という先入観がまずあり、そのイメージを具象化したにすぎないのだ。実際にゲームファンやアニメファンの実態を探ろうという意図は、さらさらなかったのである。
 確かにその若さで的確な演出技法を身につけているのは認めよう。だが、これはすでにドキュメンタリーではない
 ちなみにこの作品は宮崎逮捕の前に制作されたものだという。


 そう、あの頃はNHKがテレビでオタクを「キモチワルイ!」と嘲笑していた。それが当たり前で、普通に許されていた時代だったのだ。

 あれから30年近く、時代は変わった。特に一般人のオタクに対する感覚は、かなり変わったことを実感している。
 アメリカでも『ゲームウォーズ』なんてものすごくオタク的な小説が売れ、それがさらに映画化されて大ヒットしているが、日本でもオタク要素の濃い作品が普通に受け入れられている。
『ヲタクに恋は難しい』というアニメ(原作も読んでるけど)なんかも、かなり感心して観ている。オタクのキャラクターが出てくるアニメはこれまでたくさんあったけど、その言動は大げさに戯画化されているのが普通だった。しかしこのアニメでは、オタクの男女の行動がごく普通に描かれ、それでいてオタクの「あるある」が絶妙におかしい。
 来年大学を卒業する娘の話によれば、今や学生たちもけっこう気軽にオタクや腐女子であることをカムアウトしているという。今でもバカにしてくる奴もいるにはいるが、昔みたいに、オタクであることを知られただけで白い目で見られたり、いじめに遭うようなことも(まったくなくなったわけではないが)少なくなっているらしい。時代が変わって、もはやアニメやゲームにのめりこむことは恥ずかしいことではなくなっているのだ。
 そう、オタクを「キモチワルイ」とみなすC.R.A.C. の人たちの感性は、とっくに時代遅れになっているのだ。

 オタク差別は消滅しつつある。
 だがそれは、オタクたち自身が誇りを持って自分たちの信念を主張し続けたからだと言っておく。断じて、C.R.A.C. のような(うわべだけの)反レイシズム団体の力ではない。


タグ :差別オタク

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この記事へのコメント
 と学会での活動もそうでしたが、山本さんのご活躍による社会的な影響って、かなり大きいものだと思いますよ。私は臆病なのでなかなか運動に加わることができず歯がゆい思いをするばかりですが引き続き応援いたします。
Posted by toorisugari at 2018年04月23日 17:41
 あの50歳児、ま~た、そんな事フカシとうとですかぁ……
 まぁ、野間チンに関しては、次の一言に尽きるんですが。
 「はっきり言え。井上伸一郎が怖いと」
(艦これ嫌いならSNSで愚痴らずに、KADOKAWAに抗議文の一通でも送りゃあいいのに)
Posted by 市方直也 at 2018年04月23日 17:43
いや、むしろこれからが本番かと思うのですが。

といいますか、自身山本弘の発言やら何やらもが突っ込まれる必要があるの分かっててこういう事を言うのですから、不徳ですよねー。
Posted by a at 2018年04月24日 08:57
 山本弘先生はじめまして。

80年代後半を知るオタクとしてひとこと言わせてもらうと、確かにオタク差別はありましたね。
当時のTVにおけるオタクの扱いはひどい物で、「オタク」という言葉自体が差別用語的に扱われていました。
自分は差別用語という言い方は基本的に嫌いで、どんな言葉でも使い方しだいで差別用語になるという考え方をしています。
しかし、あの頃のTV番組では「オタク」という言葉が、まさにそういった差別的な使い方をされていたのをよく覚えています。
おそらくオタクではない人間には、その差別を感じることができなかったのでしょう。

最後になりますが「リジー&クリスタル」楽しませていただきました。シリーズ化とかはないんでしょうか? あ、「ウェンズデイ」の続きもよろしくお願いします。
Posted by 2連星 at 2018年04月25日 21:32
当時の週刊誌が宮崎事件に乗じてオタク排撃した80年代の記事がネットにあげられていますが、週刊文春・週刊プレイボーイ・アサヒ芸能・サンデー毎日・婦人公論・女性セブン・週刊女性…安倍首相も真っ青なフルボッコ状態(笑)。

その中でも週刊プレイボーイは数号に渡ってオタク蔑視記事を掲載しましたが、ご存知のように後に「キン肉マン二世」を連載し、ファイナルファンタジー攻略記事掲載したりして、オタキング岡田さんがコラムでツッコミ入れてました(笑)。

あとサンデー毎日も表紙がガンダムORIJIN・ヤマト2022・ウルトラマン・ウルトラセブン…この雑誌の制作者にはプライドとかは無いのか(笑)。

これじゃ既存マスコミが信用されなくなるのも当然ですね。
Posted by ジャラル at 2018年04月26日 22:39
そういえば十数年前「トンデモ本の世界」シリーズ本の中で、アニメオタクを揶揄する文章を見つけた時には大変がっかりしました。
自分たちだって世間一般から見たら立派なオタク集団でしょうに(SFオタク、オカルトオタク、ミステリーオタクetc.…)
と学会の中にもいろんな人がいるとは思いますが、自分の趣味のことは棚にあげ、他人の趣味を嘲笑する「オタクによるオタク蔑視」がこんなところにも生き残っているのかと残念な気分になりました。
ところで5月1日の読売新聞の投書欄に男子高校生の「オタクへの偏見」を嘆く投書が載っていました。中高生の世界ではオタク差別はどのくらい残っているのでしょう。
Posted by 鉄 at 2018年05月03日 11:03
ほぼ全面的に同意しますが、<東京都の「非実在青少年規制」に際して、僕らがどれほど激しい反対運動を繰り広げたか知りもしない。>
その時の候補者であった保坂展人現世田谷区区長や現在の表現の自由を守る会の山田太郎氏は落選されていますよね。
その点を考えると、天皇が滅ぼされることなく存続できたのかというような質問の答と同じで歴史の偶然ではないでしょうか。


ネットハラスメントにはパスワード変更を奨めよう!
https://cruel.hatenablog.com/entry/2018/05/01/150046
Posted by 一読者 at 2018年05月03日 16:23
差別というわけではないが、「14才のリスク学」で「成人向け漫画で処理すれば、犯罪は減る」のくだりは、女子○学生へのセク○ラではなかろうか
Posted by 本当にね at 2018年05月18日 23:10
確かにもうそんなバイアスのかかった報道は流石に見かけなくなったと思っていました。
しかし、先般の新潟女児殺害事件において、容疑者の高校生時代を「当時はアニメが好きな友達と仲がよかった印象」などと未だにNHKで報道されるのを見て、ガックリしました。
今どきこんなニュース原稿を書いて違和感が無いのかなあ。
もちろん言うまでもなく事件は卑劣その物で断じて許されません。真相の究明を待つばかりです。
乱文失礼しました。
Posted by ヨマヨイ at 2018年05月21日 21:12
本当に、何のための団体なんでしょうかね。C.R.A.C.というのは。
作らなくてもいい敵ばかり作って何が反差別なんだかという感じです。
Posted by ドードー at 2018年06月04日 21:30
私の姉は「キャプテン翼」のファンだったというオタク(やおい系)でした。
例の事件の前は、姉も素直にアニメとホラービデオを愉しんでいたのですが、1989年の事件で猛烈なオタクバッシングが起きて以降、姉はヒステリックにオタクを叩く側に回りました。
オタクだった姉を知っている私はその様子を見て、非常に滑稽に思えました。
しかし、この行為(=自身がオタクにもかかわらず、オタクをバッシングすること)こそが姉にとり、「わが身を守る」ことだったのでしょう。
思えば、オタクを最も激しく叩くのは、他ならぬ同じ「オタク」なのかもしれません。
「オタクキモイ」と言われて、「オタクを差別するな!」と怒り狂うのは、オタクではなく只の「人権屋」でしょう。
本物のオタクならば「オタクキモイ」と言われたら、「そうそう、俺もオタクキモイと思ってる」などと、しれっと言ってのけるのです。
オタクという人種は、こうしたねじくれたところがあります。

ところで、私自身もアニメが好きで、円盤をよく買いますが、それは「美少女を愛でる」というよりも「アニメーターの労をねぎらう」ためです。
ネットでのアニメに関する話題を見るに、最近のオタクは女の子の可愛さ云々よりも、「アニメーターの理不尽な長時間低賃金労働をなんとかしろ」ということを気にかけている方が多いようです。
「消費者としてのオタク」から「労働問題を考えるオタク」へ。
理不尽な労働に喘ぎながらも、なけなしのカネで円盤やグッズを買うのならば、こうしたオタク界隈の変化も歓迎すべきではないでしょうか?
Posted by 蒸気宇宙船 at 2018年06月23日 17:19
こんにちわ。
Posted by ビブリオバトル読者 at 2018年08月10日 11:56
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