2017年04月07日

新刊『世にも不思議な怪奇ドラマの世界』


山本 弘 (著), 尾之上 浩司 (監修)
『世にも不思議な怪奇ドラマの世界』
洋泉社 1944円+税


アメリカの伝説のオカルト番組『世にも不思議な物語』と、怪奇・SF・ファンタジーのアンソロジー番組『ミステリー・ゾーン』、日本の人気番組『世にも奇妙な物語』に大きな影響を与えた、伝説の番組を徹底解説したディープなガイドブック!『ミステリー・ゾーン』の未訳短編「家宝の瓶」(The Man in the Bottle)も特別収録!

 こちらも新刊です。前に出した同人誌2冊を合本にしたもの。
 同人誌の原稿を少し書き直すだけでいいかな……と侮ってたんですが、かなり書き直すはめになりました。
 やっばり力を入れたのは『ミステリー・ゾーン』です。近年、昔の外国番組を扱った本やムックはたくさん出てるんですが、『事件記者コルチャック』とかについては詳しく書かれていても、なぜか『ミステリー・ゾーン』の紹介がすっぽり抜けてるんですね。ほんの数行しか触れられていなくて、内容がさっぱり分からない。これじゃ『ミステリー・ゾーン』の素晴らしさがまったく伝わりません。
 本当に面白い番組だったんだから!
 何と言っても注目していただきたいのは脚本。全エピソードの半分以上を書いたクリエイターのロッド・サーリングの才能は言うまでもありませんが、リチャード・マシスン、チャールズ・ボーモント、レイ・ブラッドベリらの書いた話も素晴らしい。もちろん、中には駄作や凡作もありますが、傑作率がきわめて高いんです。
「誰かが何処かで間違えた」「ヒッチハイカー」「めぐりあい」「マネキン」「遠来の客」「No.22の暗示」「亡き母の招き」「消えた少女」「二万フィートの戦慄」などの、ものすごく怖い話。
「過去を求めて」「奇蹟」「トランペットに憑かれた男」「弱き者の聖夜」「縄」「幻の砂丘」などの泣ける人情話。
「奇妙な奈落」「みにくい顔」「合成人間の家」「生きている仮面」などの、ラストがショッキングな話。
「疑惑」「悪意の果て」「日本軍の洞窟」「暗黒の死刑台」などの、強い問題提起を含んだ話。
 第3シーズンの「到着」「生と死の世界」「遠い道」「栄光の報酬」「鏡」「墓」「子供の世界」「亡霊裁判」「狂った太陽」なんて並びは傑作ぞろいで、もう神がかってますね。
 この本では、それらのエピソードをすべて解説しています。
 あと、スタッフの紹介。脚本家陣だけじゃなく、演出家もすごい人が揃ってたんですよ。ドン・シーゲル、バズ・キューリック、リチャード・C・サラフィアン、ジャック・スマイト、ボリス・セーガル、リチャード・ドナー……『遊星よりの物体X』や『宇宙水爆戦』の監督までいたとは、調べてみるまで気がつきませんでした。
 本国での放映日はもちろん、日本での放映日のリストも掲載。だいぶ前に『宇宙船』にも載ってたんですが、間違いだらけで使いものにならなかったんで、新たに調べ直しました。原作のあるエピソードについては、原作のリストもつけました。

 もちろん『ミステリー・ゾーン』だけじゃなく、『世にも不思議な物語』も全エピソードを解説しています。
 データ面はもちろん、僕の評論「僕らはみんなメープル通りに住んでいる」も掲載。あと、レノア・ブレッソンの『世にも不思議な物語』やJ・マイケル・ストラジンスキーの『新トワイライトゾーン』を訳された尾之上浩司さんには、未訳のノヴェライズ「家宝の瓶」を訳していただきました。
 これ一冊あれば、『世にも不思議な物語』と『ミステリー・ゾーン』はほぼ網羅できると自負しております。これからDVDを買われる方のガイドブックとしても最適です。
 半世紀以上前にこんな素晴らしい番組があったことを、多くの人に知っていただければと思います。


 



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この記事へのコメント
ネット書店で取り寄せて本日買いました! こういう海外ドラマの本格的紹介の書籍は少ないので即買いですね!
Posted by ジャラル at 2017年04月20日 23:30
 購入させていただきました。間違いなく日本で公刊された「ミステリー・ゾーン」関係の資料で最も充実した書籍です。  サーリングについての評価は私も同感です。旧スターログ誌の特集で、伊藤典夫氏の「マシスンとボーモントの作品が目当てで「ミステリー・ゾーン」は見ていた。サーリング作品は底の浅い説教くさい話が多くて評価できない」という意味の発言があり、「本当にそうなのか?」と思ったものの、実物を鑑賞する機会に恵まれぬまま長年モヤモヤしていましたが、ようやくアシェットのDVD化で全容を確認でき、疑念が晴れました。
 確かにサーリング作品には人間性を問題にした、テーマの明確な話が多いため、説教臭く思えるかもしれません。しかしそれはドラマの質が低いということではなく、巧妙なストーリーテリングと一種の無常感漂う不気味な余韻は紛れもなく上質なSFで、「やはりサーリングあっての「ミステリー・ゾーン」だったのだ。」と実感できました。
 今はご著書を片手にDVDを見返しております。ありがとうございました。
 
Posted by ちくまく at 2017年05月06日 14:18
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