2016年12月26日

新連載『プラスチックの恋人』

 新作長編が今月から〈SFマガジン〉で連載開始です。

『プラスチックの恋人』イラスト/ふゆの春秋


 時は2040年代。AR技術とロボット技術の融合により、人間そっくりの立体映像をまとい、AC(人工意識)を有し、性機能を代替するアンドロイド〈オルタマシン〉が誕生。それを配備した合法的な娼館〈ムーンキャッスル〉が世界各地にオープンしている。そんな中、日本のキャッスルに、反対運動を押し切って、未成年型のオルタマシンが導入される。
 フリーライターの長谷部美里は取材のために訪れたキャッスルで、12歳の小学生の姿をした美少年オルタマシン・ミーフと出会い、しだいに惹かれてゆく。



 今回の長編、『プロジェクトぴあの』『地球移動作戦』と同じ時間軸上にあります。『プロジェクトぴあの』は2020年代から30年代にかけて、ARが本格的に普及する一方、最初のACが生まれつつあった時代。『地球移動作戦』は人類の多くがACOM(人工意識コンパニオン)と共生している時代の話。この『プラスチックの恋人』はその中間の時代を描いています。だから『プロジェクトぴあの』の中の出来事にも言及されていますし、『地球移動作戦』では普通に出てきた抗老化処置も普及してはじめています。
 今回のテーマは「エロス」です。
 実は『アイの物語』を書いた時から、ずっと気になってたんですよ。人間とロボットの性関係を描いてないということに。
 というか僕って、これまで作中でベッドシーンあんまり書いてないんですよ。(同人誌は別にして)
「詩音が来た日」の中で、詩音のようなアンドロイドが完成したら、いずれ性機能を持つアンドロイドも出てくるという話もちらっと書きましたけど、その先は描いてなかった。話がややこしくなりそうだから、そのへんの話題はわざと避けて通ってたんです。
 でも、ロボットが進化したら、将来、こうしたアンドロイドは絶対に出てくるはず。やっぱりその問題はきちんと描かなくちゃいけないだろうと思ったわけです。
 いちおう眉村卓『わがセクソイド』、石川英輔『プロジェクト・ゼロ』などの先行作は参考にしています。でも、どっちももう30年以上前の話なんで、時代に合わなくなってるんです。特に性に関する意識がすっかり変わってる。
 たとえば、こうした過去作品に出てくるセクソイドって、みんな女性型なんですよ。いや、男性型だって需要あるだろ、と思うんですが、当時の男性SF作家はそれを想像できなかったみたいなんです。
 だから21世紀の今、このテーマはもういっぺん語り直すべきだと思います。

 また、この作品には、成人男性や成人女性の姿をしたセクソイドではなく、小学生ぐらいの外見のセクソイドが登場します。アンドロイドが進歩したら、いずれそういうものも出てくるはず。そこで巻き起こる倫理をめぐる衝突は、けっこう面白いテーマになると思っています。
 
 最初、主人公は人間の男性にして、相手をアンドロイドの少女にしようかと思ったんですが、結局、性別を逆転させることにしました。こっちの方が面白いと思ったものですから。
 第一回はまだ美里とミーフが出会う前なんで、ベッド・シーンはありません。でも、だんだんエッチになっていきます(笑)。お楽しみに。


タグ :SFロボット

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この記事へのコメント
どうも山本先生、お久しぶりです。
新作が始まりますか、楽しみです。
しかしこの内容・・いや、真面目に生きていても良い縁に出会わない男としては、そういう存在に手を出してしまいそうですね!
今の所私はそういう存在には嫌悪感が先だつので大丈夫そうですが(*^▽^*)(すいません先生が初音ミクとかがお好きなのは知っていますが、私は何かイヤな感覚を覚えてしまって・・・)
何となくFSSのファティマを想像しますが(済みません、他の作品を引き合いに出して。)アレは見た目がどうあれ戦争のための道具であると皆割り切って扱うのが正しい!とされていますから余り変な感覚は無いのですが・・

では、お体に気を付けられてまた楽しい作品を生み出して下さい!
Posted by ブロン・テクスタ- at 2016年12月29日 19:09
タニス・リーの『銀色の恋人』という作品が20年以上前にあったような…確かに「当時の『男性』SF作家はそれを想像できなかった」のは確かなようですが(苦笑)。
Posted by あまね at 2017年01月01日 21:17
 あ、あのーーーー、、、「輝きの7日間」は????
しばらくSFM買ってなかったんですが、探さなきゃ。。。。
 遠くの本屋にしかおいてないんですぅ。。。。。
 昔、SFMを本屋で「ないか」、と訪ねてSMマガジンを渡されたトラウマを持っているので中々本屋で探せない。。。。あの頃は純情な未成年だったのですよ。
Posted by 怪鳥 at 2017年01月02日 07:55
セクソイドもの漫画では松本零士先生の『セクサロイド』が印象的でした。アニメではアニメではOVA『バブルガムクライシス』に出てきましたがムフフなシーンは無くて残念?に思った記憶があります。
Posted by ジャラル at 2017年01月03日 21:51
そういえば昔は何作かセクソイドが出てくる作品がありました。

星野ぴあすさんや工藤俊彦さんあたりが出していたと記憶しているが、今は見る事がないような気がする。
作品的に読む人間が男性なので女性型ばかりだと思ったが。

そう考えると主人公が女性でセクソイドが男性というのは珍しいのかも。
もしかすると商業誌では初めてなのかも。
女×女は珍しくないけれど。
Posted by あさくま at 2017年01月11日 17:12
個人的には生身の女性に映像を投影して超美人や美少女に見せる風俗店とかが現実的ではないかと思ってます。

蒸気機関が発明された時に「これを使った高速移動手段を考えよう!」ということで馬車を引っ張るロボット馬が考えられたそうですが、結局蒸気機関車になってしまったそうで。
セクサロイドってこれと同じような発想な気がします。
Posted by トザン at 2017年01月16日 16:08
本当にいつか現実になりそうですね。

【社会】人間とセックスするロボット、年内にも市場に?

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170117-00000026-jij_afp-sctch

山本先生、目のつけどころ良かったようですよ。
作品、楽しみにしております!
Posted by ドードー at 2017年01月17日 13:44
 みなさま、ありがとうございます。

>トザンさん

 ああ、ARを性産業に導入するとしたら、それもありですね。けっこう流行りそうな気がします。
 今回、こういう話を書くために、使えそうなネタをいろいろ探したんですが、そのひとつが、市原えつこさんの「セクハラ・インターフェース」。

http://www.sensors.jp/post/ichikawa_1.html

 人間でなくても、人型をしていなくても、大根でもかまわないというのは、ちょっと衝撃でした。
Posted by 山本弘山本弘 at 2017年01月21日 16:54
>あまねさん

 ああ、『銀色の恋人』! あれも好きな作品でした。やっぱりあのラストには感動しちゃいます。
 というか、80年代にタニス・リーにハマってた時期があったんですよ。『幻魔の虜囚』とか『闇の公子』とか『血のごとく赤く』あたりに。
Posted by 山本弘山本弘 at 2017年01月21日 17:01
故小松左京氏のショートショート「Dシリーズ」にダッチハズというアイディアがありますが、小松左京氏にかかわらずあの世代の作家のショートショートは長編に膨らませられるアイディアの宝庫ですね。
Posted by ととと at 2017年01月25日 23:10
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