2016年11月22日

と学会がやっていたことは「弱い者いじめ」だったのか?・4

 僕はもう、と学会を辞めている。
 http://hirorin.otaden.jp/e312496.html

 理由はいろいろあるが、ひとつの理由は「つまらなくなった」ということだ。
 トンデモ本が少なくなったわけではない。今も多くのトンデモ本が出版され続けている。ただ、新しいものが少なくなってきた。
 日本トンデモ本大賞の候補作は、毎年、僕が選んでいたのだが、ノミネート作のリストを見ても、バラエティが豊富だったのは『人類の月面着陸は無かったろう論』が受賞した2005年の第14回あたりがピークだった。

http://kokorohaitsumo15sai.la.coocan.jp/tondemotop.htm

 以後は、『富を「引き寄せる」科学的法則』のような1世紀も前のトンデモ本や、『新・知ってはいけない!?』のように前に出た本の続編、『秘伝ノストラダムス・コード』のような時代遅れのノストラダムス本、『超不都合な科学的真実』『小説911』『本当かデマか 3・11[人工地震説の根拠]衝撃検証』のように著者本人が唱えているのではなく世間にあふれている陰謀説を寄せ集めた本など、独創的なものが明らかに減ってきている。2012年の第21回、2013年の第22回などは、と学会の会員に呼びかけてもトンデモ本が集まらず、かなり苦しんだ。大川隆法、苫米地英人、中丸薫らの本が何度もノミネートされているのも、ノミネート作が揃わないための苦肉の策だった。
 おそらく僕らは、乱獲によってトンデモ資源を枯渇させたんじゃないかと思う。トンデモってもっと奥が深いかと思っていたら、意外に浅かったんだなと。
 1950年代に書かれたガードナーの『奇妙な論理』を読めばわかるように、現代のトンデモ説の多くは昔から存在しているものか、その焼き直しにすぎない。だからこれから出るトンデモ本の多くも、すでにある説の焼き直しにすぎないんじゃないだろうか。
 だからと学会をはじめた頃と比べて、トンデモ本への関心はひどく薄れている。

 もっとも僕はまったく関心をなくしたわけじゃない。ニセ科学やデマ関連のウォッチングはASIOSの本で続けている。と学会の本と違って、積極的に笑いを取りに行くことは控えるようになったが、それでも多くの人に読んでほしいから、「面白い」と感じさせる文章にする努力は怠っていない。
 世の中には、放置しておくのは危険なニセ情報がまだまだたくさんあるからだ。
 ほんの一例を挙げるなら、「阪神淡路大震災の時に強姦が多発した」というのは悪質なデマで、信じる人が増えたら危険だから、データを挙げて否定している。

http://hirorin.otaden.jp/e427750.html

 ネットの普及により、デマの拡散速度も飛躍的に速くなった。特に、見ず知らずの多くの人を傷つけたり、新たな災厄のタネになるかもしれないデマに対しては、見つけしだい大急ぎで否定する必要がある。だからこのブログでもデマの否定を頻繁にやっている。
本人に直接言うなり手紙やメールを出すなり」などと、のんびりしたことを言っていては手遅れになるかもしれないから。




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この記事へのコメント
「愛国カルト」と呼ぶべき連中は昔からいたのでしょうが、ネットと言うツールを得て増殖、新たな脅威になっていると思います。
Posted by NetrightHunter at 2016年11月22日 23:05
 いつも大変楽しく拝見させて頂いています。久し振りにコメントさせて頂きます。

 正直に言ってしまうと、と学会の書籍の内容で、読んでいておもしろいのは、山本先生の書かれたもの意外にはほとんどありませんでした。

 特に、後期の書籍になればなるほど、「おもしろがっているのは(紹介している)自分だけなんだろうな」という気がしていたものです。

 だから、山本先生がと学会をお辞めになった時に、「ああ、今後のと学会はつまらなくなるな」としみじみ思ったものです。

 その理由が、今回の記事で自分の中では明白になった気がします。

 
Posted by 甚内 at 2016年11月23日 00:25
小説本とかでは結構トンデモネタの小説(特にライトノベル)ありますがね。でもその本を出版するときの出版者・イラストレーター・著者のトラブル関係の顛末の方が小説より面白い(笑)のも多いですが。
Posted by ジャラル at 2016年11月23日 08:56
1番の理由は「唐沢がバカをやったおかげで,ウオッチングする側からされる側に回されたから」じゃないでしょうか。
Posted by ロマンス at 2016年11月25日 03:40
 前略
 ツイッター拝見しましたが、ある一部の人々にとっては、「専門の科学者による客観的なデータ」は「信用できないもの」なんですね。
 典型的なのは水俣病です。科学者たちが一斉に「客観的なデータや数値」を出してきて「水俣病は腐った魚介類を食べたことで起きる」なんて言ってたわけですから。熊大医学部の活動がなかったらいまだに食中毒扱いかもしれません。
 あと、私は登山が趣味ですが、井上靖の小説『氷壁』で出てきた「ナイロンザイルの強度実験」、あれは実際にあった事件なのですが、実験から20年後に、繊維メーカーの圧力でデータを改ざんしていたことが発覚してます。
 こんな例があるから、「科学的で客観的なデータなど信用できない」という人たちが出てくるのは、ある意味当然なのですよね。
Posted by 矢野 毅 at 2016年11月26日 20:41
つなぎかえると

断わっておきますが、私もいじめの被害にあった事はあります。
いい加減に「自分はいじめの被害者」といつまでも言い続けるのはおやめになる事です。あなただって、似たような事をやってたんですから。

矛盾というものではないかしら。論理が一貫してないとどこかに歪が出るんでしょうね。
Posted by 理力不足 at 2016年11月30日 23:51
私も以前はコミケの度に「と学会」ブースに足を運んだ口ですが、ここ3年ほどの活動は正直つまらないと思い、と学会誌も買わなくなりました。
山本さんがと学会を離れたのもむべなるかなと思いました。
Posted by あっちゃん。 at 2016年12月11日 21:45
>矢野 毅さん
問題は既存の科学や専門家の意見が信じられないからと言って、もっとあてにならない自称・専門家や詐欺師の言葉を信じて破滅することなんですよねぇ。
そう言えば、ねずみ講にハマって破滅した私の元友人も「市販の歯みがき粉と違ってフッ素が含まれていないから安くて健康的な歯みがき粉」をありがたがってましたっけ……。
ネットで検索するだけで健康的どころかそれがいかに愚かしい代物かわかるんですけどね……。安い理由はフッ素が含まれていない分だったんでしょうが……。
Posted by ドードー at 2016年12月26日 21:17
>甚内 さん
>あっちゃんさん

 僕のせいじゃないですけど、すみません(笑)。

>矢野 毅さん

 もちろん、そういうこともありますよ。僕がよく引用するのは、イグナッツ・ゼンメルワイスのエピソードです。
http://www.bdj.co.jp/safety/articles/ignazzo/1f3pro00000sihs4.html
 でも、時おりそういう間違いがあっても、全体として科学は進歩してきたんですから、やはり正しい場合の方が圧倒的に多いのは確かです。
 だから従来の科学と、何だか分からない変なものが対立していたら、まずは科学を信頼すべきだと思います。科学が正しい確率の方が高いんですから。
Posted by 山本弘山本弘 at 2016年12月26日 23:10
 nish3なる人物が、Yahoo!知恵袋の文章を大量にコピペするという意味不意の行為をしていましたので、荒らしと見なして削除しました。
Posted by 山本弘山本弘 at 2017年03月06日 14:52
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