2016年07月17日

星雲賞受賞の言葉

『多々良島ふたたび: ウルトラ怪獣アンソロジー』(早川書房)に収録された短編「多々良島ふたたび」が、同書に収録の田中啓文氏の「怪獣ルクスビグラの足型を取った男」とともに、星雲賞日本短編部門を受賞しました。



 先週土曜日に鳥羽のSF大会会場まで行ってきて、星雲賞いただいてきました。
 その時の受賞の言葉。録音してたわけじゃなく、記憶で書いてますんで、間違ってたらご容赦。

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 最初に業務連絡を。実は今夜は、泊まっていけません。明日、プライベートな事情があるもので、今日は夕食が終わったらすぐに大阪に帰らなくてはいけないんです。ですから、僕に何かご用のある方は、早めに言っていただけるとありがたいです。
 あと、前回、『去年はいい年になるだろう』で星雲賞をいただいた時は、前の客席に妻と娘が来てたんですけど、今日は来てません。ですから今、写真を撮ってる方々、その写真を後でネットにアップしていただけるとありがたいです。妻と娘に「ほら、これが受賞風景だよ」と見せられますので(笑)。

 さて、このウルトラ怪獣アンソロジーという企画が来た時に、僕が最初に予想したのが、『SF作家はひねくれてる人が多い』ということです。たぶん、まともなウルトラマンは誰も書かないだろう。みんな変なウルトラマンを書いてくるに違いない。
 だったら逆に、原作に忠実なサイドストーリーを書いたら、目立つんじゃないか──そう計算して書いたら、見事に図に当たりまして、星雲賞をいただけることになりました。ありがとうございます。

 実は僕はもう何年も前から、出版社の人と会うごとに言ってたんですよね。「なぜ円谷プロに話をつけて、『ウルトラ』シリーズのアンソロジーを出さないのか」と。だって、僕らの世代の作家って、『ウルトラ』で育った人はたくさんいるわけですよ。「書かないか」って持ちかけたら、みんな乗ってくるはずなんですよね。
 でも、その構想がなかなか実現しないなあ……と思ってたら、それがようやく現実になった。だから喜んで書かせていただきました。

 ただね、考えてみたら、他にもいろんなアンソロジー作れるはずなんですよね。
 たとえば、今年は『ゴジラ』の新作が公開されますから、東宝の許可取って、いろんな作家に声かけて、『ゴジラ』アンソロジー作ったらいいんじゃないか。ゴジラ小説を書きたい人っていっぱいいると思うんですよ。僕も書きたいし。実は中学の頃からずっと、『ゴジラ対ヘドラ』のノヴェライズ書きたくてしかたないんですよ。
 あるいは東映に話つけて『仮面ライダー』のアンソロジー作るとか。あるいは特撮に限ったことじゃない。サンライズに話つけて『ガンダム』のアンソロジー企画するとか。書きたい作家、絶対いっぱいいるはずなんですよ。
 ここにいる出版社の方々、何でそういう企画を出さないんですか? 出してくださいよ。
 僕も『怪獣文藝の逆襲』とかに寄稿してますけど、まだまだ怪獣小説書きたい。また声がかかったら書かせていただきます。

 あっ、ちなみにですね、これはまだここだけの秘密にしておいてほしいんですけど、実は来年、●●●●さんの方で、『●●●』の小説を出させていただくことになってます。期待しててください。

 活字と映像って、べつべつのものじゃないと思うんですよね。僕ら現代の作家は、小さい頃からいろんな映像作品に接してきて、それに影響を受けて育ってきた。映像的な面白さというものを作品の中に取り入れてるんです。
 一方、活字から映像作品が受ける影響というものも、もちろんあるでしょう。活字と映像というのは、フィードバックを形成して進化してきたと思うんです。

 僕が怪獣ものを書くのは、自分を育ててくれた映像の世界へのご恩返しの意味もあります。これからもこうした小説はどんどん書いていきたいと思っています。
 どうもありがとうございました。
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 終わってから気がついたんだけど、
「『ガルパン』のアンソロジー企画したら、書きたい作家はいっぱいいますよ!」
 とも言っておくべきだったかなと(笑)。



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この記事へのコメント
おおっ!山本先生、本当におめでとうございます!!
妖魔夜行やソードワールドの頃から応援しておりましたがこれからも応援します!!
Posted by ドードー at 2016年07月17日 22:06
はじまして山本先生。ブロン・テクスターと申します。
星雲賞おめでとうございます!。
勿論「多々良島再び」は読んでいます。とても面白い話だったので受賞は私としても嬉しいです。
さて前回?のコメントの「60歳を迎えて・・」で昨今の出版不況について書かれておられましたが、本好きとしては暗澹たる気分になりかけました。(笑)週一で神保町に出入りする身としては、書籍は大量に出版されていて当然!と思っていましたので・・・
さて、様々なアンソロジー本の企画は良いですね。先生もまたウルトラマンを書いて頂きたいです。
そう・・・ティガ辺りを・・(先生は以前ティガを酷評(笑)されていましたが私がよく覗く特撮ニュースと云うサイトではとても人気が高く驚いています?)仮面ライダーなら鎧武、ガンダムならターンAが・・(先生は余り鎧武を評価していない様ですが、それだけに先生の理想?の内容の鎧武が読みたいですね。前に発売した鎧武の小説はとても面白かっただけに・・)少し話がズレますが、先生は仮面ライダーアーツは買っておられますか?私は最近買いはじめてスッカリと・・・(笑)やはり内容の好き嫌いはともかく鎧武のライダー達は凄く格好良い!と再認識しております。(先生のお気に入りだったクウガも真骨彫は素晴らしい出来ですし。)
長々て失礼致しました。これからもお体に気をつけて沢山の本を書いてください。友人共々応援します!では、失礼いたします。
Posted by ブロン・テクスター at 2016年07月20日 13:58
昔、サンライズが今ほど煩くなかった時代に(笑)ガンダムのコミックアンソロジー漫画はよく読みました。安永航一郎先生の「実録ジオン体育大学」は大爆笑しました。

山本先生がガンダムやガルパンの小説書けば、「星雲賞受賞作家」がウリになるのになあ・・・。
Posted by ジャラル at 2016年08月01日 23:49
アンソロジーの話を読んで「なるほど」と思いました。
なんでそれらでアンソロジーの話が出ないのか。
「安売りしたくない」というのがあるのではないかと。

この手の作品でアンソロジーが出てるのはほとんどが最新の漫画やアニメであってある程度長く続いてブランド的なものになっているものってあまりない。

ブランドになっているが故のプライドの高さみたいなものがあるのではなんて思います。
Posted by mtk at 2016年09月09日 14:00
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