2014年12月11日

「僕らは何故、電子の歌声に魅了されるのか?」報告

 遅くなりましたが、11月30日にやったイベントの報告。

 まず最初は、司会の大須賀さんによる、人工的に人間の声を作ろうとしてきた人々の歴史の解説。ベーコンあたりまで遡るんだけど、18世紀にケンペレンが作った音声合成機(これ、今ならニコニコ技術部の人が作りそう)やら、ボコーダーの誕生やら、1960年代に作られた「デイジー、デイジー」と歌うマシン(もちろん『2001年宇宙の旅』の元ネタ)やら、80年代の声の出るエロゲやら、面白い話題がいろいろ。こういう試みが初音ミクの誕生につながるわけだ。
 この話聴けただけで、「来て良かった」と思えた。

 特別ゲストのotomaniaさんの話も面白かった。あの名作「VOCALOID2 初音ミクに「Ievan Polkka」を歌わせてみた」は、『初音ミク』が発売されて4日目の2007年9月4日にニコ動にアップされてるんだけど、歌自体は9月2日にもう完成していたのだとか。早い! なのに今聴いてもまったく色褪せない完成度。



 トークしながら、即興でぱぱぱと『初音ミク』を操作して歌わせたりもしてくださいました。なるほど、こうやって作るのかと感心。
 ちなみに、あの悪名高い『アッコにおまかせ』事件では、実はotomaniaさんもTBSから出演の依頼があったんだけど、寸前で向こうの方からキャンセルしてきたんだとか。ああ、たぶんTBSのディレクターが求めていたものと合わなかったんだろうな……。
 頭の固い人間に受け入れられなかったのも無理はない。当時は、まさかボカロ曲がオリコン上位に入るのが当たり前の時代がこんなに早く来るなんて、僕だって夢にも思わなかったよ。それどころか、今や小林幸子が「千本桜」歌うんだもの。
 ミクが登場して、まだたった7年だよ!?

 僕はというと、『ミク』発売当初からニコ動で追いかけていた。
 リアルタイムで僕が楽しんだのは、こういうのとか、



 こういうのとか、



 こういうのとか、



 きわめつけ、こういうのも。みんながコメントで盛り上がってるのが楽しい。



 これらはすべて、2007年9月30日までにアップされた動画なのだ。「『初音ミク』はこんなにもいろんな遊びができる」というのが、あっという間に知れ渡ったわけである。
 他にも「恋スルVOC@LOID」が9月13日、「みくみくにしてあげる♪」が9月20日と、すでにオリジナルの名曲がいくつも生まれているし、3Dモデルを作って動かしている人もいた。発売されてたった1か月で、その後のムーブメントの基本はかなり出揃っていた感がある。
 やはり、ニコ動の人気が盛り上がった時期とちょうど重なったというのが、『ミク』のヒットの要因だろう。

 ちなみに(前にも書いた気がするけど)、僕が最も衝撃を受けたのが、その年の12月18日にアップされたこれだった。



 僕はこの曲を聞いて、感動のあまり、ぼろぼろマジ泣きしてしまったんである。普段、人間の歌で泣いたりしないのに。 今もこの曲を聴くたびに、パブロフの犬のごとく、目頭が熱くなる。
 それまで、まだ僕はミクを甘く見ていた。「面白いソフトウェア」「声の出るシンセサイザー」という程度の認識だった。だが、「金の聖夜霜雪に朽ちて」を聴いて思い知らされた。
 機械の歌は時として、人間以上に情動を動かす力があるのだと。

 他にも、『地球移動作戦』のヒントになったこれとか、



 やはり『プロジェクトぴあの』に大きな影響を与えた「サイハテ」とかの話もいろいろ。 もちろんotomaniaさんたちからも、面白い話をいっぱいうかがえた。

 有意義なイベントだったと思う。



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この記事へのコメント
お疲れ様でした。
昼間からお酒をやりつつ、業界裏話を交えながらの「ボカロの起源から現在まで」を熱く楽しく聴かせていただきました。

参加された皆さん、まだまだネタはお持ちのようでしたので、機会があれば是非とも第二、第三回もお願いしたいですね。
どんな文化も流行り廃りの波があり、行きつ戻りつ折り重なるように発展してゆくものだと思うので、今花盛りのボカロ文化が、この先どのような進化を遂げるかの予想や、先生自身はどう関わってゆくおつもりなのか等、興味は尽きません。
個人的には、野尻さんと競うようにして夢と現実の架け橋と言うか、啓蒙的な作品を書き続けていただきたく思います。

あ、『ビブリオバトル部』もその一環と言えそうですね。
大した根拠もなしに「昔は良かった」などと内向き後ろ向きになるのではなく、積極的にまだ見たことのない作品や世界を知ろうとする心がなくては、今より良い未来は創れませんからね。
Posted by 活字スキー at 2014年12月12日 21:40
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