2014年11月25日

全国高等学校ビブリオバトル2014関東・甲信越大会

 11月23日、東京のよみうり大手町ホールで行なわれた大会を観戦してきた。
 先日の関西大会よりかなり多く、61校が参加。全体をAとBと二つのブロックに分け、さらに各ブロックを6つのグループに分けて、予選を行なう。予見を勝ち抜いた6校で決勝戦を行ない、ABブロックのチャンプと準優勝、計4校が全国大会に進む。

 僕が観戦したのはこの試合。

Aブロック 第5グループ

寄居城北高校
西尾維新『りぽぐら』

大東文化大学第一高校
青木和雄『ハッピーバースデー 命かがやく瞬間』

渋谷教育学園幕張高校
山本弘『詩羽のいる街』

函嶺白百合学園高校 女子校
森晶麿『黒猫の遊歩あるいは美学講義』

多摩大学附属聖ヶ丘
小松左京『小松左京ショートショート全集』

 今回は見ました、自分の本の紹介。『詩羽のいる街』を紹介してくれた男子生徒は、的確に内容を紹介してくれていて、好感が持てた。
 いやー、以前ね、いたんだよ。僕の本を紹介してくれてるのはいいんだけど、誤読というか、ちょっとdisるような感じの紹介してた奴。普通のネット上でのレビューとかならかまわないけど、ビブリオバトルで聴講者にマイナスの印象与えちゃだめなんじゃないの? とツッコミたくなった。

 ただ、僕自身は『詩羽』に投票はしなかった。「読みたいと思った本」に投票するのがビブリオバトルのルールだから。すでに読んでいる本、ましてや自分の本に投票するわけにはいかないのである。
 同様に、小松左京氏のショートショートもほとんど読んでいるのでパス。『りぽぐら』も〈メフィスト〉連載中に読んでいたのでパス。まだ読んだことのない『黒猫の遊歩あるいは美学講義』に票を入れた。
 ちなみに発表者は女子高生で、ミステリなのに事件やトリックのことなんかそっちのけで、キャラクターの魅力を語りまくっていたのが印象的だった。いわゆる「キャラ読み」というやつ。こういう紹介のしかたもあるんだな。

Bブロック 第5グループ

甲府大女子学園高等部
紅玉いづき『ミミズクと夜の王』 

成田高校
朝日新聞取材班『「はやぶさ」からの贈り物』

中央大学杉並高校
朝井リョウ『学生時代にやらなくてもいい20のこと』

荻窪高校
田中芳樹『ラインの虜囚』

共立女子高校
水野敬也『それでも僕は夢を見る』

 こっちはまだ読んでいない『ラインの虜囚』に入れた。『学生時代にやらなくてもいい20のこと』も、すごく面白そうではあったんだけど。
 関西大会では百田尚樹が2冊かぶったという話をしたけど、今回の発表本のリスト(全員の発表後に配布される)を見ると、有川浩が『図書館戦争』『三匹のおっさん』『海の底』の3冊、時雨沢恵一が『キノの旅』『答えが運ばれてくるまでに』、貴志祐介が『新世界より』『悪の教典』と2冊ずつかぶっていた。他にも、妹能将之、万城目学、森見登美彦、神永学、伊坂幸太郎、京極夏彦、森博嗣、三浦しをんなどなど、人気作家の本がいろいろと。
 ちなみに乾くるみ『イニシエーション・ラブ』を紹介している人がいて、ちょっと驚いた。偶然だけど、これ、2回ほど先の『BISビブリオバトル部』で使う予定の本だったから。
 しかし、こういう叙述トリックがメインのミステリって、紹介しにくいだろうに。どういうやりかたで紹介したのか、ちょっと気になる。

 一方、古典はあまり人気がない。ドイルの『恐怖の谷』とかチェーホフの『桜の園・三人姉妹』とかビアスの『悪魔の辞典』とかを紹介している学生も、いることはいるんだけど。

 Aブロックで決勝に進んだのは次の6冊。

富岡高校
宮田律『イスラムの人はなぜ日本を尊敬するのか』

松戸高校
フリードリヒ・ニーチェ『超訳 ニーチェの言葉』

多摩大学附属聖ヶ丘高校
小松左京『小松左京ショートショート全集』

横浜サイエンスフロンティア高校
植木理恵『シロクマのことだけは考えるな!』

広尾学園高校
森博嗣『スカイ・クロラ』

鎌倉女学院高校
柿谷美雨『結婚相手は抽選で』

 チャンプ本は『結婚相手は抽選で』だった。これもSF的な設定の小説なのに、僕はこれまでまったく存在を知らなくて、ちょっと驚いた。ちなみに準優勝は『スカイ・クロラ』。
 Bブロックのチャンプ本は中央大学杉並高校の朝井リョウ『学生時代にやらなくてもいい20のこと』、準優勝は両国高校の伊藤真『憲法が教えてくれたこと』。

 ビブリオバトルで面白いのは、必ずしもプレゼンの上手さで勝敗が決まるわけではないということ。評価基準が「読んでみたくなった本」だから、本そのものの魅力に左右される部分も大きい。
 今回も、テレビショッピングの司会者みたいな流暢なセールストークをしていた少年がいたんだけど、ほとんど票が入らず、あっさり敗退していたのが印象的だった。アピールの方法として間違ってはいなかったと思うんだけどなあ。みんなが読みたがるような本を選び出す選択眼も重要なんだろう。

 会場では、東京創元社さんが用意してくださった12月22日発売予定の『翼を持つ少女 BISビブリオバトル部』のPRチラシも配布。会場に集まった高校生や先生たちの間に情報が広がるだけでも、大きな宣伝効果だと思う。全国の高校の図書室が買ってくれたら、かなりの売り上げになるはずなんだけどなあ。


 終了後、また参加者と関係者一同の交流会。女子高生にいっぱい囲まれてサインを求められたのが嬉しかった(笑)。



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この記事へのコメント
開催日は11月23日でしょうか。僭越ながら。
Posted by アリ at 2014年11月25日 17:59
>アリさん

 ご指摘ありがとうございます。訂正しておきます。
Posted by 山本弘山本弘 at 2014年11月26日 18:35
どうか、前のコメントは消してください。
ビブリオバトル大会、ドラマティックで非常に興味が湧きますね。
Posted by アリ at 2014年11月26日 21:58
私はビブリオバトルが自書であったとしても投票してよいと思います。
読者は著者とは違う目線で読書しています。
読者の中には著者すら意図しなかった読み解きをしてくる人もいるでしょう。
そういった読者の視線で自書を読みなおしてみたいと思わせられたらそれは投票に値するのではないでしょうか?
尤も著者すら楽しませる読み解きに出会うことはまず無いとは思うのですが。
Posted by 名無し at 2014年12月10日 20:53
>名無しさん

 それはルール的には間違っていなくても、他の参加者からはあきれられるでしょうね。「自分の本の宣伝してんのかよ!」と。
 自分の好きな本をみんなにも読んでもらいたいと思ってアピールするのがビブリオバトルの目的なので、参加者から嫌われるようなことをしたら本末転倒です。
Posted by 山本弘山本弘 at 2014年12月11日 09:59
>名無しさん

それをやるとやっぱり自画自賛もしくは親馬鹿な自慢話になってしまうと思いますね。
私も素人ながら創作をかじったことがある人間なので、自分が作った子供(作品)は可愛く思ったりもします。
自分の子供の自慢話はいくらでもできますが、一歩引いて客観視すると……、うわぁ、痛い〜!
将来、振り返ると黒歴史確実ですよ。ええ、本当に……。
Posted by ドードー at 2014年12月11日 16:02
 友達から聞いて、この記事を見ました。Aブロック 第5グループ のビブリオバトル、見てくださっていたんですね。決勝まで行けなかったけれど、見てくださっていたのを知り、嬉しかったです。ありがとうございました。
 『翼を持つ少女 BISビブリオバトル部』は、学校の図書館で買って貰う予定です。読むのをとても楽しみにしています。
Posted by 犬野ジョン at 2014年12月19日 20:20
 『詩羽のいる街』、舞台演劇化もされていたのですね!

http://www.nan-mon.com/gallery/37.html
http://blog.nan-mon.com/?eid=1491710

 是非ともDVDか何かで全編を拝見したいです。
 あと、舞台演劇つながりでリンク貼りを失礼します。

http://www.dailymotion.com/karasawashyunichi

 個人的には、また山本さんの舞台を見てみたいものです。

http://www.nicovideo.jp/watch/1308649066
Posted by toorisugari at 2015年12月11日 14:23
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