2014年11月19日

全国高等学校ビブリオバトル2014関西大会

 11月16日(日)に観戦してきた。場所は追手門学院大阪城スクエア。窓の外に大阪城が見える絶好のロケーションである。

http://katsuji.yomiuri.co.jp/biblio/

 なお、ビブリオバトルがどういうものかご存じない方は、ビブリオバトル普及委員会の公式ルールを参照されたい。

http://www.bibliobattle.jp/koushiki-ruru

 僕自身、昨年からあちこちの大学や図書館や書店でのビブリオバトルを観戦して回っていて、時には発表もしている。もちろん『BISビブリオバトル部』の執筆のための取材の意味もあるんだけど、純粋に見ているだけでも面白い。毎回、自分の知らなかった本、それも面白そうな本がいろいろ紹介されていて、ためになるからだ。観戦の後、その本を書店に買いに行くこともしばしば。
 今回の全国高等学校ビブリオバトル2014関西大会、 参加校は28校。まず4~5校ずつ6ブロックに分かれて、各ブロックごとにバトルを行ない、チャンプに選ばれた6校でさらにバトルを行なう。チャンプおよび準優勝校が、来年一月に東京で行なわれる全国大会への出場権を得る。
 僕が観戦したのは、このうちAブロックとBブロック。

【Aブロック 】
あべの高校
小川糸『あつあつを召し上がれ』

関西中央高校
高橋弥七郎『灼眼のシャナ』

明星高校
荒川祐二『奇跡の紅茶専門店』

奈良北高校
初野晴『退出ゲーム』

関西創価高校
百田尚樹『幸福な生活』

【Bブロック】
浪速高校
米澤穂信『氷菓』

滝川第二高校
川村元気『世界から猫が消えたなら』

橿原学院高校
明川哲也『メキシコ人はなぜハゲないし、死なないのか』

大阪女学院高校
奥田英朗『イン・ザ・プール』

太子高校
水野敬也『夢をかなえるゾウ』

 発表される本のほとんどが小説である。僕がこれまでに見た範囲では、社会人や大学生のビブリオバトルだともうちょっとノンフィクションも多いので、高校生だからかな、という気がする。
 世間的に「日本の名作」「世界の名作」とされている小説は少なく、普通に『灼眼のシャナ』 とかが混じっているところが面白い。関係者の方の話では、エントリーされてくる本の内容について、主催者側はほとんどノーチェックだそうである。つまり、今の高校生が読んで純粋に「面白い」と思った本が紹介されるわけだ。
 なお、全国高等学校ビブリオバトルの場合、ローカルルールで「原則として発表する本のジャンルは問わないが、コミックと雑誌は除く」とされているが、他のところではコミックもOKである。
 毎回、「そんな本があるのか!?」と驚かされることが多いんだけど、今回は『メキシコ人はなぜハゲないし、死なないのか』に驚いた。〈日本タイトルだけ大賞〉を狙えそうだなあ……と思ったら、本当に2009年にノミネートされてました。

http://matome.naver.jp/odai/2132629260532003701


 発表のしかたには、それぞれ個性があって面白い。直立不動で演説みたいな口調で喋る少年もいれば、芝居がかった口調で喋る少女もいる。いきなり本の説明から入る者も、最初に家族などの身近な話題から入る者も、参加者に質問してくる者もいる。
 ビブリオバトルにはセオリーがないということがよく分かる。
 僕がいちばん気に入ったのは、『退出ゲーム』を紹介した奈良北高校の女の子。喋り方がいかにも演劇風だったので、きっと演劇部の子だろうと思って後で訊ねてみたら、演劇部ではなく漫研だった。

 ちなみにEブロックでは、僕の『詩羽のいる街』を紹介していた人がいたという。しまった、そっちを見ればよかった!
 その女の子(大阪府立金岡高校代表)からは、後でサインを求められました。

 関西大会決勝に進出したのは次の6冊。

滝川第二高校
川村元気『世界から猫が消えたなら』

畝傍高校
ナオト・インティライミ『世界よ踊れ 歌って蹴って!28ヶ国珍遊日記』

関西創価高校
百田尚樹『幸福な生活』

追手門学院高校
結城浩『数学ガール』

東大寺学園高校
ローレンス・クラウス『宇宙が始まる前には何があったのか?』

大阪桐蔭高校
百田尚樹『風の中のマリア』

『宇宙が始まる前には何があったのか?』 は、僕も『翼を持つ少女』の中で紹介した本である。
 注目すべきは、『幸福な生活』『風の中のマリア』と、百田尚樹の本がぶつかっていること。事前に他の高校がどんな本をエントリーしてるのか分からないので、ひとつの大会の中で同じ著者の本がエントリーされることもよくあるらしい。いちおう予選で別ブロックになるよう配慮はされてるそうだけど、両方とも勝ち上がってきたら、こういうことも起きる。
 また、僕が見たBブロック以外にも、Dブロックでも『氷菓』が紹介されていた。もし両方が勝ち上がってきたら、『氷菓』同士がぶつかる可能性もあったわけだ。これは面白い展開だな。小説で使わせてもらおう。

 チャンプ本は関西創価高校の『幸福な生活』、準優勝は滝川第二高校『世界からネコが消えたなら』だった。

 終了後、参加者が集まっての交流会で、あいさつをした。僕がビブリオバトル小説を書いていることが紹介されると、いっせいに「おーっ」という驚きの声。ほとんどの学生が、今初めて知ったらしい。

 知名度低っ!(笑)

「ビブリオバトル」で検索したら、十何番目かに『BISビブリオバトル部』が出るし、そこから東京創元社のサイトに飛べば無料で読めるんだけどなあ。ビブリオバトルをやっている高校生でさえ、「ビブリオバトル」で検索しようとはしないということか。
 逆に言えば、このへんにまだまだファン層を開拓する余地がありそう。

 11月23日(日)には、東京で行われる関東・甲信越大会も観戦に行く予定。今後、小説の中で大会のシーンを入れるかもしれないので、参考にさせていただく。



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この記事へのコメント
 高校生でもビブリオバトルが出来るんですね。
 今、私の高校で図書館祭(小学校からさほど変わらないスタンプ制)を開催しているのですが、なかなか参加者が集まらずこのままだと参加者全員が賞品を貰えそうな寂しい状況です。
 司書の先生から何かアイデアはないかと言われていたのですが、ビブリオバトルは図書館を活性化させる起爆剤になりそうです。
Posted by 芹沢 at 2014年11月19日 18:45
退出ゲームの作者は、初野晴さんです。
少し気になったんで書き込みました…
Posted by けんと at 2014年11月23日 10:39
>けんとさん

 ご指摘ありがとうございます。修正させていただきました。
Posted by 山本弘山本弘 at 2014年11月25日 17:26
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