2013年02月24日

日本SF作家クラブ設立50周年記念出版『SF JACK』

 日本SF作家クラブ設立50周年を記念する、SF作家12人によるオール書き下ろしアンソロジー。角川書店より3月1日発売。
 収録作品は次の通り。

冲方丁「神星伝」
吉川良太郎「黒猫ラ・モールの歴史観と意見」
上田早夕里「楽園(パラディスス)」
今野敏「チャンナン」
山田正紀「別の世界は可能かもしれない」
小林泰三「草食の楽園」
瀬名秀明「不死の市」
山本弘「リアリストたち」
新井素子「あの懐かしい蝉の声は」
堀晃「宇宙縫合」
宮部みゆき「さよならの儀式」
夢枕獏「陰態の家」

 昨日、見本が届いたので、ひと晩で一気読みしました。
 冒頭の冲方丁「神星伝」がとにかく傑作! たった48ページの中に、長編アニメ1本分ぐらいのストーリーとアイデアを詰めこんだ和風ワイドスクリーン・バロック。クライマックスは巨大ロボ戦だ!
 話自体はアニメとかでよくある要素の寄せ集めなんだけど、世界観と文体が独特で楽しい。読みながら、『ファイブスター物語』や『ブラックロッド』を連想してたんだけど、読み終わってしばらくしてから、はたと気がついた。

 これって『ニンジャスレイヤー』だよ!(笑)

「アッパレ=ナリ!」という掛け声とか、絶対意識してる。あれを冲方風にアレンジしたらこうなるんだ。うん、すごく面白い。

 上田早夕里「楽園(パラディスス)」は、シミュレートされた死者と対話できる近未来の技術を描いた話。これはじきに現実になりそうだな。
 山田正紀「別の世界は可能かもしれない」は、『アルジャーノンに花束を』のサスペンス版という感じ。現代の脳科学から連想される架空理論の炸裂は、まさに山田氏特有の味。
 宮部みゆき「さよならの儀式」は、泣けるロボットもの。
 夢枕獏「陰態の家」は、これまた作者の持ち芸とも言うべきオカルト・ハンターもの。
 他にも、どの作家もそれぞれの持ち味を色濃く出しています。

 ちなみに僕の作品は、昨年、僕の身に実際に起きた事件からヒントを得て、未来の話に置き換えたもの(とは言っても、実際に体験したのは冒頭のシチュエーションだけなんだけど)。
 こういうテーマは一般小説では扱いづらい。SFだからこそ真正面から書けるんですよね。
 これも読んでいただければ、「いかにも山本弘だな」と思ってもらえるはず。


 この日本SF作家クラブ設立50周年記念出版、他にも『日本SF短篇50』(早川書房・全5巻)の刊行がスタート。1963年から現在までの、日本SF作家の代表作50本を収録したアンソロジー。僕の作品も5巻に収録予定です。
http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/21098.html

 ちなみに1巻に小松左京氏の作品が入ってないのは、2巻に「ゴルディアスの結び目」が入るからです。


タグ :PRSF

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この記事へのコメント
 アイエェェェ!
 ・・・まさかここで忍殺が話題になろうとは(^^;

>和風ワイドスクリーン・バロック。

 あー、ワイドスクリーン・バロックというより包括的な概念なら忍殺世界もくくることが出来ますね。
 サイバーパンク+FT要素という組み合わせ自体はゲーマーには馴染みのものなので、ついそれ以上にあの世界を語る言葉を探す努力を怠っておりました(^^;。まぁ、仲間内では
「『TORG』が版上げした場合の『ニッポンテック』」
で通じるからなぁ・・・
 それにしても豪華なアンソロジーで、3月の楽しみが増えました。
 サヨナラ!
Posted by 魔道化マミった at 2013年02月28日 17:23
「リアリストたち」読みました。
個人的には白黒はっきり決着が付かない灰色な印象の作品でしたね。
双方の主張にそれぞれ頷ける部分と頷けない部分があるだけに。
ただ、ラストに主人公が自分の選択を後悔する日が来るのだろうかと
自分の信念を疑ってみる気持ちを捨ててないところは確かに山本先生の作品らしいです。

ところであの話の冒頭のような事が昨年あったとの事ですが、
また「ジェライラの鎧」の時のような事があったのですか。
抗議を恐れての過剰な自主規制は差別を無くすどころか逆に差別でしょうにね。
(そのくせ本当に差別的な意図で書かれた内容の本(しかもノンフィクション)が書店に出回っている事があったり……)
現実はフィクションよりも理不尽な事があるもんですね。本当に。
Posted by ドードー at 2013年03月02日 17:15
>ドードーさん

 すみません、その件についてはまだ話せないんです。決着がついたらこのブログで一部始終を公開します。
Posted by 山本弘山本弘 at 2013年03月14日 15:05
まさかこのような事になるとは……。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150824-00000036-mai-soci

作家としては優れていましたのに、私生活がダメだったんですねぇ。
せっかく才能があるんですから潔く罪を償ってもらいたいものです……。
Posted by ドードー at 2015年08月24日 15:13
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