2012年06月13日

第21回日本トンデモ本大賞決定!

 6月9日、新宿ロストプラスワンで「第21回日本トンデモ本大賞」が開かれました。
 と学会エクストラの途中、発表に用いる書画カメラが故障するというトラブルがあり、どうなることかと思いましたが、何とか乗り切ることができました。ご来場者のみなさま、ニコ生でご覧になっていたみなさま、ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
 故障の原因は不明です。リハーサルでは機材に問題なかったはずなんですが……もしかしたら、その前にやった川口友万氏によるイオノクラフトの実演の際に発生したノイズのせいではないか、というのが、仲間内のもっぱらのうわさです。川口氏の解説にもありましたが、あれ、高電圧使ってるんですよね。楽屋裏では「なるほど、これがUFOの電磁効果か!」と冗談を言ってました。
 イオノクラフトというのは、帯電した空気を下向きに加速することによって浮上するという、きわめて単純な原理の飛行物体です。60年代に日本で「空飛ぶ円盤の飛行原理ではないか」と言われていて、何度かテレビでも紹介されていました。『空中都市008』にも「アイオノクラフト」という名で登場してましたね。 最近は「リフター」とか呼ばれてるらしいんですが……まあ、50年も前から研究続けてて、いまだに実用化しないようじゃ、望みは薄そうですけどね。
 僕は実物を目にするのは初めてで、リハーサルで見て「これがイオノクラフト!」と興奮しておりました。ちなみに本番では一発で浮上しましたが、リハーサルではなかなかうまくいかず、電極の間でバチバチ放電してました。
 ちなみにUFO=イオノクラフト説を唱えていた内田秀男氏(工学博士)は、あのヘンリー・C・ロバーツ『ノストラダムス大予言原典 諸世紀』(たま出版)の監修をやっています。監修者まえがきを読むと分かりますが、バリバリのトンデモさんです(笑)。

 閑話休題。
 投票結果は次のようになりました。カッコ内はニコ生での投票数で、1パーセントを1票として数えています。

●泉パウロ『本当かデマか 3・11[人工地震説の根拠]衝撃検証』(ヒカルランド)
 53(+55) 計108票
●大川隆法『宇宙の守護神とベガの女王』(幸福の科学出版)
 32(+16) 計48票
●小松正広『UFOと日本人の惑星』(文芸社)
 36(+23) 計59票
●竹本忠雄『秘伝ノストラダムス・コード』(海竜社)
 3 (+7) 計10票

【ノミネート外作品】
「はりきり切手大将」 1票

 というわけで、今年度の日本トンデモ本大賞は、泉パウロ『本当かデマか 3・11[人工地震説の根拠]衝撃検証』と決定しました。
 著者は純福音立川教会の牧師さん。東日本大震災はフリーメーソンが起こした人工地震だとか、9・11同時多発テロは自作自演だとか主張する本です。同様の本はベンジャミン・フルフォードやリチャード・コシミズも出していますが、この本がユニークなのは、列挙されている陰謀の証拠の数々です。
 たとえばACの「ポポポポーン」のCM。著者によればACとは「アンチキリスト」であり、「ポ」はポロニウムの略で、4回の「ポ」は4基の原子炉の破壊を意味するのだそうです。 出てくる動物にしても、ウナギはナマズに似ているから地震を意味しているとか、ネズミは食糧難だとか、マンボウは津波による死者だとか、いちいちこじつけています。
 映画『世界侵略:ロサンゼルス決戦』のポスターに「03.11.11」という公開日が書いてあるのも、ドラマ『HEROES』のOPで「O」の字がぴかぴか光るのも、東日本大震災を事前に予告していたのだそうです。『ターミネーター2』に「CAUTION 9'11"」という文字が出てきたり(9フィート11インチの高さ制限なのですが)、ハリウッド版『Godzilla』の一場面で時計の針が9と11を指しているのも(8時55分です)、9・11同時多発テロを陰謀組織が事前に警告していたのだそうです。
 秘密のはずの計画をなぜわざわざ映画にして事前にバラさなきゃいけないのかは、さっぱり分かりません。
 他にも、原発が爆発するシーンのある黒澤明監督の『夢』はもちろん、『新世紀エヴァンゲリオン』『秘密結社鷹の爪』『ザ!鉄腕!DASH!!』などもフリーメーソンの作った番組で、震災や原発事故を事前に予告していたのだそうです。『宇宙戦艦ヤマト』は放射能除去装置が実在することを示しているらしいです。
 最新刊の『驚愕の対策 3・11人工地震でなぜ日本は狙われたか[Ⅱ]』(ヒカルランド)では、さらにエスカレートして、『ドラゴンボール』『ONE PIECE』『アンパンマン』『ウルトラマン』『魔法のプリンセス ミンキーモモ』などもフリーメーソンの陰謀にされています。「円谷」という名はコンパスと定規を意味し、フリーメーソンのシンボルなのだそうです。フリーメーソンは『ミンキーモモ』の放映に合わせて地震を起こしているのだそうです。


 その他のノミネート作についても簡単に。

●『宇宙の守護神とベガの女王』は、大川隆法氏が中学生の次女の過去世である「宇宙の守護神」を呼び出して語らせるという内容。宇宙の守護神の姿は、二本の腕があってお尻から火を噴くモスラで、惑星連合とALSOK契約を結んでいて、敵と戦う時には宇宙戦艦ヤマトみたいな姿に変身するそうです。目から光線を出したり、口から超音波を出したり、お尻からうんち爆弾を落とせるそうです。
 僕が言ってるんじゃないですよ。宇宙の守護神が自分でそう言ってるんですから。娘さんも「私が誤解されてしまいます」と困ってしまっています。女の子なのに、前世がお尻から火を噴くモスラじゃねえ。
 長女の過去世である「ベガの女王」の方は、さすがに女王だけあって美しいのですが、ブタに囲まれて踊っています。

 
●『UFOと日本人の惑星』は、子供の頃から何回もUFOに誘拐されては記憶を消されていたことに気づいた著者が、よみがえった記憶を書きつづった本。これだけならよくある話ですが、この本がユニークなのは、全編、5・7・5・7・7で書かれていること。「UFOで/欠席したから皆勤が/飛んだと抗議すでにしていた」といった具合。何の必然性があるのかよく分かりません。著者はこれを「叙事詩」と呼んでいます。
 UFOの中でヒトラーに出会ったというくだりもあるのですが、なぜかヒトラーは食べるものに困っているらしく、ホテルの残飯をあさっていたそうです。


●『秘伝ノストラダムス・コード』は、ヴライク・イオネスク『ノストラダムス・メッセージ』の訳者が、自分でもノストラダムス解釈に挑戦した本。日本で出たノストラダムス本の中でも最高の厚さを誇ります。しかし内容はハチャメチャで、碑文を縦読みして「SIPR」という文字列を見つけ、それを根拠にノストラダムスがシオン修道会の総長だったと結論します。他にも、「ローザンヌ」という地名がアメリカのことだと言ったり、nepveuとPontifeという単語を合わせて「ニッポン」と訳したりします。
 ノストラダムスは福島第一原発の事故も予言していたと主張しているのですが、著者の訳文は、16世紀のフランスの詩のはずなのに、「原子核」「ウラン238」「中性子」「原子炉」「ベータ線」「核分裂」といった単語が頻出する、むちゃくちゃな超訳です(もちろん原文にそんな単語はありません)。
 ちなみに著者は筑波大学名誉教授です。


 ノミネート外で投票されていた「はりきり切手大将」は、と学会エクストラで新田五郎氏が発表した子供向きのホビーマンガ。1981年に『少年チャレンジ』に掲載された作品です。プラモとかゲームとかだと盛り上がるけど、切手収集はマンガの題材としては無理があるのがよく分かります。



同じカテゴリー(トンデモ)の記事画像
これがイルミナティ・カードだ!
「ちきゅう」陰謀説のバカさ加減
誤解されているスティーブ・ジャクソン
日本トンデモ本大賞2010
告知「日本トンデモ本大賞前月祭2009」
同じカテゴリー(トンデモ)の記事
 「山本弘が血液型性格判断を否定するのは儒教の影響だったんだよ!」(笑) (2015-06-12 13:34)
 ムー愛読者はと学会を経てネトウヨになる? (2014-10-25 16:58)
 原田実『江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統』(星海社新書) (2014-10-06 10:54)
 第22回日本トンデモ本大賞決定! (2013-06-11 18:54)
 コミケにトンデモさん襲来 (2012-08-16 12:21)
 日本トンデモ本大賞2011 (2011-06-16 18:55)

この記事へのコメント
まずはお疲れ様でした!
今回は遺憾ながら行けませんでしたが、ニコ生で少しだけ拝見しました。
大川隆法氏は去年に大賞を受賞なされましたが、2年連続優勝はなりませんでしたね。(それでも3位ですが)

『秘密結社鷹の爪』、自分が注目している作品が取り上げられると思わず顔が綻んでしまいます。しかし作者のFROGMAN氏は、『鷹の爪』以外でも時事風刺で原発について、ブラックなギャグをやっていたのですが…(「独立愚連広報部」で、ミスユニバースがいうほど美人じゃなかったり、ハリーポッターがお色気作品になったりという想定外なことがあるたび原発が臨界事故を起こすという内容でした。ぜひご覧あれ)
発表の時に機械のトラブルというのは非常に冷や汗を掻きますよね!(力説)私も会社のパソコンが変になって、修理に出したのが今日直ったばかりです。
Posted by 村川順泰 at 2012年06月13日 13:50
先生、そして「と学会」の皆様、お疲れ様でした。あぁ、行きたかったですね…ウッカリして「ニコ生」の方も観るのを忘れてしまったという大失態…勿論、二重にクヤシイですッ!!

…それにしても「一見マトモに見えるし、世間からもマトモだと評価されてるけど、実はトンデモ(とさして変わりはない)」という本も勿論、ありますし、またそれらを実際に読んだら(採り上げたら、爼上に載せたら)面白いものだって(幾つも)在る筈ですが…そういうものを採り上げるおつもりはございませんか?
Posted by DRAKO(ドラーコ) at 2012年06月13日 23:14
お疲れさまでした。
イオンクラフトは高電圧ですけど、さすがにあの距離でプロジェクター壊すほどの威力はないです~。
マイクにもノイズ入らなかったし真横の確認用モニターにもノイズ出なかったので、ケーブルの接触だと思います。
でも面白いので、UFOの電磁効果ということにしときましょう! こわいなあ、UFO。
Posted by 川口友万 at 2012年06月14日 14:45
お疲れ様でした。

大賞作品において「菅直人の水の飲み方はペ・ヨンジュンと一緒だ!」というくだりがありましたがアレは何もペ氏だけじゃなくてあの国のマナーなんだそうです。だからってそれを根拠にあの国の工作員だ!とか言うのは失笑モノですが。

…そんな阿呆な理屈を使わなくてもヤツを首相にしてはいけなかった理由として「どうしようもない無能だから」で充分でしょうw
Posted by Xbeta at 2012年06月15日 06:04
>DRAKO(ドラーコ)さん

 いや、これまでも何度か「世間からもマトモだと評価されてるけど、実はトンデモ」という本は取り上げてますよ。武田邦彦氏の『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』の内容がデタラメだらけだということを、出版物で最初に指摘したのは僕のはずですが。

>川口友万さん

 もちろんあれは冗談で言ってます。ただ「電磁効果」のせいにした方が面白いだろうと(笑)。
Posted by 山本弘山本弘 at 2012年06月21日 16:15
>>山本弘先生

あぁ、そうでしたね…すいません、ウッカリというか、失念してました…
Posted by DRAKO(ドラーコ) at 2012年06月22日 17:06
フリーメーソンがワンピースとかウルトラマンとかミンキーモモ作ったとかどんな妄想力してんだwwwwwww
このブログを思い出してしまった
http://kontongimon.hatenablog.com/entry/2015/10/06/090036
http://kontongimon.hatenablog.com/entry/2015/10/20/023544
Posted by All at 2015年12月03日 23:51
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。