2011年07月20日

『MM9―invasion―』

 早いところではもう書店に並んでるかな? 『MM9』の続編『MM9―invasion―』が発売です。
 前作の表紙には、編集部の意向で怪獣は描かれなかったんですが、今回はもろに怪獣が表紙です。作中にで大暴れする怪獣6号(のちに「ゼロケルビン」という固有名がつきます)を、開田裕治氏がすごくかっこよく描いてくださいました。

 僕のイメージでは、6号はボスタング+ガラモン+ガンダー+ベムスター+ガゾートなんですが、この絵では白と黒の配色がゼットンっぽくて、さらに素敵ですね。

 ストーリーは――

 前作から6年後の2012年。眠りについたヒメを北海道に輸送しようとしていた自衛隊のヘリコプターが、謎の青い火球と衝突して霞ヶ浦に落下する。
 深夜、謎の声に導かれて霞ヶ浦に向かった高校一年生の案野一騎は、そこで復活したヒメと宇宙怪獣の戦いを目撃する。
 ヒメに憑依した地球外知性体ジェミーは、テレパシーで一騎に告げる。チルゾギーニャ遊星人が地球侵略を企んでいると……。

 ぶっちゃけた話、前作を書いた時は、あの世界に宇宙怪獣がいるかどうかは決めていませんでした。というのも「神話宇宙」という設定(当然、天動説的世界観のはずなんですが)の中で、他の惑星や地球外生物の存在をどう位置づけていいのか、まだよく分からなかったからです。だからとりあえず、宇宙怪獣の存在には触れないようにしました。
 また、続編を書くつもりはまったくありませんでした。あの結末の後では何をつけ足しても蛇足になる、と思ったからです。それに、前作と同じことをやるのでは、続編の意味がありません。続編を書くのなら、まったく違う話、前作を上回る内容でなければいけない、と。

 続編の構想を思いついたのは2年前のことです。
 ある同人誌でも書きましたが、実は『MM9』はドラマ版より先にアニメ版の企画があったんです。いろいろあって現在はペンディングになってますけど。
 しかし、2クールぐらいのテレビアニメにするとなると、原作だけではまったく分量が足りません。だいたい原作の1話分がテレビの30分ぐらいの分量ですから。
 そこで最初の打ち合わせの後、シナリオの叩き台として、26本分のプロットを自分で書いてみました。2009年の1月のことです。なるべくバラエティに富んだ内容にしようと、ホラーとかコメディとか、いろんなパターンの話を考えました。
 ちなみに、この時にテレビアニメ用に考えたプロットのうちの3本は、かなりアレンジして、『ザ・スニーカー』に連載された『MM9 怪獣のいる風景』に流用しています。(こちらもいずれ単行本化の予定。現在、加筆中)

 その26本のプロットの中に、邪悪な異星人が地球侵略のために宇宙怪獣を送りこもうと企んでいて、それを知った善意の精神生命体が、地球人の女性に憑依して警告を発する――という話があったんですね。ヒントになったのは『三大怪獣 地球最大の決戦』と『ウルトラQ』の「宇宙指令M774」です。
 さらに、その精神生命体が二度目に地球にやって来た時、ヒメに憑依し、ヒメの頭が良くなって言葉を喋れるようになる……という展開も思いつきました。
 そこで、はっと気がつきました。

「これ、小説に使える!」

 さらに、異星人や宇宙怪獣が存在する理由や、なぜ異星人が怪獣を使って侵略してくるのか、といった謎も、多重人間原理を応用すればきれいに説明できることにも気づきました。しかも、すごく面白い話になりそうなのです。
 これはもう書くしかない!

 しかし、前作と同じく気特対が主人公では、作品の雰囲気も前作に似てしまいます。そこで案野悠里の息子の一騎(前作では小学生でした)を主役にし、開き直って徹底的にライトノベル的展開にしてやろうと思いつきました。
 ですから今回、一騎とヒメと掛け合いとか、一騎のクラスメートの亜紀子との三角関係とか、ベタベタなラブコメ要素が大きなウェイトを占めています。いやもう、書いてて楽しかったですね。一騎がそのうちフォークでヒメを刺しそうで(笑)。

 もちろん、怪獣も出てきます。
 前作での心残りは、怪獣の都市部での大暴れと、自衛隊とのバトルという、怪獣ものの定番展開を書けなかったことです。今回、クライマックスでは東京に宇宙怪獣6号が出現、ド派手なバトルを繰り広げます。このへんも自分ですっかり楽しんでしまいました。
「ああ、僕が書きたかったのはこれだったんだ!」
 と思ったもんです。

 ちなみに、東京には何度も足を運んで、バトルの舞台になる場所を選びました。
 フィクションの中で初めてあそこを破壊したり、これまで怪獣が襲ったことのないあそこでラストバトルをやったり、いろんなアイデアを盛りこんで、燃える展開になったと自負しています。
 僕と同じく、怪獣の好きな方におすすめします。



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この記事へのコメント
 前の記事で急かすようなことを書いてしまい、失礼いたしました。

 それにしても、山本さん。

>実は『MM9』はドラマ版より先にアニメ版の企画があったんです。いろいろあって現在はペンディングになってますけど。
 しかし、2クールぐらいのテレビアニメにするとなると、原作だけではまったく分量が足りません。だいたい原作の1話分がテレビの30分ぐらいの分量ですから。

 そんなぁ…勿体無いですよ本当に。何らかの形でアニメもやって欲しいです。(個人的には、ニコニコ動画か国立新美術館で)
 以前、TSUTAYAで「MM9」借りましたが、ジャンル分類が「SF」ではなく「国内ドラマ」扱いになっていました。何だか勿体無いです。
Posted by toorisugari at 2011年07月20日 22:09
>僕のイメージでは、6号はボスタング+ガラモン+ガンダー+ベムスター+ガゾート

外見とモトネタからベムスター、能力は以前ザ・スニーカーに書いていたエッセイからペギラかと思ってました。そうか、ガンダーか・・・・・・。
Posted by Rick=TKN at 2011年07月21日 12:42
早速近くの本屋で探してみます。「地球移動作戦」
の新書版は平積みだったので多分すぐ見つかるかと。
前々から気になってたんですがドラマ版「MM9」は山本先生の評価は如何なんでしょうか?
自分はスタッフで期待が大きかった分拍子抜けでした。
Posted by めすくりん人 at 2011年07月21日 16:32
読みました!!

確かに電撃文庫やファミ通文庫あたりにありそうな王道なライトノベル的展開でしたね。
人外の女の子と幼なじみを交えた三角関係っぽい関係とか、個人的にはかなり楽しめましたよ!
そして王道なライトノベル展開的に新キャラとして次なるヒロインが現れるわけですね。
巫女の御星ひかるさんには期待してます。

それにしても「妖怪」という単語を見ると世界観は違えど妖魔夜行を思い出してしまいます。
百鬼夜翔で完結して以来、私の心にはぽっかり穴が空いていましたがMM9がその穴を埋めてくれそうです。
次も楽しみに待ってます。
Posted by ドードー at 2011年07月24日 00:26
インベイジョン初版買ってきました~。と、その前に前作読み返そっと♪

 インベイジョンは途中までネットで読んで笑い転げさせてもらったんですが、やっぱり本に対する愛着があるんで、発売まで待ってみました。創元社のネット戦略は、どんな感じだったんでしょうね。

MM9はやはり、「怪獣ものは購買層を狭める」って編集の意向があったんでしょうか。ビルがゴッソリえぐられてるのは、本編とは関係ない表紙に見えたんですけど、漫画『七夕の国』かと思っちゃいましたよ。

 オレはテレビ特撮には平成から戻ってきたもんで、今回の表紙の怪獣のシルエットが、まんまガゾートにしか見えない…(^_^;)
Posted by ギルス at 2011年07月27日 14:35
> めすくりん人さん

 そうでしたか?私はこんにゃく岩(第二話)やシッポン(第五話)、それに最終回でフルドネラ親子の出来事を見て「可哀想」と言った藤澤(でしたっけ?)に対し、灰田が「人間の都合を持ち出してはいけない」というようなことを言うシーン等、見応えがあったのですが。

 しかし、そういえば山本さんも、「MM9」放送中や終わった後に特にコメントしていなかったですし…違っていたら御免なさい。
Posted by toorisugari at 2011年07月28日 11:43
買いました読みました!

最初から最後までニヤニヤしながら一気読みです。
気特対メインの大人組パートと一騎ら子供組パートの構成は有川浩先生の初期作品を彷彿させますね。
そして想像以上のラノベ感ww
帯にはちゃんと『本格SF+怪獣小説+ライトノベル』て書いておいた方がイイんじゃ…?
刻々と場所を変え、破壊しまくりのラストバトルは壮絶でしたね。宇宙怪獣超強えよ!
しかし…やはり311以降ではこういうスペクタクル描写に何やら色々と考えさせられてしまいます。

愛と正義のSF作家の異名を持つ山本先生が、次回作では何を描いて頂けるのか楽しみでなりません!
ポニーテール萌え&巫女萌えの自分としては新キャラの活躍を期待しておりますがww

チラ見せだけでお預けなんて…く、くやしいっ!でも次も買っちゃう!
Posted by 活字スキー at 2011年08月02日 08:51
昨日読み終わりました。
でも、destructionにつづく  というところを見てあぜん!次巻はいつ頃発売予定なのですか?

どうせ次巻が出るのなら、主人公とヒメとの関係をもうすこしすすめてやってほしいなあ。よろしくお願いいたします。
Posted by 三田皓司 at 2011年08月17日 07:20
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