2011年06月25日

『Dororonえん魔くんメ~ラめら』

 AMAZONでブルーレイ&DVDを検索してたら、けなしているレビューがあった。

http://www.amazon.co.jp/dp/B004VSNC66/

>昔、再放送されているドロロンえん魔くんを見て感動したことを覚えています。その感覚で見たら大失敗しました。
>全然面白くない。
>雪子姫など女性キャラがやたらと色気のあるシーンが多く視聴者に媚を売っているようでガッカリ。
>ブヒアニメはその手の専門アニメがあるのだからそちらに任せていればいい。
>リメイクするなら流行に流されずこの作品の良さをもっと引き出せたはず。
>あとOP。戦隊ものみたいで違和感あり過ぎ。著名な人が歌っているのかは知らないけどこの作品にはまったく合っていないと思った。
>自分の中で良い思い出だった作品が、こんなゴミとして世に出たことが残念で仕方がありません。

 おーい(笑)。
 違うよ! こっちの方が原作のイメージに忠実なんだよ!
『ドロロンえん魔くん』って、もともとこういう話なんだよ!

 今期のアニメ、『花咲くいろは』とか『あの花』とかも良かったんだけど、実はテンションがいちばん上がったのがこの作品だった。
 正直、放映開始前は、「何で今頃『えん魔くん』なんだよ」とバカにしてたんだけど、イヤハヤなんとも、ここまで盛り上がるとは想像もしなかった。
『タイバニ』も米たにヨシトモ氏がコンテを切った第一話がいちばん面白かったし、やっぱりこれは米たに監督の才能なんだろうな。

 あ、未見の方に言っておきますが、このアニメ、むちゃくちゃくだらないです(笑)。とてつもなく下品です。エロいです。
 でも、そのくだらなさに全力投球しているところがいい!

 これを見ていると『そらのおとしもの』とか『To LOVEる』に欠けてたのは「勢い」だというのがよく分かる。ギャグのひとつひとつはしょーもないんだけど、それがすごい密度で機関銃のように打ち出されるもんで、しらけてる余裕がないのだ。変にシリアスとか感動とかを混ぜようとせず、下品なギャグに徹していることに、逆に好感が持てる。
 個人的にいちばん好きなのは、第7話のすってん童子の話。いちおう原作にある話なんだけど、ここまで暴走はしてなかったはず。冒頭、世界中の人間や動物がみんなひっくり返ってるというものすごいビジュアルでいきなり大爆笑、最後は珍しく感動的に終わるかと思いきや、ひどいオチで締める。参った。
 炎天狗と寒天狗の話もすごかった。あの短い話をどうアレンジするのかと思ってたら、やっぱり後半が原作から離れて大暴走。「炎」と「氷」でシンメトリカルドッキングという、米たに監督のセルフパロは、まったく予想外でひっくり返った(いや、えん魔くんの必殺技はゴルディオンハンマーっぽいなとは思ってたけど)。
 他にも、山口勝平に『ジャイアントロボ』のセルフパロをやらせたり、原作では一瞬でやられたエビ天狗・イカ天狗・トコロ天狗が「下駄マシン」に乗ってきたり(OPで3人が「ゲッター走り」してる!)、とことんフリーダム。「ギルギルガンボングランゲンピグドラゴノロンザウルス」という名前が覚えられなくて、「ジェットジャガーチタノザウルス」とか「エロトピアヘイボンパンチザウルス」とかみんなが勝手なことを言い合っているのもおかしかった。
 あと、炎天狗と寒天狗の声が、大塚周夫と銀河万丈だったのはシビレた。
 この番組、ゲスト声優がけっこう豪華なんである。石丸博也、飯塚昭三、家弓家正、大塚芳忠、檜山修之、石田彰、岩田光央、加藤清三……第4話なんて、三ツ矢雄二と日高のり子(タッチと南)だったし。すごい贅沢な使い方してる。

 AMAZONではこんなことを言ってる人もいる。

>個人的な意見で申し訳ないが、一言いいたい。
>大人版もそうだけどさ。
>シャッポじいの声優が、昔のままなら買ったのに…
>ヤッ○ーマンを見習ってくれ。

 えええええーっ!?
 シャポーじいの声が滝口順平じゃないのが不満?
 どんだけ贅沢なんだよ。

 エロいシーンも毎回必ずある。何せ、「セクハラ」なんて言葉がまだ存在していなかった時代の作品ですから。そりゃあもう、アグネスや石原慎太郎にケンカ売ってんじゃないかと思えるほど(笑)。
 先の炎天狗と寒天狗の話でも、原作の「まっかっかだー」をちゃんとやってくれたのは嬉しかった。そうだよ! あそこはカットしちゃだめなんだよ!
 しかし、ここまで堂々とやっちゃうと、逆にいやらしくないんだよね。艶靡ちゃんなんて常に全裸なもんで、見てると感覚がマヒしてきて、逆に服を着てるシーンの方がエロく感じられたりする(笑)。

 でもって、毎回毎回、詰めこまれている、すごい量のおっさんホイホイ。挿入歌が「老人と子供のポルカ」とか「学生街の喫茶店」とか「燃えろいい女」とか「ハチのムサシは死んだのさ」とか、もー泣けてくる。
 背景の看板に「おはようございますの帽子屋」と書いてあったことも。
 毎回、OPの前にやるなつかしの番組のパロディも楽しみ。『ミラーマン』『ファイヤーマン』『ジャンボーグA』『スペクトルマン』『鉄腕アトム』『マグマ大使』……『サンダーバード』のパロの時は、1号役の雪子姫が上昇する時に、ちょっとだけ横に回転するのが芸コマである。
 なんか完全に「若い奴は分からんでいい」というシフトになってないか?

 最終回もすごかった。
 いきなり『幻魔大戦』パロや『チキチキマシン猛レース』パロで幕を開け、その後は怒涛の永井豪パロの連発。『獣神ライガー』とかまで!
 これまでも『マジンガーZ』とかのパロはいろいろやってたけど、残ってたネタを一挙に大放出した感じである。
 でもって、クライマックス。

 よっしゃあ、野沢雅子キターッ!!!!!!

 豪華ゲスト声優陣の中に、旧・えん魔くん役の野沢雅子がいないもんで、「最終話のために温存してるのでは?」と予想してたんだけど、その予想が見事に的中して、思わずガッツポーズ。
 しかし、旧・雪子姫役の坂井すみ江まで呼んでくるとは予想外。声がすっかりお婆ちゃんになっちゃってて……まあ、38年前だからなあ。
 とっくに引退してたかと思ってたら、まだ現役でした。そうか、『HEROMAN』のジョーイのお祖母ちゃんか! 気がつかなかった!

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9D%82%E4%BA%95%E5%AF%BF%E7%BE%8E%E6%B1%9F

 まあ、あまりにカオスすぎて、結局、どういう話だったかよく分からなかったりするんですが(笑)。そういういいかげんなところも含めて、永井豪の世界を見事に再現していたと思うのである。

 古いマンガの映像化、昔のアニメのリメイクというと、変に現代風にアレンジしようとして原作をぶち壊したり、原作とぜんぜん別物に改変してしまったり、あるいは逆に原作を忠実になぞっただけのつまらないものになっちゃったり、失敗作が死屍累々なのだけど、『Dororonえん魔くん メ〜ラめら』はその罠に陥らなかった。
 原作を(派生作品まで)しっかり読みこんだうえで、その精神を踏襲し、カットしてはいけない重要な部分は残し、なおかつ拡大・暴走させてみせた。
 原作リスペクトの最も良い例と言える。

 これからこういうリメイクものを創る人間は、『Dororonえん魔くん メ〜ラめら』を教科書にすべきだと思う。
 もちろん反面教師は映画版『デビルマン』(笑)。
 両者をそれぞれ原作と比較してみると、「何をすべきか」「何をやっちゃいけないか」がよ~く分かると思うんだよね。



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この記事へのコメント
Amazonレビューなんてテキトーにしか書いてない奴が多いから真に受けない方が良いですよ。

> これからこういうリメイクものを創る人間は、
>『Dororonえん魔くん メ〜ラめら』を教科書にすべきだと思う。
> もちろん反面教師は映画版『デビルマン』(笑)。
> 両者をそれぞれ原作と比較してみると、「何をすべきか」「何をやっちゃいけないか」がよ~く分かると思うんだよね。

えん魔くんはともかく、後者は原作と比較するまでもない問題では
Posted by Xbeta at 2011年06月25日 21:02
>原作のイメージに忠実なんだよ!
新作アニメが漫画版を原作として忠実につくられているのは同意ですが、旧アニメ版・漫画版も同じ企画から生まれたものですので、「原作のイメージがこれ」というのは違うと思います。
Posted by 雪子ヒゲ at 2011年06月25日 23:26
私が「昔、寝ている間に宇宙人に誘拐され、人体実験された」状態になってるんですかね。

私の記憶している「えん魔くん」は
1:事件を起こした妖怪とバトルする、というのが基本フォーマットである。
2:バトルシーン自体、結構過激な表現があり、えん魔くんも何回か死んでしまうが、回数制限有りで生き返ることが出来る。
3:画面の雰囲気、色合いはかなり不気味。特に「TVまんが」であるにもかかわらず、空の色が暗い。
4:妖怪の起こす事件はたわいもない物が多いが、辻真先氏が担当した回等は、人間の暗部を絡めたエグイ話も散見する。
5:上記の要素と、雪子姫の「履いてない」ネタなどのお色気と、永井氏独特のナンセンスギャグを上手く絡めていた。
6:1~5の結果、ある種独特な雰囲気が形成され、26話で打ちきられたものの、「記憶に残る」作品となった。

と言う物ですが。

正直な所、早急に再見する手段、時間はなさそうなので、どなたか記憶違いの部分をを指摘していただけると幸いです。
Posted by nns at 2011年06月26日 08:22
>「何で今頃『えん魔くん』なんだよ」とバカにしてたんだけど

 私もです…
 おかげでかなり見逃してしまいましたが、そこまでノリノリでしたか。
 しかし、
>毎回、OPの前にやるなつかしの番組のパロディも楽しみ。『ミラーマン』『ファイヤーマン』『ジャンボーグA』『スペクトルマン』『鉄腕アトム』『マグマ大使』……『サンダーバード』のパロの時は、1号役の雪子姫が上昇する時に、ちょっとだけ横に回転するのが芸コマである。
 なんか完全に「若い奴は分からんでいい」というシフトになってないか?

 …全然言われるまで分からなかった私は、作品を愛する資格が無いのでしょうか?「若い奴は分からんでいい」ままなのもどうかと思いますので。(弱気)

 どうでもいい余談ですが、野沢雅子さん、とある蛙男映画にて「豪華な効果音」役としてご出演されていましたね。「大物声優を効果音で起用だなんて」などと、作者の自作自演で言われていました。妙に印象に残っています。
Posted by toorisugari at 2011年06月26日 20:48
ある程度元ネタを理解した上でそれでも今ひとつ乗れなかった
自分としては、これでええんかいなと思わんでもないです。
そりゃ色々考えて作りこんでるのは分かるんですが……。
Posted by 空彦 at 2011年06月27日 14:05
> イヤハヤなんとも、ここまで盛り上がるとは想像もしなかった。
そこはできれば「イヤハヤ南友」と書いて欲しかったところです(^^;
Posted by 雷カノ at 2011年06月27日 15:53
初めまして。自分も『えん魔くんメ~ラめら』大変楽しく観ました。
妖怪マタサ鬼の回で「あ、ひびが入った」ってセリフがなかったのだけ残念です(笑)

しかし、全体的にはとても楽しかったです。
『イヤハヤ南友』とかこのスタッフでアニメ化しないもんでしょうかw
Posted by 涼影 at 2011年06月28日 17:12
真と言いながら何でその作品を選択したのか意義が分からない上一話一話も面白くなく続きが無い投げっぱなしリメイクばかり、と憂えてみますが思い当たるのは仮面ライダーとマジンガーしかありませんでした
そんなんならない快作が出来て良かったです
さすがに(ブヒアニメやまどマギを買わず)Blu-rayを買おうとは思いませんがレンタル出てたら観てみようかと思います
頭が子供なので露骨にHぶちまけられる豪イズムは(家に置いておくのが)苦手ですの
せめてメカやギャグや布団にくるめて吹っ飛んでほしいです(パンツじゃなくても恥ずかしいです)
Posted by 八雲和王 at 2011年06月28日 22:45
 追記いたします。
 とある蛙男映画、更には滝口順平さんと銀河万丈さんも「豪華な効果音」扱いされていました。ハハハ。
 それはそうと、今夜からいよいよ「アイドルマスター」アニメスタートですね。ロボットものになったり以前山本さんが最新作について批評していたりした作品ですが、いろいろ気になっています。
Posted by toorisugari at 2011年07月07日 22:53
 更に追記失礼いたします。
 立ち読みでしたが「Dororonえん魔くんメ~ラメラ」について、うるし原智志氏がコメントなされていました。「雪子のノーパンは外せない」等のこだわりが書かれていました。成程。
Posted by toorisugari at 2011年07月08日 10:52
勢いがある。という点でつながっていると思うので、すいませんがコメントさせてください。
ほぼ10年ぶりぐらいにTVアニメを見ました。
輪るピングドラムです。
凄まじく勢いがあるように感じました。面白かったです。
えんまくんもこれくらいに、勢いがあるんですか?
…って言うか、タイムスリップしたような気分です。最近のアニメってどーなってるんでしょう…。

すいません。誰かと語り合いたいのですが、オタクの知り合いがいないのです。
Posted by 7 at 2011年07月13日 16:11
はじめまして

この作品ニコニコ動画でコメントつきで見るのが一週間の楽しみでした
横着なのですが調べたりしなくても元ネタを誰かがコメントしてくれてるのがよかったです
久々に頭空っぽで楽しめるアニメでした

最後に『そらのおくりもの』ではなく『そらのおとしもの』
だと思うのですが…
Posted by ししゃも at 2011年07月27日 17:48
アマゾンのレビューはしょーもないのが多いですが、”ベスト100レビュアー”に認定されるぐらいの人のレビューは圧巻。
中でもSF関連多数で60Pに渡る、「ゴルディアス」さんという方の膨大なレビューがすごく面白い。眺めるだけで3時間ぐらい経っちゃいます。
これ読んでまた買っちゃいました(笑)。。

ディーン・クーンツの「ハズバンド」、「人類狩り」、レアなSFで、ロバート・メイスン(誰?)「戦闘マシーン ソロ」など。
Posted by わらリン at 2011年07月27日 20:57
>ししゃもさん

 ご指摘ありがとうございます。うっかりしてました。訂正させていただきます。
Posted by 山本弘山本弘 at 2011年07月29日 21:09
6歳の息子が大好きでした。

意味?もちろんわかっていませんw
それでも(それゆえ?)何度も何度も見ては楽しんでいました。

ちなみに、最初は毎週録画していたのですが、
4話目位から妻が録画予約を消すようになってしまいました。
いわく「下品だから見せたくない」とのことです…。

うは、否定できない!

でも、それでこそ永井豪作品!!!
と思ったものです。

※間違えたふりして最終話だけは録画した父に感謝しなさい。
大人になってからでよいからね。
Posted by ひまこ at 2011年08月01日 17:50
>ひまこさん

>※間違えたふりして最終話だけは録画した父に感謝しなさい。
大人になってからでよいからね。

 粋!!!
Posted by toorisugari at 2011年08月07日 15:38
初めまして。遅ればせながらコメントさせていただきます。
私は原典である「ドロロンえん魔くん」を知らない世代なのですが、それでもこのアニメは面白かったです!
毎週夜中に爆笑を抑えるのに必死でした。
私が思うに「Dororonえん魔くん」でリスペクトしていたのは、いわゆる懐かしネタだけではなく、
その奥にある魂のようなものではないでしょうか。
ギャグとアクションとお色気と。
“あの頃のぼくたち”が大好きだったものがこれでもかとばかりに詰め込まれた、そんな作品でした。

ちなみに、山本さんの記事に触発されて実写版「デビルマン」も見てしまいました。
なんと言うか…原作を知る知らないに拘らず、面白いものとそうでないものって分かるものですね!
Posted by 闇鵺 at 2011年08月25日 02:04
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