2015年09月15日

鬼怒川決壊をめぐるデマ・3

 今回は非常に微妙な問題を扱う。というのも、まだ真相が分からない部分があるからだ。

鬼怒川堤防について
http://togetter.com/li/871943

 最初に注意しておきたいのは、このタイトルはまとめ主が後から変更したもので、最初のタイトルはこういうものだった。

【デマ注意】「鬼怒川堤防はソーラーパネル業者が削った」「事業仕分けでスーパー堤防が廃止された」→対象外です
https://www.reddit.com/r/newsokur/comments/3kdf81/

 内容も大幅に変更され、別物になっている。幸い、まとめ主さんは魚拓を残してくれていて、元はどんなものだったかが分かる。

https://archive.is/quCMH

 このデマが拡散したきっかけは、10日の15時にアルファルファモザイクが「鬼怒川の堤防決壊、太陽光発電設置のために堤防を削ったことが一因ではないかと話題に」と報じたことだった。

http://alfalfalfa.com/articles/130779.html

 注意深く読むと分かるけど、このアルファルファモザイクが引用した書きこみ、「その場所の今をご覧ください」とあるだけで、この場所で堤防が決壊したとは明言していない。しかし、多くの人が「この地点で堤防の決壊が起きた」と誤解してしまった。
 実際にはグーグルアースで見ると、ソーラーパネルの位置と決壊地点は、直線距離で約4km離れている。

 ソーラーパネルの建設地点で起きたのは「越水」(水位が堤防を越えてあふれること)であり、「決壊」は起きていなかった。
 ちなみに朝日新聞の報道によれば、この日、他にも上流の二ヶ所で越水が起きていたという。

記録的な豪雨、改修予定の堤防襲う 鬼怒川決壊
http://www.asahi.com/articles/ASH9B5JTLH9BUTIL034.html


 さて、このTogetterのコメントで気になったのは、「ネトウヨの言うことは100%デマです」「また、ネトウヨがデマ流したのか」などと、ネトウヨのせいだと決めつける声があったことである。僕はそれは違うんじゃないかと思った。太陽光発電を嫌いな人がみんなネトウヨなわけじゃないだろうと。
 だから、こうコメントした。

>ネトウヨじゃなくて、「太陽光発電が嫌いな人」が流したデマじゃないのかな?

 そう思ったのは、以前から、太陽光発電を貶めるデマがしばしば流れていたのが気になっていたからである。たとえばこういうの。

「今時の台風で日本中のソーラーパネルがどういう末路を辿ったかキチンと報道すべき」→台風被害と無関係のまで台風被害の様に扱ってるぞw
http://togetter.com/li/693652

 昨年7月の台風8号の直後、破損したソーラーパネルの写真を4枚並べて「今時の台風で日本中のソーラーパネルがどういう末路を辿ったかキチンと報道すべき」とツイッターで流した人がいたのである。それを信じて拡散した者も多かった。
 だが、「今時の台風」の被害とされる写真のうち、1枚は同年2月の豪雪によるもの、1枚は同年6月の豪雨で流された流木によるもの、1枚は無資格工事で取り付けられたパネルが台風で落下したもの。
 残る1枚は2012年9月の台風17号で被害を受けた沖縄の写真。この時は那覇市で最大瞬間風速61.2メートルを記録、大型トラックが横転するなどの被害も出ている。そりゃあソーラーパネルだって飛ぶだろう。
 世の中にはこういう、「太陽光発電が嫌いな人」がいる。だからネットに流れる素人の情報をうかつに信じるのは危険だ、と思ったのである。

 その後、「昨年3月下旬、民間事業者が太陽光発電事業を行うため、横150メートル、高さ2メートル部分を削った」とマスメディアで報じられたことで、いっぺんに、「デマじゃなかった!」という声が広まる。

【続報】鬼怒川氾濫のソーラーパネル問題、デマじゃなかった!堤防が2mも削られていた模様
http://togetter.com/li/872100

 いや、ちょっと待ってほしい。このまとめでも指摘されているが、「ソーラーパネルのせいで『決壊』した」という最初の話は、結局デマだったのだ。最初にデマを拡散した人たちが「デマじゃなかった!」と開き直るのはおかしくないか?
 無論、越水によって被害が拡大したのは事実だ。しかし、水害の多くはソーラーパネルの建設と無関係な堤防決壊によるものである。水害の責任をすべてソーラーパネルのせいにするのはおかしい。
 誤解しないように。僕はこの民間事業者を擁護するつもりはない。越水が起きたのが自然堤防を削る工事をやったせいだとしたら、それは糾弾すべきだ。
 しかし、素人の判断で性急に決めつけるのは危険だ。

 先のテレ朝のヘリの話や、差別デマの話と違うのは、今すぐ結論に飛びつかなくてもいいということだ。
 デマの拡散は急いで防ぐ必要がある。しかし、すでに水害は起きてしまったのだから、今すぐに責任を追及しても、被害が減るわけではない。せめて何日か待って、もっと情報が集まってから結論を出してもいいのではないか?
 それに、素人による推理は間違いであることが多い。

迷探偵が多すぎる
http://hirorin.otaden.jp/e315536.html

 これまでも、ネット民の早とちりによって、無関係の人や団体が中傷されるという事例がいくつも起きている。それらの多くは、情報をちゃんと確認しようとせず、性急に正義を貫こうとしたために起きたことだ。
 たとえば3年前、大津市のいじめ自殺事件をめぐって、無関係の人が加害者親族と間違えられて誤爆されたことを、みんな忘れてしまったのか?

いじめ問題:やっぱりこんな事件が起きていた
http://hirorin.otaden.jp/e244973.html

 つい数ヶ月前にも、例の神社油まき事件で、無関係の別の教会の代表者が犯人と決めつけられて攻撃されたことを、もう忘れてしまったのか?

彼らは調べようとしない・2
http://hirorin.otaden.jp/e420247.html

 それともみんな、「自分はそんな間違いはしない」と思い上がっているのだろうか?
 まあ、これは以前にデマを拡散してしまったことのある僕の自戒でもあるのだが。

「オーケン伝説」はやっぱり都市伝説だった!
http://hirorin.otaden.jp/e37563.html

 もし間違って、無関係な人を犯人扱いして攻撃したら、重大な誹謗中傷になる。みんな、その恐ろしさを理解していないのではないか。
 情報を拡散するのは大事だが、誰かを犯人だと名指しする情報を発信する場合には、他の情報に比べて何倍もの慎重さが要求されるのではないか?
 ……というようなことを考えていたら、まさに今、そんなことが起きていたと分かった。

弊社が所有する「常総市若宮戸ソーラー発電所」と、
鬼怒川氾濫に関する報道について(ご報告)
http://www.solar-energy-i.co.jp/pdf/info150912.pdf

 今回の一件で非難を受けているソーラーエナジーインヴェストメント社が、問題の自然堤防を切り崩したのは隣接する他社だと言っている。
 僕はここに掲載されている写真を見て、あっと驚いた。

 それまで、鬼怒川水害の写真に写っている水没したソーラーパネルは、しばしばツイッターで流れてきた水害前のグーグルアースの写真に写っているのと同じものだと思いこんでいた。


 実際はソーラーエナジー社のソーラーパネルは自然堤防の西側にあり、濁流に呑まれて見えなくなっていたのだ。映像に写っていたのは、自然堤防の東側にある他社のソーラーパネルだったのだ。
 グーグルアースの写真は古いもので、撮影された当時、まだ自然堤防の東側にはソーラーパネルは建設されておらず、西側のソーラーエナジー社のパネルだけが映っていたのだ。

 まずい。僕は太陽光発電施設が同じ場所に二つあったなんて、そんな基本的なことにすら気がついていなかった。おそらく、同じ誤解をした人は多いはずだ。
 実際、検索してみると、「鬼怒川堤防決壊の原因と言われる堤防を削ったソーラー設置会社ソーラーエナジーインヴェストメント」と、名指しで非難していた人が山ほどいた。「鬼怒川堤防決壊の原因」ではないのだから二重に間違いなのだが、デマを流された同社はたまったもんじゃなかろう。
 素人の推理がもたらしたデマの怖ろしさである。

「デマでなければ拡散してもいい」と思ったら大間違いだ。あなたが「デマではない」と思っているだけで、実は間違いかもしれないのだ。
 繰り返すが、僕は越水を招いた責任者を許してはいけないと思う。しっかり調査して、責任は追及すべきだ。
 だが、急いで「正義」を貫こうとするあまり、関係ない人に迷惑をかけてはいけない。
 そのためにも、慎重さが要求される。

「いいか。世の中で最も危険な思想は、悪じゃなく、正義だ。悪には罪悪感という歯止めがあるが、正義には歯止めなんかない。だからいくらでも暴走する。過去に起きた戦争や大量虐殺も、たいていの場合、それが正義だと信じた連中の暴走が起こしたものだ」(『翼を持つ少女』より
)   
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Posted by 山本弘 at 17:58Comments(19)事件メディアリテラシー

2015年09月14日

鬼怒川水害をめぐるデマ・2

 こういう事件が起きると必ず出るのが差別デマ。今回も出るだろうなと予想してたら、やっぱり、こんなことをツイートしている奴がいた。

>@aki21st 日本を守る!んですよね 徐々に水が引き始めたら 見知らぬ輩が家の様子を伺って回ってるそうです
>そう 阪神・東日本の震災の時に横行した強姦や空き巣を生業としている在日系の暴力集団が既に出始めてるらしいですよ ぜひともSEALDsの組織力で防犯活動してください


>@mom_kafa 震災の時と一緒です 警察が手が回らないので 泥棒団が被災地にやってきます 女性一人で家の中にいることは極力避けてください 強姦も奴らの目的の一つですから
>古くは関東大震災の時からの手口です


 阪神淡路大震災の時に「強姦が多発した」という話が嘘であることは、以前、ASIOS編『検証 大震災の予言・陰謀論』(文芸社)という本で書いたので、そこから引用させていただく。
http://www.amazon.co.jp/dp/4286116778


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 2011年3月11日、東日本大震災発生の直後の午後3時頃から、ツイッターでこんな情報が拡散した。
「阪神淡路大震災のとき、地震で、朝鮮人によるレイプ多発の事実と、放火説があります。みなさん、どうか、どうか周知をお願い致します」
 同じ日の夜にはこんなメッセージも拡散した。
「【警告】これから夜になります。阪神大震災で最後に最大に悲惨に襲った災害は『治安悪化』による『人災』です。大切な人を守って下さい。一人でいる人は、知り合いと小さくても良いのでコミュニティを作ってください。大切な仲間をお互い守るときです。⇒東京は在日朝鮮人、中国人がウヨウヨいます」
 阪神淡路大震災の直後、レイプが多発したという話は、当時、地元の『神戸新聞』をはじめ、『朝日新聞』『日刊ゲンダイ』『報知』『日刊スポーツ』『週刊文春』『現代』『FLASH』など、多くの新聞・雑誌で取り上げられた。
 今回の東日本大震災でも、被災地でレイプが多発しているという話が流れている。仙台市の歓楽街では、「夜間外出する女性を狙ったレイプ集団がいる」という話がキャバクラ嬢などに信じられていた。

■真相
【「レイプ多発」の根拠は1人の女性】
 阪神淡路大震災での「レイプ多発」の記事を調べたライターの与那原恵氏は、おかしなことに気づいた。それらの記事にはどれも、被害者自身の談話がまったく載っていないのだ。被害者の診療にあたった医師も、事件を扱った弁護士も出てこない。この件について『週刊文春』に寄稿した女性ライターも、被害者に直接会ったことはなく、「知り合いの保健婦から聞いた」「知人の恋人が被害に遭った」という伝聞でしか知らなかった。
 さらに与那原氏は、「レイプ多発」の話の情報源がたった一人の人物であることに気づく。「女性のこころとからだ」という電話相談を主宰するHという女性だ。Hさんの話によれば、24時間電話を受けられるように、事務所にはカウンセリングのスタッフを9人置いたという。彼女がマスコミなどに提出したデータによれば、震災の翌月の2月17日から電話相談をはじめ、4ヶ月間で1635件の電話相談があり、うち37件がレイプやレイプ未遂に関するものだったという。
 しかし、奇妙なことに、同じような電話相談を受け付けている関西の他の団体には、そのような報告がまったくないのだ。「ウィメンズネット」「被災女性を支える女たちの会」「性暴力を許さない女の会」「みずグループ」といった女性団体、YMCAが中心となって開設した「犯罪被害者相談室」、兵庫県「こころのケアセンター・震災ストレスホットライン」、いずれも震災後にレイプに関する電話相談はゼロ。唯一、「兵庫県立女性センター」に1件だけあったが、それも相談者が途中で切ってしまったので内容は分からないという。それなのに「女性のこころとからだ」にだけ37件ものレイプに関する電話があったというのは、きわめて不自然だ。

【根拠がなかったレイプ件数】
 与那原氏はHさんに会い、いくつもの矛盾を問いただす。
 Hさんは電話相談をはじめる際、避難所などに3000枚のチラシを撒いたと言っている。だが、そのチラシの実物を見た者がいない。Hさんは「最初は百枚だったかな」と言う。
 また、Hさんは2月17日から電話相談をはじめたことになっているが、実際は震災直後から知り合いの家に避難していて、落ち着いたのは4月か5月だという証言がある。Hさんは「始めた時期はちょっとはっきりしないわ」と言葉を濁す。2月から電話相談をはじめたのではないなら、2月からのレイプ件数のデータもウソということになる。
 事務所にスタッフを9人置いていたというのもウソで、電話は1台しかなく、すべて自分1人で受けたとHさんは認めた。
「この相談件数もレイプ相談の内容もまったく根拠のないものだと、そういうことですね」と与那原氏が確認すると、Hさんは「あなたがそう思うなら自由に書いてもらっていいですよ」と答えた。
 また、Hさんは震災の日、自宅で家族とともに被災し、夫は本棚の下敷きになっていたと言っていた。だが、Hさんの夫の証言では、彼女は震災の時に家にはいなかったし、彼は本棚の下敷きになどなっていないという。
 つまり「4ヵ月で37件」の唯一の根拠である女性の証言は、きわめて信用ならないのである。

【統計が否定する「レイプ多発」】
 ただし、これははっきり言っておかなくてはならないが、阪神淡路大震災の直後にレイプ事件がまったくなかったわけではない。
 1995年、兵庫県警が認知した強姦事件は57件。これだけ見ると多いようだが、その前年の94年も57件だった。震災の被災地にある14の警察署に限っても、1月から11月の間に強姦の認知件数は15件、前年の同時期は19件。つまりレイプは確かにあったが、増えてはいないのだ。
 強姦事件は被害者が届け出ない例が多いので、実際の件数はこの数倍あると思われる。実際にはいつもの年より多かった可能性もないではない。しかし、統計上、震災後に強姦事件が増加したという証明がない以上、「震災直後にレイプが多発した」と主張するのは根拠のないデマである。
「犯人は朝鮮人」という話に至っては、まったく筋が通らない。顔つきで外国人と分かるならまだしも、犯人が在日コリアンかどうかは逮捕してみなければ分からないはずではないか。連続レイプ魔が逮捕されているなら、新聞にも載るだろうし、その犯行件数が兵庫県警の統計に反映されていなければおかしい。それとも犯人は「俺は朝鮮人だぞー」と言いながらレイプしたのだろうか?
 レイプ以外の犯罪はどうだろうか。被災地で大規模な治安悪化があったのなら、当然、警察の記録に残っているはずである。しかし、平成8年版の『警察白書』第7章には、前年の阪神淡路大震災の際に、警察が被災地をパトロールして「犯罪防止のための諸対策」を講じたとは書かれているが、治安の悪化についてはまったく触れられていない。同じ年の『犯罪白書』では、震災については、第1編第4章「オウム真理教関係者による犯罪」という項の冒頭に、たった1行の記述があるだけである。

【東日本大震災でもレイプの増加はなし】
 今回の東日本大震災の場合はどうだろうか。
 キャバクラ嬢の間に流れるレイプ魔のうわさについて、『週刊ポスト』誌が宮城県警広報課に問い合わせると、こんな回答が得られた。
「そういう話はウチでは把握していない。宮城県警の方からキャバクラ嬢に働きかけをしているということもないはず。確かに強制わいせつ事件は2件あり、1件は逮捕し、1件は継続捜査中ですが、震災に関係あるといえるのか……。震災後も重要事件の発生は少ない。皆さん流言飛語にまどわされず、冷静に行動してほしい」
 実際、宮城県警のデータを見ると、平成23年の1~6月の強姦事件は6件(前年の同期は12件)、強制わいせつは53件(前年の同期は70件)となっている。
 福島県警は月別のデータを発表している(なぜか平成23年4月のデータが欠落しているが)。それによると、平成23年3~6月の強姦事件と強制わいせつ事件の認知件数は次の通り。

   強姦       強制わいせつ
3月 0件(前年1件) 10件(前年12件)
5月 3件(前年4件) 17件(前年32件)
6月 5件(前年5件) 25件(前年48件)

 見ての通り、強姦事件の数は去年に比べ横ばい、強制わいせつはむしろ減少している。
 確かにレイプは起きている。だが、「レイプがあった」と「レイプが多発した」はまったく違う話なのだ。ネットでは個々の例だけを取り上げ、レイプや強制わいせつが多発しているかのように錯覚させようと企む者がいるので要注意である。
 なお、空き巣や出店荒らしに関しては、確かに前年同時期より数十パーセント増加している。阪神淡路大震災と違い、混乱に乗じて略奪を働く者が多かったのは事実だ。だが一方で、自転車盗、万引き、車上ねらい、自販機ねらい、振り込め詐欺が大幅に減少しており、刑法犯の総数自体は前年より低下しているのだ。

■参考文献
『物語の海、揺れる島』(与那原恵、小学館)
『河北新報』2011年3月20日「デマ横行『震災による不安心理が背景に』」
『読売新聞』2011年4月1日「震災絡みの悪質デマを公表…警察庁、立件も視野」
『週刊ポスト』2011年4月15日号「被災キャバクラ嬢が怯える『集団レイプ魔』の流言飛語」

Togetter「地震のどさくさに差別をたれ流す人々」
http://togetter.com/li/110468
警察白書 平成8年版
http://www.npa.go.jp/hakusyo/h08/h08index.html
平成8年版 犯罪白書
http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/37/nfm/mokuji.html
福島県警/刑法犯・性犯罪等の発生状況(3月)
http://www.police.pref.fukushima.jp/seianki/ph/bouhanjoho/k2303.pdf
福島県警/刑法犯・性犯罪等の発生状況(5月)
http://www.police.pref.fukushima.jp/seianki/ph/bouhanjoho/k2305.pdf
福島県警/刑法犯・性犯罪等の発生状況(6月)
http://www.police.pref.fukushima.jp/seianki/ph/bouhanjoho/k2306.pdf
宮城県警/刑事総務課/犯罪統計
http://www.police.pref.miyagi.jp/hp/keiso/toukei/toukei_index.html
----------------------------------------
 これは4年前の8月に書いた文章なので、その後の情報を補足しておく。

『平成23年の犯罪情勢』(警察庁)より、この年の東日本大震災被災地のデータを見てみる。
https://www.npa.go.jp/toukei/seianki/h23hanzaizyousei.pdf

>被災3県においては、発災直後、武装した犯罪グループによる略奪、性犯罪の多発等といった流言飛語が流布したが、特定の手口の窃盗を除き、いずれの罪種も前年同期に比べて減少している。強姦、強制わいせつについても、いずれも前年同期に比べて認知件数が減少し、震災に関連して発生したと思われる性的犯罪は数件にとどまっており、被災3県合計の検挙件数、検挙人員は、前年同期に比べそれぞれ減少しているが、検挙率は上昇している(図表2-2-(4))。

(12ページより)

 というわけで、「武装した犯罪グループによる略奪、性犯罪の多発」について、警察庁は「流言飛語」つまりデマと断言している。
 窃盗に関しては、福島県の空き巣と出店荒しのみ増加している。原発事故による長期間の避難の間に、無人の家やコンビニなどを狙ったものだ。当然、犯人は「武装」などする必要がなかっただろう。

 というようなことをツイッターで書いたら、ある人から非難された。要約すると、「過去に否定的データがあるから今回のはデマである」と主張するのは間違いだ、というのである。今回はデマじゃないかもしれないじゃないか、というのだ。
 冗談じゃない、「阪神・東日本の震災の時に横行した強姦や空き巣を生業としている在日系の暴力集団」というのは、まさに「今回」流れているデマなのに、この人はそれが分かっていない。
 その人はこうも書いていた。

>(ありえないと思いますが)「暴力集団が増えてそれ以外の暴行が減り、認知件数は一定」と仮定することも不可能ではない。すると「認知件数が増えていないデータ」と「暴力が横行」のデマが矛盾しなくなってしまう。データがデマへの有効打になってないのでは、と

 それに対する回答は、上に示したように、僕は4年前に書いている。〈しかし、統計上、震災後に強姦事件が増加したという証明がない以上、「震災直後にレイプが多発した」と主張するのは根拠のないデマである〉と。
 そもそも「仮定することも不可能ではない」というのは、あまりにも万能すぎて、うかつに使うのは危険な論法である。「警察庁のデータは何者かによって改竄されていると仮定することも不可能ではない」とか「山本弘は某国の工作員であると仮定することも不可能ではない」とか、何でも言えてしまうではないか。
 あるいは「宇宙人が地球に潜入していて、普通の人間に化けてそこらを歩き回っていると仮定することも不可能ではない」とか「この世界は高度な知性によって創られたコンピュータ・シミュレーションであると仮定することも不可能ではない」とかいったことだって言える。ええ、そうですよ。不可能じゃありませんよ。
 つまり「仮定することも不可能ではない」という論法を使えば、あるデマをいつまでたっても否定できないことになってしまう。「仮定」はいくらでもひねり出せるのだから。
 警察庁が「流言飛語」と断言していることを、「デマではないかも」と主張するのは、警察庁の結論を否定することである。そんなことを主張するからには、当然、警察庁のデータを上回る根拠がなくてはならないはずだ。「仮定することも不可能ではない」などという、あやふやな話では根拠にならない。
 このブログで、僕は前にこう書いた。

 だから、「噂は完全に否定されるまではデマではない」と考えてはいけない。「噂は事実だと証明されるまではデマ」と考えるのが正しい。

 僕を批判してきた人は、話してみて分かったのだが、べつにレイシストに肩入れしているわけではなく、可能な限りフェアであろうとしているらしい。もちろん主張はフェアであるべきだが、それが行き過ぎている。
「阪神・東日本の震災の時に横行した強姦や空き巣を生業としている在日系の暴力集団が既に出始めてるらしいですよ」というのは、今まさに多くの人を傷つける可能性のあるデマである。それに対して「仮定することも不可能ではない」という論法で擁護し、手をこまねいているのは正しいことではない。放っておけば、このデマを信じる人間がさらに増えるかもしれないのだから。
 たとえて言うなら、「暴力は絶対にいけない」という主義主張を貫くあまり、目の前で暴漢が暴れているのを力ずくで止めようとしないようなものだ。それは本末転倒であり、正義ではないと、僕は思う。
  


2015年09月14日

鬼怒川水害をめぐるデマ・1

 大きな事件や災害が起きるたびにデマが流れるのはいつものこと。今回もいくつものデマが流れた。
 たとえば「鬼怒川の堤防を蓮舫が仕分けした」というデマ。

【仕分け】堤防仕分けの蓮舫議員に殺到する国民の批難の声【洪水】
http://togetter.com/li/871953

 実はスーパー堤防の計画には最初から鬼怒川は入っていなかった。だから今回の水害に関して、蓮舫はまったく責任はないのだが、早とちりして彼女を非難する人々、よく調べもせずにそれに便乗する人々が続出した。

民主党の蓮舫議員がTwitterで「悪質なデマに注意」事務所は「法的措置検討する」鬼怒川決壊で
http://www.buzznews.jp/?p=2025421

民主・枝野氏 「スーパー堤防の事業仕分けは全く関係ない!」
http://www.sankei.com/politics/news/150914/plt1509140009-n1.html

 ところで、上のTogetterをまとめた人物は、こんなまとめも作っていた。

【速報】テレ朝/日テレのヘリが自衛隊の洪水救助を妨害!? #NHK で放映され撃ち落とせと炎上【反日】#tvasahi #ntv
http://togetter.com/li/871925?page=1

 NHKのヘリからの生中継で、テレビ朝日や日本テレビの取材ヘリが、救助作業を行なっている自衛隊のヘリのすぐ近くを飛んでいるかのように映っていた。民放のヘリが救助を妨害している! と激怒する者が多数。


>テレ朝のヘリ邪魔どっかいって
>テレ朝のヘリ近すぎだろ!邪魔だ!
>おいテレ朝ふざけんなヘリ近すぎるだろうが
>NHK中継見てると救助の自衛隊ヘリとテレ朝ヘリが接触しそうで恐い
>テレ朝ヘリ落ちてしまえ
>テレ朝のヘリ高度低いな、自衛隊ヘリの1機分くらいしか高度取ってないじゃん
>さすがゴミメディア社テレ朝
>救助ヘリと同じような高度飛んでたら危ないだろ
>テレ朝の報道ヘリに誰か地対空ミサイル撃ちこんどけ
>自衛隊のヘリの近くを飛行とかテレ朝は気狂ってんのか
>テレ朝とフジTVのヘリは近づきすぎ!救助の邪魔するな!気流が乱れて危ないだろ!!
>救助活動を妨害しているテレ朝のヘリに対空射撃の許可を(機銃構え
> さっき取材と自衛隊のヘリの高度は違うってツイみたから完全にテレ朝アウトじゃないのかに


 怒って「撃ち落とせ」と言っている者も多い。実に何百人もの人間が、錯覚に騙されていることが分かる。
 どうやら多くの人には、この映像がこう見えたらしいのである。

 実際はどうかというと、手前に写っているテレビ朝日の取材ヘリはEC-135、全長は約10m。奥の自衛隊のヘリはUH-60J、全長は約20m。つまり大きさは倍違う。
 本当はこう。

 大きさが倍違うということは、仮にカメラとEC-135の距離が、カメラとUH-60Jの距離の約半分だとすると、両者はほぼ同じ大きさに写るはず。
 実際はEC-135の方が大きく映ってるから、EC-135は、カメラとUH-60Jの中間地点よりも、ずっとカメラに近い位置にあることになる。

 僕がこうしたことをTogetterで指摘したところ、まとめ主はこんな反論をしてきた。

>@hirorin0015 少なくともNHK機と自衛隊機の間の高度に入っているということは理解出来ますか? また、近づくことで要救助者の声が聞こえなくなったり、圧縮空気で気流が乱れたりすることが救助の妨げになることは理解出来ますか? 他社はそのためのマージンを取って撮影していることは理解出来ますか?

 彼はまだ理解できていないと見える。横から見ると、位置関係はこうなるのだ。(縮尺は正確ではない)

 NHKのヘリのカメラはとてつもない高性能で、福島第一原発の事故の際には、原発から30km以上離れたところから撮影していた。
http://digitalian24.blog10.fc2.com/blog-entry-527.html
 今回の水害でも、NHKはかなりの高度からズームで撮影しており、ツイッターではそれに驚いている視聴者も多い。(「NHK ヘリ ズーム」で検索してみてほしい)
 おそらくNHKのヘリの高度は最低でも500m、自衛隊のUH-60Jとの距離は1000m以上あるのではないか。
 仮に自衛隊のUH-60JとNHKのヘリの距離が1000mだとしたら、UH-60JとEC-135の距離はその半分以上、つまり500m以上離れていることになる。 おそらく高度も(NHKのヘリよりは低いが)300mはあるはずである。
 つまり、まったく自衛隊機を妨害してなどいない。

 今回の一件で僕が思い出したのは、今年のはじめにあったこれである。

遠近法を知らない人たち
http://hirorin.otaden.jp/e413111.html

 映像に写っているからといって、「……のように見えるから」と言って、それが真実とは限らない。人間の直感は、しばしば人間を裏切る。
 錯覚に騙されるのは悪くはない。しかし、錯覚を元に誰かを罵倒したら、それはダメだ。テレ朝のヘリを非難した人たち、反省してほしい。

 おっと、先回りして言っておくけど、「テレ朝は前から偏向報道をやってるから、デマを流されてもしょうがない」などと、開き直る発言は禁止ね。その人や組織がどんなに悪くても、過去にどんな間違いをやっていても、デマを流していいわけじゃない。
  
タグ :デマ


2015年09月05日

この夏の総決算・その6

●8月29日(土)~30日(日)
 日本SF大会・米魂

 初日の最初に行った企画が、アニメ監督・片渕須直氏の「ある航時史学生の記」。代表作のひとつ『アリーテ姫』の上映と、来年公開予定の新作『この世界の片隅に』の製作裏話。
 製作に向けて今年3月にクラウドファンディングを設立。たった8日で目標金額の2000万円を突破、最終的に3374人の支援者から3622万4000円を集め、映画のクラウドファンディングとしては国内最高額を達成したというから、期待度の高さが分かる。
 ちなみに3374人のうちの1人は僕。この前、すずさんからハガキが来ました。

 上映された予告編は、これより少し長いバージョンで、防空壕の中のシーンとかもあったりする。
 もうね、この絵にこの歌は卑怯!
 ただ画面見て歌聞いてるだけで涙が出てくるんである。完成したらどれだけのものになるのか。

 イベントで主に語られたのは、この映画を作るために片渕監督がどれだけ資料を集めたかという話。
 何しろ、舞台となる呉の、毎日の天気の移り変わりや、各時間帯ごとの気温が、いろんな資料を基に克明にデータ化されている!
 背景美術の関係で、その日の天候が必要になるのは分かるけど、気温が何の関係があるかというと、「その日に蝶が飛んでいるか」を決めるためなんだとか。細か!
 原作ではヒロインのすずが呉に入港する大和を目にするシーンがある。作中では日付までは書かれてないんだけど、監督は大和の記録を調べ上げて、何月何日の出来事だったかを確定して、さらにこの日にはこんなことがあって……ということまで調べてる。
 もちろん、軍事関係の考証も徹底していてぬかりなし。期待しますよ、これ。

 ちなみに片渕監督はSFファンでもあり、今回のトークでも(第二次大戦下の空襲をフィクションで克明に再現するという共通点から)コニー・ウィリスの『ブラックアウト』『オール・クリア』に触れていたり、ラリー・ニーブンの『プタヴの世界』が『アリーテ姫』の設定のヒントになってるとか、意外な話をされていた。

 他にも、久しぶりに見に行ったのが「すごい科学で守ります!」。なぜ久しぶりかというと、もう何年も、僕の企画とかち合って見れなかったんだよ!(涙)
 今年は『ニンニンジャー』だから、忍者関係の話が中心。宇宙にも忍者がいる(デモストとかジャカンジャとか)という話から、『シャリバン』に出てきたイガ星から来たイガ星人が住みついたのが伊賀で、コウガ星から来たコウガ星人が住みついたのが甲賀で、という話になり、じゃあ『シャイダー』に出てきたフーマは……とか、そういうバカ話が展開しました。
 あと、『トッキュウジャー』はたいていのことは「イマジネーション」で説明がつくんで楽だけど、『鎧武』はこじつけるのに苦労するとか。まあ、胸に虎の顔があるぐらいは「それはかっこいいからだ!」と言い張れるけど、果物はなあ(笑)。最終的には「鎧も果物も戦極凌馬の趣味」という結論になってたけど。

 ディラーズルームでは同人誌だけじゃなくガレージキットも売ってた。
 特に僕が注目したのは、『恐竜100万年』のラクエル・ウェルチのフィギュア。値札はついてないけど、けっこうサイズがある。身長30cmぐらい。
 1万円以上はするかなあ……と思いながら、ディーラーの方に声をかけてみたら。

「ほんとは2万円なんだけど、1万円……いや、思い切って5000円でいいです」

 速攻で買いました、ラクエル・ウェルチ!(笑)いい買い物だった。でも、色塗るのが大変そう。
  


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2015年09月05日

この夏の総決算・その5

●8月19日(水)
〈怪獣作家無法地帯:大阪編〉

 こちらは『多々良島ふたたび:ウルトラ怪獣アンソロジー』(早川書房)の執筆者4名(山本弘、北野勇作、田中啓文、酉島伝法)によるトークショー。全員が関西人なもんで、こてこての関西ノリでした。
 やってる間は面白かったんだけど、終わってみたら、何喋ったかすっかり忘れてる(笑)。

●8月22日(土)
〈夏のSNE祭り〉(SNEコンベンション)

http://www.groupsne.co.jp/user/report/snecon2015summer/01.html

 ゲストに呼ばれたので遊んできました。
 プレイしたゲームは、〈イカロス〉〈ブライド・ミトス〉〈脳トレゾンビ〉〈コクーン・ワールド ザ・ボードゲーム〉〈ゴーストハンター13 タイルゲーム〉。
〈イカロス〉は全員が持っているカードの数字の合計を予想するというブラフ系のゲーム。どんどんせり上げていって、いつかは太陽に焼かれて落ちるから〈イカロス〉。
〈脳トレゾンビ〉はタイトル通りのバカゲーですね(笑)。
 いちばん楽しめたのは〈コクーン・ワールド ザ・ボードゲーム〉。基本的に双六だけど、ゲーム盤の配置がころころ変化するのが面白い。
 久しぶりにSNEのメンバーや、イラストレーターの米田仁士さんとお会いできました。

●8月28日(金)
 SF大会に参加するため、米子へ。
 初めて乗った特急やくも21号。通路と座席の間に段差がある(座席の方が一段高い)のも不思議だったけど、もっと不思議なのは座席配置。

 他はみんな一列につき4席なんだけど、車両の真ん中だけ2席なんである。右端と左端の席がないのだ。こんな変な配置、初めて見た。
 ググッたら一瞬で分かるかもしれないけど、調べずに推理するのも頭の体操になると思い、いろいろ考えてみた。
 最初は車椅子用のスペースかと思ったが、狭すぎて車椅子が入れそうにない。
 床を見たけど、座席が撤去された跡はない。最初から2席だったようである。
 どうしても分からなかったけど、ツイッターでつぶやいたら、こんなコメントが返ってきた。

>@hirorin0015 座席横にエアコン用のダクトがないでしょうか?
>座席の幅を広げる改修をした際に干渉するので座席数を減らしたという話がありました。

 おお、あった! これだあ!

 普通に内装の一部だと思ってスルーしてたけど、よく見たら下の方がわずかに車両内側に向けて湾曲している。もし座席があったら、ほんの数センチだけど干渉してたはず。
 うーむ、目の前に正解があったのに気がつかなかったとは。自分には名探偵の素質はないと思い知らされた(笑)。
 それにしても、かなり苦し紛れの改装だな、これ。

 JR米子駅に到着。いまだに駅の改札が自動じゃないのに、ちょっとびっくり。

 ホテルの部屋で、BSジャパンの『白鯨』(1956)を観る。メルヴィル原作、ジョン・ヒューストン監督の有名な作品。脚本はヒューストンとレイ・ブラッドベリ。
 これを特撮怪獣映画だと認識してる人って、あまりいないと思う。でも、ミニチュア特撮をふんだんに使ってるし、モビー・ディックってどう見てもただの鯨じゃなく、一種の超自然的な存在として描かれてるんだよね。最後は捕鯨船に体当たりして沈めちゃうし。これは立派に「怪獣」じゃないかしらん。
 前にテレビで観た時には、セント・エルモの火のシーンが印象に残ったんだけど、今観ると、光学合成が不自然で、あまりうまくいってないように感じる。今年の同人誌作る時に、『透明光線』(1936)とか『電気人間』(1941)とか観ちゃったからなあ。どうしても見劣りする。
 ちなみにラストは『ジョジョの奇妙な冒険』第一部の元ネタである。
  


Posted by 山本弘 at 20:30Comments(1)SF特撮ゲーム

2015年09月05日

この夏の総決算・その4

●8月15日(土)
 コミケの中日だけど、この日はコミケをお休みし、娘といっしょに水戸の徳川ミュージアムへ。

http://tokugawa.gr.jp/

 おめあてはもちろん、燭台切光忠の展示。 娘は特に燭台切さんがお気に入りで、どうしても実物を見たいというので、迷わないようについていくことにした(娘は方向オンチなのである)。
 実物が沈んでしまっている艦娘と違って、刀剣の場合は現代まで生き残っているものが何振りかある。燭台切光忠もそのひとつ。
 あいにく関東大震災で焼けてしまって、刀としての寿命は終わっているのだけど、生前の形はしっかり残っていた。娘は無言で、熱心に見入っていた。 感覚としてはお墓参りなのだろうか。

 こういう地味な施設としては珍しく、入場者は満員とはいかないまでも、そこそこ多い印象。見たところ、半分ぐらいが若い女性。やはりコミケのついでに水戸まで足を伸ばした「とうらぶ」ファンと歴女だろうか。
 水戸だから水戸黄門のグッズがあるかと思ったら、意外に少ない。黄門様グッズは、たぶんTBSか太秦映画村の方が多いんじゃないだろうか。
『水戸黄門』ファンの妻へのお土産は、葵の御紋の印籠を模したケータイ・ストラップ。
 ちなみに水戸家の印籠の実物も展示されていた。ドラマで使われている印籠は、これを参考に作られたものなんだけど、画面映えがするよう、実物よりやや大きく、飾りも少し多くしてあるのだとか。へーえ。

 帰りに水戸駅の書店で買ったのが『るるぶ ガールズ&パンツァー』(JTB)。大洗の聖地巡礼本。同人誌じゃなく、本物の『るるぶ』!

 番組の内容紹介と、大洗の観光案内ががっちり結びついた、ものすごくマニアックなガイドブック。あの回のあのシーンのモデルはここ……というのが全部分かるようになってる。「戦車カレー」「戦車すし」「あの!!カツ丼」とかも売ってるらしい。
 すごいな、大洗。

 夜は新宿のCafe Live Wireでのイベント、「怪獣作家無法地帯:東京編」。僕と大倉崇裕氏と開田裕治氏の三人。
 ちょうど『サンダーバードARE GO』第一回の放送日だったもんで、開始前にみんなで大型モニターで鑑賞。なしくずしにイベントに突入した。
 大倉崇裕さんとはお会いするのは初めて。ミステリ作家なのに「ミステリよりも怪獣が好き」と公言する濃い怪獣マニア。ワンフェスに通って怪獣フィギュアをいっぱい買ったり、ガチャポンのフィギュアを集めたりしておられるんだそうで、そのへんのトークがもう熱い熱い。
『怪獣文藝の逆襲』(角川書店)収録の短編「怪獣チェイサー」も良かったんだけど、むしろ僕が仰天したのは、長編『BLOOD ARM』(角川書店)。宣伝ではまったく触れられてないけど、実はバリバリの怪獣小説。それも、ものすごく荒唐無稽な!

 最初のうちこそ地味だけど、事件が起きはじめてからはまさにノンストップ。急展開の連続で、どんどん話がぶっ飛んでゆく。読みながら、「ええー、ここまでやるの?」「ここまで暴走しちゃっていいの?」と、あきれながらも、すっかり喜んじゃいました。
 うーん、でも、この小説を面白がれるのは、日本人の1000人に1人ぐらいじゃないかなあ。それでも確実に10万人はいるんだけどね。
 その10万人の人──荒唐無稽な怪獣小説がOKな人に、ぜひ読んでほしい作品である。
 ちなみに、タイトルの「ARM」は、「腕」ではなく「武器」のこと。
 
  


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2015年09月05日

この夏の総決算・その3

●8月14日(金) ~16(土)
コミックマーケット88

 今回の新刊『あなたの知らないマイナー特撮の世界』。タイトル通り、ものすごくマイナーなネタばっかりの本なんで、売れるかどうか危ぶんだんだけど、なんと100部持ちこんだのが午前中で完売! 来ていただいたみなさま、ありがとうございます。
 もうコミケ歴30年近くだけど、どんな本がどれぐらい売れるか読めない。これは売れるはずだと多めに刷ったけど、ぜんぜん売れなくて在庫抱えた経験も何度も。だから最近は、最大でも100部しか持ちこまないことにしてる。
 まだ仕事場に在庫あるので、冬コミでも売ります。

 コミケでの収穫をいくつか。

『AMECOMIX vol.1』(TEAM KAWAUSO)
 マーベルのキャラクターをモチーフにしたファッション・イラスト集。コスプレではなく、普通に街に着て歩けるデザインまで昇華されている。
 ほとんどは指摘されないと元のキャラクターが分からないんだけど、言われると「ああ、確かにスパイダーマンだ」とか「確かにソーだ」と分かる。このへんのさじ加減が絶妙。いいセンスです。
 スカーレットウィッチやヴィジョンもかわいい。コミケ初参加だそうだけど、今後が楽しみ。

『こだわり偉人伝』(タイムトンネル)
 NHKの番組のテキスト風に、SRIの牧史郎とSF作家・友野健二について語った本。
 特に秀逸なのは、友野健二の(架空の)作品の書影。ハヤカワSFシリーズ、鶴書房のSFベストセラーズ、桃源社、小学館、新潮文庫……いやあ、これはよく分かってる!
 万城目淳が語る友野健二の話もいいけど、牧史郎が解決した(番組中では語られなかった)事件や、「京都買います」の後日談とかも、いろんな新解釈を盛りこんでいて、想像力を刺激される。
 巻末の(架空の)近刊予告には「久里虫太郎 幻の怪奇マンガ家の妄執」「真船信三 恐龍は本当に生きていたのか?」「飛鳥五郎 強化スーツのひな形を作った男」なども。なんかすげー読みたいんですけど。

『補導聯盟通信』vol.7(国民補導聯盟)
 今回は「インディーズ候補関連特集」。2015年の統一地方選に立候補した候補者の中から、ぶっ飛んだ人たちを紹介。
 選挙公報に「大量虐殺」「皆殺し」などと書いてあったり、自分の免許証を載せてたり、他人の名刺を載せてたり、自分の名前と「ニート 25才」としか書いてなかったり、はたまた「たかゆき」としか書いてなかったり、「日本民族史上最高頭脳男」を自称してたり、昭和天皇ブランドの立ち上げを提唱してたり、「ドクター中松チルドレン」を名乗ってたり、公約が「口内炎にならない健康緑茶の栽培」だったり、選挙広報全体をわざと上下逆にしてたり、ポスターが自分の全裸写真だったり……いやあ、こんなにたくさんいたんだ、変な候補者!
 もちろん、ほとんどは落選(たいてい最下位)してるんだけど。

『硝子の屋上屋』(ドリヤス工場)
 どんなアニメもゲームもマンガも水木しげるタッチに改変してしまうドリヤス工場さん。今回の新刊『助太刀血風録』は、『刀剣乱舞』と『響け!ユーフォニウム』パロを収録。
 でも僕としては今年5月に出た前の本『硝子の屋上屋』をプッシュしたい。ネタは『アイドルマスター シンデレラガールズ』。水木しげるタッチのプロデューサーさんが違和感ない!  美波の顔が単純な線なのに特徴とらえてるのに感心した。あと、みくにゃんもそのまんまだ(笑)
 巻末には『私家版 暗殺教室』も収録。これも違和感ないね。

『シマライブ!』(ウラシマモト)
『逆境ナイン』風の『ラブライブ!』パロ。この2作品、実は共通点多くて、このネタを考えてた人は他に何人もいたはず。でも、島本和彦氏本人に描かれたら勝てねー(笑)。
「透明アイドル制!!」には笑った。『逆境ナイン』を知ってたら楽しめる。
 売り子さんの手際がいいのか、列がさくさく進み、そんなに長く並ばずに買えました。

 ちなみに娘は、企業ブースで、とうらぶの公式設定資料集が買えてご満悦。
  


Posted by 山本弘 at 19:48Comments(4)コミケ作家の日常

2015年09月05日

この夏の総決算・その2

●8月13日(木)
ウルトラマンフェスティバル2015

 コミケの前日、東京に前泊するついでに、娘を連れて池袋に行ってきた。

http://ulfes.com/2015/

 入ってすぐのところにあるのが巨大ジオラマ。ビル街のミニチュアセットの中で、ウルトラマンと怪獣たち(等身大)が戦ってるんだけど、いやあ、これが燃えるのなんのって!

 ミニチュアがけっこう細かいところまで作ってるうえに、ウルトラマンたちのポーズも決まってて、どのアングルから撮っても絵になる。特にゾアムルチが、かなり下から見上げられるアングルで撮れるのでかっこいい。
 前にも特撮博物館で同様のコーナーがあったけど、こういうのはもっとやってほしい。特撮ファンならいくらでも時間潰せるから。

 感心したのは、夏休み中とはいえ、ずいぶん多くのお客さんが入っていたこと。もちろん子供連れが多い。特にみやげもの屋はごった返していた。ウルトラマンってまだこんなに客を呼べるコンテンツだったんだな、とあらためて感心。
  ヒーローショー「ウルトラライブステージ」もほぼ満席。後ろの方にかろうじて座れた。
 あいにく、このステージは写真撮影禁止なんで、以下は文字だけで。

 ステージのバックにスクリーンがあって、ショーの進行に合わせていろんな映像が投影される。たとえばウルトラマンがスペシウム光線を使うシーンでは、背後に光線のエフェクトが投影され、その前であのポーズをして、実際にスペシウム光線を放っているかのように見せるのだ。これは面白い!
 お話は、ウルトラマンに化けたババルウ星人がゼロたちを騙し、同士討ちをさせようと企むというもの。ゼロがグレンファンヤーのことを「単細胞の直情バカは厄介だぜ」とかぼやくんで、思わず「お前が言うな」とツッコんでしまいました(笑)。
 あとね、ベリアルが悪役のくせにけっこういいとこ見せたりするんである(でもあくまで悪役)。このへんの展開もちょっとぐっとくる。
 ウルトラマンと偽ウルトラマンの対決。ゼロたちが「どっちが本物なんだ!?」と迷っているので、司会のお姉さんが客席の子供たちに「偽者のウルトラマンはどっちか教えてあげてー!」と呼びかけると、子供たちがいっせいに「あっちー!」と偽者の方を指差すという趣向。偽物はしぐさが悪役っぽいので、子供でも容易に見分けがつくのだ。つーか、なぜ分からんゼロ(笑)。ベリアルでさえ見破ってたのに。
 エックス、コスモス、ゼロ、グレンファイヤー、ミラーナイトなどの新世紀勢が主役なんで、ああやっぱり今の子供向けなんだなあ……と思ってたら、なんと最後にアンドロメロスとグリッドマンが登場して加勢する! これは大きいお友達向けのサービスですか!?
 ちなみにエックスは、ウルフェス限定のアーマーをまとう。読者からの怪獣デザイン応募から選ばれたデンパゴンとスケドン。デンパゴンアーマーはちゃんとドリルが回転します。おお!
 あと、出てくる怪獣の中にジラースがいるんだけど、やっぱり、アクションの最中にえりまき取られます(笑)。これもサービスだなあ。

 ちなみに娘は『ウルトラ』はあまり詳しくないんだけど、大学で演劇サークルに入ってるもんで、アクションシーンやスーツアクターさんの演技が参考になったと言っている。「みんなが客席に背中を向けてるシーンで、青い人(コスモス)のアクターさんが考えるふりをしながら、さりげなく客席の方に顔を向けてた」などと、けっこう細かいところまで観察してて感心した。

 ライブステージの隣の「ゴモラひろば」では、ウルトラマンや怪獣たちの着ぐるみショーをやったり、「ウルトラP」の人形劇をやったりしている。「ウルトラP」にはセブンガーが出てた。

 ウルトラマンとの握手会。こういうのに目がない娘は、すぐに飛び出していって、子供たちに交じってネクサスに握手してもらっていた。いや、お前、『ネクサス』見てなかったじゃん(笑)。

 他にも、子供向けのゲームコーナーもいろいろ。チブル星人を叩きまくるゲームとか(笑)。いや、確かに叩きやすいデザインですけどね、チブル星人。
 子供向けのイベントなんで資料展示は最小限だったけど、番組中で使用されたミニチュアやらシナリオやら撮影機材やらの展示もあって、マニアにもそれなりに楽しめるようになっていた。


 まだ時間があるので、ホテルに向かう前、娘と池袋の「乙女ロード」をぶらつく。なるほど、こういうところなのね。

 ついでに娘のリクエストで秋葉原にも寄って、コトブキヤでの『刀剣乱舞』関連の展示を見る。
 ちなみにこの次の日、このコトブキヤで『刀剣乱舞』の物販イベントがあり、大量の審神者が詰めかけて、秋葉原から御茶ノ水の東京医科歯科大学まで続く行列ができて大変な騒ぎだったとか。すごいな、とうらぶパワー。
  


Posted by 山本弘 at 19:38Comments(1)特撮作家の日常

2015年09月05日

この夏の総決算・その1

 原稿に追われたりイベントの連続だったりで、ぐずぐずしてるうちに9月になっちゃいました(苦笑)。気がついたら、先月、1回しかブログ書いてない! いや、今もまだ書かなきゃいけない原稿があって、MMD杯もろくに観れてないんですよ。すみません。
 とりあえず、8月にあったことをいろいろまとめてみました。

●8月8日(土)
〈ウルトラ怪獣アンソロジー『多々良島ふたたび』発売記念  山本弘先生&桜井浩子さんトークショー 〉

 行ってきました、書泉ブックタワー。
 僕としては当然、桜井浩子さんがメインゲストだと思っていて、スタッフの方も桜井さんが真ん中に座るように席をセッティングしてたんだけど、リハーサルで桜井さんが「山本先生がメインなんだから、どうぞ真ん中にお座りになって」と言われ、急遽、僕が真ん中に座ることに。桜井浩子さん、ほんとに気さくでいい方です。
 心配してたお客さんの入りですが、60人以上来られて、会場は満席。ありがたいことです。
 大半が男性なんだけど、女性も何人か。かなり年配の方も若い方も。
 いちばん若かったのは、最前列にちょこんと座ってた小さい女の子。親に連れられてきたらしくて、話題についてこれるのか心配だったんたけど、最後まできちんと聴いてましたね。トークショー終了後のサイン会でも『多々良島ふたたび』を差し出されてサインを求められました。7歳だそうです。頼もしいですね。

 桜井さんからはいろいろと番組の裏話も聞けました。
 スフランを焼くためにアラシがスパイダーショットから火炎を放射するシーン。後ろでスタッフがガスボンベからガスを送ってるんだけど、火の勢いが強すぎて石井伊吉(毒蝮三太夫)さんがびっくりしちゃって、最初のカットはNGになったとか。
 そもそもスパイダーショットから火が出ること自体、変だと思うんだけど。何で光線を合成で処理しなかったのか不思議。
 他にも、森の中とか岩場とかで、撮影前にスタッフがカラースプレーをがんがん撒いてたとか。確かに、DVDで観ても、森の樹とか岩肌とか、明らかに着色してるんですよね。
 もう50年近く前だから時効だろうけど。当時は自然保護って概念、希薄だったからなあ。

 で、やっぱり特撮番組で苦労するのは、完成するまでどんな画面になるか、俳優さんたちにはよく分からないということ。
 たとえば『ウルトラQ』の製作第一話「マンモスフラワー」の最初の方、お濠にマンモスフラワーの根が浮かんでるシーン。「あそこに何か気味の悪いものが浮かんでると思って演技して」と指示されるんだけど、何もないのに演技するのは難しい。
 でも、共演の佐原健二さんと西条康彦さんは、さすが東宝で特撮映画に出た経験が何度もあるので、何もないところにぴたっと視線を合わせることができたんだとか。

 トークショーは1時間ぐらいだったんだけど、その後の打ち上げでも、桜井さん、喋る喋る!
「1/8計画」で由利子が持ち上げる受話器、表面が石膏でできていてすごく重かったとか。あの重そうにしてたのは演技じゃなかったんだ! 撮影中に端っこの方をぶつけて壊しちゃったそうです。
 一方、「禁じられた言葉」に触れられるのは、あまりお好きじゃない様子。「何でみんな巨大フジ隊員が好きなの!? みんな必ず訊ねるのよ!」と。
 僕はテレビで観ていて、ビルのミニチュアを壊すのって気持ちよさそうだな思ったんだけど、ご本人によれば、ぜんぜんそんなことはなかったとか。かなり頑丈で、女性の非力では叩いてもなかなか壊れない。
 見かねたスタッフがミニチュアに切りこみを入れて、「ここを叩けば壊れるよ」と言ってくれたんだけど、問題は本番中に叩くべき場所を確認するのが難しいということ。操られて無表情だから、視線をきょろきょろさせるわけにいかない。
「それでも、ちらっとだけ確認してるのよ。DVDで観たら分かるけど」とのこと。

 それ以外にも、スタッフやキャストの裏話がいろいろ。誰それは酒癖がとか、誰それは女癖が……とか。うん、ほとんどがオフレコですね(笑)。これは表に出しちゃまずいわ。

 写真は開場前に舞台裏で撮ったピグモンとのツーショット。
 着ぐるみは他にもあるんだけど、ディズニーランドのミッキーとかと同じで、同じ場所に複数出現してはいけないというルールがあるそうです。だからこの日、秋葉原にいたピグモンはこの一体だけ。

 中の人は若い女性。着ぐるみのサイズの関係で、女性しか入れないらしいです。
 イベント会場が9階、楽屋が10階なんだけど、終了後、着ぐるみのまま階段登るのがすごく大変そうでした。足の裏が縦に長いから、普通に階段が踏めない。横向きになって、スタッフに支えられ、一段ずつ上がっていくんですよ。舞台では何十人もの人と写真撮ったり握手したりしてたから、きっと中は汗だくだったはず。男なら舞台裏でさっと脱げるんだろうけど、女性だしなあ。
 いやあ、大変なお仕事です。
  


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2015年09月05日

山本弘のSF秘密基地LIVE#50・活字SFとのファーストコンタクトを語ろう!

山本弘のSF秘密基地LIVE#50
 50回記念企画・活字SFとのファーストコンタクトを語ろう!

 子供の頃、あなたが最初に接した活字SFは何ですか?
「ワープ」や「エスパー」や「ミュータント」といった言葉を最初に知ったのは、いつ、どこで?
 昔は学校の図書室に必ずあった子供向けのSFシリーズ。少年雑誌によく載っていたSF絵物語。日本作家の書いたジュヴナイルSFの数々……日本SF黎明期を陰で支えた、子供向け活字SFの文化を振り返ろうという企画です。
 SF作家・山本弘が、子供の頃に影響を受けた雑誌『ボーイズライフ』の思い出や、子供向けSFの名作の数々を熱く語ります。あなたの活字SF原体験もお聞かせください。

[出演] 山本弘

[日時] 2015年9月25日(金) 開場・19:00 開始・19:30

[会場] なんば紅鶴(大阪市中央区千日前2-3-9 レジャービル味園2F)南海なんば駅より南海通り東へ180m・駐車場有

[料金] 1500円
(店内でのご飲食には別途料金がかかります。入場時に別途ワンドリンクをご購入いただきますのでご了承ください)

チケットのご予約などはこちらに。
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=92528000
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 毎月やってるLiveWireのトークショー、今月で50回目です。
 今回、何でこういうテーマを考えたかというと、最近、こういう本が出たからです。


 SF映画ブームだった1980年に出た本の復刻なんですが、著者が小隅黎(柴野拓美)氏なもんで、映画よりも活字SF寄りの内容。ケアル、イクストル、シャンブロウ、トリフィド、サンドワーム、メデューサ、ソラリスの海などなど、いろんなSF異生物がイラスト入りで紹介されていて、子供のための絶好のSF入門書になってるんですね。
 ふと思ったのが、今、こういうSFの基礎知識を子供に教えてくれる本ってないな、ということ。
 僕の場合、兄が買っていた『ボーイズライフ』という雑誌に載っていた「SF事典」だとか、マンガ雑誌に連載されていた福島正実氏や豊田有恒氏や眉村卓氏の小説だとか(昔はマンガ雑誌でもたいてい一本は小説が載ってたんです)、学校の図書室にあった児童向けのSFシリーズとかが、活字SFとの最初の接触だったんですが、 今の子供はそういうものに触れる機会がなくて、マンガとかアニメとかで最初にSFに接する。だからSFに対するイメージが僕らの世代とはずいぶん違うんじゃないかな、と思うわけです。
 今回はそういう懐かしい子供向け活字SFの世界をご紹介します。あの時代をご存知の方には懐かしい話でしょうし、若い方には意外な話ばかりで興味深い内容だと思います。
 皆様のお越しをお待ちしております。
  
タグ :PRSF


Posted by 山本弘 at 18:25Comments(2)SFPR