2015年06月24日

イベント「SF作家・山本弘とデマを10倍楽しむ」

■□■市民社会フォーラム学習会■□■
SF作家・山本弘とデマを10倍楽しむ

http://civilesociety.jugem.jp/?eid=30367

日 時 7月17日(金)18:30~20:30
会 場 元町館「黒の小部屋」(元町映画館2階)
    http://www.motoei.com/access.html
ゲスト 池田香代子さん(口承文学・都市伝説研究家)
参加費 1000円
お申し込みなしでどなたでもご参加できますが、
人数把握のため事前申し込みいただければありがたいです。
civilesocietyforum@gmail.com まで

 インターネットの普及によりあらゆる情報が調べられ、誰もが情報を瞬時に拡散することができるなど、ネットは日常生活から市民運動にいたるまで不可欠なツールとなっています。
 他方、誰もが情報を拡散できることで、デマや都市伝説、ニセ科学、陰謀論など怪しい情報が氾濫し、悪質な場合は特定個人への誹謗中傷や人々を不安に陥れるパニックが巻き起こったりします。
 それゆえ、ネットやメディア、科学のリテラシーがますます学習が必要な時代になっていますが、今回の学習会ではSF作家の山本弘さんをお招きして、デマを笑い飛ばしつつ真面目に交流いたします。
 ゲストには都市伝説研究者でもある池田香代子さんをお招きします。

山本弘(やまもと・ひろし)さん
SF作家。1956年京都府生まれ。『去年はいい年になるだろう』(PHP)で第42回星雲賞(日本長編部門)を受賞。
小説家として精力的に活動する一方、ノンフィクション作品も執筆。

池田香代子(いけだ・かよこ)さん
1948年東京杉並生まれ。日本のドイツ文学者・児童文学者・翻訳家・口承文学および都市伝説研究家・エッセイスト
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 大阪でニセ科学のイベントをやったばかりですが、今度は神戸・元町で、デマをテーマにした講演と対談をやります。昔からブルンヴァンの『消えるヒッチハイカー』とかが大好きだし、このブログでもしばしばネットのデマを取り上げてますので、この講演でも、最新のデマの実例の紹介、どれほどデマがはびこっているか、デマの分類、デマにひっかからないための心得など、いろんな話題を語ろうと思っています。

 ところで。

 いい機会ですので、こういう講演が儲かるのかどうかという話もしておこうと思います。もしかしたら、「山本弘は最近、こんな講演やイベントで儲けてるんじゃないか」って思ってる人がいるかもしれないので。
 儲かりませんよ!(笑)
 いや、大きなホールで何千人ものお客さんを集めるような有名人なら、1回の講演料、がっぽり貰うのかもしれませんけどね。僕の場合、普通は数十人、どんなに多くても200人ぐらいです。今回の場合、参加費1000円。それにお客さんの数を掛けて、収入がどれぐらいか……だいたい見当がつくでしょ? そこからギャラが支払われるわけですよ。会場の使用料とかの必要経費を考えれば、主催者が赤字になることもありえます。
 ちなみに僕の場合、ぶっちゃけて言うと、これまでで今までいちばん高かったギャラは3万円。これは最高ラインで、普通はそれよりずっと少ないです。
 しかも、それで1日潰れる。いや、講演用にパワーポイントとかで資料作ってたら、何日も潰れることもあります。
 単純に時間給に換算すると、同じ時間使って原稿書いてた方が儲かります。

 あと、こうした講演会では、自著をサイン入りで販売することもよくあります。東京でのイベントなら、出版社の人が本を持ってきて売ってくださるんだけど、地方でのイベントでは、著者が出版社から本を買い取って、それを自分で会場に持っていって自分で売ります。いちおう著者割引というのがあって、定価よりよりやや安く買えるので、その差額が収入になるんですが……まあ、雀の涙ですね。
 サイン会を別にすれば、これまでで今までいちばんたくさん本が売れたイベントは、2006年のトンデモ本大賞。角川の編集さんが『アイの物語』50部を持ちこんで、きっちり完売しました。あの記録はまだ超えられません。普通は10部も売れればいいとこです。

 じゃあ何で講演をやるかというと、「面白いから」と「ちょっとでも知名度を上げたい」から。
 今回のように、話すテーマ自体が面白くて、引き受けちゃうことがあるんですよね。
 あと、普段、僕の小説を読まない人に、僕の名前を知ってほしい。ほんの数人でもいいから読者を増やしたい。
 後者の理由が、けっこう切実だったりします。はい。
  


2015年06月24日

「論理盲」の人たち

 先日の記事に対して、ABO FAN氏が反論してきた。

山本弘さん ニセ科学を10倍楽しむ本《山本弘のSF秘密基地BLOGで話題に(続)》 [サイト紹介]
http://abofan.blog.so-net.ne.jp/2015-06-15

 今度は論語と朱子学(笑)。だからぜんぜん関係ないって、そんなの。

>私の示した根拠が間違っているというなら、山本さんは何か「反証」を出せばいいはずです。しかし不思議なことに、何か調べたらしい形跡もなく、反論の根拠は20年以上も前の論文(!)ばかりでした。

 そう言いつつ、自分が出してるのが1985年から1991年の研究ばかりってどういうこと(笑)。しかも、そのどれも僕が『ニセ科学を10倍楽しむ本』で挙げたものだ。何がしたいのかさっぱり分からない。
 また彼の文章を書き直させてもらう。

> 僕の示した根拠が間違っているというなら、ABO FANさんは何か「反証」を出せばいいはずです。しかし不思議なことに、何か調べたらしい形跡もなく、反論の根拠は20年以上も前の論文(!)ばかりでした。 

 さらにABO FAN氏はこうも書いている。

>そういえば、彼のブログにコメントを書いたのですが、全くなしのつぶてです。たかが“素人の反論”なら、掲載して笑い飛ばしても全然問題ないはずですよね。過去には相当批判的なコメントも掲載されているので、相当神経質になっているのでしょうか?

 自分のコメントがなかなか反映されないので、被害妄想に陥っているようだ。このブログの常連の方ならお分かりだろうけど、僕がこのブログを更新するのは半月に1回ぐらいのペースである。つーか、この左側の「最新の記事」一覧を見れば、更新のペースなんてすぐ分かるんだけど。
 もちろん、ABO FAN氏のコメントもついさきほど、ちゃんと反映しました。

 さて、ABO FAN氏はいったい何を間違えているのか。僕は前回の文の最後でこう書いた。

>この「アダムスキーの比喩」は、おそらくABO FANにはまったく理解できないものだろう。

 予言通りだった。やっぱり彼は理解できてなかった。

「地球外知的生物は存在するかもしれない」
「ジョージ・アダムスキーは正しかった」

A「血液型と性格には弱い関係があるかもしれない」
B「血液型性格判断は正しかった」

 Aはまったく違うものなんだけど、ABO FAN氏にはその区別がついていないのであるが同じものだと思いこんでいて、が正しければも正しいと思っているのだ。僕が(そして多くの心理学者が)を肯定しつつを否定していることが理解できず、矛盾していると思っているのだ。

 これを僕は、色盲ならぬ「論理盲」と名付けたい。

 色盲(色覚異常)の人はの区別がつかない。二つのまったく違う色が同じ色に見える。同様に「論理盲」の人には、が同じに見えるのである。
 ただ、色覚異常の人も正常な判断力は持っているので、自分は色覚異常であることは正しく認識できる。しかし論理盲の人は、そもそも判断力そのものが麻痺しているので、自分の論理が間違っていることを認識できない。
 こういう人に対して、「その論理は間違ってますよ」と指摘しても無意味である。彼らは絶対にそれを認識しない。

 僕がこういうタイプの人に初めて出会ったのは、もう20年以上も前である。『謎解き超常現象Ⅳ』でも書いた、ラエリアン・ムーブメントの説明会に行ってきた時のことだ。

 ラエリアンとは、フランス人のコンタクティ、クロード・ボリロン(ラエル)の信奉者のこと。ラエルの主張によれば、エロヒムと呼ばれる異星人が地球上の全生物を2万5000年前に創造したのだという(それまで地球上に生物はいなかった)。しかもエロヒムの惑星は、地球から1光年弱のところにあるという。
 もちろん、太陽系から最も近い他の恒星系は、4.3光年の距離にあるケンタウロス座アルファ星であり、1光年のところに生命を宿した惑星なんかあるわけない。
 以下は『謎解き超常現象4』からの抜粋。

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 1992年4月、筆者(山本)は京都で開かれた日本ラエリアン・ムーブメント京都支部の説明会に行ってきた。そこでこれまで述べたような矛盾点を指摘し、説明を求めた。
 京都支部の支部長だという人は、まったく動じた様子はなかった。にこやかな顔で、「私たちには分かりません」「その点についてはエロヒムから教えられていません」「研究しているところです」「いずれ真実は明らかになります」と自信たっぷりに答えるのみだった。
 説明会では、アダムスキーやビリー・マイヤーなど、他のコンタクティが撮影したUFOの写真がスライドで紹介され、「これらはみんなトリックです」と説明された。ラエリアンたちはみんな、嘘をついて人を騙すコンタクティが大勢いることを知っていた──にもかかわらず、なぜかラエルだけは真実を語っていると信じているのだ。
 ラエルは他のコンタクティと異なり、UFOの写真など、証拠になるものは何も提示していない。人は証拠を見せられると何も考えずに盲信してしまう。盲信するのではなく、自分の頭で考えてほしいから証拠を示さないのだ──というのだ。
 ラエリアンはみんな、ラエルのその説明を信じている。そして、自分は盲信してなどおらず、自分の頭で考えて、ラエルの言葉が正しいと信じたのだと思いこんでいる。
 しかし、途方もない話を何の証拠もなしに信じることを、普通は「盲信」と呼ぶのではないだろうか?
 ある会員はこんなことを言った。
「もし、ラエルが嘘をついて人を騙そうと考えたなら、現代科学で正しいと考えられていることを書いたはずでしょう? 彼が書いていることが科学的に間違っているように見えるのなら、それは彼が真実を書いている証拠だと思います」
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『謎解き超常現象4』ではここまでしか書かなかったが、この話には続きがある。翌93年、僕はもう一度、ラエリアン・ムーブメントの説明会に行ったのだが、そこで京都支部の支部長さんがこんなことを言ったのである。
「太陽系から4光年以内に恒星が存在しないと知っていたなら、どうしてラエルはエロヒムの母星が地球から1光年にあるなどと、すぐにバレる嘘をついたのでしょう? 山本さんはどう思われますか?」
 僕が「知らなかったからでしょ」と言うと、支部長さんは真顔で言った。
「そんなバカな! 太陽系から4光年以内に恒星が存在しないことぐらい、誰だって知ってますよ!」
 だったら何でラエルの言うことを信じるの?

『謎解き超常現象4』でも書いたが、ラエルは15歳で寄宿学校を飛び出している。つまり日本で言うなら高校1年程度の教育しか受けていなかったわけで、恒星までの距離など知らなかったと考えても、何もおかしくない。
 だが、ラエリアンたちはそう考えない。それどころか、ラエルが明らかに間違ったことを書いていることまで、ラエルが正しい証拠だと考えているのだ。
 こんな考え方をする人たちを論理で説得するのは不可能だ。

 その後もパソコン通信やSNSなどで、いろんな人と議論した。アダムスキー信者、9.11陰謀論者、アポロ陰謀論者……だが、僕は彼らのうち一人も説得できたことがない。

 大事なことなので繰り返す。僕は彼らを説得できたことは一度もない。

 厳密に言えば、僕や他の人たちがきちんと論拠を挙げて説得しているのに、相手はそれが理解できないのである。
 分かりやすいのが9.11陰謀論者だろう。彼らはペンタゴンに突入したのはアメリカン航空77便ではなく巡航ミサイルだと信じている。本物の77便はどこかの軍事基地にこっそり降ろされ、乗客は全員殺害されたうえに遺体を焼かれ、ペンタゴンに運ばれてばらまかれたのだと。
 しかし、なぜそんな回りくどいことをしなければならないのか。だいたい、旅客機にせよ巡航ミサイルにせよ、それがぶつかる瞬間は大勢の人に目撃されるはずである(実際、何十人もの人が目撃している)。誰か一人でも「あれは飛行機じゃなくミサイルだった」と証言したら、あっさり陰謀は瓦解してしまう。そんなバカなことを誰がやるというのか。
 しかし、こうしたことを指摘されても、陰謀論者たちは屈しない。というのも、彼らには論理が理解できないからである。「おかしいじゃないか」と言われても、「えっ? どこがおかしいの?」と思ってしまうのだ。

 他にも、「ちきゅう」陰謀説やらイルミナティ・カードのウソやらも、このブログでさんざん説明してきたんだけど、信者には届かないのか、それとも理解できないのか、今でも信じている人間は大勢いる。前に紹介した『まどマギ』陰謀論の奴とかも、やはり論理盲だろう。
 彼らは「血液型性格判断は正しい」とか「ラエルは正しい」とか「9.11陰謀説は正しい」と思いこんでいて、それに合わせて(僕が出会ったラエリアンのように)論理をねじ曲げる。はたから見れば、ねじくれていてぜんぜん筋が通っていないんだけど、本人にはそれがまっすぐな論理のように見えるのだ。

 だから僕は、相手が論理盲だ(まともな論理が理解できない)と気づいたら、議論は打ち切ることにしている。
 だって、議論したって納得するわけないんだから。無限にループし続けるだけ。
 みなさんも、論理盲に出会ったら、言いたいことだけ言って、議論を打ち切りましょう。相手を説得する必要なんかない。と言うか、説得するなんて不可能だから。
 人生は短い。不可能なことに挑戦して時間を無駄にするより、他にやるべきことがあるはず。

 あと、よくブロックを悪いことのように言う人がいるけど、その考えは常に正しいわけじゃない。
 もちろん議論に負けている側が相手をブロックするのは卑劣なことだけど、勝っている側に負けている側がしつこくからんでくるのは迷惑行為だから、ブロックしてもかまわない。
 永遠に議論を続けるわけにいかない以上、いつかはブロックしなくちゃいけない。
 ただ、言いたいことはすべてきちんと言っておくこと。どちらの言い分が正しいかは、第三者の判断にまかせればいい(ツイッターならTogetterにまとめるという手もある)。
 あなたの主張の方が正しいなら、多くの人が支持してくれるはずだ。

 もっとも、論理盲の人が自分の主張をTogetterにまとめて、逆にコテンパンに叩かれるという例もちょくちょくあるんだけどね(笑)。