2014年02月19日
続・アングレーム国際漫画祭で何が起きたか
前回の記事の続きである。
http://hirorin.otaden.jp/e309280.html
まずは『週刊文春』『週刊新潮』の2月13日号(発売は2月6日)を読み比べてみる。
まずは『文春』。「韓国『慰安婦マンガ祭』の許されざる全内幕」と題して、韓国の出展したマンガの内容を詳しく紹介している。
しかし、論破プロジェクト代表の藤井実彦氏にインタビューまでしているのに、彼と幸福の科学の関係については、一切の言及なし。
次に『新潮』。「仏のマンガ祭から締め出された『日本人グループ』の裏に『幸福の科学』」というグラビア記事。幸福実現党から出馬したトクマ氏の写真(マスコットキャラクター「トックマくん」が写っている)と、藤井実彦氏の名刺(「トックマくん」が印刷されている)、撤去された論破プロジェクトのブースの写真(「トックマくん」が描かれている)を並べて掲載。
さらにトクマ氏にインタビューし「藤井君は僕と同じく、幸福の科学の会員だよ」「あのマスコットは僕にちなんで『トックマ』と言うんですが、彼に使っていいよって言ったんです」という証言を引き出している。
その一方で、韓国の慰安婦マンガがどういうものだったかは、まったく触れていない。
うーん、両方の記事を並べて互いに補完したら、公正な記事になるのになあ(笑)。
こうして見ると、『はだしのゲン』騒動の時とは構図がまったく逆だな。あの時は、『文春』が事件のバックに在特会がいることを報じ、『新潮』はそこにまったく触れてなかった。
http://hirorin.otaden.jp/e292136.html
次に『週刊ポスト』2月21日号。これにもアングレーム漫画祭の記事が載った。それも二つも。
グラビア記事は「韓国「従軍慰安婦漫画」のデタラメ」というタイトルで、漫画祭に出展された韓国の漫画を「韓国お得意の“捏造プロパガンダ”」「史実とかけ離れた、根拠も何もない作り話ばかり」と紹介する内容。
一方、本文記事の方は「韓国の反日漫画に対抗した日本側作品の「作者」を書かなかった産経新聞」というタイトルで、論破プロジェクトが幸福の科学の支援を受けた団体であること、なぜか産経新聞がそれに触れなかったことを報じている。実際、幸福の科学広報局に問い合わせたところ、漫画のフランス語翻訳に協力したことをあっさり認め、「国益に適った活動であり、全国紙が報道することも問題ない」という回答だったそうだ。
『ポスト』は産経新聞にも取材を申し込んだが、「個別の記事については答えられない」という回答だったという。
「個別の記事については答えられない」って……意味不明の回答だな。
なんにしても、今回の件で『週刊ポスト』をちょっと見直した。
僕としては、こちらのサイトに書かれている主張に全面的に同意する。
アングレーム国際漫画祭で何があったのか? 韓国慰安婦漫画問題を考察してみる
http://world-manga.at.webry.info/201402/article_3.html
>>>アングレームの主催者の方
>「漫画祭に政治主張を持ち込ませるな!!」
>>>韓国
>「マンガを政治に利用するな!!」
>>>論破プロジェクト
>「マンガをなめるな!!」
まったくその通りだ。
「Aは間違ってるから対抗するBを持ち上げる」という論法は危ない。AもBもどっちも間違ってる場合があるから。
右だろうが左だろうが、間違ってるものには「おかしい」「間違ってる」って言わなきゃいけない。
あと、「主張が正しければ何をやってもいい」という考え方もダメだ。いくら主張が正しくても、行動が間違ってたらアウトなんだよ。
http://hirorin.otaden.jp/e309280.html
まずは『週刊文春』『週刊新潮』の2月13日号(発売は2月6日)を読み比べてみる。
まずは『文春』。「韓国『慰安婦マンガ祭』の許されざる全内幕」と題して、韓国の出展したマンガの内容を詳しく紹介している。
しかし、論破プロジェクト代表の藤井実彦氏にインタビューまでしているのに、彼と幸福の科学の関係については、一切の言及なし。
次に『新潮』。「仏のマンガ祭から締め出された『日本人グループ』の裏に『幸福の科学』」というグラビア記事。幸福実現党から出馬したトクマ氏の写真(マスコットキャラクター「トックマくん」が写っている)と、藤井実彦氏の名刺(「トックマくん」が印刷されている)、撤去された論破プロジェクトのブースの写真(「トックマくん」が描かれている)を並べて掲載。
さらにトクマ氏にインタビューし「藤井君は僕と同じく、幸福の科学の会員だよ」「あのマスコットは僕にちなんで『トックマ』と言うんですが、彼に使っていいよって言ったんです」という証言を引き出している。
その一方で、韓国の慰安婦マンガがどういうものだったかは、まったく触れていない。
うーん、両方の記事を並べて互いに補完したら、公正な記事になるのになあ(笑)。
こうして見ると、『はだしのゲン』騒動の時とは構図がまったく逆だな。あの時は、『文春』が事件のバックに在特会がいることを報じ、『新潮』はそこにまったく触れてなかった。
http://hirorin.otaden.jp/e292136.html
次に『週刊ポスト』2月21日号。これにもアングレーム漫画祭の記事が載った。それも二つも。
グラビア記事は「韓国「従軍慰安婦漫画」のデタラメ」というタイトルで、漫画祭に出展された韓国の漫画を「韓国お得意の“捏造プロパガンダ”」「史実とかけ離れた、根拠も何もない作り話ばかり」と紹介する内容。
一方、本文記事の方は「韓国の反日漫画に対抗した日本側作品の「作者」を書かなかった産経新聞」というタイトルで、論破プロジェクトが幸福の科学の支援を受けた団体であること、なぜか産経新聞がそれに触れなかったことを報じている。実際、幸福の科学広報局に問い合わせたところ、漫画のフランス語翻訳に協力したことをあっさり認め、「国益に適った活動であり、全国紙が報道することも問題ない」という回答だったそうだ。
『ポスト』は産経新聞にも取材を申し込んだが、「個別の記事については答えられない」という回答だったという。
「個別の記事については答えられない」って……意味不明の回答だな。
なんにしても、今回の件で『週刊ポスト』をちょっと見直した。
僕としては、こちらのサイトに書かれている主張に全面的に同意する。
アングレーム国際漫画祭で何があったのか? 韓国慰安婦漫画問題を考察してみる
http://world-manga.at.webry.info/201402/article_3.html
>>>アングレームの主催者の方
>「漫画祭に政治主張を持ち込ませるな!!」
>>>韓国
>「マンガを政治に利用するな!!」
>>>論破プロジェクト
>「マンガをなめるな!!」
まったくその通りだ。
「Aは間違ってるから対抗するBを持ち上げる」という論法は危ない。AもBもどっちも間違ってる場合があるから。
右だろうが左だろうが、間違ってるものには「おかしい」「間違ってる」って言わなきゃいけない。
あと、「主張が正しければ何をやってもいい」という考え方もダメだ。いくら主張が正しくても、行動が間違ってたらアウトなんだよ。
Posted by 山本弘 at
14:50
│Comments(17)
2014年02月19日
日本版『アメージング・ストーリーズ』とアメリカSF雑誌の世界
Live Wire 14.2.28(金) なんば紅鶴|山本弘のSF&トンデモNIGHT#31
日本版『アメージング・ストーリーズ』とアメリカSF雑誌の世界
終戦直後の昭和25年、誠文堂新光社から発売された『怪奇小説叢書 アメージング・ストーリーズ』全7巻をご存知でしょうか?
日本初の海外SF短編の本格的アンソロジー。そこに掲載された佳作・珍作・怪作の数々を歴史の闇から掘り起こし、楽しく紹介しながら、『アメージング・ストーリーズ』を中心とした1920~50年代のアメリカのSF雑誌の栄枯盛衰を語ります。海外SFファンは必見!
[出演] 山本弘(SF作家/と学会会長)
[日時] 2014年2月28日(金) 開場・19:00 開始・19:30
[会場] なんば紅鶴(大阪市中央区千日前2-3-9 レジャービル味園2F / Tel. 06-6643-5159)(地図)南海なんば駅より南海通り東へ180m・駐車場有
[料金] 1500円
(店内でのご飲食には別途料金がかかります。入場時に別途ワンドリンクをご購入いただきますのでご了承ください)
前売り券のお求めはこちらへ
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=70727365
---------------------------------
日本語版『アメージング・ストーリーズ』、以前から存在は知っていたけど、全貌がなかなか分からなかったんですよね。今回、全7巻の実物を入手したもので、「他の誰も紹介しないのなら僕が紹介するしかない!」と思い立ちました。
いやあ、頭の痛くなる怪作が多くて(笑)。でも、そういうのも逆に楽しいかなと思います。
背景を調べてゆくうちに、発見もいろいろありました。日本ではミステリ作家として有名なウィリアム・P・マッギヴァーンですが、実はこの時代、ものすごい数のスペースオペラとファンタジーを書きまくってたというのは、初めて知りました。特にこの日本語版『アメージング・ストーリーズ』に載った作品には、思いがけない事実が……お楽しみに!
日本版『アメージング・ストーリーズ』とアメリカSF雑誌の世界
終戦直後の昭和25年、誠文堂新光社から発売された『怪奇小説叢書 アメージング・ストーリーズ』全7巻をご存知でしょうか?
日本初の海外SF短編の本格的アンソロジー。そこに掲載された佳作・珍作・怪作の数々を歴史の闇から掘り起こし、楽しく紹介しながら、『アメージング・ストーリーズ』を中心とした1920~50年代のアメリカのSF雑誌の栄枯盛衰を語ります。海外SFファンは必見!
[出演] 山本弘(SF作家/と学会会長)
[日時] 2014年2月28日(金) 開場・19:00 開始・19:30
[会場] なんば紅鶴(大阪市中央区千日前2-3-9 レジャービル味園2F / Tel. 06-6643-5159)(地図)南海なんば駅より南海通り東へ180m・駐車場有
[料金] 1500円
(店内でのご飲食には別途料金がかかります。入場時に別途ワンドリンクをご購入いただきますのでご了承ください)
前売り券のお求めはこちらへ
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=70727365
---------------------------------
日本語版『アメージング・ストーリーズ』、以前から存在は知っていたけど、全貌がなかなか分からなかったんですよね。今回、全7巻の実物を入手したもので、「他の誰も紹介しないのなら僕が紹介するしかない!」と思い立ちました。
いやあ、頭の痛くなる怪作が多くて(笑)。でも、そういうのも逆に楽しいかなと思います。
背景を調べてゆくうちに、発見もいろいろありました。日本ではミステリ作家として有名なウィリアム・P・マッギヴァーンですが、実はこの時代、ものすごい数のスペースオペラとファンタジーを書きまくってたというのは、初めて知りました。特にこの日本語版『アメージング・ストーリーズ』に載った作品には、思いがけない事実が……お楽しみに!
2014年02月04日
三点リーダはなぜ必要なのか
先日、マイミクさんのつぶやきで、なぜ文章を書くのに三点リーダ(…)なんて使わなくちゃいかんのか、中黒(・)使えばいいじゃないか、みたいなことが書かれていたので解説しておく。
簡単に言えば、三点リーダと中黒は用途が根本的に違う。
リーダー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%BC_(%E8%A8%98%E5%8F%B7)
中黒
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E9%BB%92
さらに、見た目もぜんぜん違う。
「まさか……」
小説の中とかでよく使われるこの表現。これを中黒で代用すると、
「まさか・・・・・・」
これは横書きだからまだ中黒の間隔が詰まって見えてるけど、縦書きだとさらに間隔が開いてマヌケっぽくなる。
そもそも2マスで済むものを、何でわざわざ6マスも使うんだよお前は、って話なんだよね。
ちなみに三点リーダを打つには、「てん」と入力すればいいだけ。
「てん」と打つと変換候補がいっぱい出て面倒くさいと思うなら、「てんてん」で「……」と出るように登録しておけばいい。僕はそうしてる。
小説を書くのなら、そんな風によく使う言葉を登録するのは当たり前なんだけどなあ? 登場人物の名前とか。『トンデモノストラダムス本の世界』を書いた時は、「のす」と打ったら「ノストラダムス」が出るようにしたよ。
あと、僕は「せん」と打つと「――」、「のま」と打つと「々」が出るように登録してる。(後者は「どう」でも出るけど、やっぱり変換候補がいっぱい出て面倒なので)
なぜマイミクさんがこんな話題を書いたかというと、最近、ツイッターでこの議論が盛り上がったかららしい。
http://togetter.com/li/622332
なんか「どっちでもいい」「三点リーダだろうが中黒だろうが俺は気にしない」と言ってる人が多いんだけど……。
あなたが気にしなくても、 新人賞の応募原稿の下読みをする編集者がそれを気にする人かどうか、という視点が、すっぽり欠落してませんか?
なぜそんな無意味なリスクをわざわざ負うのか。どっちでもいいんだったら、危険が少ない三点リーダにした方がいいじゃないか。
不思議なことに、三点リーダ以外ではあまりこういう意見を聞かない。「句読点なんかコンマとピリオドで代用すればいいじゃん」とか、「0(ゼロ)とO(オー)は見分けつかないから、オーはゼロで代用してもかまわないだろう」とか、そんな意見は聞いたことがない。
推測するに、三点リーダというものの知名度が低いせいで、不当な扱いを受けてるんじゃないだろうか。
繰り返すけど、「てん」と打てば出るからね?
最大の問題は、「三点リーダを知らないと教養が疑われる」ってこと。
だって、小説とか読んでたらしょっちゅう三点リーダ、目にするでしょ? つまり、作家志望の人間なら知ってなきゃおかしい。「三点リーダなんてものがあるなんて初めて知りました」と言ったら、「こいつ、普段から本読んでないな」と思われちゃうわけよ。
「三点リーダ不要論」を唱える人の心理には、三点リーダを知らないことを馬鹿にされたという体験のトラウマもあるように思う。でも、それは逆恨みってもんですよ。
三点リーダを中黒で代用するメリットは何もない。逆に(少ないが)デメリットはある。
だったらそんなことはしないのが合理的判断だ。
他にも素人が文章を書く際によく無視する(or知らない)規則として、こんなのがある。
・段落の冒頭は1マス空ける。
これは合理的な根拠がある。「段落の最初はここですよ」と示さないと、前の段落が行の最後まで続いていた場合、段落の区切りが分からなくなる。だから必要。
ただ、ネットの文章では、段落を変えるごとに1行空けるものが多い。その場合、段落の区切りが分かるから、1マス空けは必要じゃないのかもしれない。実際、1マス空けをやってないものが多い。
でも、モニターならまだしも、印刷物で段落ごとに1行空けをやられると、すかすかに見えちゃう。モニターならやってもいいけど、印刷物ではやらない方がいい。
・「!」や「?」の後は1マス空ける。
これもけっこう知らない人が多いな。それこそ小説とか読んでたら気づくはずなんだけど。
「何その唐突な質問!? トラップか!? オレをブラコンと認めさせたいんだな!?」
「何その唐突な質問!?トラップか!?オレをブラコンと認めさせたいんだな!?」
はい、どっちが読みやすいかは一目瞭然ですね。句点(。)で終わるのと違って記号で文が終わると、次の文との間に切れ目がなくて見にくい。だから1マス空ける。
こうした規則の中には、確かに無意味なものもある。「擬音語はカタカナ、擬態語はひらがな」なんて、誰が考えたのか知らないけど無意味な規則で、こんなもんは従う必要はない。
擬音語はカタカナ、擬態語はひらがな?
http://togetter.com/li/613399
でも、規則の中にはちゃんとした根拠のあるものもある。それは守った方がいい。
【余談】
三点リーダについて検索してたら、こんなのがヒットした。
赤い糸切れちゃうよ・・・。上巻 (萌え萌え文庫)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4990569407/
うわー、タイトルに三点リーダ使ってねえ!
エヌオーワンセブンの萌え萌え文庫ってなんだよ。そんな出版社、聞いたこともねーよ。
しかも紹介文がひどいひどい。
>ライトノベル新レーベル萌え萌え文庫第一弾。 荒削りでも将来性のあるオリジナリティーのある作品、ちょっと癖のある、とんがった作品をコンセプトに創刊した萌え萌え文庫。
>そんなコンセプトに負けないぶっ飛んだ作品です。
コンセプトに「負けない」の? 「ふさわしい」じゃなく?
>もう旅行行くのやめようかと何度も挫けそうになるが、再度やる気を出して友達を誘おうとするが、相手にされず約束を破られ自暴自棄。
「が」がダブってるよ!
>今までに見た事も無い作風で物語が進みます。 登場人物のツッコミ、ボケに嵌まれば、腹を抱えて笑い、ページを捲る手が止まります。
ページをめくる手止まるんかよ!?(笑) だめじゃん、それ。
>この作品の為にライトノベルと言うジャンルが、ますます不可解になる奇書となるでしょう。
お前の説明からしてすでに不可解だよ(笑)。せめて「奇書と言えるでしょう」と書けよ。
なるほど、日本語を分かってない編集者が編集やってんのか。だから中黒代用を許してるわけね。
簡単に言えば、三点リーダと中黒は用途が根本的に違う。
リーダー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%BC_(%E8%A8%98%E5%8F%B7)
中黒
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E9%BB%92
さらに、見た目もぜんぜん違う。
「まさか……」
小説の中とかでよく使われるこの表現。これを中黒で代用すると、
「まさか・・・・・・」
これは横書きだからまだ中黒の間隔が詰まって見えてるけど、縦書きだとさらに間隔が開いてマヌケっぽくなる。
そもそも2マスで済むものを、何でわざわざ6マスも使うんだよお前は、って話なんだよね。
ちなみに三点リーダを打つには、「てん」と入力すればいいだけ。
「てん」と打つと変換候補がいっぱい出て面倒くさいと思うなら、「てんてん」で「……」と出るように登録しておけばいい。僕はそうしてる。
小説を書くのなら、そんな風によく使う言葉を登録するのは当たり前なんだけどなあ? 登場人物の名前とか。『トンデモノストラダムス本の世界』を書いた時は、「のす」と打ったら「ノストラダムス」が出るようにしたよ。
あと、僕は「せん」と打つと「――」、「のま」と打つと「々」が出るように登録してる。(後者は「どう」でも出るけど、やっぱり変換候補がいっぱい出て面倒なので)
なぜマイミクさんがこんな話題を書いたかというと、最近、ツイッターでこの議論が盛り上がったかららしい。
http://togetter.com/li/622332
なんか「どっちでもいい」「三点リーダだろうが中黒だろうが俺は気にしない」と言ってる人が多いんだけど……。
あなたが気にしなくても、 新人賞の応募原稿の下読みをする編集者がそれを気にする人かどうか、という視点が、すっぽり欠落してませんか?
なぜそんな無意味なリスクをわざわざ負うのか。どっちでもいいんだったら、危険が少ない三点リーダにした方がいいじゃないか。
不思議なことに、三点リーダ以外ではあまりこういう意見を聞かない。「句読点なんかコンマとピリオドで代用すればいいじゃん」とか、「0(ゼロ)とO(オー)は見分けつかないから、オーはゼロで代用してもかまわないだろう」とか、そんな意見は聞いたことがない。
推測するに、三点リーダというものの知名度が低いせいで、不当な扱いを受けてるんじゃないだろうか。
繰り返すけど、「てん」と打てば出るからね?
最大の問題は、「三点リーダを知らないと教養が疑われる」ってこと。
だって、小説とか読んでたらしょっちゅう三点リーダ、目にするでしょ? つまり、作家志望の人間なら知ってなきゃおかしい。「三点リーダなんてものがあるなんて初めて知りました」と言ったら、「こいつ、普段から本読んでないな」と思われちゃうわけよ。
「三点リーダ不要論」を唱える人の心理には、三点リーダを知らないことを馬鹿にされたという体験のトラウマもあるように思う。でも、それは逆恨みってもんですよ。
三点リーダを中黒で代用するメリットは何もない。逆に(少ないが)デメリットはある。
だったらそんなことはしないのが合理的判断だ。
他にも素人が文章を書く際によく無視する(or知らない)規則として、こんなのがある。
・段落の冒頭は1マス空ける。
これは合理的な根拠がある。「段落の最初はここですよ」と示さないと、前の段落が行の最後まで続いていた場合、段落の区切りが分からなくなる。だから必要。
ただ、ネットの文章では、段落を変えるごとに1行空けるものが多い。その場合、段落の区切りが分かるから、1マス空けは必要じゃないのかもしれない。実際、1マス空けをやってないものが多い。
でも、モニターならまだしも、印刷物で段落ごとに1行空けをやられると、すかすかに見えちゃう。モニターならやってもいいけど、印刷物ではやらない方がいい。
・「!」や「?」の後は1マス空ける。
これもけっこう知らない人が多いな。それこそ小説とか読んでたら気づくはずなんだけど。
「何その唐突な質問!? トラップか!? オレをブラコンと認めさせたいんだな!?」
「何その唐突な質問!?トラップか!?オレをブラコンと認めさせたいんだな!?」
はい、どっちが読みやすいかは一目瞭然ですね。句点(。)で終わるのと違って記号で文が終わると、次の文との間に切れ目がなくて見にくい。だから1マス空ける。
こうした規則の中には、確かに無意味なものもある。「擬音語はカタカナ、擬態語はひらがな」なんて、誰が考えたのか知らないけど無意味な規則で、こんなもんは従う必要はない。
擬音語はカタカナ、擬態語はひらがな?
http://togetter.com/li/613399
でも、規則の中にはちゃんとした根拠のあるものもある。それは守った方がいい。
【余談】
三点リーダについて検索してたら、こんなのがヒットした。
赤い糸切れちゃうよ・・・。上巻 (萌え萌え文庫)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4990569407/
うわー、タイトルに三点リーダ使ってねえ!
エヌオーワンセブンの萌え萌え文庫ってなんだよ。そんな出版社、聞いたこともねーよ。
しかも紹介文がひどいひどい。
>ライトノベル新レーベル萌え萌え文庫第一弾。 荒削りでも将来性のあるオリジナリティーのある作品、ちょっと癖のある、とんがった作品をコンセプトに創刊した萌え萌え文庫。
>そんなコンセプトに負けないぶっ飛んだ作品です。
コンセプトに「負けない」の? 「ふさわしい」じゃなく?
>もう旅行行くのやめようかと何度も挫けそうになるが、再度やる気を出して友達を誘おうとするが、相手にされず約束を破られ自暴自棄。
「が」がダブってるよ!
>今までに見た事も無い作風で物語が進みます。 登場人物のツッコミ、ボケに嵌まれば、腹を抱えて笑い、ページを捲る手が止まります。
ページをめくる手止まるんかよ!?(笑) だめじゃん、それ。
>この作品の為にライトノベルと言うジャンルが、ますます不可解になる奇書となるでしょう。
お前の説明からしてすでに不可解だよ(笑)。せめて「奇書と言えるでしょう」と書けよ。
なるほど、日本語を分かってない編集者が編集やってんのか。だから中黒代用を許してるわけね。
2014年02月04日
日下一郎『“世界最後の魔境"群馬県から来た少女』
>「群馬県から来た少女」コヨトルが、物語の主人公・羽柴(はしば)グンの通う東京の学園に転校してきた。
>その目的は、世間に「田舎だ」「秘境だ」と言われ続けている群馬県による世界支配だという。誰もが絶対無理だと思うのだが、コヨトルは故郷群馬のために決心を変えず、群馬によるさまざまな世界支配計画を開始し、次々に騒動を巻き起こしていく。
>やがて舞台は群馬県へと移り、かつて世界を破滅させたという邪神「群馬王」の復活をめぐる大バトルが勃発してしまう……!
>群馬県協力のもと、群馬県の「あるあるネタ」をこれでもかと盛り込んだご当地ライトノベルが誕生!
>※この物語における「群馬県」については、インターネット等において言われる「ものすごい田舎。田舎を通り越して秘境」というイメージを誇張したものであることをあらかじめお断りしておきます。群馬県の人、怒らないで!
PHPスマッシュ文庫というと、『うちのメイドは不定形』『ウルトラマン妹』『未完少女ラヴクラフト』『奥ノ細道・オブ・ザ・デッド』などなどの変な発想のラノベ(いちおう上記作品全部読んでますが)をいろいろ出しているレーベル。しかし、これはまた変な……というか、スマッシュ文庫以外じゃ通りそうにない企画である。
最近、アニメで町興しというのはよく聞くけど、ラノベで群馬をPR? うーむ、効果はあるんだろうか。
疑問に思いつつも読んでみた。この作者の前作『妹戦記デバイシス』がけっこう面白かったし。
読んでみたら大当たりだった。
とにかく全編、ギャグがぎっしり! ノリ的には川岸殴魚『邪神大沼』シリーズ(ガガガ文庫)に近いけど、『大沼』が脱力系ギャグなのに対し、こっちは徹底的にハイテンション! 最初から最後までダレる間もなく、猛スピードでナンセンスなドタバタが展開するんである。
アニメやマンガやラノベの定石をおちょくりまくり、むちゃくちゃな展開に作者自らツッコミを入れたり、はたまた開き直ったり。そのうえ隙あらば挿入されるアニメやマンガなどのパロディ。ギャグの入ってないページがほとんどないぐらい。何度も何度もしつこくくり返されるギャグ(特に関谷先生がコヨトルを尋問する方法)が、一回ごとに変化してゆくという構成の妙。
かんじんの群馬ネタだが、群馬の名所(どこも印象が薄い)、群馬の名産(どれもいまいちショボい)、群馬ゆかりの歴史上の有名人(国定忠治以外は知名度低い。高山彦九郎は名前だけなら京都人に知られてるけど、「京阪三条のところで土下座してるおっさん」という程度の認識だよなあ)などなどをありったけ詰めこんでいる。しかもそれらがどれもちゃんとギャグとして機能しているのだ。
これが群馬県が正式に協力してるってんだからすごい。ほんと、器広いな、群馬県庁。
だから読んでると自然に群馬に詳しくなってきちゃうんである。見事な群馬PR。役に立つかどうかは分からんけど。たぶん観光になんか行かないし(笑)。
さらにそのうえ、群馬と中央アメリカ古代文明の意外なつながり(もちろん創作だけど)を明らかにする伝奇ノベルでもあるという贅沢さ。
ギャグもののラノベは数多いが、ここまでギャグ密度の高い作品はなかなかない。だってギャグ書くのって疲れるから。だいたい作者が途中で力尽きて、シリアス展開に走ったりするから。
しかし、この作者はシリアスに逃げない。最後の最後で、ほんのちょっとシリアスっぽくなるだけで、あとは全編(あとがきに至るまで)ありったけのギャグを詰めこんでいる。
これは死ぬ。
こんな書き方してたら作者死ぬ。
もっとこういう作品を読んでみたい気もするが、これは量産できないだろうなあ。奇跡のような一冊である。
さて、AMAZONの評価を見てみると……あれ? 評価低いぞ? 何でだ?
レビューを読んでみると。
>ハチャメチャな展開はいいと思います。
>ですが、登場するキャラクターがすべて同じ口調で、同じような行動しかしないのが
>私的にはどうにも残念でなりません。
>終盤は同じことの繰り返しで、まさに作業と化しています。
>途中からテンプレを用意して、ところどころ変えただけのようなストーリーが4回続きます。
>ギャグのネタもイマイチ古く残念な仕上がりです。
>ストーリー、キャラクター設定がめちゃくちゃとしか言い表せない。
>でもストーリーは、滅茶苦茶。
>特に後半はネタが無いのか、場所を群馬県内で4か所移動しただけで、ほぼ同じストーリーの繰り返し。
ぎゃあーっ!!!!!
こいつら「くり返しギャグ」という概念を理解してねえ!
ああ、そうか、僕がこの作品を楽しめたのは、これまでいろんなギャグ作品に接してきたからか。
「くり返しギャグ」「定番ギャグ」というものがあるということを知らない人間には、毎回同じシチュエーションがくり返されるのが手抜きに見えちゃうのか。(「お父っつぁん、お粥ができたわよ」や「まさかの時のスペイン宗教裁判」はもちろん、『タケちゃんマン』とか『仮面ノリダー』とかもすでに知らない世代なんだろうなあ)
「ストーリー、キャラクター設定がめちゃくちゃ」って、それはギャグなんだから当たり前だろって思うんだけど、小説をストーリーやキャラクターでしか読まない人間にはそれが分からないのか。
吉本新喜劇とかに対して「同じストーリーの繰り返し」と文句つけたり、『タケちゃんマン』『仮面ノリダー』に対して「ストーリーがめちゃくちゃ」なんて文句つける人間はいないはずなんだが、なぜ小説だとストーリー性を重視しなくてはいけないと思うんだろう? 不思議だ。
筒井康隆氏の初期作品の数々や、横田順彌氏の『宇宙ゴミ大戦争』や、かんべむさし氏の「決戦・日本シリーズ」などが大好きだった僕としては、こういうタイプの作品を普通の小説の基準で評価する読み方には納得いかないなあ。ギャグにはギャグの読み方ってものがあるんだよ。
2014年02月04日
アングレーム国際漫画祭で何が起きたか
「フランスの国際漫画祭で日本のブースが韓国人とフランス人主催者に破壊されて撤去された」というのは本当なんでしょうか?
http://togetter.com/li/622922
>フランスでの国際アニメフェスティバルで、日本のブースが韓国人により破壊され、会場は韓国人に占領されてしまいました。
「国際アニメフェスティバル」ではなく「アングレーム国際漫画祭」。
「日本のブース」ではなく「日本の民間団体『論破プロジェクト』のブース」。
「韓国人により破壊」ではなく「大会主催者により撤去」。
「会場は韓国人に占領」そんな事実なし。
とまあ、いきなりすごい誤報から幕を開けた事件である。
1月30日以来、産経新聞が続けてこの事件を取り上げている。こちらはさすがに大手メディアだけあって、ほぼ事実に近いんだけど……。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140130/erp14013021050006-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140201/kor14020100390002-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140201/kor14020100310000-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140202/erp14020221470004-n1.htm
しかし、かんじんの、この「論破プロジェクト」というのがどういう団体なのかという説明が、すっぽり抜け落ちている。
実はこの団体、幸福の科学がからんでいる。
後援団体のひとつに幸福の科学の名があるし、論破プロジェクトのマスコットキャラクター「トックマくん」自体、もともと2012年の都知事選、2013年の参院選で、幸福実現党が使ったものなのだ。
現在、後援団体を記載したページは削除されているが、そんなもんで関係がごまかせるわけがない。
早くも「やや日刊カルト新聞」で暴かれている。
仏・国際漫画祭で出展中止の"日本側団体"は幸福の科学がらみ
http://dailycult.blogspot.jp/2014/01/blog-post_671.html
アングレーム国際漫画祭"論破プロジェクト"への関与、幸福実現党幹部が語っていた
http://dailycult.blogspot.jp/2014/02/blog-post.html
論破プロジェクトが幸福の科学がらみであることを知っているかどうかで、このニュースから受ける印象はまるで変わるはずだ。
なぜ産経新聞は論破プロジェクトの背景について何も触れなかったのか? 決まってる。
産経新聞は幸福の科学から多額の宣伝費を貰ってるから。
産経新聞を購読してると、紙面の下の方に頻繁に『Liberty』や大川隆法の本の広告がでっかく載っていて、いやでも目につく。映画公開の時には全面広告も載る。この教団はどんだけ潤沢な資金持ってんだって、いつも感心してる。
つまり産経にとって、幸福の科学は最大手のスポンサーなのだ。うかつに触れられるわけがない。
それにしても、いつも「マスゴミは信用できない!」とか言ってる連中が、こういうニュースの裏を読まないってのも情けない話である。「フジサンケイグループは韓国に支配されてる」んじゃなかったの?(笑)
さて、この第一報を目にして、僕は疑問に思った。
そもそもこういうイベントを政治宣伝の場にすること自体がおかしいわけだけど、だったらなぜ喧嘩両成敗にならず、論破プロジェクトの側だけが撤去されたのか。
どうやらその理由のひとつは、展示されているマンガの中にハーケンクロイツが使われていたことらしい。
どんなマンガだったんだろう……と興味を抱いて画像を探してみたら。
http://daisukinipponfrance.over-blog.com/2014/01/3-mangas-sauv%C3%A9s-de-voldemort%E3%80%80%E6%8B%A1%E6%95%A3%E3%81%A9%E3%81%86%E3%81%9E.html
……あのさあ。
慰安婦問題がとか、ハーケンクロイツがとかいう以前に、ツッコませてもらおう。
これコミPo!じゃん!
いや、コミPo!が悪いソフトというわけじゃないよ。僕も同人誌作るのに使ったことがあるし。
でも、仮にも国際漫画祭というイベントに出展する作品をそれで作るって、あまりにも非常識すぎやしないか? 同人誌即売会か何かと間違えてない?
しかも内容が問題。
>かつてナチスドイツの宣伝相ゲッペルスは言ったわ。
>意訳「ウソも100回言えば、真実になる」
「ゲッペルス」じゃなくて「ゲッベルス」だよ!
参考:
『ゲッベルスは「嘘も100回言えば本当になる」と言った』というのは嘘
http://techpr.cocolog-nifty.com/nakamura/2011/06/post-5fef.html
確かにゲッベルスは似たようなことは述べてはいるが、「ウソも100回言えば、真実になる」とは言ってない。それは日本人が作った言い回しだと考えるのが妥当だろう。
また、この作者、欧米ではハーケンクロイツそのものがタブー視されていることを知らなかったらしい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%84
>第二次世界大戦後のドイツでは、学問的な理由を除き、ハーケンクロイツなどのナチスのシンボルを公共の場で展示・使用することは、民衆扇動罪で処罰される。ただし私有地や個人での所持、思想へ禁止はしていない。ドイツを含めて各国のネオナチの一部は現在でも使用している。
>ドイツ軍兵器のプラモデルにおいてはハーケンクロイツがボックスアートでは省略されたり、田の字状になっている他、デカールの形状が2つに分けられ、接着しないとハーケンクロイツの形に見えないようにしている等の対策がされている事が多い。これは鉄道模型(メルクリンなど)でも同様である。 これを受けて、少林寺拳法は1947年の創設以来、シンボルマークや胸章に卍を使用してきたが、ヨーロッパでの普及にあたってハーケンクロイツとの混同を避けるため、2005年から新しいシンボルマークに変更している。また、ポケットモンスターカードゲームのカードに卍が印刷されていたが、欧米のユダヤ人団体の抗議によりデザインが変更された。その他、ウォー・シミュレーションゲームなどではハーケンクロイツそのものを削除してしまう(「Silent Hunter」シリーズほか)他に「二つに分割」、「十字に置き換え(「第三帝国興亡記」)」、「鉄十字に置き換え」など規制をかわしている例も見られるが、日本で製作されたソフトの中にはハーケンクロイツがそのまま入っている作品も存在する。セリエAのサッカークラブ、フィオレンティーナはユニフォーム柄の一部が卍に見える箇所が有るとのクレームで変更に至った。
ドイツ人はもちろん、ナチスにひどい目に遭った周辺諸国の人々も、ハーケンクロイツに対しては過敏な反応を示す。軽々しく使っていいものではないのだ。
だから当然、フランスで展示するマンガを作る(「描く」とは言わない。この作者が自分で描いてるわけじゃないから)際には、そうした点に考慮する必要があったはずだ。
それに続くコマも問題。
>これはプロパガンダの手法として、今でも通用するわ
>たとえば2013年11月、韓国大統領が欧州を歴訪したとき
>各国で日本の悪口を言いふらしてまわったんだけど
>これが続くと韓国の主張がたとえウソでも、世界は本当だと思うようになる
このページでは「けれどもそれはナチス賛美ではないことは、見れはすぐに分かります。逆の意味です!」と主張しているが、問題はそんなところにないのは明白だろう。
先に書いたように、「ウソも100回言えば、真実になる」というのはゲッベルスの言葉ではない。だからこの言葉を使うのに、ゲッベルスの名を出す必要も、ハーケンクロイツを出す必要も、まったくなかったはずだ。
じゃあなぜそんなことをやったかというと、単に韓国大統領の朴槿恵にナチスのイメージをダブらせようという、悪意あるプロパガンダ以外の何物でもない。
日本なら「こんな表現のどこが悪いんだ」と主張する人もいるだろう。日本では問題にならないかもしれない。
だが、欧米の基準からしたら完全にアウトだ。たとえ主張が正しくても、表現自体が間違っている。誰かをナチス扱いするというのは、欧米では最大級の侮辱なのだから。
これはフランスのイベントで、主にフランス人に見せるために作られたマンガだ。当然、フランス人がどう思うかを考慮しなくてはならなかったはずだ。
誤解されないように言っておくが、僕は慰安婦問題について反論するなと言ってるんじゃない。本当に真実を訴えたいと願うなら、メッセージを伝えたい相手に、正しく伝わるべきものでなくてはいけない、と言っているのだ。
このマンガの作者や、この展示を許可した論破プロジェクトのスタッフには、「自分たちがやっていることが、フランス人からはどう見えるか」という視点が、根本的に欠落していた。
産経新聞によれば、アングレーム国際漫画祭のニコラ・フィネ実行委員は、論破プロジェクトの作品を拒否した理由について、「こうした極右思想・団体とは戦う」と述べているという。
「それは誤解だ!」と怒る人もいるだろう。だが、このマンガを見たらそう誤解されてもしかたがない。
忘れてるかもしれないが、日本はナチスの同盟国だったのである。
その日本が、隣国に対して重大な人権侵害をやったと非難されている。
それは濡れ衣かもしれない。だったら、なおさら誤解を招かないよう、穏やかに事実だけを訴えるべきではなかったのか。
それなのに、こんなギャグ混じりのふざけたマンガを作り、なおかつ他国の国家元首をナチスになぞらえるという悪質なことをやったら、猛烈な反発を食らうのは当たり前ではないか。
相手を怒らせるようなものを作ってどうする。かえって日本の印象を悪くするだけだろ?
韓国人がマンガでひどい反日宣伝をやってる? うん、だったら日本人がそれを真似しちゃだめだよね。
ネットではこういうのを「韓国面に堕ちる」と言うらしい。
あと、幸福の科学とつるんでるのも、絶対にまずい。
前に『トンデモノストラダムス本の世界』でも書いたけど、大川隆法教祖の初期の著作『ノストラダムス戦慄の啓示』(幸福の科学出版)は、日本が軍国主義化して世界を支配するのが正しいと(ノストラダムスの霊言という形で)書いたものである。
何箇所か引用しよう。ちなみに文中に出てくる「怪物」「リヴァイアサン」というのは日本のことである。
最も愚かなる者がいる。
ああ、他人のひさしを借りて生業を立てる者よ。
東洋の淑女よ。
お前は数限りなく犯され続けてきた。
(中略)
引き裂かれたる姉妹が、一つになろうとするとき、
この姉妹の不幸が起きる。
この由緒ある家柄に育った姉妹は、
再び怪物に犯され、怪物の子を孕むことになる。
おまえたちは怪物の子を産むことのみによって、
生き残ることが許されるのだ。
その子をもし産まぬというならば、
おまえたちの命もまたないであろう。
怪物の子を、もし中絶するというならば、
おまえたち姉妹は、
リヴァイアサンに食べられてしまうことになるだろう。
(41~43ページ)
二十一世紀、リヴァイアサンは無敵となるであろう。
年老いた鷲の喉を食いちぎり、
また、力尽きた赤き熊を打ち倒し、
老いたるヨーロッパを嘲笑い、
中国を奴隷とし、朝鮮を端女とするであろう。
(159ページ)
そして、朝鮮の人びとにとって悲劇であることには、
彼らは、あまりにもリヴァイアサンの近くに
住みすぎたということだ。
かつて、リヴァイアサンにその脇腹を抉られ、食べられはしたが
今度はその尻尾を食べられることになるだろう。
(169ページ)
朝鮮半島についての部分だけ抜粋したが、実際には、アメリカ、ソビエト(ノストラダムスもソ連が崩壊することは予知できなかったらしい)、イギリス、中国、インドなどなど、世界の国を片っ端から罵倒し、嘲笑し、侮蔑し、恫喝する内容である。
たとえばノストラダムスの母国であり、この漫画祭の開催地であるフランスについての記述はこんな感じ。
ああ、そこに踊っているのは老いたる貴婦人ではないか。
おお、あなたを、もう二、三百年も見なかったような気がする。
セーヌのほとりであなたが踊るロンドは素晴らしいが、
ああ、どうしたのだろう。
その目が落ちこみ、くぼみ、その頬がこけているのは。
ああ、どうしたのだろう。
華奢な体が、いつのまにか骨と皮に化けているのは。
(24ページ)
見よ、見よ、セーヌ川の老処女が狡猾な目を向けて笑う。
セーヌ川の老女は、鷲と蠍を天秤にかけているのだ。
昼間は鷲とともにダンスを踊り、夜は蠍とグラスを傾けあう。
二心ある女に幸福を招くものはない。
鷲は、この老女を恐れよ。
このセーヌ川の貴族趣味の香水に惑わされてはならない。
この老処女は、悪しきことを心に抱いている。
(33ページ)
この『ノストラダムス戦慄の啓示』は海外に訳されていないらしい。最終章に「諸外国の人びとには読ませてはなるまい」「英語や中国語や韓国語には、決して訳してはなるまい」と書いてあるからだ。
フランス人が幸福の科学の本を読んだらどういう印象を受けるか、想像してほしい。
「極右思想・団体」と誤解されたくないなら、こんな教団との関係は断ち切るべきである。
参考:
幸福実現党の研究(3)ノストラダムス戦慄の啓示
http://www.kotono8.com/2009/08/28kouhuku03.html
あと、ぜんぜん関係ないけど、ノストラダムスの詩に出てくるアンゴルモア(Angolmois)というのは、アングーモワ州(Angoumois)とその中心地だったアングレーム(Angoulême)のもじりである。ノストラダムスはヴァロワ=アングレーム家のフランソワ1世を念頭に置いて「アンゴルモワの大王」と書いたと思われる。
http://togetter.com/li/622922
>フランスでの国際アニメフェスティバルで、日本のブースが韓国人により破壊され、会場は韓国人に占領されてしまいました。
「国際アニメフェスティバル」ではなく「アングレーム国際漫画祭」。
「日本のブース」ではなく「日本の民間団体『論破プロジェクト』のブース」。
「韓国人により破壊」ではなく「大会主催者により撤去」。
「会場は韓国人に占領」そんな事実なし。
とまあ、いきなりすごい誤報から幕を開けた事件である。
1月30日以来、産経新聞が続けてこの事件を取り上げている。こちらはさすがに大手メディアだけあって、ほぼ事実に近いんだけど……。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140130/erp14013021050006-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140201/kor14020100390002-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140201/kor14020100310000-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140202/erp14020221470004-n1.htm
しかし、かんじんの、この「論破プロジェクト」というのがどういう団体なのかという説明が、すっぽり抜け落ちている。
実はこの団体、幸福の科学がからんでいる。
後援団体のひとつに幸福の科学の名があるし、論破プロジェクトのマスコットキャラクター「トックマくん」自体、もともと2012年の都知事選、2013年の参院選で、幸福実現党が使ったものなのだ。
現在、後援団体を記載したページは削除されているが、そんなもんで関係がごまかせるわけがない。
早くも「やや日刊カルト新聞」で暴かれている。
仏・国際漫画祭で出展中止の"日本側団体"は幸福の科学がらみ
http://dailycult.blogspot.jp/2014/01/blog-post_671.html
アングレーム国際漫画祭"論破プロジェクト"への関与、幸福実現党幹部が語っていた
http://dailycult.blogspot.jp/2014/02/blog-post.html
論破プロジェクトが幸福の科学がらみであることを知っているかどうかで、このニュースから受ける印象はまるで変わるはずだ。
なぜ産経新聞は論破プロジェクトの背景について何も触れなかったのか? 決まってる。
産経新聞は幸福の科学から多額の宣伝費を貰ってるから。
産経新聞を購読してると、紙面の下の方に頻繁に『Liberty』や大川隆法の本の広告がでっかく載っていて、いやでも目につく。映画公開の時には全面広告も載る。この教団はどんだけ潤沢な資金持ってんだって、いつも感心してる。
つまり産経にとって、幸福の科学は最大手のスポンサーなのだ。うかつに触れられるわけがない。
それにしても、いつも「マスゴミは信用できない!」とか言ってる連中が、こういうニュースの裏を読まないってのも情けない話である。「フジサンケイグループは韓国に支配されてる」んじゃなかったの?(笑)
さて、この第一報を目にして、僕は疑問に思った。
そもそもこういうイベントを政治宣伝の場にすること自体がおかしいわけだけど、だったらなぜ喧嘩両成敗にならず、論破プロジェクトの側だけが撤去されたのか。
どうやらその理由のひとつは、展示されているマンガの中にハーケンクロイツが使われていたことらしい。
どんなマンガだったんだろう……と興味を抱いて画像を探してみたら。
http://daisukinipponfrance.over-blog.com/2014/01/3-mangas-sauv%C3%A9s-de-voldemort%E3%80%80%E6%8B%A1%E6%95%A3%E3%81%A9%E3%81%86%E3%81%9E.html
……あのさあ。
慰安婦問題がとか、ハーケンクロイツがとかいう以前に、ツッコませてもらおう。
これコミPo!じゃん!
いや、コミPo!が悪いソフトというわけじゃないよ。僕も同人誌作るのに使ったことがあるし。
でも、仮にも国際漫画祭というイベントに出展する作品をそれで作るって、あまりにも非常識すぎやしないか? 同人誌即売会か何かと間違えてない?
しかも内容が問題。
>かつてナチスドイツの宣伝相ゲッペルスは言ったわ。
>意訳「ウソも100回言えば、真実になる」
「ゲッペルス」じゃなくて「ゲッベルス」だよ!
参考:
『ゲッベルスは「嘘も100回言えば本当になる」と言った』というのは嘘
http://techpr.cocolog-nifty.com/nakamura/2011/06/post-5fef.html
確かにゲッベルスは似たようなことは述べてはいるが、「ウソも100回言えば、真実になる」とは言ってない。それは日本人が作った言い回しだと考えるのが妥当だろう。
また、この作者、欧米ではハーケンクロイツそのものがタブー視されていることを知らなかったらしい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%84
>第二次世界大戦後のドイツでは、学問的な理由を除き、ハーケンクロイツなどのナチスのシンボルを公共の場で展示・使用することは、民衆扇動罪で処罰される。ただし私有地や個人での所持、思想へ禁止はしていない。ドイツを含めて各国のネオナチの一部は現在でも使用している。
>ドイツ軍兵器のプラモデルにおいてはハーケンクロイツがボックスアートでは省略されたり、田の字状になっている他、デカールの形状が2つに分けられ、接着しないとハーケンクロイツの形に見えないようにしている等の対策がされている事が多い。これは鉄道模型(メルクリンなど)でも同様である。 これを受けて、少林寺拳法は1947年の創設以来、シンボルマークや胸章に卍を使用してきたが、ヨーロッパでの普及にあたってハーケンクロイツとの混同を避けるため、2005年から新しいシンボルマークに変更している。また、ポケットモンスターカードゲームのカードに卍が印刷されていたが、欧米のユダヤ人団体の抗議によりデザインが変更された。その他、ウォー・シミュレーションゲームなどではハーケンクロイツそのものを削除してしまう(「Silent Hunter」シリーズほか)他に「二つに分割」、「十字に置き換え(「第三帝国興亡記」)」、「鉄十字に置き換え」など規制をかわしている例も見られるが、日本で製作されたソフトの中にはハーケンクロイツがそのまま入っている作品も存在する。セリエAのサッカークラブ、フィオレンティーナはユニフォーム柄の一部が卍に見える箇所が有るとのクレームで変更に至った。
ドイツ人はもちろん、ナチスにひどい目に遭った周辺諸国の人々も、ハーケンクロイツに対しては過敏な反応を示す。軽々しく使っていいものではないのだ。
だから当然、フランスで展示するマンガを作る(「描く」とは言わない。この作者が自分で描いてるわけじゃないから)際には、そうした点に考慮する必要があったはずだ。
それに続くコマも問題。
>これはプロパガンダの手法として、今でも通用するわ
>たとえば2013年11月、韓国大統領が欧州を歴訪したとき
>各国で日本の悪口を言いふらしてまわったんだけど
>これが続くと韓国の主張がたとえウソでも、世界は本当だと思うようになる
このページでは「けれどもそれはナチス賛美ではないことは、見れはすぐに分かります。逆の意味です!」と主張しているが、問題はそんなところにないのは明白だろう。
先に書いたように、「ウソも100回言えば、真実になる」というのはゲッベルスの言葉ではない。だからこの言葉を使うのに、ゲッベルスの名を出す必要も、ハーケンクロイツを出す必要も、まったくなかったはずだ。
じゃあなぜそんなことをやったかというと、単に韓国大統領の朴槿恵にナチスのイメージをダブらせようという、悪意あるプロパガンダ以外の何物でもない。
日本なら「こんな表現のどこが悪いんだ」と主張する人もいるだろう。日本では問題にならないかもしれない。
だが、欧米の基準からしたら完全にアウトだ。たとえ主張が正しくても、表現自体が間違っている。誰かをナチス扱いするというのは、欧米では最大級の侮辱なのだから。
これはフランスのイベントで、主にフランス人に見せるために作られたマンガだ。当然、フランス人がどう思うかを考慮しなくてはならなかったはずだ。
誤解されないように言っておくが、僕は慰安婦問題について反論するなと言ってるんじゃない。本当に真実を訴えたいと願うなら、メッセージを伝えたい相手に、正しく伝わるべきものでなくてはいけない、と言っているのだ。
このマンガの作者や、この展示を許可した論破プロジェクトのスタッフには、「自分たちがやっていることが、フランス人からはどう見えるか」という視点が、根本的に欠落していた。
産経新聞によれば、アングレーム国際漫画祭のニコラ・フィネ実行委員は、論破プロジェクトの作品を拒否した理由について、「こうした極右思想・団体とは戦う」と述べているという。
「それは誤解だ!」と怒る人もいるだろう。だが、このマンガを見たらそう誤解されてもしかたがない。
忘れてるかもしれないが、日本はナチスの同盟国だったのである。
その日本が、隣国に対して重大な人権侵害をやったと非難されている。
それは濡れ衣かもしれない。だったら、なおさら誤解を招かないよう、穏やかに事実だけを訴えるべきではなかったのか。
それなのに、こんなギャグ混じりのふざけたマンガを作り、なおかつ他国の国家元首をナチスになぞらえるという悪質なことをやったら、猛烈な反発を食らうのは当たり前ではないか。
相手を怒らせるようなものを作ってどうする。かえって日本の印象を悪くするだけだろ?
韓国人がマンガでひどい反日宣伝をやってる? うん、だったら日本人がそれを真似しちゃだめだよね。
ネットではこういうのを「韓国面に堕ちる」と言うらしい。
あと、幸福の科学とつるんでるのも、絶対にまずい。
前に『トンデモノストラダムス本の世界』でも書いたけど、大川隆法教祖の初期の著作『ノストラダムス戦慄の啓示』(幸福の科学出版)は、日本が軍国主義化して世界を支配するのが正しいと(ノストラダムスの霊言という形で)書いたものである。
何箇所か引用しよう。ちなみに文中に出てくる「怪物」「リヴァイアサン」というのは日本のことである。
最も愚かなる者がいる。
ああ、他人のひさしを借りて生業を立てる者よ。
東洋の淑女よ。
お前は数限りなく犯され続けてきた。
(中略)
引き裂かれたる姉妹が、一つになろうとするとき、
この姉妹の不幸が起きる。
この由緒ある家柄に育った姉妹は、
再び怪物に犯され、怪物の子を孕むことになる。
おまえたちは怪物の子を産むことのみによって、
生き残ることが許されるのだ。
その子をもし産まぬというならば、
おまえたちの命もまたないであろう。
怪物の子を、もし中絶するというならば、
おまえたち姉妹は、
リヴァイアサンに食べられてしまうことになるだろう。
(41~43ページ)
二十一世紀、リヴァイアサンは無敵となるであろう。
年老いた鷲の喉を食いちぎり、
また、力尽きた赤き熊を打ち倒し、
老いたるヨーロッパを嘲笑い、
中国を奴隷とし、朝鮮を端女とするであろう。
(159ページ)
そして、朝鮮の人びとにとって悲劇であることには、
彼らは、あまりにもリヴァイアサンの近くに
住みすぎたということだ。
かつて、リヴァイアサンにその脇腹を抉られ、食べられはしたが
今度はその尻尾を食べられることになるだろう。
(169ページ)
朝鮮半島についての部分だけ抜粋したが、実際には、アメリカ、ソビエト(ノストラダムスもソ連が崩壊することは予知できなかったらしい)、イギリス、中国、インドなどなど、世界の国を片っ端から罵倒し、嘲笑し、侮蔑し、恫喝する内容である。
たとえばノストラダムスの母国であり、この漫画祭の開催地であるフランスについての記述はこんな感じ。
ああ、そこに踊っているのは老いたる貴婦人ではないか。
おお、あなたを、もう二、三百年も見なかったような気がする。
セーヌのほとりであなたが踊るロンドは素晴らしいが、
ああ、どうしたのだろう。
その目が落ちこみ、くぼみ、その頬がこけているのは。
ああ、どうしたのだろう。
華奢な体が、いつのまにか骨と皮に化けているのは。
(24ページ)
見よ、見よ、セーヌ川の老処女が狡猾な目を向けて笑う。
セーヌ川の老女は、鷲と蠍を天秤にかけているのだ。
昼間は鷲とともにダンスを踊り、夜は蠍とグラスを傾けあう。
二心ある女に幸福を招くものはない。
鷲は、この老女を恐れよ。
このセーヌ川の貴族趣味の香水に惑わされてはならない。
この老処女は、悪しきことを心に抱いている。
(33ページ)
この『ノストラダムス戦慄の啓示』は海外に訳されていないらしい。最終章に「諸外国の人びとには読ませてはなるまい」「英語や中国語や韓国語には、決して訳してはなるまい」と書いてあるからだ。
フランス人が幸福の科学の本を読んだらどういう印象を受けるか、想像してほしい。
「極右思想・団体」と誤解されたくないなら、こんな教団との関係は断ち切るべきである。
参考:
幸福実現党の研究(3)ノストラダムス戦慄の啓示
http://www.kotono8.com/2009/08/28kouhuku03.html
あと、ぜんぜん関係ないけど、ノストラダムスの詩に出てくるアンゴルモア(Angolmois)というのは、アングーモワ州(Angoumois)とその中心地だったアングレーム(Angoulême)のもじりである。ノストラダムスはヴァロワ=アングレーム家のフランソワ1世を念頭に置いて「アンゴルモワの大王」と書いたと思われる。