2013年12月26日

続・2013冬コミ新刊情報

  
前回
http://hirorin.otaden.jp/e305055.html

 前回はうちのサークルの新刊の紹介でしたが、今回は委託本です。

アンド・ナウの会
『僕らを育てたシナリオとミステリーのすごい人1 辻真先インタビュー』
 インタビューアーは芦辺拓、唐沢俊一、山本弘、高倉一般。第一巻は辻先生の幼少期からNHK入社までを収録。表紙は漫画家、イラストレーターのカスカベアキラさん描き下ろし。
 30日東シ-88a「ガメラが来た」、東リ-48b「心はいつも15才」
 31日西も-08a「開田無法地帯」、西も-10a「アンド・ナウの会」で販売いたします。

 3年ぐらい前から何回にも分けて進めていた辻真先先生のインタビューが、ようやく本になりました。僕がSFとアニメと特撮ものについて、芦辺拓氏がミステリについて、唐沢俊一氏が映画やサブカル全般について質問するという分担です。
 分量が多いので分冊になります。辻先生の仕事量が膨大なうえに、話がどれも面白いもんで、カットできないんですよ。知らなかった裏話もいっぱいうかがえました。
 このインタビューのために、辻先生の手がけてきたテレビ番組や映画のシナリオのリストも作成しました。1957年の『ジャズ娘誕生』という映画から、最新の『名探偵コナン』まで。これがまたとてつもない数で……しかもまだ不完全なんです。今となっては資料がなくてよく分からない『冒険少年シャダー』『怪盗ラレロ』『男一匹がき大将』『バーバパパ』あたりはもうあきらめるしかないかという気がしますね。
 やっぱり一番の問題は『サザエさん』ですね。辻さん自身も何本書いたか把握してない。10年以上書かれてたから、週1回として500本は超えてるはずなんですが。あと『一休さん』が70本以上あります。
 辻脚本というと『デビルマン』『バビル2世』『サイボーグ009』『スペクトルマン』あたりが有名ですけど、個人的には『コン・バトラーV』『マシンハヤブサ』『恐竜戦隊コセイドン』あたりも好きですね。

 あと、北原尚彦氏の『SF奇書コレクション』で紹介された『チャリス・イン・ハザード』もまだ在庫あります。
  


Posted by 山本弘 at 15:56Comments(5)PR

2013年12月25日

北原尚彦『SF奇書コレクション』

 昨日、著者の北原尚彦氏から献本が届いた。

http://www.webmysteries.jp/sf/kitahara1312.html


 以前に出た『SF奇書天外』の続編で、古今東西の様々なSF関係の珍本・奇本を紹介した本。『Webミステリーズ!』連載時から読んでたけど、このたび加筆修正のうえ一冊にまとまった。
 目次から書き写してみる。

・探し求めた『怪談十五夜』ついに入手!
・科学教育者が戦後初期に書いた『二十一世紀の秘密 ニュートピアの巻』
・勝手にコラボ・SF奇書コレクション版/星新一展『未来に挑むNEC』ほか
・『宇宙航路』の著者、L・ロン・ハバードのお話
・自動車がないと人々の生活はどうなる? 『車のない街』
・地方へ旅して、古本屋巡りをして出遭う、見知らぬ地方SF
・創元社初のSF? 『笑の話』
・軍人が書いた未来架空戦記SF『血の叫び』は××本だった!
・二十二世紀なのに未来感はほぼゼロの武術SF『合気道小説 神技』
・ウェルズの時代に書かれたゴルフSF『21世紀のゴルフ』
・三種コンボ先取り! 科学博で刊行の『象昆鳥』
・実はSF含有率が高かった〈原爆児童文学集〉(前篇)
・実はSF含有率が高かった〈原爆児童文学集〉(後篇)
・知られざる静岡SF作家・杉山恵一
・原子が少年になっちゃった『アトミーノは戦争がきらい』
・聞いたこともなかった児童SF『正義のロボット』
・知られざるSF新人賞受賞作『無意識の底で』
・南沢十七は異星でもハチャメチャ! 『天外魔境』
・遅れてきた新入会員・天瀬裕康=渡辺晋
・実在の市が住民ごと縮んでしまった『小さくなった町』
・東北の民話&童謡作家の書いたロストワールドSF『沙漠の下の海』
・『発酵人間』以上の価値があるレア本『三代の科学』
・映画化までされていた! 透明人間SF『忍術三四郎』
・木枯し紋次郎+ブラック指令が書いたSF劇『すばらしい新世界!』
・一九六〇年代にかくもディープな私家本が! 『宇宙生物分類学』
・『発酵人間』よりも奇書と言われては……『銀座快男児』
・人気作家が好きに書いた同人作品《チャリス・イン・ハザード》
・地球の危機そっちのけで拳法修業? 『燃える地球』
・意外な意外なロストワールドSF『巨龍と海賊』
・総まくり! 科学童話『原子の踊り』から二十一世紀のSF奇書まで

 などなど。目次見てるだけでわくわくしてくるでしょ?

 何より嬉しいのは、僕の『チャリス・イン・ハザード』を紹介してくださってること!
 それだけじゃない。『みづき・ふりーだむ!』『生徒会の百式』『オタクのグルメ』『僕らを育てたSFのすごい人』『シャナナのひみつ』『プラモ狂四郎を10倍楽しむ本』『AXEL全開!』『MADなボクたち』などなど、これまでに僕が出した同人誌がずらりと! 写真入りで! いや、僕が北原さんに頼まれてお送りしたんだけどさ。
 いやあ、自分の作品が伝説の『発酵人間』あたりと肩を並べて語られるって、感無量ですね。
 これ読んで冬コミに『チャリス』買いに来てくださる方、増えるかしらん。

http://hirorin.otaden.jp/e305055.html

 それにしても、知らない本がまだまだずいぶんあるもんである。この本で紹介されてる小説で僕が読んだのって(自分の同人誌を除けば)、三石巌『二十一世紀の秘密 ニュートピアの巻』、L・ロン・ハバードの『宇宙航路』、畑正憲『ゼロの怪物ヌル』、福井大記『アトランティス名古屋に帰る』ぐらい。南沢十七も『緑人の魔都』以外の作品、読んでみたいんだけど。誰か復刻してくれないものか。
 復刻と言えば、ハバードの『宇宙航路』が、あの元々社版のひどい訳ほとんどそのまま、21世紀になって復刻されているというのは驚いた。訳の版権が切れてるのか? 何にしても、あの訳は直して欲しいよ。ほとんど意味不明だったもの。
 あと、『アトランティス名古屋に帰る』もそうだけど、『地球外動体視力ゴルファー』とか、タイトルだけで気になっちゃうよね。

 他にも、岡部いさくと水玉螢之丞が兄妹で、父親が岡部冬彦だって、恥ずかしながらこれ読むまで知らなかったよ。意外というか、言われてみれば「ああ、なるほど」というか。
 意外と言えば、例の「百人斬り」事件で処刑された田中軍吉が、昭和8年に『血の叫び』という未来架空戦記小説を書いていて、しかもそれが発禁になっていたというのは意外。
 おまけにその発禁の理由ってのが、ものすごくしょーもないもので……こんなので発禁かよ! いやあ、あの時代の日本が言論の自由のない国だったことがあらためて実感できるね。
 しかも、「百人斬り」裁判のきっかけになった「悲願三百人斬りの隊長愛刀」という写真を載せた本の編者が、なんと山中峯太郎! これまた意外なつながりがあったもんだ。
  


Posted by 山本弘 at 16:15Comments(4)最近読んだ本

2013年12月25日

まだある、嫌韓デマ

市民社会フォーラム第123回学習会
『ヘイトスピーチとレイシズム問題を考える ―ネットからリアルへ―』

http://www.theater-seven.com/2013/b1_131215.html

 行ってきました。
 こんな堅い企画、お客さんが来るのかな……と思ってたら、100人ぐらい入れる会場がほぼ満席だった。やはりヘイトスピーチに関心を持っている人が多いらしい。
 おかげで僕が会場に持ちこんだ本もけっこう売れた。『タブーすぎるトンデモ本の世界』が10冊完売。『詩羽のいる街』文庫版と新刊の『夏葉と宇宙へ三週間』が各4冊ずつ。
 こういういつもと場所で、少しでも違う客層にアピールしとかないとね。

 同じ日には、大阪でヘイトデモが3つも行なわれていたそうだ。あらためて、嫌な時代になったな、と痛感する。
 もっとも、見てきた人の話によると、いつものような「殺せ」「死ね」「鶴橋大虐殺」みたいな言動は少なく、明らかに自粛していたようだ。先日、警察庁が平成25年度版「治安の回顧と展望」の中で、在特会などの右派系市民グループについて、「反対勢力とのトラブル事案等、違法行為の発生が懸念される」などと、警戒を示したことが報道されたせいかもしれない。
 ちなみに、この報道を読んだ連中の反応はこんなの。

『「右派系市民団体」の違法行為懸念 警察庁、初めて言及』に対する「右派系(?)市民」の反応集
http://togetter.com/li/601894

「また朝日か」とか言ってる奴が多くて笑った。朝日新聞の記事だけ読んで、朝日が偏向報道をしてると思ってるのだ。産経も毎日も報道してますけど?

在特会などの過激化に懸念 25年版「治安の回顧と展望」(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/131211/crm13121122310018-n1.htm

警察庁:2013年版「治安の回顧と展望」公表(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20131212k0000m040026000c.html

 かと思えば、「左派系は取り上げられてないの?/ソースを読む機内けど(原文ママ)」などと、とぼけたことを言っている連中も多数。左派系の活動が取り上げられていないと思っているのだ。ソース読めよ。北朝鮮や中国や核マルや共産党についてもちゃんと触れられてるから。つーか、そっちの方が多いから。

「治安の回顧と展望」(平成25年版)
http://www.npa.go.jp/keibi/biki/kaiko_to_tenbou/H25/honbun.pdf

 そうした、これまで警察が危険視していた勢力に、「右派系市民団体」もようやく加わったってことなんである(遅すぎたぐらいだけど)。
 それにしても、あいかわらずメディア・リテラシーのとことん低い連中だなあ。ググッてみるということをしないのか。

 安田浩一さん、初めてお会いしたけど、すごく話し上手な人だ。話の内容も面白くて、まったく退屈しなかった。
 当初の予定では2時間で、前半が安田さんの話、後半が僕と安田さんの対談だったんだけど、安田さんが1時間40分喋ったもんで(笑)、急遽、30分延長することに。いや、面白かったからいいんだけどね。
 ちなみに僕は主に、ネットに氾濫する嫌韓デマについて語った。

 この日、楽屋で安田さんに見せていただいたビラ。在特会とは別の団体がばらまいているものだそうだ。後でネットで検索してみたら、本気にして拡散している奴が何人もいて唖然となった。


>日本人差別をなくそう
>人口比わずか0.5%
>64万人の在日朝鮮人の内、46万人が無職で
>年計2兆3千億円が
>在日朝鮮人の生活保護費
>として使われているのをご存知ですか?

 ぜんぜんご存知じゃありませーん(笑)。
「2兆3千億円」という突拍子もない数字がどこから出てきたのかと、ビラを見つめて首をひねっていたら、46万×500万=2兆3000億だと気がついた。
 つまりこのビラを書いた奴は、「生活保護を受けている者が在日コリアンが46万人いて、1年に1人あたり500万円を受け取っている」と主張しているわけである。月41万7000円? 3人家族なら月125万円? それはまた豪勢だな(笑)。生活保護費って、月額最大で30万円ぐらいのはずだが。
 しかもその左下には「働かず年600万円貰って」と書いてある。計算合わねえ!
 まあ、こういうビラを真に受けるのは、いい年して掛け算割り算もできないバカだけだろう。

 まともに反論するのも空しいけど、とりあえず事実を書いておこう。
「46万人」というのは無職の人数である。無職=生活保護ではない。日本人だって半数以上が「無職」である。高齢者や子供や主婦がいるからだ。
 実際はどうなのか、政府の2011年の統計を見てみる。

http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&listID=000001107137&requestSender=search

 この年の被保護人員は147万2230世帯、202万4089人。
 このうち韓国朝鮮籍の者は、2万8796世帯。支給世帯全体の1.9%にすぎない。
 つまり、仮に韓国朝鮮籍の人への生活保護を停止しても、生活保護費は2%ぐらいしか減らないということだ。嫌韓レイシストがよく言う「在日の生活保護費が日本人の生活保護費を圧迫している!」などという主張は事実無根である。

 世帯数ではなく人数も計算してみよう。
 単身世帯が2万2241世帯、2人世帯が4764世帯、3人世帯が1165世帯、4人世帯が415世帯、5人世帯が144世帯、6人以上が67世帯。 「6人以上」というのを仮に7人として計算してみると、

22241+4764×2+1165×3+415×4+144×5+67×7=
=22241+9528+3495+1660+720+469
=38113

 約3万8000人。「46万人」という数字の12分の1だ。

 ただ、在日コリアンの生活保護受給率が平均的日本人より高いのは事実である。これは平均的日本人より貧しい家が多いのと、(会場でも安田浩一さんが言っていたけど)高齢の受給者が多いためである。
 この統計を見ると、在日コリアン受給者の中で最も多いのは単身世帯で、2万2241世帯。うち1万3301人が高齢者である。2人世帯では1612世帯、3人世帯では26世帯。高齢者世帯は需給世帯全体の52%を占める。
 それに対し、日本全体で見ると、147万2230世帯中、高齢者世帯は63万9760世帯、つまり43%。在日コリアンは高齢受給者の比率が高いことが分かる。
 在日外国人は1986年まで、国民年金に加入できなかった。そのため、高齢になっても年金を受け取れず、生活保護に頼るしかない者が多いのだ。
 これが嫌韓レイシストに言わせると「在日特権」なんだそうである。

 もっとも、今では在日外国人も年金に加入できるので、この先、高齢受給者は減ってゆくと予想される。
 と言うか、そもそも在日コリアン自体が急速に減っている。統計を見ると、1992年からの20年間で15万8000人、23%も減った。現在は年間1万人ぐらいのペースで急速に減少している。それだけ帰化する人がいるということだ。

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1180.html

 上の差別ビラには「64万人の在日朝鮮人」と書いてあるけど、それは2000年頃の数字。2012年の時点で特別永住者は53万人にまで減っている。在日コリアンを蔑視する連中は、彼らが今何人いるかすら知らないのだ。
 在日四世とか五世とかになると、もう民族のアイデンティティにこだわる人が少なくなってきているかもしれない。このままだと、あと半世紀もすれば、日本から在日コリアンはいなくなる。
 上の差別ビラには「こんなに特権階級だから帰化出来るけどしません」と書いてある。これを論破するのは簡単だ。「どんどん帰化してますけど、何か?」と言えばいい。
  
タグ :デマ嫌韓


Posted by 山本弘 at 15:43Comments(33)差別問題

2013年12月07日

2013冬コミ新刊情報

 今回のコミックマーケット85のブースは、

 12月30日(月曜日)
 東“リ”ブロック-48B
 心はいつも15才

 です。
 新刊は『ONE STEP BEYOND』。

 50年以上前(1959~61年)の伝説のオカルト番組『世にも不思議な物語』の徹底解説本です。言うまでもなく、フジテレビの『世にも奇妙な物語』のタイトルの元ネタですね。DVDも出てますが、今ではパブリックドメインになっていて、YouTubeなどにかなりの本数が上がってます。
 同時期の『ミステリー・ゾーン』(『トワイライト・ゾーン』)に比べて日本での知名度がいまいちなので、誰かがデータをまとめなくちゃいけないと思い立ち、作ってみました。番組誕生の背景、全話ストーリー解説、取り上げられている実際の事件の解説、日本版放映リスト(不完全)など。
 それだけじゃ弱いと思い、巻末に「あなたの知らない海外SF/ホラー/ファンタジー番組 1949-1979」というリストをつけてみました。タイトル通り、日本であまり知られていないアメリカ・イギリス・オーストラリアのSF/ホラー/ファンタジー番組のデータをまとめたもの。おまけのつもりで、軽い気持ちで作りはじめたら、25ページになっちゃいました(笑)。むしろこっちの方がメインかも。
 日本でも放映された『進め!宇宙パトロール』『縮小人間ハンター』『宇宙機動隊』『不死身の男』『地球防衛団』『四次元への招待』『アトランティスから来た男』などなどや、DVDでリリースされた『テイルズ・オブ・トゥモロー』『ブレイクス7』、名前だけは知ってた『A for Andromeda』『Out of the Unknown』『Doomwatch』、さらには検索するまでぜんぜん聞いたこともなかった『Sapphire & Steel』など、調べられた限りの番組をリストアップしました。それでも入稿後に『電撃スパイ作戦』が抜けてたことに気がついて落ちこんだりしましたが(笑)。
 それにしても、面白そうな番組、多いんですよね。『テイルズ・オブ・トゥモロー』や『Out of the Unknown』なんて、エピソードのラインナップ見るだけでSFファンなら大興奮もの。あと、名前だけは聞いたことのあった世界初のSFヒーローTVドラマ『Captain Video』が、脚本陣がとてつもなく豪華だったことに驚きました。世の中、まだまだ知らないことがたくさんあるようです。


  


Posted by 山本弘 at 20:37Comments(8)PR

2013年12月07日

「今また語ろう、ゲームブック!」

Live Wire 山本弘のSF&トンデモNIGHT#29
「今また語ろう、ゲームブック!」

 1980年代に大流行したゲームブック。鉛筆とサイコロ片手に、夢中になってページをめくった、あの日々の記憶……。
 今回は山本弘が22年ぶりにゲームブックを手がけた『超時間の闇』(創土社)発売を記念して、グループSNE社長の安田均氏をゲストにお迎えし、ゲーム誌『ウォーロック』の思い出や、ゲームブックの今後を語っていこうと思います。

[出演] 山本弘(SF作家/と学会会長)、安田均(グループSNE社長)

[日時] 2013年12月27日(金) 開場・19:00 開始・19:30

[会場] なんば紅鶴(大阪市中央区千日前2-3-9 レジャービル味園2F / Tel. 06-6643-5159)(地図)南海なんば駅より南海通り東へ180m・駐車場有

[料金] 1500円
(店内でのご飲食には別途料金がかかります。入場時に別途ワンドリンクをご購入いただきますのでご了承ください)

 前売り券などの情報はこちらに
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=66075197

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 というわけで、今年最後の「山本弘のSF&トンデモNIGHT」は、2月に続いて安田均氏がゲストです。
 ゲームブック、今でも好きなんですよ。機会があったらまた何度でも作りたいぐらい。ブームが終わったってだけで、まだ好きな人は多いんじゃないかなと思うんですけどね。まだまだ可能性もありそうですし。
  


Posted by 山本弘 at 19:56Comments(6)PR

2013年12月03日

『夏葉と宇宙へ三週間』

〔21世紀空想科学小説〕
夏葉と宇宙へ三週間
岩崎書店 1575円+税
12月9日発売

 小学6年生の夏休み、臨海キャンプの最後の日。突然、海の中から宇宙船が出現した。それに近寄った加納新(かのうあらた)と隣のクラスの首藤夏葉(すどうなつは)は、船内に吸いこまれてしまう。
 二人の前に現われたのは、夏葉の姿を借りた立体映像――この宇宙船ユーディシャウライン号のメインコンピューター・ユーディだった。ユーディは、この船のただ一人の乗員であるガルムイエ人の探検家ダリー・イスターンが死んでしまい、困っていることを告げる。ダリーが未開の惑星で発見した秘宝を届けるため、急いでガルムイエ星に帰還しなくてはならないのだが、宇宙船はニンゲン(知的生物)を乗せずに宇宙を飛んではいけない規則になっているのだ。
 ユーディに頼まれ、新と夏葉は宇宙の旅に出発する。目指すは銀河系の反対側、4万光年彼方のガルムイエ星。その途中、廃墟の惑星で恐竜に襲われたり、氷の惑星で遭難した宇宙船を調査したり、ロボット宇宙船ディアゴーンに追われて銀河中心の巨大なガスの渦に逃げこんだりと、様々な冒険を繰り広げる。
 ようやくたどりついたガルムイエ星で明かされる、10万年前の秘宝の謎。そして、思いがけない真実が明らかになる。

 小学生の頃、学校の図書室で、筒井康隆さんのSF童話集『かいじゅうゴミイ』(盛光社)を読みました。その中に、「うちゅうをどんどんどこまでも」という話が入っていました。
 博物館にあったロケットにこっそり乗りこんだ二人の子供。ちょっとだけ宇宙飛行を楽しむつもりが、地球に戻る方法が分からず、宇宙をどこまでも突き進んでゆく。ついに宇宙の果てにたどりつくと……。
 ラストのどんでん返しと、ものすごい「教訓」に、子供心に「おいおい、子供向けにこんな話書いていいの!?」とびっくりし、同時に大喜びしてしまったものです。

 この〔21世紀空想科学小説〕は、日本SF作家クラブ創立50周年を記念して、日本SF作家クラブと岩崎書店のコラボレーションで誕生したシリーズです。かつて小松左京さんや星新一さんや筒井康隆さんたちが子供向けのSFを書き下ろしたように、現代のSF作家が21世紀の子供たちに向けて新作SFを書き下ろすというものです。すでに北野勇作、東野司、藤田雅矢、林譲治、藤崎慎吾、梶尾真治、松崎有理氏らの作品が刊行されています。

SF作家クラブ/岩崎書店 「21世紀 空想科学小説」

http://sfwj50.jp/projects/iwasaki/

 この依頼を受けた時、真っ先に思いついたのは、「うちゅうをどんどんどこまでも」のオマージュをやってやろう、ということでした。男の子と女の子が宇宙船に乗って、宇宙をどんどん突き進んでいく話にしようと。さすがに宇宙の果てまで行くのはおおげさなので、4万光年ということにしましたが。
 あと、やはり子供の頃に読んだG・マルチノフの『宇宙探検220日』(講談社)という小説が心に残っていたので、タイトルも宇宙旅行の期間を入れようと思いつきました。だから「三週間」。
 僕が子供の頃に夢中になって読んだ児童向けSF、特に宇宙探検ものの面白さを詰めこんだつもりです。
 もちろん大人が読んでも楽しいはずです。古くからの僕の読者の方なら、『サイバーナイト』や『ギャラクシー・トリッパー美葉』を連想されることと思います。

 あと、筒井さんに敬意を表して、ラストで「おいおい」と言われるようなものにしようと思いました。お行儀のいい話はつまらない。子供向けでもこれぐらいやっていいよねと。
 どんなラストかは読んでのお楽しみ。きっと子供の心に残るもののはずです。

【12月25日追記】
 この〔21世紀空想科学小説〕シリーズは、あまり書店に並びません。お求めの方はAMAZONなどを利用されることをおすすめします。

  
タグ :PRSF


Posted by 山本弘 at 18:41Comments(9)PR

2013年12月03日

イベント「ヘイトスピーチとレイシズム問題を考える」

市民社会フォーラム第123回学習会
『ヘイトスピーチとレイシズム問題を考える
 ―ネットからリアルへ―』

http://www.theater-seven.com/2013/b1_131215.html
在日朝鮮人など特定の民族集団を差別する「レイシズム」は、「ヘイトスピーチ」という形で大阪をはじめ各地の街頭です さまじい勢いで拡大してきました。
かつてはネット上での「在日特権」デマを煽り煽られてきたにすぎない「ネット右翼」は、ネットを活用しつつリアルな街頭での運動へと展開しています。
ネットから生まれた排外主義運動について緻密な取材をされているジャーナリストの安田浩一さんに、ネットからリアルへと拡大するレイシズムの現状と背景についてお話しいただきます。
ゲストにネット右翼のトンデモデマに詳しい「と学会」会長の山本弘さんをお招きします。
開催日2013年12月15日(日)
時間14:00~16:00
参加費1,000円
出演講師:安田浩一さん(ジャーナリスト)
ゲスト:山本弘さん(と学会会長)

■安田浩一(やすだ こういち)さん
ジャーナリスト。1964年静岡県生まれ。週刊誌、月刊誌記者を経てフリーに。
在特会を追いかけたルポ『ネットと愛国』(講談社)で講談社ノンフィクション賞を受賞。
最近の共著に『なぜ、いまヘイト・スピーチなのか ―差別、暴力、脅迫、迫害― 』(三一書房)、『ヘイトスピーチとネット右翼』(オークラ出版)、『安倍政権のネット戦略 』(創出版新書) 、『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」 』(宝島社新書)、『ナショナリズムの誘惑』(ころから)など。

■山本 弘(やまもと ひろし)さん
「世間のトンデモ本やトンデモ物件を品評することを目的としている」読書集団「と学会」会長。
1956年京都生まれ。洛陽工業高校電子科卒。SF作家でもあり、著書多数。
87年にゲーム創作集団「グループSNE」に参加し、作家・ゲームデザイナーとしてデビュー。
2003年に『神は沈黙せず』、06年に『アイの物語』が日本SF大賞候補となる。
ホームページは、「山本弘のSF秘密基地」

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『タブーすぎるトンデモ本の世界』で安田浩一氏の著書や嫌韓デマについて取り上げたのがきっかけで、こんなイベントに招かれました。大阪ですけど、興味のある方はご来場ください。
 最新の著作なども販売する予定です。
  


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2013年12月03日

空から見た『MM9―invasion―』

 11月21日木曜日、NHK-BSの番組『幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー』に出演するために渋谷のNHKへ。テーマはノストラダムス。スタジオで栗山千明さんと対談してきた。
 放送予定は12月13日。

http://www4.nhk.or.jp/darkside/

 その足で、今度は半蔵門にあるPHPへ。いつもは郵送してもらっている『プロジェクトぴあの』の次号分のゲラを直接受け取り、その場でチェック。
 連載は今回も含めてあと4回。結末がどうなるかは『地球移動作戦』を読んでる人なら誰でも知ってるわけで、その予想を裏切るため、ラスト前に別のスペクタクルを用意することにした。このために最初の方から伏線張ってたのよ、ふっふっふ。

 翌朝早く、ふと思い立って、ホテルから東京スカイツリーへ。
『MM9―invasion―』の舞台にしたものの、書いたのは完成前だったので、一度も昇ったことがなかった。完成当初は大変な行列だったらしいけど、もう1年以上経ったし、平日の朝一番なら並ばずに昇れるんじゃ……と思ったのである。
 目論見は大当たり。当日券を買うのに少し並んだだけで、スムーズに入場することができた。
 しかも、この日は素晴らしい晴天。うん、来て良かった。



 執筆中、ネットでスカイツリーに関する情報を調べまくったのはもちろん、テレビの特集番組は欠かさず視聴したし、建設中の現場も訪れたし、模型も買ったし、東武タワースカイツリー株式会社に電話かけて質問したりもした。位置関係を確認するのに、グーグルアースにもずいぶんお世話になった。
 それでも分からない部分が多かったので、そのへんは想像で書くしかなかった。 たとえば「天望デッキ」「天望回廊」という名称はまだなかったので、作中では「第一展望台」「第二展望台」という呼称で通している。
 そこで僕が想像で書いた文章が、どれぐらい実際と一致しているか、確認しようと思ったのである。
 まずは第一展望台(天望デッキ)に昇るエレベーター内の描写。

> エレベーターはスカイツリー内部を上昇してゆく。側面はガラス張り。白い鉄骨群が滝のように流れ落ちてゆくのが見える。その向こうには東京の眺望が広がる。(P.147)

 これは予想がはずれた。実際には外は見えない。これはもったいない気がする。天望デッキから天望回廊に上がるエレベーターでは外が見えるんだけど。

>「それにしても速いエレベーターだねえ。耳がツーンとなっちゃうねえ。ははははは」(P.148)

 これは当たり。やはり気圧変化で耳がツーンとなった。
 さて、天望回廊から実際に見下ろした風景はこんな感じ。 (写真をクリックすると拡大します)



> 真下を見下ろす。一〇〇メートル下に、第一展望台の円形の屋根が見えた。その向こう、四五〇メートル下の地上には、周辺の商業施設群が積み木のように並んでおり、その間をほとんどゴマ粒でしかない人々が大勢うごめいている。
(中略)
> 一騎はタワーの西側、水族館のある六階建てのビルに狙いを定め、〈卵〉を放り投げた。〈卵〉は正確な放物線を描いて落ちてゆく。展望台から遠ざかるにつれて急速に小さくなり、黒い点になって、ついには見えなくなった。(P.189)

 角度的にはまさに「真下」。真樹が破ったのはこのあたりのガラスなわけだ。一騎が機械憑依体を投げ落とした、水族館のある東京ソラマチ(この名称も執筆時にはまだなかったはず)の屋上も見える。
 しかし、この高さだと、「ゴマ粒」どころか、人間はほとんど見えない。




> 爆発のような大音響とともに、何千トンもの膨大な水しぶきが上がった。すぐ近くにあった桜橋が、まともに水をかぶる。水は三囲神社やその隣の小学校、周囲の住宅地にも、雨のように降りかかった。
> 高さ数メートルの大きな波が、対岸の台東リバーサイドスポーツセンターや区立隅田公園に襲いかかった。陸上競技のトラックや野球のグラウンドを水浸しにし、立木や標識をなぎ倒し、ベンチを押し流す。建物にぶつかった水流はドアや窓を吹き飛ばし、屋内にまでなだれこんだ。晴れた日曜日で、少し前まで多くの都民で賑わっていたのだが、幸いにも警報が出たためにほとんどの人が避難しており、最悪の事態は避けられた。(P.211)

>「スカイツリー!? まだ逃げてなかったのか!?」
>『はい。エレベーターが止まってて――そんなことはどうでもいいんです。今、ここから、落下した物体が見えるんです』
>「何!? どこだ!?」
>『隅田川の真ん中です。ええと、ここからは北西ですね。手前には学校みたいな建物が見えます。対岸には野球のグラウンド……』
>「ちょっと待て。そんなにはっきり見えるのか!?」
>『はい。ここからだと一望できます』
(中略)
>「正確な位置を教えてくれ。その小学校の近くの隅田川の中なんだな?」
>『そのもうちょっと上流です。H形の橋があるんですけど――』
>「H形?」
>『名前は知りません。上から見ると、H形というか、両側が二股に分かれてる形の橋です。その橋の少し下流側です』(P.217-218)

 6号(ゼロケルビン)の落下地点。本当にびっくりするほどよく見えた。一騎が見てたのはこのアングルなのかと思うと、感慨深い。
 画面中央にあるのが一騎が「H形の橋」と形容した桜橋。その左側、手前にある森が三囲神社、その左が小学校。対岸にあるのが台東リバーサイドスポーツセンターである。




>『群集です! 橋の上にどんどん人が集まってきてます!』一騎の悲痛な声が気特対本部に響く。『危ないです! 下がらせてください!』 (P.223)

 野次馬が集まっていた言問橋。6号の先進波メーザーの一撃で全滅する。
 朝早い時刻だったため、スカイツリーの影が北西側にくっきり落ちていて、思いがけないベストショットになった。




> 一五〇メートルほど前方に、一九階建ての隅田区役所のビルがそびえていた。視覚を持たない6号だったが、5号と同じく電波の反射で障害物を見ることはできた。自分よりも背の高いビルが通せんぼしていることに腹を立てたのか、立ち止まり、前方に先進波メーザーを放射する。(P.233)

> 包丁が豆腐を切るように、6号の平たい身体は高層マンションを水平にまっぷたつに切断し、通り抜けた。それでも勢いは止まらず、マンションの向こうに立つアサヒビールのスーパードライホールの屋上に衝突、悪趣味な金色の巨大オブジェをはじき飛ばす。その後方では、マンションが灰色の粉塵に包まれて倒壊してゆく。
> 隅田川にかかる吾妻橋の上に差しかかったところで、ついに6号は完全にバランスを崩し、空中で九〇度横転した。わずかに針路を左に変え、浅草の雷門通りに突入する。(P.243)

 画面に映っている三つの高層ビルのうち、右端が6号に凍らされた隅田区役所。6号はこの手前でコースを変更、スカイツリーに向かってきた。
 中央がアサヒビール本社ビル、左が6号に切断されて倒壊したリバーピア吾妻橋ライフタワー(お住まいの方、ごめんなさい)。 ライフタワーの向こう側にちらっと見えるのが、スーパードライホール屋上の金色の巨大オブジェ。さらにその向こうには吾妻橋があり、その奥が6号とヒメが戦った雷門通りである。
 雷門通りに突入するためには、吾妻橋の上で「わずかに針路を左に変え」る必要があるのがお分かりだろうか。




> 山際がキーボードを叩き、メインモニターに怪獣の進路予想図を表示した。
> 久里浜はそれを見上げた。6号は浅草から南西方向へ、台東区を斜めに横切り、ほぼ一直線に進行してくる。春日通りを通過し、現在は三筋町と小島町の間あたり。細い扇形をした予想進路は、JR秋葉原駅の東側をかすめ、神田川を横切る。その先には……。
>「これは……!」
> 久里浜は絶句した。その図を目にした部員たちもみな、ショックで口をぽかんと開ける。
> 怪獣が向かっているのは、千代田区の中心部――この気象庁本庁ビルや、東京国税局、東京消防庁のある地区を直撃するコースだった。(P.254-255)

 6号の進行コース。吾妻橋の西岸側から、秋葉原を経て、最終決戦が行なわれた皇居東御苑に向かうルート。残念ながらこの写真では、自衛隊との攻防が繰り広げられた秋葉原駅や、皇居の東の気象庁のビルなどはよく見えない。
 この日は晴れていて、富士山までよく見えた。

 想像で書いた描写なので、間違っていたところもあるけど、自分ではけっこういい線いってたと思う。
  
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Posted by 山本弘 at 17:30Comments(1)PR