2013年07月09日

『NOVA10』

 大森望氏編集の書き下ろし日本SFコレクション『NOVA10』(河出文庫)に新作が載りました。



【収録作品】
菅浩江「妄想少女」
柴崎友香「メルボルンの想い出」
北野勇作「味噌樽の中のカブト虫」
片瀬二郎「ライフ・オブザリビングデッド」
山野浩一「地獄八景」
山本弘「大正航時機綺譚」
伴名練「かみ☆ふぁみ! ~彼女の家族が「お前なんぞにうちの子はやらん」と頑なな件~」
森奈津子「百合君と百合ちゃん」
倉田タカシ「トーキョーを食べて育った」
木本雅彦「ぼくとわらう」
円城塔「(Atlas)3」
瀬名秀明「ミシェル」

 僕の「大正航時機綺譚(たいしょうたいむましんきだん)」は、大正時代を舞台に、タイムマシン詐欺を企む親子を描くSF落語。
 このネタは10年以上前に思いついたものの、どう書いたら面白くなるか分からず、ずっと温めていました。ある時、「落語にすりゃいいんじゃね?」と思いつき、こういう形になりました。ちゃんと落語として演じられるようになってるので、できればどなたか関西弁の喋れる落語家の方に演じていただきたいです。
 ただ、単行本になったのをあらためて読んでいると、二箇所、ミスを発見。何で作者と編集者と校正者(この場合は編者も)が原稿とゲラで目を通してるのに、こういうミスが残ってるかなあ。ポーの「盗まれた手紙」みたいもので、ゲラチェックでは細かいところばかりに注意してるから、逆に大きなミスに気づかなかったりするんですよね。
 ちなみに、僕の前に載ってるのが、なんと山野浩一氏の33年ぶりの新作! タイトルは「地獄八景」。偶然だけど、落語ネタがかぶりました。

 他にも、個人的に面白かった作品をいくつか。

 菅浩江さんの「妄想少女」は、要約すると「心はいつも18歳」。
 電力不足と老人問題に苦しむ近未来の日本を舞台に、心の中に宿る18歳の少女をよりどころにして生きる55歳の女性の話。自分の右腕を「封印」してたり、中二病っぽい妄想なんだけど、決して現実逃避じゃなく、妄想を現実に立ち向かう力として肯定する姿が感動的。

 木本雅彦「ぼくとわらう」は、日常の出来事やその時の感情などを勝手に記録してくれるライフログというものが普及している時代の話。ダウン症の主人公は、自伝を書くため、これまでに出会った3人の女性に、ライフログを見せてくれるよう頼むのだが……。
 この作者、『声で魅せてよベイビー』や『星の舞台からみてる』がすごく面白かったんですよね。この作品も、単なる日記とどう違うのかと思ってたライフログというガジェットから、思いがけないドラマが展開します。

 読んだ中でいちばん楽しめたのは、伴名練「かみ☆ふぁみ! ~彼女の家族が「お前なんぞにうちの子はやらん」と頑なな件~」。
 ラノベっぽいタイトルだけど、中身ももろにラノベで、10代の少年少女が主人公のラブコメ。
 でも、これがすごい奇想SF!
 ヒロインはラプラスの魔的な能力を持つ、ほとんど全知全能の女の子。

「たかが、全宇宙の全歴史をシミュレートする程度の能力」
「バタフライ・エフェクトを操る程度の能力」

 何それ!?(笑) そんなチートで話が成立するのかと思ったら、するんですねー、これが。
 舞台は終始、現代日本なのに、時間と空間を超越したとんでもないスケールの物語が展開します。編者の解説で、うえお久光『紫色のクオリア』に触れてるけど、まさにあんな感じ。
 これ長編一冊分のネタだよ! ラノベだったらシリーズものだよ! それをたった70ページに凝縮しちゃってる。
 この人の作品、前の「ゼロ年代の臨界点」も面白かった。僕と波長の合う作品を書いてくれる人のようなので、今後、ごひいきにさせていただきます。
  
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Posted by 山本弘 at 18:48Comments(6)SF

2013年07月09日

またテレビに出ます

 NHK BSプレミアムの『幻解!超常ファイルダークサイド・ミステリー』。先月も出演しましたけど、今月も出ます。

幻解!超常ファイルダークサイド・ミステリー
http://www4.nhk.or.jp/darkside/
7月12日(金)午後9時00分~午後10時00分

 今回のテーマは「超能力&ツタンカーメンの呪い」。取材は先月のうちに終わってます。僕はテレビの超能力番組の嘘について話しました。ちょっぴりですが、簡単な「超能力」の実演もやってます。
  


Posted by 山本弘 at 17:53Comments(3)PR

2013年07月09日

「あなたの知らないマイナー特撮の世界#4」

Live Wire 13.7.26(金) なんば紅鶴|山本弘のSF&トンデモNIGHT#24

「あなたの知らないマイナー特撮の世界#4」

 『ウルトラマン』や『仮面ライダー』や『ゴジラ』ばかりが「特撮」じゃない!  一世紀以上に及ぶ特撮の歴史の中には、一般にほとんど存在を知られていない作品、よほどの特撮マニアでさえ言及することの少ない作品が山ほどあるのです。
 歴史の闇に埋もれたそうした作品の再評価や、作品の生まれた時代背景、特撮シーンの見どころなどを紹介しつつ、愛にあふれるツッコミを入れまくろうというのがこの企画。第二次怪獣ブーム真っ盛りの1970年代。有名作品の影に埋もれたマイナー作に、愛あるツッコミを入れていきます。
 今回も、特撮をこよなく愛する小説家でゲームデザイナーの友野詳さんと、特撮マニアでB級アイテム・コレクターの鋼鉄サンボさんを特別ゲストにお招きする予定です。

[出演] 山本弘(SF作家/と学会会長)、友野詳(小説家/ゲームデザイナー)、鋼鉄サンボ

[日時] 2013年7月26日(金) 開場・19:00 開始・19:30

[会場] なんば紅鶴(大阪市中央区千日前2-3-9 レジャービル味園2F / Tel. 06-6643-5159)(地図)南海なんば駅より南海通り東へ180m・駐車場有

[料金] 1500円
(店内でのご飲食には別途料金がかかります。入場時に別途ワンドリンクをご購入いただきますのでご了承ください)

 前売り券はこちらから。
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=60790627

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 いよいよ1971年! すやー、ここにたどりつくまで長かったなあ(笑)。取り上げる作品が山のようにあるもんで、いったい何回やることになるやら。
 とりあえず、取り上げる予定の作品を列挙してみます。(海外作品は、日本での放映or公開年)


【1971】
宇宙猿人ゴリ(スペクトルマン) 帰ってきたウルトラマン ミラーマン 仮面ライダー 好き! すき!! 魔女先生 シルバー仮面
アンドロメダ… 地球爆破作戦 恐竜時代 ゴジラ対ヘドラ ガメラ対深海怪獣ジグラ

【1972】
ウルトラマンA 緊急指令10-4・10-10 トリプルファイター 変身忍者 嵐 超人バロム・1 人造人間キカイダー アイアンキング 愛の戦士レインボーマン サンダーマスク 突撃! ヒューマン!! 快傑ライオン丸 ワイルド7 レッドマン 行け!ゴッドマン タイム・トラベラー 怪人オヨヨ 少年オルフェ 続タイム・トラベラー
時計仕掛けのオレンジ そら見えたぞ、見えないぞ 地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン 怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス

【1973】
ウルトラマンタロウ ファイヤーマン ジャンボーグA 恐怖劇場アンバランス 仮面ライダーV3 キカイダー01 イナズマン ロボット刑事 スーパーロボット レッドバロン 流星人間ゾーン 白獅子仮面 風雲ライオン丸 魔人ハンター ミツルギ クレクレタコラ  へんしん!ポンポコ玉 ダイヤモンド・アイ 鉄人タイガーセブン 行け! グリーンマン 走れ!ケー100 暁はただ銀色 あなたの町
赤ちゃんよ永遠に ソイレント・グリーン ウェストワールド 深海征服 ポセイドン・アドベンチャー 日本沈没 ゴジラ対メガロ

【1974】
サイボーグ危機一髪(600万ドルの男) ウルトラマンレオ 猿の軍団 日本沈没(TV版) 仮面ライダーX 仮面ライダーアマゾン イナズマンF がんばれ!!ロボコン スーパーロボット マッハバロン 電人ザボーガー 電撃!! ストラダ5 オズの魔法使い 行け! 牛若小太郎 闘え!ドラゴン 夕ばえ作戦 まぼろしのペンフレンド
未来惑星・ザルドス シンドバット黄金の航海 エクソシスト ノストラダムスの大予言 ゴジラ対メカゴジラ エスパイ

【1975】
秘密戦隊ゴレンジャー 仮面ライダーストロンガー アクマイザー3 正義のシンボル コンドールマン 少年探偵団 冒険ロックバット それ行け!カッチン 赤外音楽 なぞの転校生
JAWS・ジョーズ 地球の頂上の島 タワーリング・インフェルノ メカゴジラの逆襲 東京湾炎上 新幹線大爆破

 うわー、71~75年だけでこれか!(笑) これでもオカルト映画とかははずしてるんですけどね。
 ちなみに企画の性質上、『ウルトラマン』『仮面ライダー』などのメジャーな作品は軽く触れるだけにします。むしろ『10-4・10-10』とか『レッドマン』とか『トリプルファイター』とか『白獅子仮面』とかについて熱く語ろうと(笑)。
  


Posted by 山本弘 at 17:45Comments(1)PR

2013年07月09日

「SFのネタは科学ニュースから探そう!」報告

 遅くなりましたが、先月のSF&トンデモNIGHT#23「SFのネタは科学ニュースから探そう!」の報告を。
 今回は『日経サイエンス』の記事の中から、SFファンとして注目すべきニュース、SFのネタになりそうなニュースを探して紹介するというものでした。実はここんとこ、トークのネタが尽きてきていて、苦し紛れの企画だったりするんですが(笑)、「今回は客の入りが少ないだろうな」と覚悟してたら、意外に多くてびっくり。受けも良かったんですよ。
 過去3年分の『日経サイエンス』を持って行ったんだけど、けっこうはしょったつもりなのに、結局、半分も紹介できませんでした。『サイエンス』には面白い記事がまだまだ多いし、もちろん『サイエンス』以外の科学本もたくさんあるんで、この企画、シリーズ化できそうです。
 当日、取り上げた記事はこういうもの。重要性・話題性ではなく、「どれだけ面白いか」「SFのネタになるか」が基準。東日本大震災や原発事故関連、PM2・5、iPS細胞のニュースなんかは、みんな知ってるだろうからはずしました。

【2012年4月号】
・身体の錯覚を自由に操る科学者
・犯罪予報システム
【2012年6月号】
・宇宙100兆年の未来
・失われた大陸ララミディアの恐竜
【2012年7月号】
・平面国の量子重力
・息を止められる限界
【2012年8月号】
・特集 太陽異変
・恐怖の記憶を消す薬
【2012年9月号】
・年輪に記録された謎の放射線バースト
・特集 ヒッグス粒子
・極超新星
・パンデミックとバイオテロ
【2012年10月号】
・押し返すクッション
・特集 マイクロバイオーム 細菌に満ちた私
・南極メルトダウン
・ウソから出た大発見
・月探査レース「Xプライズ」
【2012年11月号】
・塗って作る電池
・特集 コズミックストーム
・脳丸ごとシミュレータ
【2012年12月号】
・睡眠者の殺人 意識と無意識の境界を問う
・脳で動かすパワースーツ
・100万年かければわかること
【2013年1月号】
・超長期のデータ保存媒体
・余剰次元を探る
【2013年2月号】
・特集 サイコパスの秘密
・温暖化で寒くなる冬
・雷雲からガンマ線
・もうジャンクとは呼ばせない
【2013年3月号】
・ダイヤモンドの惑星
・DNAを必要としない生命体
・血糖で動くペースメーカー
・政治家に見る反科学主義
【2013年4月号】
・「お酒で超電導」から室温超電導へ
【2013年5月号】
・隕石の衝撃 スペースガードの現在
・ナイーブな食物網
【2013年6月号】
・よみがえったウジ療法
・特集 天才脳の秘密
・覆る活性酸素悪玉説
・ロボット蜂は飛ぶ
・人類の起源 崩れる祖先像
【2013年7月号】
・今秋、天の川銀河中心に注目
・放射性物質でマグロを追跡
・Qビズム 量子力学の新解釈
・バイオニック義肢
・燃料コストの真実

 タイトルを見るだけでわくわくするけど、記事の内容もエキサイティング。

「自由に『幽体離脱』を作り出せる科学者がいて、被験者の意識をバービー人形の中に閉じこめられたと思わせることにも成功したんだよ!」
「今、太陽の黒点活動に重大な異変が起きているんだよ!」
「奈良時代に地球は謎の高エネルギー放射線バーストに見舞われたんだよ!」
「人間の体には細胞の数の10倍もの微生物が住み着いていて、その存在が脳の活動にも影響を与えているんだよ!」
「量子暗号の理論は、超常現象に興味のある科学者が唱えた『超光速通信機』の論文から生まれたんだよ!」
「2023年にはスーパーコンピュータのメモリがエクサフロップスに達して、脳を丸ごとシミュレートすることが可能になるんだよ!」
「データを3億年も保存できる記録媒体が完成したんだよ!」
「雷雲の中では反物質が生まれていて、強烈なガンマ線を発しているんだよ!」
「宇宙には地層がダイヤモンドでできた惑星があるんだよ!」
「DNAじゃなくXNAでできた人工生命体を創ろうとする研究があるんだよ!」
「恐竜を滅ぼした小惑星は、メキシコのチクシュルーブに落ちたやつじゃなく、インド沖に落ちたやつかもしれないんだよ!」
「頭に電極をつけるだけで、マッチ棒パズルの正答率が上がるんだよ!」
「ウジ虫を傷口にたからせる療法が再び注目を集めてるんだよ!」
「今年の秋、銀河中心の巨大ブラックホールに、地球の質量の2倍もあるガス雲が衝突するんだよ!」

 などなど、「な、何だってーっ!?」と叫びたくなる話ばかり。もちろん研究の中には、まだ正しいかどうか分からないものも多いんですが、SFのネタとしては使えそう。
 司会の井田さんもツッコんでたけど、意識をバービー人形の中に閉じこめるとか、犯罪の発生を事前に予測するって、フィリップ・K・ディックの世界ですよね。単語に対する反応速度を計ることでサイコパスかどうかを判定するというのも、まるでフォークト‐カンプフ検査だし。
 あと、ダイヤモンドの惑星というと、トム・ゴドウィンの「発明の母」だし、認知的脱抑制という概念はレイモンド・F・ジョーンズの「騒音レベル」そのもの。SF作家の空想に現実に追いついてきてると感じます。
 僕が『サイエンス』を読むのは、SFのネタを拾う意味もあるけど、こういう最新のニュースを常に仕入れておかないと、いつ何がひっくり返るか分からない怖さがあるから。「ジャンクDNA」なんてネタはもう使えない。活性酸素が老化を促進するという説が覆ったというのもショック。老化を防ごうと抗酸化ビタミンとかを大量に摂取したら、逆に癌で死ぬ確率が増えるんだそうです。
 あー、確か『サイバーナイト2』で、細胞内のフリーラジカルを除去して老化を遅らせるって説明、書いた気がするぞ(笑)。

 データを3億年保存できる記憶媒体というのも、目からウロコでした。やっぱり『サイバーナイト』で、超古代文明の残したメッセージがどうやって現代まで残ってることにするかで(紙や電子的記録は1万年も残らない)、さんざん悩んだ末に、超微細加工技術で硬い物質の表面に文字を彫るという手を思いついたんだけど、記事を読むと……なるほど、そういう手があったか!

『サイバーナイト』といえば銀河中心の巨大ブラックホール。20年以上前に書いた頃は、まだ質量がよく分かってなくて、太陽質量の300万倍に設定したはずなんだけど、今は430万倍ということになってるらしいです。
 それに今まさに、ガス雲が衝突しようとしている! いや、厳密に言うと銀河中心から2万6000光年ぐらい離れてるんで、2万6000年前に起きた衝突をこれから観測するわけなんですけどね。

 それにしても「幽体離脱」、体験してみたいですね。ビデオカメラとヘッドマウントディスプレイ、それに棒が2本があれば簡単にできるらしいんで、科学博物館とかで実演やってくれませんかね。

(方法の解説はこちら)↓

http://ameblo.jp/mitsulow/entry-11145594921.html
  
タグ :サイエンス


Posted by 山本弘 at 16:55Comments(1)サイエンス