2012年08月19日

ASIOSの超常現象ナイトvol.2

ASIOSの超常現象ナイトvol.2
  ~2012年に人類は滅亡するのか!?~

場所 東京カルチャーカルチャー
    (東京都江東区青海1丁目3-11Zepp Tokyo2F)
日時 2012年9月7日
    Open 18:00 Start 19:00 End 21:30 (予定)
前売券/¥2000 (その他飲食代は別途)
当日券/¥2500

2012年に人類滅亡という話があるけど本当?
世間を騒がせたオウム逃亡犯の行方をFBI超能力捜査官たちが透視していた!?
超常現象を調査する団体ASIOSが生検証!

予言ってどれだけこじつけられるのか?
あなたの信じやすさはどれくらい?
現役心理学者による心理テストも受けられます!

他にも会場では今後1年間で何が起こるかアンケートで予言を大募集!!
その場で予言表を作成!
予言者じゃなくても予言は当たるのか!?

超常現象が好きな人は全員集合!!

【出演者】
・本城達也(ASIOS代表)
2007より発起人としてASIOSの代表を務める。
Webサイト「超常現象の謎解き」も運営。
超常現象の真相を調べることがライフワーク。

・皆神龍太郎(疑似科学ウォッチャー)
超常現象やニセ科学と呼ばれるものの事実について、調査、発表するのが趣味。
ASIOS会員。近著に「iPadでつくる『究極の電子書斎』蔵書はすべてデジタル化しなさい!」(講談社)、『検証 大震災の予言・陰謀論』(文芸社)ほか。

・山本弘(SF作家)
主な作品に『神は沈黙せず』『アイの物語』(角川書店)、『MM9』(東京創元社)、『超能力番組を10倍楽しむ本』(楽工社)など多数。ASIOS会員。
ホームページは「山本弘のSF秘密基地」
・菊池聡(信州大学准教授)
信州大学准教授。専門は認知心理学。超常現象を信じる心理などを研究。
主な著書に『超常現象をなぜ信じるのか』(講談社)、『予言の心理学』(ベストセラーズ)、『超常現象の心理学』(平凡社)、『「自分だまし」の心理学』(祥伝社)など。

 チケット販売はこちらから。
http://tcc.nifty.com/cs/catalog/tcc_schedule/catalog_120720203983_1.htm
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 新刊の発売を記念したASIOSのイベントです。
 マクモニーグルら「FBI超能力捜査官」が、オウム逃亡犯についてどんなことを言っていたか、という話をしようと思っています。
  


Posted by 山本弘 at 18:49Comments(3)PR

2012年08月19日

『SFマガジン』を創刊号から読んでみる Part 4

山本弘のSF&トンデモNight #13
幻の名作・怪作を発掘! 『SFマガジン』を創刊号から読んでみる Part 4

【出演】山本弘(SF作家/と学会会長)
【時間】 8月31日(金) 開場19:00〜 開演19:30〜(約二時間)
【場所】トークシアターなんば白鯨
大阪市中央区千日前2-3-9 『レジャービル味園』2F
南海なんば駅より南海通り東へ180m
【入場料】前売り¥1500- (当日500円up)
 ※飲食代別途

 グレッグ・イーガンやテッド・チャンもいいけれど、昔のSFだって面白かった!
 1959年12月に創刊され、すでに半世紀の歴史がある『SFマガジン』。80年代以前のクラシックSFを深く愛する山本弘が、その初期の号の中から、今となっては読めない幻の名作、心温まる佳作、奇想天外な怪作、爆笑の珍作の数々を、主観と偏見でピックアップ。素朴だけれど楽しいクラシックSFの魅力を語り尽くします。
 第四回の今回は151号(1971年10月号)からを紹介します。SFブームは更に盛り上がり、青春期に入った山本弘もリアルタイムで読んだ誌面。初代編集長・福島正実が圧倒的なパワーで牽引してきた時代から、二代目編集長森優に交代。紙面を飾る日本人作家も、半村良、荒巻義雄、河野典生、山野浩一ら第一世代後発組が充実した作品を発表。海外作品もル・グイン、ディレイニー、ラファティ、エリスン、シルヴァーバーグなど、ニューウェーブ勢が台頭。そんな時代の変遷にも触れつつ、あえて精選した決してスポットの当たらないマイナーな作家たちの、想像力の競演をお楽しみください。

 チケット販売はこちらから。
http://go-livewire.com/
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 この企画もいよいよ150号台に差しかかりました。
 何が「いよいよ」かというと、158号(1972年4月号)というのが、僕の生まれて初めて買った号だからです。ハーラン・エリスンの「世界の中心で愛を叫んだけもの」が載った号。後年、こんなに有名になるとは思いませんでしたね。
 ここから197 号(1975年4月号)までは、僕が高校時代にリアルタイムで読んで、どっぷりハマってた時期なんで、当時のエピソードなどを交えながら、特に熱く語れると思います。ヤングの「妖精の棲む樹」とか、ハリスンの「異星の十字架」とか、ほんと、名作なんで復刻してほしいです。
  
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Posted by 山本弘 at 18:42Comments(3)PR

2012年08月18日

世の中にはこんなにも異常者が多い、という話

 すでにMMD杯本選が幕を開けてるんだけど、今回は緊急に言っておかなくてはいけないことができた。
 先月書いた文章の続きなので、未読の方はできればそちらを先に読んでいただきたい。

大津市教育長:ハンマーで襲われ負傷 埼玉の大学生逮捕
http://mainichi.jp/select/news/20120815k0000e040134000c.html
> 15日午前7時50分ごろ、大津市御陵町の大津市役所別館の教育長室で、市教委の沢村憲次教育長(65)が少年(19)にハンマー(長さ約30センチ)で顔を殴られ、右目の上を数センチ切る軽傷を負った。少年は職員に取り押さえられ、通報で駆け付けた滋賀県警大津署員に殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。少年は、いじめを受けていた大津市立中学2年の男子生徒が自殺した問題を巡り、「沢村教育長が真実を隠していると思い許せなかった。殺すつもりだった」と供述しているという。
> 県警によると、少年はさいたま市在住の私立大1年生。「2週間前に自宅を出て、ホテルに泊まったり、野宿をしたりしながら、大津市まで来た」と説明している。
> 少年はハンマーの他に、長さ50〜70センチの針金を持っていた。針金の両端には、首などに巻き付けた際に強く引っ張ることができるよう、木が取り付けられていた。少年が用意した凶器とみられる。
(中略)
> 市教委の黒川弥寿夫教育部次長は「暴力は許されない。市教委への脅迫などもあったので、安全管理を見直したい」と話している。【村山豪、加藤明子】

 この記事について書かれたmixi日記を見て、気分が悪くなった。
 まず多いのが「じゃれてただけだろ」「遊びだろ」と笑ってる奴。

 犯人の行動は未成年だし市教委や学校がいう“じゃれあい”だから無罪放免でいいんでないの(笑)

 だって、殺すつもりにしては計画が杜撰だし、生ぬるいやん?
 だから、これは遊びなのさ(笑)

 殺すつもりなんて言わなきゃよかったのに「プロレスごっこをしようとしただけ、タイガージェットシンのマネをしてハンマーで叩くまねをしたら教育長が受け損なって偶然おでこに当たってしまった、悪いのは教育長だ」ってね


 同様のことを書いている奴が何十人も。いじめ事件をもじったジョークなのだが、そもそも暴力事件を冗談のネタにするという神経を疑う。
 げんに人が殺されかけたというのに、それを笑って済ませる心理が、いじめを楽しむ加害者の心理と同じものだと、なぜ気づかない?

 これも多いのが、黒川弥寿夫教育部次長の「暴力は許されない」という発言に、「お前が言うな」とツッコんでる奴。いじめを放置してきた奴が何を言うのか、というのだ。
 いやいや、暴力が許されないのは当たり前だろ?
 それとも何か、もしこの人が「暴力をふるっていい。気に食わない奴はハンマーで殴っても許される」と言ったら、あんたらはその発言を称賛するのか?(するかもしれんなあ……)

 教育長が「殺されて当然」「万死に値する」などと書いている奴も多い。しかし、よく考えてみてほしい。彼は自分の手で人を殺したわけではなく、いじめ事件に直接関与したわけでもない。もちろんいじめ自殺事件に関して責任はあるが、どんなに悪く解釈しても、死刑に値する罪ではない。
 また、その罪の重さは裁判所が決定するものであり、刑は刑務所で執行するものである。法治国家において、個人が勝手に人の罪の重さを決め、刑を執行するなんてことが、許されていいわけがない。
 もしそんなことが許されるなら、職場のストレスで自殺する人が出たら(実際、そうした自殺は多いのだが)、会社の経営者を殺していいことになる。
 そんな恐ろしい社会は、僕は嫌だぞ。

 犯人が教育長を殺し損ねたのを惜しがっている奴も多い。

 武器は
 ハンマーと絞殺用の針金か・・・・・・。
 刃物もしくは銃器じゃないとなぁ

 ハンマーで殴るから逮捕されたんでしょう
 ロープを首にかけて吊したりしてあげれば、本望だったんじゃないかな?
 恐らく日本で一番死んだら喜ばれる人間の一人だと思います。

 ハンマーで殺すなら後頭部を一発殴らないと殺せない。
 教育長が大学生に背を向けないとできないし、抗されたら、殺せる確率はかなり減る。
 確率を上げるなら、2リットルのペットボトルにガソリンを詰めて、教育長に投げて、ライターで燃やす。
 これで、殺す。
 仮に失敗しても全身やけどで死んだも同然まで追い込むことができる。

 やるんやったら確実に仕留めやな!
 でもナイス!

 死ねば良かったのに…


 こんなことを言う奴も。

 あくまでも狙うなら加害者本人と、
 その親、黙って見ていたクラスメートのみに
 したほうがいい。


 殺人未遂自体は肯定ですか!?

 滋賀県警は、人が死んでも被害届は受理しないのではなかったっけ?
 ならば、今回の逮捕は不当逮捕そのものですね。

 えっ なんで大学生が逮捕されるの?
 なんでなんで この教育長がボコられるの当然な話しじゃないの?


 逮捕される方が当然だと思いますが。日本には法律というものがあるのを知らんのか?

 純真無垢な青年の人生まで歪めたあんたは偉い!暴力ではものごとは
 解決しない?それは綺麗事だな、暴力でしか解決しないことすらある。


 純真無垢な青年は絞殺用の針金なんか用意しません!
「暴力でしか解決しないことすらある」? じゃあ、この件は暴力で解決するってえの? 教育長が殺されてたら解決したことになるの?

 こう言った市のクズ共の真実を暴くためには犠牲者も必要だろう

 真実が暴かれるために、なぜ教育長がハンマーで殴られねばならないのだ? 論理がさっぱり分からない。

 だから、大津市の教育委員会の怠慢と隠蔽体質にいくら怒りを覚えても普通は石の一つも投げられない。もちろんそれは法律的には正しい。しかし、今回、19歳青年は殺人未遂までやって自身の正義を実現しようとした。確かに愚かな振る舞いだ。だがその正義までをも匿名の人達に笑えるだろうか?法律的にはともかく、道徳的にはこの青年の純粋さに私は敬意を払いたい。

 人をハンマーで殴っていい「道徳」なんてものはない!  それにハンマーと絞殺用の針金を持って人を殺しに行くような奴は「純粋」じゃねえよ!

 それでも、ぶちゃけちゃうと、教育長の命ひとつで全国の教育委員会がまともになるなら
 決して悪い話ではないと思うけどね。


 悪い話だろ!
 これ以上、誰の命も奪わずに解決するのがベストに決まってるだろ!

 信じられないことだが、「教育長が殺されたらこの事件は解決する」と信じている人間が実に多いのだ。いったいどういう理屈だ。説明してみろ。
 若い人はもう知らないのかもしれない。豊田商事永野会長刺殺事件のことを。
 1985年、悪徳商法で大勢の被害者を出した豊田商事の会長が殺された。でもそれで豊田商事事件が解決したかと言うと、むしろ関係者が死んだことで、金の流れの解明が困難になったのだ。(当時、「口封じのために殺された」という説も流れた)
 今回の件も同じだ。教育長が殺されたって、事件の解決には何ひとつつながらない。何ひとつ。
 暴行事件に快感を覚えるのは単なる「うさ晴らし」だ。「正義」なんかじゃない。

 わが国には美しい死に方がある。
 それは、自害という尊厳死。
 あなたにも人間としての誇りがあるなら、蟄居閉門し、自分で自分の身を美しく処すべきだ。
 これ以上、生き恥をさらし、悲しむ人を作ってはいけない。


 こいつは教育長に自殺をそそのかしている。そもそもいじめを受けた少年が自殺するまでに追いつめられたのが問題なのに、別の誰かを自殺に追いこんでどうする。本末転倒だろ。

 今、韓国の大統領を殺したら英雄だよん(笑)

 どうせなら
 在日中国人や韓国人を襲撃して抹殺しろ!


 もういじめ事件と何の関係もない。
 ちなみに後者の奴のハンドルは「死ね死ね団」。いや、逆だろ、それ。

 やっと英雄が出たか。

 少年はやり方はともかく勇気ある行動。
 一昔前なら英雄になって歴史に名を刻んだかもしれん。


「英雄」ですかー。

 いいじゃねーか。頑張ったんだから。これくらい勢いのある若者が社会に疑問を持ち鉄槌を下す事を望む。時として暴力が正当になる事もある。大老・井伊直弼が暗殺されて日本は良くなった例もある。物事は必ず白黒はっきりと付けないとね。グレーゾーンや曖昧があってはいかんのよ。曖昧さが世の中を堕落させ、いじめみたいな問題が出てくる。大人のいい加減さが招いた結果だ。

 こっちはテロを正当化している。こっそり仲間内でささやくだけならまだしも、全体公開の日記でだ。だいたい、井伊直弼が殺されて日本は良くなったんでしたっけ?
 正義のためなら何をやってもいいのなら、たとえば日本を憎むどこかの国の人間が、「正義のために」日本の要人を暗殺しても、それを許さなきゃいけないことになるのだが、それでいいの?

 署員も
 少年と協力し
 天誅を下すべきだった
 私が裁判官なら、少年を無罪にし
 馬鹿教育長を死刑に処す


 テロを容認する裁判官なんて嫌だ。つーか、法律というものを知らないお前は裁判官になれん。

 彼の汚れなき心と志しは、立派であり国の宝である。
(中略)
 彼の行為を咎められてはならない、これは絶対にならない。
 彼を汚すならば、国民栄誉賞に匹敵する賞を少年に贈らなくてはならない。
 我々大人が大津市の少年を救えなかった後悔をまた繰り返すのか?
 今回の少年の行為をご両親は、褒めてやって欲しい。
 そして世論全体で少年を支え、将来に一点の汚れも残さず夢を叶えて欲しい。
 可能ならば、こんな少年が教育に携わり現場から国を変えて欲しいとさえ想う。


 ええええええーっ!?
 絞殺用の針金を持って人を殺しに行った奴を、両親は褒めなきゃいけないんですか!? 世論全体で支えなきゃいけないんですか!?  ハンマーで人を殴った奴を教育現場に携わらせるんですか!?
 おかしすぎるだろ。

 まだまだたくさんあるのだが、やめておく。さすがに1500件以上の日記のすべてに目を通せなかったけど、ざっと見て半数ぐらいが、事件を冗談のネタにしたり、犯人の行動を擁護したり、称賛したり、あるいは殺害に至らなかったことを惜しんでいるものだった。(もちろん、そうした意見を批判する人も多いんだけど)
 あと、あんなにも激しく「いじめ加害者の少年の氏名を公表しろ!」と叫んでいた連中が、誰一人として、「この19歳の大学生の氏名を公表しろ!」と言わないんだよな。なんとまあ都合のいいダブルスタンダードだろうか。

 さらにこんなニュースも流れた。

大津市教育長襲撃:事件後、苦情電話やメール急増
http://mainichi.jp/select/news/20120816k0000e040188000c.html
> いじめを受けた大津市立中学2年の男子生徒が自殺した問題を巡り、対応に当たっていた大津市の沢村憲次教育長(65)がハンマーで殴られ負傷した事件の直後、市教委に寄せられた苦情電話やメールの件数が、事件前の約18倍の273件に急増したことが16日分かった。多くは襲撃を「当然だ」とする内容だった。
> 市教委によると、7月4日に「自殺の練習」など学校が実施したアンケート内容が明らかになって以降、いじめへの対応などを批判する電話やメールが計約1万5865件寄せられた。
> 襲撃の前日までは1日平均15、16件だったが、襲撃があった15日は273件に上った。この中には「謝れ、謝れ、謝れ」と連呼するものや、「(いじめがじゃれ合いなら)襲撃もじゃれ合いだろう」と擁護するものもあったという。

 背筋が寒くなってきた。日本にはこんなにも異常者が多いのか。

 ああ、なるほど、道理でいじめがなくならないわけだよ。
 暴力事件をギャグのネタにしたり、人が殺されかけても「じゃれ合いだろう」で笑って済ませたり、法律を無視して暴力を肯定する奴が、こんなに多いんだもんな。
 誰かに暴力をふるうことが楽しいんだよな。
 気に食わない奴がハンマーで殴られたと聞いたら、気分がすかっとして、「よくやった」「英雄だ」と賞賛しちゃうんだよな。

 ちなみに、僕の友人(彼も元・いじめ被害者である)がこのニュースに腹を立ててmixi日記を書いているのだが、そのタイトルは「悪魔の正体は人間だ!」というもの。
 確かに、自分たちが「悪」だと信じる者を集団で吊るし上げ、血が流されたことに歓喜する様は、『デビルマン』最終巻のあのシーンを連想させる。
 みんな「生首でワッショイ」がやりたくてたまらないんだろうな。

 元・いじめ被害者の僕から言わせてもらえば、お前ら全員敵。
  
タグ :いじめ


Posted by 山本弘 at 17:38Comments(130)社会問題

2012年08月16日

コミケにトンデモさん襲来

 コミケ最終日。ブースに来ていただいたみなさま、ありがとうございました。

 唐沢俊一氏のブースで偽札が見つかったとかで騒ぎになっていた。カラープリンタで作ったらしい偽1000円札で700円の本を買っていった奴がいたんだそうだ。
「『低額紙幣で偽札を作っても割に合わない』という常識の裏をかいた犯罪」(笑)という説もあるけど、たった300円のお釣りと同人誌1冊を騙し取るために、無期又は3年以上の懲役(刑法第148条)の危険を冒すって、あまりにもバカすぎる。
 たぶん愉快犯だと思うけど、「軽いいたずらだから捕まっても軽い刑で済む」と勘違いしてたんだろうという解釈に一票。何にしてもバカ。

 僕のところにも変な奴が来た。閉会まで1時間を切ったあたりで、売れ残りを家に送り返そうと箱に詰めてたら、「山本さんですか」と話しかけてきた男がいたのである。
 話を聞いて、すぐに思い出した。彼のことは昨年、『トンデモ本の世界X』(楽工社)のあとがきで取り上げたことがある。

 二〇一一年四月、僕のブログに長文のメッセージが書きこまれた。ひどい内容なので速攻で削除したのだが、あまりにバカバカしくて笑えたので保存しておいた。
 その人は『まどか☆マギカ』の四話と五話だけ(ちょうどストーリーの山場の間の、やや中だるみしていた時期だ)を見て駄作だと決めつけ、こんな作品がヒットするなんてあるわけがない、これは製作会社のシャフトの陰謀だと主張していた。本当はヒットなどしておらず、ネットの評判はみんなシャフトの工作員が書きこんだもので、DVDの売り上げの数字なども操作されているというのだ。
 もちろん、ネット上にあふれかえっている賞賛の声を見れば、実際に『まどか☆マギカ』に多くのファンがいるのは歴然としているのだが。
 その人は「もちろん、確実な証拠もないので推測の域を出ませんが、自分的には確実にシャフトの工作があると思っています」と書いていた。確実な証拠がないのに確実だと信じるというのは、まさに妄想である。
 この人と同一人物かどうかは分からないが、以前にも似たようなメールが来たことがある。そちらは『こち亀』陰謀論。秋本治『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の連載がいつまでも終わらないのはおかしい。あれは連載を終わらせないため、作者が自分で単行本を買い占めて、売れているように見せかけているに違いない……と真剣に主張していた。
 作者が自分で本を買い占め(笑)。そんなバカなこと、誰がやるものか。一冊出すたびに何千万円という赤字になるではないか。
 ははあ、陰謀論というのはこうやって生まれてくるのだな……と僕は大笑いしつつも納得したものである。


 やって来たのは、その『まどマギ』陰謀論を唱える人物(以下、Bという仮名で表記する)だった。1年以上前に僕のブログに書きこんだコメントが削除されたのを、ずっと恨みに思っていたらしい。僕に直接、抗議に来たのだ。「あなたは卑怯だ」「あなたは卑怯だ」と何度も繰り返す。コメントに反論せずに削除したのが卑怯だ、というのだ。
 いや、明らかにトンデモなうえに、特定の団体を誹謗中傷するデマを書きこまれたら、削除するでしょ、普通?
 あまりにしつこいので、売り子をしてくれていた友人のN君が語気を強くして、「いいかげんにしなさい」と注意すると、Bは驚いた様子で、

「あのヤクザみたいな人は何ですか!? 私を脅しましたよ!」

 いやいや、彼は堅気のゲーマーだから(笑)。
 荷造りを終えて、ダンボール2箱をカートに載せ、ゆうパックの受付に向かう。ところがBはしつこく後ろについてきながら自説を喋りまくる。『まどマギ』みたいな駄作がヒットするはずがない。あの作品に人気があるなんて嘘だ。あれはみんなシャフトの工作なんだ、と力説する。
 ……思い出していただきたいのだが、ここはコミケ会場である。カタログを見ると、1日目だけでも、『まどマギ』系のサークルが160以上あることが分かる。3日目もあちこちで同人誌を売っていたし、まどかやさやかやマミのコスプレをしている人とも何度もすれ違った。昨年よりは少なくなっているものの、番組終了して1年以上経つのに、まだ人気が持続していることが如実に分かる場所なのだ。
 しかしBには、自分の周りにあるその現実が見えていないらしい。
 Bは、僕がブログで『まどマギ』を絶賛したのがどうしても許せないようだ。どうも僕がシャフトから金を貰って宣伝工作をしていると疑っているらしいのだ。

「あのねえ。『まどマギ』を褒めてる作家って僕だけじゃないんですよ。あの作品は日本SF大賞の候補になったの。授賞は逸したけど、宮部みゆきさんたちが絶賛してたんですよ」
「それはそう言わないと危険な状況に追いこまれてたんですよ!」

 何だよ危険な状況って!?(笑)
 ちなみに日本SF大賞の選評は『読楽』(徳間書店)2012年2月号に掲載されている。そこから選考委員が『まどマギ』に言及した部分を抜粋してくださっている方がいるので、参考にしてほしい。

人気作家たちによる、「魔法少女まどか☆マギカ」の感想色々
http://alfalfalfa.com/archives/5127491.html

 中でも特に、宮部みゆきさんが熱く語っているので抜粋しよう。

 十二話で構成されているアニメーション『魔法少女まどか☆マギカ』は、お預かりしたときには戸惑いました。少女だった時期は遥かに昔、五十路に入って、しかもアニメ作品には疎いこの私が、今さら魔法少女についていかれるものだろうか。
 いざDVDを観始めたら、そんな戸惑いは吹っ飛んでしまいました。映像のクオリティに驚き、一話目で早々と登場する〈魔法の結界〉のイメージの奇抜さと美しさに目を瞠り、二話、三話と観続けるうちに、健気な魔法少女たちに魅了されてしまいました。これから観る方のために細部を記せませんが、この作品はよき企みがあるミステリーとして幕を開け、それぞれに自己実現を希う少女たちの友情物語として進行し、終盤でミステリーの謎解きのために用意されていたSF的思考が披露されるという、実に贅沢な造りになっています。
 選考会でも記者会見でも、私は「十一話と十二話でだだ泣きしました」と申し上げたのですが、後でチェックしてみたら、最初に泣けてしまったのは第七話でした。それは別に、私がかつて不器用な少女であったからではありません。「誰かの幸せを願った分、別の誰かを呪わずにいられない」。作中で繰り返されるこの言葉は、見事に人間の業を言い当てています。それが、年齢性別を問わず、観る者の心を揺さぶるのです。今回、小説の方に桁違いの傑作があったことで損をしてしまいましたが、私には忘れがたい作品でした。


 このように、みなさん高く評価している。ただ、冲方氏や豊田氏や堀氏が指摘するように、SFとしての部分が弱かったのが、受賞作(上田早夕里『華竜の宮』)に及ばなかったところだろう。
 ところがBによれば、こうしたコメントはすべて選考委員が「危険な状況に追いこまれてた」からだという。つまりシャフトから脅迫を受けて、心にもないことを無理に言わされたというのだ。
 そりゃまたすげえ影響力あるもんだなシャフト(笑)。なんかイルミナティみたいな闇の秘密結社をイメージしてんじゃないのか。
 さらにBは、『化物語』の人気も工作だと主張する。「あんなひどいアニメがヒットするなんておかしい」と言うのだ。

「だって、ぜんぜん動かない紙芝居みたいなエピソードがあったんですよ!」

 いやそれ、演出だから(笑)。
 言うまでもないことだけど、『化物語』の原作はほとんどが会話で成り立っているので、アニメにしても「紙芝居」にしかなりようがない。むしろ少ない枚数でいかに面白く見せるかが演出家の腕の見せどころだ。
 僕がその「シャフト美学」とでも言うべきもののすごさを痛感したのは、『ef - a tale of memories.』の7話の留守電のくだりである。ただ画面を文字が埋めてゆくだけなのに、下手にキャラを動かすよりもはるかに強烈な緊張感と戦慄を生み出している。それまでも『ぱにぽにだっしゅ!』とか『ネギま!?』とか見てたんたけど、『ef』の衝撃は桁違いだった。「アニメってべつに動かさなくてもいいんだ」というのを思い知らされた。
 こういうのはアニメをちょっと知ってる人間なら誰でも分かる程度のことのはずなんだけど、Bには理解できないらしい。

 いいかげん嫌になって、「言いたいことがあれば自分のブログででも書けばいいでしょ」とか「そんなに僕が嫌いなら僕に近づかなきゃいいでしょ」と言うのだが、Bは「あなたは卑怯だ」としつこく繰り返し続け、ぴったりくっついてくる。
 ようやくゆうパックの搬出場所に到着したが、僕が送り状に住所を書こうとしているのに、Bは僕のすぐ近く、字が読めそうな距離に突っ立っている。これはさすがに気持ちが悪い。
「あのねえ、あなたに僕の住所を知られるわけにいかないから。どっか離れて。遠くに行って」
 そう言ったのだが、彼は「あなたは卑怯だ」と言い続け、離れようとしない。
 そこに心配して駆けつけてきたN君が、「いいかげんにしろ」と胸を軽く小突いた。とたんにBがわめきだす。

「暴力をふるわれた! ヤクザみたいな男が私に暴力をふるった! 私が何もしていないのに先に手を出してきた!」

 すぐにN君が「悪かった」と謝り、さらにBをひきずっていってくれたので、ようやく僕は送り状を書くことができた。

 もちろんその時はひどくむかついたのだが、時間が経ってみると、だんだんBのことが哀れになってきた。1年以上前のことを蒸し返すためにわざわざコミケに来るより、嫌いな『まどマギ』のことなんか忘れて、そのエネルギーをもっと別のことに使えば、はるかに有意義だろうに。
 しかし、僕の声は決して彼には届かないだろう。彼が生きているのは現実の世界ではなく、パラレルワールドだからだ。彼の目に映る世界では、『まどか☆マギカ』はヒットしておらず、宮部みゆきさんたちがシャフトから脅迫を受けていて、N君はヤクザなのだ。
『トンデモ本の世界X』のあとがきのつづきを引用しておこう。

 食べ物だろうとアニメだろうと、はたまた芸術作品だろうと政治思想だろうと、すべての人間に支持されることは決してない。必ずそれを好きな人間と嫌いな人間がいる。それは当たり前のことである。絶対的に正しい評価というものはない。
 しかし、それが理解できない種類の人間がいる。自分が好きなものは絶対的に素晴らしいものだとか、自分が嫌いなものは絶対的にダメなのだとか思ってしまう人間が。その信念を否定する情報が入ってくると、彼らは「その情報は間違っている」と考える。
 僕は小説『アイの物語』の中で、ゲドシールドという造語を使った。「ゲド」というのは特に意味のない言葉で、語感を優先して作った。哲学か認知心理学の分野で似たような概念はあるのかもしれないが、個人的には「ゲドシールド」という語感が気に入っているので使っている。
 僕たちは世界をじかに認識しているのではない。世界はあまりにも巨大で複雑すぎて、人間の頭脳では処理できないからだ。そこで人間は、世界を大幅に簡略化してイメージする。自分の周囲の壁に、自らが作ったシミュレーションモデルを投影し、それを見て「これが現実だ」と思いこんでいる。その壁がゲドシールドだ。
(中略)
 先の例で言うなら、「『まどか☆マギカ』は駄作である」「ヒットするはずがない」というのが、この人の脳内のシミュレーションモデルだったわけである。ところが現実にヒットしている。にもかかわらず、この人はモデルの修正を認めず、「ヒットしているなんて嘘だ」という幻想を新たに構築し、ゲドシールドに投影しているのである。
 陰謀論やトンデモ説が生まれる背景には、人がゲドシールドの存在を意識していないことがある。自分の脳が創造したモデルを仮想現実だと認識できず、生の現実だと信じているのだ。もちろん、そうした傾向は誰にでもあるのだが、特に陰謀論者やトンデモ説の提唱者はそれが強い。ゲドシールドのモデルと外にある本物の現実に矛盾が生じると、彼らは「誰かが事実を隠している」とか「陰謀が行われている」とかいう新たな幻想を構築して、現実の方を修正し、モデルを守ろうとする
(中略)
 僕は『アイの物語』の中でDIMBという言葉も創作した。ドリーマー・イン・ミラー・ボトル(鏡の瓶の中で夢見る者)――鏡でできた瓶の中に閉じこもり、周囲に映る自分自身の姿を外界だと思いこんでいる者、という意味である。
 DIMBにならないためには、「僕らが見ているものは現実そのままではない。脳が構築した仮想現実なのだ」ということを認識する必要がある。「私の考えに間違いがあるはずがない」とか「私は世界の真理を知っている」なんて、絶対に思わないことだ。
 言い換えれば、本物の世界の巨大さに対し、謙虚になるべきなのだ。世界は一人の人間の脳ではとうてい理解できないほど大きい。僕たちはちっぽけで不完全であり、この世界のことを一万分の一も認識できない――その事実を素直に認めるべきなのだ。
 それは絶望や敗北主義ではない。世界を――脳内の仮想現実ではなく、ゲドシールドの外にある本物の現実に敬意を払おうということなのである。


 最後に、ちょっとだけ宣伝。今度、『メフィスト』で連載を開始する作品(SFではなく、SF的な設定を用いたミステリ)は、「僕らが見ているものはすべて、脳が構築した仮想現実だ」というのがテーマである。
  


Posted by 山本弘 at 12:21Comments(76)トンデモ

2012年08月03日

特撮博物館に感激!

 収録をした東京都現代美術館では、10月8日まで、「特撮博物館」というイベントを開催中。
 テレビの収録が行われたのは休館日だったので、展示の一部しか見られなかった。だもんで、翌日、もういっぺん行ってきた。

http://www.ntv.co.jp/tokusatsu/

 もうね、日本中の特撮マニア、全員来い!
 展示物の数々、すごいから。感動するから。こんだけの歴史的なミニチュアが一堂に集まることなんて前代未聞だから。

 だって、わだつみとかバッカスⅢ世とかスカイハイヤーとかボーンフリー号とかラビットパンダとかポーラーボーラとかメーサー殺獣光線車とか恐獣ミサイルとかマグマ大使のロケット形態とかの実物が展示してあるんだよ!
 トリプルファイターやグリーンマンやレッドマンやロックバットやライオン丸やスペクトルマンやサンダーマスクやファイヤーマンやジャンボーグ9のマスク、ゾーンファイターのマスクと上半身、メカゴジラ2や平成ガメラの着ぐるみとかも本物だよ!
 残念なことにオリジナルが失われていて、レプリカも多いんだけど、撮影に使用されたモデルを忠実に再現したとかで、十分すぎるほど目の保養になる。特にMJ号の9尺モデルには圧倒される。9尺ということは2・7メートルだから、約100分の1か。よく観察すると、ピアノ線を付けるポイントも分かる。
 その周囲には、ピブリダー、コンクルーダー、エキゾスカウト、バギーも展示されている。いずれも実際のモデルを元に復元されたレプリカ。特にコンクルーダーがため息が出るほど美しい。
 そうそう、500円で借りられる音声ガイドの声が清川元夢なんだけど、『マイティジャック』のブースで、テーマ曲をバックにあのOPナレーションを読み上げられたのには参った。感動のあまり笑い出しそうになったよ。

 言うまでもないけど、『地球最強姉妹キャンディ』に出てくる高速強襲揚陸艦〈メロンジュース〉は、MJ号のパロである。全長235メートルで、船内工場で新メカ組み立てたり。好きだったんだよね、『マイティジャック』。
 特に2巻のクライマックス、ザイゴンの潜水戦艦とのバトルは、10話「爆破指令」(そう言えばこれも満田監督だったか)への徹底的なオマージュ。劇中ではあまりうまく運用されていたとは言い難いMJ号を、僕なりに大活躍させてやりたくて考えたストーリーである。
 僕が12歳の時のわくわく感を、今の11~12歳ぐらいの子供たちに伝えたかったのだ。


 他にも、スカイホエールのミニチュアもかなりでかいし、ビートル、ウルトラホーク1号、マットアロー1号と2号、マットジャイロ、タックアロー、隼号やスピップ号やムーンライトSY-3を間近で見れて、もう夢のよう。ここは天国ですか。
 これも言うまでもないだろうけど、『地球移動作戦』に出てくる宇宙船〈ファルケ〉と〈フェニックス〉は、隼号と鳳号のオマージュである。
 しかし、ムーンライトSY-3は今みてもしびれるデザインだなあ。サンダーバード1号にインスパイアされたのかもしれないが、模倣じゃなくしっかりオリジナリティあふれるデザインになっているのが素晴らしい。東宝特撮メカの中ではいちばん好き。
 モデルの一部しか現存していないものも、その部分だけが展示されている。轟天号のドリルとか、ピブリダーのアップ用の翼(ノコギリが出てくるやつ)とか。

 壁に貼られた展示物にも注目しよう。
 成田亨氏のデザイン画や油絵、『海底軍艦』『マイティジャック』等の設定画や図面、当時の少年雑誌の口絵、小松崎茂氏のプラモデルのボックスアートなど、貴重な資料がいっぱいだ。
 特に僕が気に入ったのは、東宝特撮映画の劇中で使われた架空の新聞! ドゴラによる被害やムー帝国の攻撃やPー1号の地球帰還やモスラの卵の漂着を報じてるやつ。画面では一瞬しか映らないんで、細かいところが見えなくて悔しい思いをしてたんだけど。ここではじっくり読める。
 本物の新聞の紙面を流用して、写真と見出しと文の一部、それに紙名のロゴを差し替えて作っていることが分かる。よく見るとケネディ暗殺とか三井三池炭鉱爆発事故とか朝永振一郎のノーベル賞受賞のことが書いてあるのだ。
 これ欲しい! このままコピーして売ればいいのに……と思ったけど、本物の新聞を使ってるから版権的に難しいか。うーん。
 
 短編映画『巨神兵東京に現わる』も素晴らしい。
 今の時代にあえてCGを使わず、ミニチュアと合成だけで作られた特撮映画。冒頭の東京の見事な俯瞰映像からして、実はミニチュア。巨神兵のビーム攻撃でビルが吹っ飛び、東京が壊滅してゆく。その大迫力! 『妖星ゴラス』『世界大戦争』『宇宙大戦争』『日本沈没』(旧作)、海外映画『世界大洪水』『雨ぞ降る』、最近では『超強台風』などのカタストロフ・シーンが大好きな僕としては、すっかり堪能してしまった。
 映画を見終わった後、隣の部屋で撮影の裏側を解説したビデオを見る。これがまた面白い。 そうやって動かしてたのか巨神兵。
 実は途中で2箇所、「CGじゃないか」と思ったカットがあった。巨神兵のビームを受けたビルが融けるところと、東京の空にキノコ雲が立ちのぼるところである。ところが、これも実にローテクな手法で撮影されていたと知って驚いた。ビルの崩れ方も、これまでの映画にはなかったテクニックを使っている。
 特撮というのはセンスと工夫だというのがよく分かる。

 地下の「特撮美術倉庫」という展示もいい。東宝の美術倉庫を再現したという設定で、薄汚い倉庫の中に、東宝映画で使われたいろんなミニチュアが所狭しと並んでいるのだ。『妖星ゴラス』で高潮を浴びてひっくり返った機関車とか、『怪獣総進撃』で北京郊外でモスラに襲われた列車とか、『キングコング対ゴジラ』の都電とか、『青島要塞爆撃命令』のクライマックスで巨大砲弾を運んでた蒸気機関車とか。どれも普通の鉄道模型よりかなり大きい。よく残ってたもんだ。
 戦車、飛行機、ヘリ、艦船類も多数。『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』のヨットとかも興味深いけど、ゴラスの実物がまだ残ってたというのには驚いた。棚の上の方に、無造作にスーパーX2が置かれてたりする。出口のところには、護国聖獣キングギドラの着ぐるみも。

 2時間あれば回れるかと思ったら、ぜんぜん足りない。閉館時間が近づいたので、最後の方は駆け足になってしまった。
 これはぜひ、もう一度行かねば。

 半蔵門線「清澄白河駅」B2出口より徒歩9分。
 今の季節、炎天下を歩くのが嫌な方には、東京駅丸の内口から東20「錦糸町駅前」行のバスに乗られることをおすすめします。美術館前に停まります。
  
タグ :特撮怪獣


Posted by 山本弘 at 15:31Comments(17)特撮

2012年08月03日

ジラースのひみつ

 7月30日、東京都現代美術館にてテレビ番組の収録。
 8月11日からWOWOWプライムで一挙放送される『ウルトラマン』ハイビジョンリマスター版のPR番組。本編(1日5話ずつ放映される)の前後に、当時の出演者やスタッフと、『ウルトラマン』を見て育った世代とのトークが入るのだ。
 放映予定とトーク出演者は次の通り。

http://www.wowow.co.jp/pg_info/detail/101468/#intro

8月11日 1~5話 遠藤秀紀×飯島敏宏
8月12日 6~10話 山本弘×満田かずほ
8月13日 11~15話 クリス・ペプラー×黒部進
8月14日 16~20話 樋口真嗣×古谷敏
8月15日 21~25話 遠藤秀紀×飯島敏宏
8月16日 26~30話 樋口真嗣×古谷敏
8月17日 31~35話 クリス・ペプラー×黒部進
8月18日 36~39話 山本弘×満田かずほ

 というわけで、満田かずほ監督にお話をうかがってきた。僕が10才の頃に見ていた番組を作っていた人とトークができるなんて、感無量である。

 やっぱり怪獣マニアならみんな気になるのは、ジラースの出てくる「謎の恐竜基地」だと思う。
 僕は「ジラース」というのはてっきり「ゴジラ」のもじりで、ゴジラの着ぐるみを使うことが前提でつけられた名前だと思っていた。ところが満田監督によると、あれは脚本の金城哲夫氏によるネーミングで、「次郎主」という沖縄の方言なんだそうだ。つまり「ジラ」が一致してるのは偶然。脚本の段階ではゴジラを使う予定ではなかったという。
(後でwikipedia見たらちゃんと書いてありました)
 言われてみると、ジラースはもともとネス湖の怪獣という設定だし、劇中でモンスター博士がディプロドクス云々と言っているので、金城氏はディプロドクスのような首の長い恐竜を想定していたのではないかと思われる。

 そもそも何でゴジラの着ぐるみを使うことになったかというと、着ぐるみというのは高いので(僕の記憶では、当時の雑誌記事に「1体作るのに40万円」と書いてあったと思う。もちろん当時の物価でだ)、新人監督はなかなか着ぐるみを新調してもらえなかった。だから『ウルトラQ』『ウルトラマン』の満田監督の担当回では、ボスタング(没エピソードのクラプトンの流用)、ギャンゴ(ベムラーの改造)、ザラガス(ゴモラの改造)、再生ドラコ、再生テレスドンなど、改造や流用が多いのだそうだ。「燃えろ栄光」のピーターと「小さな英雄」のジェロニモンは新調だったのだが。
 その「小さな英雄」も、本当は設定通り、ジェロニモンによって復活した何十体もの怪獣(それまでに使った着ぐるみの流用)をいっぺんに出したかったのだが、許してもらえなかったんだとか。それは僕も見たかった! 実現してたら、ギガスやグビラやザラガスやザンボラーやゴルドンやケロニアが入り乱れる大スペクタクルになってただろうに。もったいない。
 ジェロニモンっていわばボスキャラで、本当はすごく強い怪獣のはずなのに、なぜかレッドキングやゴモラより人気がない。羽を飛ばすという能力があまり強そうに見えないせいかね?

 ちなみにウルトラマンとジラースの格闘シーンは、光線の技比べをやったり闘牛をやったりウルトラマンが笑ったりスペシウム光線でとどめを刺さなかったりと、いつもと雰囲気がまるで違う。あれは満田監督と高野宏一特技監督が話し合って決めたことで、金城氏には「脚本に殺陣は書かないでくれ」と頼んでいたそうな。
 ゴジラは着ぐるみを傷つけずに東宝に返さなくてはいけなかったので、えりまきを付けて黄色く塗るぐらいの改造しか許してもらえなかった。誰がどう見てもゴジラなもんで、もういっそごまかすのをやめて、えりまきをむしり取って、ゴジラであることを見せてしまおう……ということになったらしい。

 あと、「謎の恐竜基地」で少年雑誌の記者が乗ってくる、角と牙の付いた変な車は何なのかとか(気になるでしょ、みなさん?)、何で「宇宙から来た暴れん坊」に青島幸男が出てたのかとか、子供の頃からのいろんな疑問が40ン年ぶりに解けました。いやー、訊いてみるもんだね。
 ウルトラマンのカラータイマーが点滅する時に石坂浩二のナレーションが流れるのには、ちゃんとした理由があったというのにもびっくり。当時はまだ白黒テレビが多かったので、「胸のカラータイマーが青から赤に変わり点滅を始める」というナレーションを入れないと、視聴者に色の変化が分からないからだと。言われてみればそうだ! うちも白黒で見てたよ。

 他にもここには書ききれない、面白い裏話がいっぱいなので、もっと知りたい人は放送を見てね。
  

Posted by 山本弘 at 14:50Comments(3)PR

2012年08月03日

コミケ直前情報

 今年のコミケは12日(日)、R-57bブロック「心はいつも15才」です。

 すみません!
 カタログには今回こそ『チャリス・イン・ハザード』を完結させると書いていましたが、落としてしまいました!
 最終巻、本当に書いてたんですが、このペースではどうしても間に合わないと判断し、やむなく落とすことにしました。期待しておられたみなさま、申し訳ありません。冬コミには必ず間に合わせます。
 今回は既刊の3冊(『魔島からの脱出』『脅威の少女核爆弾』『ファイナル・オーバーヒート〈上〉』)のみを再版いたします。なお、成人向けですので、18歳未満の方はお求めになれません。
 いつもは娘に売り子をさせるのですが、今回は別のサークルさんのところに手伝いに行ってもらうことにしました。さすがに16歳の娘に18禁本を売らせるわけにはいきませんので。

 代わりに、これまでちょこちょこ書き溜めていた原稿を集めて、『オタクのグルメ』という薄めの文庫本を出します。
『孤独のグルメ』のパロディで、僕が実際に街で遭遇した美味いものの数々を小説風に紹介する本です。「ミスタードーナツの温野菜セット」「播磨屋のぜんざい」「サーティワンのアイスクリーム」「メイドカフェのにゃんにゃんパフェ」の4編に、ひどい目に遭った「神戸の伊勢海老料理」を加えた5編です。

 いつものMAD紹介本『MADなボクたち』2012年夏号も出します。今回の特集は『這いよれ!ニャル子さん』と「2012年前半新番組」。いつものようにMMDや『アイドルマスター』も取り上げます。

 あと、以前に「アンド・ナウの会」から出した故・柴野拓美氏インタビュー『僕らを育てたSFのすごい人』も改訂して再版します。まだお持ちでない方はどうぞ。
  
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Posted by 山本弘 at 14:34Comments(6)PR