2012年08月03日

特撮博物館に感激!

 収録をした東京都現代美術館では、10月8日まで、「特撮博物館」というイベントを開催中。
 テレビの収録が行われたのは休館日だったので、展示の一部しか見られなかった。だもんで、翌日、もういっぺん行ってきた。

http://www.ntv.co.jp/tokusatsu/

 もうね、日本中の特撮マニア、全員来い!
 展示物の数々、すごいから。感動するから。こんだけの歴史的なミニチュアが一堂に集まることなんて前代未聞だから。

 だって、わだつみとかバッカスⅢ世とかスカイハイヤーとかボーンフリー号とかラビットパンダとかポーラーボーラとかメーサー殺獣光線車とか恐獣ミサイルとかマグマ大使のロケット形態とかの実物が展示してあるんだよ!
 トリプルファイターやグリーンマンやレッドマンやロックバットやライオン丸やスペクトルマンやサンダーマスクやファイヤーマンやジャンボーグ9のマスク、ゾーンファイターのマスクと上半身、メカゴジラ2や平成ガメラの着ぐるみとかも本物だよ!
 残念なことにオリジナルが失われていて、レプリカも多いんだけど、撮影に使用されたモデルを忠実に再現したとかで、十分すぎるほど目の保養になる。特にMJ号の9尺モデルには圧倒される。9尺ということは2・7メートルだから、約100分の1か。よく観察すると、ピアノ線を付けるポイントも分かる。
 その周囲には、ピブリダー、コンクルーダー、エキゾスカウト、バギーも展示されている。いずれも実際のモデルを元に復元されたレプリカ。特にコンクルーダーがため息が出るほど美しい。
 そうそう、500円で借りられる音声ガイドの声が清川元夢なんだけど、『マイティジャック』のブースで、テーマ曲をバックにあのOPナレーションを読み上げられたのには参った。感動のあまり笑い出しそうになったよ。

 言うまでもないけど、『地球最強姉妹キャンディ』に出てくる高速強襲揚陸艦〈メロンジュース〉は、MJ号のパロである。全長235メートルで、船内工場で新メカ組み立てたり。好きだったんだよね、『マイティジャック』。
 特に2巻のクライマックス、ザイゴンの潜水戦艦とのバトルは、10話「爆破指令」(そう言えばこれも満田監督だったか)への徹底的なオマージュ。劇中ではあまりうまく運用されていたとは言い難いMJ号を、僕なりに大活躍させてやりたくて考えたストーリーである。
 僕が12歳の時のわくわく感を、今の11~12歳ぐらいの子供たちに伝えたかったのだ。


 他にも、スカイホエールのミニチュアもかなりでかいし、ビートル、ウルトラホーク1号、マットアロー1号と2号、マットジャイロ、タックアロー、隼号やスピップ号やムーンライトSY-3を間近で見れて、もう夢のよう。ここは天国ですか。
 これも言うまでもないだろうけど、『地球移動作戦』に出てくる宇宙船〈ファルケ〉と〈フェニックス〉は、隼号と鳳号のオマージュである。
 しかし、ムーンライトSY-3は今みてもしびれるデザインだなあ。サンダーバード1号にインスパイアされたのかもしれないが、模倣じゃなくしっかりオリジナリティあふれるデザインになっているのが素晴らしい。東宝特撮メカの中ではいちばん好き。
 モデルの一部しか現存していないものも、その部分だけが展示されている。轟天号のドリルとか、ピブリダーのアップ用の翼(ノコギリが出てくるやつ)とか。

 壁に貼られた展示物にも注目しよう。
 成田亨氏のデザイン画や油絵、『海底軍艦』『マイティジャック』等の設定画や図面、当時の少年雑誌の口絵、小松崎茂氏のプラモデルのボックスアートなど、貴重な資料がいっぱいだ。
 特に僕が気に入ったのは、東宝特撮映画の劇中で使われた架空の新聞! ドゴラによる被害やムー帝国の攻撃やPー1号の地球帰還やモスラの卵の漂着を報じてるやつ。画面では一瞬しか映らないんで、細かいところが見えなくて悔しい思いをしてたんだけど。ここではじっくり読める。
 本物の新聞の紙面を流用して、写真と見出しと文の一部、それに紙名のロゴを差し替えて作っていることが分かる。よく見るとケネディ暗殺とか三井三池炭鉱爆発事故とか朝永振一郎のノーベル賞受賞のことが書いてあるのだ。
 これ欲しい! このままコピーして売ればいいのに……と思ったけど、本物の新聞を使ってるから版権的に難しいか。うーん。
 
 短編映画『巨神兵東京に現わる』も素晴らしい。
 今の時代にあえてCGを使わず、ミニチュアと合成だけで作られた特撮映画。冒頭の東京の見事な俯瞰映像からして、実はミニチュア。巨神兵のビーム攻撃でビルが吹っ飛び、東京が壊滅してゆく。その大迫力! 『妖星ゴラス』『世界大戦争』『宇宙大戦争』『日本沈没』(旧作)、海外映画『世界大洪水』『雨ぞ降る』、最近では『超強台風』などのカタストロフ・シーンが大好きな僕としては、すっかり堪能してしまった。
 映画を見終わった後、隣の部屋で撮影の裏側を解説したビデオを見る。これがまた面白い。 そうやって動かしてたのか巨神兵。
 実は途中で2箇所、「CGじゃないか」と思ったカットがあった。巨神兵のビームを受けたビルが融けるところと、東京の空にキノコ雲が立ちのぼるところである。ところが、これも実にローテクな手法で撮影されていたと知って驚いた。ビルの崩れ方も、これまでの映画にはなかったテクニックを使っている。
 特撮というのはセンスと工夫だというのがよく分かる。

 地下の「特撮美術倉庫」という展示もいい。東宝の美術倉庫を再現したという設定で、薄汚い倉庫の中に、東宝映画で使われたいろんなミニチュアが所狭しと並んでいるのだ。『妖星ゴラス』で高潮を浴びてひっくり返った機関車とか、『怪獣総進撃』で北京郊外でモスラに襲われた列車とか、『キングコング対ゴジラ』の都電とか、『青島要塞爆撃命令』のクライマックスで巨大砲弾を運んでた蒸気機関車とか。どれも普通の鉄道模型よりかなり大きい。よく残ってたもんだ。
 戦車、飛行機、ヘリ、艦船類も多数。『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』のヨットとかも興味深いけど、ゴラスの実物がまだ残ってたというのには驚いた。棚の上の方に、無造作にスーパーX2が置かれてたりする。出口のところには、護国聖獣キングギドラの着ぐるみも。

 2時間あれば回れるかと思ったら、ぜんぜん足りない。閉館時間が近づいたので、最後の方は駆け足になってしまった。
 これはぜひ、もう一度行かねば。

 半蔵門線「清澄白河駅」B2出口より徒歩9分。
 今の季節、炎天下を歩くのが嫌な方には、東京駅丸の内口から東20「錦糸町駅前」行のバスに乗られることをおすすめします。美術館前に停まります。
  
タグ :特撮怪獣


Posted by 山本弘 at 15:31Comments(17)特撮

2012年08月03日

ジラースのひみつ

 7月30日、東京都現代美術館にてテレビ番組の収録。
 8月11日からWOWOWプライムで一挙放送される『ウルトラマン』ハイビジョンリマスター版のPR番組。本編(1日5話ずつ放映される)の前後に、当時の出演者やスタッフと、『ウルトラマン』を見て育った世代とのトークが入るのだ。
 放映予定とトーク出演者は次の通り。

http://www.wowow.co.jp/pg_info/detail/101468/#intro

8月11日 1~5話 遠藤秀紀×飯島敏宏
8月12日 6~10話 山本弘×満田かずほ
8月13日 11~15話 クリス・ペプラー×黒部進
8月14日 16~20話 樋口真嗣×古谷敏
8月15日 21~25話 遠藤秀紀×飯島敏宏
8月16日 26~30話 樋口真嗣×古谷敏
8月17日 31~35話 クリス・ペプラー×黒部進
8月18日 36~39話 山本弘×満田かずほ

 というわけで、満田かずほ監督にお話をうかがってきた。僕が10才の頃に見ていた番組を作っていた人とトークができるなんて、感無量である。

 やっぱり怪獣マニアならみんな気になるのは、ジラースの出てくる「謎の恐竜基地」だと思う。
 僕は「ジラース」というのはてっきり「ゴジラ」のもじりで、ゴジラの着ぐるみを使うことが前提でつけられた名前だと思っていた。ところが満田監督によると、あれは脚本の金城哲夫氏によるネーミングで、「次郎主」という沖縄の方言なんだそうだ。つまり「ジラ」が一致してるのは偶然。脚本の段階ではゴジラを使う予定ではなかったという。
(後でwikipedia見たらちゃんと書いてありました)
 言われてみると、ジラースはもともとネス湖の怪獣という設定だし、劇中でモンスター博士がディプロドクス云々と言っているので、金城氏はディプロドクスのような首の長い恐竜を想定していたのではないかと思われる。

 そもそも何でゴジラの着ぐるみを使うことになったかというと、着ぐるみというのは高いので(僕の記憶では、当時の雑誌記事に「1体作るのに40万円」と書いてあったと思う。もちろん当時の物価でだ)、新人監督はなかなか着ぐるみを新調してもらえなかった。だから『ウルトラQ』『ウルトラマン』の満田監督の担当回では、ボスタング(没エピソードのクラプトンの流用)、ギャンゴ(ベムラーの改造)、ザラガス(ゴモラの改造)、再生ドラコ、再生テレスドンなど、改造や流用が多いのだそうだ。「燃えろ栄光」のピーターと「小さな英雄」のジェロニモンは新調だったのだが。
 その「小さな英雄」も、本当は設定通り、ジェロニモンによって復活した何十体もの怪獣(それまでに使った着ぐるみの流用)をいっぺんに出したかったのだが、許してもらえなかったんだとか。それは僕も見たかった! 実現してたら、ギガスやグビラやザラガスやザンボラーやゴルドンやケロニアが入り乱れる大スペクタクルになってただろうに。もったいない。
 ジェロニモンっていわばボスキャラで、本当はすごく強い怪獣のはずなのに、なぜかレッドキングやゴモラより人気がない。羽を飛ばすという能力があまり強そうに見えないせいかね?

 ちなみにウルトラマンとジラースの格闘シーンは、光線の技比べをやったり闘牛をやったりウルトラマンが笑ったりスペシウム光線でとどめを刺さなかったりと、いつもと雰囲気がまるで違う。あれは満田監督と高野宏一特技監督が話し合って決めたことで、金城氏には「脚本に殺陣は書かないでくれ」と頼んでいたそうな。
 ゴジラは着ぐるみを傷つけずに東宝に返さなくてはいけなかったので、えりまきを付けて黄色く塗るぐらいの改造しか許してもらえなかった。誰がどう見てもゴジラなもんで、もういっそごまかすのをやめて、えりまきをむしり取って、ゴジラであることを見せてしまおう……ということになったらしい。

 あと、「謎の恐竜基地」で少年雑誌の記者が乗ってくる、角と牙の付いた変な車は何なのかとか(気になるでしょ、みなさん?)、何で「宇宙から来た暴れん坊」に青島幸男が出てたのかとか、子供の頃からのいろんな疑問が40ン年ぶりに解けました。いやー、訊いてみるもんだね。
 ウルトラマンのカラータイマーが点滅する時に石坂浩二のナレーションが流れるのには、ちゃんとした理由があったというのにもびっくり。当時はまだ白黒テレビが多かったので、「胸のカラータイマーが青から赤に変わり点滅を始める」というナレーションを入れないと、視聴者に色の変化が分からないからだと。言われてみればそうだ! うちも白黒で見てたよ。

 他にもここには書ききれない、面白い裏話がいっぱいなので、もっと知りたい人は放送を見てね。
  

Posted by 山本弘 at 14:50Comments(3)PR

2012年08月03日

コミケ直前情報

 今年のコミケは12日(日)、R-57bブロック「心はいつも15才」です。

 すみません!
 カタログには今回こそ『チャリス・イン・ハザード』を完結させると書いていましたが、落としてしまいました!
 最終巻、本当に書いてたんですが、このペースではどうしても間に合わないと判断し、やむなく落とすことにしました。期待しておられたみなさま、申し訳ありません。冬コミには必ず間に合わせます。
 今回は既刊の3冊(『魔島からの脱出』『脅威の少女核爆弾』『ファイナル・オーバーヒート〈上〉』)のみを再版いたします。なお、成人向けですので、18歳未満の方はお求めになれません。
 いつもは娘に売り子をさせるのですが、今回は別のサークルさんのところに手伝いに行ってもらうことにしました。さすがに16歳の娘に18禁本を売らせるわけにはいきませんので。

 代わりに、これまでちょこちょこ書き溜めていた原稿を集めて、『オタクのグルメ』という薄めの文庫本を出します。
『孤独のグルメ』のパロディで、僕が実際に街で遭遇した美味いものの数々を小説風に紹介する本です。「ミスタードーナツの温野菜セット」「播磨屋のぜんざい」「サーティワンのアイスクリーム」「メイドカフェのにゃんにゃんパフェ」の4編に、ひどい目に遭った「神戸の伊勢海老料理」を加えた5編です。

 いつものMAD紹介本『MADなボクたち』2012年夏号も出します。今回の特集は『這いよれ!ニャル子さん』と「2012年前半新番組」。いつものようにMMDや『アイドルマスター』も取り上げます。

 あと、以前に「アンド・ナウの会」から出した故・柴野拓美氏インタビュー『僕らを育てたSFのすごい人』も改訂して再版します。まだお持ちでない方はどうぞ。
  
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Posted by 山本弘 at 14:34Comments(6)PR