2012年06月26日

日本のアニメは昔からそうです!

 5月下旬、mixiのアニメ関係のいくつものコミュに、こんなマルチトピが立てられた。僕が確認したのは6箇所(うち1箇所はすでに削除)。mixi以外の掲示板にもいくつか書きこまれていた。
 その後も増え続け、6月26日現在、トピが立てられたコミュの数は14になっている。ちなみに書きこんでいる「うすらん」という人物のプロフィールは真っ白。あからさまな捨て垢である。

>民主党政権になってからこっち、アニメのエンディングのテロップに、韓国人の名が目立ってくるようになりました……。
>これは政府が「韓国に仕事を発注しろ」と、アニメ会社に圧力をかけてるためであり、在日組織の圧力もあるでしょう。そのためにアニメ会社は韓国人に優先的に仕事を与えてます。「人件費が安いから」というのは建前です。テロップでは韓国人の名前に限ってローマ字で書かれてます。これは「日本のアニメは韓国と共同作業で作っている」とう印象を海外に与えることによって、韓国のアニメを向こうで売りやすくすることを目的としています。
>とにかく、このままでは日本のアニメ技術は韓国に盗まれていきます。このままでは日本のアニメは韓国に乗っ取られてしまいます。
>なので、そのことでアニメ会社に抗議の電話、メールを送る協力をお願いします。
>地味でベタな方法ですが、これが一番効くんです


「民主党政権になってから」(爆笑)
 最初、喫茶店でケータイで読んでて、コーヒー噴きそうになったわ。
 昔からそうだよ!
『黄金バット』とか『妖怪人間ベム』とかは韓国で動画作ってたんだよ!
 1980年代、『超時空要塞マクロス』をリアルタイムに見ていた世代のアニメファンなら、「スタープロ」の名をご記憶のはずである。数回に一度、作画の下請けをやっていた韓国のプロダクション。スタープロ担当の回は作画崩壊がすさまじかった。当時、アニメファンの間で、「スタープロ」はひどい作画の代名詞だった。
『マクロス』はタツノコプロの作品だが、他にも80年代のタツノコアニメでは、何回かに一度、EDクレジットに韓国人の名前が出る回があった。タツノコだけではない。東映動画、葦プロダクション、国際映画社なども韓国に下請けに出していた。
 海外に下請けに出す理由は予算の問題が大きい。人件費の安い国に発注することによって、製作費を節約することができたのである。
 日本のアニメはもう何十年もずっと、韓国をはじめとする海外への下請けによって支えられてきたのだ。

アニメ制作の国際分業化
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A1%E5%88%B6%E4%BD%9C%E3%81%AE%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%88%86%E6%A5%AD%E5%8C%96

 もっとも、Wikiにも書いてあるように、80年代後半から韓国の人件費も高騰してきて、東映は海外分業の拠点をフィリピンやタイに移している。他の会社でも韓国以外の東南アジア諸国に下請けに出す例が多くなっているらしい。『ワンピース』とか『プリキュア』とかで、EDに外国人の名前がずらっと並ぶことがあるが、あれがそうなんである。
 つまり日本のアニメにおける韓国作画のパーセンテージは、昔よりは減っているはずなのだ。「アニメ会社は韓国人に優先的に仕事を与えてます」なんてのは、まったく事実に反している。
 当然、政府の圧力なんてものもあるわけがない。だいたい「韓国人に仕事を与えろ」と要求したって、ペイしないんじゃどこのアニメ会社も従わないだろう。

 もうひとつ、「このままでは日本のアニメ技術は韓国に盗まれていきます」というのも笑えた。もうとっくに全部盗まれてるよ!(笑) 『テコンV』とか『スペースガンダムV』とか『宇宙黒騎士』とか知らんのか?
 もっとも、日本のアニメの露骨なパクリの低レベルな作品がはびこったのも80年代あたりまでで、近年の韓国では、日本の影響を色濃く受けつつも、質の高いオリジナル作品が多くなってきているらしい。

Wonderful Days(2003年)
http://www.youtube.com/watch?v=9EqA0NmKTak

Ghost Messenger(2010年)
http://www.youtube.com/watch?v=HZydsdood_c
http://www.youtube.com/watch?v=sbAAMeldBZY

 見ての通り、作画技術に関しては、韓国は完全に日本に追いついている。もう日本から盗むものなんてほとんど残っていない。(あとはセンスだけだが、センスというのは盗めるものではない)
 だから「このままでは日本のアニメ技術は韓国に盗まれていきます」という危惧は、70年代、『テコンV』が作られる前だったら意味があっただろうけど、今となってはまったくの手遅れ。とんちんかんもいいところなのだ。

 こうしたことは、「オタク」「マニア」と呼べるほどアニメに興味のある人間だったら、基礎知識として必ず知っているはずである。
 僕が腹が立つのは、この「うすらん」という奴がアニメ製作について初歩的な知識すらないくせに「このままでは日本のアニメは韓国に乗っ取られてしまいます」などと、日本のアニメの将来を憂えているようなことを言っていることだ。
 実際はアニメになんか興味がなくて、単に韓国の悪口を言う口実が欲しかっただけなんだろう。
 もちろん、過去の韓国アニメのひどいパクリの横行に関しては、批判されるべきだ。しかし、ありもしないことまで捏造して中傷するのは許されない。

 アニメをお前らのプロパガンダのダシにするな。
  


Posted by 山本弘 at 14:24Comments(35)アニメ