2012年02月26日

野尻抱介『南極点のピアピア動画』(ハヤカワ文庫)



 ボーカロイド「小隅レイ」と動画投稿サイト「ピアピア動画」の登場するSF連作集。『SFマガジン』に発表された3編に、書き下ろしの「星間文明とピアピア動画」を加えた4編。ちなみに表紙イラストはKEI氏。
 株式会社ドワンゴの代表取締役の川上量生氏があとがきを書いてるんだけど、オビにも引用されている

>そもそも野尻さんがちゃんとしたSF作家だったというのは驚きだった。

 というくだりに笑った。まあ、ニコ動の「先生何やってんすかシリーズ」の尻Pしか知らない人は、そういう印象持つんだろうなあ。

 野尻さんのSFの魅力は、ひとつの発明・発見から、大風呂敷がどんどん広がってゆくところ。いまどき珍しい、すごくピュアなサイエンス・フィクションなんである。
 最初の3作のうちで僕が好きなのは、「コンビニエンスなピアピア動画」。まさか「ファミマ入店音シリーズ」がハードSFになるなんて思いもよりませんでしたわ。
 書き下ろしの「星間文明とピアピア動画」も抱腹絶倒の傑作。喫茶店で読みながら、何回噴き出したことか。7000万年以上前に地球に飛来した星間文明からの使者「あーやきゅあ」が、ボーカロイド「小隅レイ」をモデルにして実体化。彼女をいかに国家や警察の手から守り抜くか……という発端部が、何でこんな話になっちゃうのか(笑)。
 いや、登場人物たちの判断とか、展開する作戦とかは、いちいち理屈には合ってるんですけどね。確かに、予想される妨害を排除して、星間文明とのファーストコンタクトを成功させるには、そうするのが一番だろうと。
 でも、そこから繰り広げられる光景のシュールでバカバカしいことときたら! 宇宙からもたらされたたったひとつのオーバーテクノロジーのせいで、世界がものすごい勢いで変容していく様が、もう楽しくてしょうがない。 「弾幕の中に『お前らの愛で見えねえ』コメントが混じっております」とか、いかにもありそうで笑っちゃう。
 この状況、僕らにとってはユートピアなんだけど、エイリアンに対して疑心暗鬼な側からしたら、恐ろしい侵略だろうなあ。はじまっちゃったら止めようがないもんなあ。
「SFとは筋が通ったバカ話である」というのが持論の僕ににとって、まさにど真ん中ストライクな話でありました。
 
 しかし「ザラブ星から来てみました」っていったいどんな歌なんだ(笑)。
  


Posted by 山本弘 at 17:34Comments(6)最近読んだ本

2012年02月26日

第8回MMD杯傑作選

 今回もレベルの高い作品が多くて楽しかった。僕の気に入った作品を順不同で紹介していきたい。

【第8回MMD杯本選】Dive in the MMD -プラネテスOPで振り返るMMD-【MAD】
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16930384
 今回、真っ先に見たのがこれ。『プラネテス』好きには嬉しい動画。MMDの名作の数々が引用されていて感動する。

【第8回MMD杯本選】追いかけっこ!
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16930272
 モーションも素晴らしいけど、カメラワークが見事。この疾走感がたまらん。

【第8回MMD杯本選】ドミノ2012
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16938846
 今回のMMD杯でいちばん仰天したのがこれだった。 前半もすごいんだけど、後半がはじまったとたん、驚きのあまり、「うおおおおーっ!」と声が出てしまった。
「スパコン疑惑」と言われてるけど、ほんとにこれ、普通のパソコンで作れるもんなんだろうか。こんな動画を動かそうと思ったら、とてつもないスペックを要求されると思うんだけど。
 しかも単に技術的に高水準なだけじゃなく、愛にあふれてるのがいい。心を忘れた科学には幸せ育てる夢がないんだよ。

【第8回MMD杯本選】舞さんの秘密 Paradise Lost -at next nest-
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16941290
 これもすごい技術。いきなりファーストカットから驚きだけど、この森ってほんとにMMDなの? 実写かジオラマにしか見えないんだけど。

【第8回MMD杯本選】LastDance
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16961672
 MMDなのに動かさない。放棄されたメカを映してるだけなのに、なぜだか感動的。毎度のことながらビームマンPすごいな。

【第8回MMD杯本選】ミクとデフォ子のビリヤードTRICK SHOT集
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16958506
 今回、ビリヤードものは他にもあるけど、これは物理演算によるトリックショットの華麗さにただただ唖然。

【第8回MMD杯本選】ピタゴルファーハク
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16940822
 物理演算でホールインワンを狙うハク。努力が涙ぐましくて、笑いながらも感動する。
 たぶんビリヤードの人もこれぐらい試行錯誤してるんだろうな。

【第8回MMD杯本選】アザトゥース・ディーヴァ
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16939994
 うわあ、厨二の妄想全開だ! でもアクションがかっこいいからOKだ! キックで魔法陣を出現させるところがしびれる。
 しかし初投稿でこの完成度って……。

【第8回MMD杯本選】MMDDFF【FF再現バトル】
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16944590
 こっちのアクションはトレース元はあるんだけど、それでもやっぱり素晴らしい。

【第8回MMD杯本選】 fix 【MMD-PV】
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16783774
 これはやばい。見てて震えがくるほどすごい。踊らずに突っ立って歌ってるだけなのに、表情と身体の微妙な揺れだけで、リアルな生命感を表現してみせている。「魂実装済み」タグにふさわしい傑作。

【第8回MMD杯本選】人生の楽しいとこだけ見ようよ
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16931394
『モンティ・パイソン/ホーリー・グレイルライフ・オブ・ブライアン』のあの歌。 個人的にすごく好き。口笛吹きたくなってくる。

【第8回MMD杯本選】Stratosphere -the Assault-
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16919819
 空戦ものではこれがベスト。ベクタースラストによる変態機動がかっこいい。

【第8回MMD杯本選】ルパン三九
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16929454
 完成度むちゃ高っ!

【第8回MMD杯本選】 MMDの皆さんによる物まね大会 【ビーストウォーズ】
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16931548
『ビーストウォーズ』最終回再現。面白いんだけど、重すぎてパソコンのスペックによってはカクカクするのが難点。

【第8回MMD杯本選】Chinkoじゃない~夢を忘れた天海春香よ~【MMDマンガ】
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16931750
 ひどい下ネタなんだけど、深夜なのに腹の底から笑っちゃって、思わずマイリスしてしまった(笑)。
 今回、「プロジェクトSEX」「 ミクの黄金ジュース」「しゃべるちんこ」など、お下劣ネタもいろいろ。消されちゃったけど「プロジェクトSEX」は面白かった。

【第8回MMD杯本選】「もっと、してよ。」【初音ミクオリジナル曲PV】
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16930899
 エロいタイトルで、実際、歌詞もエロいんだけど、歌もモーションも見事。釣られる価値あり。

【第8回MMD杯本選】車【すこしふしぎSF】
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16937668
「お紺昇天」みたいな話。泣けた。

【第8回MMD杯本選】禁断の惑星【すこしふしぎSF】
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16935327
 前回のラミエルの人。上の「車」の人の師匠らしい。
 今回もいい話なんだけど、久野四郎の「勇者の賞品」(SFマガジン1969年7月号)という短編に似すぎているのが残念。

【第8回MMD杯本選】マリオは大変な効果音を鳴らしていきました
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16934963
 これは楽しい。やっぱりポンポコPはハズレがないなあ。

【第8回MMD杯本選】MMDでNEWラリーX
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16931410
 MMDでやる意味あんのか?……と思ったら後半でびっくりした。

【第8回MMD杯本選】『魔王』 Erlkönig
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16952551
 魔王エンジェルが「魔王」を演じるという、オヤジギャグの一発ネタかと思いきや、意外によくできててびっくり。

【第8回MMD杯本選】例のネズミに気をつけろ【東方MMDアニメ作品】
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16931189
 フルボイスすげえ。15分の全長版がアップされてるんで、これから見ます。

【第8回MMD杯本選】MMD イリュージョン・ミュージアム
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16946721
 トリックアートをMMDで再現するという面白い試み。もう少していねいに作ってくれたらなあ……。

【第8回MMD杯本選】物理演算プラレールで遊ぼう
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16945310
 タイトル通りの内容。これは楽しい。モデル配布されたそうなんで、これからさらに遊びが広がるかも。
 それにしてもひどい歌だ(笑)。

【第8回MMD杯本選】Here It Goes Again (full ver.)
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16956831
 これは楽しい! ものすごくていねいにトレースされた動きに惚れ惚れする。

【比較】 Here It Goes Again (full ver.) / 第8回MMD杯 【アイドルマスター】
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16973452
 こっちは元ネタとの比較動画。単に並べただけじゃなくて、これ自体が秀逸なMADになってる。

 この他にも、「gdgdレーシング!」「魔法の天使クリィミーマミon MMD」「ケロリンハンター」「テトさんたちがスト2ごっこ 」「ナツカシノツバサ ~昭和87年空の旅~」など、面白い作品、印象的な作品が山ほど。
 ほんと、どこまで進化するんですかね。
  


Posted by 山本弘 at 17:06Comments(5)ニコニコ動画

2012年02月26日

「『SFマガジン』を創刊号から読もう」(報告)

 先日告知したイベント、無事終了いたしました。客の入りは「女ターザン」の回より多かったです(笑)。お越しいただいたみなさん、ありがとうございます。

 ものすごく濃い人が来て「そこ間違ってるぞ」とツッコミ入れられたらどうしようかと思ってたんですが、そんなことはありませんでした。やっぱり60年代の『SFマガジン』を読んでる人はほとんどいないようです。
 有名な作品については、読んだことがあるかどうか観客に挙手してもらったんですが、驚いたことに、シェクリイの「危険の報酬」でさえ、読んでた人がほとんどいませんでした。確かに今、手に入りにくいからなあ、シェクリイ。 アメリカのテレビ放送黎明期に書かれた作品ですが、今読んだ方が面白いと思います。
 クリス・ネヴィルの「ベティアンよ帰れ」も、やっぱり読んでる人が少ない。一時は「アルジャーノンに花束を」と並ぶ名作だったはずなんだけどねえ。
 あと、「創刊2号に中曽根康弘氏(当時は科学技術庁長官・国務大臣)の祝辞が載ってた」とか「安部公房氏の作品が『SFマガジン』に載ってた」とか「筒井康隆氏は弟の作品の方が先に掲載されてた」とか「小松左京氏の『地には平和を』は第一回のSFコンテストで落選してた」とか「光瀬龍氏は東宝怪獣映画『マグラ!』のノヴェライズを書いてた」とか、ちょっとしたトリビアでいちいち「へぇー」という声も。うーん、やっぱりこういうことは語り継がなきゃだめなんですかね。

 個人的には、僕がすごいバカSFだと思ってる作品群──バンクスの「電送人間」とか、ドニェプロフの「むらさきの女」とか、ダンセイニの「電離層の幽霊」とか、グリンネルの「生きているボロ」とか、ハミルトンの「樹のごときもの歩む」とか、海野十三の「宇宙女囚第一号」とかで、お客さんがきっちり受けていたのが嬉しかったです。いやあ、バカでいいよハミルトン!
 逆に紹介が難しいと感じたのは、“せつない系”のお話。エムシュウィラーの「ベビイ」とか、パジェットの「黒い天使」とか、クリストファー・ヨウドの「クリスマス・ツリー」とか、アーンダールの「広くてすてきな宇宙じゃないか」とか、どれもいい話なんだけど、あらすじだけ語っても魅力を伝えにくいんですね。
 サスペンス系の作品では、ダニエル・F・ガロイの「プライアブル」。宇宙船内で連続殺人が起きるSF版『そして誰もいなくなった』。何とか復刻できませんかね、これ。埋もれさせるのは惜しい。
 あと、ストルガツキーの「最初の試み」やスタージョンの「少数報告」のように、今となっては科学的に否定されていて成立しなくなった話もいろいろ。ロソホバツキーの「砂漠の再会」も、アイデアは抜群に面白いんだけど、科学的に無理がありすぎるから、今のSF作家は書かないでしょうなあ。
「今となっては読めない話」と「今となっては書けない話」が多いことを痛感しました。

 今回の企画のために、バックナンバーをいろいろ読み返してたんですが、やっぱりキャサリン・マクリーンやキャロル・エムシュウィラーが面白いことを再確認。
 あと、昔から不思議なんだけど、何でアルジス・バドリスの『無頼の月』は単行本になってないんですかね。謎。

 今回は創刊号から50号まででしたが、4月に続きをやります。今度は51号から100号までを取り上げる予定。
  
タグ :SF


Posted by 山本弘 at 16:16Comments(3)PR

2012年02月10日

第8回MMD杯開幕!

 またこの季節がやってきた。第8回MMD杯の本選動画の投稿が、今日、2月10日(金)の21:00時から開始される。

MMD杯wiki
http://www31.atwiki.jp/mmdcup/

 例によって面白そうな予選動画がいっぱい上がっている。個人的に注目しているものを、順不同でいくつか挙げてみたい。

【第8回MMD杯予選】魔法の天使クリィミーマミ on MMD

 何このすごいぷにぷに感!

【第8回MMD杯予選】ナツカシノツバサ ~昭和87年空の旅~

 ファーストカットでいきなり魂わしづかみにされた感。

【第8回MMD杯予選】ゴッドバード【OP】

 やっぱりみせたがりPか! 前にも書いたと思うけど、動きに緩急のメリハリをつけてくれたら、もっと良くなるのになあ。

【第8回MMD杯予選】物理演算プラレールで遊ぼう

 タイトル通り、物理演算でプラレールを走らせるというもの。かたかた揺れながら走るのがリアル。

【第8回MMD杯予選】マリオは大変な効果音を鳴らしていきました

「MMDヒゲ部」ってタグは何(笑)。いや、すごく面白そうなんだけどね。

【第8回MMD杯予選】MMDDFF【FF再現バトル】

 これもすごそう。

【第8回MMD杯予選】初音ミクのごっつええ感じ2

 あかん、分かってるのにどうしても笑う。

【第8回MMD杯予選】炎のさだめ/いつもあなたが

『まどマギ』+『ボトムズ』。この組み合わせはむせる。

【第8回MMD杯予選】禁断の惑星【すこしふしぎSF】

 前回のラミエルの人だ! 期待してます!

【第8回MMD杯予選】Bad Apple!! CUBE

 立方体だけで再現する『Bad Apple!! 』。発想がちょっと面白い

【第8回MMD杯予選】追いかけっこ!

 ケロリン町でインラインスケート。ケロリン町はアップダウンや障害が多いので、こういうアクションには絶好だと思う。

【第8回MMD杯予選】プロジェクトSEX

 学術的な動画だそうだ(笑)。

【第8回MMD杯予選】CR花の霊夢

 東方がパチンコになったらこうなる。

【第8回MMD杯予選】例のネズミに気をつけろ【東方MMDアニメ作品】

 幻想郷最大の危機だ! しかもフルボイスだと!?

【第8回MMD杯予選】 星船 【地球防衛軍】

 これもかっこよさそう!

【第8回MMD杯予選】どすこい真くん「アフガンから来た刺客」

 何だよ、アフガン航空相撲って(笑)。

【第8回MMD杯予選】仮面ライダーDIVA 新番組予告&OP

 これもちょっといいかも。

【第8回MMD杯予選】Dive in the MMD -プラネテスOPで振り返るMMD-【MAD】

 MMDの歴史を『プラネテス』OPパロで見せるらしい。楽しみ。

【第8回MMD杯予選】吟遊詩人(スカールド)なミクさんが【ルーンクエスト】

 何、ルンケとな!?

【第8回MMD杯予選】人生の楽しいとこだけ見ようよ

『モンティ・パイソン』だ!

【第8回MMD杯予選】LastDance

 うわー、またビームマンPがエフェクトだけで勝負してきてる! しかも今回はロボットアニメ好きの心もがっちりつかんできた。優勝候補の一人か。

【第8回MMD杯予選】 バイバイお母ちゃん 【オカ☆ミキ】

「オカ☆ミキ」がすごい展開に……。

【第8回MMD杯予選】魔法少女ちはや★マナ板

 こんなの千早じゃない!(笑)

 他にも紹介しきれないけど、楽しそうな作品がたくさん。期待して今日の21時を待つことにする。
  

Posted by 山本弘 at 17:01Comments(3)ニコニコ動画

2012年02月10日

「『SFマガジン』を創刊号から読んでみる」

山本弘SF&トンデモNIGHT#7
「幻の名作・怪作を発掘!『SFマガジン』を創刊号から読んでみる」

【出演】山本弘(SF作家/と学会会長)
【時間】2月24日(金)
    開場19:00~ 開演19:30~(約二時間)
【場所】トークシアターなんば紅鶴
    大阪市中央区千日前2-3-9 『レジャービル味園』2F

 グレッグ・イーガンやテッド・チャンもいいけれど、昔のSFだって面白かった!
 1959年12月に創刊され、すでに半世紀の歴史がある『SFマガジン』。80年代以前のクラシックSFを深く愛する山本弘が、その初期の号の中から、今となっては読めない幻の名作、心温まる佳作、奇想天外な怪作、爆笑の珍作の数々を、主観と偏見でピックアップ。素朴だけれど楽しいクラシックSFの魅力を語り尽くします。クラークやアシモフなどの大御所と違い、決してスポットの当たらないマイナーな作家たちの、想像力の競演をお楽しみください。

↓前売り券などの情報はこちらから。
http://go-livewire.com/

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 何でこういう企画を思いついたかというと、実は60年代の『SFマガジン』がどんなものだったのか知ってる人って、SFファンの中でも少ないんじゃないかと思ったからです。
 かく言う僕も、初めて読んだのが1972年の4月号。それ以前の号は、友人から借りたり古本屋で見つけたり図書館で読んだりして、全冊読破しました。
 今のSF界で中心になって活躍している作家や評論家の人たちも、たいてい僕と同世代か、僕より年下の人ばかり。60年代どころか、70年代の『SFマガジン』も読んでないんじゃないかと思うのです。

 僕の印象だと、『SFマガジン』がいちばん面白かったのは60年代です。
 理由は簡単。1940~50年代は英米のSFの黄金時代で、その時期に書かれた名作の数々が少し遅れて訳されていた。もちろん60年代の(当時)最新のSFも載っていた。それに加えて、星新一、小松左京、筒井康隆、光瀬龍、眉村卓、半村良、豊田有恒、平井和正といった日本作家の方々も次々にデビューしてきて、傑作をいっぱい発表していた。60年代後半になると、バラードやオールディスなどのニューウェーブも台頭してきた……。
 つまり、ものすごく凝縮されたエキサイティングな10年間だったんです。
 あと、当時のSFは今に比べてプリムティヴな分、とっつきやすいというのもありますね。今のSFと違って専門用語が少ないし、ディテールに凝ったりしてないから、すらすら読める。その素朴な面白さを今のSFファンの方々にも伝えたいと思っています。

 ちなみに、クラーク、アシモフ、ハインライン、ディック、ブラウン、ブラッドベリらに関しては取り上げません。そうした巨匠の作品のほとんどは、後で短編集に再録されているので、今でも読もうと思えば読めますから。
 むしろ復刻の可能性ほとんどゼロの、ダニエル・F・ガロイとかJ・T・マッキントッシュとかワイマン・グインとかキャロル・エムシュウィラーとかアナトリイ・ドニエプロフとかの作品について、熱く語りたいと思っております。他にも、あまりにひどすぎて逆に記憶に残ってしまった怪作もいろいろ(笑)。
 大阪近辺にお住まいで、興味がおありの方、お越しいただければ幸いです。
  
タグ :SFPR


Posted by 山本弘 at 16:45Comments(3)PR