2011年03月17日

大惨事に便乗するクズども・その2

 こうしたヒトの性向の証拠は紀元前にさかのぼることができる。多くの地域の神話に、ヒトが堕落したために神が大洪水を起こして世界を滅ぼしたという話が出てくる。しかし、洪水で死んだヒトの中には罪もない赤ん坊や子供も大勢含まれていたはずであることに、こうした神話は言及しようとしない。ヒトの崇拝する神は無慈悲な大量虐殺者である。そしてヒトは、自らが創造した神の行いを容認し、模倣する。正義と神の名において、爆弾を爆発させ、無実の市民を殺傷する。
――『アイの物語』より

●ケース2 「天罰」という言葉を使うクズ

 石原慎太郎が「天罰」という言葉を使ったことを公式に謝罪した。

http://www.metro.tokyo.jp/GOVERNOR/eq2011_tomin2.htm

 しかし、その文章を読むと、「添える言葉が足らずに、被災者の皆様、国民・都民の皆様を深く傷つけた」とあって、やっぱり根本的に何が悪かったのか分かってない様子だ。
 どんな言葉を添えれば「天罰」という言葉が正しくなるというのだろうか。
 広辞苑ではこう定義されている。

>てんばつ【天罰】
>天のくだす罰。自然に来る悪事のむくい。「――がくだる」

>てんばつてきめん【天罰覿面】
>天罰が即座に下ること。悪事の報いは直ちに我が身にはね返ってくるということ。

 そう、天罰というのは悪事の報い、悪事を働いた者に下されるものなのである。つまり「天罰だ」というのは「被災者は悪事を働いた」と言っていることになるのだ。これは重大な失言、決して言ってはいけないことである。
「いや、被災者ではなく日本人全体のことを言ったのだ」と弁解してもだめである。その日本人の中には、当然、被災者も含まれるのだから。
 今回の災害の犠牲になった人の大半は、善良な人間だったはずである。幼い子供も大勢いただろう。彼らが罰を受けるどんなことをしたというのか。
 石原慎太郎が主張する「日本人の我欲」なるものにしても、たとえあるとしても、それは死に値するような重大な罪なのか。
 それどころか、前にも書いたように、今の日本は世界でも最も犯罪の少ない国のひとつなのである。げんに今も、これだけの大災害だというのに、暴動も略奪もほとんど起きていない。日本人が冷静で秩序を保っていることに、世界が驚いている。

大震災、最悪の状況下でも他人を気遣う日本人のマナーを称賛―米紙
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0314&f=national_0314_043.shtml

生死にかかわる時でさえ集団の利益を優先する日本人=中国
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0316&f=national_0316_078.shtml

大惨事にも「泣きわめかず」…被災民とメディアの冷静沈着を称賛=韓国
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0316&f=national_0316_067.shtml

岩手でシー・シェパードが震災・津波に遭遇…「日本人は親切だった」
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0316&f=national_0316_109.shtml

 お分かりだろうか? 日本人にとっては当たり前のことが、他国の人間からは驚きの目で見られているのだ。日本人のモラルの高さは世界の中でも飛び抜けていることが分かる。
 これのどこを見れば、「日本人のアイデンティティーは我欲」などと言えるのだろうか? 断じて違う。むしろ日本人は世界の人の手本となるべき国民なのである。
 日本人が天罰を受けるわけがない。

 さて、「天罰」と言っている者は石原慎太郎以外にもいる。高橋洋一という、自称「政策研究者」だそうだが、

タイ王国から見た日本・アジア
http://blog.canpan.info/thaikingdom/daily/201103/11
> 私は、今回の地震については「天罰てきめん」としか言いようがない。ニュージーランド地震の折も述べたが、地震等の「天災」には正に「天の御意思」が現れると考える。今回の地震は「津波地震」。タイではリゾート地のプーケットに最初に訪れた私には、同地を壊滅させたインド洋津波は印象深い災害だった。私は敵国・韓国にもうけさせる日本の売国空港政策も批判してきた。津波の濁流にのみ込まれる仙台空港の映像は目に焼きついた。売国空港と批判した茨城空港の天井板が崩れ落ちるショッキングな映像も流れた。いくら赤く汚れた愚かな草取り百姓の日本人でも、少しは「天災」「天の裁き」の恐ろしさが分かったか。今まで分からなかったのだ、また「私のせいじゃない」とか逃げようが、今度こそタダでは済ませない。

 こいつはニュージーランド地震の時も「天罰」と言っていた。長いので引用は控えるが、被災したニュージーランド、およびその隣りのオーストラリアに対する悪口雑言がすさまじい。

http://blog.canpan.info/thaikingdom/archive/208

 他にも、ニュージーランドの地震を「シー・シェパードへの天罰」とか「ざまあ」と言っていた奴はいる。

http://d.hatena.ne.jp/jmwjow38/20110223/1298396044

 日本で地震が起きると、今度はシー・シェパード代表のポール・ワトソンが「地震は天罰」という趣旨の詩をフェイスブックに投稿したという。どっちもどっちだよ、まったく。

http://togetter.com/li/111604

 2008年に四川大地震が起きた時も、「天罰」と言っている日本人はいっぱいいた。

★50万人以上の死者が出ろ!!ゴキブリ中国に天罰!!四川省成都で7・4の大地震!!
http://maglog.jp/nabesho/Article303495.html

・ミャンマーと中国の災害は天罰
http://komachan.naganoblog.jp/e108525.html

今回の中国の地震は天罰みたいなものですか?
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1316494303

【天罰?】中国で大地震!!死者多数【反日、毒ギョーザ】
http://unkar.org/r/occult/1210597235

ハイチもスマトラも四川大震災も全て神仏の裁きです
http://thk95532.progoo.com/bbs/thk95532_topic_pr_4556.html

 以前にも書いたことがあるが、宮崎の口蹄疫問題の時には、『日刊ゲンダイ』が「東国原浮かれ知事に天罰」と報じた。

http://twitpic.com/1osjod
http://www.tokusetsu-news.com/entry.php/715

 ハリケーン「カトリーナ」の時には、オーストリアの神父やアメリカのキリスト教根本主義者の団体が「天罰だ」と発言して批判された。

失言神父の昇進取り消し…カトリーナ天罰発言で
http://www.zakzak.co.jp/top/200903/t2009030416_all.html

「巨大ハリケーンは同性愛者への天罰」とキリスト教根本主義団体
http://tokyo.txt-nifty.com/fukublog/2005/09/post_9bd2.html

 今度の震災でも、韓国のネットでいっせいに「天罰」という声が上がったという。
 こんなニュースもある。(元記事が削除されていたのでコピペにリンクさせてもらう)

http://pub.ne.jp/shinqroom/?entry_id=3537708
> 韓国最大規模の汝矣島(ヨイド)「純福音」キリスト教会のチョ・ヨンギ牧師が日本大地震は「神様の警告」と発言したことが明らかとなり、韓国内では物議をかもしている。複数の韓国メディアがチョ牧師の関連発言や同発言に対する国内の反応を伝えた。
> チョ牧師は12日、インターネット新聞『ニュースミッション』とのインタビューで「信仰的にあまりにも神様を遠ざけている日本国民は偶像崇拝や無神論、物質主義に陥っている。日本震災はこれに対する神様の警告だ」と述べた。
> この発言は14日、韓国のインターネット上で急速に広がっており、ネットユーザーらの叱責(しっせき)をうけている。「現在の日本状況をみながらもこんな発言ができるの?」、「こんな牧師がいるため、教会に行かない」などの非難が集まった。
> また、進歩新党は「チョ牧師は許されるまで無言祈祷でもしなさい」と強く批判した。文化評論家であるチン・ジュングォン氏も自身のツイッターで、チョ牧師は「精神病者だ」と非難。チョ牧師の発言については、「これは宗教ではなく、集団ヒステリーだ」との見方を示した。
> 一方、韓国大統領府のイム・テヒ室長は、一部の宗教人やネットユーザーらが日本震災と関連した不適切な発言などを自制することを要請した。『ニュースミッション』は、チョ牧師とのインタビューで問題になっている部分は削除したが、韓国のネット上で拡散中だ。(編集担当:永井武)

 それにしても、石原氏や高橋氏のような嫌韓日本人の言ってることが、嫌日韓国人の言っていることと同じだというのが情けない。立場が正反対のようでいて、実は頭の中が同じ、ということなのか。
 どの国の奴にしても共通して言えることは、彼らは被災地の国民を憎み、災厄を待望していたということだ。それで災害が起きたとたん、「天が私の考えの正しさを証明した!」とはしゃいでしまったのだろう。
 石原氏にしてもそう。以前に紹介した『週刊ポスト』の記事の中で、こんなことを言っている。

> これは平和の毒です。あまりにも長く緊張のない時代が続いたために、国家としての我欲が張り、社会が堕落してしまったのである。戦後65年も安穏と過ごせた国など他にない。(後略)

 そう、石原氏は明らかに、「平和」で「長く緊張のない時代」を嫌悪していた。日本の平和がぶっ壊れることを心の底で望んでいたのだと思う。だから思わず「天罰」なんて言葉が飛び出したのだろう。
 要するに、日本であろうとどの国だろうと、大災害が起きた時に「天罰」と言い出す奴は必ずいる、ということなのである。

 しかし。

 どの国でも、そうした発言を非難する者が大多数だ、というのも事実なのである。
 チョ牧師が韓国国内でも非難が集中していることは上の記事でも分かる。シー・シェパードのポール・ワトソンもボロクソに叩かれている。前回の記事の追記で紹介したアメリカのバカ女も同様。もちろん日本の石原慎太郎もである。
 韓国の『中央日報』と『ソウル新聞』は、震災のニュースで見出しに「日本沈没」とつけたが、それに対して韓国内でも非難の声が上がっているという。

大韓民国,メディアが東日本大地震をパニックムービー,,,,,,と関連付け報道
http://shochusakejapan.seesaa.net/article/190395458.html

「日本沈没」と報じた韓国メディアに非難殺到、「なんという見出し…気は確かか?」
http://blog.goo.ne.jp/f45362/e/bdbeaf3fcf9c021e855d9d865ea5c799

 中国人も同様である。

「日本の大震災を喜ぶ中国人」いたが少数、大半は「日本に支援すべき」―米華字メディア
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=49976
>中国国民は教育の影響で他国を恨む気持ちが強く、思いやる気持ちは非常に少ないと思われている。実際、米国の同時多発テロの時でも、今回の日本の震災でも喜びの声を上げる輩は存在した。だが、津波に家や車が流される様子や建物の屋上で救援を待つ被災者の姿などに多くの中国人の心が動かされた。そして、日本や日本国民のために心からの祈りを捧げたのである。
>中国メディアの調査でも、12日午前9時50分(現地時間)までに80%を超えるネットユーザーが「日本に人道支援を行うべきだ」と回答。その理由は「日本人もかつて助けてくれたから」が21%、「両国の間には歴史問題や現実の様々な問題が存在するが、支援の手を差し伸べるべき」が59.4%を占めた。(翻訳・編集/NN)

「韓国人や中国人はみんな日本人が嫌いなんだ」という偏見を持っている者には信じられない報道だろう(実際、「信用できない」と言っているネトウヨもいる)。
 まだ証拠が足りないというのなら、こういう報道はどうだろう。

「日本を助けよう」韓国で日本への募金活動が活発化―韓国
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0316&f=national_0316_036.shtml
> 韓国共同募金会は13日、同会からの1次緊急救護支援金として、日本へ約6億ウォン(約4278万円)の支援を行った。寄せられた募金の全額を日本共同募金会と被害地域に送り、現地の復旧を支援する。
> また、同会は、14日からは個人を対象とした募金を本格的に開始。2日間で4万8千761件、総額2億3977万ウォン(約1710万円)の募金が集まったと16日、明らかにした。
> 一方、韓国の国営放送KBSは大韓赤十字社と15日、大地震の被災者を支援するための募金活動をソウルKBS本社と全国のKBS局で行った。この様子は生中継で放送され、募金総額は48億ウォン(約3億円)となっている。
> このほかにも、各メディアやポータルサイト上でもさまざまな募金活動が行われており、街頭では記録的な行列を作った募金も見られた。日本の地震被災者に対する韓国民の善意は、広がりを見せていると伝えている。(編集担当:李信恵・山口幸治)

 韓国人でさえこうなのである。いざとなったら日本人を救うために募金をする者が大勢現われるのだ。
 これが人間の本性だ。
 確かに災害を喜ぶ人間のクズは、日本にも中国にも韓国にも大勢いる。おそらく何千、何万という単位で。
 だが、どの国でも彼らは少数派だ。ネット上でこそこそ発言しているうちはいいが、公の場で「地震は天罰だ」とか言ったら、たちまち集中砲火を浴びる。
 人類の大多数は、人間らしい良心を持ち、健全なのである。
 これは大きな希望ではないだろうか?
  


Posted by 山本弘 at 17:22Comments(51)社会問題