2010年05月28日

『MM9』ドラマ放映決定!

 もうご存知の方も多いでしょうが、『MM9』の実写ドラマ版の放映が決定し、先日、情報が解禁になりました。

公式HP
http://www.mmmmmmmmm.jp/

MBS公式HP
http://www.mbs.jp/mm9/

 今のところMBSのみ、関西ローカルなんですが、評判がよければ他の地域でも放映されると思います。
 最初にお断りしておきますが――
 ヒメは出ません!(笑)
 最初は出す案もあったんだけど、結局はポシャっちゃいました。やっぱ実写では無理みたいです。ま、しょうがないですけど。
 だもんで、設定とキャラクターは原作にほぼ準拠していますが、ストーリーはオリジナルです。

 今年の1月には撮影現場も見てきました。千代田区の無人になった古い庁舎の一室を改造して、気特対本部を作ってるんですが、細かいところまで凝っていて感心しました。

 ビルの前には「象」と書かれた車が停まっていました。これは撮影用車両。気特対機動班の車という設定で、中にはパソコンやら観測機材やらがぎっしり詰まっています。
 本当は「気象庁」と書いてあるんですが、本物の気象庁の車と間違えられるといけないというので、普段は「気」と「庁」にシールを貼って隠してるんだそうです。
 

 気特対本部のセットはこんな感じ。
 僕のイメージではもっと近代的な設備だったんだけど、ドラマ版では何十年も使われてきて老朽化している設定です。写真には写ってませんが、入り口の「気象庁特異生物対策部」の看板がものすごく古ぼけているように作ってあって、いい感じです。
 本物の気象庁の施設はもっと新しいのですが、こういう使いこんだ雰囲気もリアリティがあっていいですね。

 これもリアリティがあって気に入った箇所。気特対本部の一角、べたべた貼られたお札と、「気象庁」と書かれたダルマ。怪獣災害が防げますようにという祈願の意味があるようです。お札は本物ではなく、美術部の人が作ったらしいです。
 このダルマはどういう目標を達成すれば目が入るんですかね。

 久里浜部長の部屋の本棚に置いてある本。読みてえ!(笑)
 他にも、パソコンのモニターとか書類ファイルとか、「こんなところまで写らないだろ」と思えるところまで、きっちり作ってあります。

 これも画面に写るかな? 廊下に貼ってあったポスターです。
 本物の気象庁の協力が得られなかったので、こうしたポスターもみんな美術部の人が作ったんだそうです。

 部屋の上の方の壁には、終戦直後から現代までに、この世界の日本に出現した歴代の怪獣の名前が貼ってあります(写りが悪くてすみません)。1966年は怪獣の当たり年だったそうで、この年だけやたらに多いです。札の大きさの違いはMMの等級を表わしてるのかな? 
 じっくり見ると、いろんなお遊びが隠れてます。たとえば1954年に出現した「ザギラ」という怪獣ですが、84年に「ザギラ二世」というのが出て、その後に「コスモザギラ」というのも出てるんですね。他にも77年には「プレシオドン」「ラムホー」という怪獣が出現したそうです。何人が分かるんだ、そんなネタ。


 俳優さんたちとのスナップも撮りました。特に藤澤さくら役の石橋杏奈さんがめちゃくちゃかわいい!
 原作ではあまり美人じゃないように書いちゃってすみません。この子のために毎週観ようと思います。
  
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Posted by 山本弘 at 17:47Comments(20)PR

2010年05月28日

NHKが「オトコの娘」特集!

 録画しておいた今週の『MAG・ネット』をようやく観たのである。
 なんと今週は「オトコの娘」特集! 何ですとぉ!?

http://www.nhk.or.jp/magnet/program.html

 いや、さすがにビックリしたわ。NHKで特集組むとはな。
 しかもこれが濃い!

 冒頭の小野大輔の台詞からして、

「MAG・ネット開園だよ。わぁい」

 うわあああ、これはごくごく一部の人にしか通じねえ!(笑)分からない人は「開園だよ わぁい」で検索してみてほしい。

 まず紹介されるのは『バカテス』の秀吉。ちゃんとあのプールと銭湯の回でした。

 トークのコーナーでは、桃井はるこが『はいからさんが通る!』の蘭丸にまでさかのぼるかと思えば、吉本たいまつ(オタク文化史研究者)が『ブロッケン・ブラッド』や『プラナス・ガール』などの女装男子が出てくるマンガを紹介したり、福田淳(読売新聞記者)が『はぴねす!』の渡良瀬準にゃんの魅力について熱く語ったり……視聴者の大半は早くもここらへんで脱落するんじゃないかと心配になるんですが(笑)。

 他にも、準にゃんを筆頭に、『乙女はお姉さまに恋してる』の宮小路瑞穂、綾崎ハーマイオニー、『恋する乙女と守護の盾』の山田妙子、『もやしもん』の結城蛍が次々に紹介される。
 えーと、『おとボク』と『恋盾』って、元は18禁ゲームなんじゃ? いいのかNHK。

 今年創刊された日本初の(そりゃそうだろ)オトコの娘専門マガジン『わぁい!』の紹介。
 編集者は『オンナノコになりたい!』や『女装少年コレクション』を出した人。オトコの娘専門誌を出すのは10年越しの念願だったとか。
 番組中では言ってなかったけど、この創刊号には付録で「ブルマ風のなにか」が付いてるんだそうだ……ブルマじゃないから恥ずかしくないもん?

http://blog.livedoor.jp/geek/archives/51017202.html

 いよいよ本物の女装男子登場。ニコ動で女装で生放送をしているノトフさん。
 感想?
 うん、やっぱりオトコの娘は2次元の方がいいよね(笑)。

 しかし、番組スタッフの暴走はまだ止まらない。次は「オトコの娘になろう!講座」。番組のADに化粧&女装させてしまうのだ。
 しかも、それを撮っているスタッフもみんな女装! すごい光景である。「これはひどい」と冷静にナレーションする小野大輔。やっぱり「お前だけに恥ずかしい想いはさせない。俺たちもみんなやるから!」とか言って口説き落としたんですかね。
 繰り返しますけど、NHKですからね、この番組。

 いったん特集を離れ、ニュースのコーナーで紹介されたのは、「ネットで有名な警察官」関根秀樹さん。ブラジリアン柔術の世界大会で優勝した人で、ものすごいマッチョな肉体で話題になったのだが、ここで入る小野大輔のナレーションが、「あんかけチャーハン」「歪みねぇな」。
 いやだから、一部の人しか分かんないって!

 茨城県下妻市のHPのイメージキャラクター、シモンちゃん。
 蝶(オオムラサキ)をモチーフにしてるんだけど、背中から生えた羽根の模様がオスのオオムラサキだというので、ネットでは「シモンちゃんオトコの娘疑惑」がささやかれているとか。市では「性別については特に決まっていません」と説明している。
 いや、こんなにかわいい子が女の子のはずがないと思います(笑)。

http://www.city.shimotsuma.lg.jp/shimon_chan/index.html

 最後は「両声類」の人たちを紹介。
 両声類とは、男なのに男と女の両方の声を出せる人のことである。たとえば番組に出演した「りゃく」さんの歌はこんな感じ。

 1人2役でデュエットしたり、「えーりん」が途中で男声から女声にスムーズに移行したり、いろいろとすごすぎ。
 他にも、赤羽のGさん、アルティメット・ハイさん、百花繚乱さんら、ニコニコ動画で活躍している女声の歌い手が登場。みなさん、特殊な発声法を練習で身につけたそうな。言われなきゃ男だとは気がつかない。

 番組中でも言っていたけど、オトコの娘という趣味は同性愛とはまた違うのである。僕もオトコの娘は好きだけど、3次元で抱き締めたいとは思わない。オトコの娘に求めているのは、「本物の女の子以上の女の子らしさ」だ。
 女装の人や両声類の人たちにしてもそうで、むしろ女の子が好きで、イメージの中で理想の女の子を追求した末に、「自分で演じる」という境地に到達したんじゃないかと思える。脳内の女の子を実体化する手段が、女装であり女声なんじゃないかと。

 ちなみにオトコの娘マガジン『わぁい!』は初版5万部をほぼ完売して、現在、増刷中だとか。いよいよ時代が来たなー。
 思えば『サーラ』は早すぎたね(笑)。(オトコの娘とヤンデレのカップルだもんな)

【追記】
 見そこねた人には、BShiで再放送があります。

 5月28日(金)24:20~
 6月2日(水)17:00~
  


Posted by 山本弘 at 14:36Comments(0)サブカル

2010年05月20日

これは天罰ではない!

 口蹄疫報道に関して、本当に政府によるマスコミへの情報規制の指示なんてもんがあったのかと、まだ疑っておられる方がおられるようだが……。
 赤松農林水産大臣自身が、さらっと認めちゃいました!(笑)


(2:28あたり)

赤松「あとは風評被害も大変心配してましたので、マスコミのみなさん方にもそれをお願いして、これについてはかつてのBSE(狂牛病)と比べていただければ分かりますが、非常に冷静に見ていただいておりまして、これはうまくいったと思うんですけども」

 やっぱりあんたが指示してたんかい!
 ちなみに、被害が激増していた時期に、10日も日本を離れ、メキシコ、キューバ、コロンビアに出かけていた件については、何ら緊急性はなかったことも判明。



 おそらく、ようやく会見の予定を取り付けたのに、こちらの事情でキャンセルしたら、カストロ氏の機嫌を損ねるかも……とか思っちゃったんだろうな。

 ようやくテレビでも新聞でも大きく報じはじめて、マスコミは正常化に近づいたか……と思ったんだけど、そうではないみたい。



 これはひどい偏向報道。予備知識なしにこのニュースを見た視聴者は、「国は対策をきちんとやってきた」「東国原知事は怒りっぽい奴」という印象を受けたに違いない。
 実際はどうだったかは、この前後のシーンを見れば分かる。連日、口蹄疫対策でへとへとになっているところに、南日本新聞の記者にあまりにもバカな質問をされたもんでキレちゃったのである。



 いやー、これは怒るわ。「検討しております」「まだ決断はしておりません」と現状を正直に述べているだけなのに、ぐだぐだとからんでこられたら、そりゃカチンとくるわ。
 そのうえ、怒っているシーンだけを編集して印象操作するんだからなー。

 どうも一部マスコミが、東国原バッシングをはじめているようなのだ。
 特にひどいと思ったのが、日刊ゲンダイの記事(知り合いがスキャンしたもの)。

口蹄疫大被害と疫病神知事
東国原浮かれ知事に天罰


 どこまで調子がいい男なんだ。これまで散々、民主党を批判してきた宮崎県の東国原知事が、「口蹄疫」の被害に見舞われ、鳩山政権に泣きついている。
 宮崎県を訪ねた平野官房長官に「関係者の無念は尋常じゃない」と訴え、鳩山首相あてに具体的な要望項目をズラズラと並べた「要望書」を手渡した。さすがに、宮崎牛のブランドを支える「種牛」49頭が殺処分されることになり、真っ青になっているらしい。
 残る種牛は、避難させているエース級の6頭だけ。もし、6頭が感染したら宮崎の畜産は終わりだ。
 鳩山首相は、予備費から1000億円規模を拠出することを決めた。
 しかし、家畜の伝染病対策は法律上、県の責任だ。エラソーに「地方分権」を言ってきたのだから、すぐに国に泣きつかず、自分で解決したらどうなんだ。
「そもそも、ここまで被害が広がった責任の一端は、知事にあります。公式には、最初の感染牛は4月20日に確認されたことに なっているが、すでに4月9日の時点で口蹄疫と疑われる牛が見つかり、獣医が家畜保健衛生所に鑑定を依頼していた。4月9日に対策を取っていたら、ここまで被害は広がらなかったはずです」(県政関係者)
 テレビ出演にうつつを抜かし、片手間で県政をやってきた東国原知事には「いつか重大なミスを犯すのではないか」と危惧する声が強かったが、とうとう宮崎県が破滅に向かいかねない事態が勃発である。
 県民からは「チャラチャラ浮かれてきた知事への天罰だ」なんて声も上がっている。


 地震や洪水などの災害が起きると、すぐに「天罰」という言葉を口にする奴が、どこの国にもいる。
 ハリケーン「カトリーナ」の時もいた。

http://tokyo.txt-nifty.com/fukublog/2005/09/post_9bd2.html
http://www.zakzak.co.jp/top/200903/t2009030416_all.html

 中国の四川大地震の時もうじゃうじゃいた。

http://komachan.naganoblog.jp/e108525.html
http://maglog.jp/nabesho/Article303495.html
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1316494303
http://warasoku.blog18.fc2.com/blog-entry-394.html

 新潟地震の時も。

http://warasoku.blog18.fc2.com/blog-entry-394.html
http://blog.goo.ne.jp/yoonjoon/e/70646bca675d3316598d6f1ce12f5078

 ハイチ地震の時も。

http://thk95532.progoo.com/bbs/thk95532_topic_pr_4556.html
http://www.unkar.org/read/tsushima.2ch.net/news/1263452494

 僕はこういうことを言う奴すべてを憎む。
 地震や洪水で死んだり家を失った人のほとんどは、まっとうに暮らしてきた一般市民である。
 口蹄疫で最も苦しんでいるのは、地道に牛やブタを育ててきた畜産農家の方々である。
 彼らが神に罰せられるようなどんな罪を犯したというのか。
 災害や疫病に「天罰」という言葉を安易に持ち出すのは、苦しんでいる無辜の人々を鞭打つ卑劣な行為であることを自覚してほしいものである。
  
タグ :口蹄疫


Posted by 山本弘 at 17:55Comments(15)事件

2010年05月18日

作品の枠を超えたキャラクター対比図

 先日見つけた、こんな対比図。

「まなびストレート」のキャラを他のアニメキャラと比較してみよう
http://nuruwota.blog4.fc2.com/blog-entry-1160.html






 いや、分かってはいたけどね。でも、こうして見せつけられると衝撃的。みくると学美、同じ身長だったのか!?(笑)
 この番組、第1話見た時、てっきりみんな小学生だと思ってたんだよね。第2話で「2年生」という台詞が出てきたんで、「中学生か。それにしちゃ幼いな」と思ったんだけど、高校生だと知った時にはショックでしたわ。
 ちなみに、『まなびストレート!』最終話で、学美たちは2037年に高校を卒業。その1年5ヶ月後(2038年8月)に母校に戻ってきて、夜中の学校でスプレーを使って遊び回る。OP映像はそのシーンだったことが明らかになる。
 設定では、衛藤芽生は2018年5月9日生まれだから、この時点で20歳。他の4人も19歳である。
 これが何を意味するかというと――

 OPバージョンの5人でエロパロ作っても、「非実在青少年」とはみなされない!(笑)

 あ、番組自体は大好きでしたよ。このOPも好きだったなあ。
  


Posted by 山本弘 at 11:17Comments(0)アニメ

2010年05月17日

ゴジラ対巨大裸女

 すごく面白い本を読んだのでご紹介。

編:木原浩勝、清水俊文、中村哲
『ゴジラ 東宝特撮未発表資料アーカイヴ』
角川書店


 これまで東宝で企画された『ゴジラ』シリーズなどの特撮映画の資料から、幻に終わった作品のプロットやシナリオ、企画段階のシナリオなどを発掘した本。僕もけっこう特撮マニアだと思っていたが、その僕でも知らない話が山ほど出てきて、大変に興味深かった。

 たとえば、70年代末、一度ゴジラを復活させようとして、SF作家にプロットが発注されたことがあった。眉村卓、光瀬龍、荒巻義雄の3氏である。
 読んでみると、3氏とも、ゴジラを超古代文明にからめ、宇宙人によって創造された人工生物、驕り高ぶった人類に鉄槌を下す黙示録的存在として描いている。やっぱり「自然界にあんな生物がいるわけがない」というSF作家のこだわりなのだろうか。どうでもいいけど、光瀬さんのはスケールでかすぎて映像化できそうにありません(笑)。『百億の昼』ですか!?
 考えてみれば、怪獣を超古代文明の生み出した存在としてSF的な理屈をつけるという手法は、ずっと後に平成『ガメラ』で実現したわけだけどね。
 特に荒巻氏はプロットだけでなく、『スーパーゴジラ ―神々の怒れる使者―』という中篇小説(当然、未発表)まで書いていた。面白いのは、この中に、ゴジラが核エネルギーで生きている生物で、原子力発電所を襲って放射能を吸収するという設定が出てくること。84年版『ゴジラ』の設定は荒巻案が元になっているのか?

 気になったのは、斯波一絵『二匹のゴジラ ―日本SOS!!―』。
 斯波一絵氏は『ゴジラの息子』(67年)の脚本に関沢新一氏と並んでクレジットされている人。このシナリオはゴジラが親子で出てくるうえ、南海の孤島で行なわれている気象コントロール実験など、『ゴジラの息子』と共通点が多い。
 本書の中では、このシナリオは『ビオランテ』と同時期、80年代に書かれたことになっているのだが、これはおかしいんじゃないだろうか。だって、ゴジラを攻撃する戦闘機がF-104だし、パーティのシーンで出てくる仮装が「オバQ、ロボタン、オソ松クン、ウルトラマン、そしてウルトラQの珍獣怪獣」で、それがジェンカを踊りながら出てくるのだ!
 これは80年代に書かれたものではありえない。『ウルトラマン』の放映開始が1966年、坂本九の「ジェンカ」がヒットしたのも同じ年だから、どう見てもその頃だ。
 つまりこのプロットは『ゴジラの息子』の原型で、これを元に関沢氏が『ゴジラの息子』の脚本を書いたのではないか? 解説を書いている木原浩勝氏が、その可能性にまったく気がついていないのが奇妙だ。

 関沢新一、和田嘉訓の『空飛ぶ戦艦』は、極秘裏に建造されていた空飛ぶ戦艦が世界征服を企む秘密結社の陰謀に立ち向かうという話。のちの『海底軍艦』の原型であると同時に、関沢新一監督の『空飛ぶ円盤恐怖の襲撃』とも類似点がある。『空飛ぶ円盤恐怖の襲撃』と『海底軍艦』をつなぐミッシングリンクである。
『海底軍艦』が押川春浪原作だというのは、『原子怪獣現る』の原作がブラッドベリだというのと同じで、企画が進んだ段階で後からつけ加えられたのだろうな。道理で原作と似ても似つかないわけだ。

 他にも、ストーリーコンテストで佳作になった木暮俊(小林晋一郎)『ゴジラ対ビオランテ』(完成稿にはない第3の怪獣デューテリオスが登場する)や、『ウォー・ゲーム』や『スーパーマン3 電子の要塞』をヒントにしたらしい関沢新一『ゴジラ伝説 アスカの要塞』、『ガス人間第一号』の続編の関沢新一『フランケンシュタイン対ガス人間』、『フランケンシュタイン対地底怪獣』の原型である木村武『フランケンシュタイン対ゴジラ』など、興味深い作品が目白押し。「これはぜひ見たかった!」というものから「これはやらなくて正解だった」(笑)というものまでいろいろ。

 しかし、何と言っても本書の最大の目玉は、海上日出男『ゴジラの花嫁?』だ。昭和30年(1955年)6月に書かれたシナリオである。
 作者の海上日出男氏は、『美女と液体人間』の原作で知られる。本職の脚本家ではなく、東宝の大部屋俳優だった。この『ゴジラの花嫁?』のシナリオを書いた3年後、『美女と液体人間』の製作が決定した日に亡くなっている。
 1955年というのは、『ゴジラの逆襲』が公開された年。このシナリオはその続編ということになっており、アンギラスも登場する。他にも、地底の大空洞に怪生物が棲息するロストワールドが存在するという設定になっており、人魚の夫婦、始祖鳥、大蛸、人間の血をすう巨大ノミなどが登場する賑やかな話になっている。
 物語は、マッドサイエンティストの志田善二が、再度のゴジラの襲撃に対抗するため、「ゴジラの花嫁」という巨大ロボットを作るというものである。
 思い出していただきたい。1955年である。この時代に巨大ロボットvs巨大怪獣という図式なんて映像作品には存在しなかった。水木しげるの『怪獣ラバン』でさえ1958年である。いかに先進的なアイデアであるかご理解いただけるだろうか。
 だが、この作品は時代のさらに先を行っていた。
 普通、ゴジラに対抗するロボットといえば、メカゴジラのようなデザインを想像する。ところが志田の作る人工人間「ゴジラの花嫁」は、ゴジラと同じサイズで人間の女性型。志田が元恋人の里子そっくりの姿に作ったもので、しかも裸! 志田はこの「ゴジラの花嫁」をゴジラと結婚させようと計画していた。何でやねん!?
 他にも志田は、三尺近い顔だけの電子頭脳「イヴ」や、やはり里子そっくりの等身大のアンドロイドまで作っている。よほど里子に執着があるらしい。
 志田の兄、炭坑王の善一の資金援助もあり、「花嫁」は完成した。クライマックスはいよいよゴジラと巨大ロボット「花嫁」の死闘である。
 画面を想像しながらお読みいただきたい。昭和30年代の街並みに立つゴジラとアンギラス。それに対峙する巨大裸女!


○アンギラス、隙を見て、花嫁にがばっと組みつく。花嫁、アンギラスを押へて、四つに組んだと思ったら、見事な、ハンマー投げ、一本「ヤーッ!!」怒ったアンギラス、起き直るや否や、花嫁の太股を、がぶっと噛みつく。
○花嫁、微笑のまゝ、アンギラスの口を、両手でぐいゝ拡げて、あゝ、なんと云ふ力の強さか、アンギラスの喉元まで引き裂いてしまふのです。たらゝと血を流し悲鳴を上げて、死ぬアンギラス。
○ゴジラ、目を白黒して、両手を引裂く真似をして、やをら怒り出す。そして、かーっと放射火焔を吐く。
○花嫁の全身は火焔に包まれる。が相変わらず微笑をたゝへるのみ。
○ゴジラ、首を傾げる。
○花嫁「カーッ!!」と、青色の放射能を吹きかける。
○ゴジラ、蛙の面に何んとやら平然としてゐたが、自分も亦、「カーッ!!」すると、両者の放射能が重なり合って、七色の花火が散るやうに、七色の光りに飛散して酔うやうです。
○ゴジラと花嫁の両者は、組み打ちになります。物凄いレスリングです。上になり下になり、いゝ勝負です。
(中略)
○ゴジラ対花嫁、向い合ったまゝ。
○ゴジラ、傍らのビルを半分もぎ取って花嫁に投げつける。
○花嫁も傍らのビルや電信塔を、文字通りちぎっては投げて應戦する。あっ!花嫁攻撃に出ました。ゴジラの尻尾を両手でつかんで、ぶんゝと振り廻す。
○振り回されたゴジラ、奇声を発して驚く。
○尚も、夢中で振り廻してゐた花嫁、こゝぞと大地へ叩きつける。そのあおりで周辺のビルや家々は目茶々々となって崩れ落ちます。


 強い! 強いよ、ゴジラの花嫁!
『MM9』より半世紀も前にこんな話を考えていた人がいたと知っただけでも、「4200円の元は取った!」と思ったもんである。
 しかもこの後、ゴジラはすっかり花嫁になついてしまい、猫のようにごろごろと喉を鳴らしたりする。仲良くなった二人(?)は手に手を取って海に入ってゆき、地底のロストワールドで新婚旅行としゃれこむ。
 地底の温泉で戯れる二人。ゴジラと巨大女のラブシーン! このへんは「うふふ、つかまえてごらんなさーい」という感じの絵が頭に浮かぶ。マンガだったら、背景に点描が飛ぶぞ。
 よくぞここまでブッ飛んだ話を書けたもんである。

 しかもこのシナリオ、これまで忘れられていたわけではないのだ。田中友幸プロデューサーが大事にしまいこんでいて、1984年、ゴジラを復活させるプロジェクトが始動した際、この『ゴジラの花嫁?』を叩き台にして、何本ものプロットやシナリオを書かせているのである。それらの準備稿も本書に収録されていて、その変遷がよく分かる。
 まず、真っ先に削られたのが、巨大な裸の美女ロボットという設定。そりゃそうだわなあ(笑)。『ゴジラの花嫁?』というタイトルから連想して、雌のゴジラを出すという案もあったが、これもボツに。
 人魚の出てくるシナリオも書かれたが、これもボツ。地底のロストワールドという設定に田中プロデューサーは執心していたようだが、これも最終的にはボツになった。
 では何が生き残ったかというと……。
 巨大なノミ!
『ゴジラの花嫁?』では、ゴジラの体に寄生している巨大ノミが、人間を襲って血を吸うという設定だった。そのノミからダニに変わり、最終的にフナムシになって84年版『ゴジラ』に登場したのである。
 ショッキラスのルーツがこんなところに!?
 つーか、何でそんなしょーもない設定だけが生き残るんだよ!?

 いや、もしかしたら影響はそれだけではないのかもしれない。
 たとえば、志田が人工人間・里子の胸を開いて故障を直すシーンがある。『メカゴジラの逆襲』(75年)の真船桂を連想させるが、もちろんこっちの方が20年も早いのだ。いや、メカゴジラという設定自体、『ゴジラの花嫁?』がヒントである可能性があるのでは?
 また、炭坑から出現して人間を襲う巨大昆虫や、落盤によって炭坑の奥に穴が開き、鉱山技師がそこから地底世界に入りこむくだりは、翌年の『ラドン』のメガヌロンのくだりのルーツではないのか?
 あと、地底世界を照らしている光源が、天然の原子炉だという設定もすごい。この時代には夢物語だったが、その後、1972年に、ガボンのオクロ鉱床で、20億年前の天然原子炉が見つかっている。
 もしかして、すごく時代を進みすぎてたんじゃないのか、海上日出男?

 情報量が多く、資料性が豊か。東宝特撮マニアなら絶対に買って損はない1冊と保証する。話によると、まだまだ幻のシナリオはいっぱいあるそうで、本書が売れたら2冊目も出るらしい。

  
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Posted by 山本弘 at 17:52Comments(5)特撮

2010年05月17日

口蹄疫報道あれこれ

 数日前からようやくテレビでも取り上げるようになってきたけど、さて、各局は具体的にどんな報道をしていたか?
 百聞は一見にしかず。実物を見てみよう。こういう時にニコ動は便利ですな。
 削除される可能性が高いので、視聴はお早めに。

●フジテレビ『スーパーニュース』5月14日
http://www.nicovideo.jp/watch/sm10716265
 5月14日にもなって「緊急取材」と称する厚顔無恥ぶり。そんなもんは「緊急」でも何でもありません。
 レポーターの
この(現地の)不安の声というのがなぜここまで我々に届かなかったのかな
 という他人事みたいな発言(10:40あたり)には、「お前らのせいだろ!」というツッコミが多数(笑)。そう、現地の声を全国に届けることがマスコミの役目のはず。
 いちおう赤松大臣批判は出てくるものの、最後はコメンテーターが「これは政争の具にはしてほしくない」と擁護する発言。ほー、政府の責任を追及しちゃいかんと?
 でも、フジテレビはまだましな部類で……。

●TBS『サンデーモーニング』5月16日
http://www.nicovideo.jp/watch/sm10736625
 スタジオのコメンテーター全員、赤松大臣の「あ」の字すら口に出さない不自然さ。政府の責任を追及せずに、地球環境の問題とかに話をすり替える。

●NHK『NHKニュース7』5月16日
http://www.nicovideo.jp/watch/sm10742018
 やっぱり政府の責任についての言及はまったくなし。「当面の影響は小さい」と強調しておきながら「畜産への影響は大きい」って? このニュース原稿書いた人、何かおかしいって思わなかったの?
 平野官房長官の
この問題は水際で拡大させないということがいちばん大事ですから
 という発言にも噴いた。とっくに水際超えてるって! もう8万頭も処分対象になってるんだって!

●テレビ朝日『スーパーモーニング』5月17日
http://www.nicovideo.jp/watch/sm10749006
 にやにや笑いながら「結局みんな人間のご都合なんだろうね」などと語るコメンテーターが不快。
 やっぱり政府批判はやらない。

 こうして並べると、やっぱり「あまり政府を批判しないように」という指示が出てるとしか思えないんだけどねえ……。
 ちなみに、新聞・テレビだけじゃなく週刊誌も、この問題をほとんど取り上げていません。

 ついでに、こういうのも見ておいた方がいい。5月11日の国会答弁。

2010/5/11衆院農林水産委・江藤拓(自由民主党)口蹄疫災害について
http://www.nicovideo.jp/watch/sm10686926

 ほんと、キューバやコロンビアに何しに行ってたんですかねえ、赤松さん……。

【5月18日9時追記】
 5月17日、政府が(ようやく!)「口蹄疫対策本部」を設置。今朝(18日)の産経新聞はそれを一面で報じました。

 また、3面には赤松大臣を強く批判する記事も載りました。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100517/plc1005172301023-n1.htm

> 首相は今回、赤松広隆農水相がトップの同省対策本部では対応できない事態と判断し、自ら指揮を執る選択をした。背景には、被害拡大の中、現地からの悲鳴をよそに外遊や政治活動を優先した赤松氏への批判の高まりもあるとみられる。

> 赤松氏は4月20日に感染が確認されていたにもかかわらず、30日から9日間、中南米を訪問した。この間、殺処分対象の牛と豚は4369頭から一気に14倍以上の6万2426頭に跳ね上がった。しかし、5月8日に帰国した赤松氏が真っ先に向かったのは栃木県。民主党衆院議員の後援会会合出席のためだった。

> 赤松氏がやっと宮崎県を訪れたのは10日になってから。鳩山首相は「必要以上にさまざまな風評が立つと、農家の方が困る」と、対応の遅れを釈明したが、すでに感染は拡大しており、風評被害を気にする段階は過ぎていた。赤松氏は17日昼、首相との会談後も記者団に「対応が遅れたとは思っていない」と自己正当化を試みた。

 ようやくマスコミがまともな情報を流しはじめたな、という印象です。まあ、ネットでこれだけ騒がれちゃったらねえ……。
  
タグ :口蹄疫


Posted by 山本弘 at 17:16Comments(2)事件

2010年05月12日

『非実在青少年反対読本』(仮)

 このたび、こんな本に原稿書きました。

『非実在青少年反対読本』(仮)
http://hijitsuzai.web.fc2.com/

 このブログに載せた文章に、大幅に加筆修正しています。
 5月28日発売だそうです。
(【5月18日追記】最終的に『非実在青少年〈規制反対〉読本』という題になりました)


 ちなみに、徳間から出る予定の似たようなタイトルの本にもアンケートで参加してます。こっちは5月31日発売予定。

  


Posted by 山本弘 at 16:33Comments(2)PR

2010年05月11日

SFみたいな事件が進行中

 SFもののドラマやマンガやアニメでよくあるのが、モンスターやゾンビが暴れてたり、怪現象が続発しているにもかかわらず、政府が報道を規制し、マスコミも何も報じないため、一般市民の大多数が真相を知らない……という設定。せっかく記者が特ダネをつかんできても、デスクが「上から圧力がかかった」とか言って、闇に葬ってしまうのである。
 僕はかねがね、この設定に疑問を感じていた。いくら政府が「この件は報道するな」と命じたって、すべてのマスコミがそれに従うものだろうか。中には政府に批判的な新聞もあるだろうから、絶対にどこかが報じるんじゃないか、と。

 ところが。

 それが現実に起きていることが明らかになった。

 今、宮崎県で口蹄疫が猛威をふるっている。偶蹄類(牛、水牛、山羊、羊、鹿、ブタ、イノシシなど)にしか感染しない伝染病で、人間には無害(ごくまれに感染することがあるが、家畜の場合ほど重い症状は出ず、死亡例もない)であるものの、感染力が強いため、1匹でも感染した家畜が見つかったら、周囲の牛やブタもすべて殺処分しなければならない。また、感染を拡大しないよう、周辺地域の移動は制限しなくてはならない。
 過去にも何度か日本で口蹄疫が発生したことはあるが、どれも殺処分された家畜の数は数百匹レベルだった。ところが、今回の宮崎県での口蹄疫では、すでに6万2000匹の家畜(うち5万匹以上がブタ)が殺処分されている。
 6万2000匹と数字だけ書いてもピンとこないかもしれない。仮に1匹のブタや牛を地面に横たえると平均1平方m(仔牛や仔ブタも多いだろうから)が覆われるとすると、約6万2000平方メートル。東京ドームの面積が4万6755平方メートルだから、殺処分された家畜の死体を地面に並べると、すでに東京ドームを上回る面積になっているのだ。
 現地では死体を埋める作業が追いつかず、大変なことになっているらしい。
 大事件である。

 中でも批判されるべきは、赤松農林水産大臣の無責任ぶりだ。宮崎県で非常事態が進行中、日本の畜産業の危機だというのに、この人、4月28日から中米に外遊に行ってしまったのである!
 5月8日にようやく帰国したものの、真っ先に駆けつけたのが、宮崎ではなく、栃木県佐野市で開かれた民主党議員の講演会発足式!
 5月10日(発生から3週間目)になってようやく宮崎を訪れたものの、現場には出向かない!
 そのくせ「一部報道では対応が遅いと言われているが心外だ。できることはすべてやっている」と発言。
 そのうえ「自民党議員の同席は認めたが、発言は許してない!」ときたもんだ。

 なんかこれに似た小説があったな……と思ってたら、ついさっき、思い出した。マレイ・ラインスターの「禁断の星」だ。ある惑星で発生した疫病が、硬直化した制度と官僚の無能のせいで、どんどん拡大していってしまうという話。
 あれを読んだ時は、「かなり誇張されている」「現実にはここまで愚かな奴はいない」と思ったけど……現実にあるんだな、こんなことが。

 政府と赤松農林水産大臣の責任については、マスコミはガンガン叩くべきだと思う。
 にもかかわらず、奇妙なことに、新聞もテレビもこの件を大きく扱わない。すべてのワイドショーやニュース番組をチェックしたわけではないが、新聞のテレビ欄を見る限り、ワイドショーがこの事件を取り上げたことはないようだ。
 僕が購読している産経新聞の記事を調べてみたのだが、4月20日に最初に口蹄疫に感染した牛が見つかった時のニュースはそこそこ大きかったものの、以後、感染が拡大しているにもかかわらず、ほとんどのニュースが、数行から十数行の短い記事ばかり。
 5月5日になってようやく、やや大きめの記事が出たが(この時点ですでに2万8000匹が処分されている)、風評被害を心配する声ばかり。被害の正確な実態や、畜産農家の生の声はもちろん、政府の対応への批判など、まったくない。
 5月8日朝刊の2面に、初めて政府批判の記事が載った。でも、その隣の「テレサ・テン 歌声再び」というニュースと、面積は大差ない。赤松大臣の問題については、たった5行しか触れられていない。

 しかもこの記事、前日の東スポの記事の後追いだった(笑)。いやー、この非常事態に、まともな記事を載せてるのが東スポだけってのがすごいわ。
 こっちは5月9日25面のニュース。 一見すると大きい記事のように見えるけど、横の「タクシー備品/ネット売買横行」というニュースより面積が小さい。何でだよ!? その程度の重要性だっていうの?




 ちなみに、今日(5月11日)の産経新聞朝刊には、口蹄疫関連のニュースはまったく載っていなかった。

 なぜこんなにも扱いが小さいのか? マスコミが大きく扱うことで、風評被害が起きるのを恐れているとも言われる。
 だが、風評被害を防ぐ最善の方法は、事実をありのままに報じて、「人には無害」「万が一、口蹄疫にかかった家畜の肉を食べても安全」といったことを周知徹底したうえで、国民の理解と協力を求めることだろう。
 情報隠蔽をやらかすような政府やマスコミの言うことなんて、みんな信用しなくなる。逆にネットでデマが垂れ流されることを心配すべきだろう。
 また、マスコミが現地で取材しないのは、農水省が「現場での取材は、本病のまん延を引き起こすおそれもあることから、厳に慎むよう御協力をお願いします」と指示しているからだとも言われる。しかし、それなら現地周辺で関係者の声を聞いたっていいはずだ。インタビューだけなら電話でもできる。大きく扱わない理由にはならない。
 どうもマスコミは(東スポを除いては)政府の言いなりのようである。
 民主党政権への不信も大きいけど、こんなことがあるんじゃ、マスコミは信用できない。
  


Posted by 山本弘 at 16:30Comments(32)事件

2010年05月07日

『アニソンバカ一代』

 先日、著者の方からいただいた本が面白かったので推薦したい。

キムラケイサク著『アニソンバカ一代』(K&Bパブリッシャーズ)


 アニメソング・特撮ソングを紹介する本である。
 これまでもこの手の本はいろいろあった。しかし、データを羅列しただけの無味乾燥なものだったり、ありきたりのことしか書いてなかったりで、あまり面白いとは思えないものが多かった。ライターが「お仕事でしかたなく作ってる」という印象が漂うのだ。
 この本は違う。何百曲というアニソン・特ソンを熱く語りまくる。著者の本気がビシバシ伝わってくるのだ。
 たとえば選曲のセンス。ほとんどの歌は1/2ページ、または1/4ページのスペースで紹介されているのだが、1ページまるごと使ってクローズアップされている歌もいくつかある。それらをざっと並べてみると、このチョイスがただ者ではないことが分かる。

「カモン!アステカイザー」「ぼくらのバロム1」「誰がために」「地獄のズバット」「ビデオ戦士レザリオン」「スターダストボーイズ」「宇宙魔神ダイケンゴー」「飛べ!グロイザーX」「星雲仮面マシンマン」「ウルトラマンレオ」「究極超人あ~るのうた」「超常スマッシュ!ギンガイザー」「風の未来へ」(『伝説の勇者ダ・ガーン』OP)「戦え!レッドタイガー」「いけいけぼくらのガンバスター」「ゴーショーグン発進せよ」「青春の旅立ち」(『スターウルフ』OP)「バトルフィーバーJ」「宇宙刑事ギャバン」「ゲッターロボ!」「宝島」……

 いや、分かるよ! どれも名曲だよ! 僕もカラオケでよく歌うよ! 『レオ』の歌はウルトラシリーズの中で最高だと思ってるよ! 『レッドタイガー』なんて番組自体はアレだったけど、主題歌の「強い鉄拳、乱れ飛ぶ~」のところが無性にかっこいいんだよ! 『宝島』はOPもEDも神だよ!
 しかし、作品の社会的知名度などまるで眼中にないこのセレクトはどうだ。ほんとに好きで本を作ってるのがよく分かるではないか。
 もちろん『ヤマト』『999』『ガンダム』『タッチ』などのメジャーな(アニメファンでなくても知っている)作品の歌もちゃんとフォローされているのだが、宮崎駿作品の歌は「風の谷のナウシカ」のみ。『トトロ』も『もののけ姫』も『ポニョ』もない。このいさぎよさ! 『スーパーヅガン』とか『料理少年Kタロー』とか『ナースウィッチ小麦ちゃん』とかの歌まで入ってるのに。
 その「ナウシカ」も、「安田の独特の……というか微妙すぎる歌唱力」と評され、「オリジナルに囚われず自由に歌うもよし、安田の歌い方を真似るもよし」と、微妙な書き方がされている。いや、安田成美の歌い方を真似るのは、かえって難しいと思うんですが(笑)。
 他にも、『地球へ…』の歌が最近のテレビ版の方じゃなくダ・カーポの方だったり、『キャッツアイ』の歌が「デリンジャー」の方だったり、随所に著者のこだわりが感じられる。
(もっとも、『ゴジラ対ヘドラ』の歌はやっぱり「ヘドラをやっつけろ」じゃなく「かえせ!太陽を」の方だろ、と思うんだが)

 歌は1年365日に当てはめて配置されている。大半はキャラクターや出演者や歌手の誕生日や命日なんだけど、「地獄のズバット」が2月2日だったり、「特警ウインスペクター」が5月1日だったり、ここでも細かいところにこだわっている。
 どの項目も、番組や歌に関するトリビアや、著者の感想がびっしり。決して脱線することなく、基本的な事項をきちんと押さえてあるのが好印象。ギンガイザーのことを「謎の何だかわからないゴチャゴチャした固まり」(的確!)と書く一方、ニコ動でギャグのネタにされている『チャージマン研』を「歌はカッコイイのになぁ」とフォローするなど、配慮も行き届いている。
 配慮と言えば、巻末の索引が、番組名、曲名、アーティスト名で検索できるようになっているのが便利だ。

 ざっと読んだが、誤植はちょくちょくあるものの(そりゃ、この分量なら、ゲラチェックは地獄だろう)、大きなツッコミどころはほとんどない。細かいことを言ったら、「『レザリオン』が面白いのはむしろ前半だろ! ジャーク帝国が出てくるまでだろ!」と思ったし、個人的に最高のアニソンだと思う『ようこそようこ』の挿入歌「Singing Queen」と、『エアマスター』のOP「烈の瞬」も入れてほしかったとも思うが……まあ、そんなこと言い出したらキリがないしね。
 他にも、萌えvs燃えの100曲対決とか、串田アキラ、小林亜星、山本正之へのインタビューなど。まことに労作である。

 先日、著者の方と話をする機会があったのだが、読者から「アニソンの本だというから買ったのに、僕の知っている歌が一曲も載っていない」という抗議が来たとか。いやまあ、そういう人向けの本じゃないですから……。
  
タグ :アニソン


Posted by 山本弘 at 11:33Comments(8)サブカル