2009年12月14日

冬コミの新刊

 いつもは冬コミには参加しないんだけど、今年は夏コミに味をしめた娘が「行きたい!」とねだるもんで、サークル参加します。

 31日(木)西1ホール
 よ-26a
 心はいつも15才

 お断りしておきます。今回も『チャリス』は出ません。娘も店番をするのですが、さすがに13歳の娘に18禁本売らせるわけにはいかないので、あと5年間はうちのサークルで18禁本は出せません(泣)。
『チャリス』については、今後は他のサークルに委託するか、通販にすることを検討しています。とりあえず来年前半には出したいです。
 今回の新刊はこの2冊。

●『MADなボクたち 2009Winter』

 夏に出した冊子の大幅増補改訂版。ニコ動・YouTubeの傑作MADを紹介する本。夏以後に出た『咲-Saki-』『化物語』『けいおん!』『とある科学の超電磁砲』などのMADも追加。MMD、人力ボーカロイド、アイマスの紙芝居動画なども取り上げます。
 メインの特集は「この作者に注目!」。執筆陣がお気に入りのMAD作者を応援します。

●『生徒会の百式』

『生徒会の一存』シリーズのパロディ小説。全3話を収録。

・第1話「全裸になる生徒会」
 アニメ版のDVD特典に何をつけるかという会議が、杉崎や知弦の暴走で、どんどん危険な方向に……。

・第2話「SFする生徒会」
 急にSFに目覚めたくりむ。どうすれば碧陽学園がSFになるかを話し合うが、例によってひどい案しか出てこなくて……。

・第3話「同人する生徒会」
 冬コミで同人誌を出すことになった生徒会。パロディネタを話し合ううち、杉崎と真冬の変態妄想合戦に発展! 勝者はどっちだ?

 以下は内容の一部です。


「ふうん? その昔、『ダ○ヤモンド・アイ』のLDに付いていたという《ばれたかチャプター》みたいなものかしら」
「知弦さん、何でそんな変なこと知ってんですか」
「キーくんのおすすめというと、具体的にはどんなシーン?」
「たとえば、一話の知弦さんの水着シーンとか、深夏のウェディングドレスとか、二話の会長のひとりエッチのシーンとか、三話のリリシアさんのパンチラとか……」
「待ちなさい!」会長が立ち上がった。「今、明らかに実際に存在しなかったシーンが混じってたわよねえ!?」
「あれ? 俺の脳内では……」
「あんたの脳内は改竄されまくりよ!」
「じゃあ、DVDで特典映像として追加しましょう」
「しなくていいよ!」
「だってこういうDVDには特典映像がつきものですよ。いいじゃないですか、〈桜野くりむの乗馬マシン〉」
「ニ○動にアップされたら〈公式が病気シリーズ〉タグ貼られるよねえ!?」
  ――「全裸になる生徒会」より


「じゃあ、お前はどうなんだ、深夏。この学園がどうすればSFになるか、案はあるのか?」
「ん? タイムスリップなんていいんじゃね?」
「ほう、お前にしてはまともな発想……」

「この学園ごと遠い未来に飛ばされるんだ! そこは文明滅亡後の荒廃した世界! 生徒たちは巨大な怪虫やクモのような未来人類に襲われ、一人また一人と……」

「うわー、やめてー! そんなギョエーな世界はいやー!」
「だったら過去にしよ。あたしら生徒全員、太平洋戦争中に飛ばされるんだ。でもって歴史を変えて、日本を勝利に導くんだよ」
「ふむ、架空戦記か。でも、ああいうのって普通、現代の兵器を過去に持ち込んだり、未来の知識で新兵器とか開発したりするんじゃないのか? 俺たちにそんな知識なんてないだろ」
「何言ってんだ! 武器なんかに頼るな! 頼るのはおのれの肉体のみ!」
「徒手空拳!?」
「あたしが肉体を鍛えてるのも、そういう事態に備えてのこと!」
「タイムスリップに備えてんのかよ!? だいたい物量を誇るアメリカ相手に、素手じゃ勝てねーよ!」
「根性があれば乗り切れる!」
「その思想で日本は負けたんですが!」
「あたしだけじゃないぞ。碧陽学園生徒全員、前線に送られる!」
「学徒出陣!?」
「インパールへ! ガダルカナルへ! アッツ島へ!」
「生還率低そ~っ!」
   ――「SFする生徒会」より


〈例によって遅刻気味に、俺が校舎の階段を駆け上がっていると、丁度踊り場のところで、空から女の子が降ってきた。
 それが、桜野ヶ原くりむだった。
 それも正確に言うなら、別に空から降ってきたわけではなく、階段を踏み外した桜野ヶ原が後ろ向きに倒れてきただけのことだったのだが――避けることもできたのだろうけど、俺は、咄嗟に、桜野ヶ原の身体を受け止めた。
 避けるよりは正しい判断だっただろう。
 いや、間違っていたのかもしれない。
 何故なら。
 咄嗟に受け止めた桜野ヶ原の胸が、とても――とてつもなく、薄かったからだ。洒落にならないくらい、不思議なくらい、不気味なくらい――薄かったからだ。
 存在しないかのように。
 そう。
 桜野ヶ原には、およそ胸と呼べるようなものが、全くと言っていいほど、なかったのである。〉

「私、そこまでペチャパイじゃないもん!」会長が抗議する。「最低限のふくらみはあるよ!」
「いや、だからパロディですって」と俺。「蟹に根こそぎバストと身長を持って行かれたんですよ」
   ――「同人する生徒会」より

 あくまで二次創作ですので、会長が絵本以外の本を読んでたり、真冬ちゃんが原作以上に壊れてたり、いろいろ違っているところはありますが、スルーしてください。
 なお、18禁ではありませんが、原作よりエロネタやや多めです。
 
  


Posted by 山本弘 at 14:12Comments(6)PR

2009年12月07日

今月発表の短編2本

 先の『NOVA』の他にも、今月は僕の短編が2本、雑誌に載ります。

●「名被害者・一条(仮名)の事件簿 第1話
  麗子さん(仮名)と血染めのノコギリ」

『メフィスト2009 VOL.3』
 講談社・12月7日発売

 新シリーズ。なぜかしゅっちゅう殺人犯のターゲットにされる、名探偵ならぬ「名被害者」という属性を持つ女子高生・一条(仮名)。毎回、彼女と犯人との息詰まらないやりとりが展開するというコメディ。

 ご注意! この作品はミステリではありません。謎の論理的な解明を期待しないでください。

●「地球から来た男」

『SFマガジン 2010年2月号』
 早川書房・12月25日発売予定

『地球移動作戦』の35年後の世界が舞台。太陽系外に向かう小惑星船に密航した青年の正体は?

 自分で言うのもなんですが、ちょっとした「問題作」です。ネタバレになるので詳しくは書けませんが、クラークのあまり有名ではない短編がヒントになっているとだけ言っておきます。
 ちなみにこの号は「創刊50周年記念特大号 PART・2 日本SF篇」で、日本作家21人による書き下ろし作品が並びます。こんな大きな節目となる号に書けたのは、まことに光栄です。 
  
タグ :SF


Posted by 山本弘 at 17:03Comments(8)PR

2009年12月07日

書き下ろし日本SFコレクション『NOVA 1』

 現在発売中です。


 大森望責任編集
 書き下ろし日本SFコレクション
『NOVA 1』
 河出文庫・950円+税

 最強の〈書評家/翻訳家/SF家〉が満を持して放つ、単独責任編集オリジナル日本SFアンソロジー。第1弾は10人の完全新作による饗宴+故伊藤計劃の絶筆特別収録。

●北野勇作「社員たち」
  得意先から帰ってきたら、会社が地中深くに沈んでいた
●小林泰三「忘却の侵略」
  「冷静に観察すればわかることだ。姿なき侵略者の攻撃は始まっている」
●藤田雅矢「エンゼルフレンチ」
  ひとり深宇宙に旅立ったあなたと、もっとミスドでおしゃべりしてたくて
●山本弘「七歩跳んだ男」
  その男は死んでいた。初の月面殺人事件か? 本格SF的と学会的本格ミステリ開幕
●田中啓文「ガラスの地球を救え!」
  ……なにもかも、みな懐かしい……SFを愛する者たちすべての魂に捧ぐ
●田中哲弥「隣人」
  家庭を襲い胃を満たし脳に染み入るこの臭い……恐ろしい非常識が越してきた
●斉藤直子「ゴルコンダ」
  先輩の奥さん、めちゃめちゃ美人さんだし、こんな状況なら憧れの花びら大回転ですよ
●牧野修「黎明コンビニ血祭り実話SP」
  戦え! 対既知外生命体殲滅部隊ジューシーフルーツ!!
●円城塔「Beaver Weaver」
  海狸(ビーバー)の紡ぎ出す無限の宇宙のあの過去と、いつかまた必ず出会う
●飛浩隆「自生の夢」
  七十三人を死に追いやった稀代の殺人者が、かの怪物を滅ぼすために、いま、召還される。
●伊藤計劃「屍者の帝国」
  わたしの名はジョン・H・ワトソン。軍医兼フランケンシュタイン技術者の卵だ。――圧巻の絶筆、特別収録

――河出書房新社のサイトより


 故・伊藤計劃氏の作品以外、すべてこのアンソロジーのために書き下ろされた新作。ご覧の通り、内容はバラエティに富んでいて、いずれもその作家の持ち味があふれている作品ばかりです。
 僕の「七歩跳んだ男」は、月面基地で起きた怪死事件の謎を追うSFミステリです。他の方々に負けまいと、あえて直球ど真ん中のサイエンス・フィクションで勝負しました。
  
タグ :SF


Posted by 山本弘 at 16:02Comments(0)PR

2009年12月02日

今さらながら『3A07』がすごいという話

 他のところでも取り上げたけど、ここでも書いてしまおう。
 今、ニコ動で人気爆発中のこの動画。

【アイドルマスター】3A07 ~Memories are here~

 初回は必ずコメントを消して見ていただきたい。ネタバレしているうえに、アンチがうざいから。

 僕が初めて見た時の感想は、「愕然」「呆然」そして「感動」。
 ニコ動の、特にアイマスMADの人たちの技術力のすごさは前から知っていたが、それでもさすがに自分の目が信じられなかった。
 このクオリティで21分!
 こんだけのものをたった3人で作ってしまったって!?

 話そのものも良くできている。ありがちな設定ではあるものの、クライマックスのコンサートのシーンに収束してゆく構成が見事。仕掛けを知ったうえで最初から見直すと、いろんな伏線が張ってあって感心する。
 演出も凝りまくっている。小鳥さんがお尻でドア閉めるとことか、亜美・真美がDVDを見るとことか、ちょっとした動作までいいんだよねえ。
 セバスチャンPの作品は、2年前に「高いところから降りられない雪歩」を初めて見た時に驚愕したものだったが(今見直しても、「ニコマスのオーパーツ」と言えるほどすごい技術だ)、2年でここまで登ってきちゃったんだねえ。

 これはまぎれもなくニコ動のひとつの到達点だろう。アイマスMADというもの自体、生まれてまだ3年にもならないのに、ここまで進化したのかと思うと、驚きと感動を隠せない。
 僕が『地球移動作戦』で描いた、映画がみんな個人製作になって、大手映画会社が消滅している未来も、そんなに遠いことではないのかもしれない。
 これは金を取って見せられるレベルの作品だ。と言うか……。


 金、払わせろ!


 こんなのタダで見せてもらえるなんて、申し訳なさすぎる!
  


Posted by 山本弘 at 15:34Comments(3)ニコニコ動画