2009年09月27日

何を今さら夏コミの話

 8月14・15・16の3日間、娘と2人で夏コミに参加した。娘が以前から「コミケ行きたい!」とねだっていたからである。

 昼頃に東京に到着、新橋駅からゆりかもめでビッグサイトに向かおうとする。
 ところが、ゆりかもめ新橋駅は大変な混雑! 入場規制が行なわれていた。フジテレビが「お台場合衆国」というイベントをやっているもので、それに行く人が多かったらしい。
 コミケに行く前からこんなにラッシュとは、ちょっと計算外。以前、昼頃にコミケに行くためにゆりかもめに乗った時は空いてたのに……と思ったが、よく考えたら、ここ何年も、僕はりんかい線ばかり利用していたのだ。 ゆりかもめ乗ったの、何年ぶりかしらん。

 1日目のメインは『NARUTO』。何を今さらと言われそうだが、最近になって、母娘そろってハマってしまったもんで、同人誌を探しに行くことになったのである。
 しかし、大きな問題が。
 予想はしていたけども……。

 健全本がほとんどない!(笑)

『NARUTO』系はスペースだけは広いけど、見たところ本の9割以上がBL。カタログに「オールキャラギャグ」とか書いてあったんでブースに行ってみたら、R-18のしかなくてがっかりしたことも。絵は上手いのになあ。
 そう言えば何年か前、妻が『おお振り』にハマった時にも、「やおいじゃない本買ってきて」と頼まれて、探すのにすごく苦労したっけな。(妻はマンガは好きだけど、BL属性はほとんどないのである)
 娘といっしょにブースを回りながら、間違って18禁本を手に取ってしまわないよう、目を光らせた。売り子さんの方でも、子供が手に取ろうとしたら「これは18禁です」と注意してくれるんだけど。
 だもんで、思ったより収穫は少なかった。それでも娘は、大好きなサソリの本を手に入れて満足した様子。ホテルで何度も何度も読み返していた。

 気になったのは、あごがれのコミケなのに、娘のテンションがやけに低そうに見えたこと。もっと驚いたり興奮したりはしゃいだりするのではないかと思っていたのだが。
「もしかして、面白くない?」と訊ねたら、「テンション上げたら30秒ぐらいでオーバーヒートしてしまうから、セーブしてんねん」 とのこと。そうですか、セーブしてましたか(笑)。

 帰りはりんかい線に乗る。
 りんかい線国際展示場駅前には、幸福実現党の選挙カーが止まっていて、運動員がコミケ帰りの参加者たちに、さとうふみやのイラストの入ったうちわを配っていた。

 選挙カーの上から「私たちは言論の自由を守ります」と訴える男性。コミケ会場の近くで訴えれば宣伝効果抜群……と思ったのかもしれないが、写真を見れば分かる通り、参加者はみんな演説を聴かずに素通りしてゆく。
 そりゃそうだ。かつて『フライデー』に対してあんなことやったり、ポルノの規制を訴えている団体が、児童ポルノ法改正阻止に回ったりするわけがない。「言論の自由が」とか言ったって、誰も信じないよ。
 マンガ・アニメファンを甘く見るな、と言いたい。

 2日目はお台場合衆国へ。娘が『ヘキサゴン』や『はねトビ』が好きなので、どうしても来たがったのだ。
 しかし、やはりすごい人。入場したものの、ほとんどのアトラクションは60分待ちとか120分待ちとかで、とてもじゃないが炎天下に並んでいられない。
 いちおう『はねトビ』の「女芸人勝負メシレストラン」というのに入った。番組中で女芸人が作った料理を実際に食べさせてくれるというもの。
 しかし、セルフサービスの列に並んで、レジまでたどりつくのに30分、料理が出てくるのにさらに20分。座れるイスもないので立ち食いである。
 料理の出来はというと。
 まあこれも予想はしてたけど……。

 ほとんど「学校給食」。

 このオムライス、どう見ても冷凍ものだろ。
 これで「勝負メシ」と言われてもなあ。落ちる男はおらんと思うぞ。
 まあ、こういうのは味がどうというより、並んで食べることに意義があるのだろなあ……と自分を納得させる。

 とにかく暑いし、遊べる場所がない。
 やむなく予定を変更し、近くにあるプールへ。水着とバスタオルを買って、3時間ほど楽しんだ。

 その後は話題の実物大ガンダムを見物。
 ゆりかもめの窓からちらっと見た時は、「小さい」「なんかしょぼい」と感じたのだが、実際に近くに行って見ると、かなりの巨大感。ディテールもよくできている。
「人間の身長の10倍ってのはこれぐらいの大きさなのか!」
 と、あらためて実感した。こんなのが歩いてきたら、さぞ恐ろしいだろう。
 この感覚ばかりは、2次元の映像やスペックだけからでは決して分からないことだろう。

 3日目は朝からサークル入場である。お隣のIPPANさんのサークル「アンド・ナウの会」との合体ブースだ。
 今回、工夫したのが組み立て式のポップスタンド。100均ショップで買った4枚の金属の網(?)を、その場で組み立てて、ポスターとか値段表とかを貼りつけるというもの。けっこう強度があるし、バラせば小さくなるので持ち運びも楽。今度から活用させてもらおう。

 今回は忙しくて『チャリス』が出せなかった代わりに、『字で読む学園4コママンガ みづき・ふりーだむ!』を出した。mixi日記で不定期連載している内容に、少し書き足したもの。
 もうひとつは『MADなボクたち 2009』。2年前に出した本の増補改訂版なので、これまた執筆量は少なくて済んだ。ニコ動などにアップされているMADの中から傑作を選んで紹介する本。完売とまではいかないけど、けっこう売れた。これから毎年、増補改訂版を出して行こうと思う。

 意外だったのが、「アンド・ナウの会」で出した本『僕らを育てたSFのすごい人』(去年の9月に行なった柴野拓美氏インタビューをまとめたもの)が、かなり売れたこと。
 地味な題材なんで売れるかと心配してたんだけど、予想以上のペースでどんどん山が減っていってびっくり。僕のブログやHPで宣伝した効果だろうか。
 これで少しでも、柴野氏の偉大な業績がSF界の外の人にも知られるといいのだけど。
(ほんと、柴野さんがいなかったら、コミケもコスプレも無かったかもしれないんだからね)

 娘がコミケになじんできたようなので、1人で買い物に行くのを許可する。僕のブースからさほど遠くない、アクセサリー系のサークルの固まっているスペースで、迷うことはまずないだろうと考えた。
 娘が買ってきたのは、スイーツを模したマグネットとか、魚と戯れる猫のフィギュアとか、かわいいグッズばかり。6000円ほど使ったらしい。しかし、選んだのはどれもセンスのいいもので、選択眼は確かだと感心した。

 ブースには多くの人が訪ねてきてくださった。
 ライトノベル作家の時雨沢恵一氏や五十嵐雄策氏があいさつに来られたのもありがたかったが、やっぱり嬉しいのはファンの反応である。
「『キャンディ』は子供に読ませたら大喜びで、知り合いにも勧めました」
 とか、
「『シュレディンガーのチョコパフェ』、面白かったです」
 とか、
「『滅亡の星、来たる』を読んで感激しました」
 とか言われると、本当に「小説書いてて良かった」と思う。ここんとこ、仕事関係やら何やらで、いろんな嫌なことや苦しいことがあったけど、みんな吹き飛んじゃったよ。

 何よりも驚きだったのは、ニコ動で評判の「お祭りに行ってきた~広島ふれあい街歩き」の作者のZOZI氏が訪ねてきてくださったこと。僕がHPのトップで紹介したのを見てくださったらしい。

 その前の「[3D]ミクのいる風景~カメラ買ったので実写合成してみた・解説編」から注目していたのだが、この人の作る映像は、見事に実景に調和しているのが素晴らしい。
 アップ予定の新作(「お祭りに行ってきた」のキャラクターを解説したもの)をPSPに入れて持参されたので、見せていただいた。3Dモデル自体はかなり単純なんだけど、合成技術がすごいんだよね。「エイトイレブン」は僕も3回ぐらい見直してようやく気がついたぐらい。

 さらに驚いたのは、ZOZI氏はCGアニメや合成が本職ではないという事実。仕事上、CGも扱っているが、こんな映像を創っているわけではない。完全な趣味なんだそうである。
「とうかさん」というお祭りを撮影したのが6月の第1週。それから2ヶ月かけて「お祭りに行ってきた」を製作した。3Dモデルのいくつかは知り合いが製作したものだが、それ以外はほとんど1人で、本職の合間にしこしこ作ったのだという。
 ちょっと前までならILMあたりが大勢のスタッフと多額の予算を使って作っていたような映像が、今やアマチュアが余暇を利用して1人で作れてしまうのである。これは驚異だ。えらい時代になったもんである。
『地球移動作戦』の中で、映画会社というものが消滅し、映画は個人が製作している時代を描いたが、そんな時代は遠くないのかもしれない。

 娘はコミケがすっかり気に入ったらしい。特にサークルで売り子をするのが楽しかったようだ。本物のお金を扱えて、社会人に近づいた気分になれたのかもしれない。「冬コミも来たい」と言っている。
 それはいいんだけど、問題は『チャリス』をどうするかってことなんだよなあ。今回は『チャリス』は持って行かなかったんだけど、娘が毎回参加するとなると、18禁本を売るのが難しくなる。さすがに未成年者に18禁本の売り子をさせるわけにはいかんし。
 知り合いのサークルと売り子をトレードする案も、真剣に検討中。 
  
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Posted by 山本弘 at 16:32Comments(6)コミケ

2009年09月27日

この夏のお仕事



 長いことこのブログを放り出していて申し訳ない。7月後半から9月にかけて、とてつもなく忙しかったのである。

 最大の難物は、トンデモ本シリーズの新作、『トンデモ本の世界W』(楽工社)の執筆である。
 ほんとは7月頃から取りかからなきゃいけなかったはずなのだ。でも、『SFマガジン』の連載『地球移動作戦』の単行本化のための加筆作業の仕事が降ってきたのである。9月頃からのんびりかかればいいかと思っていたら、「出版スケジュールの関係があるので8月10日までに上げてください」と言われてしまったのだ。
 二つの仕事がバッティング。僕の本職は小説家で、と学会の本はあくまで副業だと考えている。やはり小説の仕事を優先したい。だもんで、悪いけど楽工社の編集さんには泣いてもらった。ごめんなさい。
『地球移動作戦』は結局、締切を何日も遅らせて入稿。連載分に100枚以上書き足したうえ、細部にもいろんな書き直しを加えている。

 それが終わったら今度は夏コミ。初参加の娘を連れて3日間、東京へ。
 だもんで、ようやく取りかかった『トンデモ本の世界W』の原稿は、遅れを取り戻すために、連日、猛然と執筆。最後の方は1日2本のペースで上げなくちゃいけなかった。

 死んだ。

 さすがに1日2本はきつい。トンデモ本シリーズの原稿は、いちいち資料を調べなくちゃいけないものもあるから、小説よりもずっと手間がかかるのである。
 しかも今回、僕以外のメンバーの執筆量が少なかった。やはり志水さんと植木さんが抜けた穴は大きい。それを埋めるために、大半は僕が執筆するはめになったのだ。一部の原稿は、このブログに書いた文章を流用して手抜きしたんだけど、それでも多かった。
 僕の担当分の分量を計算してみた。全部で21本。合計197ページ。『トンデモ本』シリーズのフォーマットは22字×17行×2段だから、これを400字詰め原稿用紙に換算すると……。

 約360枚!

 その間に平行して、30枚の短編1本と90枚の中編1本を書いている。計480枚。長編1本分ぐらいある。これを20日間で書いたことになる。
 うわー、事前に分量を計算しなくて良かったわ(笑)。こんな分量だと知ってたら、最初からやる気なくしてるぞ。
 1日平均24枚ぐらいのペース。普段の僕は1日10枚前後がせいぜいだから、その2倍半ぐらいのペースで書いたことになる。
 仕事は執筆だけじゃない。合間には『地球移動作戦』の戻ってきたゲラのチェックもしなくちゃいけなかったのだ。これがまた400ページ以上あった。ゲラチェックは飛ばし読みというわけにはいかないから、全部に目を通すだけで半日はかかる。しかもそれを初校と再校で2回やった。
 疲れるわけだ。

 しかも、元はと言えば自分のスケジュール管理が甘かったのが原因だから、誰も責められない。

 一日中パソコンに向かっていると、ストレスがたまる。
 僕の場合、よく咽喉が渇くもんで、何かいつも飲んでないといけない。だもんで、原稿書きながら、麦茶やらウーロン茶やらコーヒーやらミルクティーやらコーラやらスポーツドリンクやら栄養ドリンクやらを飲みまくってた。
 さらに、ストレス発散のためにポテトチップスを1日2袋ぐらい食ったり、「いかん、シュークリーム分が不足してきた」と、コンビニにシュークリームを買いに走ったり、昼食を食ってる時間ももったいないので、コンビニで買ったサンドイッチやフランクフルトで済ませたり……。
 これは健康に悪い。むちゃくちゃ健康に悪い。たぶんこの20日間で余命がかなり縮んだ。

 ようやく原稿をすべてアップし終えた後は、ぐったりとなって、何日も仕事をする気になれなかった。書いたのは洋泉社の『東宝特撮大全』の原稿ぐらい(ちなみに僕の担当は『妖星ゴラス』『宇宙大戦争』『世界大戦争』の3本)。
 仕事しないで何をやってるかというと、ニコ動で『化物語』や『咲―Saki―』のMADを漁ったり、気分転換に『生徒会の一存』のパロディを書いたりする毎日(笑)。今は『アイドルマスター ディアリースターズ』にハマってます。ああ、涼ちん、健気でいいなあ。
 こんなにサボっていると、結局、月産ペースはほとんど変わらない。しんどい思いをするだけで、あんまり得はないんだよねえ。

 今度からはこんなペースで書かないようにしようと、心に誓う。締め切りに間に合うよう、原稿は早めに書きはじめます、はい。
  
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Posted by 山本弘 at 14:58Comments(2)日常