2009年06月28日

ロボっ子動画×2

 ニコ動にはよく、「どう見てもプロの犯行」とか「野生のプロ」とか呼ばれる、本物と遜色のない、時には本物以上のすごい完成度の動画がアップされるんだけど、これもそのひとつ。
(「ロボっ子」というより「メカと合体してる少女」ですが……)



 よくぞここまで作った! ユナの髪の揺れ方とか、パンチを放った後にスタッと一歩踏み出すところとか、細かい部分まで凝ってる。技を出す前のタメや、爆発のタイミングも完璧で、無性にかっこいい。 作者の愛が感じられてグッド。
 本当に発売したら絶対売れると思う。

 もうひとつ、今、大評判になっているロボっ子の動画。



 僕が見たのはアップされて4日目ぐらいだったが、10日間で60万再生を突破した。
 あまりにスムーズかつ器用に動くもんで、最初、てっきり人形アニメかCGだと思ったぐらい。これもロボへの愛があふれてて、見ていると癒される。
 あーもう、ドリ系でいいや(^^;)。
  


Posted by 山本弘 at 15:27Comments(3)ニコニコ動画

2009年06月21日

作家が死ぬということ

 僕のマイミクで、ライトノベル・架空戦記・時代小説作家の中里融司さんが、18日朝、大腸ガンで亡くなられた。52歳。僕よりひとつ歳下である。

 コミケでお会いするぐらいの関係で、作品も数冊しか読んだことがないのだが、普段からmixi日記はよく読ませてもらっていた。 同じ職業だけに、日記の内容は共感することが多く、身近に感じていた。
 当然、病気で入院されたことは知っていたが、数日に一度、日記をアップしているぐらいだから、たいしたことはないのだろうと思っていた。
 いきなり亡くなるなんて思ってもいなかったから、ショックが大きい。

 最後の日記は6月11日。亡くなられる1週間前である。
 入院していたが一時期帰宅し、マンガ(『ヤングアニマル』連載の『砂漠の獅子』)のシナリオを書いて送信した……てなことが書いてある。
「シンケンジャーが面白い」てなことも。
 入院中も病床で原稿を書いていたり、ゲラチェックをやられていたようだ。最後まで作家だったのだなあ。

 最後の日記を読み直して、僕が何に一番ぐっときたかというと、送ったシナリオが「第7回」だということ。
 つまりこのマンガは、もう永遠に完結することはないのである。(マンガ家が独自に描き続けるかもしれないが、それはもう中里さんの「原作」ではあるまい)

 僕にとって、これは悪夢である。
 今、『地球移動作戦』の最終回の原稿をひいこら言いながら書いている。来月は『去年はいい年になるだろう』の最終回である。
 僕が今、急死したら、これらの作品はラスト目前で完結せずに終わってしまうことになる。
 それは嫌だ。ものすごく嫌だ。
 物語は、書きはじめたからには、きちんと終わらせなくてはならない。それは続きを読みたがっている読者に対する責任であるし、作家自身に対しての義務でもある。 ゴール直前で倒れるなんて耐えられない。
 きっと、病院のベッドで最後まで「原稿、原稿……」とうなっていることだろう。
 それはもう、化けて出たくなるぐらい悔しいに違いない。
 実際、『トリニティ・ブラッド』完結直前に亡くなった吉田直氏の例もあり、そういうことがないとは言えない。吉田さん、悔しかっただろうなあ。

 だからきっと、中里さんも無念だったに違いない。
 もっと書きたいものがいっぱいあっただろうに、彼の頭の中にはいろんな構想があっただろうに、それはもう誰にも知られることはないのである。

 だから僕は「安らかにお眠りください」とは言えない。
 同じ作家として、彼の心中を思うと、「安らかに」なんて言えるわけがない。
 安らかに死ねてたまるか。
 きっと連載やシリーズを抱えた作家はみんな、完結させられない無念、構想を具体化できなかった無念を胸に、死んでゆくのだと思う。
  
タグ :作家


Posted by 山本弘 at 12:16Comments(5)日常

2009年06月12日

元ネタは「シャナ」ではありませんから

 この前、検索してて気がついたこと。
『魔境のシャナナ』の「シャナナ」という名前が、『灼眼のシャナ』からきてると思ってる人がいるようだ。
 いや、ぜんぜん違いますから。
 シャナナの名前の由来は『ジャングルの女王シーナ Sheena,Queen of The Jungle』ですから。

世界魔境美女図鑑

『シーナ』は1938年、『ジャンボ・コミックス』創刊号より登場、15年にわたって同誌に連載された(おそらく)史上初の女ターザン・コミックスである。
 その人気は高く、『ジャンボ・コミックス』はずっと『シーナ』を表紙にしていたし、『カミラ』『タイガー・ガール』『プリンセス・パンサ』『ルラー』『ジュディ』『ティグラ』『ゼグラ』『リル』『タアンダ』『ケイヴ・ガール』『ローナ』『ジャン』など、多数の亜流作品を生み出した。
『シーナ』は『ジャンボ・コミックス』休刊後も、何度もリメイクされている。映像化されたことは3回。1956年にアイリッシュ・マッカラ主演でTV化、1984年にタニヤ・ロバーツ主演で映画化、2000年にジーナ・リー・ノリン主演でTV化されている。アメリカではそれぐらい有名なキャラクターなんである。
 だもんで、女ターザンものをやると決めた時に、偉大なる先達『シーナ』に敬意を表し、Sheenaに似た語感で、なおかつ実際にありそうにない名前にしようと思った。文字を並べ替えたり、さんざん悩んだ末に、Shではじまってnaで終わるShananaという名前を思いついたわけである。
 ちなみに、まだ本編には出てきていないが、シャナナの本名は「アイリッシュ・ロバーツ」と設定している。これもアイリッシュ・マッカラ+タニヤ・ロバーツである。

 失敗したと思ったのは、マーヴル・コミックスに『Shanna The She Devil』というキャラクターがいたことを、ころっと忘れていたこと。灼眼のShanaだったら2字違いだけど、Shannaだと一字違いだ! しかし、気がついたのが連載第1回の掲載直後。今さらヒロインの名前は変えられない。
 まあ、マーヴルは怒ってはこないだろうな。どうせShannaもSheenaのもじりなんだし(笑)。
 さらに言うなら、Sheenaという名前にも元ネタがある。原作者のウィル・アイスナーによれば、ヘンリー・ライダー・バガードの『洞窟の女王 She』からヒントを得たのだそうだ。
 つまり、

 She→Sheena→Shanana

 という流れになるわけである。

 日本ではあまりなじみがないが、女ターザンものというのはアメリカでは綿々と描き続けられてきた歴史のあるジャンルなのだ。
 最近も『Jungle Girl』というシリーズが出ているし、『Shanna』も新シリーズがスタートしている(どっちも買いました)。

 上手いことは上手いんだけど、やっぱりアメコミの体力派のヒロインはどうしてもマッチョになっちゃって、あまりかわいくないのが難点かな。

 シーナに似た名前の女ターザンは他にもいる。たとえば『Shandra, The Jungle Girl』というポルノ映画。10年近く前に直輸入でビデオを買った。まあ、こんなバカ映画、輸入されることはあるまいと思っていたら、いつの間にか『密林ガール』という題で日本でもDVDが出てたのにはびっくりですよ。

 いや、推薦はしないよ? しませんからね。そこらの山でロケして「南米の奥地」と言い張っているような映画ですからね。脱力系のお笑いが好きな人しか楽しめないと思うよ。

 他にも、1978年に放映された『Jana of The Jungle』というアニメもある。この娘はちょっとかわいい。


 ジャナは不思議な力を持ったネックレスをしている。シャナナもジュジュの首輪という超古代文明の遺物を身につけていて、これが超人的な体力や治癒力をもたらしているという設定だ。
 じゃあ、シャナナのヒントは『ジャナ』かというと、それも違う。ジュジュの首輪のヒントは、『仮面ライダーアマゾン』のギギの腕輪なのである。アマゾンだけに(笑)。だから最初は腕輪にするつもりだったのだが、玉越氏が首輪フェチだと知って、首輪に変更したのである。
 この他にも、クトゥルフ神話、古代文明、ナチスの超科学などなど、僕の好きなネタをありったけぶちこんだ。僕がこれまで読んできたり見てきたりした様々な作品の要素がごった煮になったのが『シャナナ』なのである。

 最近、昔の作品が映画でリメイクされることが多いので、そろそろ『シーナ』もリメイクして欲しいなー……とひそかに思っているのだが。
  
タグ :女ターザン


Posted by 山本弘 at 15:02Comments(5)美少女

2009年06月11日

「ファフロッキーズ」じゃありませんから

 日本でもファフロツキーズ現象が起きたと話題になっている。空からオタマジャクシや魚が降ってきたというのだ。

msn産経ニュース(6月8日)
msn産経ニュース(6月9日)
msn産経ニュース(6月11日)

 ニュースや新聞の報道を見る限り、確かに奇現象ではあるものの、昔から数多くの報告がある典型的なファフロツキーズで、その意味ではあまり目新しくはない。
 ファフロツキーズについては、『神は沈黙せず』の中でかなりのページを割いて解説したので、今さら語るのはやめておく。知りたい方は読むように(笑)。


 さて、今回の騒動で気になったことがひとつ。
 グーグルで検索してみると――

●ファフロツキーズ 234件

●ファフロッキーズ 6320件

 ガビーン! 「ファフロッキーズ」の方が多い!?
 しかもグーグル、「ファフロツキーズ」と入力したら「もしかして『ファフロッキーズ』」って訊いてきやがるし!
 スペルはFafrotskiesである。「Falls From The Skies」(空からの落下物)の略。 命名者は有名な超常現象研究家のアイヴァン・T・サンダースンだ。彼はオーパーツ(OOPARTS = Out Of Place Artifacts)という言葉も発明している。こういう変な略し方が好きなのかもしれない。
 このスペルをよく見てほしい。もしかしたら「ts」は「ツ」ではなく「ス」と発音する可能性もある。つまり「ファフロツキーズ」もしくは「ファフロスキーズ」である。
 でも、「ファフロッキーズ」にはならんだろう、どう見ても。

 何で僕がこれにこだわるかというと、「ファフロツキーズ」という表記を日本に広めたのは、たぶん僕だからである。
 もう10年近く前になるが、『神は沈黙せず』の執筆をはじめてた頃、魚や蛙が空から降ってくるという現象を出そうとして、それをどう呼ぶべきか悩んだ。 日本語の資料(日本人の書いた超常現象本や、海外の超常現象本の翻訳)をかたっぱしから調べたけど、名前が見つからない。
 そこで、あるメーリングリスト(と学会ではない)で、「魚や蛙が空から降ってくるという現象を指す言葉はないのでしょうか?」と質問してみた。
 そうしたら、海外では「Fafrotskies」と呼んでいる……と教えてくださったのが植木不等式氏である。

 スペルは分かったけど、悩んだのがこの発音。当時、海外のサイトを調べたものの、スペルは載っていてもどう発音するのかが分からない。
 英語に詳しい人に相談したりして、たぶん「tskies」は「ツキーズ」と表記するのが妥当なんじゃないか……と判断して、『神は沈黙せず』の中で「ファフロツキーズ」という表記を使用したわけである。
 つまり、『神は沈黙せず』以前に、日本の書籍で「ファフロツキーズ」と表記した例は(皆無とは断言できないが)ほとんどなかったはずなのだ。

 じゃあ、「ファフロッキーズ」と変な表記をはじめたのは誰なのか……と調べてみると、どうもこの「超常現象最前線」というサイトの記述(2000年1月16日)がいちばん古いようだ。

空からの落下物
http://www.fitweb.or.jp/~entity/kaiki/rakkabutu.html

 このサイトの作者は誤って、Fafrotskiesの命名者をチャールズ・フォートだと書いている。「ファフロッキーズ チャールズ・フォート」で検索すると、このページをコピペしたらしい文章が多数見つかる。
 ちなみにこの「超常現象最前線」の作者は飛鳥昭雄の信奉者で、このサイトの記述の多くは飛鳥本が元ネタである。このページの最後に書かれている大気プラズマうんぬんというのも、もろに飛鳥説である。
 だから「ファフロッキーズ」という表記も、もしかしたら飛鳥氏の本のどれかに出てくるのかもしれない……と思うのだが、ちょっと飛鳥氏の著書は数が多すぎて、調べようにもどこから手をつけていいものやら。

 さらに検索してみて分かったのが、「ファフロッキーズ」と表記しているページの多くが、つい最近、石川県にオタマジャクシが降ってきたニュースが報じられてから書かれたものだということ。
「空からの落下物」というキーワードはもちろん、「ファフロッキーズ」で検索しても、この「超常現象最前線」の記事が最初にヒットする。正しく「ファフロツキーズ」で検索しようとしても、グーグルがお節介にも「ファフロッキーズ」の間違いでしょ?と言ってくる。
 そのため、今度の事件で初めて「ファフロッキーズ」もしくは「ファフロツキーズ」という言葉を耳にした人が、興味を抱いて検索してみて、「超常現象最前線」を読んでしまう。その結果、誤った記述がどんどん広まっているらしいのである。
 当然、それといっしょに「大気プラズマ説」などというトンデモ説も広まっているわけだ。

 ちなみに僕の知り合いが今回の事件で、テレビ局から電話取材を受けたのだが、その際、「プラズマが原因の可能性はありますか?」と質問されたそうだ(笑)。テレビ局のスタッフまで「超常現象最前線」に(さらにその元になっている飛鳥説に)汚染されているらしい。
 もちろんその人は「それはないと思います」ときっぱり答えたそうだ。

 昔から超常現象大好きな僕は、この際、声を大にして言う。
「ファフロッキーズ」じゃありませんから!
 命名者はチャールズ・フォートじゃありませんから!
 飛鳥昭雄の言ってることを信じちゃだめですから!
(笑)
  
タグ :超常現象


Posted by 山本弘 at 16:53Comments(9)事件