2008年09月23日

伊藤剛氏のブログについて

 今、このブログがちょっと話題になっているのだが。

伊藤剛のトカトントニズム
BSマンガ夜話『よつばと!』の回にゲスト出演するはずでした。
http://d.hatena.ne.jp/goito-mineral/20080918/1221673863

>それが、またぞろこういう目に会うと、なんだ状況は変わってないじゃないかという気にもなります。岡田氏の意向が最優先されたうえ、NHKの担当者・弓削氏は、なんと「と学会」のバッヂをつけてぼくの前に現れていたのですから。

>「と学会」といえば、他人のことは細かくあげつらい、笑い者にする一方、身内には甘い集団として知られています(ブログから「盗作」した唐沢俊一をかばいながら、他方で論敵である武田邦彦氏の引用の仕方を鋭く糾弾する山本弘会長のダブルスタンダードぶりを例に上げておきましょうか)。また「と学会」のそうした体質が、先の名誉毀損とはっきり同じ種類のものであることは、言を待たないでしょう。もちろん、岡田氏も唐沢も「と学会」の主要メンバーです。

>これでは、ぼくの目の前ではいい事を言っても、陰では岡田氏たちと「伊藤のやつ、こんなことを言ってましたぜ。困った男ですね」などと笑いあってるのではないかと疑っても仕方のないところだと思います。

 伊藤氏は事実誤認をしているらしく、さらにそれを鵜呑みにしている人がいるようなので、と学会会長として正式にコメントしておく。

 第一に、岡田斗司夫氏はすでにと学会会員ではない。

 今年の年会費を納入しておらず、さらに再三の督促にも返答がなかったため、今年の5月21日で正式に退会処分になった。
 そもそも岡田氏はもう何年も例会に出ておらず、メーリングリストでの発言もなく、完全な幽霊会員状態だった。
 と学会は依然として120人以上の会員がいて、微増傾向にあるが、長くやっているうちに飽きてきて辞めてしまう人が何人かいるのはしかたあるまい。岡田氏もその一人なのである。

 第二に、「弓削」なる人物は、と学会会員ではない。

 その人物が着けていたという「と学会バッヂ」は、トンデモ本大賞の会場で配られているもので、会員でなくても大勢が持っている。ちなみに弓削氏が今年のトンデモ大賞に来ていたことは確認している(僕は会場で呼び止められてあいさつされ、名刺をもらったが、それ以降、何の連絡ももらっていない)。
 そもそも、と学会の会員は、普段からバッヂを着けて歩いたりはしない(笑)。当たり前である。イベントでは着けることもあるが、日常生活で、特にビジネスの際に着けて歩くのは、さすがにみっともない。
 弓削氏はただのと学会ファンの一人にすぎないと断言できる。
 岡田氏とNHKと伊藤氏の間に何があったのかはよく知らないし、深く追求もしたくない。岡田氏やNHKを擁護するつもりもない。だが、この点だけは強調しておきたい。
 この事件の当事者は、今やと学会に飽きてしまった「元・と学会員」の岡田氏と、イベントに来たことがあるだけの「一と学会ファン」の弓削氏である。

 すなわち、この事件は、と学会とは一切関係ない。

 冗談半分とはいえ「と学会の陰謀」みたいな説を臭わせるのは、大変に心外である。


  
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Posted by 山本弘 at 17:20Comments(15)サブカル

2008年09月23日

21日(日)西部講堂でゴヅラとオカルト

 京大西部講堂で「笑の内閣」というグループの主催する「笑の万博」というイベントに出演。
 4日間通していろんな笑える企画をやろうというもので、僕は時間の関係で見れなかったけど、三国志のキャラクターがプロレスをやる「三国志プロレス」なんてのもあったらしい。

 20年ほど前、まだプロデビューする直前まで、京大の生協でバイトしていたので、西部講堂の近くはよく通った。何度か自主映画上映会も見たっけな。当時すでに築25年で、かなりボロくなっていた。
 20年ぶりに訪れた西部講堂だが、ぜんぜん変わっていない……というより、20年の間にさらに風化が進行してる(^^;)。ほとんど「廃屋」という風情である。当然、冷暖房なんかないんで、真夏や真冬は大変だという。
 しかし、京大の学生にとっては一種の歴史的シンボルであるうえに、京大の敷地内にありながら自主管理を貫いているもんで(だから普通の会場からは拒否されるようなイベントもできる)、改築もままならないらしい。

http://www.kyoto-u.com/wiki/?%C0%BE%C9%F4%B9%D6%C6%B2

 僕の出番の前に「笑の内閣」の芝居を見る。
 タイトルは『朝まで生ゴヅラ』。舞台は首相官邸。若狭湾に出現した怪獣ゴヅラの対策が協議されているが、環境保護団体や政界の黒幕や自衛隊やアメリカ政府や中国政府や北朝鮮が、それぞれ矛盾した要求を突きつけてくるもんで、主体性のない総理はそのたびに方針をコロコロ変えてしまう。その間にどんどん被害は拡大し……というコメディ。『ギララの逆襲』を思わせるが、初演は2005年で、こっちの方が早いそうだ。
 中国大使役の人の、「滑舌の悪い中国人が猛烈な早口の日本語で喋るもんで何を言ってるか分からない」という芸には大笑いした。これはなかなか他の人にはまねできんだろうなあ。
 客の受けはイマイチだったみたいだけど、僕はけっこう楽しめた。最後はちょっと感動的な展開で締めてくれたしね。
 一般客が気づかないようなマニアックなネタもちりばめられていた。登場人物名が「芹沢」「山根」「真船」「多胡」「波川」「三枝」「白神」「ドクター・フー」「アダムス」などだったり、ギャグにしても、身長1.8メートルのロボットが「正義の心」で巨大化とか、落とした帽子を「500円くれれば取ってきてやるよ」(これは僕も元ネタを思い出すのにちょっと時間がかかった)とか。
 どうでもいいけど、外が雷雨だったもんで、芝居の間ずっと上の方でゴロゴロと音がしてた。

 続いて僕の「超能力番組のウソを暴く」。 すでにロフトやら名古屋の中学やらSF大会やらでやってるやつである。
 何回もやってるうちに気がついたのだが、客層によって観察力がかなり違うらしい。今回は、「雑誌が後ろのテレビに反射して映ってる」というのは多くの人が気づいたものの、カード吸着のやつで「カメラが傾いている」と気づいた人が皆無だった。下北沢の劇場では何人もの人が気づいていたのに。
 ミスターXの数字当てのトリックについても、フィボナッチ数列であることに気づくのが、他の会場よりもちょっと遅かった気がする。
 イラン大使館人質事件のことを誰も知らなかったのは、まあ客層が若いからしかたないだろうね。

 終了後、タクシーで京都駅へ。妻と娘からリクエストのあったお菓子と、漬物を買って帰る。
  


Posted by 山本弘 at 16:40Comments(1)特撮

2008年09月23日

9月15日(祝)敬老の日、日本SF界の偉い人を訪問

 敬老の日。柴野拓美さんの家を訪問し、インタビューした。

 きっかけは、コミケ終了の打ち上げの席。と学会のIPPANくんが、「会長、誰か対談してみたい方いませんか?」と訊ねてきたのである。僕は即座に「柴野拓美さん」と答えた。
 意外だったのが、けっこうマニアであるはずのIPPANくんが、柴野さんを知らなかったこと。

「ええー、小隅黎だよ!? 『ガッチャマン』や『テッカマン』で毎回、OPに〈SF考証 小隅黎〉って出てたでしょ? 『宇宙エース』の頃からタツノコ作品と関わってたんだよ?
 日本初のUFO団体『日本空飛ぶ円盤研究会』の主要メンバーだったんだよ? 高梨純一さんも荒井欣一さんも亡くなった今、日本のUFO界の創世記を知る数少ない証人なんだよ?
 それにもちろん、日本初のSF同人誌『宇宙塵』を主催してた人だよ。星新一、小松左京、光瀬龍、豊田有恒、平井和正、山野浩一、眉村卓、田中光二、山田正紀、梶尾真治といった日本SF作家の多くが『宇宙塵』からデビューしてるんだよ!
 つまり柴野さんという人は、SF、アニメ、UFOの3つの分野でものすごく重要な人なんだよ! 知ってなきゃおかしいでしょうか!」

 と、熱弁をふるう。
 するとIPPANくんも興味を持った。相談の結果、柴野さんの業績を紹介する同人誌を創ることになった。この人のやってきたことを今の世代のマニアたちにぜひ伝えなくてはならないと思ったのである。
 柴野さんに連絡したところ、快諾をいただき、インタビューが実現した。

 さらに補足しておこう。
 柴野さんの肩書きは「SF作家」だが、作品数はそんなに多くない。むしろ作家活動以外の部分で、SF界、オタク界にとてつもない影響を与えているのだ。
 上述の同人誌、『宇宙塵』。これ、1957年から1972年まで、ほぼ毎月発行されていたのである。(現在でもペースは落ちたが発行は続いている)
 毎月ですよ、毎月!
 今、同人誌をやってる人たちは、このペースを聞いただけで「信じられない!」と思うに違いない。当時の人たちの情熱のすごさ!
 その掲載作品もレベルが高かった。星新一「ボッコちゃん」「おーい、でてこい」、小松左京「地には平和を」、今日泊亜蘭『刈得ざる種(光の塔)』、広瀬正『マイナス0(マイナス・ゼロ)』、筒井康隆『幻想の未来』、石原藤夫「高速道路(ハイウェイ惑星)」、豊田有恒『地球の汚名』、梶尾真治「美亜へ贈る真珠」「地球はプレインヨーグルト」、田中光二「幻覚の地平線」、山田正紀「襲撃のメロディ」、梅原克哉『二重ラセンの悪魔』、遠藤慎一(藤崎慎吾)「レフト・アローン」……これらの作品は、最初は『宇宙塵』に掲載され、そこから商業誌に転載されたり商業出版されたりしたのである。
 『宇宙塵』がなければ今の日本SF界もなかったと言える。

 日本SF大会というものがはじまったのも、元は柴野さんの提案がきっかけだという。
 その日本SF大会を模倣したのが「日本漫画大会」で、これがコミックマーケットの前身とされている。つまり柴野さんがいなければコミケというものも生まれなかったかもしれない。
 あと、今では当たり前になったコスプレというものも、起源はSF大会のマスカレード(コスチュームショー)だろう。これも柴野さんがアメリカSF大会から持ち帰ったノウハウのひとつとされている。
 他にも柴野さんには、翻訳家としての著作もたくさんある。僕も大好きなJ・P・ホーガンの『断絶への航海』『未来からのホットライン』や、2002年から改訳版が出たE・E・スミスの『レンズマン』シリーズなんかも「小隅黎」名義の訳である。ノンフィクションではジョン・マックフィー『原爆は誰でも作れる』が僕の愛読書。


 さあ、この人がどれほど重要なポジションにいたか、ご理解いただけただろうか。

 さて、今年82歳の柴野さん。近年、病気で目が悪くなって字が読めなくなっている。僕の小説も読んでいないそうで、しきりに恐縮しておられた。
 耳もちょっと遠いのだが、補聴器のおかげで、ほとんど支障なく会話できた。
 言葉はとてもしっかりしておられた。IPPANくんが「これならテープ起こしがしやすい」と感心していたほど。ちょくちょく、固有名詞が出てこなかったり、SF大会をやった年が思い出せなかったりという程度(僕だって、何年に何CONなんて覚えてません)。
 いずれ内容は同人誌にまとめる予定なんで詳しくは書かないけど、印象に残った話をいくつか。

 柴野さんは、タツノコプロでSF考証を担当していた。宇宙エースの必殺技・プラチナ光線というのを考えたのも柴野さん。
 また、『マッハGOGOGO』のマッハ号のA~Gのボタンが何の略なのかも、柴野さんと広瀬正氏がいっしょに考えたのだそうだ。道理で。「ギズモ」なんて名前は当時の日本人のセンスじゃなかなか出てこないわ。

 マンガ原作者を探していた『少年マガジン』編集者に、平井和正氏を紹介したのも柴野さん。つまり柴野さんがいなかったら『エイトマン』も生まれなかったのだ。
 その『エイトマン』誕生前のエピソード。ある時、柴野さんの職場に平井氏が困って電話で泣きついてきたという。

「柴野さん、助けてください。このままじゃあのマンガ、『東京鉄仮面』というタイトルに決まってしまいそうなんです!」

『東京鉄仮面』!(笑) あかんわ、それは。絶対あかんわ。
 幸い、『8マン』というタイトルになった(命名者は加納一朗氏らしい)わけだが、『東京鉄仮面』じゃ絶対にヒットしなかっただろうなあ。 
  
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Posted by 山本弘 at 16:30Comments(0)SF

2008年09月23日

9月14日(日)日本のアニメの危機を語る

 この日はと学会例会。 会員が都内某所に集まって、各自が発見した物件を発表し合うのである。
 オタレシピとか上野トランプとかケサランパサラン栽培とかセルフ救霊カードとかミク落語とかニュートリノ紙芝居とか脳波マウスとかインドのスーパーヒーローとかロイ・フォッカー英雄伝とか台湾版絶望先生とかエヌ氏の発明とか金正日4体セットとか乳よ母よ妹よとか昆虫料理とか萌え書道とか9.11バカニュースとか、毎度のことながら、「こんなものが本当にあるんだ!?」「こんなの作る奴いるんだ!?」と驚き感心するものばかり。 (いずれまた『と学会白書』シリーズで単行本になると思うので、それまでお待ちを)
 僕が紹介したのは、前に紹介したKEKで見つけた反相対論本と、こういう本。

 子供は自分が母親の胎内にいた時のことを覚えている、それどころか胎児はすでに母親の言葉が分かるし、母親のへそから外を覗くこともできるというのだ(笑)。
 ちなみに、証言している子供の多くは、3~4歳ぐらい。うちの子もそうだったけど、わけの分からんタワゴトを喋り出す頃だ。そんなの本気にする方がどうかしている。
 他にも、逆行催眠によって、自分が精子だった頃を思い出した人や、卵子だった頃を思い出した人の証言も。 精子にもみんな魂があるのなら、一回の射精ごとに何億という魂があの世に消えてゆくわけである。
 当然、前世の記憶の話なんかも出てくるんだが、確率から言うと、人間の前世のほとんどは精子ということにならないか?

 毎回、と学会会員でない人もゲストとして参加する。この日のゲストの1人は声優の飯塚昭三さん。思わず「タンクーダ好きでした!」とミーハーしてしまう。

 この日の晩は、と学会有志による合宿である。安い旅館の1フロアを借り切って、深夜までビデオを見たりダベったりという企画。例会では時間が短すぎてできないネタも披露できるのが嬉しい。
 この夜の僕のネタは、

「手書きMADの興隆と日本のアニメ界の危機について」

 ちょっと前まで、MADと言えば本編映像を編集したものが主流だったのだが、最近は自分で(しかもたいてい1人で)アニメを手書きし、TVアニメのOPやEDを模倣する「手書きMAD」が増えてきている。
 以前は『あずまんが大王』や『カウボーイ・ビバップ』のOPのような作画枚数の少ないもの、模倣しやすいものが選ばれることが多かった(『エヴァンゲリオン』のOPも、カット数は多いけど止め絵が多いから、意外に枚数は少ない) 。
 しかし、最近はむしろ、『らき☆すた』『ハルヒ』『バッカーノ!』『ソウルイーター』など、作画枚数の多い、ぬるぬる動き回るOPEDに挑戦するのが、一種のステイタスとなってきている。
 たぶん爆発のきっかけになったのは「はる☆すた」あたりだろうが、「ニニンがニンタマ伝」や「まこにゃんダンス」なんて、初めて見た時は腰が抜けたもんだ。
 最近の傑作は、

「ジョジョの奇妙な冒険でしょでしょ」
「アイドルマスター 菊池真 パンツじゃないから恥ずかしくない誕生日PV」
「グレンラガンをミクレンリンでwith東方」
「マクロスF【射手座】」

 あたりだろうか。枚数は少ないけど、「はてなようせい」のOPを捏造したやつなんかも、けっこう好きだ。(いちいちリンク貼らないので、自分で検索してみてほしい)

 さて、こうした手書きMADは大変に面白いのだが、反面、僕は強い危惧を覚えている。
 ご存知のように、アニメーターというのは3K職業である。低賃金やきびしい労働条件で苦しんでいる人が多い。
 それでも人がアニメーターを目指すのは、アニメが好きで好きでたまらないからだろう。そして、アニメを作るには本職のアニメーターになるしかなかった。だからみんな、苦労するのが分かっていて、アニメーターの道を選んだ。
 今までは。
 だが、もう違う。プロのアニメーターにならなくても、個人でもすごいアニメが創れて、それを全国に(それどころか全世界に)配信できる時代になった。それが傑作であれば、賞賛の声もダイレクトに返ってくる。何十万回も再生され、何万もマイリストに登録される。 これは作者にとってたまらないだろう。
 だいたい、アニメーターになったって、自分の好きな作品や好きなキャラクターを描けるわけではない。地味な仕事やつまらない仕事も多いはずだ。

 だったらわざわざ低賃金で働かなくても、別に本職を持って、余暇にこつこつと個人でアニメ作った方がいいんじゃないの? 自分の好きなキャラクターを思う存分動かせるんだし。

「それにみんなが気がついたらヤバいんじゃない?」
 と言っていた人がいたけど、もう遅い。たぶん、すでにアニメーター志望者の多くはそれに気がついているはずだ。
 これから「本職のアニメーターになりたい」と思う人間なんか現われるだろうか?
 新しいアニメーターのなり手がいなくなる。それどころか、今のアニメーターもどんどん辞めていくと予想される。日本のアニメ界の危機である。
 これをどう食い止めればいいか、僕には分からない。いや、そもそも食い止めるべきなのか。
 これからは新海誠みたいな個人作家が続出し、それを動画サイトでただで見られるのが当たり前になって、商業アニメが廃れてゆくのかもしれない。あるいはすべて海外に下請けに出すようになるとか。
 大変なことだとは思う。しかし、それが時代の潮流だとしたら、どうしようもない。
  
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Posted by 山本弘 at 15:26Comments(4)ニコニコ動画

2008年09月23日

9月13日(土)『ウルトラ8兄弟』

 友人たちと3人で『大決戦!超ウルトラ8兄弟』を観に行く。
 やっぱりこういうお祭り映画は、グループで観に行って、良かったにせよ悪かったにせよ、終了後にみんなで喫茶店とかに入って盛り上がるのが正しい鑑賞法ではないかと思う。
 さて、2年前の『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』はかなりいい出来で、僕もmixiで絶賛したんだけど、今回は残念ながらツッコミどころが多すぎた。終了後、3人で食事しながらこきおろし大会になってしまった。


 警告
【以下、記憶を元に、適当に創作で補って構成しています】

【ネタバレあります】

【「好きな作品をけなされたら腹が立つ」という人は最初から読まないでください。あなたが腹を立てられても責任持ちません】




「まず、あのエピローグは完全な蛇足やな! カットしてもまったく支障ない」
「『オーディーン』を実写でやるとかっこ悪いって分かりましたね(笑)」
「いや、エメラリーダ号はそれなりに見れたから」
「それ以前に、何であれを飛ばそうと思ったんや? 必然性なんもないやん!」
「ウルトラの星に行く理由もないですよね。宇宙飛行士や科学者だけならまだしも、野球選手とかパン屋とか自転車修理屋まで、家族連れで(笑)」
「だいたい、あいつらウルトラの星に行って何するの? ウルトラマンのいない世界という設定やのに、M78星雲に行ってウルトラ一族に会えるの?」
「行ったら無人の荒野やったりしてね」
「それに星雲って言うても広いのに、ウルトラの星の場所、分かるんですかね?」
「いや、それは『君にも見えるウルトラの星』て言うぐらいやから、目測で(笑)」
「いちいちワープ中断して、『あ、あっちや』って肉眼で方向確認するんですか」
「とにかく、テレビ放映時にはあのラストはカットしていただきたい。『サイボーグ009/超銀河伝説』方式で(笑)」

「あと、あの4機の中に、大気圏外に出られへんやつが……ハイドロジェネレートユニットがないと」
「いや、あれは本物のビートルやウルトラホークと違うから。きっと昔の番組を参考に、我夢が作ったんや」
「我夢が(笑)」
「何考えるかな、我夢。船飛ばすこと考えたんもあいつやし」
「あの台詞が出たとたん、嫌~な予感はしたけどね(笑)」
「あと、今さら言うてもしかたないけど、タックスペースの窓が……」
「空気抵抗大きいうえに、視界も悪い。最悪の形状ですよね」
「小さいミニチュアなら目立たへんから許せたけど、アップでは見たくなかったなあ」

「合体怪獣の選定が間違ってる! 『どういう選考基準なのか理解しかねる』 !」
「まあ、『合体怪獣はヘボい』という伝統を守ったということで(笑)」
「そんな伝統守ってどうすんねん!? だいたい、ベースがゲスラって、どう考えても変やろ!?」
「舞台が横浜やからですかねえ?」
「『横浜と言えばゲスラ』? いや、そんな常識はないと思うけど(笑)」
「胸がヒッポリト星人というのも(笑)」
「理解できんよなあ。まあパンドンは許せるけど。だったら、これまで歴代ウルトラマンを苦しめた最強の怪獣がタッグ組んで挑戦してくることにしたら良かったんや。それやったら燃える展開になったやろ。初代マンやったらゼットンとか」
「新マンはゼットン二代目?(笑)」
「何でやねん!?」
「だったらバット星人(笑)」
「もっとあかんやろ!」
「新マンやったらやっぱりベムスターでしょ」
「ゼットンとベムスターやったら、『マックス』『メビウス』の着ぐるみ流用できるから安上がりやったのに(笑)」
「ああ、怪獣のソフビ売るために、最近のテレビシリーズに出てない怪獣にスポット当てようという配慮はあったんかもな。でも、シルバゴンとゴルドラスってマイナーやろ。僕、そんな怪獣がいたん、すっかり忘れてたぞ(笑)」
「『ティガ』やったらガタノゾーアあたりにすりゃ良かったのに」
「ああ、ガタノゾーアがベースやったら、造形的にバランス取れてたかもな。だいたい、合体した時のバランスが最悪やん」
「怪獣デザイン、誰なんですか?」
「えーと……(パンフレットに載っているスタッフリストを見て)あれ? どこにも書いてないぞ?」
「『美術デザイン』という役職名はあるけど、『怪獣デザイン』がありませんね」
「恥ずかしくて名前出せへんかったんかな(笑)。とにかく適当に寄せ集めただけという感じで、『これやったら僕にデザインさせろ!』って思ったな」
「合体した時のデザイン的なインパクトを狙うんやったら、他にも面白い怪獣、いっぱいいるんですけどね。ガボラとかアントラーとか。胸の真ん中にガボラの頭が付いてて、攻撃する時にがばっと開くって、いいと思いません?」
「港が舞台やったらペスターでもいいな」
「ペスター、どこにくっつくんですか?」
「背中。翼になるねん」

「あの3人が昭和41年に小学生って、ぜんぜん年代が合うてないんと違います?」
「いや、エピローグで『今年は横浜開港150周年』とか言うてたやろ? つまりラストシーンは2009年なんやけど、あの時点で結婚してて子供も大きくなってるということは、10年ぐらい経ってるはずやから、あの事件はおそらく1990年代の出来事なんや」
「ええーっ!?(笑)」
「それでもやっぱり年齢合わんけどな。1966年に10歳ぐらいやったら、40歳前後でないとおかしいし」
「つじつま合わんのですよね」
「あの世界の歴史は、こっちとはずいぶん違うんやろな。おそらく、あの世界では『ウルトラマン』の主人公はハヤタという名前やないし、『ウルトラセブン』の主人公もモロボシ・ダンやないはずやし……」
「なんか、そのへんのこと深く考えてなくて、『こんなもん適当でええやん』と流してるフシがありますね」

「せっかく夕子がいるんやから、何でウルトラタッチしなかったんですかね?」
「そもそも、北斗はいつ夕子からリング渡されたん? 最初は2人で持ってたのに、いつの間にか北斗が2個持ってるし」
「まあ、夕子は元看護師として、負傷者の治療に忙しかったから……」
「でも、やっぱり思い出して、リングを届けに来る描写は欲しかったですよ。あと、アキコが『私も思い出したわ』とか言うてたけど、あんた、ウルトラマンの正体がハヤタやて知らんかったんとちゃうん!?」
「わははは、言われてみればそうやな」

「久しぶりに見たけど、我夢の演技、やっぱりつらいなあ(笑)」
「いや、テレビの頃よりはましになってますよ」
「まあ、テレビに比べりゃね(笑)」
「でも、我夢って今、劇団の座長やってるはずなんですけど」
「ええーっ!?(笑)」
「アスカは何だかんだ言うても、バラエティとかで鍛えられてるから、まだ見れるんですけどね」
「ミライもああいう天然のキャラクターやから、許せるよな」
「でも、昭和組の演技もちょっと……台詞がわざとらしいんですよね」
「いや、あれは演技というより、演出のミスやと思うな。ほら、戦いを見ながら、横一列に等間隔で並んで喋るシーンあるやん? 前作でも同じようなシーンがあったけど、その焼き直しやねん。今回は前作とは設定が違って、ウルトラ兄弟としての記憶のない一般市民なんやから、かっこつけさせんと、もっと自然体で演じさせるべきやったと思うよ」

「あのフラダンスのシーンも……」
「ああ、あれもテレビ放映の時には真っ先にカットすべきやな(笑)」
「『そうだ、今日はあの日だったんだ!』とか言うから、何かストーリー上重要な伏線かと思ったら、まったく何の意味もない。ただ挿入歌流すためだけシーンですやん」
「あと、言うちゃなんやけど、おばさん4人のフラダンス見ても、あんまり嬉しくない(苦笑)」

「最後の影法師のとこも要りませんよね」
「あそこもカットしていいと思うよ。だいたい、敵を倒したと思ったら巨大化して復活して、倒したと思ったらまた巨大な敵が現われて……って、一本の映画の中で何度もやるべきやないよね。ウルトラ兄弟が倒さんでも、巨大怪獣を倒してほっとしてたら、空に大きな影が現われて、『覚えておけ、わしは何度でも復活するぞ』と言うて消えてゆくだけで十分やと思うねん」
「それだと次回作の伏線にもなりますしね」
「だいたい、ボスキャラがあんなあっさりやられたらあかんやろ」
「なんか『帰ってきたウルトラマン』のバルタン星人Jrみたいな扱い(笑)」
「『勝負はまだ一回の表だ』(笑)」
「いきなりスペシウム光線でやられるんだよなー」

「なんかあいつ、ヤプールっぽかったですね」
「まあ、ヤプールやと前作と同じになるから、別の敵にしたんやろけど。でも、『ウルトラ』シリーズに出てくる黒幕的な敵って言うたら、やっぱりバルタンかヤプールなんだよな……」
「ブラック指令は?(笑)」
「それはあかんやろ。子供に寄ってたかって倒されるような奴は(笑)」
「だったらガルタン大王(笑)」
「もっとあかんって」
「キリエロイドでもよかったのに。それとも根源的破滅招来体とか」
「ああ、破滅将来体はいいな」
「でも、破滅招来体やったら、最後にすごくでかいのが現われますよ」
「ええやんかそれでも。今回の怪獣だって、あれぐらいのサイズやろ?」

「これは個人的なわがままやけど、我夢がようやく変身するシーンで、『ガイア』の主題歌流してほしかったなあ。『ぎりぎりまでがんばって♪』『どうにもこうにも、どうにもならない、そんな時~♪』……って、あのシーンにぴったりやん」
「ですよね」
「だいたい何でダイゴ主役なん?」
「そりゃV6だからでしょ」
「今回、ミライがぜんぜん目立ちませんでしたよね。子供が喜ぶのはミライのはずなんですけどねえ」
「確かに。今の小学生は『ティガ』とか見てないやろしなあ……」
「考えてみりゃ、生まれる前ですもんね。だからダイゴとレナのドラマとか見せられても、俺たち大人はともかく、子供はきょとんとするだけですよ」

「さんざんけなしたから、いいところも言っておこう。まず、小ネタの数々が面白い!」
「坂田さん、やっぱり死んでたかー、とか」
「そりゃ役者が死んでますからね」
「郷は『坂田モータース』という名前を継いだんやね」
「でも、いまだに流星号作ってるんか(笑)」
「あのスケッチとか、当時の設定そのまんまですやん」
「山本さん、ミライのとこで爆笑してましたよね」
「『だったら新マン兄さん!』あれは受けたな。ミライの天然ボケ、いいわー。あと、万城目がSF作家!」
「ああー」
「元の世界ではSFが売れへんからパイロットやってたのに、こっちではテレビに出るほど有名なんやー、ってちょっと感動しました」
「俺はガイアが着地する時に、どーんと土が舞い上がるのが嬉しかったですね」
「あれ、『ガイア』からやりだしたんだよね」
「あと、最高に良かったのが、『ウルトラ作戦第一号』が大画面で見れたこと!」
「そこかよ!?(笑) まあ、ちゃんと『タケダタケダ』から入るのは嬉しかったなあ。でも、あの時代にカラーテレビがあるって、すごい裕福な家だよな」
「あと、お父さんが家にいるのに、夕方7時台に食事しながらテレビ見せてもらえるって、わが家では想像できませんよ。うらやましすぎますよ」
「ああー、うちはしょっちゅう、兄貴にチャンネル権、奪われてたなあ。『ウルトラマン』も後期のエピソードはほとんど本放送では見てなくて、再放送でようやく見たんやもん」

「アクションもいいところがいくつもありましたね」
「エースがバーチカル・ギロチン使うのが良かった」
「でも、切るの角だけか(笑)。もっとバサッと切ってくれよ」
「あと、アイスラッガーの分裂」
「あれもいいよな」
「ただ、遠すぎて、どこが切れてるかよう分からんのですよ。てっきり、怪獣をなますにすんのかと思ったのに」
「いっそアイスラッガーを巨大化させて一刀両断にしてもよかったかも。一峰大二やったらやってくれそう(笑)。ただ、やっぱり最近は切断シーンを自重して、はっきり見せへんよなあ」
「ですよね」
「バーチカル・ギロチン、好きなんやけどなあ」

「ところで次回作、やっぱりあるんかな?」
「もう『ラストで超巨大怪獣』というパターンは飽きたから、変えてほしいな」
「次は誰が主役ですか?」
「そらもう、今回出られへんかったコスモスとかネオスとかネクサスとかマックスとか……」
「誰が観に行くねん、それ(笑)」
「パワードは?」
「グレートもジョーニアスもいる」
「いっそアストラ主役とか」
「だからあかんってそれは!」
  


Posted by 山本弘 at 14:53Comments(2)特撮

2008年09月23日

9月5日(金)ロリコン雑誌とまたまた『詩羽』と

 この日は朝から、コアマガジンというエロ専門出版社から取材を受ける。
 いちおうどんな雑誌か見せてもらったけど、中学生や小学生の水着の写真がいっぱい載っていた。中には水着で股開いたポーズのも。すんません、正直、インタビュー承諾したのちょっぴり後悔しました(笑)。
「こういうモデルになる子ってどんな子なんですか?」と質問した。境遇は様々だが、お母さんがステージママで、娘を何とか売り出そうとしている例が多いらしい。子供の方でも、タレントやモデルになるためのステップと割り切っているという。
 いやー、あんまりこういうのはステップにはならないような気がするんですけどねえ。 どうなんだろ。
 僕が父親なら娘がこんな雑誌に載るのには猛反対するが、もちろん家庭の事情は様々だし、子供もその親も承知のうえでやってるのなら、文句つける筋合いではないのかなと思う。

 取材の内容は児童ポルノ法の改正問題について。毎号、ロリコンであることをカムアウトしている著名人にインタビューして、記事を載せているのだそうだ。
 そりゃあ、こういう業界にとっては死活問題ですからね、児ポ法改正。
 感心したのが、取材に来たライターや編集者が、ちゃんと『アイの物語』や『フェブラリー』を読んでくれていたこと。当たり前のことのようだけど、小説関係以外の取材で、ちゃんと僕の小説まで読んでくる人なんて、めったにいないよ。

「僕はヌードは好きだけどポルノはぜんぜんダメなタイプ。ポルノはほとんど買わない」
「美少女が好きだからこそ犯したくない」
「現実はもちろん、フィクションの中でもレイプを肯定したくない」
「小説を書く際には、『この娘にはどこまでやらせるか』を決めている。フェブラリーは寸止め、チャリスはとことんまで行く。その一方、絶対にエロをやらせないキャラクターもいる」
「何万人もロリコンがいれば、その中に犯罪に走る奴がコンマ何パーセントかいるのは、確率的にしかたがないこと。だからと言って、すべてのロリコンを犯罪者予備軍と考えるのは間違い」
「悪事を妄想すること自体は何も悪くない。悪いのは実行することだ」

 などと強調した。
 とどめにこう言った。

「妄想だけにしておけ。妄想にかなうものはないんだから!」

 実際、実物を見るより、勝手に妄想してる方が楽しいってこと、多いものね。数々のどうしようもない女ターザン映画のビデオを買って失望した僕が言うんだから間違いない(笑)。

 午後からは再び角川で、今度は『野性時代』の取材。昨日とほぼ同じことを言う。
 印象的だったのは、編集のNさんが、
「私も何度も読み返したけど、まだこの小説の構造を完全に解き明かしていないんですよね」
 と言ったこと。
 確かに読み返してみると、自分でもあきれるぐらい、サブテキストやらメタ構造やらマニアックなパロディやらを埋めこんでいるんである。普通に表面だけさらっと読んでもいいんだけど、再読しないと気づかないことや、マニアでないと気づかないこともあると思う。

 その後、「銀の匙」で出す児童向けSF『地球最強姉妹C&Y』の打ち合わせ。
 イラストレーターを誰にするか、これまでさんざん悩んできたんだけど、編集さんの意見で、「やっぱりこの人しかいないだろ」という人に頼むことになった。あまりにも当然すぎる選択肢なもんで、かえって今まで気がつかなかった。考えてみればぴったりかもね。
 児童書担当の女性の編集さんと、青い鳥文庫の中松まるは『すすめ!ロボットボーイ』で盛り上がる。『詩羽』の中で、明日美さんが陽生におすすめした小説だ。ほんと、理想的な児童小説であるうえに、大人が読んでも面白いんだよねえ。こういう傑作がぜんぜん注目されないというのが、何とも悲しい。
 編集さんは、この作者にも原稿を依頼したいと言っている。陽を当ててあげたいですね。

 その後、今度は富士見書房へ。
 訪れたのは数年ぶりだけど、改装してすっかりきれいになっていたのにはびっくり。ここが本当にあの汚らしかった富士見ですか(笑)。おしゃれな休憩室まであるんですが。
 来年はまたライトノベルを書かせてもらうことになった。企画書をいくつも出していて、まだどれになるかは分からないけれど、どれも書いてみたいんだよね。
 一般書にシフトしている僕だが、ライトノベルを卒業したという意識は、まるでない。ライトノベルでしか書けない作品もいろいろあるしね。
  


Posted by 山本弘 at 14:28Comments(3)美少女

2008年09月23日

9月4日(木)桜塚やっくんはすごい

 この日はまず角川書店へ。新作『詩羽のいる街』の件で、『ダ・ヴィンチ』の取材を受ける。
 ついに僕の小説が『ダ・ヴィンチ』で取り上げられるか!? 小説家としては感無量でありますよ。
 この日、参考資料として持って行ったのは、1991年に出した『ようこはようこ2』。アニメ『アイドル天使ようこそようこ』の同人誌である。
 これに載せたエッセイで、すでに「七、八年前から」構想しているとして、『詩羽』のプロットが書いてある。つまりまだ20代後半、1984年頃ということになる。20ン年越しの構想がようやく実ったわけだ。我ながらすげえ。
 あらためて当時のプロットを読み返してみたけど、タイトルが『詩羽のいる街角』だということや、詩羽が16、7歳の少女だという以外、基本設定はほとんど変わってない。「触媒」という概念もちゃんと出てくる。
『詩羽』は「著者初のノンSF」として宣伝されているもんで、中には「山本弘が新境地を開拓した」とか誤解する人も多いんじゃないかと思う。そうじゃない。20代からずっと、僕の頭の中には『詩羽』があったんだ。ずっと書きたかった小説だったんだ!
 ちなみに表紙イラストは『図書館戦争』の徒花スクモさん。推薦文は乙一。
 これで売れてくれなきゃ、世の中おかしい。


 夕方、楽工社のSさんとともに下北沢の小劇場「楽園」に。
 この劇場、すごいよ。元は法律事務所と居酒屋か何かだったのをぶち抜いて改造したんだそうで、とてつもなく変な構造なのだ。
 上から見るとL字形になっていて、Lの曲がってるところが舞台、そこから2方向に客席。しかも客席の間にはでっかい柱。
 ……何でこんな劇場を作ろうと思ったのか。
 いちおう楽屋はあるものの、ひどく狭い。舞台の上手下手というものがないものだから、役者は時には裏口から劇場の外に出て、ビルを半周して入口から入り、客席側から登場することもあるという。
 ホラーの芝居なんかやってると、斧を持った殺人鬼の格好で、胸に血糊なんぞつけて街を駆け抜けなくちゃならんのだそうだ。やばいぞ。

 今回の企画は唐沢さん主催の「ホラリオン~笑いと恐怖の大祭典~」のひとつ。「と学会・トンデモ本特別講座~オカルト番組特集」。
 ぶっちゃけて言えば、これまでロフトプラスワンや三越カルチャーセンターやSF大会でさんざんやったネタ――オカルト番組のビデオを見ながら、トリックやヤラセを暴いていくというもの。
 最初に「前にロフトに来られた方」と手を上げてもらったら、2回とも来たという方が何人も。すみません、ほとんどネタ使い回しで。
 ちなみに、前日は木原浩勝さんが心霊写真を見せまくってたらしい(笑)。それを聞いたもんで、急遽、ネタの順序を入れ替えて、昔の関西ローカルの番組『ワイドYOU』の人気コーナー「心霊写真の謎を暴く」を見せることに。写真の専門家の先生が、原理を解明し、実際に撮影場所に行って、同じ写真を撮ってしまうというものである。
 他にも、『これマジ!?』であったネタで、暗い森の中でビデオカメラに映っていた「霊」と称する白い曲線を紹介(その正体は飛び回っていた蛾の軌跡)。
 ちなみに、翌日の企画では、ゲストの人が「あたしも心霊写真撮ったんです」と言って同じような写真を見せたもんで、客席から「虫」「虫」「虫」「それ虫」という声が上がっていたそうな(笑)。

 今回のゲストは桜塚やっくん。
 驚いたのは、やっくんがものすごく観察力が鋭いということ。初めて見るビデオのはずなのに、
「カメラ、傾いてるじゃないですか!?」
「あの子、ガン見してますよ!」
「何か抜いてる!」
 などとバンバンつっこんで来るのだ。一回見ただけであれだけ見抜ける人間は少ない。すっかり感心した。
 僕の公演の後、即興でコントを披露してくれたんだけど、僕が適当に出したお題で(ちょっと苦しかったけど)ちゃんと笑わせてくれてオチをつけていたのには感心。あれ、裏で仕込みなんかしてませんから。ほんとにアドリブですから。

 終了後、焼き肉屋で打ち上げをやる。どうでもいいけど、観客が50人ぐらいしかいなかったんですが、あれで元が取れるんですかね。ちと心配。
 帰りはやっくんと同じタクシーに乗って新宿へ。途中、いろいろと話をする。オフレコのこともあるので詳しくは書けないけど、ある裏事情を聞いて、「やっぱり芸人さんも大変なんだなあ」と、つくづく思った。
 ちなみに僕は、去年のSF大会で、『エンタの神様』の紙芝居のパロディやったことあるんで、あの紙芝居作るのがどれだけ大変か、身に染みて知ってます(笑)。
  
タグ :オカルト


Posted by 山本弘 at 14:11Comments(5)オカルト

2008年09月13日

8月24日(日)怪獣と『マップス』とニセ科学

 SF大会2日目。この日の出演企画は3つ。おかげで娘の相手をほとんどしてやれなかった。すまん、娘よ。(でも、ずっとキッズルームで遊んでて、退屈はしなかったみたい)
 ちなみに、娘の1日目のコスプレはメイドさんだったが、2日目のコスプレは、妻がこの日のために仕上げた『しゅごキャラ!』のあむちゃんである。
 お前はいい親を持って幸せだな。

●「『MM9』の世界を語る!」

 開田裕治さんとの対談。創元社の人が録音してたから、いずれ何かに使うかも。
「僕らが子供の頃は、ミニチュアを吊るすピアノ線が見えてても、『見えなかったことにしてあげよう』と思って許してあげてたんだから!」
「『恐竜100万年』は子供心にも科学的に間違ってると分かって見てた」
「スピルバーグの『宇宙戦争』は怪獣映画だ」
「ハリウッド版『GODZILLA』がダメだったのは、自分たちの住む街が破壊されるというのはどういうことかを、アメリカ人が実感できなかったから。しかし、アメリカ人は9.11を体験して、ようやく都市が破壊される恐ろしさを知った。『宇宙戦争』『クローバーフィールド』には9.11の記憶が反映されている」
「一方、初代『ゴジラ』には東京大空襲の記憶が反映されていたが、最近では逆に日本人の記憶が薄れ、都市破壊の恐怖を理解できなくなっているのではないか。怪獣はビルさえ壊せばいいってもんではない」
 などなど、これまでいろんなところで語ってきたことの繰り返しだったんだけど、それなりに盛り上がったとは思う。話を合わせてくださった開田さんに感謝。
 最も力説したのは、

「怪獣は死に様がかっこよくなくてはいけない」
「ゴメスは死ぬ時の尻尾の動きがかっこいい!」

 わざわざDVD持ってって、「ゴメスを倒せ」の一場面、流しました。あの、ドスーンとひっくり返った後、尻尾が空中で揺れる動きがいいんだわー。しびれるわー。
 もちろん『MM9』続編の宣伝もした。
 実はあのラストの後では何を書いても蛇足だろうと思って、続編は書かないつもりでいたんだけど、唐突にアイデアを思いついちゃったもんで、書くしかなくなったんだよね。
 
 開田さんは『MM9』の表紙イラストの完成までの過程を紹介。「そうやって描いてたんだ!?」と感心しました。

●「マップス・シェアードワールド小説集」

 出席する予定じゃなかったんだけど、僕もシェアードワールド2巻に参加してる関係で、急遽出席。他の出席者は、長谷川裕一さん、秋津透さん、中里融司さん、葛西信哉さんら。
 裏話もいろいろ。ネクシート号の操縦方法、最初は「胸」だったんだけど、編集さんに「それだけはやめてくれ」と言われて膝小僧になったんだそうな。そりゃ止めるわなあ(笑)。でも「膝はかえってエロい」と好評。
 他にも、昔の単行本の誤植「究極の道化者」をめぐる話題いろいろ。すみません、文庫版から入ったもんで、ついていけません。
 2巻目の執筆陣や作品の内容については、まだ秘密にしておいてくれと言われてるんだけど……でも、正直言って、秘密にする意味がよく分からん。今からぶち上げて話題を盛り上げた方が良くない?
 最後に質問コーナーがあったんで、僕から長谷川さんに質問。
「超機動グラジオンとヘクススキー教授の身長は何メートルですか?」
 小説書いててこれが困ったんだよね。グラジオンはゲンとの対比から身長30~40メートル、ヘクススキー教授はリプリム号や戦闘機との対比から、もう少し小さいんじゃないかと思ったんだけど……。
 長谷川さんの返答は「パトレイバー以上、コンバトラー以下」(だったっけ?)というアバウトなもの。まあ、エヴァンゲリオンも「40メートル以上、200メートル以下」ですしね。
 あっ、しまった。「『大外伝』は長谷川さんの中ではオフィシャルなんですか?」と訊ねるの忘れた。

●「“ニ”はニセ科学の“ニ”」

 菊池誠さんの企画。堺三保さんと出演。
 やっぱり、これまで語ってきたことの繰り返しみたいになっちゃって、あんまり新味がなかったかなと反省している。KEKで見つけた反相対論本とかも、話のタネに持って行ったりしたのだが。

 5日間で出演企画5つ。おかげで他の企画をほとんど回れませんでした。
  
タグ :SF


Posted by 山本弘 at 20:41Comments(4)SF

2008年09月13日

23日(土)ヤマトとミクとオカルトと

 大阪で開かれた第39回日本SF大会1日目。娘ととともに参加。
 会場の表ではロボットの展示と実演をやっていて、娘もちょっとだけ操縦していた。

 いちばん印象的だったのはアート展示室。イラストの他にも模型の展示が多かった。
 高さ50cmぐらいあるジアースとか、新しいものもある反面、古いキットがいろいろあって楽しかった。1/200のデストロイドを使った格納庫のジオラマとか、ガレオンとかコルドバとかパワードスーツとか。当時造ったものを保存してたのかしらん。保存状態いいなあ。
 フルスクラッチのソロン号(しかも通常形態と突撃形態の2種)には、「こんなもん造る人がいるんだなあ」と感心。
 ジェリー・アンダーソン関連では、今さらスカイワンだのインターセプターだのには驚かないが、ドッペルゲンガー号(ガレージキットか?)があったのにはちょっと感激。好きなんだよー、ドッペルゲンガー。

 はーい、今挙げたメカの出演作品がすべて言える人はオタクですよー(笑)。

 でっかいヤマトが楽しかった。リモコン操作で、主砲やパルスレーザー砲が動いたり、波動砲が光って発射音がしたりするやつ。リモコンをいじらせてもらえたので、思わず、「全員、耐ショック、耐閃光防御!」と言ってしまう。ヤマトを知らない娘も気に入ったみたい。


 この日の企画は2つ。
 最初は「ボーカロイドが世界を侵蝕する」。これは僕の立てた企画。野尻抱介さん、松浦晋也さん、それにクリプトン・フューチャー・メディアの佐々木渉さんを招いて、『初音ミク』発売からこの一年の歩みを振り返り、未来を展望しようというもの。
 佐々木さんからはいろんな話が聞けた。『ミク』のパッケージの梱包は、最初、佐々木さんともう一人の社員が手作業でやっていたというにはびっくり、当然、人気が爆発して注文が殺到してからは、えらいことになったとか。
 あの『アッコにおまかせ』事件の裏側を語っていただいたのも貴重。
 本当はもっとボーカロイド作品を見せたかったんだけど、僕の持参したノートパソコンがフリーズするというトラブルのせいで、予定がだいぶ狂ってしまった。フォローしていただいた野尻さんに感謝。
 野尻さんはニコ動にアップした携帯みくみくクプレイヤーの実物を持ってきていた。と小さいけどちゃんとネギ振るんだよ。僕はこういうスキルがないんで、ほんとにうらやましい。

 ちなみにミクは今年の星雲賞の自由部門を受賞。39回で「ミク」というのも、面白い偶然だなあ。

 もうひとつの企画は「超能力番組を10倍楽しむ本」の出張版。キッズルームでやる子供向けの企画だったはずなのに、集まってきたのは大人ばっかり(^^;)。
『FBI超能力捜査官』でのマクモニーグルの経歴紹介「イラン大使館人質事件を解決」のところで爆笑していた人が何人も。

 どうでもいいけど、荷物が多くて帰りは大変でした。同じ大阪府下とはいえ、近くに宿取りゃ良かったなあと反省。
  
タグ :初音ミク


Posted by 山本弘 at 20:34Comments(0)SF

2008年09月13日

8月19日(火)フェブラリーのアレに触れる

 翌日はつくばのKEK(高エネルギー加速器研究機構)の見学。
 最初に訪れた見学者用の展示室で、いきなり興奮した。

「エアロゲルだーっ!」



 解説しよう。これはシリカを原料にした乾燥ゲルで、体積の90%以上が空気という代物。だから異常に軽い。ほぼ無色なうえに、屈折率が空気に近いので、そこにあるにもかかわらずうっかりすると見過ごしてしまうという、何とも奇妙な物質だ。
 これはチェレンコフ放射を利用して、放射線の検知素子として使われている。
 僕がこの物質の存在を知ったのは、20年ぐらい前の『サイエンス』の記事。さっそく『時の果てのフェブラリー』に登場させた。超知性体の操る多面体UFOが、エアロゲルで構成され、内部のモノポールによって磁場を操り、低重力の中で浮かんでいるという設定である。
 でも、現物を見たのはこれが初めて。しかも手で触れる。
 軽い! 軽いよ!
 実際の密度は分からないけど、感覚的には発泡スチロールより軽く感じた。
 展示してあったのは破砕したかけらみたいだったので、「すみません、これ、おみやげにもらっていいですか?」と思いきって申し出たら、OKしてもらえた。何で僕がこんなにエアロゲルにエキサイトしてるのか分からなかったみたいだけど。
 でも、もろいのが欠点なんだよね。カメラのバッグに入れて持ち帰ったんだけど、大阪に帰るまでにかなり粉々になってて、小さなかけらしか残ってませんでした。残念。
 これ、透明なケースにでも入れて、おみやげとして売ってくれないかな。さすがに使用済みの放射化したやつはまずいだろうけど。壊れたやつとか捨てちゃうのもったいないよ。

 他にも印象的だったのは、電子と陽電子をぶつけて素粒子の対称性の破れを探るBelle実験施設――と言うより、厳密にはその裏側のコンピュータ・ルームに感動しました。
 ケーブルがまるでジャングル!
 これはツタだよツタ!

 部屋中、びっしりとケーブルがはびこっていて、間違って抜いちゃったら元通りにちゃんと接続し直せるんだろうかと不安になる。

 もちろん加速器などの施設も見学。
 旧式のコッククロフト・ウォルトン型高電圧発生装置が、評判通り、『鉄腕アトム』に出てきそうな美しさ。周囲の壁がすべて金属で覆われているのもかっちょいい。

 最後に解説と質疑応答のコーナーがあった。
 現在、計画が検討中なのが、ILC(International Linear Collider)。各国共同のプロジェクトで、全長30kmのトンネルを掘って、その中に500GeVのでかい直線加速器を建設しようというもの。まだ日本に建設するかどうかは決まっていないが、建設されるとしたら、これまたネタに使えそう。

 ツアー参加者の一人が、「昔、『銀河英雄伝説』でX線レーザーというものが出てきたのですが、それがどんなものかようやく分かりました」と言っていたのが印象的。
 KEKの人たちにしてみれば、自分たちのやっていることをもっと世間に知ってもらいたいのだろうけど、SF作家としてはやっぱり、「小説の中に使えるか」を優先して考えちゃうんだよね。

 ところで、なにせ広い施設だから、中には食堂もあればコンビニもあれば書店もある。
 見学の合間の休みに時間に、ふらりと書店に入ってみた。やっぱり物理学関係の本が多いなあ……と思ってたら、トンデモ本を発見!

http://www.amazon.co.jp/dp/4434120182/

 内容的にはよくある、素人が「相対性理論に間違いを発見した!」と主張する本。前に別の書店で見かけていたのだが、「この本はKEKでゲットすることに意義がある!」と思って、話のタネに買ってきた。
 しかし、現代物理学の最先端の場所でこんなの売ってたって、買う人間いるのかね?
 ちなみに、やはりKEK内のコンビニに入った人の話によると、江本勝の『水は音楽を聴いている』も売っていたそうである。 うわあ。
  
タグ :サイエンス


Posted by 山本弘 at 20:25Comments(1)サイエンス