2016年06月06日

また『幻解!超常ファイル』に出ます。

 BSプレミアム6月9日(木)放送です。
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http://www4.nhk.or.jp/darkside/
午後9時00分~ 午後10時00分
幻解!超常ファイル17「超能力捜査の謎&究極UFO解析バトル」
アメリカ直撃取材!未解決事件を解き明かす超能力捜査はホンモノか?全米の警察が証言した衝撃の実態とは?▽究極の映像分析バトル!未解明UFOにプロ解析チームが挑む!

“光と闇”の栗山千明が超常現象の謎に迫る、シリーズ最新作!▽「ターゲットはここにいる!」未解決事件の犯人や行方不明者を“遠隔透視”で探る超能力捜査。本場アメリカを緊急取材!超能力者は本当に事件を解決しているのか?刑事たちの衝撃証言で意外なからくりが明らかに!▽これは隠しておきたかった!番組スタッフが解明できなかったUFO映像に、究極解析チームが挑む!ホンモノかニセモノか?前代未聞の映像分析バトル!

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 今回、僕が出演するのは前半の「超能力捜査の謎」。
 テレビの超能力捜査番組がなぜ的中しているように見えるのかを検証するというものなんですが、スタッフの方は僕の著書『超能力番組を10倍楽しむ本』を参考にされていました。

 東京に行った時に、事前に打ち合わせしました。資料も提供したんですが、さすがに民放の番組名は具体的に出せないので、どう取り扱えばいいかと悩んでおられた様子。そこで僕が「こういう実験をやってみたら」と提案したところ、それが受け入れられて、やっていただけました。
 どんな実験かは観てのお楽しみに。正直、うまくいくかどうかあまり自信なかったんですが、結果はかなり劇的なものになりましたよ。

  


2015年12月12日

新作『怪奇探偵リジー&クリスタル』

『怪奇探偵リジー&クリスタル』
角川書店 12月26日発売 1944円

 第二次世界大戦直前の一九三八年。ロサンゼルスのダウンタウンに探偵事務所を構える私立探偵エリザベス・コルト(通称リジー)と助手の少女クリスタル。二人の元に舞いこむのは、猟奇的な殺人事件や超常現象など、常識はずれの奇怪な事件ばかり。だが、そんな事件に立ち向かう二人も、ただの人間ではなかった!

 こんな話を思いついたきっかけは、戦前戦中のアメリカのホラー映画やモンスター映画、パルプ雑誌などについて調べているうち、こうした懐かしいB級作品の香りを現代に蘇らせられないかと考えたことです。科学が進歩し、コンピュータやインターネットが普及した現代に、こうした話は似合わない。だったらいっそ、ああいう映画や雑誌が実際に作られていた時代を舞台にした方が面白いと。
 また、『事件記者コルチャック』や『狼女の香り』、最近だと『ドクター・フー』や『秘密情報部トーチウッド』といった海外の一話完結式の怪奇・SFドラマが好きなもので、以前からああいう話をやってみたかったということあります。もちろん、先行作品とはかぶらないように、2人のヒロインは非常にユニークな設定にしています。各話のストーリーにしても、「こんなの山本弘でないと書けない」と言ってもらえるようなものばかりだと自負しております。
 ホラーあり、サスペンスあり、SFあり、ミステリあり。スプラッタもあれば笑いもあり、時にはしんみりとさせる。そんな自由奔放でにぎやかな世界が『リジー&クリスタル』なのです。


●第一話 まっぷたつの美女
 リジーの探偵事務所を訪れた美女が、奇妙な相談を持ちかける。恋人が猟奇的な表紙を売り物にしているパルプ雑誌を買い集めているのが不安だというのだ。リジーに説得されて帰っていったが、数日後、まさにパルプ雑誌の表紙を模したかのような残酷な殺人事件が起きる。

 リジーとクリスタルの人物紹介を兼ねた第一話は、この小説を書くきっかけになった、30年代アメリカで流行していたパルプ小説誌をネタにした話。作中に登場する雑誌はすべて実在のもの。この時代のアメリカでは、こんな雑誌が山ほど出てたんです。


●第二話 二千七百秒の牢獄 
 一九三二年、ユニバーサル映画が製作していたものの、さる事情で未完成に終わった密林映画『豹人の女王』。6年後、そのフィルムをめぐって、ユニバーサルの創始者カール・レムリの身に奇怪な現象が起き、リジーもそれに巻きこまれる。フィルムに潜むアフリカの邪神ニャーマトウ。クリスタルはリジーたちを救うため、名特撮マン、ジョン・P・フルトンに助けを求める。

 ジョン・P・フルトンは実在の人物。『透明人間』(33)や『フランケンシュタインの花嫁』(35)の特撮技術は、今見ても素晴らしいです。
 彼に興味を抱くうち、「もしフルトンが恐竜の出てくる特撮映画を作っていたら」と思いつき、その映画の内容を妄想するうちにでき上がったエピソード。『豹人の女王』は完全に架空の映画なんですが、いかにもこの時代に作られていそうなものを考えました。

●第三話 ペンドラゴンの瓶
 一八八〇年、コロラドの田舎町を訪れたカーニバルで、少年が目撃した正体不明の「ペンドラゴンの瓶」。一九三八年、カリフォルニアの山中で起きた謎の獣による惨殺事件。そして一六一七年、イングランドの錬金術師ペンドラゴンが美しい娘ベスを殺害した事件──三世紀の時をまたいで、事件がひとつの線となって結びつく。

 ヒントになったのはレイ・ブラッドベリの「瓶」という短編。何が入っているのか分からない奇妙なガラス瓶をめぐる話です。
 これ以上は何を書いてもネタバレになりそうなのでやめておきます。話が転がってゆく様をお楽しみください。

●第四話 軽はずみな旅行者
 とあるダイナーで、リジーはギャングのカジンスキーと話している男を目にする。数日後、ルークと名乗るその男が探偵事務所を訪れ、カジンスキーに奪われたアタッシェケースを取り戻してくれと依頼する。彼はあるアイテムを手に入れるために二十一世紀末からこの時代にやってきたタイムトラベラーで、アタッシェケースを取り返さないと歴史が決定的に歪んでしまうというのだ。

「怪奇探偵」というタイトルから受けるであろうイメージから大きくはずれた、コミカルなSF話。まあ、『コルチャック』にもロボットや宇宙人が出てくる話がありましたからね。こういう話もアリなのが『リジー&クリスタル』なのです。
 特に後半、SFファンなら大喜びする趣向を盛りこんでおります。

●第五話 異空の凶獣
 かつてクリスタルの母が取り組んでいた四次元空間の実験。科学者ウィッシュボーンがその実験を再開させたところ、地球に隣接する異空間の惑星から、透明な肉食生物ドロウルがこちらの世界に侵入してきた。人間に知られることなく凶行を重ねるドロウル。その姿が見えるのはクリスタルだけなのだ。

 クリスタルと異次元生物の死闘を描くサスペンス編。これもSFファンなら、A・E・ヴァン・ヴォクトの「黒い破壊者」を連想するでしょう。(クァールは透明じゃないですけど)

  


Posted by 山本弘 at 19:14Comments(12)SFオカルトPR レトロ

2015年12月12日

『「新」怪奇現象41の真相』

ASIOS編
『「新」怪奇現象41の真相』
彩図社 12月24日発売 842円


 ASIOSの新刊です。まだまだネタは尽きないですね。
 今回は最初からコンビニ売りになりますので、初版部数も多いです。値段もこれまでのシリーズより若干安く、お求めやすくなっております。

 目次 (カッコ内は執筆者)

第一章 世界を騒然とさせた「怪奇・超常現象」の真相

夢に現れる謎の男「THIS MAN」(本城)
ボリビアの怪人「シャドーマン」(横山)
マヤのピラミッドから伸びる光の柱(本城)
ウィツタブルのポルターガイスト(本城)
宮殿に現れた悪霊「グレイ・レディ」(本城)
警察官を襲う森の精霊「ノーム」(本城)
アポカリプティック・サウンドの謎(本城)
アルゼンチン「幽霊ブランコ」の怪(若島)

第二章 宇宙からの来訪者「UFO事件」の真相その1

黒騎士の衛星は実在するか?(寺薗)
「バナナTV」のUFOは本物か?(秋月)
地球製UFO「TR‐3B」の墜落写真(蒲田)
エルサレムのUFOビデオ(皆神)
大空を飛ぶ「不定形UFO」の正体は?(秋月)
ボイド・ブッシュマンの死の告白(加門)

第三章 人類の未来を見通す「大予言」の真相

世界情勢を予言する「イルミナティ・カード」(山本)
イルカの大量座礁死は大地震の前兆か?(山本)
ネットに広まる「ヒトラーの予言」(山本)
ゲリー・ボーネルの予言(山本)
ブルガリアの予言者「ババ・ヴァンガ」(羽仁)
タイタニック号沈没を予言していた小説(山本)

第四章 宇宙からの来訪者「UFO事件」の真相その2

太陽から給油する超巨大UFO(寺薗)
喜望峰に現れた空飛ぶ円盤の写真(本城)
タリバンを攻撃するUFO型戦闘機(羽仁)
「ロズウェル・スライド」の正体(蒲田)
実在した!? アメリカ空軍UFO調査機関(秋月)
パスカグーラUFOアブダクション事件(加門)

第五章 未知の怪生物と遭遇「UMA事件」の真相

コロラドの「スカイ・クリッター」(本城)
未知の巨大地底生物「トレマーズの死骸」(横山)
謎のミイラ「アタカマ・ヒューマノイド」(本城)
「遠野のカッパ伝説」の真相(皆神)
大発見! 人魚伝説の新たな真実(皆神)
海岸に打ち上げられたドラゴンの死骸(横山)
ウィンダミア湖の怪獣「ボウネッシー」(横山)
超巨大アナコンダとタコ宇宙起源説(横山)

第六章 歴史を変える大発見!?「超古代文明」の真相

ドワーフの都市マクハニックは実在する?(本城)
マンチェスター博物館の動くエジプト像(皆神)
太陽系を司る!? ニネヴェ定数の謎(山本)
死の連鎖が続く「アイスマンの呪い」(ナカイ)
「聖徳太子の地球儀」はオーパーツか?(藤野)
ドイツ・ボンの錆びない鉄柱(原田)
伊勢神宮の神鏡にヘブライ文字がある?(藤野)


 ご覧の通り、僕が担当したのは「イルミナティ・カード」「イルカの大量座礁死」「ヒトラーの予言」「ゲリー・ボーネル」「タイタニック号沈没を予言していた小説」「ニネヴェ定数」です。
「イルミナティ・カード」については、このブログでも何度も取り上げたし、別の本でも紹介したんですが、まだ真相を知らない人が多いんじゃないかと考え、もういっぺん取り上げることにしました。これ、単なる珍説というだけじゃなく、スティーブ・ジャクソン・ゲームズに対する誹謗中傷ですからね。デマを根絶するために、何度でも事実関係を説明しておく必要があると思いました。
「タイタニック号沈没を予言していた小説」は、2年前に同人誌に書いたネタを書き直したものです。
「ヒトラーの予言」は、五島勉氏の創作だってことが知られていないまま、事実であるかのように拡散してるんですよね。やっぱり誰かが真相を書いておくべきかと思いました。
 あと、ゲリー・ボーネル。何であんなに盛大に予言をはずしてきた人物がいまだに信じられているんでしょうか? 不思議でなりません。
「ニネヴェ定数」は前に志水一夫氏が『トンデモ超常現象99の真相』で取り上げていましたが、ツッコミ方が不十分だったので、今回は徹底的に書き直しました。なぜ「「195兆9552億」などという数字が誤訳によって生まれたのか、なぜそれが特別な数字に見えるのか、これを読めばすっきりすると思います。

  
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2015年12月12日

LiveWire「死霊のクリスマス ~ホラーとゲームを語る夜 」

山本弘のSF秘密基地LIVE#53

死霊のクリスマス ~ホラーとゲームを語る夜

 今月は新作『怪奇探偵リジー&クリスタル』(角川書店)およびASIOS『「新」怪奇現象41の真相』(彩図社)出版にちなみ、怪奇特集です。作家・ゲームデザイナーの友野詳氏をゲストに迎え、若い頃から親しんできたマンガ、小説、映画、テレビドラマなどのホラー作品の魅力や、それらを創作にどう反映させているかといった裏話を語り合います。妖怪の話もいっぱい。『妖魔夜行』『クトゥルフの呼び声』『ゴーストハンター』などのホラー・ゲームの話題もいろいろ。妖怪の好きな方、ゲームの好きな方、クリスマスは怖い話で盛り上がりましょう!

[出演] 山本弘 友野詳

[日時] 2015年12月25日(金) 開場・19:00 開始・19:30

[会場] なんば紅鶴(大阪市中央区千日前2-3-9 レジャービル味園2F)南海なんば駅より南海通り東へ180m・駐車場有

[料金] ¥1,500
(店内でのご飲食には別途料金がかかります。入場時に別途ワンドリンクをご購入いただきますのでご了承ください)

チケットのご予約はコチラ↓
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=96140959
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 久しぶりに友野くんにゲストに来ていただくことになりました。知る人ぞ知るホラーマニアで、聞いたこともないようなゾンビ映画を山ほど観まくっている男です。
 先日、グループSNEの忘年会で会った時に、トークのだいたいの方向性でも決めておこうと思って、「みんなが食いつく話題って何だろう? 『事件記者コルチャック』あたり?」「いや、『コルチャック』はマイナーでしょ」とか、いろいろ話したんですが、結論は出ませんでした。どんな話が受けるのか予想がつかない。『コルチャック』がマイナーだったら『悪魔の手ざわり』とか『真夜中の恐怖』とかはどうなるんだと(笑)。
『悪魔の手ざわり』はまだマニアの間では名が知られてるんですけど、『狼女の香り』とかになると、SNEの内輪でも「何それ?」とか言われたりします。いや、好きなんですけどね、どれも。
 とりあえず、先日亡くなられた水木しげる先生の話を枕に、好きなホラーマンガとか、ドラマや映画やゲームの話題を語ってゆくつもりです。お楽しみに!
  
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Posted by 山本弘 at 18:23Comments(3)オカルト特撮PR映画ゲーム

2015年05月11日

新連載『怪奇探偵リジー&クリスタル』

 角川書店の電子書籍マガジン『文芸カドカワ』にて、今月号から連載開始しました。


 時は第二次大戦前の1938年。ロサンゼルスの女性私立探偵エリザベス・コルト(通称リジー)と助手の少女クリスタルのコンビが、毎回、怪奇な事件を捜査するというシリーズ。

 第1話「まっぷたつの美女」は、当時流行していたパルプマガジンの猟奇的な表紙絵に見立てた惨殺事件が起きるという話。

 第2話「二千七百秒の牢獄」は、当時ユニバーサルが製作した幻の特撮映画(もちろんフィクションですけど) をめぐる奇談。

 分かる人には分かると思いますが、『事件記者コルチャック』みたいな話をやってみたかったんですよ。主人公が毎回、いろんなパターンの怪奇事件に遭遇する話。
 あと、『ドクター・フー』とか『トーチウッド』とか『秘密指令S』とかのイギリスの変な番組ってけっこう好きなんで、ああいうノリもやってみたい。
 本当にオカルト現象が起きる話もあれば、合理的に解決する話もあります。タイムトラベラーなどのSF的なガジェットが出てくる話も予定してます。まあ、『コルチャック』だって宇宙人とかロボットとか出てきましたからね。 逆に幽霊とか吸血鬼みたいな、ありきたりの「怪奇」は出ません。
 ジャンルにこだわらず、その回の話がミステリなのかホラーなのかSFなのか読んでみないと分からない、自由奔放でごった煮のようなシリーズにしていきたいです。

 ちなみに、「怪奇探偵」という言葉には二重の意味があります。怪奇な事件を扱うという意味と、探偵自身が怪奇という意味と。
 たとえば、助手のクリスタル。『ゴーストハンターRPG』のシナリオ「月光のクリスタル」を知ってる方なら、最初から正体が分かると思います。そうです、あのキャラクターの設定、流用しました。
 リジーもかなり怪奇なキャラクターなんですけどね。それは読んでのお楽しみってことで。

 あと、基本は「エロとグロ」(笑)。

 エロいシーンとグロいシーンをなるべく入れようと思ってます。特にエロ。毎回、二人のヒロインのどっちかが(あるいは両方が)必ず脱ぎます!
 とにかく徹底的にB級を、それも最高に面白いB級を目指してます。
  


Posted by 山本弘 at 17:32Comments(4)SFオカルトPR レトロ

2015年01月09日

ビブリオバトル・チャンプ本『ゲームウォーズ』

 先月26日のLiveWire「ビブリオバトルをやってみよう」は成功でした。応援を頼んだ鋼鉄サンボくんや、阪大の菊池誠先生、神戸大学の学生さんらの協力もあり、ビブリオバトルの実演が盛り上がりました。
 紹介されたのは次の4冊。

小田雅弘『模型歳時記』(トイズプレス)
吉川浩満『理不尽な進化 遺伝子と運のあいだ』(朝日出版社)
高野秀行『幻獣ムベンベを追え』(集英社)
アーネスト・クライン『ゲームウォーズ』(SBクリエイティブ)

 どれも面白そうだ!
 僕が投票したのは、鋼鉄サンボくんが持ってきた『模型歳時記』。いやー、『理不尽な進化』『幻獣ムベンベを追え』も前から評判は聞いていて、読もうと思ってはいたんですけどね、やっぱりストリームベースの小田さんのエッセイ集ときたら、読むしかないでしょ!
 結果は僅差で、僕の紹介した『ゲームウォーズ』がチャンプ本になりました。本当はもっと大差つけて勝つつもりでいたんだけどなあ。

 というわけで、チャンプ本になった記念に、『ゲームウォーズ』の内容を紹介いたします。できるだけビブリオバトルの雰囲気を出すために、会場で喋った内容を可能な限り思い出して再現してみました。

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 どうも、今日は勝ちに来ました!
 というのも、この本はすごく面白い! 読み終わって何日も興奮が収まらなかった。そんなすごい本なんです。冷静に紹介してなんかいられない。エキサイトさせていただきます。
 アーネスト・クライン『ゲームウォーズ』。近未来を舞台にしたSFです。
 時は2041年。〈オアシス〉というバーチャル・ゲームが全世界に普及しています。単なるゲームじゃなく、すでにインターネットはほとんど〈オアシス〉と一体化しています。たとえば学校教育なんかも〈オアシス〉が使われている。生徒は自分の家にいながら、仮想空間の学校に通って勉強ができる。そういう時代なんです。
 そんな時、〈オアシス〉の開発者である天才プログラマーのハリデーという男が亡くなります。彼は死の直前に遺言を残していて、その映像が全世界に流れます。その遺言というのは──
「私の資産、総額2400億ドルを1人の人物に譲る」
 彼は〈オアシス〉のどこかに〈卵〉を隠した。いわゆる「イースター・エッグ」というやつですね。それを手に入れた者が遺産を受け継ぐことができるんです。

 さあ、このあたりでもう、頭の中に『ONE PIECE』のOPのナレーションが流れてきて(笑)、盛り上がってくるわけですが。
 当然、世界中の人間が〈卵〉探しに熱中します。〈卵〉を手に入れるためには3つの鍵が必要で、まずその鍵を見つけなくちゃいけないんですが、それがなかなか見つからない
 というのも、〈オアシス〉の世界はとんでもなく広いんです。何千というワールドがあって、それぞれに何十もの惑星がある。行き当たりばったりに探したって見つかるわけがない。ハリデーの遺したヒントを解かなくちゃいけないんです。
 ここで重要なのが、ハリデーは1972年生まれだという設定。つまり1980年代に少年時代と青年時代を過ごした。おまけに、がちがちのオタクです。
 だもんで、ハリデーの遺した謎を解くためには、80年代サブカルチャー──ビデオゲーム、TRPG、映画、ドラマ、音楽、アニメとかに関する膨大な知識が要求されるんです。

 ここに登場するのが主人公のウェイドという少年、高校生です。かわいそうな身の上なんですよ。両親を早くに亡くして、おばさんに引き取られてるんですけど、貧乏だからトレーラー・ハウスに住んでる。社会の最下層の人間です。でも、オタクなんです。ゲームに課金とかできないから、〈オアシス〉の中でも、ただで遊べる古いゲームばかりプレイしてる。
 そのウェイドが、あるきっかけで、最初の鍵を発見するんです。たちまちネットの世界で有名人になってしまいまして、〈卵〉の争奪戦に巻きこまれます。
 当然、悪役も出てきます。IOIという世界的大企業が、ハリデーの資産と〈オアシス〉の乗っ取りを企んで、〈卵〉を先に手に入れようと卑劣な工作を仕掛けてきます。目的のためなら平然と人殺しもするような、ほんとに悪い連中なんです。
 ウェイドは頼りになる仲間とともに、現実世界でIOIの陰謀から逃れながら、仮想空間で宝を探します。もちろんバトルもありますし、ヒロインとのロマンスもあります。だからこれはSFなんですけど、『宝島』のような、財宝をめぐる昔ながらのアドベンチャーでもあるんですね。
 で、やっぱりこの小説の魅力は、山のように詰めこまれた70年代や80年代のゲームや映画に関するトリビアです。それが謎を解く鍵になってる。たとえば最初の鍵のありかですけど、『ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ』の初期のモジュールの中にヒントが隠されてたりします。
 ネタバレになるから詳しくは話せないんですが、下巻の展開をちょっとだけ。
 クライマックス。ゲーム世界の命運をかけた一大決戦。IOIの軍団がたてこもる〈オアシス〉の中の惑星に、IOIに立ち向かう世界中のゲーマーが集結してる。その戦場に主人公が赴くんですよ。巨大ロボットに乗って。その巨大ロボットというのが──

 レオパルドンです!

 いや、ほんと。ブレスレットに向かって「チェンジ・マーベラー!」と叫ぶと、ちゃんとマーベラーに変形するんですよ。
 その最終決戦がまた、とんでもないことになってるんですけど、それは読んでのお楽しみということにしておきます。
 この小説、すでに映画化が決定してまして、監督を探してるところなんだそうですけど、でも、これを映像化しようとしたら……

 東映と東宝と円谷プロとダイナミックプロとサンライズにどんだけ版権料払わなあかんのかなと(笑)。

 でも、見たい! このクライマックス・シーンはぜひ映像化してほしい! そんな夢の詰まった作品です。

【質疑応答】
Q.私は80年代のサブカルに詳しくないんですが、楽しめますか?
A.作中にいちいち「これはこういうもので」という解説が入りますんで、理解するのに支障はないと思います。僕も正直、音楽関係のことはぜんぜん分からないんですけど、それでも楽しめましたから。

Q.主人公の冒険は仮想世界の中がメインなんですか?
A.現実の世界でIOIの魔の手から逃れながら、並行してゲーム世界での冒険も繰り広げます。現実世界とゲーム世界の比率が半々ぐらいですかね。

Q.仮想空間に入るのは、やっぱり脳にジャックインとかして?
A.いえ、インプラントとかは必要なくて、基本的にヘッドマウントディスプレイとグローブを使用します。現代の延長線上の技術ですね。

Q.サイバーパンクなんですか?
A.サイバーではあるけどパンクじゃないですね。




【補足】
 何で主人公がレオパルドンを持ってるかというと、そのひとつ前のミッションで、クリヤーするとご褒美に好きな巨大ロボットを一台もらえるんですよ。
 ガンダムやマジンガーやエヴァンゲリオンがずらっと並ぶ中、主人公が迷わず選んだのがレオパルドン! 素晴らしすぎます。

 下は台湾のSharksDenというイラストレーターが描いたファンアート。公式のイラストじゃありません。

http://sharksden.deviantart.com/art/Ready-Player-One-423782453

 冗談抜きで、こんなシーンがあるんですよ!

 ちなみに映画の監督はクリストファー・ノーランがオファーされてるらしいんだけど……うーん、ノーランじゃ何か違うかも。
  


2014年12月21日

『謎解き超常現象IV』

『謎解き超常現象IV』
ASIOS 彩図社
1389円+税
12月25日発売予定


はじめに――オカルトの醍醐味(本城)

第1章 人智を超えた奇跡の力「超能力事件」の真相
超能力者ユリ・ゲラーの真実【科学者と裁判所が本物と認めた?】(皆神)
FBI超能力捜査官vsオウム逃亡犯【犯人逮捕で実証された透視の実力】(山本)
マリア・ローザ・ブージィの千里眼【湖底の死体を発見する驚異の能力者】(本城)
伝説の霊能者ブラヴァツキー夫人【神智学協会を創設したオカルトの巨人】(原田)
サイキックたちからの挑戦【ASIOSが調査した超能力実験】(本城)
H・G・ウェルズの予言【SFの父が遺した戦慄の未来予想図】(山本)

第2章 奇想天外「怪奇・ミステリー事件」の真相
バミューダ・トライアングルの謎【通るものがこつ然と姿を消す“魔の海域”】(本城)
フライト19消失事件の真相【編隊が消えた!? “魔の海域”最大の謎】(本城)
恐怖の怨霊「将門の首塚伝説」【触れるものすべてを祟る関東最大の怨念】(皆神)
火事を招く少年の絵【恐怖のジンクスが絵の所有者を襲う】(本城)
東京スカイツリーに隠れた魔の数字【日本一の建造物に秘められた陰謀①】(山本)
東京スカイツリーは鬼門にある?【日本一の建造物に秘められた陰謀②】(山本)

魂の重さを量った医師【死の瞬間に消失した21グラムの謎】(羽仁)
「口裂け女伝説」を追う【子どもたちを震え上がらせた恐怖の都市伝説】(本城)

第3章 異星人の襲来!? 「UFO事件」の真相
ロドファー・フィルムの真相【アダムスキー型円盤実在の証拠?】(山本)
ロサンゼルスUFO攻防戦【第二次大戦中にアメリカ軍がUFOと交戦?】(皆神)
日航ジャンボ機UFO遭遇事件【CIAが隠ぺいしていたUFO事件】(皆神)
ラエリアン・ムーブメントとは?【「異星人を迎えよう」と運動する人々】(山本)
江戸『うつろ舟』ミステリー【新発見、伝説の起源は「金色姫伝説」にあった?】(加門)
オーロラ事件の真相【テキサスの田舎町に火星人の宇宙船が墜落?】(加門)
バレンティッチ行方不明事件【セスナが残した管制塔との謎の交信記録】(加門)
レンドルシャムの森事件【米兵がイギリスの森で墜落したUFOに遭遇?】(羽仁)

第4章 未知なる怪生物「UMA事件」の真相
モンゴリアン・デスワーム【中央アジアの砂漠に潜む恐怖の猛毒生物】(横山)
エイリアン・ビッグキャット【イギリスで相次いで目撃される黒い巨獣】(横山)
メテペック・モンスター【メキシコに現れた正体不明の謎の生物】(本城)
妖精の写真は実在するか?【2014年にイギリスで撮影された神秘の1枚】(横山)
伝説の生物「人魚」は存在する?【世界各地に伝わる「人魚のミイラ」の真偽((横山)
シャンプレーン湖の怪物チャンプ【目撃情報が相次ぐアメリカのネッシー】(バーソロミュー)

第5章 失われた過去の遺産「超古代文明」の真相
遮光器土偶は宇宙人の像?【東日本各地で出土する宇宙人実在の証拠】(原田)
イースター島とモアイの謎【モアイ像は高度な文明で造られた?】(ナカイ)
「デリーの鉄柱」は超文明の産物【発見された“ナノテクノロジー”の痕跡】(若島)
「デリーの鉄柱」が錆びない理由【インド人研究者が暴いた驚きの仕組み】(若島)
ミッキーマウスの壁画【中世のフレスコ画に描かれたあの有名キャラクター】(本城)
「日猶同祖論」の源流を探る【マクラウドが明治の日本で見た“幻想”】(藤野)

おわりに――現代に復活した口裂け女 (本城)

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 青字で示したのが僕の原稿。
「ロドファー・フィルムの真相」と「ラエリアン・ムーブメントとは?」の項は、『トンデモ超常現象99の真相』の焼き直しだけど、いろいろと加筆が入ってます。
「FBI超能力捜査官vsオウム逃亡犯」と「東京スカイツリーに隠れた魔の数字」は、このブログに載せた文章を元に、大幅に加筆。
 完全新作原稿と言えるのは「東京スカイツリーは鬼門にある?」と「H・G・ウェルズの予言」。特に後者は『翼を持つ少女』の最終章と並行して書いたので、続けて読んでいただけるとありがたいです。H・G・ウェルズについて、五島勉がどれだけひどい嘘をついてるかがよく分かります。大川隆法もそうだけど、偉大なSF作家であり遠大な理想を持っていたウェルズの名を、こんな風に利用するって腹が立ちます。

 僕以外の人の原稿だと、「サイキックたちからの挑戦」が面白いです。ASIOSに挑んできた、自称「超能力者」たちの実験の記録。どれもこれもしょぼい(笑)。
  


Posted by 山本弘 at 17:19Comments(4)オカルトPR

2014年11月12日

ゴーストハンター2 『パラケルススの魔剣』【完全版】

ゴーストハンター2
パラケルススの魔剣【完全版】

著者:山本弘 原案:安田均 イラスト:弘司

2376円(税込)
2014年11月20日発売

> ゴーストハンター再び集結。少女が予見した世界滅亡の未来を変えろ!
> 霊媒の少女フランカが幻視したヨーロッパの未来の姿。それは大きな炎が燃え、建物が崩れ、人が大勢死ぬというものだった。その意味を探るべく、モーガンたちは欧州を巡る旅に出発する。ホラーファンタジー第2弾。
http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321404000020

 というわけで、9月に出た『ラプラスの魔』【完全版】に続いて、今度は『パラケルススの魔剣』が復刊です。
 1932年のヨーロッパを舞台に、人獣の秘密結社とナチスの対立に、アトランティスの謎がからみます。僕のオカルト趣味が炸裂しているうえ、クライマックスはアクションてんこ盛り。1994年に発表された長編ですが、初めて接するみなさんにも楽しんでいただけると思います。

『ラプラスの魔』【完全版】には、おまけとして、単行本未収録の短編「死のゲーム」をつけたのですが、この『パラケルススの魔剣』では、新たに番外編の短編を書き下ろしました。ちょうど20年ぶりの新作ということになります。
 50枚ほどの短編なので、派手なアクションとかやってる余裕はありません。なので、怪奇現象の謎解きをメインにした話にしようと考えました。
 最初の構想では、『パラケルススの魔剣』の最後の方に出てきたイギリス人飛行機乗りスタン・メイヤーを主人公にして、彼と草壁健一郎の出会いを描こうと考えました。健一郎がスタンの助けを借りて、イギリスの空で起きる怪異を調査する……という、コナン・ドイルの「大空の恐怖」みたいな話にしようと思ったんですね。
 ところが構想を練っていくうちにプロットが二転三転。うまくつじつまが合わなくて、ああでもないこうでもないといじり回しているうちに、最初の構想とはぜんぜん違う話になりました。時は『パラケルスス』の一年前、主役はまだスミスの庇護下にいた頃のフランカです。健一郎もスタンも出てきません。
 書き上がったのは、『ミステリーゾーン』っぽいというか、〈ゴーストハンター〉というより〈妖魔夜行〉みたいな物語。個人的にはこういう怪異談も好きだったりします。
 何にしても、20年ぶりにフランカが描けて感慨深いです。
  


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2012年03月08日

ついに判明! 「スクリューのガー助」の写真作った人

 先日、ASIOSの新刊『謎解き超常現象3』の原稿を書き終えたんだけど、その執筆の際に判明した新事実をちょっとだけ紹介しておきたい。
僕も『トワイライト・テールズ』に登場させたフラットヘッド湖の怪獣、日本では「スクリューのガー助」「ハーキンマー」として有名な例のアレの合成写真である。

http://news.google.com/newspapers?nid=1314&dat=19630629&id=uLNWAAAAIBAJ&sjid=0-gDAAAAIBAJ&pg=5249,4599357

『The Spokesman-Review』という新聞の1963年7月29日版。この写真を見つけた時は感動した! こんな記事がアップされてるとは思わなかった。グーグルに感謝しなくては。
 日本では有名なこの写真なんだけど、実は今、海外のサイトではまったく見つからない。僕もさんざん検索して回ったんだけど、見つかったのはこれだけだった。日本のサイトに載っている写真は、ほとんど『なぜなに世界の大怪獣』(小学館・1972)という本からスキャンされたものである。
 他の資料の記述とも合わせると、写真を作ったのはビル・ニクソン夫人という人で、息子のロナルドとメイナードがそれを手伝ったらしい。海外ではすぐに合成写真だと分かって忘れられたようだ。それが日本では、子供向けの雑誌や書籍で何度も紹介されたもんで、「スクリューのガー助」というインパクトのある名前とともに、人々の記憶に残ってしまったのだ。

 もちろん「スクリューのガー助」という名前は海外のサイトにはまったく出てこない。当たり前だけど。しかし、「ハーキンマー」という名前も出てこない。
 このUMAは現地では「モンタナ・ネッシー」または単に「フラットヘッド・レイク・モンスター」と呼ばれている。「スクリューのガー助」「ハーキンマー」と呼んでいるのは日本人だけなのだ。
 ちなみに、「スクリューのガー助」「ハーキンマー」という名が登場する記事で、確認できた限り最も古いのは、『SFマガジン』1962年9月号、超常現象研究家・斎藤守弘氏の連載『サイエンス・ノンフィクション』第10回「恐龍は現存する?」である。
 斎藤氏は他にも何度もフラットヘッド・レイク・モンスターの記事を書いているのだが、一貫して「スクリューのガー助」と表記している。「スクリューのガー助」という表記は、『なぜなに世界の大怪獣』が広めたものだ。

 他にも判明した事実がいくつかあるんだけど、それは『謎解き超常現象3』が出てのお楽しみ。ちなみに僕は他に「屋久島の木霊」「イースタン航空機事件」「エレーニン彗星」「中国の巨大ミステリー・サークル」「地球空洞説」「クラリオン星人」などの原稿も書いてます。
  
タグ :怪獣UMA


Posted by 山本弘 at 19:17Comments(1)オカルト

2010年02月23日

新オカルト雑誌『U SPIRITS』



 あー、またこんなんが出ちゃった……と思って書店で手に取ったんだけど、いや、これなかなか面白いぞ。少なくとも『ムー』の数倍は面白い。
『ムー』みたいに何も知らない素人を騙そうとはしていない。ザ・グレート・サスケ×飛鳥昭雄(この人も911陰謀論者だったのか)の対談とか、お決まりの恐怖体験談とか、怪しげなものも載っている一方で、2012年世界崩壊説の検証とか、インチキ超能力の歴史とか、「『疑似科学』の嘘全部教えます!」とか、原田実さんの「幕末トンデモミステリー」とか、きっちり懐疑的な情報も載せていて、バランスが取れている。
『TVタックル』の裏話とか、オカルト有名人の晩年とか、鳩山幸の過去言動徹底検証といった記事も、『ムー』じゃまず載せないのではないかな。
 他にも、大槻ケンジ、エハン・デラヴィ、韮澤潤一郎といった顔ぶれ。

 いちばん楽しかったのはUMA特集。特に山口敏太郎氏監修の「日本のUMA250種全解説!」という記事は圧巻。本当にすごい数の日本のUMAが紹介されていて、めくってもめくってもめくっても終わらない! 僕の知らなかったものも多くて、参考になった。他にも山口敏太郎氏と天野ミチヒロ氏の対談とか、昭和のオカルト本に登場するUMAとか、「南極ゴジラ」についての記事なんかも。なんかこの特集だけで790円の元は取ったという感じ。
 しかし、山口敏太郎さん、たくさん書いてるなあ。この雑誌の記事の1/3ぐらい、この人の文章じゃないか?
 まあ、ここでも例によって飛鳥昭雄が、ツチノコの写真とか河童の写真とかニンゲンの写真とかモケーレ・ムベムベの写真とか、怪しげなものを載せてたりするんだが。(誰が撮ったんだよ、誰が!?)

 他にも、トンデモさんたちの笑える発言を探す楽しみもある。
 たとえば、「アカシックリーダー」の中津川昴さんという人の発言。


>中津川 (前略)もし大量のニュートリノが地球を通過したときにはどうなるか、ということですね。(中略)だから「年に数百個レベル」のニュートリノっていうのが、数万個とか数億個とかもっと高いレベルで落ちてきたら、通常起きないことが起きるんですよ。

 いや中津川さん、太陽からのニュートリノって、1平方mあたり毎秒6000兆個も地上に降り注いでるんですが(笑)。
 中津川氏の説によれば、地中にあるウランとかプルトニウムとかにニュートリノや中性子が一個でもぶつかると、核分裂が連鎖的に起こり、地震の原因になるのだそうだ。連鎖反応に必要な「臨界量」という概念を、根本的にご存じないらしい。だいたいプルトニウムは自然界には極微量しか存在しないのだが。
 科学にうとい人が科学について何か説明しようとすると、とたんにトンデモになっちゃうもんだなあ。

 いちばん笑えたのは、UFO研究家・竹本良氏の「アメリカ軍が回収した57種の宇宙人!」と題するインタビュー記事。
 竹本氏といえば、TVドラマ『インベーダー』の一場面を本物のUFO写真と思って本に載せちゃったとか、9.11テロの直後に「映像にUFOが映ってる」と言い出したとか、かなりそそっかしい人なのだが、このインタビューでもトンデモないことを言っている。
 1945年8月6日、原爆を落とすために広島に向かっていた爆撃機エノラ・ゲイが、四国上空で超巨大UFOと遭遇していた、というのである。
 はて、そんな事件のソースはどこにあんの?……と思って検索してみたら、竹本氏のサイトがヒットした。竹本氏の主張の根拠は、Wikipediaの「広島市への原子爆弾投下」に載っていた、こんなくだりだという。


> この直後、エノラ・ゲイのレーダー迎撃士官ジェイコブ・ビーザー陸軍中尉がレーダースコープに正体不明の輝点を発見した。通信士リチャード・ネルソン陸軍上等兵はこのブリップが敵味方識別装置に応答しないと報告した。エノラ・ゲイは回避行動をとり、高度2,000m前後の低空飛行から急上昇し、7時30分に8,700mまで高度を上げた。

 つまり、レーダーが前方に未確認機(たぶん日本軍機)を捕らえたもんで、迎撃されるのを警戒して高度を上げたというのを、竹本氏は「超巨大なUFOが通せんぼしてた」と解釈しているのだ!
『U SPILITS』のインタビューで竹本氏はこう言っている。


>――映画やテレビで言うと『インデペンデンス・デイ』とか『V(ヴィー)』(原文ママ)などで出たような、街ぐらいの大きさのものですか
>竹本 そのぐらいかもしれません。エノラゲイの話に戻りますが、二千メートルの高さを飛んでいて、そこにたかだか五メートルくらいのUFOが飛んでいても、百メートルぐらい上昇すれば、問題ないじゃないですか。ところが二千から八千七百メートルに上昇するからには、よほど大きなものだったということになりますね。

 敵機らしき飛行機が前方にいるのを発見しても、ほんの100m上昇すれば避けられるらしいですよ、この人の頭の中では(笑)。だいたい、そんなでかいUFOが空に浮かんでたら、地上の日本人が何千人も目撃してるだろうに。
 しかもこの超巨大UFO、原爆を落としに行くエノラ・ゲイが通り過ぎるのを、何もせずに見送ったってことになる。阻止しろよ! 何のために来たんだよ!?

 さらに笑えたのは、インタビューの最後に載っていたこの図。「竹本良が分類したウチュウジンの形態26種!」。

 ちなみに、Hは「タコタイプ」、Iは「多毛型」、Jは「犬人型」、Kは「四足型」、Nは「爬虫類人型」、Oは「半魚人型」、Pは「カマキリ型」、Qは「アリ型」、Rは「クマムシ型」、Sは「植物型」、Tは「草花型」、Wは「非人間タイプロボット」、Xは「非物質タイプ」、Y(点だけのやつ)は「極小ナノタイプ」、Zは「記号タイプ」なんだそうである。

 …………

 タコにも犬にも爬虫類にもカマキリにも樹木にも見えんわーっ!!
 人面魚に足が生えてるのを「半魚人」とは言わんわー!!
「記号タイプ」というのは「情報型」に分類されている。おそらくオーバーマインドや情報統合思念体みたいな、物理的実体を有さない知性体を想定しているのだろうが、それをこんな風に絵にしちゃうセンスを疑う。
 あと、こんな古臭いデザインのロボットの胸に「V」って書いてあるのもなあ。思わず「テッコンVか!?」と言いたくなった。
 竹本さんによれば、「決してでっちあげている作っているわけじゃなくてちゃんとしたコンタクト例を元にして作った世界ですので、ほとんど、間違いないものだと思います」とのこと。間違いないのか!?
 Lはたぶんモスマンだろうけど、なぜか腕がある。Uは1973年のパスカグーラ事件のエイリアンだろうけど、目撃者の証言を元に描かれた絵(下)とぜんぜん違う。

 どうも資料を見ずにうろ覚えで描いたんじゃないかと思われる。せめて模写しろよ。
 竹本さんのそそっかしさは、いっこうに治っていないようである。
  


Posted by 山本弘 at 14:29Comments(1)オカルト