2016年07月01日

60歳になっての雑感

 少し前、「ハヤカワ・SF・シリーズ総解説」の原稿を書く関係で、昔のSFを何冊か読み返した。

 そのうちの1冊がロバート・シェクリイの短編集『宇宙のかけら』。僕としては、収録作の中の「千日手」と「ポテンシャル」が気に入っていたから買ったのだが、今回、読み返していて、「炭鉱者の饗宴」という作品が妙に気になった。
 金星の砂漠地帯で金鉱を探す男の物語。1959年に書かれた話だから、金星は大気が呼吸可能、人間が生身で生きられる環境で、原住生物もいる。しかし主人公は乗ってきた地上車のタイヤがパンクしてしまい、途中から砂漠を徒歩で進まねばならなくなる。
 彼は携帯テレビ電話を持っていて、いつでも文明社会と連絡が取れる。しかも、この世界には瞬間移送システムもある。生物だけは送れないが、電話で注文すれば、水だろうと食料だろうと道具だろうと、すぐにロボットが届けてくれるのだ。
 金さえあれば。
 主人公は金鉱探しに財産のすべてを注ぎこみ、今は一文無しである。だから車のスペアタイヤも、食料も水も買えない。金鉱を見つけずに帰っても破滅が待つだけ。だから何としてでも金鉱を見つけなくてはならないのだ。地層の特徴からすると、この先には必ず金鉱があるはずだと信じて進み続ける。

 思ったのが、これってまさに現代社会そのものだな、ということ。
 携帯電話が普及しているのもそうだが、こちらから店に買いに行かなくても、欲しいものがあれば何でも届けてくれるというのが、まさに現代じゃないか。そう、何でも手に入るのだ!
 金さえあれば。
 ものはある。食料も余っている。でも、金がないので手に入らず、砂漠でもないのに野垂れ死にしてゆく人がいる。それが現代。

 僕の信念は「小説家とは金鉱掘りである」というものだ。
「ここに金鉱があるはずだ」という当たりをつけて探しに行く。ちょこっとだけ金は見つかるが、大当たりとはいかない。しかたなく、そのわずかな金で食いつなぐ。そして新しい金鉱を探す。今度こそすごい鉱脈を掘り当てて、大金持ちになってみせるという夢を抱いて……。
 でも、なかなか鉱脈は見つからない。

 さて、なぜ今回、「炭鉱者の饗宴」が気になったかというと──

 この前、60になったんですよ、60に!

 気が遠くなりそうな数字だよ、60。

 何よりショックだったのは、映画館に行ったら、シニア料金で入れたこと。普通料金より700円も安いの。
 でも安いからって嬉しい気がしない。シニア料金というものはずっと前から知っていたけど、自分がそれで映画を観るようになるなんて、遠い先のことだと思っていた。突然、「僕はもうシニアなんだ!」と実感して、感慨とかいう以前に、軽く絶望を覚えた。

 自分はSF作家として新米だと、ずっと感じていた。僕より上には小松さんと筒井さんとか星さんとか、すごいベテランがいっぱいいて、足元にも及ばないと思っていたから。
 ところが気がつくと、もう僕より上の人がかなり少なくなってきている。 僕もそろそろSF界の長老グループに入りかけているではないか。

「おお! だったらそろそろ、威張ってもいいんじゃないか?」

 と浮かれかけて、はたと気がついた。僕が小松さんや筒井さんとは決定的に違う点があるということに。
 長編処女作『ラプラスの魔』を発表したのは1988年。それから28年も作家を続けてきた。
 でも、28年間に一度も大きな鉱脈を掘り当ててない。いや、『MM9』は鉱脈かなと思ったことはあったんだけど(苦笑)。
 それでも、次こそは鉱脈に当たると信じて書き続けてきた。
 でも、当たらない。
 他人に恨みをぶつけることもできない。ヒットが出ないのは僕自身のせいなんだから。

 現状維持ならまだいい。近年は出版不況で、どこの出版社も本の初版部数を絞っている。毎年毎年じりじりと減ってきて、僕がデビューした当時の1/2とか1/3ぐらいになっている。
 つまり、同じペースで本を出し続けていても、収入が半分とか1/3とかになっているのだ。そりゃきついわけだ。

 同業者のツイッターとかを読んでいると、しばしば心配になる。あれ? この人、もうずいぶん長く本出してないけど、食べていけてるのかなと。
 そして思い出す。そういう人たちはたいてい、他に職業を持っている兼業作家か、夫婦共働きか、独身だということに。
 僕みたいに既婚者の専業作家は、実は少数派だ。

 家族を養うって、かなり重たいことなんである。
 うちは娘が一人だけど、学費やら何やらで、年に100万円以上は軽く吹っ飛ぶ。独身者に比べて、経済的に大きなハンデがあるのだ。娘が社会に出て、自分で稼ぎはじめるまで、まだ何年もかかる。
 だから僕は書き続けるしかない。 本を出さないと、妻や娘を養っていけない。でも、同じペースで書き続けていても、収入はじりじり減る一方。今度こそ一発当てたいとあせる。でも、やっぱり当たらない……。
 これはね、心理的につらい。
 つらくてもやめるわけにはいかないってことが、さらにつらい。
「炭鉱者の饗宴」の主人公の心境がすごくよく分かる。

 実は今年の4月から6月ぐらいにかけて、けっこう経済的にきつかった。
 どうにか所得税は確定申告で還付金が出たけど、市民税・府民税、国定資産税、国民年金、国民健康保険とかで、ごっそり取られた。娘の大学の学費もあった。そのうえ、病気になって入院したし、冷蔵庫が壊れて買い直さなくてはならなかった。何でそんなに出費が連続するんだ!

 自信を失い、夜中に思わず妻に弱音を吐いてしまった。もうだめかもしれない。今はまだどうにか食いつないでるけど、いずれ君らを路頭に迷わせるかもしれないと。

 そしたら──

 数日後、妻が札束の入った封筒を差し出したのである。貯めていたへそくりだという。

「はい、大事に使ってね」

 と笑顔で言う妻。
 僕はむちゃくちゃに感動してしまった。何だよ、お前! 山内一豊の妻か!?

 誕生日にはケーキを買ってくれた。今年は「60」というローソクのついたケーキだ。妻と娘が「ハッピーバースデー・ディア・パパ♪」とデュエットし、「60歳おめでとう!」と言ってくれた。


 涙が出そうだった。
 経済的に苦しくなってるからって何だ。僕のことを愛してくれている妻と娘がいるというだけで、十分すぎるほど幸せじゃないか。
 くじけかけてたのがバカみたいだった。この2人のために、もっともっとがんばらなくちゃと思った。

 そりゃあ、依然としてつらいですけどね。
 でも、もう後ろは向かないよ。



 カクヨムに投稿しはじめたのも、ちょっとでも知名度が上がることを何かやろうと思ったから。
 1人でも2人でもいいから、僕の本を買ってくれる人を増やしたい。この業界で生き残って、家族を養ってゆくために。
  
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Posted by 山本弘 at 18:37Comments(24)SF作家の日常

2016年07月01日

「ハヤカワ・SF・シリーズ総解説」

〈SFマガジン〉8月号の特集は「ハヤカワ・SF・シリーズ総解説」。この前の『ハヤカワ文庫SF総解説 2000』から洩れていた作品、すなわちハヤカワ・SF・シリーズから出ていたけど早川から文庫化されていない本の解説である。

 僕もジャック・ウィリアムスン『ヒューマノイド』(『去年はいい年になるだろう』のヒントになった作品)、E・E・スミス《レンズマン》シリーズ、ロバート・シェクリイ『宇宙のかけら』『人類の罠』、マレイ・ラインスター『異次元の彼方から』、エリック・フランク・ラッセル『メカニストリア』、エドモンド・ハミルトン『フェッセンデンの宇宙』、久野四郎『夢判断』、早川書房編集部編《SFマガジン・ベスト》の解説を書かせていただいた。
 前回同様、人気作品は執筆者同士の争奪戦が激しかったらしい。ラインスターは本当は『宇宙震』を書きたかったんだけどなあ。他にも、ヘンリー・カットナー『ボロゴーヴはミムジイ』、ピエール・ブール『E=mc2』、メリル編『宇宙の妖怪たち』、コンクリン編『宇宙恐怖物語』なども、立候補していたのに取れませんでした。
 ちなみに『フェッセンデンの宇宙』が僕に回ってきたのは、やっぱり『神は沈黙せず』や『翼を持つ少女』を書いてるからってことらしい。ゆずはらとしゆき氏が『18時の音楽浴』の項を書いてるのも同じ理由かも。

 ちなみに早川書房が「ハヤカワ・SF・シリーズ発掘総選挙」「ハヤカワ文庫海外SFデジタル化総選挙」というのをやるのだそうで、今月号に告知が載っている。リクエストの多かった作品は復刊されるかもしれないとのこと。
 僕の場合、ハヤカワ・SF・シリーズならやっぱりラインスターの『宇宙震』とカットナーの『ボロゴーヴはミムジイ』。
 ハヤカワ文庫SFなら、ジェイムズ・H・シュミッツ『悪鬼の種族』とハリイ・ハリスン『テクニカラー・タイムマシン』を復刊して、ぜひ多くの人に読んでほしい。前者はもっと今風のイラストに変えて、後者はできればモンキー・パンチのイラストのままで!
 あと、アンダースンの『大魔王作戦』とかも、あの時代よりむしろ、ラノベを読みなれた今の若い読者に受けるんじゃないかと思うんだけど。

http://homepage3.nifty.com/hirorin/bibliobatllebu04.html

 まあ、個人的にハヤカワ文庫SFでいちばん好きなのはC・L・ムーア『暗黒神のくちづけ』なんだけど、これは多くの人に魅力を知ってほしい半面、自分だけのフェイバリットにしておきたいという想いもありまして……複雑です。
  
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Posted by 山本弘 at 18:04Comments(1)SFPR

2016年07月01日

「太陽を創った男」の思い出

 前回も書いたように、カクヨムに投稿をはじめている。

https://kakuyomu.jp/users/hirorin015/works

 30年以上前のアマチュア時代に書いた「砂の魔王」や「星の舟」、割と新しい「悪夢はまだ終わらない」まで、いろんな原稿をアップしてるけど、この中でいちばん古いのは、「太陽を創った男」。
 これにはいろんな思い出がこもっている。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881150667

 僕は高校3年の時、〈問題小説〉という雑誌の新人賞に応募した。 タイトルは「シルフィラ症候群」。宇宙から飛来したウイルスによって、女性が片っ端から美女に変身してゆくというホラー調の侵略SF。
 何でそんな話を考えたかというと、〈SFマガジン〉のバックナンバーで読んだジョン・ブラナーの「思考の谺」という中編にハマっていたんである。ストーリー自体はB級なんだけど、終始、ロンドンの一角を舞台にしていながら、背景に壮大な宇宙の広がりがあるという構成にしびれてしまった。そこで同じような話を書いてみたのだ。
 なぜ〈問題小説〉新人賞を狙ったかというと、審査員の一人が、僕が敬愛する筒井康隆氏だったからである。
 この作品は最終選考まで残り、筒井さんに推していただいたのだが、受賞には至らなかった。でも、自分の作品が初めて認められた、プロのSF作家という憧れの職業に近づけたという事実に、有頂天になった。

 そして1975年、神戸で開かれた日本SF大会「SHINCON」。

http://www.page.sannet.ne.jp/toshi_o/sonota/sfcon_chap3_1.htm


 その会場で初めて筒井さん本人にお会いでき、「シルフィラ症候群」を推していただいた礼を言った。すると筒井さんが言ってくださった。

「あれ、〈NULL〉に載せてみない?」

〈NULL〉はかつて筒井さんの一家が作っていた同人誌。いったんは休刊したのだが、70年代になって、有志の手により、「ネオ・ヌル」という同人サークルとして復活。〈NULL〉も復刊していた。当時、同人誌といえばまだガリ版刷りが当たり前だった時代に、活版や写植で印刷されており、紙質も高級で、すごくリッチな印象があった。
 僕は筒井さんの勧めで「ネオ・ヌル」に入会。そして〈NULL〉復刊6号に、「シルフィラ症候群」が掲載された。
 同人誌とはいえ、自分の作品が印刷物になって大勢の人に読まれるのは、生まれて初めての経験だった。ええもう、当時はかなり天狗になってましたよ(笑)。

 ちなみに、その「シルフィラ症候群」、先日、久しぶりに読み返してみたんだけど……うーん、これはひどい(笑)。稚拙なんてもんじゃない。今読むととんでもなくへた。まさに「若気の至り」。まあ、まだ18歳だったからしょうがないけど。

「ネオ・ヌル」には、すでにプロデビューしていた堀晃氏やかんべむさし氏だけでなく、多くのアマチュア作家が集まっていた。デビュー前の夢枕獏氏も、タイポグラフィック小説「カエルの死」を載せていて、これはすごく面白かった。
 この同人誌の最大のウリは、筒井さんによるショートショート選評。会員から送られてくる何百本ものショートショートを筒井さんがすべて読み、その中から優れたものだけを選んで〈NULL〉に載せていたのである。だからもう、みんな切磋琢磨して競い合っていた。すごい熱さだった。

 僕も2本のショートショートを書いた。そのうちの1本が筒井さんに評価され、〈NULL〉復刊7号に掲載された。
 それがこの「太陽を創った男」。書いたのは1976年。つまり僕が20歳の時。
 ちなみに、種々の事情により、〈NULL〉はこの号で再び休刊した。

 作中に出てくるブラックホールに関するうんちくは、当時の愛読書だった佐藤文隆・松田卓也『相対論的宇宙論』(講談社ブルーバックス・1974)を参考にした。ちなみに僕がこれを買ったのは、イラストが松本零士だったからという不純な動機だったりする(笑)。でも、すごく勉強になったエキサイティングな本だった。

『プロジェクトぴあの』の中に、周防義昭教授と会見したぴあのが、彼の著書『失われた宇宙論』について熱く語るシーンがある。

>「だって、オルバースのパラドックスとか定常宇宙論なら、他にもいろんな本に載ってますけど、ブランス‐ディッケの理論やアルベン‐クラインの物質‐反物質宇宙論について解説した本なんて、他になかったんですよ。ホイルのC場とかリットルトン‐ボンディの帯電宇宙論とかも、あの本で知りました。あと、何といっても、ミスナーのミックスマスター宇宙論! あれ、面白いですよね。宇宙が三軸不等の振動してるなんて、すごくユニークな発想で」
(中略)
>「私、あの本を読んで感じたんです。宇宙論学者って、この世でいちばん柔軟な考え方をする人たちなんだなって。だって、いつも宇宙のスケールで考えていて、エキサイティングな説を次々に提唱するじゃないですか。どれもこれもユニークで、間違ってたのがもったいないくらい」

 これは『相対論的宇宙論』がヒント。ぴあのの台詞はほとんど全部、当時『相対論的宇宙論』を読んだ僕の感想なのである。
 ちなみに、このシーンでのぴあのは20歳。僕が「太陽を創った男」を書いたのと同じ歳だ。

 その後、「太陽を創った男」は〈奇想天外〉誌1977年8月号に転載され、さらに「シルフィラ症候群」とともに 『ネオ・ヌルの時代PART3』(中公文庫・1985)というアンソロジーに収録された。
『ネオ・ヌルの時代』では、生まれて初めて印税というものも貰った。よく覚えていないが20万円ぐらいだっただろうか。僕はそれで生まれて初めてワープロを買った。それまでは原稿用紙に手書きしていたのだ。
〈NULL〉の休刊号には、筒井氏の総評も載っていた。筒井氏は常連投稿者の中から十数人を選んで賞を贈った。僕も特別賞を貰った。この文章は『ネオ・ヌルの時代PART3』にも再録されている。


〈真城・西・山本の三氏は、あとは書き馴れることによって充分プロになり得る人たちである〉

 もうね、この言葉にどんだけ勇気づけられたか!
 まあ、この後、処女長編『ラプラスの魔』を出すまでに、さらに11年かかるわけだけど。

 ちなみに〈NULL〉に投稿していたアマチュア作家の中には、のちに商業誌に作品が載った人も何人もいるが、最終的にプロとして生き残れたのは、僕と夢枕獏氏だけである。
 やっぱり、筒井さんに「充分プロになり得る」と言われたからこそ、夢をあきらめずにがんばってこれたんだと思う。
 そういう意味でも、「シルフィラ症候群」と「太陽を創った男」は、僕にとって人生の重要な節目となった作品なのである。

 なお、マイクロ・ブラックホールを使って太陽を創るというアイデアは、のちにPCエンジンのゲーム『サイバーナイト』(トンキンハウス/グループSNE)のシナリオに流用している。 小説版の『サイバーナイト』にも出てくる「トミマツ=サトウ型ブラックホール」という概念も、『相対論的宇宙論』で知った。

  


Posted by 山本弘 at 17:37Comments(3)SF作家の日常

2016年06月06日

カクヨムに投稿をはじめました

 小説投稿サイト「カクヨム」に投稿をはじめました。

https://kakuyomu.jp/users/hirorin015/works

 以前から自分の小説の知名度の低さが気になってたんですよね。これまでに出したどの小説も、読んだ人はたいてい面白いと言ってくださるんですが、そもそも手に取ってもらえないのが問題。そこで、ちょっとした話題作りを考えました。
 書いたもののボツになった原稿、ずいぶん前に雑誌に載ったまま単行本に収録されていない原稿、同人誌で書いた原稿などを、これから仕事の合間にいろいろアップしていこうと思ってます。
 気が向けば新作なども。

 すでに多くの方に読んでいただき、高い評価をいただいています。反応がダイレクトに返ってくるのが、投稿サイトの醍醐味ですね。

 個人的にいちばん悩んでるのは、なんといっても〈地球最強姉妹キャンディ〉! この知名度の低さは何なんだと(笑)。今、第3作『宇宙人の宝を探せ!』を書いてて、前の2作には文庫化の話もあるんですが、このまま出版しても話題になりそうにない。 そこで、ちょっとでも多くの人に知っていただこうと、番外編の原稿を載せることにしました。
 第3作の原稿もここで発表しちゃおうかと思ってます。 児童小説を連載させてくれる媒体がないので。
 

  


Posted by 山本弘 at 17:57Comments(11)SFPR作家の日常

2016年05月12日

『BISビブリオバトル部』文庫化&特設ページ

〈BISビブリオバトル部〉シリーズの第一作、『翼を持つ少女』が文庫化されました。すでに書店に並んでいます。


 すでにご存じの方も多いでしょうが、ビブリオバトル部に入部したSF好きの少女を主人公に、実在する本の話題が飛び交うシリーズです。
 文庫化を記念し、この世界により親しんでいただこうと、特設ページを作りました。

BISビブリオバトル部 翼を持つ少女 
登場作品リンク集

『翼を持つ少女』に登場する本を紹介するページ。空の紹介するSFだけじゃなく、『ジャングルの子』『九月、東京の路上で』『全国アホ・バカ分布考』『新装版 不確定性原理』『冥王星を殺したのは私です』『小説 仮面ライダークウガ』『ウミウシ 不思議ないきもの』『野﨑まど劇場』『小学4年生の世界平和』など、どれも面白くておすすめの本ばかりです。

BISビブリオバトル部
BB部の本棚

『翼を持つ少女』第3章に出てくるBB部の部室の本棚を、手持ちの本で再現してみました。

BISビブリオバトル部
埋火家のSFコレクション

 はい、これが今回の一番の目玉! 埋火武人の家の書庫のシーンに出てくる、彼の祖父が遺したSFコレクションの一部。作中では文章でしか書けなかった『地底の世界ペルシダー』『テクニカラー・タイムマシン』『大宇宙の魔女』『大魔王作戦』などの表紙が見られます。
「現代のライトノベルのスタイルの源流は、創元推理文庫とハヤカワ文庫」というのは作中でも書きましたが、これを見れば納得できるでしょ? 「表紙が露出度の高い女の子で、マンガチックな絵で、カラー口絵と本文イラストが入ってて」というのが。

 これからも作中に出てくる本を少しずつアップしてゆく予定です。〈BISビブリオバトル部〉シリーズを楽しむための参考になれば幸いです。

 最後に〈BISビブリオバトル部〉第4作『君の知らない方程式』が、〈Webミステリーズ!〉で連載中! 無料で読めます!
 ちなみに今回のテーマはマンガとライトノベル。空と武人と銀の三角関係を描くラブコメでもあります。お楽しみに
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Posted by 山本弘 at 21:56Comments(7)SFPRビブリオバトル

2016年04月15日

イベント:人工知能は人類を滅ぼす!? 今、本気で語る「AI(アイ)の物語」

山本弘のSF秘密基地LIVE#57
人工知能は人類を滅ぼす!? 今、本気で語る「AI(アイ)の物語」

 人工知能が将棋の名人を負かした。人工知能が小説を書いた。人工知能がヒトラーを礼賛した……
 このところ頻繁にAI(人工知能)をめぐるニュースが飛びこんできます。シンギュラリティ(技術的特異点)──進化を続けるコンピュータの能力が人間を上回る日の到来も、さほど遠くないとされています。そうした話題はもはやSFではなく、科学者の間でも真剣に検討されています。
 シンギュラリティが来たら世界はどうなるのか? 
 自我に目覚めたAIが邪悪な存在になることはないのか?
 AIの知性とはどういうものなのだろうか?
 そもそも人間には知性があると言えるのか?
 最新科学の成果と、古今東西のSF作家が描いてきたAIについての物語を参考に、もうすぐそこにある未来について考えてみようと思います。

[出演] 山本弘

[日時] 2016年4月22日(金) 開場・19:00 開始・19:30

[会場] なんば紅鶴(大阪市中央区千日前2-3-9 レジャービル味園2F)(地図)南海なんば駅より南海通り東へ180m・駐車場有

[料金] 1500円  
(店内でのご飲食には別途料金がかかります。入場時に別途ワンドリンクをご購入いただきますのでご了承ください)

 予約はこちらから。
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=100662798
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 すみません。昨日まで入院していたもので、イベントの告知が遅くなってしまいました。
 最近、人工知能の話題、特にシンギュラリティを扱ったノンフィクション本が何冊も出ていて、もうこういう話題はSFじゃなく現実になってきてるんだなと、しみじみ感じます。たぶん2040年代あたり、まだ僕らが生きているうちに来そうなんですよね、シンギュラリティ。楽しみなような怖いような。
 でも、専門的な話題は科学者の方におまかせして、SF作家である僕は、おもにSFの中で描かれてきたロボットや人工知能の進化について語りたいと思ってます。SF作家が描いてきた様々な人工知能の物語を読むことで、来るべきシンギュラリティで何が起きるかを予想する、その手助けになるんじゃないかと思っています。
 たえば先日、人工知能が書いた小説のニュースがメディアを賑わせましたが、あの時、ツイッターでは野﨑まど『小説家の作り方』(メディアワークス文庫)に言及している人が何人もいました。いやあ、あれは衝撃的な作品でしたね。SFだなんてぜんぜん知らずに読みはじめたら、まさかあんな話だとは。

 また、マイクロソフトが開発していたAIが差別発言を連発し、ヒトラーを礼賛したというニュースでは、僕と同様、星新一「ボッコちゃん」を連想した人が多かったようです。
 他にも、古くはジョン・W・キャンベル「最終進化」(1932)、イアンド・ビンダー「ロボット市民」(1939)、マレイ・ラインスター「ジョーという名のロジック」(1946)、ジャック・ウィリアムスン『ヒューマノイド』(1948)、フレドリック・ブラウン「回答」(1954)、エドマンド・クーパー『アンドロイド』(1958)、星新一『声の網』(1970)などを経て、最新の作品まで、いろんなパターンを紹介しつつ、論じていこうと思っています。もちろん僕の作品『神は沈黙せず』『アイの物語』『去年はいい年になるだろう』『地球移動作戦』「時分割の地獄」などの裏話もたっぷりします。お楽しみに。
  
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Posted by 山本弘 at 22:38Comments(16)サイエンスSFPR

2016年03月16日

文庫化『UFOはもう来ない』『SF JACK』

 こちらも告知遅れました。以前に出した本の文庫版が2冊、すでに書店に並んでおります。


『UFOはもう来ない』は2012年発表の長編小説。宇宙船の事故によって京都の山中に取り残された異星人を3人の小学生が発見。巨大UFOカルトによって誘拐・監禁された異星人を、インチキUFO番組のディレクターと美人のUFO研究家、それに小学生たちが力を合わせて奪還に挑む……というお話です。
 ファースト・コンタクトもののSFであると同時に、コン・ゲーム小説であり、ジュヴナイル冒険小説でもあります。UFOをめぐるうんちくもたっぷり入ってます。
 単行本との違いは、各章のタイトルが日本語になったこと。さすがに『アウター・リミッツ』のサブタイトルの原題というのはマニアックすぎたかと反省しました(笑)。いちおう第一章の「宇宙人現わる」と最終章の「見知らぬ宇宙の相続人」は『アウター・リミッツ』なんですけどね。
 僕が『アウター・リミッツ』を見てた頃の、「何かすごいことが起きてる!」というプリミティヴなわくわくどきどき感を再現できないかと思って書きました。

 詳しい解説はこちら。
http://homepage3.nifty.com/hirorin/ufohamoukonai.html


『SF JACK』は2013年、日本SF作家クラブ50周年を記念して出版されたアンソロジー。新井素子、上田早夕里、冲方丁、小林泰三、今野敏、堀晃、宮部みゆき、山田正紀、山本弘、夢枕獏、吉川良太郎の作品を収録。
 単行本との違いは、瀬名秀明さんの作品が抜けていること(ご存知の通り、日本SF作家クラブを退会されたので)。
 僕の作品「リアリストたち」は、人類の大半が仮想現実で暮らすようになった22世紀の社会での、新たな差別意識の話。
 出版社の自主規制などもあり、現実の差別問題はなかなかストレートに描くのは難しい。でも、SFの形でなら、今はまだ存在しない架空の「差別」を描けるんじゃないか……。
 と思いついて書いた話なんですが、ネットでのレビューを見ると、これが差別をテーマにした話だと認識している人がほとんどいなくて、ちょっとがっかりしてます。それどころか、こういう未来世界を肯定しているような人もいて、頭抱えてます。
 ヒロインの一人称で書き、まず読者に感情移入させておいて、実は彼女はこういうおぞましい考えの持ち主だった……と明かしたらショックだろうと計算して書いたんですが、けっこうみんなショックを受けず、ヒロインの考え方を平然と受け入れてるみたいなんですよね。それは僕の意図と正反対なんですけど。
 ふと思いました。22世紀を待つまでもなく、この差別ってすでにはじまってんじゃないですかね? 最近のツイッターの「エルゴ」批判とか見てると、そう思えてきて怖いです。

 僕以外の作品では、冲方丁「神星伝」がダントツに面白いです。TVアニメの1クール分を短編に詰めこんだような和風ワイドスクリーン・バロック。おすすめです。
  
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Posted by 山本弘 at 09:25Comments(1)SFPR

2016年02月10日

今月、東京でのトークショー2件

 2月21日(日)と22日(月)、新宿で続けてトークショーをやることになりました。
 両日通し券購入の方には、入場料が500円引きになります。

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山本弘スペシャル2DAYS PART.1 懐古編
山本弘のSF秘密基地LIVE 東京特別版#4
「今、レトロが新しい!!」


 1930年代、パルプマガジン盛んなりし頃のアメリカが舞台のホラーミステリー『怪奇探偵リジー&クリスタル』を上梓した山本弘と、翌22日に金田一耕助パスティーシュのシリーズ最新刊『金田一耕助、パノラマ島へ行く 』を刊行する芦辺拓が揃い踏みします。
 二人が偏愛する、レトロSFとミステリ、児童小説、特撮映画など古き好き日を彩ったクラシックなエンターテイメントの魅力を、縦横無尽に語り合います。
 翌日の 「SFなんでも箱」とのハシゴも大歓迎。両日通し券購入の方には、入場料500円引きの2500円でOK。

[出演] 山本弘(作家)

[ゲスト] 芦辺拓(ミステリ作家)

[日時] 2016年2月21日(日) 開場・19:00 開始・19:30 (約2時間を予定)

[会場] Cafe Live Wire
     東京都新宿区新宿5丁目11-23 八千代ビル2F
    ・都営新宿線「新宿3丁目」駅 C6~8出口から徒歩5分
    ・丸ノ内線・副都心線「新宿3丁目」駅 B2出口から徒歩8分
    ・JR線「新宿」駅 東口から徒歩12分
 
[料金] 1500円 (当日券500円up)

http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=98391896

※終演後に出演者を交えてのフリーフード&フリードリンクの懇親会を開催します(23:30終了予定)。参加費は3500円です。懇親会参加者には、入場時にウェルカムの1ドリンクをプレゼント。参加希望の方はオプションの「懇親会」の項目を「参加する」に変更してお申し込みください。参加費も一緒にお支払いただきます。
※懇親会に参加されない方は、当日別途ドリンクチャージ1000円(2ドリンク)をお買い上げください。

※翌日2/22(月)に「池澤春菜&堺三保のSFなんでも箱#28 ゲスト・山本弘」を同じ会場・時間・料金設定で開催します(終了後に懇親会も開催します)。両日来場の場合は入場料が500円引きの合計2,500円とお得です。通し券希望の方はオプションの「22日」の項目を「参加する」または「参加する(+懇親会)」に変更してお申し込みください。2つのイベントの料金を一緒にお支払いいただきます。
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山本弘スペシャル2DAYS PART.2
池澤春菜&堺三保のSFなんでも箱(Anything Box) #28

 前日の「山本弘のSF秘密基地LIVE」とのハシゴも大歓迎。両日通し券購入の方には、入場料500円引きの2500円でOK。

[出演] 池澤春菜(声優、女優、エッセイスト)、堺三保(SF評論家、翻訳家)

[ゲスト] 山本弘(作家)

[日時] 2016年2月22日(月) 開場・19:00 開始・19:30 (約2時間を予定)

[会場] Cafe Live Wire
     東京都新宿区新宿5丁目11-23 八千代ビル2F (Googleマップ)
    ・都営新宿線「新宿3丁目」駅 C6~8出口から徒歩5分
    ・丸ノ内線・副都心線「新宿3丁目」駅 B2出口から徒歩8分
    ・JR線「新宿」駅 東口から徒歩12分
 
[料金] 1500円 (当日券500円up)

http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=98248023

※終演後に出演者を交えてのフリーフード&フリードリンクの懇親会を開催します(23:30終了予定)。参加費は3500円です。懇親会参加者には、入場時にウェルカムの1ドリンクをプレゼント。参加希望の方はオプションの「懇親会」の項目を「参加する」に変更してお申し込みください。参加費も一緒にお支払いただきます。
※懇親会に参加されない方は、当日別途ドリンクチャージ1000円(2ドリンク)をお買い上げください。
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 芦辺拓さんとは前から知り合いなんですが、こんな風に人前でトークするのは久しぶりです。
 先日、復刻された西條八十『あらしの白ばと』(盛林堂)がものすごく面白かったもんで、昔の児童小説がいかに自由奔放だったか……といった話からはじまって、『リジー&クリスタル』の裏話などをからめながら、レトロなSFやミステリや特撮の話を思う存分、展開しようと思っています。ついてこれる人、どれだけいるんでしょうね(笑)。
『あらしの白ばと』もいいけど、『魔境の二少女』もかなりわくわくする話で、復刻希望です。

 2日目は池澤春菜さんと堺三保さんの司会で、『BISビブリオバトル部』の話をからめながら、SFの話をいろいろとするつもりです。お楽しみに!
  
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Posted by 山本弘 at 21:28Comments(2)SFPR レトロ

2015年12月12日

新作『怪奇探偵リジー&クリスタル』

『怪奇探偵リジー&クリスタル』
角川書店 12月26日発売 1944円

 第二次世界大戦直前の一九三八年。ロサンゼルスのダウンタウンに探偵事務所を構える私立探偵エリザベス・コルト(通称リジー)と助手の少女クリスタル。二人の元に舞いこむのは、猟奇的な殺人事件や超常現象など、常識はずれの奇怪な事件ばかり。だが、そんな事件に立ち向かう二人も、ただの人間ではなかった!

 こんな話を思いついたきっかけは、戦前戦中のアメリカのホラー映画やモンスター映画、パルプ雑誌などについて調べているうち、こうした懐かしいB級作品の香りを現代に蘇らせられないかと考えたことです。科学が進歩し、コンピュータやインターネットが普及した現代に、こうした話は似合わない。だったらいっそ、ああいう映画や雑誌が実際に作られていた時代を舞台にした方が面白いと。
 また、『事件記者コルチャック』や『狼女の香り』、最近だと『ドクター・フー』や『秘密情報部トーチウッド』といった海外の一話完結式の怪奇・SFドラマが好きなもので、以前からああいう話をやってみたかったということあります。もちろん、先行作品とはかぶらないように、2人のヒロインは非常にユニークな設定にしています。各話のストーリーにしても、「こんなの山本弘でないと書けない」と言ってもらえるようなものばかりだと自負しております。
 ホラーあり、サスペンスあり、SFあり、ミステリあり。スプラッタもあれば笑いもあり、時にはしんみりとさせる。そんな自由奔放でにぎやかな世界が『リジー&クリスタル』なのです。


●第一話 まっぷたつの美女
 リジーの探偵事務所を訪れた美女が、奇妙な相談を持ちかける。恋人が猟奇的な表紙を売り物にしているパルプ雑誌を買い集めているのが不安だというのだ。リジーに説得されて帰っていったが、数日後、まさにパルプ雑誌の表紙を模したかのような残酷な殺人事件が起きる。

 リジーとクリスタルの人物紹介を兼ねた第一話は、この小説を書くきっかけになった、30年代アメリカで流行していたパルプ小説誌をネタにした話。作中に登場する雑誌はすべて実在のもの。この時代のアメリカでは、こんな雑誌が山ほど出てたんです。


●第二話 二千七百秒の牢獄 
 一九三二年、ユニバーサル映画が製作していたものの、さる事情で未完成に終わった密林映画『豹人の女王』。6年後、そのフィルムをめぐって、ユニバーサルの創始者カール・レムリの身に奇怪な現象が起き、リジーもそれに巻きこまれる。フィルムに潜むアフリカの邪神ニャーマトウ。クリスタルはリジーたちを救うため、名特撮マン、ジョン・P・フルトンに助けを求める。

 ジョン・P・フルトンは実在の人物。『透明人間』(33)や『フランケンシュタインの花嫁』(35)の特撮技術は、今見ても素晴らしいです。
 彼に興味を抱くうち、「もしフルトンが恐竜の出てくる特撮映画を作っていたら」と思いつき、その映画の内容を妄想するうちにでき上がったエピソード。『豹人の女王』は完全に架空の映画なんですが、いかにもこの時代に作られていそうなものを考えました。

●第三話 ペンドラゴンの瓶
 一八八〇年、コロラドの田舎町を訪れたカーニバルで、少年が目撃した正体不明の「ペンドラゴンの瓶」。一九三八年、カリフォルニアの山中で起きた謎の獣による惨殺事件。そして一六一七年、イングランドの錬金術師ペンドラゴンが美しい娘ベスを殺害した事件──三世紀の時をまたいで、事件がひとつの線となって結びつく。

 ヒントになったのはレイ・ブラッドベリの「瓶」という短編。何が入っているのか分からない奇妙なガラス瓶をめぐる話です。
 これ以上は何を書いてもネタバレになりそうなのでやめておきます。話が転がってゆく様をお楽しみください。

●第四話 軽はずみな旅行者
 とあるダイナーで、リジーはギャングのカジンスキーと話している男を目にする。数日後、ルークと名乗るその男が探偵事務所を訪れ、カジンスキーに奪われたアタッシェケースを取り戻してくれと依頼する。彼はあるアイテムを手に入れるために二十一世紀末からこの時代にやってきたタイムトラベラーで、アタッシェケースを取り返さないと歴史が決定的に歪んでしまうというのだ。

「怪奇探偵」というタイトルから受けるであろうイメージから大きくはずれた、コミカルなSF話。まあ、『コルチャック』にもロボットや宇宙人が出てくる話がありましたからね。こういう話もアリなのが『リジー&クリスタル』なのです。
 特に後半、SFファンなら大喜びする趣向を盛りこんでおります。

●第五話 異空の凶獣
 かつてクリスタルの母が取り組んでいた四次元空間の実験。科学者ウィッシュボーンがその実験を再開させたところ、地球に隣接する異空間の惑星から、透明な肉食生物ドロウルがこちらの世界に侵入してきた。人間に知られることなく凶行を重ねるドロウル。その姿が見えるのはクリスタルだけなのだ。

 クリスタルと異次元生物の死闘を描くサスペンス編。これもSFファンなら、A・E・ヴァン・ヴォクトの「黒い破壊者」を連想するでしょう。(クァールは透明じゃないですけど)

  


Posted by 山本弘 at 19:14Comments(12)SFオカルトPR レトロ

2015年11月23日

『ハヤカワ文庫SF総解説2000』

『ハヤカワ文庫SF総解説2000』
早川書房 1500円+税 11月20日発売


 小さい写真だとよく分からないでしょうけど、この表紙、ハヤカワ文庫SFの表紙がばーっと並んでるんですよ。
〈SFマガジン〉に三回分載された企画をまとめたもの。帯には「文庫創刊から現在まで2000点の書影・書誌データ」を全収録」とあるけど、正確には『ターザン』シリーズで未刊に終わったのが4点あるので、書影は1996点です。
 僕以外には、こういう豪華執筆陣。

縣丈弘、秋山完、東浩紀、天野護堂、池澤春菜、石和義之、いするぎりょうこ、礒部剛喜、乾石智子、卯月鮎、榎本秋、海老原豊、円城塔、大倉貴之、大迫公成、大野典宏、大野万紀、大森望、岡田靖史、岡本俊弥、小川一水、岡和田晃、オキシタケヒコ、忍澤勉、小田雅久仁、尾之上浩司、尾之上俊彦、小山正、風野春樹、片桐翔造、香月祥宏、勝山海百合、鼎元亨、樺山三英、川又千秋、菊池誠、北原尚彦、木本雅彦、日下三蔵、久美沙織、倉田タカシ、coco、五代ゆう、小谷真理、小林泰三、酒井昭伸、堺三保、坂永雄一、坂村健、笹本祐一、佐藤大、佐藤道博、塩澤快浩、下楠昌哉、新城カズマ、水鏡子、鈴木力、スズキトモユ、瀬尾つかさ、関竜司、添野知生、代島正樹、高槻真樹、高橋良平、立原透耶、巽孝之、田中啓文、タニグチリウイチ、東野司、飛浩隆、鳥居定夫、酉島伝法、中野善夫、中藤龍一郎、中村融、七瀬由惟、鳴庭真人、難波弘之、二階堂黎人、仁木稔、西崎憲、西田藍、西村一、野崎六助、野尻抱介、橋本輝幸、長谷敏司、林譲治、林哲矢、東茅子、東雅夫、福井健太、福江純、福本直美、藤井太洋、藤田雅矢、藤元登四郎、船戸一人、冬木糸一、冬樹蛉、古山裕樹、片理誠、細井威男、細谷正充、牧眞司、増田まもる、丸屋九兵衛、宮風耕治、深山めい、六冬和生、森晶麿、森下一仁、森奈津子、八代嘉美、八杉将司、柳下毅一郎、山岸真、山本弘、YOUCHAN、遊山直奇、ゆずはらとしゆき、横道仁志、吉上亮、吉田親司、吉田隆一、渡邊利道、渡辺英樹

 どんなSFがあるかだけじゃなく、誰がどの本をどういう風に紹介しているかを見るのも楽しい一冊。「ほう、やっぱりあの人はこの作品が好きなのか」とか、逆に「えっ、この人がこれを推薦する!?」という意外性があって面白いです。 二階堂黎人さんが〈ペリー・ローダン〉シリーズと〈ターザン〉シリーズを紹介してたり、田中啓文さんが〈ドック・サヴェジ〉紹介してたり。
 僕が紹介したのはこうした本。

ラインスター『青い世界の怪物』
アシモフ『ミクロの決死圏』
ヴァン・ヴォクト『地球最後の砦』
ローマー『突撃!かぶと虫部隊』
ウィリアムスン『航時軍団』『パンドラ効果』
ホワイト『宝石世界へ』
シュミッツ『悪鬼の種族』
キャンベル『暗黒星通過!』
クラーク『天の向こう側』『前哨』『10の世界の物語』『明日にとどく』『楽園の日々』
クラーク&バクスター『過ぎ去りし日々の光』
マッコーラム『アンタレスの夜明け』
モフィット『木星強奪』
スティス『マンハッタン強奪』
アンダースン&ビースン『臨界のパラドックス』

 いやあ、執筆者間の競争がきびしかったです(笑)。人気のある作品はたいてい先に誰かに先に取られてるんですよ。イーガンもソウヤーもベイリーもホーガンもティプトリーも好きなんだけど、1冊も取れませんでした。
 クラークは短編集が意外に人気がなくて、僕にかなり回ってきたんだけど、本当は『渇きの海』がいちばん好きなんですよね。ストルガツキーの『ストーカー』とか、ハリスンの『テクニカラー・タイムマシン』とかも書きたかったなあ。 レムの『星からの帰還』や、シェクリイの『人間の手がまだ触れない』、ムーアの『暗黒神のくちづけ』も。
 このうち、他に書き手がいなくてしかたなく引き受けたのは、『地球最後の砦』と『暗黒星通過!』ぐらい。他はどれも面白いです。『宝石世界へ』 は「夢幻潜航艇」がすごく影響受けたし、『サイバーナイト』の艦隊戦のシーンは『アンタレスの夜明け』 に刺激を受けたもの。あっ、もちろん『時の果てのフェブラリー』のヒントは『ストーカー』です。
 それにしても、『青い世界の怪物』『航時軍団』『悪鬼の種族』あたりに立候補者がいなかったのが、ちょっと驚き。面白いのに!
 まあ、『突撃!かぶと虫部隊』や『マンハッタン強奪』あたりは、僕しか褒める人間はいないかなという気がするんですが(笑)。
  
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Posted by 山本弘 at 18:16Comments(3)SFPR