2018年04月23日

『レディ・プレイヤー1』観てきた!

『レディ・プレイヤー1』観てきました。最初は試写会で、2回目は自分で金払って映画館で。
 初回は英語版、2回目は日本語版。字幕ではどうしても省略されちゃう部分もあるので、日本語版の方がやや良かったかも。

 原作の『ゲームウォーズ』は2014年に発売された直後に読んでいっぺんにハマり、12月のLiveWireでのビブリオバトルで,見事にチャンプ本になったことも。

ビブリオバトル・チャンプ本『ゲームウォーズ』
http://hirorin.otaden.jp/e409011.html

> ちなみに映画の監督はクリストファー・ノーランがオファーされてるらしいんだけど……うーん、ノーランじゃ何か違うかも。

 と、この時には書いたんだけど、後でスピルバーグに決まったと知ったときには、「やった! これで勝てる!」と思ったものです。
 もっとも、残念ながらさすがのスピルバーグでも力及ばず、ウルトラマンとレオパルドンはカットされちゃいましたけどね。あと、原作ですごく盛り上がった『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』の名場面再現がカットされたのも残念。まあ確かに、こんな超大作映画のクライマックスであれやられてもなあ(笑)、という気はしますけど。あっ、でも「聖なる手榴弾」は出てきます。
 他にも、未見の人のためにまだ言いませんけど、原作に出てこないキャラ、原作に出てこない映画ネタがいろいろ追加されていて、原作読んでる人間にも満足できる出来でした。
 あと、映画観て面白かった方は、ぜひ原作も読んでいただきたいです。映画よりもはるかにネタを詰めこみまくってまして、「よくぞまあこんな趣味に走りまくった小説書いたもんだ!」と感動しますから。


 この『ゲームウォーズ』、〈BISビブリオバトル部〉シリーズ第4作『君の知らない方程式』でも、ビブリオバトルの場面で登場しております。こちらもお読みいただければ幸いです。


「もちろん、批判する人もいるでしょう」
 あと一分。私は興奮を抑え、締めにかかりました。もちろん、ターゲットは武人くんです。
「こんなのは荒唐無稽だ。こんな都合のいい話なんて現実にはない。ほとんどの人間はどん底から這い上がれず、社会の底辺でもがき続けて一生を終わるんだって──ええ、確かにそう思います。
 でも、この話自体は架空でも、そこにこめられた作者のメッセージは本物だと思うんです。どんなにどん底の絶望的な境遇でも、あきらめずに戦い続けたら、きっと未来を手にできる──だって、そうでしょう? あきらめたら未来もないじゃないですか」

(中略)
 だから作者のクラインさんのメッセージを、私は肯定します。確かにこれは荒唐無稽なSFです。オタクの夢です。願望充足です。でも、未来への希望が詰まっています。だから、今も苦しんでいる人たちに、この小説を読んで、勇気を持ってほしいと願います。あきらめず、希望を持ってほしいと。生きていればいつか、チャンスが訪れるから……」

 発表の後の質疑応答の場面。

 次にミーナが手を挙げる。
「レオパルドンが出てくるそうですが、他にも日本のキャラクターが出てきますか?」
「ああ、はい。登場人物の一人が、『カウボーイビバップ』のビバップ号を改造した宇宙船に乗ってきます。あと、途中で出てくる謎で〈笛を吹き鳴らせ〉というのがあるんですけど、ウェイドがそれを『マグマ大使』の笛のことじゃないかと」会場がまた爆笑だ。「推理するシーンがあるんです。結局、その推理は間違ってたんですけどね。ただ、アメリカ人が書いた小説に『マグマ大使』なんてタイトルがさらっと出てきたので、ちょっとびっくりしました」
「アメリカで放映されてたんですか、『マグマ大使』?」
「七〇年代から八〇年代にかけて、吹き替え版が放映されてたそうです。ああ、名前だけですけど、『キカイダー』とか『スペクトルマン』とかのタイトルも出てきます。ウェイドはそういう日本の古い特撮番組が大好きなんですよ」
 どんなアメリカ人だよ!


 ちなみに今月号の『映画秘宝』の西川伸司氏の解説によれば、あの●●●●●、生頼範義氏のポスター版がベースになってるんだそうで……それはそれで濃いネタだなあ。  


Posted by 山本弘 at 19:12Comments(0)SF特撮アニメ映画ビブリオバトル

2018年04月17日

「オタク映画を力いっぱい語ろう!」

山本弘のSF秘密基地LIVE#78
オタク映画を力いっぱい語ろう!

『パシフィック・リム:アップライジング』『レディ・プレイヤー1』など
濃いオタク向け特撮大作が次々に公開されている今こそ
俺たちがその魅力を熱く語らなくてどうする!?
山本弘・友野詳・鋼鉄サンボの「浪速の特撮三兄弟」が再び集結!
特撮とSFとマンガとアニメをからめて、怒濤のオタク・トークを展開します!
マニアックな濃いネタが聞きたい人、全員集合!

[出演] 山本弘、友野詳、鋼鉄サンボ

[日時] 2018年4月27日(金) 開場・19:00 開始・19:30

[会場] なんば紅鶴(大阪市中央区千日前2-3-9 レジャービル味園2F)(地図)南海なんば駅より南海通り東へ180m・駐車場有

[料金] 1500円  
(店内でのご飲食には別途料金がかかります。入場時に別途ワンドリンクをご購入いただきますのでご了承ください)

 ご予約はこちらへ。
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=129672215


 久しぶりの「浪速の特撮三兄弟」の集結であります。

『パシフィック・リム:アップライジング』は観てきました。夜間シーンや水中シーンが多くて見えにくかった前作と比べ、昼間の戦闘シーンが多くて、さらにエキサイトできましたね。
 あと、『レディ・プレイヤー1』は一足先に試写会で観ました。3年前にこのブログで原作の『ゲームウォーズ』の魅力を紹介して以来、ずっと映画化を心持ちにしてたんですよね。

ビブリオバトル・チャンプ本『ゲームウォーズ』
http://hirorin.otaden.jp/e409011.html

 レオパルドンが出なかったのはちょっと残念ですが、原作の膨大な内容を上映時間内に納めるために、脚色はしかたなかったんでしょうね。
 まだご覧になっていない方のためにストーリーは伏せますが、観て損はない映画です。あと、映画観た後で原作も読んでみてください。いっそう楽しめますから。

 ちなみに『ゲームウォーズ』は『君の知らない方程式』でも取り上げています。
  
タグ :PR映画特撮


Posted by 山本弘 at 19:13Comments(3)SF特撮PR映画怪獣

2018年03月31日

『リジー&クリスタル』文庫版・解説は菊地秀行先生!

 おっと、新刊が出てたのに宣伝するの忘れてました。



 内容については、こちらを参照してください。

http://kokorohaitsumo15sai.la.coocan.jp/lizzie01.html

 今回は菊地秀行先生に解説をお願いしました。こういう内容だけに、古いホラー映画とかが大好きな菊地先生だったら面白がってくださるかな……、と思って思いきって依頼してみたんですが、予想をはるかに超える熱い解説を書いていただきました。
 タイトルが「先を越されて頭に来た解説」!
 最初に、解説というのは本来、作品と距離を置いて書かれるべきものであり、この距離を維持するのが解説者の自制心だ……と書いた後で、

 ところが、ゲラの一頁目の物語と主人公二人の設定を読んだ途端、そんなのはダメだと思った。どころか、自制心なんて最初から無いねと嘯くに至った。こういう小説を書ける時代になったのである。感慨はすぐ怒りに変わり、更に呆気に取られた。
 何とまあ、好きな材料を好き放題に料理していることか。しかも、客たちは全員、ナイフとフォークを手に、早く早くとテーブルを叩いていると来た。


(中略)作品をパクッたりする悪党も多いが、クリエイターはパクられなければお終いである。
 山本氏の本作には、パクリの心配がない。
 詰まらないのではなく、作品の個性が強烈すぎるのだ。


(中略)こう書いただけで、「やりやがったな」と溜息をついたり、「先を越されたか」と歯ぎしりする同業者は多いだろう。本書に火を点ける奴もいるかもしれない。

「おれはやるぞ!」
 氏は自宅の風呂場か、パーティ会場のど真ん中でこう叫び、家族や友人知人の不安げな目差しを浴びつつ、パソコンのキイを叩きはじめたのである。

 第三話が大人しめだったから第四話も、などと考えた人は、世の中と山本弘がわかっていない。
「軽はずみな旅行者」こそ、本短篇集のキモである。


 こんな調子で、全編、アクセル踏みっぱなしの解説! こんなに暴走した解説なんてめったにあるもんじゃありません。「菊地秀行を本気にさせた」というのは、僕にとって誇るべき勲章です。
 とりわけジンときたのは、「軽はずみな旅行者」の解説。レイ少年に語りかけるルークが作者自身だと指摘した後で、

 やるに事欠いて、自分まで出演させてしまうとは、到底、理性ある作家の行為ではない。恥を知れと言いたい。私は「先を越され」てしまったのだ。

 ええ、そうですとも! あの「自分を信じろ。未来を信じろ。君の未来は明るいんだ」というくだりは、フィクションの枠を越えて、心から、作者の本音をぶつけましたよ。
 というわけで、この菊地先生の解説だけで一読の価値はあります。ぜひ書店でお手に取ってみてください。





  


Posted by 山本弘 at 22:28Comments(3)SFオカルト特撮PR レトロホラー

2018年03月17日

スーパー!ドラマ オーセンティック海外ドラマ研究室 『ミステリーゾーン』

 特撮に詳しい岸川靖さんと、『ミステリーゾーン』について解説してきました。
 ちなみに、大雪が降った日の翌日、1月23日に東京に行って収録しました。スタジオのあるビルの前の坂道が凍ってて、上り下りするのがちょっと怖かったです。

スーパー!ドラマ オーセンティック海外ドラマ研究室 Vol.11「ミステリーゾーン その1」
https://vod.superdramatv.com/members/movie/11

スーパー!ドラマ オーセンティック海外ドラマ研究室 Vol.12「ミステリーゾーン その2」
https://vod.superdramatv.com/members/movie/12/

 まだ2本分しかアップされてませんが、3時間以上話したんで、たぶんもう何回か続くんじゃないかと思います。

 あいにく「スーパー!ドラマ クラシック」に入会した人しか視聴できませんけど、僕はこの機会に入会しました。月500円ぐらいなら安いものですし。
『ミステリーゾーン』も(本国でも封印されたエピソード以外は)全部視聴できます。

https://vod.superdramatv.com/

 僕の場合、『ミステリーゾーン』も『サンダーバード』も『キャプテンスカーレット』もDVDで持ってるし、『謎の円盤UFO』も『スペース1999』も何回も観てるから、そのへんは今さら必要ないんですけど、『冒険野郎マクガイバー』がどうしても最初から全話観たくて(笑)。実は好きなんですよ、『マクガイバー』。

 ちなみに「『ミステリーゾーン』を観てみたいけどどこから観れば分からない」という方には、こちらの本が絶好のガイドブックになります。

 おすすめは第3シーズン。第2話から10話まで、「到着」「生と死の世界」「遠い道」「栄光の報酬」「鏡」「墓」「子供の世界」「亡霊裁判」「狂った太陽(二つの太陽)」と傑作が目白押し! 特に「生と死の世界」「子供の世界」「狂った太陽」は必見です。他にも「奇妙な奈落」「日本軍の洞窟」「消えた少女」「亡き母の招き」あたりもいいです。

 第1シーズンは「誰かが何処かで間違えた」「ヒッチハイカー」「めぐりあい」「疑惑」「マネキン」あたりがすごく怖いです。

 第2シーズンは「みにくい顔」「遠来の客」が文句なしの傑作。

 あと、映画版でリメイクされた第5シーズンの「2万フィートの戦慄」もいいですね。
 

  


Posted by 山本弘 at 21:25Comments(3)SFPR レトロホラー

2018年02月09日

「今日も科学はエキサイティング! 科学雑誌からSFネタを探そう!」

山本弘のSF秘密基地LIVE#76
今日も科学はエキサイティング!
科学雑誌からSFネタを探そう!


 科学の世界は日進月歩。今この瞬間も、古い説がどんどん時代遅れになる一方、エキサイティングな発見、すごい仮説や理論が次々に生まれてきています。
 雷の中で核反応が起きていたことが判明しました。ゴキブリをゾンビのように操るハチがいることや、地球の深部には地表の生態系を上回るかもしれない謎の始原生命体が大量に存在しているらしいことも。異星人の建設したダイソン球ではないかと言われている天体KIC 9462852や、マルチバース、スーパーフレア、スターショット計画のようなSF的な題材を、科学者たちが真剣に論じているんです。
 科学雑誌を毎月読んでいるSF作家の山本弘が、SFに使えそうなネタをピックアップ。最先端のエキサイティングな科学トピックスを、野次馬精神で楽しんじゃおうという企画です。お楽しみに!


[出演] 山本弘

[日時] 2018年2月23日(金) 開場・19:00 開始・19:30

[会場] なんば紅鶴(大阪市中央区千日前2-3-9 レジャービル味園2F)南海なんば駅より南海通り東へ180m・駐車場有

[料金] 1500円  
(店内でのご飲食には別途料金がかかります。入場時に別途ワンドリンクをご購入いただきますのでご了承ください)

ご予約はこちらへ。
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=127546091



 いやあ、この前のファルコン・ヘビーの打ち上げ、感動しましたよね。スポーツカーを宇宙に飛ばしたのもすごかったですけど、切り離されたブースターが180度旋回して戻ってきて、逆噴射しながら着陸脚を展開、2基そろってまっすぐに降りてくるのがたまりません。サンダーバード3号かウルトラホーク2号かって感じで、もうかっこよくてかっこよくて。しびれましたね。

https://www.youtube.com/watch?time_continue=582&v=sB_nEtZxPog

 科学にはまだまだ可能性がある。誰かの発明や発見によって、また何か大きな夢が実現するかもしれない――そう感じさせてくれました。

 山本弘のSF秘密基地LIVE、今回は『日経サイエンス』の記事を中心に、最新の科学トピックス、特にSF的でわくわくする話題をいろいろ取り上げます。
『日経サイエンス』、2月号では「仮面ライダーの方程式」なんてものを取り上げたり(『仮面ライダービルド』に出てくる方程式がみんな実在のものだという話)、一昨年の12月号は「シン・ゴジラの科学」なんて特集をやったり、いろいろ目が離せないんですよ。



 今月号でも、地下から発見された始原生命体「CPR細菌」の話が、正しかったら地球の進化史を塗り替えてしまうほどの大発見で、エキサイティングです。即座に「これSFのネタになる!」と思っちゃいました。
 こうした話題をいろいろご紹介します。お楽しみに!  


Posted by 山本弘 at 20:02Comments(5)サイエンスSFPR

2018年01月19日

「わが青春のSFエッチトーク!」

山本弘のSF秘密基地LIVE#75
「わが青春のSFエッチトーク!」


 未成年型SEX用アンドロイドを題材にした『プラスチックの恋人』(早川書房)出版記念!
 SF作家・山本弘が、若い頃に夢中になったエロいSFの話題を語りまくります。
 山本弘が70年代に青春を捧げたSFヒロインは誰?
 「ハヤカワvs創元・おっぱい戦争」を君は知っているか?


[出演] 山本弘

[日時] 2018年1月26日(金) 開場・19:00 開始・19:30

[会場] なんば紅鶴(大阪市中央区千日前2-3-9 レジャービル味園2F)南海なんば駅より南海通り東へ180m・駐車場有

[料金] 1500円  
(店内でのご飲食には別途料金がかかります。入場時に別途ワンドリンクをご購入いただきますのでご了承ください)


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(アップしようとしたら、またこの「オタクの電脳」ブログの禁止ワードにひっかかりました。ここではセ●クスって使っちゃいけないらしいです。「おっぱい」や「エロ」はいいのに)


 基本的に、昨年12月22日に新宿でやったイベントと同じ内容です。前回は伊藤ヒロさんと対談形式でしたけど、今回は僕一人です。SF関係のエロい話をたっぷりする予定です。
 http://hirorin.otaden.jp/e442021.html
 70年代の「ハヤカワvs創元・おっぱい戦争」って、もうSF界でも忘れられてるみたいなんですよねー。早川書房の編集さんですら、『地球移動作戦』の文庫版を出す際に、「早川では女の子を表紙にしません」なんて言ったぐらいで(笑)。ラノベみたいに思われるのを嫌ってるらしいんですけど、70年代のハヤカワ文庫の表紙、知らないんですか?
 こんなだったんですけど。



 てゆーか、『地球移動作戦』の文庫の前の年に、『アリスへの決別』出してるのに!

 そう言えば仁賀克雄さん、亡くなられましたね。若い頃、この方の訳されたSFをずいぶん読んだものでした。特にC・L・ムーア。「シャンブロウ」は僕にとって、SFとエロが結びついた最初の体験でした。
 とにかく「昔のSFはエッチだったんだ!」というのを全力でアピールしたいと思っています。あと、中学生時代に感化された山田風太郎とかの話も。  
タグ :SFPRエロ


Posted by 山本弘 at 20:30Comments(7)SFPR

2017年12月20日

新刊『プラスチックの恋人』


 早川書房 12月19日発売
 1800円+税

 2040年代、AC(人工意識)とAR(拡張現実)の併用により、人間そっくりのSEX用アンドロイド「オルタマシン」が実用化していた。生きた人間が関与しない機械による売春行為は、本物のSEXではないために合法とみなされ、しだいに世間に受け入れられていった。
 そんな時、オルタテックジャパン社は新しいサービスを発表した。9歳から17歳までの美少女・美少年の姿をしたオルタマシンーーマイナー・オルタマシンである。
 マイナー・オルタマシンによる性的なサービスを売り物にする施設〈ムーンキャッスル〉が日本にオープン、それをめぐる賛否が巻き起こる中、ジャーナリストの長谷部美里は、編集者から体験取材を命じられる。キャッスルに行って、実際に未成年の姿をしたオルタマシンとSEXをしてこいというのだ。
 マイナー・オルタマシンに対する強い嫌悪感を抱えたまま、やむなく取材に赴く美里。そこで彼女は、12歳少年型の緑の髪のオルタマシン、ミーフと出会う。


 この作品は、『プロジェクトぴあの』(PHP研究所)と『地球移動作戦』(ハヤカワ文庫JA)をつなぐ内容です。ARが本格的に普及しつつある一方、最初のACが誕生した2020年代を描いた『プロジェクトぴあの』。多くの人間がアーゴ(拡張現実ゴーグル)を常に着用し、ACOM(人工意識コンパニオン)と共生している2080年代を描いた『地球移動作戦』。その二つの時代の中間、ACを有するアンドロイドが現われた時代を描いています。
 もっとも、ストーリーは『プロジェクトぴあの』とも『地球移動作戦』ともあまり関係がないので、この『プラスチックの恋人』だけお読みになっても特に支障はありません。まあ、『プラスチックの恋人』が気に入られたなら、『プロジェクトぴあの』と『地球移動作戦』もお読みいただけるとありがたいんですけどね。どっちも傑作なんで(笑)。

 この小説を思いついたきっかけは、『アイの物語』(角川書店)を書いた時のことです。
 何種類もの人工知能やアンドロイドが登場する短編集ですが、「アイの物語」のアイビスは「私にヴァギナはついてない」と明言します。「詩音が来た日」の詩音は、「でも、将来的にはSEXの機能を持つモデルも、ジオダイン社は発売するのではないかと思いますが」と予想しますが、その予想が当たったかどうかは語られません。「正義が正義である世界」の彩夏は、SEXという概念すら持ちません。
 つまりSEXの話題を完全に避けてたんですね。
 古来より、SEXは小説家にとって大きなテーマです。まして人工知能とのSEXとなると、問題が厄介すぎて、短い枚数では描ききれません。SEXについて触れようとしたら、それだけで大部分を占めてしまい、『アイの物語』のテーマがぼやけてしまう。だから『アイの物語』ではSEXの話題を避けるしかなかったんです。
 でも、そのことがずっと心にひっかかっていました。本当なら人工知能とのSEXをきちんと描くべきだったのにと。
 そこで人間とアンドロイドとのSEXを本格的に描いた物語を書いてみようと思いついたわけです。

 もちろん、過去に人間とアンドロイドのSEXの出てくる小説はいろいろありました。眉村卓『わがセクソイド』、平井和正『アンドロイドお雪』、石川英輔『プロジェクト・ゼロ』、タニス・リー『銀色の恋人』……「プロジェクト○○」という題はこの前、使ってるんで、今度は「○○の恋人」にしようと思いつきました(笑)。
 それらの先行作品と違うのは、未成年の姿をしたアンドロイドとのSEXを題材にしていることです。単なるセクサロイドの話なんて、もう珍しくもないですから。
 無論、現実には未成年とのSEXなんて禁止されています。児童虐待になります。でも、人間じゃなくてアンドロイドなら?
 そもそも外見と製造年月日に関係がないアンドロイドに、「未成年」という概念が適用されるのか?
 苦痛を感じないし、羞恥心や恥辱という概念を持たない人工知能に対して、「虐待」という行為はありうるのか?
 問題があるとしたら、それは結局のところ「人間の問題」なのでは?

 この小説を書く際に心がけたのは、「正解」を提示しないということでした。
 だって、こんなややこしい問題、正解なんて最初から出るわけないでしょ?
 連載中、文句を言っていた読者がいました。美里が「悪役」の間違いを正そうとしないのがダメだ、というのです。
 悪役? 誰のことなんでしょう?
 ナッツ99という男は、きわめて不快に見えるように描いています。実際にこんな奴がいたら、すごく嫌でしょうね。でも、彼の主張自体は論理的です。
 反マイナー・オルタマシン運動の活動家である黒マカロンは、大それた犯罪を実行します。でもそれは、子供の頃の悲惨な体験に由来する、やむにやまれぬ衝動によるもの。彼女自身が犯罪の被害者なので、「悪役」とは呼にくい。
 マイナー・オルタマシン開発を推進したオルタテックジャパンのCEOの小酒井氏も、金儲けのためじゃなく、自分のポリシーを貫いただけのこと(経営者としては致命的な失策を犯しましたが)。
 そして主人公の美里は、マイナー・オルタマシンに対して強い敵意を抱いていますが、同時にミーフを愛してしまうという、思わず「ダメじゃん!」とツッコミたくなる矛盾したキャラクター。
 だから僕は「誰が悪役か」は決めていません。もちろん、「誰が正義か」も。
 それを「悪役だ」と思ったのは、あなたであって、僕じゃないんです。

 むしろこの小説は、読者に対するリトマス試験紙になるようなものを目指しました。
 この小説を読んでいて、キャラクターの主張に「けしからん」と腹を立てたり、「もっともだ」と同意したり、「バカだなあ」と笑ったりする……それによって、読者の有するモラルや正義がどこに位置しているのかが見えてくる。読者の「モラルの座標」を明快にするようなものを。
 だからあなたがこの小説を読んで、どんな感想を抱くかは自由です。キャラクターの誰かの主張に共鳴して「もっともだ!」「これが正義だ!」と思っても、僕はそれに反論も同意もしません。
 ただ、あなたの揺るぎない「モラルの座標」に対して、別の座標から「そんなものは間違っている!」と言ってくる人も、どこかに必ずいるでしょうけども。

 ちなみに、印刷が上がってきた本を娘(21)に見せて、父がエロいSFを書いたことをどう思うかと心境を訊ねたら、「友達が18禁小説を書いたのとたいしてノリが変わらん」という返事でした(笑)。
 考えてみれば、若い女性が18禁小説(また18禁マンガ)を読んだり書いたりするって、今や当たり前のことですからね。少なくとも同人界では。頭の古い人なら「こんないやらしい小説を書いて!」と眉をひそめるかもしれませんが、若い世代にとってはたいしたことじゃないんでしょう。
 娘はやはり「12歳美少年型アンドロイド」という設定に惹かれたのか、一晩で読み終わり、「面白い」と言ってくれました。エロいシーンもまったく平気だったようです。
 というわけで、「若い娘が読んでも平気な健全エロ小説」ですので、皆様にもお勧めいたします(笑)。


Posted by 山本弘 at 17:25Comments(16)SFPR

2017年08月24日

海外SF・ホラードラマの“戦うヒロイン”の魅力を語ろう

Live Wire17.8.31(木) なんば紅鶴|山本弘のSF秘密基地LIVE#71

海外SF・ホラードラマの“戦うヒロイン”の魅力を語ろう

 今回のテーマはSFヒロイン! 海外ドラマ研究家の松岡秀治氏をゲストに迎え、最近、映画にもなった『ワンダーウーマン』にちなみ、海外SF・ホラードラマに登場した戦うヒロインたちの魅力について語ります。リンダ・カーター版の『ワンダーウーマン』をはじめ、『バイオニック・ジェミー』『バフィー~恋する十字架~』『チャームド~魔女3姉妹~』など、日本でも話題になった作品から、『マイティ・アイシス』『ブラック・スコーピオン』『闘姫ジーナ』など、日本ではあまり知られていない作品群まで、SFヒロインが総登場! お楽しみに!

 なお、いつもは毎月最終金曜日ですが、今月は31日(木曜日)です。お間違えなく。

[出演] 山本弘、松岡秀治

[日時] 2017年8月31日(木) 開場・19:00 開始・19:30

[会場] なんば紅鶴(大阪市中央区千日前2-3-9 レジャービル味園2F)(地図)南海なんば駅より南海通り東へ180m・駐車場有

[料金] 1500円  
(店内でのご飲食には別途料金がかかります。入場時に別途ワンドリンクをご購入いただきますのでご了承ください)


 ご予約はこちらへ。
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=120756205

 今回のゲストは松岡秀治さん。ご存知の方も多いでしょうが、ものすごく濃い海外ドラマ研究家です。僕でもついていけない濃い話題が炸裂することと思います。お楽しみに!
  


Posted by 山本弘 at 22:29Comments(1)SFPRテレビ番組

2017年04月07日

『世にも不思議な怪奇ドラマの世界』発売記念イベント

『世にも不思議な怪奇ドラマの世界』(洋泉社)の発売を記念して、大阪と東京の2箇所でトークイベントをやります。
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Live Wire 17.4.27(木) なんば紅鶴|山本弘のSF秘密基地LIVE#67
山本弘のSF秘密基地LIVE#67
懐かしの海外SFドラマの世界


 今月は『世にも不思議な怪奇ドラマの世界 「ミステリー・ゾーン」「世にも不思議な物語」研究読本』(洋泉社)発売にちなんで、懐かしの海外ドラマの特集です。海外ドラマ研究家の松岡秀治さんをゲストにお招きし、60~70年代、日本のお茶の間のブラウン管を賑わせた海外ドラマの数々、特にSFやファンタジーを中心に語ります。
『ミッション:インポッシブル』の原作の『スパイ大作戦』って、実はけっこうSFだった?
 ジョージ・リーヴス版の『スーパーマン』って、どんな話だったの?
 他にも『ミステリー・ゾーン』はもちろん、『インベーダー』『奥さまは魔女』『タイムトンネル』『原潜シービュー号』などなど、名前だけは有名だけど、内容があまり語られない番組や、『セイント/天国野郎』『スパイのライセンス』『秘密指令S』『CSI』などの中のSF風エピソードについて、思い出を熱く語りまくります。お楽しみに!
 いつもは最終金曜日ですが、今月は最終木曜日です。お間違えなく。


[出演] 山本弘、松岡秀治(海外ドラマ研究家)

[日時] 2017年4月27日(木) 開場・19:00 開始・19:30

[会場] なんば紅鶴(大阪市中央区千日前2-3-9 レジャービル味園2F)南海なんば駅より南海通り東へ180m・駐車場有

[料金] 1500円  
(店内でのご飲食には別途料金がかかります。入場時に別途ワンドリンクをご購入いただきますのでご了承ください)

 ご予約はこちらへ。
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=115433691


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Live Wire 17.5.5(金/祝) 山本弘のSF秘密基地LIVE 東京出張編#5
山本弘のSF秘密基地LIVE 東京出張編#5
怖いこどもの日・『ミステリー・ゾーン』と海外怪奇SFドラマの世界

 いつもは大阪でやっている「山本弘のSF秘密基地LIVE」。今月は東京に出張いたします。
 新刊『世にも不思議な怪奇ドラマの世界』(洋泉社)出版にちなんで、伝説のSF・ホラー・ファンタジー番組『ミステリー・ゾーン』を中心に、懐かしの海外SFドラマの魅力をたっぷりと語ります。お楽しみに。


[出演] 山本弘

[日時] 2017年5月5日(金/祝) 開場・19:00 開始・19:30 (約2時間を予定)

[会場] Live Wire HIGH VOLTAGE CAFE
     東京都新宿区新宿5丁目12-1 新宿氷業ビル3F (1F割烹「いちりん」右階段上がる) (Googleマップ)
    ・都営新宿線「新宿3丁目」駅 C6~8出口から徒歩5分
    ・丸ノ内線・副都心線「新宿3丁目」駅 B2出口から徒歩8分
    ・JR線「新宿」駅 東口から徒歩12分
 
[料金] 1500円 (当日券500円up)

※終演後にフリーフード&フリードリンクの懇親会を開催します(21:00終了予定。出演者は参加できない場合があります)。参加費は3500円です。懇親会参加者には、入場時にウェルカムの1ドリンクをプレゼント。参加希望の方はオプションの「懇親会」の項目を「参加する」に変更してお申し込みください。参加費も一緒にお支払いただきます。
 
※懇親会に参加されない方は、当日受付時に別途1ドリンク代500円が必要となります。(2ドリンク購入の場合は100円引きの900円とお得です)

ご予約はこちらへ
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=115803915
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 二箇所のイベント、ちょっとだけ内容が違います。まあ、喋る内容はだいたい同じなんですが(笑)。
 なんば紅鶴の方のイベントは、今度の本を担当していただいた洋泉社の編集さんに、ジョージ・リーヴス版『スーパーマン』の変なエピソード(「スーパーマン製造機」とか「人間電送機」とか)を語ったら、けっこう受けたんで、イベントで話しても受けるんじゃないかと思ってます。
 あと、『スパイ大作戦』って、実はタイムスリップ起こしたり大地震起こしたり第三次世界大戦起こしたり(もちろんトリックで)、けっこうSF的な話が多かったと思うんですよ。今の『ミッション:インポッシブル』しか知らない人には、かなり意外な話じゃないかと思います。
  
タグ :SFTVドラマPR


Posted by 山本弘 at 19:39Comments(3)SF特撮PR レトロテレビ番組

2017年04月07日

新刊『世にも不思議な怪奇ドラマの世界』


山本 弘 (著), 尾之上 浩司 (監修)
『世にも不思議な怪奇ドラマの世界』
洋泉社 1944円+税


アメリカの伝説のオカルト番組『世にも不思議な物語』と、怪奇・SF・ファンタジーのアンソロジー番組『ミステリー・ゾーン』、日本の人気番組『世にも奇妙な物語』に大きな影響を与えた、伝説の番組を徹底解説したディープなガイドブック!『ミステリー・ゾーン』の未訳短編「家宝の瓶」(The Man in the Bottle)も特別収録!

 こちらも新刊です。前に出した同人誌2冊を合本にしたもの。
 同人誌の原稿を少し書き直すだけでいいかな……と侮ってたんですが、かなり書き直すはめになりました。
 やっばり力を入れたのは『ミステリー・ゾーン』です。近年、昔の外国番組を扱った本やムックはたくさん出てるんですが、『事件記者コルチャック』とかについては詳しく書かれていても、なぜか『ミステリー・ゾーン』の紹介がすっぽり抜けてるんですね。ほんの数行しか触れられていなくて、内容がさっぱり分からない。これじゃ『ミステリー・ゾーン』の素晴らしさがまったく伝わりません。
 本当に面白い番組だったんだから!
 何と言っても注目していただきたいのは脚本。全エピソードの半分以上を書いたクリエイターのロッド・サーリングの才能は言うまでもありませんが、リチャード・マシスン、チャールズ・ボーモント、レイ・ブラッドベリらの書いた話も素晴らしい。もちろん、中には駄作や凡作もありますが、傑作率がきわめて高いんです。
「誰かが何処かで間違えた」「ヒッチハイカー」「めぐりあい」「マネキン」「遠来の客」「No.22の暗示」「亡き母の招き」「消えた少女」「二万フィートの戦慄」などの、ものすごく怖い話。
「過去を求めて」「奇蹟」「トランペットに憑かれた男」「弱き者の聖夜」「縄」「幻の砂丘」などの泣ける人情話。
「奇妙な奈落」「みにくい顔」「合成人間の家」「生きている仮面」などの、ラストがショッキングな話。
「疑惑」「悪意の果て」「日本軍の洞窟」「暗黒の死刑台」などの、強い問題提起を含んだ話。
 第3シーズンの「到着」「生と死の世界」「遠い道」「栄光の報酬」「鏡」「墓」「子供の世界」「亡霊裁判」「狂った太陽」なんて並びは傑作ぞろいで、もう神がかってますね。
 この本では、それらのエピソードをすべて解説しています。
 あと、スタッフの紹介。脚本家陣だけじゃなく、演出家もすごい人が揃ってたんですよ。ドン・シーゲル、バズ・キューリック、リチャード・C・サラフィアン、ジャック・スマイト、ボリス・セーガル、リチャード・ドナー……『遊星よりの物体X』や『宇宙水爆戦』の監督までいたとは、調べてみるまで気がつきませんでした。
 本国での放映日はもちろん、日本での放映日のリストも掲載。だいぶ前に『宇宙船』にも載ってたんですが、間違いだらけで使いものにならなかったんで、新たに調べ直しました。原作のあるエピソードについては、原作のリストもつけました。

 もちろん『ミステリー・ゾーン』だけじゃなく、『世にも不思議な物語』も全エピソードを解説しています。
 データ面はもちろん、僕の評論「僕らはみんなメープル通りに住んでいる」も掲載。あと、レノア・ブレッソンの『世にも不思議な物語』やJ・マイケル・ストラジンスキーの『新トワイライトゾーン』を訳された尾之上浩司さんには、未訳のノヴェライズ「家宝の瓶」を訳していただきました。
 これ一冊あれば、『世にも不思議な物語』と『ミステリー・ゾーン』はほぼ網羅できると自負しております。これからDVDを買われる方のガイドブックとしても最適です。
 半世紀以上前にこんな素晴らしい番組があったことを、多くの人に知っていただければと思います。


   


Posted by 山本弘 at 19:09Comments(2)SF特撮PR レトロテレビ番組