2017年02月21日

『幽霊なんて怖くない』文庫化

『BISビブリオバトル部〈2〉 幽霊なんて怖くない』が文庫になりました。


夏休みを迎えた美心国際学園(BIS)ビブリオバトル部は、造り酒屋を営む武人の家で夏合宿を開催する。夜、武人の両親や祖母を招待して行われたビブリオバトルのテーマは〈恐怖〉。部員たちはロウソク一本の明かりのなか、それぞれ得意ジャンルを生かしてとっておきの怖い本を紹介するが、投票段階にはある不思議な出来事が……。
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488737061

 2015年に出版された〈BISビブリオバトル部〉シリーズの第2弾。リンク先でも解説されていますが、今回の表紙は弐久寿です。両親ともに生粋の白人なんですが、日本に帰化していて日本語ぺらぺら。周囲の人に変な二つ名をつけるのが趣味。
 ただ、BB部員じゃないもんでビブリオバトルでは発表せず、空やミーナほど台詞が多くないんですよね。ですから表紙だけでも目立たせてあげようと思いました。
 この巻のビブリオバトルのテーマは、〈恐怖〉そして〈戦争〉。重いテーマなんですが、決してお話自体は重くありません。それどころかギャグもサービス・シーン(笑)もいろいろ。もちろん本をめぐるうんちくも盛りこまれていて、楽しめる内容になっていると自負しています。

 前の巻では声優の池澤春奈さんに解説をお願いしましたが、今回は作家の福田和代さんに書いていただけました。
 福田さんは神戸で『読まなきゃ!』というビブリオバトルを主催されています。僕もお呼びがかかって発表させていただいたことがあるんですが、その時のエピソードも解説の中で触れていただいております。大変に的確で熱のこもった解説でした。ありがたいです。

 また、文庫化に合わせて、自分のサイトを一部更新しました。

『BISビブリオバトル部2 幽霊なんて怖くない』登場作品リンク集
http://kokorohaitsumo15sai.la.coocan.jp/bibliobatllebu002a.html

 作中に登場する本を紹介しています。マクスウェル・テイラー・ケネディの『特攻 空母バンカーヒルと二人のカミカゼ』は、分厚い本ですが面白くて引きこまれますし、もちろん『馬の首風雲録』『野生のティッピ 動物と話す少女』『七時間目の怪談授業』『軍靴のバルツァー』『びっくりモンスター大図鑑』なども、みんなそれぞれ面白いんでおすすめです。

BISビブリオバトル部 埋火家のSFコレクション その2
http://kokorohaitsumo15sai.la.coocan.jp/bibliobatllebu002b.html

 こちらは作中で埋火家の書庫のシーンに登場する本を紹介。古いSFが中心ですが、ジェラルド・ハード『地球は狙われている』はかなりレアではないか思います。

 前作のデータはこちら。

『翼を持つ少女』登場作品リンク集
http://kokorohaitsumo15sai.la.coocan.jp/bibliobatllebu02.html

BISビブリオバトル部 埋火家のSFコレクション
http://kokorohaitsumo15sai.la.coocan.jp/bibliobatllebu04.html


 ちなみに、AMAZONへのリンクが切れていないか確認していたら、カヴァーリ‐スフォルツァの『わたしは誰、どこから来たの』にカスタマーレビューが増えているのを発見。『翼を持つ少女』を読んでくださったんでしょうかねえ?
  


Posted by 山本弘 at 19:51Comments(3)SFPRビブリオバトル

2017年02月17日

『UFOはもう来ない』がラジオドラマになりました!

 僕の小説『UFOはもう来ない』(PHP学芸文庫)がラジオドラマになりました!


 3月13日(月)より、NHK FM『青春アドベンチャー』で放送予定。全10回です。
http://www.nhk.or.jp/audio/html_se/se2017006.html

 内容についてはこちらをお読みください。ユーモラスですが、けっこう本格的なファースト・コンタクトSFです。

http://kokorohaitsumo15sai.la.coocan.jp/ufohamoukonai.html
http://hirorin.otaden.jp/e261002.html

 脚本を読ませていただきましたが、時間の都合でストーリーが一部省略されているところがあり、出てこないキャラクターもいます。
 主人公は千里で、原作通り、大阪弁で喋ります。ただ、さすがに彼女の下品な発言の数々はカットされてます。「これ、●●●●にからませたら絶対に気持ちええで」とか(笑)。NHKだからしかたないですけど。
 でも、プロットは原作に忠実です。テーマもしっかり把握していただいており、大変に好感を持てました。
 お聴きいただければ幸いです。
  
タグ :PRSF


Posted by 山本弘 at 19:11Comments(6)SFPR

2016年12月26日

新連載『プラスチックの恋人』

 新作長編が今月から〈SFマガジン〉で連載開始です。

『プラスチックの恋人』イラスト/ふゆの春秋


 時は2040年代。AR技術とロボット技術の融合により、人間そっくりの立体映像をまとい、AC(人工意識)を有し、性機能を代替するアンドロイド〈オルタマシン〉が誕生。それを配備した合法的な娼館〈ムーンキャッスル〉が世界各地にオープンしている。そんな中、日本のキャッスルに、反対運動を押し切って、未成年型のオルタマシンが導入される。
 フリーライターの長谷部美里は取材のために訪れたキャッスルで、12歳の小学生の姿をした美少年オルタマシン・ミーフと出会い、しだいに惹かれてゆく。



 今回の長編、『プロジェクトぴあの』『地球移動作戦』と同じ時間軸上にあります。『プロジェクトぴあの』は2020年代から30年代にかけて、ARが本格的に普及する一方、最初のACが生まれつつあった時代。『地球移動作戦』は人類の多くがACOM(人工意識コンパニオン)と共生している時代の話。この『プラスチックの恋人』はその中間の時代を描いています。だから『プロジェクトぴあの』の中の出来事にも言及されていますし、『地球移動作戦』では普通に出てきた抗老化処置も普及してはじめています。
 今回のテーマは「エロス」です。
 実は『アイの物語』を書いた時から、ずっと気になってたんですよ。人間とロボットの性関係を描いてないということに。
 というか僕って、これまで作中でベッドシーンあんまり書いてないんですよ。(同人誌は別にして)
「詩音が来た日」の中で、詩音のようなアンドロイドが完成したら、いずれ性機能を持つアンドロイドも出てくるという話もちらっと書きましたけど、その先は描いてなかった。話がややこしくなりそうだから、そのへんの話題はわざと避けて通ってたんです。
 でも、ロボットが進化したら、将来、こうしたアンドロイドは絶対に出てくるはず。やっぱりその問題はきちんと描かなくちゃいけないだろうと思ったわけです。
 いちおう眉村卓『わがセクソイド』、石川英輔『プロジェクト・ゼロ』などの先行作は参考にしています。でも、どっちももう30年以上前の話なんで、時代に合わなくなってるんです。特に性に関する意識がすっかり変わってる。
 たとえば、こうした過去作品に出てくるセクソイドって、みんな女性型なんですよ。いや、男性型だって需要あるだろ、と思うんですが、当時の男性SF作家はそれを想像できなかったみたいなんです。
 だから21世紀の今、このテーマはもういっぺん語り直すべきだと思います。

 また、この作品には、成人男性や成人女性の姿をしたセクソイドではなく、小学生ぐらいの外見のセクソイドが登場します。アンドロイドが進歩したら、いずれそういうものも出てくるはず。そこで巻き起こる倫理をめぐる衝突は、けっこう面白いテーマになると思っています。
 
 最初、主人公は人間の男性にして、相手をアンドロイドの少女にしようかと思ったんですが、結局、性別を逆転させることにしました。こっちの方が面白いと思ったものですから。
 第一回はまだ美里とミーフが出会う前なんで、ベッド・シーンはありません。でも、だんだんエッチになっていきます(笑)。お楽しみに。
  
タグ :SFロボット


Posted by 山本弘 at 20:31Comments(10)SFPR

2016年09月14日

星新一『きまぐれ星からの伝言』

 こちらの本も紹介しておきますね。

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星新一『きまぐれ星からの伝言』(徳間書店)
徳間書店 1944円


 誰もが楽しめる小説を書き続け、その発想力がいまだ読者に生きつづけている作家・星新一。今年2016年は、1926年9月6日に誕生した彼の生誕90年にあたる。
 SF作家としてデビューした星新一作品は、かつてはシャレた大人の読み物とされたが、いつしか小中学校の教科書や児童書として多用され、子供たちのための小説の面白さの入門篇ともなっている。
 しかし、科学技術が進化し、SF的な発想が一般化した今だからこそ分かる星新一のすごさ。
 本書は「生誕90年記念」と銘打ち、これまで書籍未収録であったものを多く集め、さまざまな角度から「星新一」というワン・アンド・オンリーな作家をクローズアップしていきます。
 単行本未収録エッセイをはじめ、初収録となる対談やインタビュー、若き日の翻訳や講演録に、埋もれた傑作小説をセレクト。アンケート回答、にSF雑誌・同人誌に星新一が寄せたお便り、日本SF大会へのメッセージなどのレアトラックから、最前線で活躍中の15人の作家たちによる、星新一名作群への書き下ろし解説(長谷敏司・酉島伝法・牧野修・飛浩隆・谷甲州・恩田陸・宮内悠介・森岡浩之・藤崎慎吾・小川一水・新井素子・山本弘・北野勇作・池澤春菜・藤井太洋)まで。
 星新一のファンならかならず楽しめる1冊です。
http://www.tokuma.jp/topicsinfo?tid=11126
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 僕も『進化した猿たち』の解説を書かせていただいてます。星氏が収集した膨大な量の外国の1コマ・マンガを紹介した本。
 なぜこの本を選んだかというと、僕自身が大好きな本だったこともありますが、「ボッコちゃん」「おーい でてこーい」『声の網』などの有名な作品はきっと誰か他の方が取り上げるだろうと予想したからです。それに1コマ・マンガの収集という趣味も、星氏を語るうえで避けて通れないものだと思いますし。

 再録された作品は、有名な作品を避け、知名度はやや低いけども面白いものが選ばれています。特に僕が気に入ったのは「ミドンさん」。これはすっかり忘れてましたが、確かに面白い。名前以外は何も分からない人物の正体を探る物語で、小松左京「牛の首」を思わせます。でも、すごく上手いし、雰囲気がこれぞまさに星作品という感じなんですよ。
 他にもブラッドベリ作品の翻訳や、インタビュー、座談会、同人誌やSF大会のプログラムブックに載った文章まで紹介されています。
 そうそう、僕の「スタンピード!」や新井素子さんの「あたしの中の……」が佳作になった第一回奇想天外SF新人賞の選考座談会も収録されています。いやー、恥ずかしい(笑)。1978年2月号だから21歳の時だよなあ……。

   
タグ :SF星新一


Posted by 山本弘 at 18:05Comments(1)SFPR最近読んだ本

2016年09月14日

小飼弾の論弾「SF作家 山本弘氏:疑似科学から懐かしのSFまで」

 先のシンポジウムと同じ9月26日の夜、ニコ生にも出演します。

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http://live.nicovideo.jp/watch/lv275020777

小飼弾の論弾 9/26 ゲスト対談:SF作家 山本弘氏:疑似科学から懐かしのSFまで

2016/09/26(月) 開場:19:57 開演:20:00

ブロガー・小飼弾が、プログラマー脳で今時のニュースを一刀両断する! プログラマー/書評家/ブロガーの小飼弾が帰ってきた

社会問題から科学、IT、書評まで、四方八方に語り散らかす120分
小飼弾のプログラマー脳で今時の社会問題を一刀両断、科学・ITの­理系ネタも満載です。

今回は、『MM9』や『アイの物語』などの作品で知られるSF作家 山本弘氏との対談です。
緻密な設定と魅力的なキャラクターが織りなす作品はどうやって生まれるのでしょう。
疑似科学ビジネス批判から、懐かしのSFまで、ディープな話題をお届けします。

【出演者】
○小飼 弾(コガイ ダン)
投資家、プログラマー、ブロガー。株式会社オン・ザ・エッヂ(後のライブドア、現在の­株式会社データホテル)の取締役最高技術責任者(CTO)を務め、同社の上場に貢献。­著書に『弾言』、『「中卒」でもわかる科学入門』、『未来予測を嗤え!』など。
○山路 達也(ヤマジ タツヤ)
編集者/ライター。著作は『アップル、グーグルが神になる日』(共著)、『Googl­eの72時間』(共著)、『弾言』(共著)など。
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 というものです。約2時間、ぶっ続けで話します。同日のシンポジウムの続きで、『アイの物語』などの話もしますし、ASIOSがらみの疑似科学批判の話もします。
 有料ですが、見ていただけるとありがたいです。

  


Posted by 山本弘 at 17:22Comments(0)SFPR

2016年09月14日

公開シンポジウム 「こころの未来形」

 次はちょっとお堅い感じのイベントです。

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http://www.ifeng.or.jp/iftech_web/miraisite/20160926.pdf

公開シンポジウム 「こころの未来形」
   ~21世紀における「共感」と「響存」の可能性~

○ 日時:2016年9月26日(月)午後1時~4時45分(受付開始12:30)
○ 会場:築地本願寺(2階講堂)
メトロ日比谷線築地駅から徒歩 1 分
○ 主催:日本未来学会
○ 共催:浄土真宗本願寺派総合研究所、他力本願.net「ご縁ラボ」
○ 協力:築地本願寺、コンセプト・バンク
○ 対象:日本未来学会会員および一般希望者(定員100名)
○ 参加費:一般参加1000円(未来学会会員は無料、別途年会費3000円)
○ 趣旨
 20世紀、人々は物質的豊かさを追い求めてきました。21世紀は「こころの時代」ともいわれます。しかし、そのあるべき姿はいまだ暗中模索状態です。
 本シンポジウムは、1968 年の発足以来、人類と社会の未来にかかわってきた日本未来学会が、人間と人工知能は理解しあえるか?、21 世紀における宗教の社会的役割、などの様々の観点から、「こころの未来形」を共に考え、明日へ向けて問題提起しようとするものです。

○ プログラム構成
■第Ⅰ部:21世紀における宗教の社会的役割(60 分)
・稲場圭信(大阪大学教授)「21世紀の共生学とは」(仮題)
・丘山願海(浄土真宗本願寺派総合研究所所長)「響存という生き方」(仮題)
■第Ⅱ部:人間と人工知能は理解しあえるか?(60 分)
・高橋透(早稲田大学文化構想学部教授、「サイボーグ論」)
・山本弘(SF作家、「アイの物語」他)
■第Ⅲ部:パネル討論~21世紀における「共感」と「響存」の可能性(90 分)
上記講演者に加え、以下の指定シンポジストが登壇します。
・市原えつこ(メディアアーティスト、「デジタルシャーマン・プロジェクト」)
・佐野ハナ(一般社団法人お寺の未来)
(総合司会)和田雄志(日本未来学会常任理事)
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 真面目そうなイベントですが、僕はSF作家の立場から、過去のSF作品に描かれてきたロボットや人工知能についての話や、自作の『アイの物語』『地球移動作戦』などについて語る予定です。一般の方が聞いても面白い内容にしようと思っています。
 日本未来学会会員だけでなく、申し込みすれば一般の方も参加できるそうです。参加ご希望の方は、リンク先にある問い合わせ先にメールをお願いします。
  


Posted by 山本弘 at 14:23Comments(4)SFPR

2016年09月14日

「SFバカの人生総決算・それでもSFが好っきゃねん!」Part2

 仕事が多忙のため、しばらく管理をさぼっていてすみません。
 今月は後半にどどっとイベントが重なります。

 まず最初は9月18日に神戸の三ノ宮で開催されるイベント「読まなきゃ!in KOBE」。作家の福田和代さん、初野晴さんらとビブリオバトルをやったり、初野さんの講演やサイン会も開かれるんですが……。

http://www.fukudakazuyo.com/yomanakya/biblio2016/index.html

 ごめんなさい。事前申し込みが必要だということを、ころっと失念していました。申し込み期間、すでに終わっています。本当にごめんなさい。

 次は毎月恒例のこれ。
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山本弘のSF秘密基地LIVE#61

SFバカの人生総決算・それでもSFが好っきゃねん!

「多々良島ふたたび」の星雲賞日本短編部門受賞を記念し、SFひとすじに歩んできた作家・山本弘の半生を振り返ろうという企画の続編です。
 前回はSFの魅力に目覚めた幼児期から、本格的にSFを読みまくるようになった高校時代までの思い出でしたが、後半はいよいよ20代に突入。〈奇想天外〉新人賞佳作入選、スランプに苦しんだ時期、同人作家活動、〈ファンロード〉の投稿常連といったアマチュア時代を経て、グループSNE入社、処女長編出版、ゲームのシナリオやリプレイを書きまくっていた時代、そして結婚と、怒涛の80年代~90年代を語ります。あの時代を知っているオールド・ファンにも、昔を知らない若い方にも、興味深い話が満載です!
 なお、終了後に山本弘のサイン本の販売を予定しています。既刊本にもサインいたしますので、どうぞお持ち寄りください。

[出演] 山本弘

[日時] 2016年9月23日(金) 開場・19:00 開始・19:30

[会場] なんば紅鶴(大阪市中央区千日前2-3-9 レジャービル味園2F)南海なんば駅より南海通り東へ180m・駐車場有

[料金] 1500円  
(店内でのご飲食には別途料金がかかります。入場時に別途ワンドリンクをご購入いただきますのでご了承ください)

 詳しい情報、ご予約はこちらへ

http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=106635157
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 いつもと違い、月末ではなく23日なのでお間違えなきよう。
 先月の話は、生い立ちからはじまり、1970年代後半、〈問題小説〉新人賞や〈ネオ・ヌル〉入会あたりの話までしたところでタイムアップ。〈奇想天外〉新人賞の話や、80年代にいっぱい作ってた同人誌の話、最初のゲームブック、グループSNE入社、プロ作家としてデビューした当時の話などを語る予定です。どこまで語れるかな? なんとか結婚まではたどりつきたいですが。
 ちなみにこのイベントのために、80年代に寄稿してたり自分で作ってたりした同人誌、大量に発掘しました。SF同人誌、ゲーム同人誌はもちろん、『トランスフォーマー』の同人誌とかも(笑)。「この頃、こんなの書いてたんだ!」と、自分でも驚くような記事がいろいろ。かなり濃い話になるのは間違いありません。お楽しみに。
  


Posted by 山本弘 at 13:13Comments(0)SFPR作家の日常

2016年08月11日

コミケ直前情報:『ミステリー・ゾーン』徹底解説

 今年の夏コミのブースは、土曜日(13日)東パ-21b「心はいつも15才」。
 新刊は

『ミステリー・ゾーン』徹底解説


 半世紀前に作られた伝説のSF・ホラー・ファンタジー番組。メイン・ライターのロッド・サーリングはもちろん、レイ・ブラッドベリ、リチャード・マシスン、チャールズ・ボーモントらが脚本を手がけた傑作アンソロジー・ドラマを徹底的に解説。
 全話ストーリー・ガイド(一部を除いてネタバレなし)はもちろん、脚本家と演出家のリスト、日本での放映リスト、翻訳のある原作リスト、幻のエピソード、特撮シーン、登場する怪人・宇宙人、評論「僕らはみんなメープル通りに住んでいる」など、マニアのための1冊!


 あとがきでも愚痴ったんだけど、今、海外ドラマに関する本は日本でたくさん出ているのに、そのどれも、『ミステリー・ゾーン』について、ほんの数行しか触れてないんですよ。まあ『スタートレック』や『謎の円盤UFO』あたりに負けるのはしかたないけど、『事件記者コルチャック』や『悪魔の手ざわり』よりも扱いが小さいなんて信じられない。
 だから今の日本人、プロの作家でさえ、『世にも奇妙な物語』は知っていても、その元ネタである『ミステリー・ゾーン』は知らない。

 あんなにすごい番組だったのに!
 あんなに大きな影響与えたのに!

 それが悔しくて、いったいどういう番組だったのか、その魅力や見どころを現代に語り継ぐ同人誌を作りました。
 B5判、180ページ!
 がんばりすぎだ自分!(笑)

 だって、好きなエピソードがいっぱいあるんだもの。
 ホラーなら「誰かが何処かで間違えた」「ヒッチハイカー」「めぐりあい」「マネキン」「遠来の客」「墓」「No.22の暗示」「亡き母の招き」「二万フィートの戦慄」などなど。
 泣ける感動作なら、「過去を求めて」「弱き者の聖夜」「縄」「遠い道」……もう「遠い道」なんて、何度見てもラストで泣けちゃうんですよ。
「沈黙の世界」「到着」「狂った太陽」「奇妙な奈落」あたりは、最後のすごいどんでん返しに仰天するし、逆に「みにくい顔」「合成人間の家」「生きている仮面」あたりは、オチが途中で読めるけどやっぱり衝撃的だし。
「子供の世界」なんて、原作(ジェローム・ビクスビイの「今日も上天気」)をよくぞここまで見事にアレンジしたなと感心するしかありません。クライマックスで悲鳴あげそうになりましたよ。
 あと、「疑惑」「生と死の世界」「亡霊裁判」「日本軍の洞窟」「暗闇の男」などにこめられた強烈な問題意識。今、こんな重いテーマで、なおかつ面白い話を書ける作家や脚本家が何人いるか。

 とにかく、半世紀前の番組とはいえ、とんでもなくレベルが高くて、今見ても古くない。十分すぎるほど面白いんですよ。
 こんな番組が忘れられるなんて、あってはならない──そう強く思います。

 執筆の途中、資料を調べていて、番組のトリビアもいろいろ知ったんだけど、どこまで入れるかは悩みましたね。やっぱりマニア的に見て面白いものに厳選しようと。
 たとえば演出陣。ドン・シーゲルやリチャード・ドナーやジャック・スマイトが演出してたのは知ってたけど、『キャット・ピープル』や『遊星よりの物体X』や『宇宙水爆戦』の監督がいたっていうのは、恥ずかしながら、今回初めて知りました。そう言えば『宇宙水爆戦』って特撮は注目してたけど監督の名前覚えてなかった(笑)。

 下は裏表紙。この意味、分かる人なら分かりますよね?

  


Posted by 山本弘 at 14:50Comments(13)SFPRコミケテレビ番組

2016年08月06日

「SFバカの人生総決算・それでもSFが好っきゃねん!」

山本弘のSF秘密基地LIVE#60
SFバカの人生総決算・それでもSFが好っきゃねん!

 怪獣愛がぎっしり詰まった小説「多々良島ふたたび」(早川書房『多々良島ふたたび:ウルトラ怪獣アンソロジー』に収録)が第47回星雲賞日本短編部門を受賞! それを記念し、SFひとすじに歩んできた作家・山本弘の半生を振り返ろうという企画です。
 幼い頃に観ていてSFマインドに目覚めた番組、初めて映画館に観に行った怪獣映画、初めて読んだ活字SF、ノートに鉛筆で怪獣小説を書きはじめた小学生時代、初めて読んだ『SFマガジン』、がむしゃらにSFを読みまくった高校時代、新人賞投稿、スランプ、同人作家時代、処女長編出版、ゲームのシナリオやリプレイを書いていた時代……そして今は何を書いていて、これから何を書くつもりなのか。あの時代を知っているオールド・ファンにも、昔を知らない若い方にも、きっと興味深い話が満載です。
 トーク終了後、山本弘の著作の販売もいたします。

[出演] 山本弘

[日時] 2016年8月26日(金) 開場・19:00 開始・19:30

[会場] なんば紅鶴(大阪市中央区千日前2-3-9 レジャービル味園2F)南海なんば駅より南海通り東へ180m・駐車場有

[料金] 1500円  
(店内でのご飲食には別途料金がかかります。入場時に別途ワンドリンクをご購入いただきますのでご了承ください)

 詳しい情報、ご予約はこちらへ
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=103888198
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 星雲賞獲った記念に、急遽、こういうイベントをやることになりました。先月に続き、「僕たちの好きだった80年代アニメ」(これも実はけっこう好評なんですが)はお休みです。申し訳ありません。
 原点を語ろうとすると、やっぱり怪獣の話が多くなるかなあ……という気がします。「多々良島ふたたび」のあとがきでも書いたけど、子供の頃に夢中になっていたもので原稿料を貰い、そのうえ賞もいただけたんですから、やっぱりこれまでやってきたことは間違いじゃないと思いますね。
 子供の頃の特撮体験とか、グループSNE時代の話とかは、これまで断片的には語ってきたんだけど、こんな風にまとめて語るのは初めてかもしれませんね。小学生時代に書いてた小説とか、同人誌に書いてた頃のことは初めてかも?
 とにかく盛りだくさんの内容になると思います。お楽しみに。

  


Posted by 山本弘 at 19:44Comments(0)SFPR作家の日常

2016年07月17日

星雲賞受賞の言葉

『多々良島ふたたび: ウルトラ怪獣アンソロジー』(早川書房)に収録された短編「多々良島ふたたび」が、同書に収録の田中啓文氏の「怪獣ルクスビグラの足型を取った男」とともに、星雲賞日本短編部門を受賞しました。



 先週土曜日に鳥羽のSF大会会場まで行ってきて、星雲賞いただいてきました。
 その時の受賞の言葉。録音してたわけじゃなく、記憶で書いてますんで、間違ってたらご容赦。

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 最初に業務連絡を。実は今夜は、泊まっていけません。明日、プライベートな事情があるもので、今日は夕食が終わったらすぐに大阪に帰らなくてはいけないんです。ですから、僕に何かご用のある方は、早めに言っていただけるとありがたいです。
 あと、前回、『去年はいい年になるだろう』で星雲賞をいただいた時は、前の客席に妻と娘が来てたんですけど、今日は来てません。ですから今、写真を撮ってる方々、その写真を後でネットにアップしていただけるとありがたいです。妻と娘に「ほら、これが受賞風景だよ」と見せられますので(笑)。

 さて、このウルトラ怪獣アンソロジーという企画が来た時に、僕が最初に予想したのが、『SF作家はひねくれてる人が多い』ということです。たぶん、まともなウルトラマンは誰も書かないだろう。みんな変なウルトラマンを書いてくるに違いない。
 だったら逆に、原作に忠実なサイドストーリーを書いたら、目立つんじゃないか──そう計算して書いたら、見事に図に当たりまして、星雲賞をいただけることになりました。ありがとうございます。

 実は僕はもう何年も前から、出版社の人と会うごとに言ってたんですよね。「なぜ円谷プロに話をつけて、『ウルトラ』シリーズのアンソロジーを出さないのか」と。だって、僕らの世代の作家って、『ウルトラ』で育った人はたくさんいるわけですよ。「書かないか」って持ちかけたら、みんな乗ってくるはずなんですよね。
 でも、その構想がなかなか実現しないなあ……と思ってたら、それがようやく現実になった。だから喜んで書かせていただきました。

 ただね、考えてみたら、他にもいろんなアンソロジー作れるはずなんですよね。
 たとえば、今年は『ゴジラ』の新作が公開されますから、東宝の許可取って、いろんな作家に声かけて、『ゴジラ』アンソロジー作ったらいいんじゃないか。ゴジラ小説を書きたい人っていっぱいいると思うんですよ。僕も書きたいし。実は中学の頃からずっと、『ゴジラ対ヘドラ』のノヴェライズ書きたくてしかたないんですよ。
 あるいは東映に話つけて『仮面ライダー』のアンソロジー作るとか。あるいは特撮に限ったことじゃない。サンライズに話つけて『ガンダム』のアンソロジー企画するとか。書きたい作家、絶対いっぱいいるはずなんですよ。
 ここにいる出版社の方々、何でそういう企画を出さないんですか? 出してくださいよ。
 僕も『怪獣文藝の逆襲』とかに寄稿してますけど、まだまだ怪獣小説書きたい。また声がかかったら書かせていただきます。

 あっ、ちなみにですね、これはまだここだけの秘密にしておいてほしいんですけど、実は来年、●●●●さんの方で、『●●●』の小説を出させていただくことになってます。期待しててください。

 活字と映像って、べつべつのものじゃないと思うんですよね。僕ら現代の作家は、小さい頃からいろんな映像作品に接してきて、それに影響を受けて育ってきた。映像的な面白さというものを作品の中に取り入れてるんです。
 一方、活字から映像作品が受ける影響というものも、もちろんあるでしょう。活字と映像というのは、フィードバックを形成して進化してきたと思うんです。

 僕が怪獣ものを書くのは、自分を育ててくれた映像の世界へのご恩返しの意味もあります。これからもこうした小説はどんどん書いていきたいと思っています。
 どうもありがとうございました。
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 終わってから気がついたんだけど、
「『ガルパン』のアンソロジー企画したら、書きたい作家はいっぱいいますよ!」
 とも言っておくべきだったかなと(笑)。
  


Posted by 山本弘 at 17:12Comments(4)SF特撮PR作家の日常