2015年06月12日

LiveWire「ビブリオバトルをやってみよう#2 」

山本弘のSF秘密基地LIVE#47
「BISビブリオバトル部 幽霊なんか怖くない」発刊記念
ビブリオバトルをやってみよう#2


 本を通して人と人をつなぐ知的書評ゲーム〈ビブリオバトル〉。それを題材にした山本弘の新刊『BISビブリオバトル部 幽霊なんか怖くない』(東京創元社)の発売を記念したイベントを開きます。
 前半はビブリオバトルの実演、後半はビブリオバトルをめぐるトークショー。ビブリオバトルの実演では、会場に来ていただいたみなさんも投票していただけます。ふるってご参加ください。


[出演] 山本弘(SF作家)、谷口忠大(ビブリオバトル創始者・立命館大学情報理工学部准教授)、福田和代(作家、ビブリオバトルin神戸「読まなきゃ!2014」主催)、鋼鉄サンボ(マイナープラモ研究家)

[日時] 2015年6月27日(土) 開場・14:30 開始・15:00
 いつもはその月の最終金曜の夜にやっていますが、今月は土曜の午後です。ご注意ください。

[会場] なんば紅鶴(大阪市中央区千日前2-3-9 レジャービル味園2F)南海なんば駅より南海通り東へ180m・駐車場有
http://benitsuru.net/about

[料金] 1500円
(店内でのご飲食には別途料金がかかります。入場時に別途ワンドリンクをご購入いただきますのでご了承ください)

チケットのご予約などはこちらに。
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=90634127
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『翼を持つ少女』の時にもやりましたが、ビブリオバトルのイベントです。いつもLiveWireのトークショーは夜の7時半からやってるんですが、今回は土曜日の昼間です。いつもと違う客層の方が来ていただければいいなと期待しております。小さくて、あまりきれいじゃない(婉曲表現)会場ですが、驚かないようにお願いします。
  


Posted by 山本弘 at 14:40Comments(1)PRビブリオバトル

2015年06月12日

新刊『幽霊なんて怖くない BISビブリオバトル部』




東京創元社 1728円
6月26日発売予定
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488018214

 夏休み。BISビブリオバトル部のメンバーは、埋火武人の家で合宿を行なう。深夜に開催される、〈恐怖〉のテーマにした百物語風ビブリオバトル。そこで思いがけない怪現象が発生する。
 そして公共図書館で開催されるビブリオバトルのエキジビション。テーマは〈戦争〉。部員たちは体験したことのない〈戦争〉とどう向き合うのか?



『翼を持つ少女』に続く、『BISビブリオバトル部』シリーズの第2巻です。
 タイトルだけ見て誤解される方がおられるかもしれませんが、これは「幽霊なんているわけないよ」という単なるオカルト否定の話じゃありません。ネタは明かせませんが、まさに「幽霊なんて怖くない」という話です。
 もちろん、前作に引き続き、SF、科学、雑学、歴史、マンガなどなど、いろんな本が登場します。お楽しみに。

 発売に先立って、あとがきを〈Webミステリーズ!〉に掲載しております。 ネタバレはありません。お読みいただけると幸いです。

http://www.webmysteries.jp/sf/yamamoto1506.html 
  


Posted by 山本弘 at 14:30Comments(9)PRビブリオバトル

2015年01月09日

ビブリオバトル・チャンプ本『ゲームウォーズ』

 先月26日のLiveWire「ビブリオバトルをやってみよう」は成功でした。応援を頼んだ鋼鉄サンボくんや、阪大の菊池誠先生、神戸大学の学生さんらの協力もあり、ビブリオバトルの実演が盛り上がりました。
 紹介されたのは次の4冊。

小田雅弘『模型歳時記』(トイズプレス)
吉川浩満『理不尽な進化 遺伝子と運のあいだ』(朝日出版社)
高野秀行『幻獣ムベンベを追え』(集英社)
アーネスト・クライン『ゲームウォーズ』(SBクリエイティブ)

 どれも面白そうだ!
 僕が投票したのは、鋼鉄サンボくんが持ってきた『模型歳時記』。いやー、『理不尽な進化』『幻獣ムベンベを追え』も前から評判は聞いていて、読もうと思ってはいたんですけどね、やっぱりストリームベースの小田さんのエッセイ集ときたら、読むしかないでしょ!
 結果は僅差で、僕の紹介した『ゲームウォーズ』がチャンプ本になりました。本当はもっと大差つけて勝つつもりでいたんだけどなあ。

 というわけで、チャンプ本になった記念に、『ゲームウォーズ』の内容を紹介いたします。できるだけビブリオバトルの雰囲気を出すために、会場で喋った内容を可能な限り思い出して再現してみました。

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 どうも、今日は勝ちに来ました!
 というのも、この本はすごく面白い! 読み終わって何日も興奮が収まらなかった。そんなすごい本なんです。冷静に紹介してなんかいられない。エキサイトさせていただきます。
 アーネスト・クライン『ゲームウォーズ』。近未来を舞台にしたSFです。
 時は2041年。〈オアシス〉というバーチャル・ゲームが全世界に普及しています。単なるゲームじゃなく、すでにインターネットはほとんど〈オアシス〉と一体化しています。たとえば学校教育なんかも〈オアシス〉が使われている。生徒は自分の家にいながら、仮想空間の学校に通って勉強ができる。そういう時代なんです。
 そんな時、〈オアシス〉の開発者である天才プログラマーのハリデーという男が亡くなります。彼は死の直前に遺言を残していて、その映像が全世界に流れます。その遺言というのは──
「私の資産、総額2400億ドルを1人の人物に譲る」
 彼は〈オアシス〉のどこかに〈卵〉を隠した。いわゆる「イースター・エッグ」というやつですね。それを手に入れた者が遺産を受け継ぐことができるんです。

 さあ、このあたりでもう、頭の中に『ONE PIECE』のOPのナレーションが流れてきて(笑)、盛り上がってくるわけですが。
 当然、世界中の人間が〈卵〉探しに熱中します。〈卵〉を手に入れるためには3つの鍵が必要で、まずその鍵を見つけなくちゃいけないんですが、それがなかなか見つからない
 というのも、〈オアシス〉の世界はとんでもなく広いんです。何千というワールドがあって、それぞれに何十もの惑星がある。行き当たりばったりに探したって見つかるわけがない。ハリデーの遺したヒントを解かなくちゃいけないんです。
 ここで重要なのが、ハリデーは1972年生まれだという設定。つまり1980年代に少年時代と青年時代を過ごした。おまけに、がちがちのオタクです。
 だもんで、ハリデーの遺した謎を解くためには、80年代サブカルチャー──ビデオゲーム、TRPG、映画、ドラマ、音楽、アニメとかに関する膨大な知識が要求されるんです。

 ここに登場するのが主人公のウェイドという少年、高校生です。かわいそうな身の上なんですよ。両親を早くに亡くして、おばさんに引き取られてるんですけど、貧乏だからトレーラー・ハウスに住んでる。社会の最下層の人間です。でも、オタクなんです。ゲームに課金とかできないから、〈オアシス〉の中でも、ただで遊べる古いゲームばかりプレイしてる。
 そのウェイドが、あるきっかけで、最初の鍵を発見するんです。たちまちネットの世界で有名人になってしまいまして、〈卵〉の争奪戦に巻きこまれます。
 当然、悪役も出てきます。IOIという世界的大企業が、ハリデーの資産と〈オアシス〉の乗っ取りを企んで、〈卵〉を先に手に入れようと卑劣な工作を仕掛けてきます。目的のためなら平然と人殺しもするような、ほんとに悪い連中なんです。
 ウェイドは頼りになる仲間とともに、現実世界でIOIの陰謀から逃れながら、仮想空間で宝を探します。もちろんバトルもありますし、ヒロインとのロマンスもあります。だからこれはSFなんですけど、『宝島』のような、財宝をめぐる昔ながらのアドベンチャーでもあるんですね。
 で、やっぱりこの小説の魅力は、山のように詰めこまれた70年代や80年代のゲームや映画に関するトリビアです。それが謎を解く鍵になってる。たとえば最初の鍵のありかですけど、『ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ』の初期のモジュールの中にヒントが隠されてたりします。
 ネタバレになるから詳しくは話せないんですが、下巻の展開をちょっとだけ。
 クライマックス。ゲーム世界の命運をかけた一大決戦。IOIの軍団がたてこもる〈オアシス〉の中の惑星に、IOIに立ち向かう世界中のゲーマーが集結してる。その戦場に主人公が赴くんですよ。巨大ロボットに乗って。その巨大ロボットというのが──

 レオパルドンです!

 いや、ほんと。ブレスレットに向かって「チェンジ・マーベラー!」と叫ぶと、ちゃんとマーベラーに変形するんですよ。
 その最終決戦がまた、とんでもないことになってるんですけど、それは読んでのお楽しみということにしておきます。
 この小説、すでに映画化が決定してまして、監督を探してるところなんだそうですけど、でも、これを映像化しようとしたら……

 東映と東宝と円谷プロとダイナミックプロとサンライズにどんだけ版権料払わなあかんのかなと(笑)。

 でも、見たい! このクライマックス・シーンはぜひ映像化してほしい! そんな夢の詰まった作品です。

【質疑応答】
Q.私は80年代のサブカルに詳しくないんですが、楽しめますか?
A.作中にいちいち「これはこういうもので」という解説が入りますんで、理解するのに支障はないと思います。僕も正直、音楽関係のことはぜんぜん分からないんですけど、それでも楽しめましたから。

Q.主人公の冒険は仮想世界の中がメインなんですか?
A.現実の世界でIOIの魔の手から逃れながら、並行してゲーム世界での冒険も繰り広げます。現実世界とゲーム世界の比率が半々ぐらいですかね。

Q.仮想空間に入るのは、やっぱり脳にジャックインとかして?
A.いえ、インプラントとかは必要なくて、基本的にヘッドマウントディスプレイとグローブを使用します。現代の延長線上の技術ですね。

Q.サイバーパンクなんですか?
A.サイバーではあるけどパンクじゃないですね。




【補足】
 何で主人公がレオパルドンを持ってるかというと、そのひとつ前のミッションで、クリヤーするとご褒美に好きな巨大ロボットを一台もらえるんですよ。
 ガンダムやマジンガーやエヴァンゲリオンがずらっと並ぶ中、主人公が迷わず選んだのがレオパルドン! 素晴らしすぎます。

 下は台湾のSharksDenというイラストレーターが描いたファンアート。公式のイラストじゃありません。

http://sharksden.deviantart.com/art/Ready-Player-One-423782453

 冗談抜きで、こんなシーンがあるんですよ!

 ちなみに映画の監督はクリストファー・ノーランがオファーされてるらしいんだけど……うーん、ノーランじゃ何か違うかも。
  


2015年01月09日

『翼を持つ少女 BISビブリオバトル部』刊行記念 トーク&サイン会

 紀伊國屋書店および東京創元社のサイトより。

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『翼を持つ少女 BISビブリオバトル部』刊行記念 山本弘先生×谷口忠大先生トーク&サイン会 紀伊國屋書店 グランフロント大阪店(2015/1/17)

 このほど『翼を持つ少女 BISビブリオバトル部』を上梓した作家の山本弘先生と、「ビブリオバトル」の発案者で同普及委員会代表の谷口忠大先生(立命館大学情報理工学部准教授、創発システム論)のトークセッションを開催いたします。
『翼を持つ少女 BISビブリオバトル部』ができるまでの裏話や、現代の読書環境における「ビブリオバトル」などについてお話しいただきます。

日  時| 2015年1月17日(土) 18:30~(18:15開場)
○第1部 トークショー 18:30~19:30予定
○第2部 サイン会 19:30ごろ~

会  場| 紀伊國屋書店グランフロント大阪店 店内特設会場にて

参加方法| ご参加無料・ご予約優先

・紀伊國屋書店グランフロント大阪店1番カウンターにて整理券を配布いたします。
・お電話でのご予約も承ります。
・整理券の配布はお一人様1枚までとさせていただきます。

・お申し込みの順番によってはお立見となりますので、あらかじめご了承くださいませ。お立ち見は会場周辺の通路からとなりますので、ご参加の人数によっては見えにくい、聴き取りにくい場合もございます。あらかじめご了承くださいませ。

・トーク終了後に山本弘先生と谷口忠大先生のサイン会を予定しております。山本弘先生の『翼を持つ少女 BISビブリオバトル部』(東京創元社/税込2,052円)や谷口忠大先生の『ビブリオバトル』(文春新書/税込831円)など、おふたりの著作にサインを入れていただけます。会場にて書籍を販売いたします。色紙など対象書籍以外へのサインはご遠慮くださいませ。

お問い合わせ・ご予約| 紀伊國屋書店グランフロント大阪店 06-7730-8451(10:00~21:00)

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 より詳しい説明はこちらを参照してください。

http://www.kinokuniya.co.jp/c/store/Grand-Front-Osaka-Store/20141225100000.html



  


Posted by 山本弘 at 19:15Comments(2)PRビブリオバトル

2014年12月21日

「ビブリオバトルをやってみよう」追加ゲスト決定

 以前に告知した26日の「山本弘のSF秘密基地LIVE#41 ビブリオバトルをやってみよう」ですが、

http://hirorin.otaden.jp/e407049.html

 ゲストとして、大阪大学の菊池誠先生にも出演していただけることになりました!
 いつもの鋼鉄サンボくんも加わり、ビブリオバトルを実際にやります。

 ここで宣言。

 今回は勝ちに行くよ!
 今年に最高にエキサイトした1冊を持っていくから!
 この本、読み終わっても何日も興奮が冷めないんだよね。これは絶対、面白い!
  


Posted by 山本弘 at 18:01Comments(1)PRビブリオバトル

2014年12月21日

全国大学ビブリオバトル2014~京都決戦~

 翌12月14日は京都大学へ。 「全国大学ビブリオバトル2014~京都決戦~」を観てきた。

http://zenkoku14.bibliobattle.jp/home

 全国各地のブロックを勝ち抜いてきた大学生の発表者30人が、5つの準決勝会場に分かれてバトルを行ない、その中から勝ち残った5人が決勝に進出する。

 出場本の一覧はこちら。

http://zenkoku14.bibliobattle.jp/records2014/book-honsen

 高校生のビブリオバトルに比べ、やはり小説の割合が少ない。

 準決勝会場ではハプニングがあった。聴講参加者の数が多すぎて椅子が足りない! 京大の人たち、ビブリオバトルでこんなに人が集まるとは予想していなかったのか。慌てて椅子を持ってきて追加していた。
 もうひとつの問題は、マイクがなく、肉声で発表しなくてはならなかったこと。ひとつの部屋を仕切りで分割して使用しているので、マイクを使うと隣の会場の迷惑になるからだ。
 それでも学校の教室よりやや狭いぐらいのスペースだから、大きめの声で言えば後ろまで届くはずなんだけど、最初の人はそれに思い当たらなかったらしい。小声でぼそぼそ発表していたもので、後ろの方の席ではほとんど聞き取れない。
 会場では、主催者側の対応を非難していた人もいたけど、どうなんだろうね。自分の声が小さすぎることに気がつかないというのは、発表者側の不注意のようにも思うんだが。後ろの方の人にまで声が届いてるかどうか、普通は気にするもんじゃないだろうか。(のどの病気か何かで、大きな声が出せないならしかたないけど)
 まあ、主催者も事前に「大きな声で言ってください」と注意すべきだったとは思うけど。

 ただ、大ホールで行なわれた決勝戦は盛り上がった。
 驚いたのは、勝ち残った5人が全員、女性だったこと。出場者にそれほど大きな男女比はないはずなので、まったくの偶然。
 さすが勝ち残ってきた本は、どれも読みたくなるものばかりだった。『どんどん変に…エドワード・ゴーリー インタビュー集成』も気になったけど、 『極卵』もテーマが面白そうだ。
 悩んだ末に僕が投票したのは、『タテ書きはことばの景色をつくる』。タテ書きとヨコ書きの文章の読まれ方の違い、書き方の違いを、実験を通して研究した本だという。作家として、それは気になる問題だ。
 優勝は『ペナンブラ氏の24時間書店』。奇妙な書店を舞台にしたファンタジー・ミステリらしい。これも読まなくちゃなあ。
  

Posted by 山本弘 at 17:53Comments(0)ビブリオバトル

2014年12月21日

ビブリオバトル・シンポジウム 2014

 12月13日、立命館大学・朱雀キャンパスで開かれたのが、ビブリオバトル・シンポジウム2014。
 僕もビブリオバトルの考案者である立命館大学の谷口忠大先生とトークライヴしてきた。

http://sympo14.bibliobattle.jp/puroguramu
 
 前にも書いたかもしれないけど、谷口先生は学生時代に『ソード・ワールドRPG』にハマってたのだそうで、僕の名前も知っておられた。そもそも本の紹介をゲームにするという発想自体、TRPGをプレイしてきた経験の影響なんだそうだ。
 おかげで『BISビブリオバトル部』の企画もすんなり受け入れてもらえた。僕にとっては大変なラッキーである。
 いちおう本の宣伝はいっぱいしてきたけど、さあ、これでどれだれ売り上げが伸びるかな。

 谷口先生の基調講演のスライド。
http://sympo14.bibliobattle.jp/puroguramu/plenary-talk

・「読書感想文の二の舞」はさけなくてはならない。
・北風でなく太陽
・「楽しい」は正義

 というあたりが特に重要かな。
 一部にビブリオバトルを「子供の読書嫌いを治すツール」と勘違いしている人がいるという。 たとえば学校の先生が生徒に本を読ませようとして、ビブリオバトルをやらせる。それも生徒に自由に喋らせるんじゃなく、事前に発表原稿を書かせてチェックしたりする。それって要するに「読書感想文」だよね? 子供の嫌いな(僕も苦手だったけど)。
 読書感想文が子供を本嫌いにしている面はあると思うし、その失敗を繰り返してはいけないと思う。 ビブリオバトルの公式ルールで、レジュメの使用を禁じてるのは、まさに「読書感想文の二の舞」を避けるためなのだ。
 シンポジウムでもたびたび強調されていたのは、ビブリオバトルは「ゲーム」であり「遊び」だということ。結果的に子供が本を好きになることがあるとしても、それは副次的なもの。まずゲームを楽しむことが大切だ。

 シンポジウムを聴いていてあらためて思ったのは、ビブリオバトルの幅の広さ。
 大きな会場で行なわれる全国大会というのはむしろ特殊で、仲間内のごく少人数で行なうのが普通。図書館、教育現場、地域コミュニティでも活用されている。
 すでに日本の大学の約4分の1でビブリオバトルが行なわれているそうで、さらに広まりそうな気配である。

 その形態もいろいろ。たとえば古民家でやる「古民家ビブリオバトル」とか、登山で登頂後にみんなでやる「山頂ビブリオバトル」なんてのもあるのだそうだ。
 おかしかったのが「山頂ビブリオバトル」の人が、キリマンジャロの山頂でビブリオバトルをやろうとしたという話。空気が薄くて苦しいうえに、本を持ってきたのが一人だけだったので、不成立だったらしいが。
 こういう「エクストリーム・ビブリオバトル」というジャンルも、もしかしたらこれから流行るかもね。

 他にもテーマ別のビブリオバトルの話。たとえば妖怪関係の本だけの「妖怪ビブリオバトル」とか、深海テーマ縛りの「深海ビブリオバトル」なんてものが、すでにある。
 他にも、いろんなジャンルのマニアの人が集まって、ジャンルごとにビブリオバトルができそうである。「特撮ビブリオバトル」とか「ガンダム・ビブリオバトル」とか。

 話を聞きながら、『BISビブリオバトル部』のネタがいくつも浮かんだ。やばい。これ、長期シリーズになっちゃうんじゃない?


 ところで、ぜんぜん関係ないけど、「BIS」を「ビス」と発音する人が多いのに気がついた。これ、正しくは「ビー・アイ・エス」ですから。
 実際のインターナショナルスクールでも、OIS(オー・アイ・エス)とかSIS(エス・アイ・エス)と発音している例が多い。まあ、「オイス」や「シス」じゃ語呂が悪いしね。「ビス」もかっこよくないよ。「ビー・アイ・エス」でないと。
 うーん、作中に「ビー・アイ・エス」と書いておくべきだったな。反省。
  


Posted by 山本弘 at 17:41Comments(1)ビブリオバトル

2014年12月11日

『翼を持つ少女 BISビブリオバトル部』


 東京創元社 2052円
 12月22日発売

 中高一貫の国際学園BISに通う埋火武人(うずみびたけと)は、ある日、図書館で同級生の伏木空(ふしきそら)とばったり出会う。
 空はSFが大好きな少女。SFの話をはじめると止まらない。
 武人の亡くなった祖父はSFマニアだった。彼の遺した膨大な蔵書に魅了される空。しかし武人はノンフィクションしか読まず、SFを毛嫌いしている。
 武人は空をビブリオバトル部に勧誘する。初めてビブリオバトルを観戦する空。BISビブリオバトル部には、部長の聡(さとる)をはじめ、理系のクールな美少女・明日香(あすか)、腐女子のミーナ、かわいいものが大好きな少年・銀(ぎん)など、それぞれに本を愛する個性豊かな面々が揃っていた……。


 キャッチコピーは「日本初の本格的ビブリオバトル青春小説!」。日本初じゃなく世界初じゃないかと思ってるんですが。
 きっかけは去年のSF大会で「子供たちにSF本を」というパネルディスカッションを見たことでした。

SF大会レポート2:SF大会で新作のアイデア浮かんだ
http://hirorin.otaden.jp/e284093.html

 どうすればSFを知らない若い世代にSFの面白さを伝えられるのだろうか……と考えていた時、このパネルの中でビブリオバトルの話題が出てきたもので、「これだ!」とひらめいたわけです。SFが大好きな少女を主人公にしてビブリオバトルをやらせようと。
 しかも、考えてみれば、べつにSFに限定することはないんですよ。各キャラクターごとに得意分野があることにすれば、ノンフィクションだろうと科学本だろうと図鑑だろうとマンガだろうとライトノベルだろうと、本なら何でも取り上げられる。本を読むことの楽しさを伝えられる。
 と学会ではずっと、ひどい内容の本ばかり紹介してきたわけですが(笑)、逆に面白い本ばかりを紹介するのもいいんじゃないかと思いついたわけです。
 作中に登場する本はすべて実在のもの。世界の名作とかベストセラーとかではなく、(一部を除いては)ややマイナーな本が多いです。本好きの読者でさえ「そんな本あるんだ!?」と驚くような本をセレクトしました。

 もちろん、ただ本を紹介するだけでは小説にはなりません。「ドラマを盛り上げる」」「バトルを熱くする」という点に全力を注ぎました。
 特に苦労したのはビブリオバトルのシーン。バトルといっても物理的に戦ってはいないわけですが、それでも熱く見えなきゃいけない。どんな本を登場させるかはもちろん、誰がどの順番で紹介するか、どういうアピールをするか、各キャラクターがその本にかけた想い、そして誰に勝たせるか……と、バトルの手順を組み立てるのが、毎回、書いていて悩ましいし、楽しいんです。
 あと、青春小説なんで、もちろん恋も出てきます。特に空と武人の関係。1巻では、すでにお互いに意識し合ってるのに、表面上はぶつかり合ってる……というライトノベル的王道展開が、書いてて楽しいんですよね。2巻以降は、明日香や銀など、他の部員にもスポットを当ててゆく予定です。

 本好きの方ならおおいに共感していただけるでしょうし、本をあまり読まない方も、この機会に本を好きになっていただけると期待しています。

  


Posted by 山本弘 at 11:21Comments(3)PRビブリオバトル

2014年11月25日

全国高等学校ビブリオバトル2014関東・甲信越大会

 11月23日、東京のよみうり大手町ホールで行なわれた大会を観戦してきた。
 先日の関西大会よりかなり多く、61校が参加。全体をAとBと二つのブロックに分け、さらに各ブロックを6つのグループに分けて、予選を行なう。予見を勝ち抜いた6校で決勝戦を行ない、ABブロックのチャンプと準優勝、計4校が全国大会に進む。

 僕が観戦したのはこの試合。

Aブロック 第5グループ

寄居城北高校
西尾維新『りぽぐら』

大東文化大学第一高校
青木和雄『ハッピーバースデー 命かがやく瞬間』

渋谷教育学園幕張高校
山本弘『詩羽のいる街』

函嶺白百合学園高校 女子校
森晶麿『黒猫の遊歩あるいは美学講義』

多摩大学附属聖ヶ丘
小松左京『小松左京ショートショート全集』

 今回は見ました、自分の本の紹介。『詩羽のいる街』を紹介してくれた男子生徒は、的確に内容を紹介してくれていて、好感が持てた。
 いやー、以前ね、いたんだよ。僕の本を紹介してくれてるのはいいんだけど、誤読というか、ちょっとdisるような感じの紹介してた奴。普通のネット上でのレビューとかならかまわないけど、ビブリオバトルで聴講者にマイナスの印象与えちゃだめなんじゃないの? とツッコミたくなった。

 ただ、僕自身は『詩羽』に投票はしなかった。「読みたいと思った本」に投票するのがビブリオバトルのルールだから。すでに読んでいる本、ましてや自分の本に投票するわけにはいかないのである。
 同様に、小松左京氏のショートショートもほとんど読んでいるのでパス。『りぽぐら』も〈メフィスト〉連載中に読んでいたのでパス。まだ読んだことのない『黒猫の遊歩あるいは美学講義』に票を入れた。
 ちなみに発表者は女子高生で、ミステリなのに事件やトリックのことなんかそっちのけで、キャラクターの魅力を語りまくっていたのが印象的だった。いわゆる「キャラ読み」というやつ。こういう紹介のしかたもあるんだな。

Bブロック 第5グループ

甲府大女子学園高等部
紅玉いづき『ミミズクと夜の王』 

成田高校
朝日新聞取材班『「はやぶさ」からの贈り物』

中央大学杉並高校
朝井リョウ『学生時代にやらなくてもいい20のこと』

荻窪高校
田中芳樹『ラインの虜囚』

共立女子高校
水野敬也『それでも僕は夢を見る』

 こっちはまだ読んでいない『ラインの虜囚』に入れた。『学生時代にやらなくてもいい20のこと』も、すごく面白そうではあったんだけど。
 関西大会では百田尚樹が2冊かぶったという話をしたけど、今回の発表本のリスト(全員の発表後に配布される)を見ると、有川浩が『図書館戦争』『三匹のおっさん』『海の底』の3冊、時雨沢恵一が『キノの旅』『答えが運ばれてくるまでに』、貴志祐介が『新世界より』『悪の教典』と2冊ずつかぶっていた。他にも、妹能将之、万城目学、森見登美彦、神永学、伊坂幸太郎、京極夏彦、森博嗣、三浦しをんなどなど、人気作家の本がいろいろと。
 ちなみに乾くるみ『イニシエーション・ラブ』を紹介している人がいて、ちょっと驚いた。偶然だけど、これ、2回ほど先の『BISビブリオバトル部』で使う予定の本だったから。
 しかし、こういう叙述トリックがメインのミステリって、紹介しにくいだろうに。どういうやりかたで紹介したのか、ちょっと気になる。

 一方、古典はあまり人気がない。ドイルの『恐怖の谷』とかチェーホフの『桜の園・三人姉妹』とかビアスの『悪魔の辞典』とかを紹介している学生も、いることはいるんだけど。

 Aブロックで決勝に進んだのは次の6冊。

富岡高校
宮田律『イスラムの人はなぜ日本を尊敬するのか』

松戸高校
フリードリヒ・ニーチェ『超訳 ニーチェの言葉』

多摩大学附属聖ヶ丘高校
小松左京『小松左京ショートショート全集』

横浜サイエンスフロンティア高校
植木理恵『シロクマのことだけは考えるな!』

広尾学園高校
森博嗣『スカイ・クロラ』

鎌倉女学院高校
柿谷美雨『結婚相手は抽選で』

 チャンプ本は『結婚相手は抽選で』だった。これもSF的な設定の小説なのに、僕はこれまでまったく存在を知らなくて、ちょっと驚いた。ちなみに準優勝は『スカイ・クロラ』。
 Bブロックのチャンプ本は中央大学杉並高校の朝井リョウ『学生時代にやらなくてもいい20のこと』、準優勝は両国高校の伊藤真『憲法が教えてくれたこと』。

 ビブリオバトルで面白いのは、必ずしもプレゼンの上手さで勝敗が決まるわけではないということ。評価基準が「読んでみたくなった本」だから、本そのものの魅力に左右される部分も大きい。
 今回も、テレビショッピングの司会者みたいな流暢なセールストークをしていた少年がいたんだけど、ほとんど票が入らず、あっさり敗退していたのが印象的だった。アピールの方法として間違ってはいなかったと思うんだけどなあ。みんなが読みたがるような本を選び出す選択眼も重要なんだろう。

 会場では、東京創元社さんが用意してくださった12月22日発売予定の『翼を持つ少女 BISビブリオバトル部』のPRチラシも配布。会場に集まった高校生や先生たちの間に情報が広がるだけでも、大きな宣伝効果だと思う。全国の高校の図書室が買ってくれたら、かなりの売り上げになるはずなんだけどなあ。


 終了後、また参加者と関係者一同の交流会。女子高生にいっぱい囲まれてサインを求められたのが嬉しかった(笑)。
  


Posted by 山本弘 at 17:23Comments(8)ビブリオバトル

2014年11月19日

全国高等学校ビブリオバトル2014関西大会

 11月16日(日)に観戦してきた。場所は追手門学院大阪城スクエア。窓の外に大阪城が見える絶好のロケーションである。

http://katsuji.yomiuri.co.jp/biblio/

 なお、ビブリオバトルがどういうものかご存じない方は、ビブリオバトル普及委員会の公式ルールを参照されたい。

http://www.bibliobattle.jp/koushiki-ruru

 僕自身、昨年からあちこちの大学や図書館や書店でのビブリオバトルを観戦して回っていて、時には発表もしている。もちろん『BISビブリオバトル部』の執筆のための取材の意味もあるんだけど、純粋に見ているだけでも面白い。毎回、自分の知らなかった本、それも面白そうな本がいろいろ紹介されていて、ためになるからだ。観戦の後、その本を書店に買いに行くこともしばしば。
 今回の全国高等学校ビブリオバトル2014関西大会、 参加校は28校。まず4~5校ずつ6ブロックに分かれて、各ブロックごとにバトルを行ない、チャンプに選ばれた6校でさらにバトルを行なう。チャンプおよび準優勝校が、来年一月に東京で行なわれる全国大会への出場権を得る。
 僕が観戦したのは、このうちAブロックとBブロック。

【Aブロック 】
あべの高校
小川糸『あつあつを召し上がれ』

関西中央高校
高橋弥七郎『灼眼のシャナ』

明星高校
荒川祐二『奇跡の紅茶専門店』

奈良北高校
初野晴『退出ゲーム』

関西創価高校
百田尚樹『幸福な生活』

【Bブロック】
浪速高校
米澤穂信『氷菓』

滝川第二高校
川村元気『世界から猫が消えたなら』

橿原学院高校
明川哲也『メキシコ人はなぜハゲないし、死なないのか』

大阪女学院高校
奥田英朗『イン・ザ・プール』

太子高校
水野敬也『夢をかなえるゾウ』

 発表される本のほとんどが小説である。僕がこれまでに見た範囲では、社会人や大学生のビブリオバトルだともうちょっとノンフィクションも多いので、高校生だからかな、という気がする。
 世間的に「日本の名作」「世界の名作」とされている小説は少なく、普通に『灼眼のシャナ』 とかが混じっているところが面白い。関係者の方の話では、エントリーされてくる本の内容について、主催者側はほとんどノーチェックだそうである。つまり、今の高校生が読んで純粋に「面白い」と思った本が紹介されるわけだ。
 なお、全国高等学校ビブリオバトルの場合、ローカルルールで「原則として発表する本のジャンルは問わないが、コミックと雑誌は除く」とされているが、他のところではコミックもOKである。
 毎回、「そんな本があるのか!?」と驚かされることが多いんだけど、今回は『メキシコ人はなぜハゲないし、死なないのか』に驚いた。〈日本タイトルだけ大賞〉を狙えそうだなあ……と思ったら、本当に2009年にノミネートされてました。

http://matome.naver.jp/odai/2132629260532003701


 発表のしかたには、それぞれ個性があって面白い。直立不動で演説みたいな口調で喋る少年もいれば、芝居がかった口調で喋る少女もいる。いきなり本の説明から入る者も、最初に家族などの身近な話題から入る者も、参加者に質問してくる者もいる。
 ビブリオバトルにはセオリーがないということがよく分かる。
 僕がいちばん気に入ったのは、『退出ゲーム』を紹介した奈良北高校の女の子。喋り方がいかにも演劇風だったので、きっと演劇部の子だろうと思って後で訊ねてみたら、演劇部ではなく漫研だった。

 ちなみにEブロックでは、僕の『詩羽のいる街』を紹介していた人がいたという。しまった、そっちを見ればよかった!
 その女の子(大阪府立金岡高校代表)からは、後でサインを求められました。

 関西大会決勝に進出したのは次の6冊。

滝川第二高校
川村元気『世界から猫が消えたなら』

畝傍高校
ナオト・インティライミ『世界よ踊れ 歌って蹴って!28ヶ国珍遊日記』

関西創価高校
百田尚樹『幸福な生活』

追手門学院高校
結城浩『数学ガール』

東大寺学園高校
ローレンス・クラウス『宇宙が始まる前には何があったのか?』

大阪桐蔭高校
百田尚樹『風の中のマリア』

『宇宙が始まる前には何があったのか?』 は、僕も『翼を持つ少女』の中で紹介した本である。
 注目すべきは、『幸福な生活』『風の中のマリア』と、百田尚樹の本がぶつかっていること。事前に他の高校がどんな本をエントリーしてるのか分からないので、ひとつの大会の中で同じ著者の本がエントリーされることもよくあるらしい。いちおう予選で別ブロックになるよう配慮はされてるそうだけど、両方とも勝ち上がってきたら、こういうことも起きる。
 また、僕が見たBブロック以外にも、Dブロックでも『氷菓』が紹介されていた。もし両方が勝ち上がってきたら、『氷菓』同士がぶつかる可能性もあったわけだ。これは面白い展開だな。小説で使わせてもらおう。

 チャンプ本は関西創価高校の『幸福な生活』、準優勝は滝川第二高校『世界からネコが消えたなら』だった。

 終了後、参加者が集まっての交流会で、あいさつをした。僕がビブリオバトル小説を書いていることが紹介されると、いっせいに「おーっ」という驚きの声。ほとんどの学生が、今初めて知ったらしい。

 知名度低っ!(笑)

「ビブリオバトル」で検索したら、十何番目かに『BISビブリオバトル部』が出るし、そこから東京創元社のサイトに飛べば無料で読めるんだけどなあ。ビブリオバトルをやっている高校生でさえ、「ビブリオバトル」で検索しようとはしないということか。
 逆に言えば、このへんにまだまだファン層を開拓する余地がありそう。

 11月23日(日)には、東京で行われる関東・甲信越大会も観戦に行く予定。今後、小説の中で大会のシーンを入れるかもしれないので、参考にさせていただく。
  


Posted by 山本弘 at 14:12Comments(3)ビブリオバトル