2011年06月16日

日本トンデモ本大賞2011

 発表が遅れて申し訳ありません。東京から帰ってから、遅れてる原稿を必死になって書いてたもんですから。やっぱ連載3本はきつい。(その間に単行本のための書き下ろしとか、『メガミマガジン』に『まどか☆マギカ』についての原稿書いてたりしてたし……)
 6月11日に行なわれた日本トンデモ本大賞2011の結果の発表です。
 4月に行なわれた前々月祭では、ロフトプラスワンでの投票に加え、ニコ生で視聴していた方々にも投票していただきました。ただ、ニコ生の視聴者数は会場の人数の数十倍なんで、そのまま票数を加算すると、お金を払って会場に来ていただいた方々に不公平になります。
 幸い、ロフトプラスワンでの投票者数は100人に近い(正確には110人)ので、ニコ生の投票者数は、1%=1票として加算させていただくことにしました。
 ()内がニコ生でのパーセンテージです。

『あなたは常識に洗脳されている』 32票(+32)
『宇宙人との対話』 47票(+39)
『ゴジラ 特撮未発表資料アーカイヴ』 19票(+21)
『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと』 3票(+8)

【ノミネート外作品】

『メガネっ娘陵辱大戦』 7票
大川隆法 1票
都の青少年健全育成条例改正案 1票

 というわけで、第20回トンデモ本大賞は、大川隆法『宇宙人との対話』(幸福の科学出版)に決定いたしました。

 また、この20年間で最高のトンデモ本を決める「トンデモ本ベスト・オブ・ベスト」の方は、次のような結果になりました。

『植物は警告する』38票
『世界の支配者は本当にユダヤか』85票
『発情期ブルマ検査』67票
『人類の月面着陸は無かったろう論』219票
『人類の黙示録』24票

【ノミネート外作品】

『ガチンコ心霊交遊録』1票
『新UFO入門』1票
『メガネっ娘陵辱大戦』1票
『平和宇宙戦艦が世界を変える』1票
『量子ファイナンス工学入門』1票
高須克弥先生 1票

 というわけで、この20年間で最高のトンデモ本は、副島隆彦『人類の月面着陸は無かったろう論』(徳間書店)に決定いたしました。
 投票していただいたみなさま、ありがとうございます。

  

Posted by 山本弘 at 18:55Comments(7)TrackBack(0)トンデモ

2011年05月24日

エレーニン彗星衝突説が爆笑ものだった件

 前回に続いて、デマの話。
 こんなデマが流れているというのを、J-CASTニュースで知った。

10月接近の彗星が地球衝突  だれがこんなデマを流したのか
http://www.j-cast.com/2011/05/20096157.html?p=1
http://www.j-cast.com/2011/05/20096157.html?p=2

 昨年の12月10日に発見されたエレーニン彗星が、今年の秋に地球に衝突するかもしれない、というのである。
 調べてみたら、デマを広めているところが分かった。「防災グッズマガジン」という、名前だけ見るとまともそうなサイトだ。5月13日にこんな記事が載ったのである。

エレーニン彗星が地球に接近
http://www.disaster-goods.com/news_skWrI6miJ.html

NASAのレポートによると、現在、エレーニン彗星(Comet Elenin)が地球に接近しているという。地球をはじめとする天体に重力の影響はおきている事からエレーニン彗星は彗星の名がついてはいるが非常に大きな天体である可能性があるという。

以下天文学者Mark Sircus博士の記事より。

Mark Sircus博士

NASAの分析モデルを見ると、巨大な天体がすでに太陽系の中に侵入しているという事がわかる。エレーニン彗星は現在内太陽系に入ろうとしている。このまま今のコースを進めば2011年秋に地球すれすれを通るか最悪の場合地球に衝突する危険性がある。

エレーニン彗星が最も太陽に接近するのは2011年9月上旬だという。地球に最接近する時期は2011年10月16日ころ、 地球からおよそ2100万マイル離れたところを通過するだろうと専門家は予測している。

エレーニン彗星と東日本大震災 
東日本大震災、ニュージーランド大地震、チリ大地震はこのエレーニン彗星が原因であるという可能性がある。エレーニン彗星、地球、太陽が直列する事で大地震がおきたという可能性があるという。

 天体直列で大地震(笑)。なんかもうこれだけでダメダメって感じだよね。彗星の質量がどれぐらいか分かってんのか? 彗星はガス状の頭部(コマ)は直径何万kmもあるけど、本体(核)はせいぜい直径数km~数十kmしかない。有名なハレー彗星の場合、1986年の探査機ジオットの観測によって、核の大きさは15×8×8kmであることが判明している。しかもその成分の80%は氷であり、岩石でできた天体より密度が低い。
 たとえば月は直径3476km。その100分の1の直径35kmの核を持つ彗星の場合、体積は100万分の1。そして月の密度は水の3.3倍だから、彗星の質量は月の数百万分の1ということになる。
 すなわち、ハレー彗星よりも大きな直径35kmの核を持つ彗星が、月と同じ距離まで接近したとしても、その引力が地球に及ぼす影響は、月が地球に及ぼす影響の数百万分の1なのである。
 しかも最接近時の距離が2100万マイルって……3400万km? 月-地球間の距離の88倍? むちゃくちゃ遠いじゃん。これが「地球すれすれ」?
 それに「現在内太陽系に入ろうとしている」ということは、今はまだ3400万kmよりさらに遠いところ、火星軌道のあたりにいるってことである。
 何で月の数百万分の1の引力しかない天体が、月よりはるかに遠いところを通過するだけで地震が起きるの? バカじゃないの?

 まともな天文学者がこんなアホなことを言うとは思えない。Mark Sircus博士ってどういう人物なのかと思って検索してみたら、彼のブログが見つかった。彼がこの話の発信源であることは間違いない。

Dr.Sircus's Blog
http://blog.imva.info/

 でもって、彼のプロフィールがこれ。

http://director.imva.info/

I am a prolific writer, poet, medical researcher, doctor, psychologist, musician,
 
 どこが「天文学者」やねん!?
 いい加減なこと書くなよ、「防災グッズマガジン」!

 さらに「防災グッズマガジン」は、5月26日にもこんなアホな記事を載せた。

ホワイトハウスが文書を発表「エレーニン彗星衝突の危険あり 」
http://www.disaster-goods.com/news_snMvaRf7m.html?recommend

ホワイトハウス、エレーニン彗星対策はじめる
エレーニン彗星(Elenin彗星、Comet Elenin) が現在太陽系の中心に接近してきているという。この情報に伴いホワイトハウスは対策をはじめる模様。

ホワイトハウス科学技術政策局長官John Holdren氏は「現在地球に接近している小天体から地球をまもる計画(protecting the United States from a near-Earth object that is expected to collide with Earth) 」を発表した。

Comet C / 2010 X1(Elenin彗星、Comet Elenin) は2010年12月10日にLeonid Eleninによって発見された。

2011年3月11日におきた東日本大震災を引き起こした原因はエレーニン彗星の引力だといわれる。この日エレーニン彗星と地球と太陽は一直線上に並んだ。

現在のエレーニン彗星の位置はまだ地球から離れている。しかし刻一刻接近しており、今年9月26日ごろエレーニン彗星は地球と太陽の間を通ると予測されている。

この時もエレーニン彗星と地球と太陽はもう一度一直線上に並ぶ。しかしこの時は3つの天体の距離は小さく地球が受ける引力の影響は東日本大震災の比ではないという。

 上に紹介したJ-CASTニュースの記事でも書かれているが、これはまったくのデタラメ。「現在地球に接近している小天体から地球をまもる計画」という訳からして間違っている。「protecting the United States from a near-Earth object that is expected to collide with Earth」――この程度の英語は中学生でも訳せると思うが、「地球に衝突すると予想される地球近傍天体から合衆国を守る」である。これのどこが「現在地球に接近している」なのだ?
 地球近傍天体(near-Earth object)というのは、地球に接近する軌道を持つ小惑星や彗星の総称である。以前からそうした天体が地球に衝突する可能性については警告されていて、ホワイトハウスがそれに関するレポートを、昨年10月(エレーニン彗星の発見前)に米議会に提出した……ということらしい。つまりエレーニン彗星とはまったく関係ない話なのだ。
 これで「ホワイトハウスが文書を発表「エレーニン彗星衝突の危険あり」」というタイトルをつけちゃうんだから、ひどい話である。これはもう「誤報」とかいうレベルを超えている。
 どうも「防災グッズマガジン」の元ネタはこのへんらしい。

Bad News from NASA: Proof That Comet Elenin Is Affecting Earth
http://www.activistpost.com/2011/05/bad-news-from-nasa-proof-that-comet.html

 怪しい~っ!!(笑)
 惑星ニビルとかマヤの暦がどうこうって書いてあるよ!
 しかも今年の8月3日に地球の軌道が褐色矮星と交差するって。
 褐色矮星~っ!?(爆笑)
 あー、笑った笑った。ありえなさすぎるだろ。褐色矮星というのは恒星と惑星の中間、木星型惑星よりも大きいけれど恒星にはなれなかった天体のことで、当然、そのサイズは木星よりもでかい。そんなもんが太陽系に侵入してきてたら、もうとっくに世界中で観測されてるって!

 実は『地球移動作戦』でも、最初、シーヴェルを褐色矮星にしようと思っていた。だが、検討したところ、無理だと分かった。褐色矮星は熱を帯びているから赤外線を発している。太陽系のすぐ近くにそんなものがあったら、すでに赤外線観測で発見されているはずなのだ。そこで木星の約2倍の質量で、なおかつ光学的に観測できないミラー天体だという設定にしたのである。

 しかも3つ目の動画がバカすぎる。
 日本で4月20日に撮影されたビデオにエレーニン彗星か惑星ニビルらしきものが写ってるというのだ。朝なのにだんだん沈んでいっているから太陽ではないと。

Nibiru Elenin or a very bright star over Japan Volcano 04/20/11 ITS NOT THE SUN April 20 2011
http://www.youtube.com/watch?v=mm6e23lQi44

 検索してみたら、これは輝北から西の桜島を撮影した定点カメラの映像だと分かった。つまり、ここに写っているのは西の空だ。

国土交通省 九州地方整備局 大隈河川国道事務所
http://www.qsr.mlit.go.jp/osumi/camera_sabo.htm

 さらに、国立天文台のサイトで、この日の鹿児島での月齢と月の出・月の入りを調べてみると、

国立天文台 天文情報センター 暦計算室
http://www.nao.ac.jp/koyomi/

鹿児島(鹿児島県)
2011年4月20日(水)
日の出 5:45
日南中時 12:17
日の入り 18:50
月の出 21:30
月南中時 1:41
月の入り 6:55
正午月齢(16.5)

 ……月だろ?
 月が西の山に沈んでいってるんだよね。
 だいたい、こんな明るい天体が空に浮かんでたら、日本だけでなく世界中から肉眼で見えてるだろ。そんな当たり前のことも分からんのか。
 それともあれですか、やっぱりイルミナティが情報を隠蔽してるんですか(笑)。

 どうもMark Sircusの頭の中では、エレーニン彗星は褐色矮星または中性子星(!)で、それが例の「惑星ニビル」の正体だということになっちゃってるらしいんである。
 彗星と惑星と褐色矮星と中性子星……ぜんぜん違う天体をよくまあ、ごっちゃにできたもんだ。
 天文学を知らない人には、このおかしさは分からないかもしれない。たとえて言うなら、チョウチョを見て「あれはプテラノドンだ」と言ってるぐらいムチャクチャである。
 彼はどこからこんなトンデモ説を思いついたのか? どうやら鍵はこのへんにありそうだ。

Here Comes Elenin
http://blog.imva.info/world-affairs/elenin

>the part they can see is 50,000 miles in diameter. Yes a big rock!

 はあ? 直径5万マイルの「大きな岩」?
 そう、こいつ、「彗星のコマの直径が8万km」というのを読んで、直径8万kmもある巨大な岩のかたまりだと誤解してしまったらしい。で、こんなに大きいのだからきっと惑星じゃなく褐色矮星だ!と思いこんだわけだ。
 彗星のコマのサイズとしては、8万kmというのは特に大きいわけではない。コマが100万kmを超えることだってあるのだ。ちなみに木星の直径は14万kmだから、エレーニン彗星のコマは木星より小さい。

 要するに、Mark Sircusが天文学の初歩の初歩も知らないトンデモさんだったうえに、それを紹介した「防災グッズマガジン」の記事を書いた奴が、とてつもないアンポンタンだったということだ。
 でもなあ、「エレーニン彗星」で検索すると、ずいぶん信じちゃってる人、多いんだよなあ。
 天文に興味のない一般人は、そもそも彗星というのがどんな天体なのかすら知らないから、こんなデタラメな話を本気にしちゃうのだろうか。あるいは「NASA」とか「ホワイトハウス」とかいう固有名詞が出てくるだけで信憑性があると思っちゃうのか。
 何にしても、もうちょっと頭を使ってほしいもんである。

  

Posted by 山本弘 at 14:09Comments(33)TrackBack(0)トンデモ

2011年04月30日

これがイルミナティ・カードだ!

 以前にも「誤解されているスティーブ・ジャクソン」で、カードゲーム『イルミナティ』のことを取り上げたけど、あまりにも間違った情報が流布しているもので、あらためて詳しく解説してみたい。
 1975年からロバート・シェイとロバート・アントン・ウィルソンの伝奇小説『The Illuminatus!』3部作が出版された。世界を裏で操る秘密結社同士が争うという話である。日本にも訳されているのでストーリーは読んでもらえれば分かるけど、相当にふざけた内容だ。



 これが欧米で大ヒット。サブカルの世界で陰謀論ブームが起きた。陰謀論の世界で「イルミナティ」がクローズアップされてきたのは、実はこの小説の影響が大きいらしい。
 このブームに便乗して作られたのが、スティーブ・ジャクソン・ゲームズのカードゲーム『イルミナティ』なのである。初版は1982年。このゲームは大ヒットして、アメリカのゲーム大会〈オリジン〉で、ベスト・サイエンス・フィクション・ボードゲーム賞を受賞した。
 そのヒットを機に、スティーブ・ジャクソン・ゲームズは自社のマークを例の「ピラミッドから覗く目」にした。
 その後も『イルミナティ』は何度も追加キットが発売されたり、改訂版が出たりしている。

 1990年、SJゲームズでテーブルトークRPG『ガープス サイバーパンク』の開発に携わっていた社員の一人が、コンピュータ犯罪に関わっていると疑われ、SJゲームズはシークレット・サービスの強制捜査を受けた。彼らはマヌケなことに、『ガープス サイバーパンク』の原稿を「コンピュータ犯罪のハンドブック」とみなして押収した。
 業務を妨害されたSJゲームズはシークレット・サービスを訴え、勝訴している。

THE TOP TEN MEDIA ERRORS ABOUT THE SJ GAMES RAID
http://www.sjgames.com/SS/topten.html

Steve Jackson Games, Inc. v. United States Secret Service
http://en.wikipedia.org/wiki/Steve_Jackson_Games,_Inc._v._United_States_Secret_Service

 この件はカードゲーム『イルミナティ』とは何の関係もないのだが、なぜかベンジャミン・フルフォードはごっちゃにして解説しており、日本の陰謀論者たちはみんなその間違った解説を鵜呑みにしている。
 ちょっと検索すりゃ分かることなのに。

 1993年、ウィザード・オブ・ザ・コースト社のトレーディングカードゲーム(TCG)『マジック・ザ・ギャザリング』が大ヒット。日本でもその後、『ポケモン』や『遊戯王』のトレーディングカードゲームがヒットするが、そのすべての元祖が『マジック・ザ・ギャザリング』なのである。
 アメリカでも『マジック・ザ・ギャザリング』のヒットに便乗して、各社からTCGが雨後の筍のように発売された。SJゲームも遅れてはならじと、『イルミナティ』をTCG化して1995年に発売する。それが『Illuminati: New World Order』(INWO)なのである。このゲームも1997年の〈オリジン〉でベスト・カードゲーム賞を受賞している。
 ベンジャミン・フルフォードが「このカードが作られたのは1990年である」と書いているのが大間違いであることが分かるだろう。『マジック・ザ・ギャザリング』は世界初のTCGであり、それより前にTCGの企画なんかあるわけがないのだ。
 この他にもSJゲームズは、テーブルトークRPG版の『GURPS Illuminati 』も発売しているし、プレイ・バイ・メールの『Illuminati PBM 』なんてのもあるそうだ。(いちいち解説するのは面倒なんで、詳しく知りたい方は検索していただきたい)

 じゃあ、そのINWOの元になったカードゲーム『イルミナティ』とはどんなゲームだったのか。お目にかけよう。ジャジャーン。

 先日、グループSNEに行った時に借りてきたもの。1988年に出たデラックス版である。
 どのへんがデラックスかというと、箱が大きくなって、カードの紙質が良くなった(笑)。いや、追加カードも入ってますけどね。僕が初めてプレイしたのは確か第二版あたりで、紙質はかなりしょぼかったと記憶している。

(クリックすると拡大します)
 これがプレイヤーの演じる陰謀組織のカード。おなじみの〈バヴァリアのイルミナティ〉をはじめ、〈クトゥルフのしもべ〉〈チューリッヒのノーム〉〈UFO〉〈バミューダ・トライアングル〉などいろいろ。それぞれに能力が異なり、勝利条件も違う。世界征服が目的のやつとか、混乱が目的のやつとか。

 メインの組織の周囲に、他の組織のカードをこのように並べ、組織をどんどん拡大してゆく。カードに印刷された矢印の向きに従わなくてはいけないので、配置を間違えると伸び悩んでしまう。(上の配置の場合、〈バヴァリアのイルミナティ〉の右側がふさがれてしまっている)
 そうしてパワーや金を蓄え、勝利を目指す一方、他のプレイヤーを妨害するわけである。
 カードにはどんなものがあるか見てみよう。

(クリックすると拡大します)
 カードの左下にあるのは〈パワー〉〈抵抗力〉〈収入〉である。〈抵抗力〉の大きい組織は支配しにくい。当然、支配する組織が増えれば、そこからの収入も増える。
 右下にあるのは組織の属性で、同じ属性の組織は支配しやすい。〈カリフォルニア〉はLiberalでWeirdでGovernment、〈テキサス〉はViolentでConservativeでGovernmentといった具合。どちらも絵がいかにもって感じでありますな。
 特に〈郵便局〉のカードが笑える。カタツムリですよ。おまけにこのカード、〈収入〉がマイナスなの! 赤字だから、持ってるとお金を払わなくちゃいけないの!

 注目していただきたいのは〈国連〉の弱さ。パワーが1! 抵抗力も低い! 〈マフィア〉や〈南米のナチス〉よりはるかに弱いのである。「国連なんて役に立たないじゃん」というゲームデザイナーの皮肉がこもってますな。
〈フェミニスト〉のカードではブラジャーが燃えている。これ、ウーマンリブ運動を覚えている世代でないと、もう分からないかな。

(クリックすると拡大します)
 悪そうな顔の人たち。〈議員の妻〉がきつそうだ。
 注目していただきたいのは〈高利貸し〉(ローン・シャーク)の異常な強さ。パワーも抵抗力も収入も最高レベル! すごいよ〈高利貸し〉!

(クリックすると拡大します)
 ボーイ・スカウトならぬ〈ボーイ・スプラウト〉(さすがにこのへんは実名はまずかったか?)や、〈ビデオゲーム〉〈タブロイド新聞〉〈コミックブック〉など。
 ちなみに〈ビデオゲーム〉や〈タブロイド新聞〉があると〈コンビニエンスストア〉を支配しやすくなる。

(クリックすると拡大します)
 こんなカードまである。〈SFファン〉〈金魚愛好家〉〈地球平坦論者〉〈トレッキー〉〈葬儀屋〉〈精神科医〉……〈金魚愛好家〉はPeacefulでFanaticらしい。そうなの?

(クリックすると拡大します)
 出ました! 〈オービタル・マインドコントロール・レーザー〉〈ロボット・シー・モンスター〉! 大バカであります。
 陰謀論者はこういうカードを見ると、「イルミナティはロボット怪獣を持っている!」とか「軌道上からレーザー光線でマインドコントロールされる!」とか真剣に思っちゃうのかな。
 ちなみに、どちらも属性はCommunist。まだソ連があった時代のゲームだからね。
〈L4協会〉というのは、実在する〈L5協会〉のもじり。スペース・コロニーを作ろうと運動していた団体である。

 もうお分かりだろうけど、『イルミナティ』というのは冗談ゲームなんである。世にはびこる陰謀説をパロディにしているのだ。
 だからゲームの内容が陰謀論者たちの妄想と一致するのは当たり前なのだ。もともと彼らの妄想をおちょくって笑い飛ばす意図で作られているのだから。

  

Posted by 山本弘 at 13:05Comments(13)TrackBack(0)トンデモ

2011年04月26日

『トンデモ本大賞前日祭』:娘の反応

 24日の日本トンデモ本大賞前月祭、多くの方にお越しいただき、まことにありがとうございました。
 直前までバタバタしていたせいで、このブログで告知するのをうっかり忘れてたんですが、実はトンデモ本大賞候補作の紹介の模様は、ニコニコ動画で生中継されておりました。1万人を超える方が視聴して、リアルタイムでコメントがいっぱい書きこまれていたそうです。(会場のモニターにも表示されてたんですが、僕の位置からは見えなくて残念)

 我が家でも中学3年の娘が生中継を見ていました。実は娘は、トンデモ本大賞はもちろん、トンデモ本シリーズも読んでいない。これがトンデモ本初体験だったんですね。
 終了後、すぐにメールを送って感想を訊ねたところ、返事が返ってきました。

>メガメ楽しかったw

 やっぱりメガメか(笑)。いやあ、メガメがあんなに受けるとは思わなかった。
 何でも、あの瞬間にメガメ弾幕が画面を埋め尽くしただけでなく、終了後もずっと「メガメ」「メガメ」と流れ続けてたんだそうです。
 他の出演者からは「『こんなの読んでたなんてパパ不潔! 嫌い!』とか言われるんじゃない?」とからかわれたけど、ぜんぜんそんなことはなかったです。まあ、さすがにあのプロローグ以外は娘に見せませんけどね。

>あとリア獣もww

 お前さあ、パパの説明じゃなくてコメントのほうで喜んでるだろ(笑)。
 しかし、誰が言ったのか知らんけど、「リア獣爆発しろ」というのは秀逸ですな。

>それから、酸素が減るのも笑った(^w^)

 中学生に笑われてるよ。どうすんだよ、苫米地さん。
 そうだよね。中学生でもおかしいって分かるよね。

>でもやっぱりあたし的には2番が好きだったwwww

 あー、はいはい、ケンタウロスα星人との会話ね。あれは子供にも受けると思った。
 でも、あれを笑わずに、それどころかありがたがって真剣に読んでる大人が大勢いるんだよ。それがこの世界の現実。

 それにしても、ちゃんと全部見てくれてて、パパは嬉しい。


 結果発表は6月の20周年記念大会です。
 今回はニコ生を見ている人にもボタンを押して投票してもらったんですが、ノミネート作にしか投票できないシステムなもんで、「何でメガメに投票できない」と不評だったらしいです。
 だって、さすがにあの一発ネタでノミネートできないでしょ?
 実物を読みたい方はこちらをどうぞ。ただ、僕が持ってるのは初版なんで、ひょっとしたら再版分からは訂正されてるのかもしれませんけどね、メガメ。



 ちなみに「リア獣」はこちら。



 酸素が13%に減るのはこれ。



 ケンタウロスα星人が「はい」しか言わないのがこれ。



 アダムスキーが下手な英語で喋るのがこれ。これも僕が持ってるのは初版なので、再版分からは正誤表は入ってないかも。


  

Posted by 山本弘 at 16:21Comments(13)TrackBack(0)トンデモ

2011年04月23日

「ちきゅう」陰謀説のバカさ加減

(ちょっと気分転換にテンプレート変えてみました)

 ちょっと想像してみてほしい。
 あなたが何も悪いことをしていないのに、ある日突然、ネットで悪評を立てられたら。それもただの悪口ではなく、「あいつは大量虐殺者だ」というおぞましいことを、何十人何百人もの人間が真剣に主張していたら?
 そんな恐ろしいことが、今、この日本で現実に起きている。

「ちきゅう」は2005年7月に完成、JAMSTEC(海洋研究開発機構)が運用している地球深部探査船である。水深3000メートルの海底から7000メートルの深さまで掘削できる性能を有しており、地球内部の解明を目的とする国際プロジェクト、IODP(統合国際深海掘削計画)の主力船の一隻として調査活動を行なっている。

「ちきゅう」公式サイト
http://www.jamstec.go.jp/chikyu/jp/index.html

 ところが、東日本大震災の直後、この船に陰謀論者たちが目をつけた。
 この船は地下10キロまで穴を掘れる。今度の地震も、震源の深さは地下10キロだった。この船が穴を掘って原爆を仕掛け、地震を起こしたのだ!――というのだ。
 僕が最初に気づいたのはこのブログ。書かれたのは3月20日である。

Kazumoto Iguchi's blog
http://quasimoto.exblog.jp/14462938/

> 私が不思議に思っていたのは、この地震の生じた時に、掘削船地球がどうしてそんな危ない所にいたのかということである。その理由は分からなかったが、どういうわけか、ちきゅうはかなり地震に近い場所にいた。なぜだろうか? そういえば、NZのクライストチャーチの大地震でも地球掘削プロジェクトが存在した。偶然の一致だろうか?

「ちきゅう」は3月11日、青森県八戸港に停泊中、震災に遭遇、津波を避けるため、見学中の児童を乗せたまま沖合に出て難を逃れた。48人の児童は、翌12日の午後1時半すぎ、海上自衛隊のヘリで救助されている。
(読売新聞・2011年3月12日)
 今回の震災の震源地は宮城県沖で、八戸から200キロ以上離れている。つまり地震が起きた時、「ちきゅう」は「かなり地震に近い場所」になどいなかったのだ。
 ちなみに「ちきゅう」は3月15日から、八戸沖80キロの海域で、メタンハイドレートなどの資源調査のため、海底から2200メートルまで掘り進む計画だった。だが、震災で船体の一部を損傷し、掘削計画は中止されている。

【5月3日訂正】
 資源調査ではなく、地球微生物学をメインテーマに据えた「科学研究航海」だったそうです。
http://www.jamstec.go.jp/chikyu/jp/Expedition/exp337.html


 今回、48人の児童が乗船していたことでも分かるように、「ちきゅう」は見学や乗船体験を頻繁に受けつけており、大変にオープンな体制である。テレビの取材も何度も入っているし、映画『日本沈没』(2006年)の撮影に使われたこともある。多くの人の注目を集めている中、こっそりと宮城沖に出かけていって穴を掘るなど、とても無理なのである。

 さらに言うと、東日本大震災の震源の深さは「10キロ」ではなく24キロである。つまり、「ちきゅう」の掘削能力の限界を2倍以上も超えているのだ。
 実は震災の発生直後、震源の深さが「10キロ」と発表されたことがある。それはすぐに修正されたのだが、陰謀論者の多くは、いまだに「震源の深さは10キロ」と信じているのだ。
 実は地震の第一報が発せられた時、現地の気象台はまだその全貌を把握しておらず、とりあえず「10キロ」とか「20キロ」というキリのいい推定値を発表することが多いのだ。2008年の四川大地震も、2010年のハイチ地震も、当初の速報では、震源の深さは「10キロ」と発表されていた。しかし、データが集まってきて正しい震源の深さが分かってくると「19キロ」「13キロ」に訂正されている。

 しかも「ちきゅう」の掘削能力が7000メートルというのは公称であり、まだそこまで深く掘ったことは一度もない。
「ちきゅう」公式サイトによれば、「ちきゅう」の2000~3000mの深海での掘削能力は1日に70メートルだそうである。
http://www.jamstec.go.jp/chikyu/jp/QandA/archives.html
 じゃあ、100日で7000メートル掘れるのか? そんなことはない。深く掘るほど地中の圧力が高まるので、掘削は困難になる。実際は7000メートルを掘ろうとすると、1年半から2年かかると言われている。24キロも掘ろうとしたら(掘れると仮定しての話だが)何十年かかるか分からない。
 ちなみに、これまで掘られた縦穴の深さの世界記録は、旧ソ連の「コラ半島超深度掘削坑」である。1970年から19年間かけて1万2261メートル掘ったという。
 ドイツで行なわれた、KTB(ドイツ大陸科学掘削計画)では、まず1987年9月から1年半かけて4000メートルのパイロットホールを掘り、次に1990年から4年かけて9101メートルを掘ったという。かかった費用は5億2800万マルク(422億円)。
 陰謀論者の中には、1995年の阪神淡路大震災も核爆弾による人工地震だと主張する者がいる。当時、ベクテル社が明石海峡大橋のボーリング工事を行なっていた。この工事に偽装して地中に核爆弾を仕掛けたに違いない……というのだ。
 明石海峡大橋の工事が開始されたのは1988年。KTBと同時期である。阪神淡路大震災の震源の深さは16キロ。陰謀論者の説によれば、ベクテル社はKTBどころか世界記録のコラ半島超深度掘削坑をも上回る深さの穴を、誰にも気づかれずにこっそり掘ったことになる!
 さらに言うと、阪神淡路大震災の震源は、明石海峡大橋から2キロも離れている。
 
「ちきゅう」陰謀説にさらに油を注いだのが、911陰謀論者リチャード・コシミズ(ワールドトレードセンターは「純粋水爆」で爆破されたと主張している人物)の4月18日のブログだ。
http://richardkoshimizu.at.webry.info/201104/article_122.html
大量虐殺兵器搭載の艦船、『ちきゅう』関係者の証言」というひどい題で、こんな動画が紹介されたのだ。

Deep Sea Drilling Vessel CHIKYU Expedition 314-02
http://www.youtube.com/watch?v=Ca9jnd5iJr4

 この動画の中で、「ちきゅう」の掘削操業監督がLWD(Logging While Drilling)というものを紹介している。ドリルパイプの先端近くに各種のセンサーを搭載し、掘削作業と同時に地層の性質を計測するという技術だ。
 その動画の2分あたりのところで、こんな発言がある。

「その他、人工地震等を発生させまして、その地震波を測定するための装置です」

 さあ、これに陰謀論者たちが飛びついた。「ちきゅう」関係者が人工地震を起こしたと認めたぞ! やっぱり陰謀はあったのだ!
 このブログはたちまちコピペされて広まった。検索してみると、実に1400件もヒットする。
 しかし、彼らの誰一人として、この「人工地震」がどういうものなのか検索してみようとはしなかったようだ。
 この人工地震は「ちきゅう」が起こしているものではない。海洋調査船「かいれい」が曳航しているエアガン(高圧の空気を放出することで大きな音を発生させる装置)から発した音波を海底にぶつけ、地層の境界面で反射してきた波を「ちきゅう」が海底に埋めた地震計で検知し、地層の構造を探るというものなのだ。


【参考サイト】
http://www.jamstec.go.jp/chikyu/jp/special/201003_1.html
http://www.nmeweb.jp/duties_tectonic_mcs2.html
http://www.jamstec.go.jp/jamstec-j/IFREE_center/data/MCS_all.html
http://www.sci.u-toyama.ac.jp/earth/facility_old/facility_old.html

 これは反射法地震探査と呼ばれており、以前から海底の地質調査に使われているものである。このエアガンの発する音波が「人工地震」と呼ばれているのだ。
 ちなみに一回に放出される圧搾空気は最大24リットル。当然、その音のエネルギーは、東日本大震災のエネルギー(TNT爆薬に換算して4億8000万トン)とは比べものにならない。

 上のYouTubeのコメント欄を見ると、エアガンだと説明されてもなお、「エアガンではなくて 純粋水爆で人工地震を起こしたらどうなると思いますか?」と言っている奴がいる。震源の深さの件もそうだが、彼らは正しい情報を耳にする気すらないらしい。
「ちきゅう」はこれまで、紀伊半島沖の熊野灘において、南海トラフ地震発生帯の調査などを行なっている。つまり地震予知につながる研究をやっているのだ。
 そんな人たちが、何の証拠なしに、「大地震を起こして何万人も虐殺した」と非難されている。

 無知であること自体は罪ではない。分からないことがあれば調べればいいことだ。だが、陰謀論者たちはすぐに分かることを調べもせず、無知と怠慢を元に、妄想を膨らませ、あげくに無実の人間を大量虐殺者だと非難するのだ。
 陰謀論者には知識だけではなく、モラルが欠如している。彼らは自分のやっていることが邪悪な行為であることを理解できないのだ。

【4月26日追記】
「ちきゅう」が損傷した経緯が、今月号の『日経サイエンス』に書いてあったので紹介しておく。

> 津波による被害を受けたのは世界最大の科学掘削船「ちきゅう」。大地震が起きた当日は青森県八戸港に接岸、下北半島東方沖での掘削調査の準備を進めていた。大津波警報を受け、急きょ離岸した。万一、大津波で内陸に流されたりすれば、船そのものが大ダメージとなるほか、多くの建物を破壊してしまう事態になるからだ。
> 津波は「ちきゅう」が港内から出る前にやって来た。ブリッジでは操船に全力が注がれたが、全長約200m、総トン数約6万トンの巨大な船体が狭い港内で大きく回転、船尾の推進装置一基が岸壁にぶつかり、脱落した。

 こわっ!
 6万トンの船が大回転って……そんなすごいことがあったのか。光景を想像すると身の毛がよだつ。
 搭乗していた48人の子供たち、生きた心地がしなかっただろうな。

  

Posted by 山本弘 at 12:24Comments(36)TrackBack(3)トンデモ

2011年04月03日

これは誰なんだ? スパイシー

 今回はまったく震災とは関係のない話題。
 知り合いの日記で、「あの人検索 スパイシー」というのが取り上げられていた。

http://spysee.jp/help/index/

>スパイシーは「ひとを知る」ことをお手伝いする次世代検索エンジンです。

>テレビに出ている有名人や、ニュースで話題のひとについて知りたい時、検索エンジンを使ったことはありませんか?
>スパイシーは、ひとについてウェブ上で公開されている情報を自動的に収集・整理し、ひとつのページにまとめます。
>また、そのひとをとりまく人々のつながりを見つけ出し、ネットワークとして表示します。

>いままでの検索エンジンでは得ることができなかった詳しい情報や、意外な人々のつながりを知ることができます。

>スパイシーの核となるのは、ウェブ上に存在する大量の情報の意味を理解し、必要なものを選び出し、編集して知識として提供するセマンティックウェブ技術です。
>セマンティックウェブ技術は、次世代検索エンジンを実現するための核となる技術として世界各国で研究開発・実用化が進められています。オーマ株式会社では、日本発の次世代検索エンジンを目指して、国内でいち早くこの技術に取り組んでおります。

 面白そうだったので、自分のも見てみたのである。
 そうしたら……。

山本弘さんの相関図
http://spysee.jp/%E5%B1%B1%E6%9C%AC%E5%BC%98/1298/network/

 ……は?
 この結婚式の写真、まったくの別人なんですが。
「小林よしのり」ってトンデモ本シリーズで1回取り上げたことがあるだけなのに、相関があることにされちゃうの?
 しかも下のところの「ターザン」って(^^;)。実在の人物ですらないんですが。
 さらに「水野良」から伸びている「ハイ・エルフ」「スターシップ・オペレーターズ」に至っては、人名ですらないんですが。

「藤倉珊」とかも別人なんだけど。
 やっぱり一番問題なのは、この「皆神龍太郎」ではないかと思うのですよ。

皆神龍太郎
http://spysee.jp/%E7%9A%86%E7%A5%9E%E9%BE%8D%E5%A4%AA%E9%83%8E/4110/ref_q1

 誰なんだと思ったら、ポアンカレ予想を解決した数学者のグレゴリー・ペレルマンの写真なんだそうだ。
 関係のある人物だとか、同姓同名だから間違えたとかいうんなら話は分かるんだけど、皆神龍太郎とペレルマンって、まったく何の関係もないんだけどねえ。何で間違えるんだよ、次世代検索エンジン。

 他にも、知り合いのを何人か見てみた。

原田実さんの相関図
http://spysee.jp/%E5%8E%9F%E7%94%B0%E5%AE%9F/4138/network/

 これも別人。しかも、そこから伸びてる「古田武彦」「和田喜八郎」が女性化してるのがおかしい。
「卑弥呼」の画像もどうかと思う。

友野詳さんの相関図
http://spysee.jp/%E5%8F%8B%E9%87%8E%E8%A9%B3/45959/network/

 松尾芭蕉! シェイクスピア! 何でだ!?

水野良さんの相関図
http://spysee.jp/%E6%B0%B4%E9%87%8E%E8%89%AF/954/network/

 フラウス、ナシェル、ファーン、ベルド、ウォート……ぜんぜんちゃうわーっ!!(爆笑)
 どっからこんな写真、ひっぱって来たんだ。

 修正もできるらしいけど、面白いからこのまま放置しておこうかと思う。中途半端に間違ってると信じる人間がいるかもしれないけど、ここまでド派手に間違いまくってたら、逆に害はなかろう。
 つーか、間違いがあまりに多すぎて、直してたらきりがないし。

 他にも変なのをいくつか。

石原豪人
http://spysee.jp/%E7%9F%B3%E5%8E%9F%E8%B1%AA%E4%BA%BA/108539/ref_network

 これも別人。つーか、「峯田和伸」ってちゃんと書いてあるじゃん!

伊藤典夫
http://spysee.jp/%E4%BC%8A%E8%97%A4%E5%85%B8%E5%A4%AB/68746/ref_network

 これも絶対違う!

五島勉
http://spysee.jp/%E4%BA%94%E5%B3%B6%E5%8B%89/4288/ref_network

 人間ですらない。

タンクタンクロー
http://spysee.jp/%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%BC/23672/ref_network

 確かにタンクですが。

松岡由貴
http://spysee.jp/%E6%9D%BE%E5%B2%A1%E7%94%B1%E8%B2%B4/1677/ref_network

 ひどい……。

  

Posted by 山本弘 at 11:05Comments(8)TrackBack(0)トンデモ

2011年03月27日

誤解されているスティーブ・ジャクソン

 たまにはゲーム関連のトンデモな話題など。

 今度の震災で、「アメリカの人工地震による攻撃だ!」と主張するトンデモさんがいっぱい現われている。
 たとえばこちらの人は、深海掘削船「ちきゅう」に疑惑の目を向けている。この船が深さ10kmでも掘れるというのを聞いて、「穴を掘って原爆を仕掛けたのではないか」という妄想をふくらませているのだ。「ちきゅう」関係者に対する中傷だと思う。

http://quasimoto.exblog.jp/14462938/

 ちなみに、「震源の深さは10km」というのは初期の報道で、現在は24kmと言われている。

 ところで、このページの後半に、『Illuminati: New World Order』のカードが出てくる。ゲーマーの方には今さら解説は不要だろうが、世にはびこる陰謀論をパロディにしたゲームである。

スティーブ・ジャクソン・ゲームズの公式サイト
http://www.sjgames.com/inwo/

 ところが、陰謀論者にかかると、このゲーム自体が陰謀組織の計画を暗示したものとみなされちゃうのである。
 そのきっかけは、『New World Order』の中にある「Terrorist Nuke」と「Pentagon」というカード。ニューヨークのツインタワーを思わせるビルが爆発し、ペンタゴンが炎上している。


 1995年に発売されたゲームに、6年後の911テロが予言されていた! これこそイルミナティの陰謀が実在する証拠だ! というので、陰謀論者たちの注目を集めてしまったのである。
 日本の怪獣映画で東京タワーが何度も壊されているように、カタストロフものではその土地の有名なランドマークが舞台になるというのはお約束である。テロリストが核爆弾を爆発させるというカードに、アメリカ一高いビル(当時)であるツインタワーが描かれていても、何の不思議もない。
 また、日本の浅い陰謀論者たちは知らないだろうけど、ワールドトレードセンターでは1993年に爆弾テロが起きている。地下駐車場で600kgの爆薬が爆発し、6人が死亡したのである。
 1995年と言えばまだその記憶が生々しかった頃だ。600kgの爆薬でもビルはびくともしなかったので、「ワールドトレードセンターを破壊するには核爆弾が必要なんじゃないの」と思われていたのかもしれない。

 もちろんこのカードには衝突する旅客機は描かれていないのだが、それが逆に陰謀論者の妄想をかきたてた。このカードは、ツインタワーの倒壊が旅客機の衝突のせいではないことを暗示している、というのだ。
 陰謀論者の中には、「WTCは『純粋水爆』で爆破された」と言っている奴もいるのだが、その発想のヒントになったのはこのカードではないかと、僕はにらんでいる。
 だいたい、何で陰謀組織が、極秘のはずの計画を、わざわざゲームにして発表するんだろうか。

 この陰謀説は日本にも広まっている。今、「スティーブ・ジャクソン イルミナティ」で検索すると、まともなゲーム解説のページに混じって、陰謀論者のブログがいっぱいヒットするのである。
 ちなみに、この説を日本に紹介したのは、あのベンジャミン・フルフォードだ。彼はこう解説している。

http://benjaminfulford.typepad.com/benjaminfulford/2008/11/%EF%BD%8E%EF%BD%85%EF%BD%97-%EF%BD%97%EF%BD%8F%EF%BD%92%EF%BD%8C%EF%BD%84-%EF%BD%8F%EF%BD%92%EF%BD%84%EF%BD%85%EF%BD%92.html

>1990年3月1日アメリカのゲーム会社がINWO (Illuminati: New World Order)というカードゲームを発売しようとした。そうしたところシークレットサービスや警察がこのゲーム会社を家宅捜査し、事実無根の詐欺罪で訴えた。しかし結局ゲーム会社は裁判で勝訴し、1995年にINWO (Illuminati: New World Order)は無事発売になり、瞬く間にベストセラーとなった。その後当局からなど様々な圧力がかかり発売中止となった。

>このカードが作られたのは1990年である。911は少なくても11年前から計画されていたことがわかる。彼らの企みは非常に長期的であるので、世界が良い方向に動き出していても常に油断をするべきではない。

 デタラメ。
 そもそも『Illuminati』の初版は1982年に出ている。出てくる陰謀組織の中には、「The Bermuda Triangle」とか「The Servants of Cthulhu」とか「The UFOs」なんてのがあるし、「Trekkies」「Robot Sea Monsters」「Comic Books」「War Gamers」なんてふざけたカードもあり、ジョークであることが誰にでも分かるようになっていた。(僕も当時、何回かプレイした)
 ちなみにこのゲームのヒントになったのは、1975年から出版されて大ヒットしたロバート・アントン・ウィルソン&ロバート・シェイの小説『The Illuminatus!』3部作(日本では集英社文庫より『イルミナティ』という邦題で発売)。もともと小説の人気に便乗して作られたゲームだったのである。
 このゲームはアメリカのゲーム大会〈オリジン〉で、ベスト・サイエンス・フィクション・ボードゲーム賞を受賞した。

http://www.sjgames.com/illuminati/

 その後、何度か改訂版が出たが、1993年、『マジック:ザ・ギャザリング』の大ヒットでトレーディング・カードゲーム(TCG)のブームが起こり、それに便乗して『Illuminati』もTCG化されることになった。それが『Illuminati: New World Order』(INWO)なのである。当然、1990年の時点でINWOはまだ存在していない。
 1990年うんぬんというのは、おそらくスティーブ・ジャクソン・ゲームズが、社員の一人がコンピュータ犯罪に関わっていると疑われて強制捜査を受けたという、これまた古参のゲーマーなら誰でも知っている有名な事件のことを言っていると思われる。
 その社員が関わっていたのは、カードゲーム『Illuminati』ではなく、テーブルトークRPG『ガープス サイバーパンク』の開発。強制捜査を行なったシークレット・サービスは、マヌケなことに、『ガープス サイバーパンク』の原稿を「コンピュータ犯罪のハンドブック」とみなして押収したのだ!
 当時、アメリカのゲーマーも、そのニュースを伝え聞いた僕ら日本のゲーマーも、あまりのアホらしさに笑ったものである。
 もちろん、SJゲームズは業務が妨害されたことで損害を蒙った。のちにシークレット・サービスを訴え、勝訴している。
 つまり、この一件には『Illuminati』は何の関係もない。当然、「事実無根の詐欺罪で訴えた」とか「その後当局からなど様々な圧力がかかり発売中止となった」なんて事実もない。

 SJゲームズのサイトにある解説。

THE TOP TEN MEDIA ERRORS ABOUT THE SJ GAMES RAID
http://www.sjgames.com/SS/topten.html

 この裁判についての解説。

Steve Jackson Games, Inc. v. United States Secret Service
http://en.wikipedia.org/wiki/Steve_Jackson_Games,_Inc._v._United_States_Secret_Service

 あきれるのは、英語圏の人間であるはずのベンジャミン・フルフォード(自称ジャーナリスト)が、検索すれば簡単に分かる程度のこと、僕ら古いゲーマーにとっては常識とも言うべきことを、まったく調べようとせず、デタラメなことを書き散らしたという事実である。
 そして、日本の陰謀論者たちはみんな、英語圏の情報を調べてみようともせず、フルフォードのデタラメな文章を信じこみ、コピペしているだけなのだ。
「情弱」というのはこういう連中を言うのだろうな。

http://blogs.yahoo.co.jp/mfskf932/1035574.html
http://ameblo.jp/olibanumoon-1/archive119-201103.html#main
http://quasimoto.exblog.jp/11780383
http://gokyo.ganriki.net/diary2008/d-2008-11-14.html

 当然のことながら、彼らはこのゲームを実際にプレイしたことなどない。そもそもゲームについての基礎知識もない。
 だからものすごくトンチンカンなことを書く。

Kazumoto Iguchi's blog
スティーブ・ジャクソン:”邪悪なゲーム”イルミナティーカードの制作者
http://quasimoto.exblog.jp/12916036/

>今回、偶然その作者であるスティーブ・ジャクソンという謎の人物、謎のゲーム制作者のインタビュー番組を発見したので、ここにメモしておこう。残念ながら全部米語である。この人はいつもピラミッドのついたTシャツを好んで着ていることから、資金援助しているのは、ロスチャイルド系の人々なのだろう。

 謎の人物! 謎のゲーム!
 ちっとも謎じゃないよ! あんたが何も知らないだけだよ!
 そのTシャツのピラミッドって、スティーブ・ジャクソン・ゲームズのマークなんですけど!? 社長が自社のマークの入ったTシャツ着てて何が悪い!

いつわりの世界
イルミナティーカード
http://trickyworld.blog129.fc2.com/?mode=m&no=13

>カードゲームってポケモンカードとかみたいなやつ??

>小さい子が、「よーし!僕はピカチュウの100万ボルトでいくぞ~」
>「なに~!じゃあ僕はハッパカッターだあ!」
>「わあ。負けたあ」

>なんてやっているのはほほえましいけれど・・・

>子どもがこんな、イルミナティカードで遊ぶの???

>遊ばないと思うんだけど^^;

>じゃあ大人?

>いい年したサラリーマンが、
>「ふっふっふっ。俺は”地震計画”でいくぞ!」
>「ムム?!じゃあこっちは”第三次世界大戦”だああっ!」
>「くそおお!やられた~」

>なんてやるの?

 そうだよ! (笑)
 大人がカードゲームで遊んで悪いかよ!
 カードゲームは子供のものだと思いこんでいるのだ。『マジック:ザ・ギャザリング』とか『モンスター・コレクション』とか知らないんだろうなあ。

>気になったのでとりあえずこのゲームを作ったスティーブ・ジャクソン・ゲームズのサイトを
>調べてみた。

>・・・なぬ?!

>このトップページ。

>しっかり「ピラミッドに例のお目々」」が
>(ちなみにスティーブ・ジャクソン個人の公式サイトにも同じシンボルが)

>この人何者なんだろう・・・

>イルミナティ?

>それともただのオカルト好きのおじさん?

>怪しすぎる・・・

 いや、『Illuminati』がヒットしたから、会社のマークもそれにしたんだよ!
 思いっきり怪しい人物にされてるよ、スティーブ・ジャクソン!
 まったく頭痛い。
 だいたい『ガープス』も『マンチキン』も『トゥーン』も『サソリ沼の迷路』も知らない奴に、スティーブ・ジャクソンについて語ってほしくないよ!

 しかし、考えてみれば、僕もSNEにいた頃に『ガープス妖魔夜行』とか作ってるわけで、もしかしたら陰謀論者にはイルミナティの手先とみなされてしまうのかもしれないなあ……。


 ところで『C&Y地球最強姉妹キャンディ』の2巻で、〈ファストフーズ〉の口座が「ノーム銀行のチューリッヒ支店」にあるというギャグを入れたのだが、日本全国で何人ぐらいが分かってくれただろうか。

【3/28 追記】
 自分でもすっかり忘れてたけど、昔、『RPGなんてこわくない!』で、主人公の名前を「那智イルミ」にしてたっけなあ。(「魚津カー」というのもいた)

  

Posted by 山本弘 at 19:19Comments(23)TrackBack(0)トンデモ

2010年09月11日

911陰謀論に思う

 9月11日である。
 ヒストリーチャンネルでもディカバリーチャンネルでも、いろんな特別番組をやっていて、もう何本も見た。火災に追われて人が窓から落ちてくる場面は、何度見ても胸が痛む。ビルの崩壊によって生じた大量の粉塵に追われ、人々が必死に逃げまどう姿は恐ろしい。
 もう9年も前なので、細部を忘れかけている人も多いだろう。しかし、あの悲惨な事件の記憶を風化させないためにも、こういう番組は定期的に見返すべきだと思うのだ。

 さて、911と言えば陰謀論。あの事件はアメリカ政府による自作自演だとか、ワールドトレードセンターには最初から爆薬が仕掛けられていて爆破解体されたのだとか、ペンタゴンに突入したのは巡航ミサイルだとか、当日は4000人のユダヤ人が仕事を休んだとか、アホな説を信じる人たちがいる。
 しかし、彼ら陰謀論者の主張はことごとく間違いであることが、この数年間にほぼ完璧に立証されている。いちいち説明すると長くなるので、以下のリンクを読んでみてほしい。

分解 『911 ボーイングを捜せ』

Skeptic's wiki 911陰謀論

911Plot(?)FAQ

 アポロ陰謀論もそうだが、こうした荒唐無稽な陰謀説はすでに反証し尽くされていて、もう反証するネタがほとんど残っていない状況である。
 にもかかわらず、911陰謀論が下火になる気配はない。実際、Googleなどで911関係の情報を検索すると、陰謀論を唱えるページばかりがやたらヒットする。新刊書店の国際情勢の棚に行っても、もはやまともな911本は並んでおらず、911陰謀論の本があるばかり。
 こういうのを見ると、本当に無力感を覚える。ごく一部の理性ある人間が、証拠や理詰めで真実を説いても、信じてしまった人の耳には届かないのではないか。ほとんどの人は、「911同時多発テロってアメリカ政府の自作自演だったんだぜ」という話を聞かされると、裏も取らずにそれを鵜呑みにしてしまうようなのだ。

 最近、mixiでHEROという人物が新たな陰謀論を唱えている。彼の説によれば、なんと、ユナイテッド航空175便がWTC南棟に激突するあの映像はCGなのだという。実際はビルに仕掛けられた爆弾が爆発しただけで、飛行機など衝突していない。テレビ局が共謀してCG映像を流し、世界中を騙したというのだ。
 しかし、当日の映像を見れば分かるが、WTC周辺には何千人という野次馬がいて、燃えるビルを見上げていた。飛行機がぶつかっていないのに爆発が起きたら、それを証言する目撃者が大勢いるはずではないか。
 しかしHERO説によれば、「目撃者は少ない」という。そして飛行機がぶつかったことを目撃した者など一人もいない、というのだ。
 さらにHERO氏は言う。ユナイテッド航空175便は最初から存在していなかった。乗客も存在していない。だから乗客の遺族が名乗り出てくるはずがない……。
 もちろんそれは事実に反する。175便の衝突を目撃した人はいるし、乗員乗客の遺族も実在し、テレビにも出演している。
 ほんの一例を挙げるなら、会社役員のピーター・ハンソン氏は、妻のスー、幼い娘のクリスティーンと175便に乗っていて、ハイジャックに遭遇した。彼は機内電話を使って母親に電話をかけ、「飛行機がハイジャックされた」と告げている。両親のリー・ハンソンとユーニス・ハンソンの夫妻は、2003年、息子の名前でノースイースタン大学に記念基金を設立している。

http://www.northeastern.edu/leadershipcampaign/campus/hanson.html

 だから175便が実在したことも、それがWTC南棟に衝突したことも疑いようがないのだが、そうした情報を示されてもHERO氏はいっこうに動じない。自説に都合の悪い情報はすべて嘘だと決めつけ、認めようとしない。テレビに出演した遺族などもみんな「ヤラセ」なのだという。
 ちなみにHERO氏によれば、僕は「工作員」なのだそうだ(笑)。

 HERO氏は極端な例だとしても、911陰謀論者の多くが、事実を見ようとしないし、まともな理屈がまったく通用しない相手であることは確かだ。
「そんな珍説を信じる連中はみんな頭がおかしいのだ」と、切って捨てたくなる。
 しかし、ちょっと待ってくれ。アメリカでは911がアメリカの自作自演だと信じる者は15%もいるのだ。他の国でも何十%という人が信じているし、たぶん日本でもかなり多いと思う。一方、統合失調症の発症率は0.8~1%、他の精神病も合わせても数%でしかない。無論、精神病者の全員が911陰謀論を信じているわけでもない。
 つまり、911陰謀論者のほとんどは「正常」だということになる。
 この事実はどう考えるべきなのか。僕が思うに、「正常」の定義を考え直す必要がある。そもそもすべての人間は「正常」ではないのではなかろうか?

「すべてのヒトは認知症なのです」というのは、僕が『アイの物語』の中でアンドロイドの詩音に言わせた台詞である。

>「文字通りの意味です。あなたたちは認知症のヒトとそうでないヒトがいると思っていますが、それは間違いです。すべてのヒトは認知症で、症状に程度の差があるだけなのです。認知症のヒトの多くは、自分が認知症であるという認識を持たないものですから」

>「論理的帰結です。ヒトは正しく思考することができません。自分が何をしているのか、何をすべきなのかを、すぐに見失います。事実に反することを事実と思いこみます。他人から間違いを指摘されると攻撃的になります。しばしば被害妄想にも陥ります。これらはすべて認知症の症状です」

 これはかなりマジである。もっとも最近では、「すべてのヒトは統合失調症なのです」と言い換えたほうがいいのではないかという気もしているが。
 何にしても、僕らは完璧な知的生命体とはほど遠い。「万物の霊長」だなんておこがましい。人間の思考プログラムはバグだらけだ。まともな思考力のある知性体なら、911陰謀説なんか信じたりするものか。
 911テロという事件そのものについても、同じことが言える。アルカイダがやったことも、それに対してアメリカが取った行動も、明らかに間違っている。論理的にも、倫理的にも。
 人間が真の知性体であるなら、あんな愚かなことができるはずがないのだ。

 そう、誰かが愚かなんじゃない。僕ら人類はみんな愚かなのだ。しょっちゅう間違ったことを信じ、しょっちゅう間違った行動を取る。
 だからこそ僕らは慎重にならなくてはいけないと思う。重大な結果を惹き起こす決断に際して、「この決断は本当に正しいのか」と、立ち止まって考えてみる必要がある。HERO氏のように、「自分の考えに間違いはない」などと思ってはいけないのだ。いつも「間違っていないか」とびくびくすべきなのだ。
 911同時多発テロという事件は、その良い教訓だ。
 僕らが悲劇から何も教訓を学ばず、これからも愚行を繰り返すなら、死んでいった何千人という犠牲者が浮かばれない。

  
タグ :陰謀論

Posted by 山本弘 at 18:59Comments(22)TrackBack(0)トンデモ

2010年06月14日

日本トンデモ本大賞2010

 6月12日、日本橋劇場で行なわれた「日本トンデモ本大賞2010」において、今年度のトンデモ本大賞が決定いたしましたので報告します。

【ノミネート作品】

●赤司洋子
『ネコの心がわかる本』
(PHP)
 95票

●リチャード・コシミズ
『小説911』
(自費出版)
 33票

●杉山徹宗
『平和宇宙戦艦が世界を変える』
(芙蓉書房出版)
 163票

●丸山修寛
『500年の時を経てついに明かされたダ・ヴィンチの秘密』
(幻冬社ルネッサンス)
 56票

【ノミネート外作品】

●河村望『プラグマティズムで読み説く明治維新』(人間の科学社) 2票
●木村秋則『すべては宇宙の采配』(東邦出版) 2票
●民主党のマニフェスト 2票
●志水一夫さんの家 2票
●唐沢俊一『博覧強記の読書術』(アスペクト) 1票
●『エンゾ・早川のロードバイク解體新書』(エイ出版社) 1票
●『と学会年鑑BROWN』の表紙 1票

 開票作業を開始した最初の頃は、『ネコの心がわかる本』も急速に票を伸ばしていて、「今年はネコと宇宙戦艦の一騎打ちか?」とか言ってたりしたんですが(笑)、最終的に宇宙戦艦が大差で勝利しました。
 というわけで、今年度の日本トンデモ本大賞は杉山徹宗(すぎやまかつみ)『平和宇宙戦艦が世界を変える』に決定しました。

 タイトル通り、日本が宇宙戦艦(全長60m、満載重量170トン、レーザー砲装備)を建造して世界平和に役立てようと大真面目に提案している本です。
 著者の構想している宇宙戦艦というはこういうもの。著者の自筆らしいです。デッサン狂ってます。

 艦首とブリッジの形がどう見てもMJ号なんですが(笑)。
 こういう戦艦が海面を滑走して飛び上がり、宇宙にまで飛んでゆくのだそうです。単段式ロケットによる、スペースシャトルの1.6倍のサイズの宇宙往還機! 現代の宇宙工学の常識を軽々と超越しています。著者の(かなりアバウトな)試算によれば、15兆円の予算があれば7年で建造できるそうです。
 やはり名前は「大和」がふさわしいそうです。

 甲板に付いているものはレーザー砲で、これで北朝鮮や中国からの核ミサイルを撃ち落とします。日本への脅威がなくなるので、在日米軍も沖縄から撤退できます。
 また、日本の経済水域内で違法操業する韓国や中国の漁船も、シーシェパードの船も、北朝鮮などの不審船も、ソマリアの海賊も、宇宙からレーザービームを照射して航行不能にできます。北朝鮮拉致被害者も、宇宙からのレーザーで鉄格子や塀を破壊して解放できるのだそうです。
 コンクリートや鉄を溶かすほどの強烈なレーザーを浴びせたら、建物の中の人もただじゃ済まないだろうと思うのですが、著者はなぜか、レーザーは人を傷つけないと思っています。
 宇宙から地雷を探知して(方法は不明)レーザーで処理したり、中国から流れてくる大気汚染物質をレーザーで分解することもできるそうです。

 ちなみに著者は1965年に慶應義塾大学を卒業したそうなので、太平洋戦争中の生まれだろうと推測されます。子供の頃に小松崎茂の絵物語とか読んで育った世代でしょうか。
 著者紹介によれば、この方は「陸上自衛隊幹部学校・海上自衛隊幹部学校指揮幕僚課程及び高級課程講師。専門は国際関係論、比較防衛学、外交史」だそうです。

  
タグ :トンデモ本

Posted by 山本弘 at 18:45Comments(6)TrackBack(1)トンデモ

2009年11月29日

『超ミステリーの嘘99』

 東京怪奇現象研究会編『超ミステリーの嘘99』(双葉社)という本が出ている。
 巻末の主要参考文献には、僕も書いているASIOS『謎解き超常現象』(彩図社)が挙げられている。実際、多くの項目が『謎解き超常現象』を参考にして書かれているようだ。
 まあ、引用されるのはいっこうにかまわない、と言うか大歓迎なんだけど……。
 明らかにこの著者たち、題材に興味を持っていない。UFOや超常現象が好きな人間なら絶対に犯さないはずのミスを何箇所も犯しているのだ。
 たとえば、【03 ロズウェル事件狂想曲の真相① 発生から40年間も事件は忘れ去られていた!!】には、こんな記述がある。
(前略)事件発生から実に40年もの間、何故かロズウェルは人々から忘れられることとなるのだ。これは不自然だろう。
 ところが突如としてロズウェル事件は発掘される。1984年のことだ。ロサンゼルスのTV番組プロデューサーであるジェィミー・シャンドラの元に匿名の手紙とフィルムが届く。手紙には「MJ12に関する概要説明書」(P24参照)という書類が添付されており、ロズウェル事件を“秘密裏に処理した”というMJ12委員会(マジェスティック12)という謎の謀略機関の存在とその構成メンバーが詳細に記されていた。

 おいおい、ロズウェル事件発掘のきっかけがMJ-12文書って(笑)。順番がまるで逆だろ。
 ウィリアム・ムーアとスタントン・フリードマンが1978年からロズウェル事件の再調査を開始し、さらに1980年、チャールズ・バーリッツとムーアの共著の『The Roswell Incident』(邦訳『ニューメキシコに墜ちた宇宙船』〔徳間書店・1981〕が出て、ロズウェル事件が一気に有名になった……なんてことは、UFOマニアなら常識なんだけど。
 だいたいなんで「40年」なんだ? 1947年から84年じゃ、37年だろう。
【63 FBIに「超能力捜査官」など存在しない!! 米ソ超能力研究は「成果なし」で終了していた!!】

 ここは明らかに『謎解き超常現象』の僕の担当した文章を参考にしている。しかし、トンデモないことが書いてあった。
「FBI超能力捜査官」という肩書きも、マクモニーグルが勝手に名乗っているだけだ。アメリカ大使館占拠事件を解決したのは彼ではなく特殊部隊デルタフォースだし、田村裕の父親の居場所が見つかったというストーリーもスタッフのヤラセだという。

 デルタフォースはアメリカ大使館占拠事件を解決してません!(笑)
 僕が『謎解き超常現象』に書いた文章はこう。
 イランのアメリカ大使館占拠事件では、アメリカは特殊部隊デルタ・フォースを送りこんで人質を救出しようとしたが、作戦は途中で中止された。しかも撤退の際にヘリコプターが輸送機と衝突、8人の死者が出る惨事になった。結局、人質は事件発生から444日も経って、イラン政府によって解放された。

 こんなひどい誤読をするとは、よほど急いで書いたんだろうか。
 それに「FBI超能力捜査官」と名づけたのは日本テレビのスタッフであって、マクモニーグルじゃないんだけど。(まあマクモニーグルがそれを黙認しているのは確かだが)
 これも僕は、
(前略)「FBI超能力捜査官」というのは、日本テレビのスタッフがつけた呼称にすぎないのだ。

 と、ちゃんと書いているのだが。
【76 太陽系が「フォトン・ベルト」に包まれるという人類滅亡説は似非科学だった】

「フォトン」とは、陽子と電子が衝突する際に生まれる素粒子だ。(後略)

 フォトン・ベルト本にはよく、フォトンは「電子と陽電子が衝突した際に生まれる」と書かれている。この説明自体は間違いではない。このライターは陽電子という言葉を知らず、「陽子」の誤植と思ったのだろうか?
(前略)フォトンといってもただの「光」だ。フォトンが危険だというならば、電磁波もX線も赤外線も電波も、目に見えなければすべてが危ないように思えてしまう。

 X線も赤外線も電波も電磁波の一種なんですけど(笑)。「目に見えなければすべてが危ない」というのも、何が言いたいのかよく分からない。
 これも僕はこう書いている。
 そもそも、フォトンというのはただの「光」である。厳密に言えば、光を含めた電磁波である。太陽から発する可視光線や赤外線や紫外線、人体から発する赤外線、テレビやラジオや携帯電話の電波、レントゲン撮影で用いられるX線……これらはすべてフォトンなのである。

 科学をぜんぜん知らないライターが、僕の文章をものすごく不正確に要約したのが分かる。
 繰り返すけど、引用するなら正しくやっていただきたい。
 
 他にも、「いくらなんでもそれはない」という記述がいろいろ。
【44 世界中で目撃される怪鳥ビッグバードだが…古代の翼竜は飛べなかった説が有力だった!】

 ちっとも「有力」じゃありませんって(笑)
 東京大学の佐藤克文氏が唱えた説のことだろうが、そもそもこの人の専門は海洋生物学で、古生物学は専門外なんである。
 ちなみにその主張は、「体重40キロ以上の鳥は、風速ゼロの環境下では離陸するのに十分なだけの羽ばたきができない」というもの。しかし、翼竜がはばたいて飛んでいたんじゃなく、もっぱら滑空していただろうというのは、古生物学の世界で何十年も前から言われていたことである。「はばたいて離陸できなかった」と「飛べなかった」はまったくイコールではないのだ。
 実際、40キロを超えるハンググライダーがいくらでも飛んでいる。翼竜だって同じで、崖の上や斜面からでもジャンプして滑空すればいいだけのことだ。
 僕もビッグバードはいないとは思うけど、否定するのにそんなトンデモ説を持ち出されてもなあ。
【67 「ノストラダムスの大予言」は複雑な散文形式 原文を読めばなんとでも解釈可能なポエムだった!!】

 ノストラダムスの予言は「散文」じゃない。
 かの有名な「恐怖の大王」の出てくる第10章72番の詩を見ても明らか。1行目の末尾と3行目の末尾、2行目の末尾と4行目の末尾が韻を踏んでいる。

L'an mil neuf oens nonante neuf sept mois,
Du ciel viendra un grand Roy d'effrayeur,
Resusciter ie grand Roy d'Angolmois,
Avant apres,Mars regner par bon heur.


 この詩についての『超ミステリーの嘘99』のライターの解釈は、「大雨や竜巻を指しているだけかもしれない」というお粗末なもの。一番有力なフランソワ一世説に触れてないのは落第である。
 さらにこのライター、「通称『ノストラダムスの大予言』と呼ばれる著作『諸世紀』」なんて書いている。『諸世紀』という題が誤訳であることもご存じないらしい。

【82 「赤穂浪士=四十七士武士道の鑑」にあらず 英語圏では「47人のテロリスト」だった!!】

 だが彼らは、英語圏では「47 terrorists」(47人のテロリスト)として知られる。いくら主君の無念を晴らすためとはいえ、謀議をめぐらせてテロ攻撃を仕掛けたことに変わりない。(後略)

「"47 terrorists"+kira」とか「47 terrorists"+ronin」とかで検索したけどヒットなし。ほんとにそんなこと言われてるの?

 いちばん笑えたのはこれ。
【94 ペットボトルや古紙リサイクルは環境に優しくない!! ゴミは分別しないほうが「エコ」だった!!】

(前略)実はペットボトルをリサイクルするためには、新品を作るときの3.5倍もの石油が必要となる。(中略)実際のところ、製品として再び使われているペットボトルは3~4%に過ぎない、残りのペットボトルは、リサイクルするふりをしながら埋め立てや焼却処分に回されているのだ。

 うわあ、こいつ武田邦彦教授の言ってること信じてやがる!?(笑)
 あれは捏造だって言ってんのに。
 翼竜の件もそうだけど、オカルトやニセ科学を批判する本でニセ科学を広めちゃだめだよなあ。

 不思議なのは、巻末の参考資料リストの中に、と学会や山本弘名義の本が1冊もないこと。
 皆神龍太郎・志水一夫・加門正一『新・トンデモ超常現象60の真相』は入っているのに(「龍」の字が間違っているうえに、なぜか加門正一氏の名が抜けているが)、なぜか『トンデモ超常現象99の真相』はない。
 それどころか、『「環境問題のウソ」のウソ』も『超能力番組を10倍楽しむ本』も『トンデモノストラダムス本の世界』も『人類の月面着陸はあったんだ論』も入っていない。武田邦彦氏の本は3冊もあるのに(笑)。すごく不自然なセレクトのように思えるのだが。

 最大の問題は、対象に対する愛情がまるで感じられないこと。UFOやUMAや超常現象にまるで関心のないライターが、仕事を依頼されて、適当に資料を集めて適当に引用して作った……という感じがする。
「好きこそものの上手なれ」というやつで、やっぱり好きでない人間が書いても良い本にはならんのだろうな。

  

Posted by 山本弘 at 13:56Comments(9)TrackBack(0)トンデモ