2008年06月28日

「地球人」の意味が分からない人


【断 潮匡人】「地球人」という不誠実
(産経新聞6月14日 コラム・断)

 5月21日に「地球を考える会」が福田首相に提言した。
 「まず、日本国内で地球愛確立の国民運動を起こすことだ。さらに、それを世界に広げるべく最大限の努力を払うことが必要だろう」
 愚生には意味不明だが、東大、京大、早慶の総長・塾長、読売やフジ、トヨタの会長と各界トップが名を連ねた提言だ。虚心に辞書で「地球愛」を引いてみた。案の定、載ってない。
 そこで「愛」を引く。「(1)親兄弟のいつくしみ合う心。広く、人間や生物への思いやり(以下略)」(広辞苑)。これなら分かるが、人間でも生物でもない地球を、どう愛せるのか。国民運動に加えて「世界に広げるべく最大限の努力を払うことが必要」なほど不自然な感情を「愛」と呼べるのか。

 あのー……。
 世の中には、山を愛してる人とか、海を愛してる人とか、バイクを愛してる人とか、カメラを愛してる人とか、電車を愛してる人とか、本を愛してる人とか、絵画を愛してる人とか、フィギュアを愛してる人とか、ゲーム・キャラを愛してる人とか、「人間でも生物でもない」ものを愛してる人が山のようにいるんですが。
 ちなみに僕の使っている小学館の国語辞典で「愛」を引くと、

①かわいがり、いつくしむ心。愛情。「子供への-」
②親しみしたう心。「親兄弟への-」 ③異性を恋しくおもう心。恋。
④物ごとをこのみ、それを大切におもう気持ち。「書物への-」

 とあり、④の定義からすると、地球を愛してもちっともおかしくないのである。

 だが、提言を受けた福田首相は納得したようだ。1週間後の各紙朝刊に全面広告の政府広報(外務省)を出した。推計で広告費は億単位にのぼる。
 首相発言の見出しは「【日本人=地球人】として誠実に。」。
 最後の句点同様、「地球人」の意味も分からない。これも辞書にない。ネット上には「特にSFで、宇宙人の対意語」とあるが、私たちが生きているのは、SF(空想科学)の世界ではない。
 日本人=「さかのぼれる限りの先祖から日本列島に住み、日本語を話している人」(新明解国語辞典)。この世に「地球語を話している人」などいない。地球愛も地球人も無意味で軽薄な偽善である。発想自体、不誠実きわまる。(評論家)

 おおー、「地球人」はSF用語ですか!?
「地球人」という言葉は辞典に載っていない、地球語を話している人などいない、とこの方はおっしゃる。確かにその通り。僕の使っている辞典にも「地球人」は載っていない。
 でも、国語辞典には「アメリカ人」の項もないって知ってました? 「アメリカインディアン」や「アメリカ合衆国」はあっても、「アメリカ人」はないんだよ。
 そう言えば、「アメリカ語」を話してる人もいないよね(笑)。
 他にも、国語辞典には「アジア人」「アフリカ人」などの項もない。「アジア語」や「アフリカ語」を話している人もいない。
 つまり、この人の論法によれば、「アメリカ人」「アジア人」「アフリカ人」という言葉もすべて、「無意味で軽薄な偽善」「発想自体、不誠実きわまる」ということになるわけだ。ふーん。

 さらに、潮氏がネット上で見つけたという「特にSFで、宇宙人の対意語」という定義について検索してみたら……。

地球人とは-はてなダイアリー

1.特にSFで、宇宙人の対意語として、地球に生息する人類のことをいう。
2.グローバリズムに基づき、国籍や人種を乗り越えて人類を包括する言葉。

 何だよ!? この場合の「地球人」が2の意味なのは明白じゃん!?
 あきれた。この人は2が読めないほどボケてるのか。それともいいかげんな引用をして読者を騙すことを何とも思っていない「不誠実」な人間なのか。
  
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Posted by 山本弘 at 16:38Comments(2)新聞