2015年06月24日

イベント「SF作家・山本弘とデマを10倍楽しむ」

■□■市民社会フォーラム学習会■□■
SF作家・山本弘とデマを10倍楽しむ

http://civilesociety.jugem.jp/?eid=30367

日 時 7月17日(金)18:30~20:30
会 場 元町館「黒の小部屋」(元町映画館2階)
    http://www.motoei.com/access.html
ゲスト 池田香代子さん(口承文学・都市伝説研究家)
参加費 1000円
お申し込みなしでどなたでもご参加できますが、
人数把握のため事前申し込みいただければありがたいです。
civilesocietyforum@gmail.com まで

 インターネットの普及によりあらゆる情報が調べられ、誰もが情報を瞬時に拡散することができるなど、ネットは日常生活から市民運動にいたるまで不可欠なツールとなっています。
 他方、誰もが情報を拡散できることで、デマや都市伝説、ニセ科学、陰謀論など怪しい情報が氾濫し、悪質な場合は特定個人への誹謗中傷や人々を不安に陥れるパニックが巻き起こったりします。
 それゆえ、ネットやメディア、科学のリテラシーがますます学習が必要な時代になっていますが、今回の学習会ではSF作家の山本弘さんをお招きして、デマを笑い飛ばしつつ真面目に交流いたします。
 ゲストには都市伝説研究者でもある池田香代子さんをお招きします。

山本弘(やまもと・ひろし)さん
SF作家。1956年京都府生まれ。『去年はいい年になるだろう』(PHP)で第42回星雲賞(日本長編部門)を受賞。
小説家として精力的に活動する一方、ノンフィクション作品も執筆。

池田香代子(いけだ・かよこ)さん
1948年東京杉並生まれ。日本のドイツ文学者・児童文学者・翻訳家・口承文学および都市伝説研究家・エッセイスト
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 大阪でニセ科学のイベントをやったばかりですが、今度は神戸・元町で、デマをテーマにした講演と対談をやります。昔からブルンヴァンの『消えるヒッチハイカー』とかが大好きだし、このブログでもしばしばネットのデマを取り上げてますので、この講演でも、最新のデマの実例の紹介、どれほどデマがはびこっているか、デマの分類、デマにひっかからないための心得など、いろんな話題を語ろうと思っています。

 ところで。

 いい機会ですので、こういう講演が儲かるのかどうかという話もしておこうと思います。もしかしたら、「山本弘は最近、こんな講演やイベントで儲けてるんじゃないか」って思ってる人がいるかもしれないので。
 儲かりませんよ!(笑)
 いや、大きなホールで何千人ものお客さんを集めるような有名人なら、1回の講演料、がっぽり貰うのかもしれませんけどね。僕の場合、普通は数十人、どんなに多くても200人ぐらいです。今回の場合、参加費1000円。それにお客さんの数を掛けて、収入がどれぐらいか……だいたい見当がつくでしょ? そこからギャラが支払われるわけですよ。会場の使用料とかの必要経費を考えれば、主催者が赤字になることもありえます。
 ちなみに僕の場合、ぶっちゃけて言うと、これまでで今までいちばん高かったギャラは3万円。これは最高ラインで、普通はそれよりずっと少ないです。
 しかも、それで1日潰れる。いや、講演用にパワーポイントとかで資料作ってたら、何日も潰れることもあります。
 単純に時間給に換算すると、同じ時間使って原稿書いてた方が儲かります。

 あと、こうした講演会では、自著をサイン入りで販売することもよくあります。東京でのイベントなら、出版社の人が本を持ってきて売ってくださるんだけど、地方でのイベントでは、著者が出版社から本を買い取って、それを自分で会場に持っていって自分で売ります。いちおう著者割引というのがあって、定価よりよりやや安く買えるので、その差額が収入になるんですが……まあ、雀の涙ですね。
 サイン会を別にすれば、これまでで今までいちばんたくさん本が売れたイベントは、2006年のトンデモ本大賞。角川の編集さんが『アイの物語』50部を持ちこんで、きっちり完売しました。あの記録はまだ超えられません。普通は10部も売れればいいとこです。

 じゃあ何で講演をやるかというと、「面白いから」と「ちょっとでも知名度を上げたい」から。
 今回のように、話すテーマ自体が面白くて、引き受けちゃうことがあるんですよね。
 あと、普段、僕の小説を読まない人に、僕の名前を知ってほしい。ほんの数人でもいいから読者を増やしたい。
 後者の理由が、けっこう切実だったりします。はい。
  


2015年06月24日

「論理盲」の人たち

 先日の記事に対して、ABO FAN氏が反論してきた。

山本弘さん ニセ科学を10倍楽しむ本《山本弘のSF秘密基地BLOGで話題に(続)》 [サイト紹介]
http://abofan.blog.so-net.ne.jp/2015-06-15

 今度は論語と朱子学(笑)。だからぜんぜん関係ないって、そんなの。

>私の示した根拠が間違っているというなら、山本さんは何か「反証」を出せばいいはずです。しかし不思議なことに、何か調べたらしい形跡もなく、反論の根拠は20年以上も前の論文(!)ばかりでした。

 そう言いつつ、自分が出してるのが1985年から1991年の研究ばかりってどういうこと(笑)。しかも、そのどれも僕が『ニセ科学を10倍楽しむ本』で挙げたものだ。何がしたいのかさっぱり分からない。
 また彼の文章を書き直させてもらう。

> 僕の示した根拠が間違っているというなら、ABO FANさんは何か「反証」を出せばいいはずです。しかし不思議なことに、何か調べたらしい形跡もなく、反論の根拠は20年以上も前の論文(!)ばかりでした。 

 さらにABO FAN氏はこうも書いている。

>そういえば、彼のブログにコメントを書いたのですが、全くなしのつぶてです。たかが“素人の反論”なら、掲載して笑い飛ばしても全然問題ないはずですよね。過去には相当批判的なコメントも掲載されているので、相当神経質になっているのでしょうか?

 自分のコメントがなかなか反映されないので、被害妄想に陥っているようだ。このブログの常連の方ならお分かりだろうけど、僕がこのブログを更新するのは半月に1回ぐらいのペースである。つーか、この左側の「最新の記事」一覧を見れば、更新のペースなんてすぐ分かるんだけど。
 もちろん、ABO FAN氏のコメントもついさきほど、ちゃんと反映しました。

 さて、ABO FAN氏はいったい何を間違えているのか。僕は前回の文の最後でこう書いた。

>この「アダムスキーの比喩」は、おそらくABO FANにはまったく理解できないものだろう。

 予言通りだった。やっぱり彼は理解できてなかった。

「地球外知的生物は存在するかもしれない」
「ジョージ・アダムスキーは正しかった」

A「血液型と性格には弱い関係があるかもしれない」
B「血液型性格判断は正しかった」

 Aはまったく違うものなんだけど、ABO FAN氏にはその区別がついていないのであるが同じものだと思いこんでいて、が正しければも正しいと思っているのだ。僕が(そして多くの心理学者が)を肯定しつつを否定していることが理解できず、矛盾していると思っているのだ。

 これを僕は、色盲ならぬ「論理盲」と名付けたい。

 色盲(色覚異常)の人はの区別がつかない。二つのまったく違う色が同じ色に見える。同様に「論理盲」の人には、が同じに見えるのである。
 ただ、色覚異常の人も正常な判断力は持っているので、自分は色覚異常であることは正しく認識できる。しかし論理盲の人は、そもそも判断力そのものが麻痺しているので、自分の論理が間違っていることを認識できない。
 こういう人に対して、「その論理は間違ってますよ」と指摘しても無意味である。彼らは絶対にそれを認識しない。

 僕がこういうタイプの人に初めて出会ったのは、もう20年以上も前である。『謎解き超常現象Ⅳ』でも書いた、ラエリアン・ムーブメントの説明会に行ってきた時のことだ。

 ラエリアンとは、フランス人のコンタクティ、クロード・ボリロン(ラエル)の信奉者のこと。ラエルの主張によれば、エロヒムと呼ばれる異星人が地球上の全生物を2万5000年前に創造したのだという(それまで地球上に生物はいなかった)。しかもエロヒムの惑星は、地球から1光年弱のところにあるという。
 もちろん、太陽系から最も近い他の恒星系は、4.3光年の距離にあるケンタウロス座アルファ星であり、1光年のところに生命を宿した惑星なんかあるわけない。
 以下は『謎解き超常現象4』からの抜粋。

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 1992年4月、筆者(山本)は京都で開かれた日本ラエリアン・ムーブメント京都支部の説明会に行ってきた。そこでこれまで述べたような矛盾点を指摘し、説明を求めた。
 京都支部の支部長だという人は、まったく動じた様子はなかった。にこやかな顔で、「私たちには分かりません」「その点についてはエロヒムから教えられていません」「研究しているところです」「いずれ真実は明らかになります」と自信たっぷりに答えるのみだった。
 説明会では、アダムスキーやビリー・マイヤーなど、他のコンタクティが撮影したUFOの写真がスライドで紹介され、「これらはみんなトリックです」と説明された。ラエリアンたちはみんな、嘘をついて人を騙すコンタクティが大勢いることを知っていた──にもかかわらず、なぜかラエルだけは真実を語っていると信じているのだ。
 ラエルは他のコンタクティと異なり、UFOの写真など、証拠になるものは何も提示していない。人は証拠を見せられると何も考えずに盲信してしまう。盲信するのではなく、自分の頭で考えてほしいから証拠を示さないのだ──というのだ。
 ラエリアンはみんな、ラエルのその説明を信じている。そして、自分は盲信してなどおらず、自分の頭で考えて、ラエルの言葉が正しいと信じたのだと思いこんでいる。
 しかし、途方もない話を何の証拠もなしに信じることを、普通は「盲信」と呼ぶのではないだろうか?
 ある会員はこんなことを言った。
「もし、ラエルが嘘をついて人を騙そうと考えたなら、現代科学で正しいと考えられていることを書いたはずでしょう? 彼が書いていることが科学的に間違っているように見えるのなら、それは彼が真実を書いている証拠だと思います」
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『謎解き超常現象4』ではここまでしか書かなかったが、この話には続きがある。翌93年、僕はもう一度、ラエリアン・ムーブメントの説明会に行ったのだが、そこで京都支部の支部長さんがこんなことを言ったのである。
「太陽系から4光年以内に恒星が存在しないと知っていたなら、どうしてラエルはエロヒムの母星が地球から1光年にあるなどと、すぐにバレる嘘をついたのでしょう? 山本さんはどう思われますか?」
 僕が「知らなかったからでしょ」と言うと、支部長さんは真顔で言った。
「そんなバカな! 太陽系から4光年以内に恒星が存在しないことぐらい、誰だって知ってますよ!」
 だったら何でラエルの言うことを信じるの?

『謎解き超常現象4』でも書いたが、ラエルは15歳で寄宿学校を飛び出している。つまり日本で言うなら高校1年程度の教育しか受けていなかったわけで、恒星までの距離など知らなかったと考えても、何もおかしくない。
 だが、ラエリアンたちはそう考えない。それどころか、ラエルが明らかに間違ったことを書いていることまで、ラエルが正しい証拠だと考えているのだ。
 こんな考え方をする人たちを論理で説得するのは不可能だ。

 その後もパソコン通信やSNSなどで、いろんな人と議論した。アダムスキー信者、9.11陰謀論者、アポロ陰謀論者……だが、僕は彼らのうち一人も説得できたことがない。

 大事なことなので繰り返す。僕は彼らを説得できたことは一度もない。

 厳密に言えば、僕や他の人たちがきちんと論拠を挙げて説得しているのに、相手はそれが理解できないのである。
 分かりやすいのが9.11陰謀論者だろう。彼らはペンタゴンに突入したのはアメリカン航空77便ではなく巡航ミサイルだと信じている。本物の77便はどこかの軍事基地にこっそり降ろされ、乗客は全員殺害されたうえに遺体を焼かれ、ペンタゴンに運ばれてばらまかれたのだと。
 しかし、なぜそんな回りくどいことをしなければならないのか。だいたい、旅客機にせよ巡航ミサイルにせよ、それがぶつかる瞬間は大勢の人に目撃されるはずである(実際、何十人もの人が目撃している)。誰か一人でも「あれは飛行機じゃなくミサイルだった」と証言したら、あっさり陰謀は瓦解してしまう。そんなバカなことを誰がやるというのか。
 しかし、こうしたことを指摘されても、陰謀論者たちは屈しない。というのも、彼らには論理が理解できないからである。「おかしいじゃないか」と言われても、「えっ? どこがおかしいの?」と思ってしまうのだ。

 他にも、「ちきゅう」陰謀説やらイルミナティ・カードのウソやらも、このブログでさんざん説明してきたんだけど、信者には届かないのか、それとも理解できないのか、今でも信じている人間は大勢いる。前に紹介した『まどマギ』陰謀論の奴とかも、やはり論理盲だろう。
 彼らは「血液型性格判断は正しい」とか「ラエルは正しい」とか「9.11陰謀説は正しい」と思いこんでいて、それに合わせて(僕が出会ったラエリアンのように)論理をねじ曲げる。はたから見れば、ねじくれていてぜんぜん筋が通っていないんだけど、本人にはそれがまっすぐな論理のように見えるのだ。

 だから僕は、相手が論理盲だ(まともな論理が理解できない)と気づいたら、議論は打ち切ることにしている。
 だって、議論したって納得するわけないんだから。無限にループし続けるだけ。
 みなさんも、論理盲に出会ったら、言いたいことだけ言って、議論を打ち切りましょう。相手を説得する必要なんかない。と言うか、説得するなんて不可能だから。
 人生は短い。不可能なことに挑戦して時間を無駄にするより、他にやるべきことがあるはず。

 あと、よくブロックを悪いことのように言う人がいるけど、その考えは常に正しいわけじゃない。
 もちろん議論に負けている側が相手をブロックするのは卑劣なことだけど、勝っている側に負けている側がしつこくからんでくるのは迷惑行為だから、ブロックしてもかまわない。
 永遠に議論を続けるわけにいかない以上、いつかはブロックしなくちゃいけない。
 ただ、言いたいことはすべてきちんと言っておくこと。どちらの言い分が正しいかは、第三者の判断にまかせればいい(ツイッターならTogetterにまとめるという手もある)。
 あなたの主張の方が正しいなら、多くの人が支持してくれるはずだ。

 もっとも、論理盲の人が自分の主張をTogetterにまとめて、逆にコテンパンに叩かれるという例もちょくちょくあるんだけどね(笑)。
 
  


2015年06月12日

『BISビブリオバトル部』番外編「空の夏休み」



http://www.webmysteries.jp/special/biblio-01.html

 ミーナの頼みで、夏コミでサークルの手伝いをすることになった空。初めてのコミケ、初めてのコスプレでとまどうことばかり。さらには、特撮ファンのおじさんたちの二次会に参加することになり……。

 これまでコミケを題材にしたマンガや小説やアニメはたくさんあったけど、意外に知られていない部分がたくさんあるんじゃないかと思いつき、小説にしてみました。見本誌チェックとか一斉点検とかキャリーバッグのマナーとか森林保護募金とか、参加したことのある人なら常識だろうけど、コミケ体験のない人はたぶん知らないんじゃないかと思います。
 今回の前半の見せ場はコスプレです。空の人生初コスプレもいいんですけど、やっぱり、自分でもいいと思うのは銀くんのコスプレ! 版権にひっかかるから絵にはできませんけど(笑)、頭の中で思い描いていただきたいです。

 後半は居酒屋を舞台に、特撮ファンのおじさんたちによる特撮本をめぐるトークが展開します。今回はビブリオバトルをやらないので、番外編ということにして、サブタイトルにも「これはビブリオバトルではありません」と入れることにしました。
 ルールも何もないぐだぐだなおしゃべりですが、いろんな本や特撮作品の話題が出てきます。これ書くためにわざわざビデオで『さよならジュピター』観直しましたよ(笑)。

 このウェブ連載、登場する本や映像作品にリンクが貼られるんですが、今回は『マリみて』『ニンスレ』『ログホラ』『キャプスカ』『ギャレゴジ』などの略語に正確にリンク貼ってあるのに感心しました。編集さん、ご苦労様です。
  


Posted by 山本弘 at 15:26Comments(5)特撮PRコミケビブリオバトル

2015年06月12日

LiveWire「ビブリオバトルをやってみよう#2 」

山本弘のSF秘密基地LIVE#47
「BISビブリオバトル部 幽霊なんか怖くない」発刊記念
ビブリオバトルをやってみよう#2


 本を通して人と人をつなぐ知的書評ゲーム〈ビブリオバトル〉。それを題材にした山本弘の新刊『BISビブリオバトル部 幽霊なんか怖くない』(東京創元社)の発売を記念したイベントを開きます。
 前半はビブリオバトルの実演、後半はビブリオバトルをめぐるトークショー。ビブリオバトルの実演では、会場に来ていただいたみなさんも投票していただけます。ふるってご参加ください。


[出演] 山本弘(SF作家)、谷口忠大(ビブリオバトル創始者・立命館大学情報理工学部准教授)、福田和代(作家、ビブリオバトルin神戸「読まなきゃ!2014」主催)、鋼鉄サンボ(マイナープラモ研究家)

[日時] 2015年6月27日(土) 開場・14:30 開始・15:00
 いつもはその月の最終金曜の夜にやっていますが、今月は土曜の午後です。ご注意ください。

[会場] なんば紅鶴(大阪市中央区千日前2-3-9 レジャービル味園2F)南海なんば駅より南海通り東へ180m・駐車場有
http://benitsuru.net/about

[料金] 1500円
(店内でのご飲食には別途料金がかかります。入場時に別途ワンドリンクをご購入いただきますのでご了承ください)

チケットのご予約などはこちらに。
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=90634127
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『翼を持つ少女』の時にもやりましたが、ビブリオバトルのイベントです。いつもLiveWireのトークショーは夜の7時半からやってるんですが、今回は土曜日の昼間です。いつもと違う客層の方が来ていただければいいなと期待しております。小さくて、あまりきれいじゃない(婉曲表現)会場ですが、驚かないようにお願いします。
  


Posted by 山本弘 at 14:40Comments(1)PRビブリオバトル

2015年06月12日

新刊『幽霊なんて怖くない BISビブリオバトル部』




東京創元社 1728円
6月26日発売予定
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488018214

 夏休み。BISビブリオバトル部のメンバーは、埋火武人の家で合宿を行なう。深夜に開催される、〈恐怖〉のテーマにした百物語風ビブリオバトル。そこで思いがけない怪現象が発生する。
 そして公共図書館で開催されるビブリオバトルのエキジビション。テーマは〈戦争〉。部員たちは体験したことのない〈戦争〉とどう向き合うのか?



『翼を持つ少女』に続く、『BISビブリオバトル部』シリーズの第2巻です。
 タイトルだけ見て誤解される方がおられるかもしれませんが、これは「幽霊なんているわけないよ」という単なるオカルト否定の話じゃありません。ネタは明かせませんが、まさに「幽霊なんて怖くない」という話です。
 もちろん、前作に引き続き、SF、科学、雑学、歴史、マンガなどなど、いろんな本が登場します。お楽しみに。

 発売に先立って、あとがきを〈Webミステリーズ!〉に掲載しております。 ネタバレはありません。お読みいただけると幸いです。

http://www.webmysteries.jp/sf/yamamoto1506.html 
  


Posted by 山本弘 at 14:30Comments(4)PRビブリオバトル

2015年06月12日

「山本弘が血液型性格判断を否定するのは儒教の影響だったんだよ!」(笑)

 いやあ、笑った笑った。
 この ABO FANという人物、血液型性格判断を信奉していて、以前からニセ科学批判に対してあれこれいちゃもんをつけてたんだけど、まさかここまでトンデモだとは思わなかった。

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山本弘さん ニセ科学を10倍楽しむ本《続》 [新刊情報]
http://abofan.blog.so-net.ne.jp/2015-04-21

ではなぜ、ここまで事実をねじ曲げても“血液型性格判断”を否定する必要があるのか?
その理由は、いくら科学で分析してもわかりません。
納得できる理由が見当たらず、超不思議だったのですが、最近になってやっと気が付きました。
それは、儒教の影響だったのです!

もっとも、儒教にもいろいろな学派があります。
多くの日本人の行動規範となっているのは、現在放送中のNHK大河ドラマ[TV]で吉田松陰が信奉している「陽明学」です。

ここでは、池田信夫さんの解説がわかりやすいので引用しておきましょう。

日本に輸入された官学は朱子学だったが、大きな影響を与えたのは陽明学だった。そのコアは「心即理」すなわち純粋な動機による行動は正しいという原理だ。これが日本に古事記からみられるキヨキココロの倫理と一致するのは、おそらく人類に普遍的な利他的感情を刺激するからだろう。
[http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51904631.html]

山本弘さんは、純粋な動機から「科学」を信奉しているわけで、キヨキココロを持っていると自己規定しています(私も彼の“善意”自体は否定しません)。だから、「心即理」すなわち純粋な動機によるニセ科学批判の行動――ここでは「血液型性格診」の否定――は絶対善で正しいということなのです。

逆に、「血液型性格診」を信じているような疑似科学人間は“ケガレ”に汚染されており、「差別的」で「絶対悪」なのだとなります。(笑…いや、本当は笑えないのですが)
ということなので、統計が…なんてことはゴチャゴチャ言わないで、さっさと自分の間違いを認めるべきだ、と上から目線で説教することになるのでしょう。
#統計データなんかは、「純粋な動機」に比べればごくごく些細なことです…。

こう考えると、多くの「ニセ科学批判」の行動原理が驚くほど簡単に(!)説明できます。
「ブラッドタイプ・ハラスメント」を、これでもかこれでもかと“一心不乱”に強調するように感じられるのも、そういう理由だからでしょう。彼(女)らは、“血液型性格判断”を信じているような人間は「穢れ」ており「差別的」で「絶対悪」だということを主張したいのです。極端な話、統計データや科学的な話はどうでもよく、問題なのはあくまでその人間の人格なのだ、ということになります。

我ながら、なぜこんな簡単なことに今まで気が付かなかったのでしょうか…。

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 そんなアホなことに「気が付」くのはあんただけだよ!(笑)
 儒教とニセ科学批判なんて、まったく何の関係もないだろう。もちろん僕は儒教の信奉者なんかじゃない。
 まあ、こんな風に、まったく無関係のものを「関係がある」と思いこんでしまうのが、ニセ科学信奉者の思考なんだろうな。

 ABO FAN氏は自分の文章がブーメランであることに気がついていないらしい。こんなふうに書き換えてみよう。

>ではなぜ、ここまで事実をねじ曲げても“血液型性格判断”を肯定する必要があるのか?
>その理由は、いくら科学で分析してもわかりません。
>納得できる理由が見当たらず、超不思議だったのですが、最近になってやっと気が付きました。
>それは、儒教の影響だったのです!

>ABO FANさんは、純粋な動機から「血液型性格判断」を信奉しているわけで、キヨキココロを持っていると自己規定しています(私も彼の“善意”自体は否定しません)。だから、「心即理」すなわち純粋な動機によるニセ科学批判批判の行動――ここでは「血液型性格診断」の否定の否定――は絶対善で正しいということなのです。

>こう考えると、多くの「ニセ科学信者」の行動原理が驚くほど簡単に(!)説明できます。
>「血液型性格判断」を、これでもかこれでもかと“一心不乱”に強調するように感じられるのも、そういう理由だからでしょう。彼(女)らは、“血液型性格判断”を信じていないような人間は「穢れ」ており「絶対悪」だということを主張したいのです。極端な話、統計データや科学的な話はどうでもよく、問題なのはあくまでその人間の人格なのだ、ということになります。


 そう、ABO FANによるニセ科学擁護こそ、まさに儒教の影響である! と結論することも可能なのである。(もちろん僕はそんなこと信じてませんよ。念のため)


 前半部分の彼の主張にも反論しておこう。彼は『ニセ科学を10倍楽しむ本』を読んだと主張しているが、内容を大幅に歪曲して紹介し、ブログの読者を騙している。

>彼は、否定の根拠として、心理学者である松井豊さんの研究結果を紹介していて、4年間で1万人のデータでも「差がない」ことが有力な理由としています。しかし、面白いことに、データに「差がある」という真逆の結果が出た(!)論文も読んでいるのです。

 ちっとも「真逆の結果」なんかではない。確かに有意な結果は出たが、4年続けて有意な結果が出たのは24項目中1項目だけであることを、5ページもかけてちゃんと説明している。(文庫版193-197ページ)
 さらに血液型性格判断信奉者の青葉ちゃんに、「少なくとも、差はあるってことじゃない」とも言わせている。(198ページ)
 また、松井豊氏のこんな言葉も引用している。

> 松井さんは言う。
>「血液型と性格・気質に関連があるとする考えは根拠が薄い。もし関連があったとしてもそれは極めて弱くて、『何とか型の人はこうだ』などと個人に当てはめることは不可能なレベルのものです」(199-200ページ)

 また、松井氏の研究で項目の一つに有意な結果が出たことについても、このように説明している。

>夕帆「そうか。松井さんの研究で、『物事にこだわらない』という項目に『はい』と答えたA型の人が少なかったのは、もしかして、回答者の中に血液型性格判断を信じていた人が何パーセントかまじっていたから?」
>パパ「その可能性はあるよね。何にしても、血液型と性格の間には関係はないか、あったとしても、すごく微妙な差だってことだよ」

 そう、血液型と性格の関係は、あったとしてもとても小さいもので、松井氏が言うように、「『何とか型の人はこうだ』などと個人に当てはめることは不可能なレベル」なのだ……というのが僕の主張である。
 ABO FAN氏はこんなことも書いている。

>200ページには『お茶の水女子大の講師坂元章さんも同じような研究をしていて「血液型と性格には、世間で考えれるほどの関係はなく、人間関係をスムーズにするといった実用的な応用に使える素材ではありません」とコメントしている。』とあります。
>さっと読み流してしまうと何も感じませんが、実はこの研究報告には「血液型と性格の自己報告との間の相関は、弱いが認められた」と書かれています。
>つまり、弱いが「関係はある」という結果が出ているのです!


「相関は、弱いが認められた」という部分を鬼の首でも取ったかのように自慢しているが、もちろん、賢明な読者の方なら、彼がひどい誤読(または歪曲)をしていることがお分かりだろう。
 坂元氏の言う「世間で考えられているほどの関係」「人間関係をスムーズにするといった実用的な応用に使える素材」というのは、まさに血液型性格判断のことなのである。
 つまり血液型性格判断を支持するどころか、真っ向から否定する内容なのだ。

>しかし、山本さんは、
>1) 坂元章さんのサンプルは3万人であり、松井豊さんの1万人の3倍である
>2) 坂元章さんは「差が出る」と言っている
>といった事実は全く無視するといった、意図的な“隠蔽工作”をしているのです。


 いったい意図的な“隠蔽工作”をしているのはどっちなのか。
 ABO FAN氏は、松井氏や坂元氏の研究が血液型性格判断の正しさを証明しているかのように偽っている。
 僕が長谷川芳典氏(岡山大助教授)や、原野広太郎氏(筑波大助教授)、大村政男氏(日本大学文理学部教授)らの研究を紹介していることを隠している。(200-201ページ)
 また、彼ら全員が血液型性格判断を否定する結論を出していることも隠している。
 さらに僕が血液型と性格の関係を全面否定しているかのように偽っている。
 これが“隠蔽工作”以外の何だというのだ?


 もう20年ぐらい前、パソコン通信で、血液型性格判断の信奉者と議論したことがあるが、その時も相手の頑固さに手を焼いた。
 そいつは前述の松井氏の研究に「こんなアンケート調査では不正確な結果しか出ない」といちゃもんをつける一方、能見氏の本のアンケートを元にした調査(『ニセ科学を10倍楽しむ本』210-211ページ)を、「これでも正確な結果が出るはず」と擁護していた。
 彼にとっての「正確な結果」とは「血液型性格判断を支持する結果」、「不正確な結果」とは「血液型性格判断を支持しない結果」であるらしい。

 僕はこの時、こんなことを言ったと記憶している。

 将来、宇宙人が地球を訪れ、地球外知性体の実在が証明されたとしても、ジョージ・アダムスキーが正しかったことにはならない。
 同様に、将来、血液型と性格の間に何らかの関係があると証明されたとしても、能見正比古が正しかったことにはならない。

 この「アダムスキーの比喩」は、おそらくABO FAN氏にはまったく理解できないだろう。
  


2015年06月03日

彼らは調べようとしない・4

 他にも最近、こんなデマがあった。

【報道規制】【テロ?】5/19-20千葉、葛飾、北九州、上野で爆発音や爆発炎上【地震?隕石?】
http://togetter.com/li/823941

 今年の5月19日午前2時頃、千葉で爆発音が聞こえた……という話なのだが、同日午後7時頃の上野のビル火災が、なぜかごっちゃにされている !
 しかも、まとめの最初のツイートが2011年7月22日。おそらく「千葉 爆発」でヒットしたツイートを、確認もせずにまとめに入れたものと思われる(他にもいくつか、明らかに無関係のツイートが混じっている)。
 北九州の爆発音というのは、検索してみたけど有力なヒットなし。

>関東大震災の前にも、大砲の様な音が聞こえたって言うよね。 

>やばいぞ!関東!箱根と連動してるぞ。

>関東大震災前兆か!?


 などと、地震の前兆だととらえている人。

>ベクテルかな

>海ほたる ベクテル 検索


 と書いているのは、「阪神大震災はベクテル社が起こした人工地震」という説を信じてる陰謀論者だろう。
 この人は他にもこんなことを言っている。

>これ、連続テロでは?
>油テロや放火テロの次の段階に入ってる悪寒。

>一日に3回も4回も謎の爆発あったら、それはもう報道されないなら真っ黒なやつだろ…((((;゚Д゚)))))))

>21ってことは朝鮮系かな

>7月が近づいて在日朝鮮人たちがかなりイラついてきたのと、今日の爆発音だらけなのは、決して無関係とは思えない…

 何で「決して無関係とは思えない」と思えるのかが謎。

>これが理解できない人は、すごく洗脳が深いか、ただのバカなんだよなぁ…

 って、すごいブーメランだ(笑)。

 他にも、

>連中がヘマし大事免れた可能性。

>要注意!創価学会!!
>5月19日未明に千葉県の東京湾沿岸部で謎の爆発音が聞こえたと話題に、偽本尊への題目が原因では?

>ユダヤ朝鮮裏社会さん、変なことしましたか。


 などと書いている人も。
 音を聞いただけで犯人が分かるって、みんなすごい推理力ダナー(棒読み)。

 もっと笑えたのがこれ。

>【水星逆行?】これは実に奇妙な事象だ。国立天文台のサイトで調べた水星逆行開始時はAM02:08だが、爆発音のタイミングはこれにほぼ完全にシンクロしている。

 何で水星が逆行して爆発が起きるんだよ!(笑)

 僕は最初、隕石かと思っただが、製鉄所の事故だったようだ。

JFEスチール株式会社
東日本製鉄所(千葉地区)における大きな音の発生について [2015/05/20]
http://www.jfe-steel.co.jp/works/east/

 2015 年 5 月 19 日 1 時 56 分に、東日本製鉄所千葉地区西工場(千葉市中央区川崎町 1 番地)の製鋼工場において大きな音が2度発生しました。
 これは、転炉での処理(溶けた鉄の成分調整)工程で発生した副生ガスを、防災対策の手順に従い、燃焼放散いたしましたが、その際に一部設備の損傷が生じ、これに伴い大きな音が発生したものです。
 原因については、現在調査中です。
 これらの設備トラブルによる可燃性ガスの拡散は認められず、近隣地域への影響はございません。また火災ならびに負傷者も発生しておりません。
 都市部に立地する当社にとって、災害・事故の防止は、製鉄所操業の最重要課題であり、原因を究明したうえ、更なる防災対策の徹底と管理体制の強化を図って参ります。
 地域の皆様をはじめ、市民の皆様には、ご迷惑およびご心配をおかけし、深くお詫び申し上げます。

「報道規制」も何も、この程度のことはいちいちニュースで取り上げられないのは当たり前だ。
  
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Posted by 山本弘 at 18:52Comments(6)事件メディアリテラシー

2015年06月02日

彼らは調べようとしない・3

 イソップ童話では、「狼が来たぞー」と嘘をつき続けた少年は、みんなから信用されなくなる。
 だが、今の日本は違う。嘘つき少年に騙されても騙されても、それでもなお信じ続ける人間が多い。騙されたことで腹が立ったり、自己嫌悪に陥ったりしないのか。それとも「騙された」という自覚すらないのか。

http://linkis.com/blog.livedoor.jp/abe/W22Su

>衝撃的事実。日本の皆さんはこの事実をよく知っておくべき。

>日本刑務所の囚人内訳
>32%が 朝鮮韓国人
>21%が 帰化人
>33%が 中国人
>11%が 他外国人
>3%が  日本人


 これがツイッターで流れてきた時には、本当にびっくりした。元のツイートはすでに消されてるんだけど、僕が見た時には、すでに多くのコメントがついていて、信じている人間が大勢いたのだ。
 いやいや、こんなの見た瞬間、怪しいって分かるだろ!?

 2013年の政府の「矯正統計」のデータを見てみる。

http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001120338

 平成25年の刑務所の年末収容人員は62,971人。うち外国人は3,657人(5.8%) 。
 国籍別の内訳は、韓国・朝鮮人が1,210人、中国人852人、ブラジル人274人、イラン人221人、ベトナム人130人、フィリピン人120人。
 つまり韓国・朝鮮人の割合は1.9%。
 ちなみにこれは来日外国人も含めた数字なので、在日外国人に限定すればもう少し少ない。
 データを過去にさかのぼってみた。韓国・朝鮮人の入所者は、平成18年1788人、平成19年1717人、平成20年1590人、平成21年1508人、平成22年1500人、平成23年1459人、平成24年1334人。
 そう、着実に減ってる。

 そもそも「帰化人」とか書いてあるのがおかしい。入所者が帰化した外国人かどうかなんて、法務省のデータには載ってない。誰がどうやって調べたのって話だよ。

 ほんと、明らかに怪しい数字だし、ちょっと調べたらデタラメって分かるんだけどねえ。調べないんだよなあ。
「衝撃的事実」って書いてあったら、事実だと思っちゃうのかなあ?
  
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Posted by 山本弘 at 19:21Comments(4)事件メディアリテラシー

2015年06月02日

彼らは調べようとしない・2

 最近、東日本大震災から4年も経って、さすがに放射能デマは少なくなってきたように思えるが、嫌韓デマや反・反日デマ(「これは反日活動だ!」と騒ぎ立てるデマ)はいっこうに治まる気配がない。
 たとえばこういうのがあった。

神社は燃えるもの
http://togetter.com/li/819442

>この短期間で神社仏閣の全焼ってこんなにあるの!
>マスゴミは何で報道しないんだよ!


 と驚く人たち。そして、当然、「外国人のしわざ」という話になってゆく。

>わかっているのは、こんなバチ当りな事は日本人に出来ないと言うことです。

>日本人にはこんなひどいことを神社仏閣にできません。


 おいおい、あんた、延暦寺とか金閣寺とか知らんの?(笑) つーか、日本人が神社仏閣を破壊した例なんて、歴史上いっぱいあるんだが。明治時代の廃仏毀釈とか。
 日本史を知らないこの人こそ、本当に日本人なのか疑問に思うのだが。
 そもそも「バチ当り」って言うけど、放火という行為自体が神をも恐れぬバチ当たりな行為なのだから、放火犯が神社仏閣を避けると思う方がおかしい。

>小泉純一郎政権→韓国人2006年3月より無期限ビザなし以降、神社仏閣への犯罪が大増加!これは日本へのテロだ!

 本当だろうか? ネットでは去年、すでに調べている人がいた。

毎年神社・寺社は平均毎週2~3社ずつ燃えている
http://d.hatena.ne.jp/next49/20140501/p1


 2006年どころか、2003年からずっと、年平均約130件の神社・寺社の火災が起きていて、増加傾向は認められない。
 ちなみにこの人は2003年までしかさかのぼっていないが、僕がさらに調べたところ、2000年は152件、2001年は144件、2002年は155件だった。
 つまり、ちっとも増えてない。
 統計局ホームページの「宗教団体数,教師数及び信者数」のデータによると、平成24年現在、神道系の神社・寺院は81,131社。仏教系の神社・寺院は75,935社。合計15万7000社というところである。(教会、布教所は含まず)

http://www.stat.go.jp/data/nenkan/23.htm
 
 つまり大雑把に、1200社に1社ぐらいの割合で火災に遭っている。
「増えている!」と主張する人間は、こういうデータを調べようとしない。

 思うにこれは「福島で鼻血が増えている」というのと同じ話ではないだろうか? それまでと発生数は変わらないのに、急にそれが注目を集め、「増えている!」と騒がれているだけなのでは?

 ただ、普通の家に比べ、神社や寺が放火に遭う率が倍ぐらい高いのは事実である。
 たとえば平成24年の例で見ると、106件中46件が放火。年平均47件。

http://www.bousaihaku.com/cgi-bin/hp/index2.cgi?ac1=B310&Page=hpd2_tmp

 なぜ神社や寺は放火の標的にされやすいのか。ここのサイトに分析がある。

寺・神社の犯罪事情
http://www.hanzai.net/temple/

>泥棒や放火犯にとって、最も重要なことは「人目に付かず確実に逃げられること」。
>神社仏閣は下記の通り、犯人にとって「犯行しやすい環境」ベストコンディションであるということをぜひ認識し、少しでも対策することが重要です。

>「観光客、参拝者を装って下見」が可能。誰にでも開放されている場合が多いため、いつでも下見や犯行を行うことができる。
>樹木に囲まれており、道路など外部からの見通しが悪い。
>夜間暗がりがあり、隠れたり犯行を行うのに適している。
>誰にでも開放されているため、たまたま誰かに出くわしても参拝者を装い逃げることが可能。
>大切な仏像や宝物、賽銭などが手に届くところに置いてあり、周囲に人目がない時間帯が多い。
>無住の寺社も多く、異常が発見されにくい。

 まことに筋の通った説明である。
 もうひとつつけ加えるなら、「民家に火をつけるのに比べて罪悪感が少ない」というのもあるのではないだろうか。人のいない寺や神社に火をつけても、民家に比べて焼死者が出る可能性が少なく(それでも毎年何人か亡くなっているのだが)、建造物が燃えるのをただ見てみたいが人は殺したくないという奴には、心理的なハードルが低いのかもれない。
 そしてこの説明は、犯人が外国人でも日本人でも当てはまる。もちろん外国人が犯人の場合もあるが、「神社に放火」と聞いただけで「日本人に出来ない」と言い出すのは、明らかにおかしい。

 ちなみに、ツイッターでこの話を話題にしたら、こんなことを書いてきた奴がいた。

>@hirorin0015 @togetter_jp ひょっとして、最近多いシナ系の帰化人の方ではないでしょうね。日本語の堪能な優秀な工作員も入って来ているそうですが。

「最近」ってあんた(笑)。
 僕が作家であることはプロフィールに書いてあるし、ちょっと検索すりゃあ経歴なんかすぐに出る。たとえば僕が1978年の奇想天外SF新人賞で佳作に入った……なんてデータも出てくるんだが。
 だけど、検索しないんだよなあ、こういう奴は。


 前にも書いたけど、この手の「犯人は外国人」「犯人は在日」とかいう噂のほとんどはデマである。(嘘であることが判明しているか、真実であるという証明がない)

http://hirorin.otaden.jp/e273759.html

 だからこういう話は、まず「デマじゃないか」と疑うのが正しい。
 先日も、「神社に油を撒いていた犯人は在日コリアン」という情報が流れてきたんで、どうせまたデマじゃないかと疑ったら、本当だったんで驚いた。まあ、確率的には、デマみたいなことが実は事実という例もあるわけだけどね。
 でも、案の定、正しかった情報の他にも、無関係の人物・団体を犯人扱いするデマも流れていた……。

http://japanlove.jp/


【6月3日追記】
 最後のデマについて補足説明。
 容疑者が「米国在住で東京都内に拠点があるキリスト教系の宗教団体幹部(52)」「東京都出身で2013年に教団を設立」という報道から、2ちゃんねるで犯人探しが行なわれ、この手がかりに該当する3つの宗教団体の名前が挙がった。
 ところがそのうちのひとつ「日本キリスト教バプテスト会東京教会」の代表者・李起龍氏(42)が、名前が朝鮮名だというだけの理由で、たちまち「犯人」ということにされてしまったのである。
 その後、本物の容疑者は別の団体の金山昌秀という人物(在日韓国人。ただし、すでに帰化して日本人になっている)だと判明するのだが、あきれたことに、それでもデマは収まらない。
 今度は李起龍氏と金山昌秀が同一人物だというデマが流れるのだ!

寺社に油をまいた犯人に関するデマ
http://kyoumoe.hatenablog.com/entry/20150602/1433236126

 東京教会はすぐにデマを否定する声明を発表。

【寺社油まき事件】容疑者と誤解された教会が「一切関係ない」と異例の声明
http://getnews.jp/archives/983149

 はい、年齢も経歴もぜんぜん違いますね(笑)。
 当然のことながら、李起龍氏を犯人扱いして中傷した連中からは、まったく謝罪や反省の声は聞かれない。
  
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Posted by 山本弘 at 19:12Comments(13)事件メディアリテラシー

2015年06月02日

彼らは調べようとしない・1

 もう30年ぐらい前になるが、こんなジョークを考えたことがある。

「熊本民謡『おてもやん』は長崎の原爆投下の予言である」

 ピーチク パーチク ひばりの子
 げんぱく茄子の いがいがどん

「ピーチク」は原爆を投下した爆撃機B29、「パーチク」は原爆が投下された8月9日、「ひばり」とは高空を飛ぶB29であり、その「子」とは、投下される卵型の原爆のこと。「げんぱくなすび」は「原爆為す火」であり、「いがいがどん」は原爆を意味する「ピカドン」である……。
 この話、1992年、東京で開かれたオカルト系イベントの中のパネルディスカッション「サイキック・バトルロイヤル」で喋った。べつにノストラダムスでなくても、その気になれば、予言でも何でもない文章からこじつけで予言を読み取ることは可能だ、という例としてである。聴衆からは「なるほど」「間違いない」という笑いが起きた。
(このディスカッションのことは、後で『サイキック・バトルロイヤル』(鷹書房弓プレス)という本にまとまった)

 その後、故・志水一夫氏から、そのイベントに同席していた超常現象研究家の某氏が、僕の話を聞いて気分を害していたという話を聞かされた。

「〇さん、あの説を真剣に唱えてたんだよ(笑)」

 いやー、誰でも思いつくようなネタだから、誰か先に考えていた人がいるかも……とは思ったが、まさか真剣に信じてる人がいるとは思わなかった。


ネットのデマはなぜ無くならないのか?「8.6秒バズーカー」「翁長知事の娘」から考えるデマと寄生の関係
http://bylines.news.yahoo.co.jp/furuyatsunehira/20150424-00045120/

 この「ラッスンゴレライ」=「落寸号令雷」という話、最初に聞いた時、「民明書房か!?」とツッコんだ(笑)。そして、「いくらなんでもこんなアホなデマを本気にする人間など、そんなに多くないだろう」と思った。
 ところが、本気にして騒ぎ立てる人間が大勢いたのにはあきれた。みんな『男塾』読んでないの? もしかして「ゴルフを発明したのは呉竜府」とか言われたら信じちゃうの?

 さらにあきれたのが、この記事についたコメント。

>根拠のないデマなら、否定する根拠が欲しい。

>諸説ある内の(アナグラム説が有力)1説を否定したからといって完全にデマと断定できないだろ?


 おいおいおい、そりゃ逆だ!
 どうもこういう人の頭の中は、「噂は完全に否定されるまではデマではない」という理屈が支配しているらしい。この理屈がどれほどバカげているかは、それを自分の身に置き換えてみれば分かる。

 仮に、あなたがネットで、「あいつは子供の頃にスーパーで万引きしたことがある」という噂を流されたと想像してみてほしい。その噂を完全に否定するまでは、デマではないことになるのか?
 考えてみれば、あなたがこの噂を否定することはきわめて困難であることが分かるはずだ。「そんなことやってませんよ」と言うだけでは否定したことにならない。やってない証拠を出さなくてはならない。でも、やってない証拠って何?
 そのスーパーの人に証言してもらう? でも、何十年も前の万引き事件の記録なんか残っているだろうか。親に証言してもらう? その証言が正しいとどうやって証明する?

 スマイリー・キクチ氏など、「女子高生を暴行殺害した」というデマを流され、それを打ち消すのに10年を要した。
http://hirorin.otaden.jp/e226018.html

 それを思えば、もしあなたが何かデマを流されても、それを完全に打ち消すのはきわめて困難であり、多大な労力を要することが分かるはずだ。
 8.6秒バズーカ―の場合も同じだ。彼らが反日活動家ではないことをどうやって証明すればいいのだろう? 舞台の上で日の丸を振ってみせる? でも、そんなの「ただの演技だ」と言われたらおしまいだよね。
 つまり「否定する根拠」を要求する連中は、無理難題を言っているのだ。

 デマの怖ろしいところは、言い出す奴や拡散する奴はローコスト(具体的な証拠を提示する必要がない)だが、それを否定する側は大きな労力を要求されることだ。まったくもって不公平である。
 証拠を提示する責任があるのは、「やった」と主張する側だ。立証責任を相手に押しつけてはいけない。
 だから、「噂は完全に否定されるまではデマではない」と考えてはいけない。「噂は事実だと証明されるまではデマ」と考えるのが正しい。
 もちろん、それが最終的にはデマではなかったと分かる場合もある。しかし、ネット上では「デマっぽい話がやっぱりデマだった」という例が圧倒的に多い。怪しい話に接した時は、判断を保留することだ。
「やっぱり事実だった!」と言うのは、確実な証拠が出た後でも遅くはない。

 こんなことを書いている奴もいる。

>ネットではいろんな人間が自分の考えた検証結果を投稿しています。中には私もこじつけだなあと思うものも多いです。しかし、いくつか「偶然」とするには納得行かないものもあります。例えば、ネタ中にセットで出てくる「ウルグアイとアルゼンチン」「サウジとインド」この2国の首都を結ぶと、8.6原爆爆撃機の発進地テニアン島と原爆投下地の広島を通ります。それが更にコンビ名「8.6」とも符牒するなんて出来過ぎです。奇跡のような偶然でこれが起こったと考えるより、意図的に企てたとするほうが遙かに合理的思考だと思いますが…。

 僕は即座に、グーグルアース上で線を引いてみた。
 サウジの首都リヤドとテニアン島を結ぶ線は、インドの首都ニューデリーを通過しない。つまりリヤドとニューデリーを結ぶ線はテニアン島は通過しないのだ。


「ウルグアイとアルゼンチン」の方は……って、これ日本から見てほぼ地球の真裏じゃん!
 そりゃあ地球の真裏からなら、どっちの方向に線引いても、かなりの確率で日本に突き当たるよなあ。
 グーグルアースで見ると、ウルグアイの首都のモンテビデオとアルゼンチンの首都ブエノスアイレスはすごく近い。200kmぐらい。地球の円周は4万kmだから、その200分の1。
 つまり円周70cmのサッカーボールに3.5mmぐらいの線を引く行為である。
 で、モンテビデオから広島に向けて線引いてみたら、やはりブエノスアイレスは通過しなかった。


 つまり、このデマを信じてる人間は、自分で調べてない。
 誰かが「ウルグアイとアルゼンチンの首都を結んだら広島を通る」と言ったのを、検証もせずに鵜呑みにしているのである。
 グーグルアースをインストールしてりゃあ、簡単に調べられるのに、その程度の労力をかけない。そして、デマを信じこみ、誹謗中傷する。

 こういう人間はきっと、他にもいろんな嘘に騙される。
  
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Posted by 山本弘 at 17:59Comments(20)事件メディアリテラシー