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2010年02月09日

ありがとう、そしてさようなら『シンケンジャー』

 戦隊シリーズの脚本が変わってきたのは、やはり90年代からだと思う。
 上原正三、高久進、曽田博久、藤井邦夫といった初期シリーズを支えた脚本家が退き、第二世代の脚本家が台頭してきてから、明らかに脚本のカラーや質が変化してきた。その本格的な幕開けとなったのが、井上敏樹がシリーズ構成を務めた、いろんな意味での問題作『鳥人戦隊ジェットマン』(91年)であることは、どなたも異論はないだろう。
 その後も、浦沢義雄の『激走戦隊カーレンジャー』(96年)、小林靖子の『星獣戦隊ギンガマン』(98年)『未来戦隊タイムレンジャー』(00年)、荒川稔久の『爆竜戦隊アバレンジャー』(03年)『特捜戦隊デカレンジャー』(04年)、前川淳の『魔法戦隊マジレンジャー』(05年)、會川昇の『轟轟戦隊ボウケンジャー』(06年)、横手美智子の『獣拳戦隊ゲキレンジャー』(07年)と、それぞれに特徴のある面白い番組が続いた。アクションだけではなく、キャラクターやお話が楽しいのだ。
 80年代までの戦隊が、番組ごとのカラーの違いが明確ではなかったのに対し、ギャグ路線、恐竜、拳法、忍者、魔法、刑事、冒険といったように、その年ごとのコンセプトの違いをはっきり打ち出すようになったのも、90年代からだ。
 また、戦隊ものに限らず、昔の特撮番組の脚本は、「子供向け番組なんかやりたくないけど、お仕事でしかたなく書いている」といった感の漂う、ぞんざいなものが多かった。それに対し、近年の脚本は、本当にこのジャンルを愛してるなんだなあと感じさせるものが多い。
 その代表が小林靖子さんだろう。

 08年の『ゴーオンジャー』は、最初の数回でがっかりして見放してしまった(だいたい、武上さんの年はハズレが多いのよ(苦笑))。前年の『ゲキレンジャー』が実に面白くて、最後まで気が抜けなかっただけに、落差が大きかったのだ。
 しかし、09年の新シリーズの構成が小林さんだと聞いて、「こりゃ、ちょっと期待していいかも?」と思った。
『シンケンジャー』の第1話を見て、その期待は確信に変わった。

「今年は面白くなる!」

 侍、黒子、筆、馬、矢文、桜吹雪、歌舞伎などなど、徹底して和風テイストを詰めこんだ設定にも感心したが、何といってもキャラクターが美味しすぎる。

 何かもう、「同人誌を作れ」と言わんばかりの!(笑)

 しかも回を重ねるにつれて、じじい萌え、百合百合、美形悪役と、あらゆるサービスが出てくるのである。何かもう、「全方位どこからでも攻めてらっしゃい」と言わんばかりの!(笑)
 もちろん子供向け番組だからそんなことは露骨には言わないんだけど、子供だけじゃなくママさんたち「大きいお友達」にとっても楽しい要素が満載なんである。『ギンガマン』『タイムレンジャー』『龍騎』『電王』と書いてきた小林さんのテクニックの集大成という感がある。
 しかも、決してそうしたキャラクターの魅力にだけ頼ってはいない。個人的シュミに走りながらも、決して本筋を見失わないところがプロである。細部までよく考えられた話なのだ。

 たとえば外道衆は「隙間」から出入りできるけど、三途の川の水が切れると地上で活動できなくなるので、限られた時間しか暴れられないという設定。これは上手い。ヒーローものによくある、「敵キャラがヒーローを追い詰めるけど、なぜかとどめを刺さない」という不条理を、これで説明してしまえるのだ。
 これにより、番組前半でシンケンジャーが外道衆に苦戦→水切れでいったん逃げる外道衆→番組後半で再戦して倒す、という基本フォーマットが成立する。
 その倒し方にしても、毎回、こういう特殊能力を持つ敵にこういう策で対抗する……というコンセプトがはっきりしているのがいい。「なぜか分からないけど倒せてしまった」ということがないのだ。
 だからこそ最後の「力づくだ!」が生きてくるわけなんだけど。(毎回、力づくで勝ってたら、あれは言えない)

 そしてクライマックスの44話~最終話。これがもう「神回」の連続!
 丈瑠が影武者だったと発覚した時には、「ええっ、そんな伏線あったっけ?」と驚いたもんだけど、よくよく思い返してみると――
 ああ、ズボシメシの回の「嘘つき」ってそういう意味か!
 最初の頃、流之介たちが自分を守って傷つくことを丈瑠が嫌がっていたのは、そういう事情があったからか!
 あの回想シーンの父の台詞はそういう意味!?
 ずいぶん前からいろんな伏線張ってたんだなあ。よくぞ外道衆のみならず視聴者まで謀ってくれたわ(笑)。
 その発覚前後の話の流れが、また上手い。

・家臣たちと心を通わせるようになった丈瑠。
  ↓
・しかし、敵である十臓に「(仲間を思いやるようになって)弱くなったな」と言われ、苦悩する。
  ↓
・影武者の任を解かれ、「びっくりするほど何もないな」と落胆。
  ↓
・そこに十臓が現われ、丈瑠に再戦を挑む。守るべきものがなくなった今、逆に全力で戦える丈瑠。
  ↓
・戦いにだけ生きがいを見出す丈瑠。彦馬や仲間たちに「(この一年間は)戦いだけではなかったはず」と説得されるが、耳を貸さない。
  ↓
・最も忠誠心の強い流之介だけは、姫への忠誠と丈瑠への想いの板ばさみになって動けない。その迷いを断ち切ったのがカジキ折神の回に出てきた黒子さん。しかも自分が言われた言葉をそのまま流之介に返す。
  ↓
・駆けつけた竜之介。戦いにとりつかれ、外道に落ちる寸前の丈瑠を、水属性の技で炎を断ち割って救い出す。

 これだけのストーリーの流れを考えたというだけで感服もの。いつもいつも小説のプロットを考えている者の目には、この構成はすごく「美しい」。
 僕は「ストーリーのデッサン力」という言葉をよく使う。人体を描く時に、肉の下にある骨格を把握しなければいけないのと同じで、ストーリーというものもちゃんと骨が通っていないといけないのだ。『シンケンジャー』の骨格は美しいのである。
 とどめは、流之介が初めて「殿」ではなく「丈瑠」と呼ぶシーン。これは思わず感涙した。

 あと、十臓がね、いいキャラクターなんだよね。
 彼の妻の話が出てきた時には、かなり不安だった。十臓は純粋に悪を貫いているところがいいんであってり、死ぬ前に改心されたりしたら、ちょっと嫌だなと思っていた。
 だから彼が誘惑を振り切って(つーか、最初から眼中になくて)アクマロをぶった斬った時には、「それでこそ十臓!」と快哉を叫んだものである。
 最後、彼が丈瑠との決闘の末に敗北し、満足して成仏するものだと、僕は予想していた。しかし、そうはならなかった。結局、勝負の決着がつかないまま、無念を抱いて消えていった。
 なぜか? もし十臓が満足して死んでいったら、彼の生き様を肯定することになるからだ。
「生きることは戦いだけではない」というのが、丈瑠たちが最後に到達したテーマである以上、人生のすべてを戦いにかけた十臓の生き方は否定されねばならなかったのだ。
 小林さんの脚本は、このへんの視点もブレていない。いかに悪役がかっこ良くても、否定すべき点は否定しなくてはいけない(特に子供向け番組では)ということを、ちゃんと心得ている。

 あと、姫様ね。いいわ、この人、演技力は別にして(笑)。
 ラスト近くにいきなり出てきてリーダーの座を持ってっちゃうという前代未聞のキャラクター。これで嫌な女だったら、流之介もあんなに悩まなかったはずなんだけど、使命感に燃える一方で人情も理解しているという、とことんいい人なもんだから、かえって苦悩が深まるという構成。これまた上手い。
 ドウコクの封印に失敗したのも、彼女自身のミスや力不足ではないという設定になっていて、視聴者に非難されないように気を遣って構成しているのがよく分かる。
 最終話直前、僕は「丈瑠が姫様と結婚して婿養子になっちゃえばいいんじゃないの」と冗談で思っていたのだが……まさか、それを上回る裏技があったとは!(笑) テレビの前でひっくり返った。すごいよ、小林さん! 僕らの予想をいい意味で裏切ってくれるよ!

 あと、脚本とは関係ないんだけど、真シンケンレッドのアクションには感心した。明らかに筋力で丈瑠より劣るもんで、動きは最小限。烈火大斬刀を振り回す時に、足で蹴ってはずみをつけているのだ。現場のアイデアなんだろうか。ちょっとした工夫だけど、うまいよね。

 子供向け番組とはいえ、最高のものを作ろうというスタッフの熱意が感じられて、最後まで心地好い番組だった。これまでの戦隊シリーズの中で最高傑作であると断言する。
 1年間楽しませてくれてありがとう、『シンケンジャー』。


 ちなみに後番組『天装戦隊ゴセイジャー』のシリーズ構成は『ゲキレン』の横手美智子さんだそうで、これまた期待できそうだ。

  
タグ :特撮

Posted by 山本弘 at 14:20Comments(0)TrackBack(0)特撮

2010年02月06日

『MM9-invasion-』連載開始

『MM9』の続編『MM9-invasion-』が、東京創元社のサイトの『Webミステリーズ!』で隔月連載開始しました。無料で読めます。

http://www.webmysteries.jp/special/yamamoto1002-1.html

 正直、前作を書き上げた直後は、続編を書く気はまったくなかったんです。あのラストシーンで完璧で、何をつけ加えても蛇足になるだけだろうと。
 ところが、その後で新しいアイデアを思いついちゃったのですよ。

 宇宙からの侵略!

 前作では、あの世界に宇宙人や宇宙怪獣がいるかどうかは曖昧にしてたんですが、「いる」ということにすると、面白くなりそうな設定が次から次に浮かんできたんです。
 何といっても、巨大ヒーローもののお約束である「宇宙人は単独もしくは数人でしか侵略してこない」「宇宙人は巨大化できる」「なぜか怪獣を侵略兵器として使いたがる」といった設定が、多重人間原理による世界観を元にすると、論理的に説明ついちゃうんですね。
 こりゃもう書くしかないよね、と思っちゃったわけです。

 ただ、前作と同じメンバーでやっても、二番煎じになっちゃってつまらない。そこで思いきって、高校生の少年を主人公に据え、気特対のメンバーには脇役に回ってもらうことにしました。
 雰囲気も前作とはかなり変えて、アクション+ラブコメ路線です。スニーカー文庫や電撃文庫から出てもおかしくないぐらいの。
 1回目では、一騎と亜紀子の青春トークの場面で、自分で書きながら恥ずかしさで七転八倒しておりました。2回目ではさらに悶絶もののシーンが続出する予定なんでお楽しみに。

 ひとつだけ困ったのは、登場人物のネーミング。
 お気づきの方も多いでしょうが、『MM9』の主要登場人物名はみんな元ネタがあります。かなり変えてありますけど。
 ただ、前作にワンシーンだけ出てきた一騎だけは、元ネタがない。つーか、あったのかもしれないけど、自分でも忘れちゃった(^^;)。
 しょうがないから、あらためて元ネタは「秀樹」ということに強引に設定しました。だから相手役の女の子の名前が「酒井田亜紀子」なんです。
 分かる人だけ分かってください。

  
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Posted by 山本弘 at 11:18Comments(1)TrackBack(0)PR

2010年02月03日

ASIOSの超常現象ナイトvol.1~超常現象と心霊写真!!

 僕も入っている超常現象懐疑的調査の会ASIOSの、初の公式トークイベントが開催されます。

ASIOSの超常現象ナイトvol.1
~超常現象と心霊写真!!

場所:TOKYO CULTURE CULTURE
日時:2010年2月27日(土)
Open 18:00
Start 19:00
End 21:30 (予定)

前売券\2,500
当日券\3,000
(飲食代別途必要・ビール\590など)

 ゲストに『誰でもカンタン 恐怖!!爆笑!?心霊写真をつくろう! 』の著者、カメラマンの久門易氏をお迎えし、心霊写真をめぐるトークを繰り広げます。実際にあった様々な「心霊写真」のケースを紹介し、原理を解明したり、実際に再現してみる予定。
 他にも超常現象をめぐる話題がいろいろ。

【出演】
本城達也
 (ASIOS会長、『超常現象の謎解き』運営者)
山本弘
 (ASIOS会員、SF作家、と学会会長)

【ゲスト】
久門易
 (カメラマン、『誰でもカンタン 恐怖!!爆笑!?心霊写真をつくろう! 』著者、カメラ遊遊塾


 前売り券の購入など、詳しい案内はこちらから。

  
タグ :心霊写真

Posted by 山本弘 at 10:54Comments(0)TrackBack(0)PR

2010年01月23日

ライトノベルを応援します

 新春早々に買ったのが、有川浩『シアター!』(メディアワークス文庫)。これを読んで考えさせられた。
 小劇団シアターフラッグの主宰をやっている春川巧(脚本の才能はあるけど実務的なスキルは壊滅状態)が300万円の借金を抱えてしまい、劇団は解散の危機に陥る。泣きつかれた兄の司(芝居のことはさっぱり分からないけど実務の才能は天才的)が、300万円を肩代わりし、劇団の再建に乗り出す……というストーリー。
 いつものことながら、有川さんのリーダビリティはすごい。他の作家の小説だと、途中でひっかかったり、退屈に感じたりする部分が必ずあるのだが、この人の小説はすらすら読めてしまう。この『シアター!』も、無駄な部分が徹底的に削ぎ落とされ、最初から最後まで面白い場面、面白いやりとりの連続。テンションが落ちる間がないのだ。ラスト近くにはスリリングな展開もある。まさに一級のエンターテインメント。
 すらすら読めるからと言って、すらすら書けるというものではない。毎度のことながら、登場人物の思惑の交錯が見事である。Aという人物はBから見るとこうで、そのAとBの関係をCから見るとこうで、でもAがこういうことを言うからCはこうせざるを得なくて……といった複数の視点からの描きわけが実に上手いのだ。
 この小説の中に、こんなくだりがある。

 どんなジャンルであっても、客層を広げる可能性を持っているのは玄人好みの商品ではない。素人がカジュアルに楽しめる商品だ。カジュアルな商品こそそのジャンルの間口であって、それを軽んじる業界は廃れる。新規の客を弾くからだ。
 シアターフラッグだけではない。分かりやすいエンターテインメントを目指す劇団はどこもなかなか評価されない。カジュアルなエンタメで万単位の集客を誇る劇団もあるが、そこも未だにメインストリームからは無視されているという。一跳ねしたらもてはやされるという話だが、集客を万に乗せてまだ無視されるなら跳ねたと認めてもらえるラインは一体どこだ。
 プロパーに評価される作品が悪いというわけではない。それは業界で確かに必要なものだろう。しかし、それとは別に新しい客を連れてくる商品を冷遇するような業界は、決して社会のメインストリームにはなれない。分かりやすいものを軽視する風潮には、商業的に成立するために不可欠な一般客への侮蔑がある。
 自分の気に入った商品がバカにされるような業界に一体誰が金を落としたいものか。
 外から見たら苛立つほど転倒している価値観に自分の身内が振り回されているのは、毎度のことながら不愉快だった。

 有川さんは演劇の世界のこととして書いてるけど、これ、明らかに小説業界を念頭に置いてるよね。
 たとえばライトノベル。あれだけたくさん出ていて、シリーズで何百万部も売れているものがあって、傑作もたくさんあるというのに、ライトノベルだというだけで出版業界の中では評価されない。新聞や週刊誌でもめったに紹介されない。毎月、書評欄できちんとライトノベルを取り上げている雑誌は、『SFマガジン』ぐらいのもんじゃないだろうか。
 かわいい女の子のイラストがいっぱいついているのは悪いことなのか。読みやすいのは悪いことなのか。
 否、である。
 読書だって楽しい方がいいに決まってる。読みやすい方がいいに決まってる。
 確かに難解で読みにくい小説も必要だろう。僕もそれを否定する気は毛頭ない。
 だが、いきなりそんなものを読みたがる読者なんていないはずだ。分かりやすくて面白い娯楽作品から入って、小説の魅力に目覚め、その読者の一部がだんだん重厚なものや難解なものに移ってゆくものだろう。有川さんの言う通り、入口の存在を否定してはいかんと思うのだ。

 実は最近、僕が読んでいる小説の大半がラノベである(笑)。だって、面白いんだよ! 若く優れた才能が次々に現われるのを見るのは、実にエキサイティングだ。
 もちろん、スタージョンの法則というやつで、大半はクズなんだろうけど、傑作もたくさんある。特に新人賞に入選した作品となると、何百編というライバルとの競争を勝ち抜いてきたのだから、さすがにハズレがない。こういうものを評価しないというのはおかしい。
 出版業界が無視しようとも、僕はラノベを応援する!
 というわけで、僕が最近読んだ作品の中から、感心した作品をいくつか紹介したい。

・逢空万太『這いよれ!ニャル子さん』
(GA文庫)
 第1回GA文庫大賞 優秀賞


・川岸殴魚『やむなく覚醒!!邪神大沼』
(ガガガ文庫)
 第3回小学館ライトノベル大賞ガガガ文庫部門 審査員特別賞


 どちらも優れたコメディ。若い頃に筒井康隆氏や横田順彌氏のハチャメチャ小説を愛読した者としては、こういう路線にはまったく抵抗がない。と言うか大好き。シリアス展開に逃げずに、ひたすら大バカなギャグの連続で押し切るのがいい。
 僕も『ギャラクシー・トリッパー美葉』とか書いてたから分かるけど、ギャグを貫くって大変なんである。途中でしんどくなって、シリアスに逃げたくなったり、感動的な話にしたくなるのである。だって、泣かせるよりも笑わせる方が数段難しいから。『ジャンプ』のギャグマンガがシリアス路線にシフトしていくことが多いのも、きっとそうなんだろう。(『美葉』も3巻の最後はシリアスになっちゃったし)
 世間では何となく、コミカルなものはシリアスなものよりランクが下、と思われているみたいだけど。そんなことないよ。面白いコメディを書ける人間は才能があると思う。

・川原礫『アクセル・ワールド』
(電撃文庫)
 第15回電撃小説大賞 大賞


 シリアスなゲームバトルもの。現実世界とゲーム空間が地続きになっていて、意識が加速された空間内でのバトルが展開するという設定がわくわくする。「脳のクロック周波数」という説明は、んなアホな、と思いつつも感心した。こういう面白い嘘には喜んで騙されよう!
 もっとも、デブでいじめられっ子の少年がゲーム世界ではヒーローになり、さらには美少女にも惚れられるという願望充足的な設定に、ひっかかる人もいるかもしれない。主人公の片想いでも良かったんじゃないかって気がする。
 同じ作者の『ソードアート・オンライン』はこれから読む。

・橘公司『蒼穹のカルマ』
(富士見ファンタジア文庫)
 第20回ファンタジア長篇小説大賞 準入選


 いい意味で騙された作品。表紙とオビのコピーで、シリアスなバトルものかと思ったら、実はこれまた大バカ!
『スレイヤーズ!』と比較する声があるのはよく分かる。世界平和も正義も眼中になく、姪の学校の参観日に駆けつけるために、強敵を打ち倒し難関をぶち破ってゆくヒロインのパワフルさには脱帽した。

 他にも、紹介したい作品や、まだこれからチェックする作品がいろいろあるんだけど、今のところイチ押しはこれ。

・静月遠火『パララバ-Parallel lovers-』
(電撃文庫)
 第15回電撃小説大賞 金賞


 高校2年の遠野綾は、他校の生徒・村瀬一哉に恋していたが、ある日、一哉は急死してしまう。悲しむ綾の携帯電話に、死んだはずの一哉から電話がかかってくる。彼の世界では、死んだのは綾の方だというのだ……。
 表紙見返しには、こう書いてある。

 二人の行き着く真実とは!? 出会えぬ二人の運命は!? 携帯電話が繋ぐパラレル・ラブストーリー。切なさともどかしさが堪らない。

 これを読んだら、ファンタジー的な設定を用いたラブストーリーかな、と勘違いしそうである。騙されてはいけない。もちろんラブストーリーの要素もあるけど、主眼はそこじゃない。

 これはSFミステリなんである。それもかなり本格的な。

 一哉の世界における綾は、夜道で何者かに刺殺されていた。綾の世界における一哉も、事故死だと思われていたが、やはり誰かに殺されていた疑いが出てくる。殺人犯は同一人物なのか? その動機は?
 綾と一哉は、それぞれの愛する人の仇を討つため、事件を解明しようと決意する。二人は携帯電話で情報を交換し、ふたつのパラレルワールドの齟齬を比較することで、どこで時間が分岐したかを調べ、それを元に真相を探ってゆく……。
 ばらばらに見えた多くの情報が、すべて伏線となって真相へと収束してゆくのは見事。いくつかの謎の真相は途中で見当がつくし、ヒロインが犯人の見え見えの罠にひっかかってピンチに陥るのはちとマヌケだが、その後さらに二転三転してサスペンスが持続するのが面白い。「ああ、あれが伏線か!?」と膝を叩くことも何度か。

 あとがきを読んで納得した。作者は10代の頃に読んだ高畑京一郎『タイム・リープ』に強い影響を受けたのだそうだ。なるほど、設定はぜんぜん違うけど、この雰囲気は確かに『タイム・リープ』だ。一方はタイムスリップ、一方はパラレルワールドという設定を使い、少女の恋をからませたSFミステリだ。
 言うまでもなく、『タイム・リープ』は『時をかける少女』のオマージュ作品である。つまり『時かけ』→『タイム・リープ』→『パララバ』というミームの流れなのだ。
 しかし、『紫色のクオリア』といい、こんな面白いSFが眠ってるんだから、ラノベはやめられない。

  

Posted by 山本弘 at 18:42Comments(8)TrackBack(1)ライトノベル

2010年01月18日

【訃報】柴野拓美氏

 日本SF界の影の功労者と呼ぶべき柴野拓美(小隅黎)氏が、16日、肺炎のために亡くなられた。83歳。
 一昨年、自宅にインタビューにうかがった時には、もう目が悪くなっていたものの、喋り方ははっきりしていて、まだまだお元気のように見えたのだが。記憶もかなり確かで、貴重な逸話をたくさんうかがうことができた。
 この方がどれほど偉大な業績を残したか、昨年出した同人誌『僕らを育てたSFのすごい人 柴野拓美インタビュー』のまえがきから抜粋しよう。


 世の中にはすごい人がいる。
 たとえば手塚治虫や石ノ森章太郎なんていう人は、作品の点数だけ見ても目がくらむ。一生のうちによくぞこれだけの作品を、水準を維持して書き続けられたものだと、ため息が出る。
 SF界でも、たとえば小松左京とか筒井康隆とか星新一とかいった人たちは、膨大な数の作品を書いている。すべてが傑作ではないにしても、高い割合で傑作が含まれていることに驚く。まさに偉大。自分の書いてきた作品数と比べて、「この先、いくらあがいても、この人たちには絶対追いつけない」と、絶望に近い心境にかられる。
 作品以外でも、初期のSF界には偉大な業績を残した人がいる。
 それがこの柴野拓美氏だ。
 柴野氏は1926年、石川県生まれ。1957年、日本初のSF同人誌『宇宙塵』を主宰、その編集に携わった。驚くべきことにこの同人誌、57年5月の創刊号から72年12月の170号まで、途中で何回か抜けはあったものの、15年以上も、ほぼ毎月出ていたのである(現在では柴野氏は退かれ、発行ペースは落ちているものの、1~2年に一度は新しい号が出ている)。
 これだけでも信じられない話である。いったい今、月刊で同人誌を出せる人なんているだろうか?
 掲載作品も優れていた。小松左京、星新一、筒井康隆、平井和正、眉村卓、光瀬龍、豊田有恒、今日泊亜蘭、広瀬正、石原藤夫、半村良、山野浩一、横田順彌、梶尾真治、山田正紀、田中光二、夢枕獏……日本を代表するSF作家の多くが、アマチュア時代あるいは無名時代に、一度は『宇宙塵』に寄稿したことがあるのだ。『宇宙塵』に作品が掲載されたことがきっかけでプロデビューした人も何人もいる。他にも、野田昌宏、長谷邦夫、荒俣宏、辻真先、荒巻義雄、宮武一貴といったのちの有名人も、小説やエッセイや論文を寄稿している。
『宇宙塵』はプロへの登竜門であり、当時の日本のSFファンのサロンだった。柴野氏がいなかったら、『宇宙塵』が無かったら、日本SFの人材は今よりずっと貧しいものになっていただろう。
 柴野氏はまた、「小隅黎」というペンネームで、海外SFの翻訳も手がけている。ラリー・ニーヴン、ハル・クレメント、J・P・ホーガン、アンドレ・ノートン、E・E・スミス……その総数は50冊以上。他にもノンフィクション本の翻訳も何冊もある。
 古いアニメファンなら、「小隅黎」という名前に見覚えがあるのではないだろうか。『科学忍者隊ガッチャマン』『宇宙の騎士テッカマン』などのタツノコアニメで、SF考証を担当していたのも柴野氏なのである。
『エイトマン』の原作者である平井和正氏を『少年マガジン』に紹介したのも柴野氏である。また、筒井康隆、眉村卓、豊田有恒といった『宇宙塵』の作家たちは、『鉄腕アトム』『エイトマン』『スーパージェッター』などのSFアニメの脚本を書いていた。
 日本SF大会をはじめたのも柴野氏である。その中のディーラーズ・ルームでは、日本各地のSF同人サークルがテーブルを並べ、同人誌を売っていた(今も続いている)。
 その日本SF大会を模して開催されたのが、1972年から10回続いた日本漫画大会であり、その日本漫画大会に反発し、そこからディーラーズ・ルームだけを独立させるという発想で生まれたのが、75年から開催されたコミックマーケットである。ちなみに、コミックマーケットの生みの親の一人である故・米澤嘉博氏も、作品こそ発表していないが『宇宙塵』の同人であり、よくSF大会にも参加していた。生前、「コミケはSF大会から生まれた」と発言していたという。
 また日本SF大会では、70年代中頃から、ファンによるコスチュームショーが行われ、参加者がSF映画やアニメやファンタジー作品のコスチュームで会場内を歩き回るのも当たり前になっていた。それが日本におけるコスプレの起源である。
 あなたが今、コミケ会場でこれを読んでおられるのだとしたら、周囲を見回していただきたい。同人誌の即売、コスプレ、テレビアニメ、SF小説……柴野氏がいなかったら、これらはみんな存在しなかったか、まったく違った形になっていたかもしれないのだ。
 僕らが子供の頃に見たアニメやマンガ、若い頃に夢中になって読み漁ったSF小説、そして今も参加しているSF大会やコミケ……その多くに、柴野氏は間接的に関わっていたのだ。僕らが今ここにいるのは、柴野氏のおかげのようなものだ。
 SF界では知らぬ者のいない柴野氏だが、SF界を一歩離れると、知名度は低い。こんなすごい人なのに、世間に知られていないのが歯痒い。それがこの本を作ろうと考えたきっかけである。
 また、日本SFの創成期についても、知らない人が多いのではないかと思われる。特に50年代の空飛ぶ円盤ブームや、その中で生まれたUFO研究団体が『宇宙塵』誕生の母体であることは、広く認識されているとは言いがたい。
 バタフライ効果と言うべきか。もし1947年にケネス・アーノルドが空飛ぶ円盤を目撃しておらず、円盤ブームが起きなかったら、今の日本のSF・マンガ・アニメの状況は、ずいぶん違っていたはずである。
 僕らがなぜ今ここにいるのか。その意味を問い直すためにも、歴史を見直す必要があると思う。

* 文中では「空飛ぶ円盤」と書いたが、アーノルドが見た飛行物体は「円盤」ではなかったので、「UFO」と書いた方が良かったかもしれない。

 なお、『SFのすごい人』の中でも触れたのだが、『神は沈黙せず』に登場する超常現象研究家の大和田老人は、柴野氏をイメージして書いたことを明らかにしておく。大和田と同じく、いつもにこにこと笑顔を絶やさないが、曲がったことが嫌いで、怒ると怖い人だったそうである(僕は怒ったところは見たことはないが)。
 何にせよ、亡くなられる前にインタビューできたことは光栄だと思っている。

  
タグ :SF

Posted by 山本弘 at 15:01Comments(1)TrackBack(0)SF

2010年01月16日

C&Y地球最強姉妹キャンディ2

C&Y地球最強姉妹キャンディ2
夏休みは戦争へ行こう!
角川書店 1900円+税
2010年2月10日発売予定

 史上最高の超天才少女・知絵と、地上最強の冒険少女・夕姫。近未来を舞台に、2人が繰り広げる子供向けのノンストップ・アドベンチャー小説の第2弾。
 前作では怪盗相手の大冒険だったけど、今回はタイトル通り、知絵と夕姫が夏休みを利用して、戦争を続けている東南アジアの国に出かけます。
 橋本晋さんのカバーはこんな感じ。(クリックすると拡大します)



 いつものことながら、橋本さん、いい絵を描いてくださいます。『シュレディンガーのチョコパフェ』とかもそうだったけど、作中に登場するいろんな要素がちりばめられているんですな。
 ミサイルの板野サーカスと、ウサギ、サボテン、カッパ、クラゲ、ウシ、ハト、カニ(画面右上)、フラフープつけたメイドさんたちと黒い潜水艦とタイムボカン風ビークルとピンクの毛虫(画面中央)、ザリガニみたいな小型ロボとピンクの空飛ぶ車(画面上)など、かなり細かいところまでフォローされていて、作者としては感涙ものであります。読み終わった子供が、カバーイラストを見直して、いろんなものを発見する楽しみがありそうですね。
 どんな話かというと……これらが全部出てくる話です。いや、冗談抜きで。
 格闘戦とカーチェイスにはじまって、空中戦、潜水艦戦、ジャングル戦、市街戦、ミサイル、ロボット兵器、空襲、地雷などなど、1冊の中で戦争のあらゆるパターンを網羅しています。出てこないのはゲリラと核兵器ぐらいかな?
 前作ではあまり見せ場のなかった〈メロンジュース〉も、今回はすっかり主役メカ。知絵の「この船がなぜ強襲揚陸艦と呼ばれてるか、その理由を教えてあげるわ」というセリフはお気に入りです。
 もちろん、アクションとギャグだけじゃなく、戦争のシリアスな側面も描いております。お子様にぜひどうぞ。
 あと、前作でも「怪盗カイザー・アラジン」とか「ジョンスン島のゴモラーさま」というネタを入れてたんですが、今回はそれ以上に大量のネタを投入しています。分かる人だけ笑ってください。



 こちらは前作。


  
タグ :SF児童書

Posted by 山本弘 at 17:53Comments(1)TrackBack(0)PR

2010年01月15日

『11月のギムナジウム』『ウは宇宙船のウ』

 娘に読ませたい本を探しているうちに、本棚からこんなのが出てきた。

萩尾望都『11月のギムナジウム』(小学館文庫)

 1976年、僕が20歳の時に買った本。収録されている9本の短編は、1970~71年に発表されたもの。
 僕はもちろん『11人いる!』『スターレッド』『精霊狩り』などのSFものも好きなんだけど、実は一番好きなのがこの短編集なんである。
 普通、短編集というと玉石混淆なものなんだけど、この本はどの作品もみんなレベルが高い。ハズレがないのだ。初めて読んだ当時、驚嘆して、「この人は天才だ!」と確信したもんである。

 たとえば「塔のある家」。古い家の塔に住む3人の妖精が、引っ越してきた少女の人生を見つめ続ける話。少女が成長し、幼なじみとの別れ、両親との死別、失恋などを経験し、最後に結婚して子供ができるまでを描ききる。
 たった32ページで!
 濃い。濃すぎる。何で32ページで長編なみのドラマが詰めこまれてんの?

「小夜の縫うゆかた」もいい。こっちは日本の平凡な中学生の少女が主人公。彼女が浴衣を縫いながら、過去のことをあれこれ回想するという内容なんだけど、その日常感覚がリアルで素晴らしい。たった16ページの中に、印象的なエピソードがいくつも詰めこまれていて、その上手さにため息が出る。
 特にストーリーは無いんだけど、これからヒロインやお兄さんやその友人たちがどんな話を繰り広げるのだろうかと想像すると、ここから過去と未来に向かってドラマが広がってゆくのを感じる。
 あと、些細な日常のしぐさを描くのが上手いんだよね。お母さんが「なんの、ほかにぜいたくしとるわけじゃなし」と言いながら布を巻く手つきがほれぼれする。

「雪の子」はエミールというキャラクターが印象的。
 どう印象的かを書くとネタバレになっちゃうんで書けないんだけど、自分の数奇な境遇を明かした後で、「そのことに少しの不満も持ってない」「これっぽっちもきゅうくつな想いなどしなかった」と言い切る姿にしびれた。
 運命と戦うキャラクターもいいけど、ここまで冷静に自分の運命を受け入れているキャラクターも、かえってかっこよく感じられる。

 いちばん衝撃的だったのが「かわいそうなママ」。
 母を亡くしたばかりの少年が、来客に母の思い出を語るという話なんだけど、無邪気な語り口からだんだん背景が見えてくる。ついに少年の口から真相が(さらりと)語られた瞬間、強烈なショックを覚えたもんである。
 十数年ぶりに読み返してみたけど、やっぱりすごい。よくぞこんなインモラルな話を、ここまで美しく描けたもんだ。まぎれもなく大傑作。
 こういう話を21~22才の頃に描いてたんだよねえ。やっぱりとてつもない天才だわ。

 ちなみに表題作は、僕はてっきり『トーマの心臓』の原型で、これを元にふくらませたんだと思ってたんだが、Wikipediaによれば、『トーマの心臓』の方を先に考えてたんだそうだ。へー、知らなかったよ。

 ちなみに、現在出ている95年版の『11月のギムナジウム』は、76年版とずいぶんラインナップが違い、「雪の子」も「小夜の縫うゆかた」も収録されていないらしい。ご注意。

(「小夜の縫うゆかた」は2008年に出た『萩尾望都パーフェクトコレクションセレクション』9巻に収録されているらしい)

 同時に発掘したのが、『ウは宇宙船のウ』(集英社漫画文庫・1978)。レイ・ブラッドベリの短編小説をマンガ化した作品集。
 これも30年以上前になるんだなあ。当時、連載されていた『週刊マーガレット』を立ち読みしていて、毎回、舌を巻いていたもんでありますよ。
 それにしてもこの頃のマンガって、新作がいきなり文庫サイズで出てたよねえ。何で普通のサイズで出さなかったんだろ。

 僕が感心したのは「ぼくの地下室においで」。日常生活に忍び寄る宇宙からの侵略を描いた話。原作を読んだ時はぜんぜんこわくなかったんだが、萩尾さんの手にかかると、一級のホラーに生まれ変わっていて驚いた。
 特にラスト1ページの「さあ……」というコマのこわいこと。これはマンガでしか使えないテクニックだよなあ。

 せつない怪獣もの「霧笛」、ラストで“死”の意味が反転する「びっくり箱」、悲しくも奇妙な結末が印象的な「宇宙船乗組員」など、どれも忘れがたいんだけど、いちばん好きなのは「みずうみ」。

「みずうみ……みずうみ……タリーを返せ」

 これはおそらく究極のロリコン小説だろう。だって「永遠に歳を取らない12歳の美少女に比べたら、現実の大人の女なんかどうでもいい」という話だもんね。
 しかもこのマンガ版では、萩尾さんの描くタリーの美しいこと! 少女マンガに登場した最強の美少女(誰も勝てない、という意味で)であると断言する。

 ちなみに97年に小学館文庫から再刊されていて、入手可能らしい。未読の方はぜひ。


  

Posted by 山本弘 at 18:04Comments(5)TrackBack(0)マンガ

2010年01月15日

『みつぎ・ふりーだむ!』冬コミ編

 今さらながら冬コミの話。
 普通に語っても面白くないので、『みづき・ふりーだむ!』の番外編として書くことにしました。一部、脚色や創作が混じっていることをご了承ください。


【冬休みの予定】

 クラブの部室にて。
先輩A「ねえ、みんな冬休みはどうするの?」

先輩B「俺は大学受験で忙しいなあ」
先輩C「私はスキーに行くよ」
先輩A「みづきちゃんは?」

みづき「パパといっしょに冬コミに行く予定です」
 全員の顔色が、さっと変わる。

先輩A「お願い! ヘタリアの本買ってきて!」
先輩B「俺は東方!」
先輩C「あたしはうみねこ!」
みづき「ええーっ!?」

【干草の山から】

 家で。
ひろし「何~っ!? ヘタリアとうみねこと東方の同人誌を買ってくるって約束した~!?」
みづき「あかんかった?」

 ひろし、コミケカタログを広げる。
ひろし「見ろ! 東方だけで何百ブースあると思てんねん!」
みづき「わっ、すごい!」

ひろし「数が多いだけやない。もっと大きな問題がある」
みづき「というと?」

ひろし「この中から、どうやって18禁やない本を探し出すかや……」
みづき「ああ……」

【目のつけどころ】

 家でカタログチェックをするひろしとみづき。みづきが読み上げるチェック箇所を、ひろしがカタログと見比べながらマップに記入してゆく。
みづき「みの21b」
ひろし「ええっと、みの21b……」

ひろし「って、『ニャル子さん』?」
みづき「うん。あれ面白かったし」

みづき「次はみの31a」
ひろし「31aっと……」

ひろし「『俺の妹』!?」
みづき「うん、面白かったし」

【羨ましい】

みづき「パパもママも、『同人誌なんかにお金使って』って、言わへんよね?」
まなみ「そらもう」

まなみ「あんたはぜいたくなこと何も言わへんやん。『服が欲しい』とか『旅行に行きたい』とか。
 お年玉だって毎年、そっくり残ってるやろ?」

まなみ「お金は好きなことに使うのが一番や。ええ使い道ができたやないの」
みづき「そうかー」

パパ「(しみじみと)……おまえはほんまにええ家に生まれたよな」
みづき「そう?」

【読書感想文】

ナレーション「冬休みの宿題のひとつは、海外作家の本を読んで感想文を書くことです」
 ゼナ・ヘンダースンの『ページをめくれば』を読むみづき。

みづき「ようやく終わったー。でも、もう1本書かなあかんねん」
ひろし「えっ、読書感想文、2本も書くの?」

みづき「1本は課題やけど、もう1冊、日本の作家が書いた本で、どうしてもみんなに紹介したいやつがあるから、感想文書くねん」
ひろし「へえ? 偉いなあ。どんな本」

みづき「『バカテス』」
ひろし「……どうしてもそれで感想文書きたいんやな?」

【なじみの駅】

ナレーション「12月29日、東京に到着。ビッグサイトに向かいます」
 ゆりかもめの新橋駅に来たひろしとみづき。みづきは「汐留」という表示に興奮している。
みづき「汐留やー、汐留さんやー♪」

 ゆりかもめ車内。
アナウンス「次は汐留~」
みづき「うわー、汐留さーん」
ひろし「あのー」

ひろし「実は今日、泊まるホテルも汐留なんやけど……」
みづき「ほんま!?」

みづき「(目を輝かせて)パパ、ありがとー!」
ひろし「いや、汐留でそんなに感謝されても……」

【他人の目】

 ビッグサイト入り口。
 人ごみの中を歩くみづきとひろし。みづきは荷物の入った4輪のバッグを押している。
ひろし「重くないか?」
みづき「(楽しそうに)へーき。押すの好きやから」

ひろし「無理すんなよ。しんどくなったらいつでも代わるぞ」
みづき「へーき」

ひろし「本当にパパが代わろうか?」
みづき「へーき」

ひろし「いや、お前にバッグを押させてると、パパが子供を虐待してるように見えるんやけど……」
みづき「へーき」

【軍資金】

テロップ「コミケ会場。『ヘタリア』スペースにて」
みづき「これとこれください」

 別のブース。
みづき「これとこれとこれください」

みづき「これとこれと……」
ひろし「おい」

ひろし「まだサークル3つめやのに、そのペースで金は足りるんか?」
みづき「はっ! もっとたくさん持って来るんやった!」

【セーブポイント】

 コミケ会場を歩く二人。
みづき「はあ~、さすがに足が疲れてきた~」
ひろし「ちょっと休憩しよう」

 喫茶店でジュースを飲みながら、買った同人誌を読む2人。

 同人誌を読む2人。

 店を出て歩き出す2人。
ひろし「どうや?」
みづき「うん、萌えでかなり回復した!」

【顰蹙】

 ホテルに帰るタクシーの車内。
運転手「お客さん、今日はコミケ?」
ひろし「はい」
みづき「はい」

運転手「よく前の晩からビッグサイトのまわりにたむろしてる連中がいるよね」
ひろし「(苦笑して)ああ、徹夜組はいくら言ってもなくなりませんね」

運転手「今朝も駐車場のところにゴキブリみたいにうじゃうじゃうごめいててさ」
ひろし「はあ」

運転手「石投げてやろうかと思ったけどね」
ひろし「ははは」

【世間の印象】

運転手「晴海でやってた頃は、近くの公園にああいう連中が泊まりこんでてさ」
ひろし「ああ、らしいですね」

運転手「夜中にあのへんを通りかかったら……」

運転手「茂みの中から、むさ苦しい格好した男がぬうっと出てきて」

運転手「車ではね飛ばしてやろうかと思ったけどね」
ひろし「はははは(と、ひきつった笑い)」

【一家言】

みづき「でも、そういうルールを破る人たちって、自分たちの行動がコミケの存続を危うくしてるって気がついてないんですかねえ」

みづき「真夜中に大勢で騒いだら、周辺の住民が不安に思うに決まってますよ。何かトラブルが起きたら、コミケが中止になるかもしれないんですよ」

みづき「本が欲しいのは分かるけど、コミケがなくなったら困るのは自分らやのに……それがどうして分からないんですかねえ」

みづき「コミケはお祭りである以前に表現の場であって……」
ひろし(こいつ、いつの間にこんな立派なことを言うように!?)

【想像を上回る】

テロップ「コミケ2日目」
 ぎっしりの群衆の中のみづきとひろし。
スタッフ「ここからは東6ホールに入れませーん。東5にお回りくださーい」

 東5ホール内。やはり大変な人。
スタッフ「東5から東6には抜けられませーん。いったん外にお回りくださーい」

 疲労の色を見せているひろし。
ひろし「いやー、覚悟はしてたつもりやったけど……」

ひろし「東方を甘く見てたな」
みづき「ほんまや」

【空耳アワー】

アナウンス「準備会からのお知らせです」

アナウンス「会場内の通路では立ち止まらないように……」
みづき「あ、あれ、『準備会からのお知らせ』って言うてたんやな」

ひろし「何やと思てたんや?」
みづき「『12階からのお知らせ』やと……」

みづき「てっきり12階に本部があるんやと思ってた」
ひろし「……『言いまつがい』に投稿していい?」

【トラップ】

 通路の自販機の前で立ち止まる2人。
みづき「へえ、自販機でストロベリーフローズンなんか売ってる」
ひろし「パパはラムネのフローズンがいいな」

 通路にしゃがみこんでいるひろし。それを女性スタッフが注意する。
スタッフ「ここは通路です。座りこまないでくださーい」

スタッフ「立って移動してください」
ひろし「(蒼い顔で)ご……ごめんなさい……」

ひろし「かき氷食べたら頭痛がして……」
みづき「ほんまなんです」
スタッフ「それは……」

【提案】

ナレーション「2日目の夜、汐留のホテルで」
 ホテルの部屋で、買ってきた同人誌に読みふけるひろしとみづき。

 読みふけるひろしとみづき。

ひろし「……なあ」

ひろし「大江戸線、乗りに行かへんか?」
みづき「行く!!」

【あこがれのツーショット】

 汐留駅の改札前で、ひろしに記念写真を撮ってもらうみづき。

みづき「うわー、汐留さーん! あこがれの汐留さんやー」
 地下鉄の改札の前ではしゃぎ回るみづき。

みづき「汐留さーん! 汐留さーん!」
 地下道をスキップしまくるみづき。

 ぜいぜいと息をしているみづき。
みづき「あ、あかん……コミケよりも体力使うわ、これ」
ひろし「エキサイトしすぎや、お前」

【大江戸線めぐり】

 都庁前駅のホーム。御影石に刻まれたように見える「都庁前」のプレートの前に立つひろしとみづき。
ひろし「へー、駅によって個性があるなあ」
みづき「都庁前さんの文字、えらい豪華や」

 六本木駅のホーム。黒い柱に金のプレートで「六本木」という表示。
みづき「六本木さんもリッチな雰囲気やね」

ひろし「でも、この黒地に金のライン、何かに似てるような……あっ」

ひろし「霊柩車か仏壇?」
みづき「それ言うたら、都庁前さんなんか墓石やで」

【計算問題】

ナレーション「3日目はパパのブースで売り子をしました」
 ブースに並んで座っているみづきとひろし。

客「これとこれとこれ、お願いします」
みづき「はい、600円と600円と700円ですね」

みづき「(あせって)ええっと、600×2で1200で、それに700円足して……えーと、えーと……」

みづき「1900円だと思います!」
ひろし「思いますって何やねん」

【発展問題】

ひろし「こういう場合は、600+700×2のセットで2000円やと覚えておけばいい」
みづき「おお、なるほど!」

客「この4冊、お願いします」
みづき「はい。600円が2冊と700円が2冊で、セット+600円だから……」

みづき「(さわやかな笑顔で)2600円になります!」

客「1万円でお釣りを」
 と、万札を差し出す。
みづき「(パニックに陥って)ええーっ!? 1万ひく2600って、8000、いや7000……」
ひろし「はい、7400円のお返しになります」

【スマイル0円】

みづき「はい、800円のお返しになります」

みづき「午後もがんばって回ってくださいね♪」
 と、笑顔で客を送り出す。

 …………

ひろし「あんな言い方、どこで覚えたん?」
みづき「ん? まんレポ」

【ごひいき】

テロップ「大晦日の午後8時半に帰宅。ママが録画しておいてくれた紅白歌合戦の前半部を3人で見ました」
 ミカンを食べながらテレビを見ている3人。

 テレビを見ている3人。

まなみ「へえ……」

まなみ「この人、上手いなあ」
みづき「うん、上手い」
ひろし「(力をこめて)やろ!? 水樹奈々サイコーやろ!?」

【バックダンサー】

 電話に出ているまなみ。
まなみ「えっ、ほんま!?」

まなみ「同じダンス教室やった××ちゃん、EXILEのバックで踊ってるって!」
みづき「えーっ!」

 テレビをかぶりつくようにして見るまなみとみづき。
みづき「どれ!? どの子!?」
まなみ「この子とちゃう!?」
みづき「よく見えへん! もっとアップにして!」
まなみ「バックダンサーも写せ、NHK!」

みづき「邪魔ー! EXILE邪魔ー!」
まなみ「どけー、EXILE!」
ひろし「邪魔って……」

  

Posted by 山本弘 at 17:16Comments(2)TrackBack(0)コミケ

2009年12月14日

冬コミの新刊

 いつもは冬コミには参加しないんだけど、今年は夏コミに味をしめた娘が「行きたい!」とねだるもんで、サークル参加します。

 31日(木)西1ホール
 よ-26a
 心はいつも15才

 お断りしておきます。今回も『チャリス』は出ません。娘も店番をするのですが、さすがに13歳の娘に18禁本売らせるわけにはいかないので、あと5年間はうちのサークルで18禁本は出せません(泣)。
『チャリス』については、今後は他のサークルに委託するか、通販にすることを検討しています。とりあえず来年前半には出したいです。
 今回の新刊はこの2冊。

●『MADなボクたち 2009Winter』

 夏に出した冊子の大幅増補改訂版。ニコ動・YouTubeの傑作MADを紹介する本。夏以後に出た『咲-Saki-』『化物語』『けいおん!』『とある科学の超電磁砲』などのMADも追加。MMD、人力ボーカロイド、アイマスの紙芝居動画なども取り上げます。
 メインの特集は「この作者に注目!」。執筆陣がお気に入りのMAD作者を応援します。

●『生徒会の百式』

『生徒会の一存』シリーズのパロディ小説。全3話を収録。

・第1話「全裸になる生徒会」
 アニメ版のDVD特典に何をつけるかという会議が、杉崎や知弦の暴走で、どんどん危険な方向に……。

・第2話「SFする生徒会」
 急にSFに目覚めたくりむ。どうすれば碧陽学園がSFになるかを話し合うが、例によってひどい案しか出てこなくて……。

・第3話「同人する生徒会」
 冬コミで同人誌を出すことになった生徒会。パロディネタを話し合ううち、杉崎と真冬の変態妄想合戦に発展! 勝者はどっちだ?

 以下は内容の一部です。


「ふうん? その昔、『ダ○ヤモンド・アイ』のLDに付いていたという《ばれたかチャプター》みたいなものかしら」
「知弦さん、何でそんな変なこと知ってんですか」
「キーくんのおすすめというと、具体的にはどんなシーン?」
「たとえば、一話の知弦さんの水着シーンとか、深夏のウェディングドレスとか、二話の会長のひとりエッチのシーンとか、三話のリリシアさんのパンチラとか……」
「待ちなさい!」会長が立ち上がった。「今、明らかに実際に存在しなかったシーンが混じってたわよねえ!?」
「あれ? 俺の脳内では……」
「あんたの脳内は改竄されまくりよ!」
「じゃあ、DVDで特典映像として追加しましょう」
「しなくていいよ!」
「だってこういうDVDには特典映像がつきものですよ。いいじゃないですか、〈桜野くりむの乗馬マシン〉」
「ニ○動にアップされたら〈公式が病気シリーズ〉タグ貼られるよねえ!?」
  ――「全裸になる生徒会」より


「じゃあ、お前はどうなんだ、深夏。この学園がどうすればSFになるか、案はあるのか?」
「ん? タイムスリップなんていいんじゃね?」
「ほう、お前にしてはまともな発想……」

「この学園ごと遠い未来に飛ばされるんだ! そこは文明滅亡後の荒廃した世界! 生徒たちは巨大な怪虫やクモのような未来人類に襲われ、一人また一人と……」

「うわー、やめてー! そんなギョエーな世界はいやー!」
「だったら過去にしよ。あたしら生徒全員、太平洋戦争中に飛ばされるんだ。でもって歴史を変えて、日本を勝利に導くんだよ」
「ふむ、架空戦記か。でも、ああいうのって普通、現代の兵器を過去に持ち込んだり、未来の知識で新兵器とか開発したりするんじゃないのか? 俺たちにそんな知識なんてないだろ」
「何言ってんだ! 武器なんかに頼るな! 頼るのはおのれの肉体のみ!」
「徒手空拳!?」
「あたしが肉体を鍛えてるのも、そういう事態に備えてのこと!」
「タイムスリップに備えてんのかよ!? だいたい物量を誇るアメリカ相手に、素手じゃ勝てねーよ!」
「根性があれば乗り切れる!」
「その思想で日本は負けたんですが!」
「あたしだけじゃないぞ。碧陽学園生徒全員、前線に送られる!」
「学徒出陣!?」
「インパールへ! ガダルカナルへ! アッツ島へ!」
「生還率低そ~っ!」
   ――「SFする生徒会」より


〈例によって遅刻気味に、俺が校舎の階段を駆け上がっていると、丁度踊り場のところで、空から女の子が降ってきた。
 それが、桜野ヶ原くりむだった。
 それも正確に言うなら、別に空から降ってきたわけではなく、階段を踏み外した桜野ヶ原が後ろ向きに倒れてきただけのことだったのだが――避けることもできたのだろうけど、俺は、咄嗟に、桜野ヶ原の身体を受け止めた。
 避けるよりは正しい判断だっただろう。
 いや、間違っていたのかもしれない。
 何故なら。
 咄嗟に受け止めた桜野ヶ原の胸が、とても――とてつもなく、薄かったからだ。洒落にならないくらい、不思議なくらい、不気味なくらい――薄かったからだ。
 存在しないかのように。
 そう。
 桜野ヶ原には、およそ胸と呼べるようなものが、全くと言っていいほど、なかったのである。〉

「私、そこまでペチャパイじゃないもん!」会長が抗議する。「最低限のふくらみはあるよ!」
「いや、だからパロディですって」と俺。「蟹に根こそぎバストと身長を持って行かれたんですよ」
   ――「同人する生徒会」より

 あくまで二次創作ですので、会長が絵本以外の本を読んでたり、真冬ちゃんが原作以上に壊れてたり、いろいろ違っているところはありますが、スルーしてください。
 なお、18禁ではありませんが、原作よりエロネタやや多めです。
 

  

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2009年12月07日

今月発表の短編2本

 先の『NOVA』の他にも、今月は僕の短編が2本、雑誌に載ります。

●「名被害者・一条(仮名)の事件簿 第1話
  麗子さん(仮名)と血染めのノコギリ」

『メフィスト2009 VOL.3』
 講談社・12月7日発売

 新シリーズ。なぜかしゅっちゅう殺人犯のターゲットにされる、名探偵ならぬ「名被害者」という属性を持つ女子高生・一条(仮名)。毎回、彼女と犯人との息詰まらないやりとりが展開するというコメディ。

 ご注意! この作品はミステリではありません。謎の論理的な解明を期待しないでください。

●「地球から来た男」

『SFマガジン 2010年2月号』
 早川書房・12月25日発売予定

『地球移動作戦』の35年後の世界が舞台。太陽系外に向かう小惑星船に密航した青年の正体は?

 自分で言うのもなんですが、ちょっとした「問題作」です。ネタバレになるので詳しくは書けませんが、クラークのあまり有名ではない短編がヒントになっているとだけ言っておきます。
 ちなみにこの号は「創刊50周年記念特大号 PART・2 日本SF篇」で、日本作家21人による書き下ろし作品が並びます。こんな大きな節目となる号に書けたのは、まことに光栄です。 

  
タグ :SF

Posted by 山本弘 at 17:03Comments(7)TrackBack(0)PR

2009年12月07日

書き下ろし日本SFコレクション『NOVA 1』

 現在発売中です。


 大森望責任編集
 書き下ろし日本SFコレクション
『NOVA 1』
 河出文庫・950円+税

 最強の〈書評家/翻訳家/SF家〉が満を持して放つ、単独責任編集オリジナル日本SFアンソロジー。第1弾は10人の完全新作による饗宴+故伊藤計劃の絶筆特別収録。

●北野勇作「社員たち」
  得意先から帰ってきたら、会社が地中深くに沈んでいた
●小林泰三「忘却の侵略」
  「冷静に観察すればわかることだ。姿なき侵略者の攻撃は始まっている」
●藤田雅矢「エンゼルフレンチ」
  ひとり深宇宙に旅立ったあなたと、もっとミスドでおしゃべりしてたくて
●山本弘「七歩跳んだ男」
  その男は死んでいた。初の月面殺人事件か? 本格SF的と学会的本格ミステリ開幕
●田中啓文「ガラスの地球を救え!」
  ……なにもかも、みな懐かしい……SFを愛する者たちすべての魂に捧ぐ
●田中哲弥「隣人」
  家庭を襲い胃を満たし脳に染み入るこの臭い……恐ろしい非常識が越してきた
●斉藤直子「ゴルコンダ」
  先輩の奥さん、めちゃめちゃ美人さんだし、こんな状況なら憧れの花びら大回転ですよ
●牧野修「黎明コンビニ血祭り実話SP」
  戦え! 対既知外生命体殲滅部隊ジューシーフルーツ!!
●円城塔「Beaver Weaver」
  海狸(ビーバー)の紡ぎ出す無限の宇宙のあの過去と、いつかまた必ず出会う
●飛浩隆「自生の夢」
  七十三人を死に追いやった稀代の殺人者が、かの怪物を滅ぼすために、いま、召還される。
●伊藤計劃「屍者の帝国」
  わたしの名はジョン・H・ワトソン。軍医兼フランケンシュタイン技術者の卵だ。――圧巻の絶筆、特別収録

――河出書房新社のサイトより


 故・伊藤計劃氏の作品以外、すべてこのアンソロジーのために書き下ろされた新作。ご覧の通り、内容はバラエティに富んでいて、いずれもその作家の持ち味があふれている作品ばかりです。
 僕の「七歩跳んだ男」は、月面基地で起きた怪死事件の謎を追うSFミステリです。他の方々に負けまいと、あえて直球ど真ん中のサイエンス・フィクションで勝負しました。

  
タグ :SF

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2009年12月02日

今さらながら『3A07』がすごいという話

 他のところでも取り上げたけど、ここでも書いてしまおう。
 今、ニコ動で人気爆発中のこの動画。

【アイドルマスター】3A07 ~Memories are here~

 初回は必ずコメントを消して見ていただきたい。ネタバレしているうえに、アンチがうざいから。

 僕が初めて見た時の感想は、「愕然」「呆然」そして「感動」。
 ニコ動の、特にアイマスMADの人たちの技術力のすごさは前から知っていたが、それでもさすがに自分の目が信じられなかった。
 このクオリティで21分!
 こんだけのものをたった3人で作ってしまったって!?

 話そのものも良くできている。ありがちな設定ではあるものの、クライマックスのコンサートのシーンに収束してゆく構成が見事。仕掛けを知ったうえで最初から見直すと、いろんな伏線が張ってあって感心する。
 演出も凝りまくっている。小鳥さんがお尻でドア閉めるとことか、亜美・真美がDVDを見るとことか、ちょっとした動作までいいんだよねえ。
 セバスチャンPの作品は、2年前に「高いところから降りられない雪歩」を初めて見た時に驚愕したものだったが(今見直しても、「ニコマスのオーパーツ」と言えるほどすごい技術だ)、2年でここまで登ってきちゃったんだねえ。

 これはまぎれもなくニコ動のひとつの到達点だろう。アイマスMADというもの自体、生まれてまだ3年にもならないのに、ここまで進化したのかと思うと、驚きと感動を隠せない。
 僕が『地球移動作戦』で描いた、映画がみんな個人製作になって、大手映画会社が消滅している未来も、そんなに遠いことではないのかもしれない。
 これは金を取って見せられるレベルの作品だ。と言うか……。


 金、払わせろ!


 こんなのタダで見せてもらえるなんて、申し訳なさすぎる!

  

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2009年11月29日

『超ミステリーの嘘99』

 東京怪奇現象研究会編『超ミステリーの嘘99』(双葉社)という本が出ている。
 巻末の主要参考文献には、僕も書いているASIOS『謎解き超常現象』(彩図社)が挙げられている。実際、多くの項目が『謎解き超常現象』を参考にして書かれているようだ。
 まあ、引用されるのはいっこうにかまわない、と言うか大歓迎なんだけど……。
 明らかにこの著者たち、題材に興味を持っていない。UFOや超常現象が好きな人間なら絶対に犯さないはずのミスを何箇所も犯しているのだ。
 たとえば、【03 ロズウェル事件狂想曲の真相① 発生から40年間も事件は忘れ去られていた!!】には、こんな記述がある。
(前略)事件発生から実に40年もの間、何故かロズウェルは人々から忘れられることとなるのだ。これは不自然だろう。
 ところが突如としてロズウェル事件は発掘される。1984年のことだ。ロサンゼルスのTV番組プロデューサーであるジェィミー・シャンドラの元に匿名の手紙とフィルムが届く。手紙には「MJ12に関する概要説明書」(P24参照)という書類が添付されており、ロズウェル事件を“秘密裏に処理した”というMJ12委員会(マジェスティック12)という謎の謀略機関の存在とその構成メンバーが詳細に記されていた。

 おいおい、ロズウェル事件発掘のきっかけがMJ-12文書って(笑)。順番がまるで逆だろ。
 ウィリアム・ムーアとスタントン・フリードマンが1978年からロズウェル事件の再調査を開始し、さらに1980年、チャールズ・バーリッツとムーアの共著の『The Roswell Incident』(邦訳『ニューメキシコに墜ちた宇宙船』〔徳間書店・1981〕が出て、ロズウェル事件が一気に有名になった……なんてことは、UFOマニアなら常識なんだけど。
 だいたいなんで「40年」なんだ? 1947年から84年じゃ、37年だろう。
【63 FBIに「超能力捜査官」など存在しない!! 米ソ超能力研究は「成果なし」で終了していた!!】

 ここは明らかに『謎解き超常現象』の僕の担当した文章を参考にしている。しかし、トンデモないことが書いてあった。
「FBI超能力捜査官」という肩書きも、マクモニーグルが勝手に名乗っているだけだ。アメリカ大使館占拠事件を解決したのは彼ではなく特殊部隊デルタフォースだし、田村裕の父親の居場所が見つかったというストーリーもスタッフのヤラセだという。

 デルタフォースはアメリカ大使館占拠事件を解決してません!(笑)
 僕が『謎解き超常現象』に書いた文章はこう。
 イランのアメリカ大使館占拠事件では、アメリカは特殊部隊デルタ・フォースを送りこんで人質を救出しようとしたが、作戦は途中で中止された。しかも撤退の際にヘリコプターが輸送機と衝突、8人の死者が出る惨事になった。結局、人質は事件発生から444日も経って、イラン政府によって解放された。

 こんなひどい誤読をするとは、よほど急いで書いたんだろうか。
 それに「FBI超能力捜査官」と名づけたのは日本テレビのスタッフであって、マクモニーグルじゃないんだけど。(まあマクモニーグルがそれを黙認しているのは確かだが)
 これも僕は、
(前略)「FBI超能力捜査官」というのは、日本テレビのスタッフがつけた呼称にすぎないのだ。

 と、ちゃんと書いているのだが。
【76 太陽系が「フォトン・ベルト」に包まれるという人類滅亡説は似非科学だった】

「フォトン」とは、陽子と電子が衝突する際に生まれる素粒子だ。(後略)

 フォトン・ベルト本にはよく、フォトンは「電子と陽電子が衝突した際に生まれる」と書かれている。この説明自体は間違いではない。このライターは陽電子という言葉を知らず、「陽子」の誤植と思ったのだろうか?
(前略)フォトンといってもただの「光」だ。フォトンが危険だというならば、電磁波もX線も赤外線も電波も、目に見えなければすべてが危ないように思えてしまう。

 X線も赤外線も電波も電磁波の一種なんですけど(笑)。「目に見えなければすべてが危ない」というのも、何が言いたいのかよく分からない。
 これも僕はこう書いている。
 そもそも、フォトンというのはただの「光」である。厳密に言えば、光を含めた電磁波である。太陽から発する可視光線や赤外線や紫外線、人体から発する赤外線、テレビやラジオや携帯電話の電波、レントゲン撮影で用いられるX線……これらはすべてフォトンなのである。

 科学をぜんぜん知らないライターが、僕の文章をものすごく不正確に要約したのが分かる。
 繰り返すけど、引用するなら正しくやっていただきたい。
 
 他にも、「いくらなんでもそれはない」という記述がいろいろ。
【44 世界中で目撃される怪鳥ビッグバードだが…古代の翼竜は飛べなかった説が有力だった!】

 ちっとも「有力」じゃありませんって(笑)
 東京大学の佐藤克文氏が唱えた説のことだろうが、そもそもこの人の専門は海洋生物学で、古生物学は専門外なんである。
 ちなみにその主張は、「体重40キロ以上の鳥は、風速ゼロの環境下では離陸するのに十分なだけの羽ばたきができない」というもの。しかし、翼竜がはばたいて飛んでいたんじゃなく、もっぱら滑空していただろうというのは、古生物学の世界で何十年も前から言われていたことである。「はばたいて離陸できなかった」と「飛べなかった」はまったくイコールではないのだ。
 実際、40キロを超えるハンググライダーがいくらでも飛んでいる。翼竜だって同じで、崖の上や斜面からでもジャンプして滑空すればいいだけのことだ。
 僕もビッグバードはいないとは思うけど、否定するのにそんなトンデモ説を持ち出されてもなあ。
【67 「ノストラダムスの大予言」は複雑な散文形式 原文を読めばなんとでも解釈可能なポエムだった!!】

 ノストラダムスの予言は「散文」じゃない。
 かの有名な「恐怖の大王」の出てくる第10章72番の詩を見ても明らか。1行目の末尾と3行目の末尾、2行目の末尾と4行目の末尾が韻を踏んでいる。

L'an mil neuf oens nonante neuf sept mois,
Du ciel viendra un grand Roy d'effrayeur,
Resusciter ie grand Roy d'Angolmois,
Avant apres,Mars regner par bon heur.


 この詩についての『超ミステリーの嘘99』のライターの解釈は、「大雨や竜巻を指しているだけかもしれない」というお粗末なもの。一番有力なフランソワ一世説に触れてないのは落第である。
 さらにこのライター、「通称『ノストラダムスの大予言』と呼ばれる著作『諸世紀』」なんて書いている。『諸世紀』という題が誤訳であることもご存じないらしい。

【82 「赤穂浪士=四十七士武士道の鑑」にあらず 英語圏では「47人のテロリスト」だった!!】

 だが彼らは、英語圏では「47 terrorists」(47人のテロリスト)として知られる。いくら主君の無念を晴らすためとはいえ、謀議をめぐらせてテロ攻撃を仕掛けたことに変わりない。(後略)

「"47 terrorists"+kira」とか「47 terrorists"+ronin」とかで検索したけどヒットなし。ほんとにそんなこと言われてるの?

 いちばん笑えたのはこれ。
【94 ペットボトルや古紙リサイクルは環境に優しくない!! ゴミは分別しないほうが「エコ」だった!!】

(前略)実はペットボトルをリサイクルするためには、新品を作るときの3.5倍もの石油が必要となる。(中略)実際のところ、製品として再び使われているペットボトルは3~4%に過ぎない、残りのペットボトルは、リサイクルするふりをしながら埋め立てや焼却処分に回されているのだ。

 うわあ、こいつ武田邦彦教授の言ってること信じてやがる!?(笑)
 あれは捏造だって言ってんのに。
 翼竜の件もそうだけど、オカルトやニセ科学を批判する本でニセ科学を広めちゃだめだよなあ。

 不思議なのは、巻末の参考資料リストの中に、と学会や山本弘名義の本が1冊もないこと。
 皆神龍太郎・志水一夫・加門正一『新・トンデモ超常現象60の真相』は入っているのに(「龍」の字が間違っているうえに、なぜか加門正一氏の名が抜けているが)、なぜか『トンデモ超常現象99の真相』はない。
 それどころか、『「環境問題のウソ」のウソ』も『超能力番組を10倍楽しむ本』も『トンデモノストラダムス本の世界』も『人類の月面着陸はあったんだ論』も入っていない。武田邦彦氏の本は3冊もあるのに(笑)。すごく不自然なセレクトのように思えるのだが。

 最大の問題は、対象に対する愛情がまるで感じられないこと。UFOやUMAや超常現象にまるで関心のないライターが、仕事を依頼されて、適当に資料を集めて適当に引用して作った……という感じがする。
「好きこそものの上手なれ」というやつで、やっぱり好きでない人間が書いても良い本にはならんのだろうな。

  

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2009年11月25日

小松左京コレクション『すぺるむ・さぴえんすの冒険』

『すぺるむ・さぴえんすの冒険』小松左京コレクション(ボクラノSF)
 福音館書店 1890円


 解説を書かせていただきました。
 収録作品は以下の通り。なお、収録作品を選んだのは僕ではありません。

「夜が明けたら」
「お召し」
「すぺるむ・さぴえんすの冒険」
「牛の首」
「お糸」
「結晶星団」

 個人的には「お糸」がものすごく好きです。パラレルワールドものの傑作。この魅力的な世界をぜひ多くの読者に知っていただきたいと思います。
「夜が明けたら」は、初めて読んだ時、ものすごく怖かった作品。なぜこんなことが起きたのかという説明が何もないところが、不安でたまりません。
「牛の首」は、今や有名になった都市伝説のルーツ。

 以下に僕が書いた解説文の一部を引用。「本はあとがきから読む」という読者のために、「読んだら必ず本編を読みたくなるあとがき」を目指しました。対象年齢は10代の若い読者です。


   偉大なSFの巨人

 小松左京さんは間違いなく日本で最高のSF作家です。
 一九三一年生まれ。雑誌記者やラジオの漫才台本の作者などの職業を経て、一九六二年、『SFマガジン』一〇月号に掲載された「易仙逃里記」でプロ作家としてデビューされました。代表的な長編には、『日本アパッチ族』『エスパイ』『復活の日』『明日泥棒』『果しなき流れの果に』『見知らぬ明日』『継ぐのは誰か』『こちらニッポン…』『さよならジュピター』『首都消失』『虚無回廊』などがあります。一九七三年の『日本沈没』は大ベストセラーになり、二度も映画化されました。短篇はデビューから二〇年間に約二五〇本も発表されており、同じぐらいの数のショートショートもあります。
 その作品傾向もバラエティに富んでいます。現代日本を襲う異常事態を描いた『日本沈没』『首都消失』のような社会派SFや、『果しなき流れの果に』『さよならジュピター』『虚無回廊』のような壮大なスケールの本格SFがあるかと思えば、爆笑のドタバタ・コメディやパロディや社会風刺、ぞっとするホラーやサスペンス、軽いオチのついたショートショート、しんみりした人情話、子供向けのSF童話、大人向けのエロチックな小説……小松さんが書いていないジャンルを探す方が難しいぐらいです。しかも苦手なジャンルというものがないのか、どんな話もとても上手いのです。小説だけでなく、エッセイやノンフィクションもたくさん書かれています。
 僕の場合、小学校高学年の時に、父が買ってきた小説誌に載っていた、「子供たちの旅」や「模型の時代」といった短篇SFを読んだのが最初です。特に「模型の時代」は、人々がプラモデル作りに熱中している未来世界を描いたコメディで、子供心に「こんな面白いものを書く人がいるんだ」と感心したものです。それ以来、多くの作品を読んできて(それでも膨大な全作品の三分の一ぐらいでしかないのですが)、いろいろな影響を受けました。
 今では僕もSF作家です。しかし、最初の長編の出版から二〇年以上になるのに、作品の数でも質でも、この巨人の足元にも及びません。この先も当分、小松さんを上回るSF作家は現われないのではないかと思います。
 その小松さんの短篇の中から、ここに紹介するのはたった六作品です。本当はこの何倍もの数の傑作がひしめいているのですが、一冊の本に載せられる分量には限りがあるので、しかたありません。いわば“小松左京入門編”として、その才能の一端を味わっていただきたいと思います。
(以下略)


  
タグ :SF

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2009年11月09日

同人誌通販

 このほどCOMIC ZINさんに同人誌の通販を取り扱っていただくことになりました。
(価格はすべて税込み)

『MADなボクたち 2009』 420円
 ニコニコ動画・YouTubeのMADを応援する本。 (残部わずか)

『みづき・ふりーだむ!』 1050円
 娘の学園生活をヒントに創作した「字で読む4コママンガ」。

『チャリス・イン・ハザード1 魔島からの脱出』 1050円
『チャリス・イン・ハザード2 脅威の少女核爆弾』 1050円
『チャリス・イン・ハザード3 ファイナル・オーバーヒート(上)』 1050円
 18禁。美少女エロチック・アクション小説シリーズ。

アンド・ナウの会『僕らを育てたSFのすごい人』 945円
 日本SF会の重鎮、柴野拓美氏へのインタビュー。


 なお、『チャリス』の最終巻は来年出版予定です。(今年の冬コミは急遽、『生徒会の一存』のパロディ本を出すことにしたもんで)

  
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2009年11月03日

単行本を雑誌と間違える人

 ちょっと前に、本をラー油と間違える人たちをご紹介したが、今度は単行本を雑誌と間違える人が現われた。

 阿修羅板なんてバカバカしくて普段は読まないのだが、『9.11テロ疑惑国会追及』の著者の一人の「バルセロナより愛を込めて」こと童子丸開氏が、『トンデモ本の世界W』への反論を書いていると聞いて、読みに行ってきた。
 そしたらいきなり大爆笑。

http://www.asyura2.com/09/warb1/msg/323.html

「と学会」の雑誌「トンデモ本の世界W(楽工社)」を日本の友人から送ってもらい、読んでみました。

結論から申しますと、「この雑誌はもう終わりだな」ということです。

その記事を書く人とそれを掲載する雑誌

こういう他人の書いた本を「詐欺本」呼ばわりする雑誌を作って

●今回は、この「トンデモ本の世界W」から「民主党を汚染するトンデモ説(山本 弘)」という記事について、この記事と雑誌が、

 何度も何度も「雑誌」と書いている。この人、マジで『トンデモ本の世界W』を「雑誌」だと思いこんでいるのだ!
 日本の友人から送ってもらったとのことだが、ページをスキャンしたものだけ送ってもらって、実物を手にしていないのかもしれない。それにしても『トンデモ本の世界W』というタイトルで雑誌だと思いこめるって、どういう器用な勘違いなんだろうか。

●そもそも「トンデモ本」とは何か、というと、きっと、
◎全く根拠の無いことを事実であるとする虚偽が数多く書かれ、読者を事実に基づかない虚構の世界に導く、詐欺的な内容が書かれた本、
ということなのでしょうね。

要は、
◎書かれている多くの事柄について「事実である」と証明することができず、
◎それらの「事実である」と証明できないようなことを根拠にして「真実はこうである」と断定し、
◎その断定によって、読んだ人々の社会的な出来事に対する判断を狂わせ、
◎そのことによって製作者が直接・間接に利益を得る、
◎社会的に許しがたい本、ということになるのでしょう。

早い話が「トンデモ本」とは、単なる嘘のばらまき、詐欺、ペテンを目的とした本、というわけですね。違いますかな?と学会さん。

 違います(笑)。トンデモ本の本来の定義は、「著者の意図とは異なる視点から楽しむことができる本」である。
 だいたい、知らないなら検索しなさいよ、Wikipediaでも何でもいいから。調べずに思いこみだけで書くから、ああいうデタラメな本になっちゃうんだよ。

 まさに唖然呆然とすることなのですが、『9.11テロ疑惑国会追及 オバマ米国は変われるか』からの引用、そしてそれを「この部分は嘘である」と証明している箇所が、どこにも…、本当にどこをしげしげと見回しても…、1箇所たりとも見当たらないのです。
 つまり、この記事の初めから最後まで通して、『9.11テロ疑惑国会追及 オバマ米国は変われるか』がトンデモ本であるとする判断の根拠が、何一つ書かれていないのです。

 嘘である。
 僕は33ページでこう書いている。

 本書の中で藤田氏は、9・11をめぐる疑惑を列挙している。長くなるので詳述は避けるが、そのリストを見て、僕(=山本)は失望した。それらの「疑惑」なるものは、二〇〇七年に出版された奥菜秀次『陰謀論の罠』(光文社)や、ネット上の反陰謀論サイトで論破済みのものばかりだったのだ。
 特に次のサイトが、多くの疑問に対する回答を網羅しており、よくまとまっている。

・分解『911 ボーイングを捜せ』
http://www.nbbk.sakura.ne.jp/911/index2.html
・9.11Plot(?)FAQ
http://mltr.ganriki.net/faq10b02w02.html
・Skeptic’s Wiki
http://sp-file.qee.jp/cgi-bin/wiki/wiki.cgi

 藤田氏らが言っていることは、とっくに論破済みのものばかりだ、と僕は(参考資料を明示して)言っているのだが、これでなぜ「判断の根拠が、何一つ書かれていない」ことになるのだろうか。
 そもそも、『9.11テロ疑惑国会追及』の間違いを逐一指摘しようとしたら、『陰謀論の罠』や上の3つのサイトに書いてあることの繰り返しにしかならない。だから省略したのである。
 他にも僕は、36~38ページで、9.11陰謀論者の主張がいかに非論理的でつじつまが合わないかを書いているのだが、それに対する童子丸氏のまともな反論は何もない。

 山本氏がこの本を読まずに記事を書いたわけではないでしょう。氏は、東京工大の和田教授について書かれている本書153~156ページの内容を要約し一部を引用していますが、それは彼が「この記述は虚偽である」と言っているものではありません。

 制御解体説をきっぱり否定している和田教授の言葉を、僕が引用していることが、なぜ「この記述は虚偽である」と言っていないことになるのだろうか?
 童子丸開氏は、『9.11テロ疑惑国会追及』の中で、いろんな理屈をこねて制御解体説を主張しているだが、建築学や物理学の素人である童子丸氏の考察と、建築学の専門家である和田章教授学術研究、どっちが信頼できるかは分かりきった話ではないか。

 そして、そのブログにはどこにも「ジュセリーノを信用した」などと書かれていないのですが、

 藤田氏はジュセリーノのことを「スマトラ沖大地震、阪神・淡路大地震、東京地下鉄サリン事件、中国四川省大地震、イラクのサダム・フセイン元大統領の逃亡先の所在、アメリカの9・11テロなど数多くの予言を的中させ」と断定調で書いているのだが、これは信用していることにはならないというのか?
 どうもこの方の基準では、「この記述は虚偽である」とか「ジュセリーノを信用した」とはっきり書かないと、そう言っていることにならないらしいのである。どういう俺様基準ですか。
 じゃあ、ここではっきり言おう。「童子丸開氏の記述は、建築学の専門家の研究によって否定されており、従って虚偽である」と。これでOKかな?

 さらに、記事著者の山本氏は、国家の指導者が自国民を殺すわけがないと、国家(アメリカ国家?)に対する忠誠心を遺憾なく発揮しておられるのですが、それでは戦争はどうなんですか?

 僕はそんなこと、どこにも書いていない。37ページでこう書いているだけだ。

 さらに大きな問題がある。そもそもアメリカ政府がペンタゴンを攻撃して大勢の軍人を殺す意味がどこにある? ニューヨークを攻撃するだけで十分だろう。

 ニューヨークで国民を殺せばいいだけで、ペンタゴンを攻撃する意味がないと言っているのだが、これを「国家の指導者が自国民を殺すわけがない」とすりかえるのはムチャクチャである。

 単行本を雑誌を間違えた件もそうだが、この人には論理性とか文章読解力というものが根本的に欠如しているようだ。まあ、論理的な思考力のある人なら、そもそも非論理的な9.11陰謀説にハマったりなんかしないのだろうが。


 ちなみに『週刊文春』11月5日号で、宮崎哲弥氏に『トンデモ本の世界W』を絶賛していただきました。ありがとうございます!

  
タグ :9.11陰謀説

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2009年10月31日

うえお久光『紫色のクオリア』

●うえお久光『紫色のクオリア』(電撃文庫)

 京都SFフェスティバルで会った『本の雑誌』の編集さんが絶賛していたので、興味を抱いて読んでみた。
 いや、これは確かにすごい作品だ。

 語り手の女子中学生・波濤学(マナブ)は、同じクラスの毬井ゆかりと、「学校の廊下の曲がり角でぶつかった拍子にキスをしてしまう」という、ものすごくベタなきっかけで親しくなる。
 ゆかりは不思議な少女だった。彼女の紫色の目には、自分以外のすべての人間がロボットに見えるのだ。
 彼女にしか見えないロボットのデザインは、その人間の隠れた特徴を表わしたものであるらしい。「すっごいセンサー装備している」とか「すっごいローラーとバーニアを装備している」とか「すっごいドリルを持っている」とか。ゆかりの目に映る学は、スーパーロボット系で、すごい換装システムを持っていて、汎用性は最強なのだという。
 ゆかりには人間とロボットの区別がつかない。写真に写る人間でさえ、すべてロボットに見える。
 彼女はその能力で、警察に協力している。殺人現場の写真(彼女にはロボットが壊れているようにしか見えないのだろうが)を見てから容疑者の写真を見ると、「こんな壊し方ができるのはこの人」と指摘できるのだ。
 しかも、ただ幻覚でそう見えているだけではない。(ネタバレになるので詳述は避けるが)彼女が認識している世界では、実際に人間はロボットであるらしいのだ……。

 じゃあ、ゆかりがその能力を使って敵と戦う異能力バトルものなのかというと、それも違う。そんな雰囲気があったのは第1話だけで、2話からは量子力学と人間原理を応用したパラレルワールドものになってしまうのだ。
 これがものすごい。
 おそらくグレッグ・イーガンの『宇宙消失』あたりにインスパイアされたのだろう。古いSFファンなら、平井和正の「次元を駆ける恋」や、アルフレッド・ベスターの「マホメッドを殺した男たち」あたりを連想するかもしれない。(ちなみに、途中から出てくる秘密機関の名前が『ジョウント』で、そこから派遣されてきた女の子の名前がアリス・フォイル)
 しかし、話のスケールが桁違いだ。
 ゆかりから授けられた能力をフルに駆使して、彼女を死の運命から救おうとする学。その選択と行動が、平凡な女子中学生を、しだいに神のような超越的存在へと変貌させてゆく。
 ページをめくるたびに、大風呂敷が広がり、広がり、さらに広がる。「ええっ、まだ広げるの?」「ここまでやるの?」と驚きっぱなし。まさにセンス・オブ・ワンダー。
 まさか電撃文庫でイーガンばりの奇想SFが読めるとは!
 しかも、「こんな大風呂敷、どうやって畳む気なんだ」と思ってたら、ちゃんとライトノベル的なさわやかな結末に着地するんだからたまらない。
 来年の星雲賞日本長編部門有力候補だと思う。マジで。


  

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2009年10月31日

平坂読『ラノベ部3』

●平坂読『ラノベ部3』(MF文庫)

 えー、3巻で完結!?
 いや、いつまでも終わらないシリーズもそれはそれで困るんだけど、もうちょっと続くもんだと思ってたから、ちょっと意外だった。お気に入りのシリーズだったのに。

 もともと『生徒会の一存』にハマってしまい、同じような「何も起きない話」を探していたら、これが見つかったのである。
 ある高校の「軽小説部」の活動を描いたコメディ。活動と言っても、部室でダベって、ラノベをめぐるバカ話をしたり(美咲の「……ってあるじゃない」シリーズは、いちいち納得できる)、たまにリレー小説を書いたり(文香パートの破壊力は強烈)といった程度。特に大きな事件が起きるわけでも、メインのストーリーがあるわけでもなく、いくつものエピソードが淡々と語られるだけなんだけど、これが実に笑えるのだ。
 世界観は『生徒会』よりもずっと現実寄り。登場人物がハーレム展開を否定したり、ラノベの中の不条理なお約束の数々にツッコミを入れたり、現実とラノベのギャップをギャグにしている。
 ちなみに『生徒会』では他社作品のタイトルは伏字になっているが、この『ラノベ部』にはそんな縛りはなくて、実在のラノベやアニメ作品のタイトルが(出版社に関係なく)頻出する。
 じゃあ現実的な話かというとそうでもなく、全体の雰囲気はちゃんと典型的なラノベになっているという不思議。

 読んでいて気持ちがいいのは、ラノベに対する作者の愛があふれていること。登場人物の口を借りて語られるラノベの魅力、ラノベ論、物語論は、どれも同じ作家として同意できるものばかりだ。
 3巻で特に感心したのは、『らき☆すた』に代表される日常系のマンガの魅力を分析したくだりである。

「いわゆる日常系と呼ばれる作品群で描かれる『どこにでもあるような平凡な日常』なんてものは、実はこの世界のどこにも存在しないんだと思う。むしろよくある物語の主人公のように、どれだけ頑張っても勝てないような強大な敵と戦ったり、どうにもならない不条理で理不尽な現実に必死に抗うことこそ、誰もが日常的にやっていることだと思う。物語の主人公と現実に生きるぼくたちの違いは、敗北し膝をついたまま終わることがあるかどうかでしかないんだよ」

 よく言ってくれた! その通り! 『らき☆すた』や『あずまんが大王』の世界こそ、現実には存在しないものなのだ。だからこそ僕らはそれに惹かれるのだ。
 しかもすごいのは、この『ラノベ部』という作品が、まさにその『らき☆すた』的な「日常系」の作品だという事実。登場人物に作品自体を「どこにも存在しない」と否定させるという、クレタ人のパラドックスみたいなアクロバットを平然とやっているのだ。

 キャラクターの中でも特に僕が好きなのが藤倉暦。
 読書好きで無口という、もろに長門な女の子なんだけど、実は百合妄想爆発少女で、同じ部の物部文香に片想いで、隠れ笑い上戸(他の部員が平然としている中、一人だけツボにハマって笑いをこらえてる)というギャップのおかしさ。でもって、高校生ラノベ作家。
 その暦が、今回、過去の自分の小説について、文香からあることを(まったく悪意ではなく)指摘されて号泣する。これは分かる。好きな子からこんなこと指摘されたら、それが的確であるだけにグサっとくる。
 その後、悲しみのどん底から這い上がってくる暦の独白。ここが最高にしびれる。

 自分は本当に未熟だ。
 作家としても、人間としても。
 これまで人とほとんどかかわらず、小説の世界にのめり込んで生きてきた自分は、同世代の女の子と比べても明らかに未成熟だ。
 だからこの先、今日みたいな恥ずかしい目に遭うことも何度もあるだろう。
(中略)
 幸いにして、自分は小説家だ。
 どんな恥ずかしい経験も、取り返しのつかない失敗も、悲しみも悩みも痛みも苦しみも、全部物語に変換して、あわよくば本にしてお金まで稼いでしまう術を持っているしたたかな錬金術師だ。

 がんばれーっ! がんばれーっ、暦! なんかもうフィクションのキャラクターだってこと忘れて、マジで応援しちゃうぞ。

 この3巻では、それまで水面下にひそんでいた部員の三角関係・四角関係が浮かび上がってきて、ついに波乱に発展するか……と思いきや、何となくうやむやになって、そのまま終わり。
 どう見ても打ち切りっぽいのだが、その尻切れトンボの終わり方もまた、作者の計算の内ではないかと思える。
 だって、文香たちの恋の行方に、ちゃんとしたストーリーを構成して、ちゃんとした結末をつけたら、それはもう『ラノベ部』ではないから。

 エピローグで、美咲はこう言う。

「だってさ、物語が終わったあとにだって、その世界の中で生きてる人たちの人生は続いてくわけじゃない。あたしさー、授業中とか夜寝れないときとか、たまに思うのよね。大河とか竜児って今どうしてんのかなーとか、祥子お姉さまは元気かなーとか、ルナとシオンは仲良くやってんのかなーとか、ウルクとリセリナはどんな感じでゴニョゴニョなのかなーとか……」

「出逢って、いろんな思い出を共有して、別れて、たまにあいつ何やってのんかなーって思い出したりして――それって、現実の世界と物語の世界で何が違うの?」

 その通りだ。
 フィクションの人物だと知っていても、シリーズが終わってもずっと、僕は暦のことが気になると思う。文香への想いはどうなったのか。今、彼女はどんな小説を書いているんだろうか、と。


  

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2009年10月31日

『別冊映画秘宝 東宝特撮総進撃』

『別冊映画秘宝 東宝特撮総進撃』
洋泉社 1600円+税

『海軍爆撃隊』(1940)から『ゴジラ FINAL WARS』(2004)まで、怪獣映画、戦争映画、パニック映画、SF・ファンタジー映画など、東宝特撮のすべてを語り尽くす究極のムック。スチール多数。
 黒沢清、みうらじゅん、泉麻人、朱川湊人、切通理作、木原浩勝、とり・みき、金子修介、中野貴雄、河崎実、佐野史郎、福井晴敏、菊地秀行、土屋嘉男、川又千秋、アレックス・コックスら、豪華執筆陣。僕も『宇宙大戦争』『世界大戦争』『妖星ゴラス』の原稿を書かせていただきました。
 開田裕治氏の表紙イラストは入魂の力作。表紙が怪獣(ど真ん中がジェットジャガー!)、裏表紙がメカ。背景がゴラスで、画面下が『世界大戦争』のラストの溶岩(ですよね?)という凝りよう。
 マニアなら買いですよ、買い!


  

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2009年10月04日

本をラー油と間違えた人たち

 マイミクさんの日記で知った話題。
『妻を帽子と間違えた男』という本があったけど、なんと、本をラー油と間違える人がけっこう多いという。

 問題の本は、楽天市場で売られている辺銀愛理『ペンギン夫婦がつくった石垣島ラー油のはなし』(マガジンハウス)。テレビなどで紹介されて人気の「石垣島ラー油」を製造販売している人の自伝らしい。

http://item.rakuten.co.jp/book/5826306/

 この本のレビューを見ると、12人中11人が1個という惨状。
 というのも、その11人は、この本をラー油だと思いこんで買ったというのである。
 コメントを時系列順に並べて見ると、

購入者さん
評価1.00 投稿日:2009年01月10日
ラー油そのものが買えると思い2つも購入するも、届いたのは本で、かなり落ちました↓↓↓

購入者さん
評価1.00 投稿日:2009年01月21日 楽しみに‥
紛らわしいです。
私もラー油だと思い購入。
即、返品です。

購入者さん
評価1.00 投稿日:2009年01月21日
テレビでやっててペンギン夫婦のラー油で検索して、ラー油を二つ頼んだつもりが本がニサツ来てしまった〓

購入者さん
評価1.00 投稿日:2009年02月20日
私もラー油と勘違いしてしまい2本購入。
注文して翌日気付いたのですぐにメールしたのですが、商品が届いてしまいました。
返品できず困っています。

 このへんまではまだ自分の勘違いを認める内容だったんだけど、だんだん逆ギレする人が増えはじめる。
タカタカ0413さん (1件)
40代/男性
評価1.00 投稿日:2009年04月27日
???大失敗! 石垣島ラー油と思い、直ぐに購入手続きしたが、書籍が届いて、驚いた!石垣島ラー油・商品そのものとの区別をはっきりしてほしいし、返品も出来なく、1575円を捨てたみたいで大変、不甲斐ない気持ちである!書籍は全く読む事もなく、古本屋で157円で引き取ってもらった!楽天市場ももう少し返品に対して考えてほしい!

classy0625さん (698件)
30代/女性
評価1.00 投稿日:2009年05月21日
ラー油だと思いこみ間違って購入してしまいました・・・

購入者さん 評価1.00 投稿日:2009年07月06日
ほんとに紛らわしい!!
みなさんと同じように、ラー油と思い2つ購入しました。開けたら本が入っていて…当然2冊…一瞬、んっ???何が何だか分からなくなりましたね!あの写真が載っていれば誰もがラー油と思いますよね!!もう少し購入する側の立場にたって考えて下さい。返品受けつけお願いしますよ!!

購入者さん 評価1.00 投稿日:2009年07月16日
 マジで最悪です。石垣島ラー油だと思い買いました 。あれじゃあ間違います。まだ届かないのですがキャンセルしたいです。じゃなきゃ返品したいのですがどうなのでしょうか?

購入者さん
評価1.00 投稿日:2009年07月19日
紛らわしい上に、キャンセル連絡しても「無理です」言われ、さらに返品もできないとはあきれたシステムです(笑)

ぽん3801さん (1件)
評価1.00 投稿日:2009年07月19日
ありえない!!ラー油だと思って購入したのに紛らわしすぎます。載せ方変えたほうがいいですよ?

「あの写真が載っていれば誰もがラー油と思いますよね!!」
「あれじゃあ間違います」
「紛らわしすぎます」


 いや確かに、表紙にはラー油の写真が載ってるけど、
「楽天ブックス」で、
 一番上に「」と書いてあって、
『ペンギン夫婦がつくった石垣島ラー油のはなし』という商品名で、

著者: 辺銀愛理
出版社: マガジンハウス
サイズ: 単行本
ページ数: 135p
発行年月: 2008年08月

 と表記されていて、
 その下に書籍の内容紹介も載ってるのに、

「紛らわしい」?

 むしろ、どうすりゃそんな器用な勘違いができるのか知りたいんだけど。

 間違える人が続出したせいか、途中から「※こちらは本です。ラー油ではありません」という但し書きがつくようになったらしいのだが、それでもやっぱり間違える人がいる。

にんじん一本さん (2件)
20代/男性
評価1.00 投稿日:2009年08月02日
やられた
紛らわしい。ラー油だと思い5個買ったのですが、本でした(+_+);本5冊って使い道なさすぎです。複数買うのわかってるんですから確認のメールぐらいほしかったです。他の所は確認のメールありましたよ。普通は、おかしいと思うのですが・・・目立たない所にラー油ではありませんと書かれても。目立つようにお願いします。

 自分のドジを他人のせいにするなあ!(笑)
 1575円の本5冊って言ったら7875円だよ? けっこうな額だよ。
 そんな買い物をするのに、商品の解説をろくに読まずにクリックしたの?
 信じられない。
 世の中にはそそっかしい人がこんなに多いとは。こりゃあ、オレオレ詐欺の被害が跡を絶たないわけだ。

 それにしても、
「こちらは本です。ラー油ではありません」
 というフレーズはシュールであるな。
 僕も『地球最強姉妹キャンディ』という本を出してるわけだが、「こちらは本です。キャンディではありません」という但し書きをつけなくちゃいけないのかしらん?

  
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Posted by 山本弘 at 18:28Comments(9)TrackBack(5)事件