2016年04月15日

イベント:人工知能は人類を滅ぼす!? 今、本気で語る「AI(アイ)の物語」

山本弘のSF秘密基地LIVE#57
人工知能は人類を滅ぼす!? 今、本気で語る「AI(アイ)の物語」

 人工知能が将棋の名人を負かした。人工知能が小説を書いた。人工知能がヒトラーを礼賛した……
 このところ頻繁にAI(人工知能)をめぐるニュースが飛びこんできます。シンギュラリティ(技術的特異点)──進化を続けるコンピュータの能力が人間を上回る日の到来も、さほど遠くないとされています。そうした話題はもはやSFではなく、科学者の間でも真剣に検討されています。
 シンギュラリティが来たら世界はどうなるのか? 
 自我に目覚めたAIが邪悪な存在になることはないのか?
 AIの知性とはどういうものなのだろうか?
 そもそも人間には知性があると言えるのか?
 最新科学の成果と、古今東西のSF作家が描いてきたAIについての物語を参考に、もうすぐそこにある未来について考えてみようと思います。

[出演] 山本弘

[日時] 2016年4月22日(金) 開場・19:00 開始・19:30

[会場] なんば紅鶴(大阪市中央区千日前2-3-9 レジャービル味園2F)(地図)南海なんば駅より南海通り東へ180m・駐車場有

[料金] 1500円  
(店内でのご飲食には別途料金がかかります。入場時に別途ワンドリンクをご購入いただきますのでご了承ください)

 予約はこちらから。
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=100662798
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 すみません。昨日まで入院していたもので、イベントの告知が遅くなってしまいました。
 最近、人工知能の話題、特にシンギュラリティを扱ったノンフィクション本が何冊も出ていて、もうこういう話題はSFじゃなく現実になってきてるんだなと、しみじみ感じます。たぶん2040年代あたり、まだ僕らが生きているうちに来そうなんですよね、シンギュラリティ。楽しみなような怖いような。
 でも、専門的な話題は科学者の方におまかせして、SF作家である僕は、おもにSFの中で描かれてきたロボットや人工知能の進化について語りたいと思ってます。SF作家が描いてきた様々な人工知能の物語を読むことで、来るべきシンギュラリティで何が起きるかを予想する、その手助けになるんじゃないかと思っています。
 たえば先日、人工知能が書いた小説のニュースがメディアを賑わせましたが、あの時、ツイッターでは野﨑まど『小説家の作り方』(メディアワークス文庫)に言及している人が何人もいました。いやあ、あれは衝撃的な作品でしたね。SFだなんてぜんぜん知らずに読みはじめたら、まさかあんな話だとは。

 また、マイクロソフトが開発していたAIが差別発言を連発し、ヒトラーを礼賛したというニュースでは、僕と同様、星新一「ボッコちゃん」を連想した人が多かったようです。
 他にも、古くはジョン・W・キャンベル「最終進化」(1932)、イアンド・ビンダー「ロボット市民」(1939)、マレイ・ラインスター「ジョーという名のロジック」(1946)、ジャック・ウィリアムスン『ヒューマノイド』(1948)、フレドリック・ブラウン「回答」(1954)、エドマンド・クーパー『アンドロイド』(1958)、星新一『声の網』(1970)などを経て、最新の作品まで、いろんなパターンを紹介しつつ、論じていこうと思っています。もちろん僕の作品『神は沈黙せず』『アイの物語』『去年はいい年になるだろう』『地球移動作戦』「時分割の地獄」などの裏話もたっぷりします。お楽しみに。
  
タグ :PRSFAI


Posted by 山本弘 at 22:38Comments(1)サイエンスSFPR

2016年04月15日

退院しました

 今月はイベントの告知が遅くなって申し訳ありません。
 実は今月の3日から入院してたんですよね。退院したのはつい昨日です。
 数年前から身体がふらつき、時には道で転んだりしました。それも何度も。特に階段の上り下りが怖くて、手すりを持ちながら、びくびくして上るようになってました。
 また、もの忘れが多くなって、特に会話中や執筆中などに、人名などの固有名詞が出てこないことがよくあったんです。
 転びやすいのは事故に直結しますし、記憶に障害が出るのは作家にとって致命的です。そこで病院に行って、MRIなどで検査をしてもらいました。
 結果は「正常圧水頭症」の疑いが濃いとのこと。脳内の髄液の量が通常より多くなり、脳を圧迫する病気です。放置しておくと認知症に似た症状を呈します。

水頭症と正常圧水頭症
「認知症だから」とあきらめるその前に・・・治療で改善できる認知症iNPH
(誤解を招かないよう、必ずリンク先をお読みいただくようお願いします)

 先月、検査のために短期間、入院しました。脳内の髄液は脊髄を通って腰まで流れているので、試しに背中に針を刺し、脊髄から髄液を抜いてみました。すると症状の改善が見られたので、正式に正常圧水頭症と診断されました。
 幸い、この病気は「治る認知症」と呼ばれています。簡単な手術で完治するからです。
 その方法はL-Pシャントと呼ばれるもので、脊髄にカテーテルを埋めこみ、髄液を常に腹腔内に少しずつ流すことで、圧力を一定に保ちます。
 圧力が下がりすぎるのも問題なので、小さな弁で圧力を調整できるようになっています。いったん埋めこんだ後は、調整には手術は必要なく、外部から磁石を使って操作するのだとか。すごいですね、現代の科学。

 今月3日から入院、5日に手術しました。腹と背中を少し切ったのですが、手術の直後は手術跡がかなり痛んで、上半身を起こすのにも苦労しました。
 咳をするたびに腹筋が刺されるように痛むのにも参りました。咳って実は腹筋を使ってたんだと初めて気づきました。
 しばらくは頭もぼうっとしていました(圧力が急に下がったからかもしれません)。やはり、咳をするたびに頭に響きました。
 幸い、どちらの症状も数日で急速に軽減していきました。
 12日も入院していましたが、退屈はしませんでした。もちろん病室で電話を使うのは厳禁ですが、スマホでツイッターはできました(今月3日から13日朝までのツイッターやmixiでの僕の発言は、みんな病室から発信したものです)。本もたっぷり持って行きましたし、もちろんテレビも観られました。ベッドの上で、ポメラで原稿も書きました。
 そうそう、モバマスもやってましたよ(笑)。おりしもシンデレラガール総選挙の真っ最中。もちろん結城晴に投票券を注ぎこみまくってました。晴、かっこいいよ、晴。
 あと、最近の病院食は味にも気を遣ってるんだそうで、まったく不味くはなかったですね。さすがに1週間も経つと妻の料理が恋しくなってきましたが。

 一昨日、抜糸。昨日、退院できることになりました。
 現在、まだ少し腹の痛みはありますが、普通に生活できるレベルです。頭もまだほんの少しだけ重い印象がありますが、それも少しずつ良くなっていて、今は意識しなければ気づかないほどです。
 あと、歩行がすごく楽になってます。歩く時の姿勢からして根本的に違ってるんです。前は猫背でよたよた歩いてたんですが、今は背筋をしゃんと伸ばしてまっすぐ歩くことが、意識せずに自然にできるようになっています。階段の上り下りも不安はまったくありません。本当に劇的な変化です。これだけでもかなり嬉しいです。
 僕と同じような症状の方、もしかしたら正常圧水頭症かもしれないので、一度病院で診てもらうといいですよ。治りますから。

 というわけで、今やまったく健康に問題ありません。ご心配なく。
 退院した昨日から、さっそく仕事場に復帰しています。バリバリ書いて、仕事の遅れを取り戻さなくてはいけませんから。
  
タグ :日常入院


Posted by 山本弘 at 22:07Comments(3)日常作家の日常

2016年03月16日

「保育園落ちた」陰謀論

 例の「保育園落ちた日本死ね!!!」ブログに対して陰謀論が起きている。政府を攻撃するために作られたニセのブログではないかというのだ。
 なんと、「誰が書いたんだよ」などとヤジを飛ばした平沢勝栄議員自身が、「これ、本当に女性が書いた文章なんですかね」と言いだした!

http://www.huffingtonpost.jp/2016/03/09/katsuei-hirasawa-hooted_n_9423292.html

 当たり前だけど、あの文章を女性が書いたものではないとする証拠なんかない。
 そんなことを言いだしたら、どんな歴史的文書だって、タイムマシンで過去に戻ってそれを本人が書いている現場を確認できない以上、「これ、本当に○○が書いた文章なんですかね」と疑うことが可能になる。
 証拠のない主張に、何の意味がある?

 mixiニュースのつぶやきでも、陰謀論を唱える者が多い。

「保育園落ちた」きっかけに2万7千署名 制度充実求め
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=3890657&media_id=168

>こっちにも張っとくか 日本共産党による『保育園落ちたの私だ』デモ なりすましの可能性 な ん と デモ後の打ち上げで韓国酒whttp://hosyusokuhou.jp/archives/47002172.html あ~やっぱり(棒

 焼肉食べながら韓国酒飲んだら韓国人である証拠らしいです(笑)。 だったら中華料理食べながら中国酒飲んだら中国人である証拠か? メキシコ料理食べてテキーラ飲んだらメキシコ人である証拠?

>こいつらみんな共産顔と朝鮮顔だなwww(感想はあくまで個人的なものであり、事実とは異なる場合があります)

「朝鮮顔」も変だけど「共産顔」って何(笑)。

>保育士が辞める原因“モンペ”ってのが、この一連の流れを見ててどれだけ恐ろしいのかがよく分かる。基本、モンペの人たちって在日だと思ってるが…。

 保育士が辞める主な原因は労働環境の劣悪さなんですけど? だいたい「モンペの人たちって在日」と思う根拠は?
 つーか、保育所不足の問題に在日コリアン、何の関係もないよね?

保育園落ちたブログ 「日本死ね!」とつぶやいた女性が現在の心境を明かす 「正直、反応の大きさに驚いている」とまどいも…
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=3890173&media_id=133

>日本死ね!なんて普通の主婦が言うか?憲法9条にノーベル平和賞の怪しげな主婦(プロ市民)と同じ臭いがするんだよ。

 なんで普通の女性が言わないと思うんだ? つーか、憲法9条も関係ないし。

>東京都内の30代の女性? 母親だかなんだか知らんが、日本中の朝鮮成分の三分の一はこの女に取憑いているな。

「朝鮮成分」(笑)。なんか「朝鮮」が悪霊扱いされてるぞ。

>保育園落ちた~ってつぶやきは毎年沢山あるのにこれだけが広まったってのは最初から裏があるんじゃないかという気がします。

 論理が逆だ! 毎年たくさんある中から、たまたま国会で取り上げられたから話題になったんでしょ?
 そもそも「保育園落ちた」というつぶやきが毎年たくさんあるということは、それをわざわざ新たに創作する必要なんかないってことなんだけど、そんな理屈も分からないのだろうか? 

>”共産党プロデュース”ということはネットで暴かれてますけど?

 ええっと、それって保守速報かどこかですか?(笑)

>氏素性も知れぬ上に、更に手際よく共産党が便乗しているのに、よく「市井の人」だと断言できるもんだwww自作自演サポーター乙www

 政府への抗議に共産党や反安倍主義者が便乗するのは、不自然でも何でもないですが? 便乗しなかったらそれこそ不自然でしょ?

>デモの打上で韓国料理で酒飲んでたらしいじゃないですか?母親が酒飲んでる間に子供は何処行ったニダ?そもそもガキなんて居るのか?

 先週号の『週刊文春』によれば、この女性はデモには参加していませんが?

>「日本死ね!」って書いてる時点で在日なんだろ?どうせ。

>朝鮮人でしょ?

>共産党が出てくる時点で察し。

>で、日本死んだら祖国チョーセンにでも子供を預ける気でしょうか?

>「日本死ね」って朝鮮人の口癖でしょ。働きもせずデモやってるヒマ人が保育園に受かってたまるもんか。、

>共産党の名前があるだけで胡散臭い。在日ならではの言葉だねぇ。

>「生粋の日本人」なら「日本死ね」なんて言わないよな。普通は。


 だから何でそう思っちゃうんですか?
 あと、陰謀論とは違うけど、この女性に対して「お前が死ね」と暴言吐いてる奴も多数。彼らのモラルでは、女性が「日本死ね」とは言っちゃいけないけど、女性に向かって「お前が死ね」と言うのはかまわないらしいぞ(笑)。

 ツイッターでも盛り上がっている。

待機児童工作に釣られてる人達
http://togetter.com/li/945887#c2537786

「保育園落ちたの私だデモ」を画像などから考えてみる
http://togetter.com/li/948103#c2551670

 僕はtogetterのコメント欄に、こう書いた。

>本物の陰謀と妄想の「陰謀論」の違いは、具体的な証拠があるかどうか。「俺はそう思った」というのは証拠じゃないからね?

 ところが、あきれたことに、そのすぐ下に、別の奴がこんなコメントを書いたのである。

>自治体やそこの担当者への不満でなくいきなり「日本死ね」になっちゃってるのも不自然なんですよね。どこが保育園担当なのか知らないのかと。こんな違和感だらけな行動で疑惑を持つなという方が無理だと思います。

 いやいやいや、僕はこの女性の激しい怒りが「日本死ね」という暴言になるのはまったく「不自然」とは思わなかったし、「違和感だらけ」とも思わなかったんですけど?
 確かに「日本死ね」は暴言である。それは僕も否定しない。しかし、この女性は保育園に落ち、激しく怒っていた。ものすごく腹が立った時に思わず「死ね」と言ってしまうことは、誰だってある。
 それに待機児童問題への不満は、「自治体やそこの担当者」にぶつけたってどうなるものでもない。いわば今の日本社会全体の構造が抱えている問題だ。まして首相は「一億総活躍社会」なんてスローガンを掲げてるんだから、「どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか」と愚痴りたくなるのも分かる。
 それが「日本死ね」という言葉になることの、どこが「不自然」なのだろう? むしろ自治体の担当者の名前を出して「〇〇死ね!!!」なんて書いたら、そっちの方がよっぽど問題じゃないか?
 つまり、「不自然」「違和感」というのは、そう言っている人の主観──「俺はそう思った」にすぎないんである。
 具体的な証拠ではなく、こうした主観を根拠に語るのが「陰謀論」だ。

 たとえば「アポロの飛行士の月面活動の映像は不自然だ! あれはやらせだ!」というのは、典型的な陰謀論。
「東日本大震災は不自然だ! あれは人工地震だ!」とかいうのもそう。
 反原発派の人が批判されると、相手を「御用学者」とか「原発推進派の工作員」とか決めつけたりするのもそう。

 もちろん、世の中には本物の陰謀もある。
 たとえばウォーターゲート事件。民主党本部に盗聴器を仕掛けようとした奴が逮捕されて、しかもニクソンが関与していたことが分かった。そうした証拠が出てきたからこそ、本物の「陰謀」であることが証明されたのだ。
 でももし、何の証拠なしに「誰かが私の生活を盗聴している。どこかに盗聴器が仕掛けてあるに違いない」と言いだす人がいたら、それは陰謀論──もっとストレートに言えば「頭がおかしい」。
 でもねえ、そういう妄想を抱いている人間って、けっこういるんだよね……。

 で、僕がいちばん腹が立ったのは、こんなこと書いてる奴。

>『疑うのは面倒だ、考えるのは面倒だ、誰かの言ったことを鵜呑みにするのは楽でいいーその心の隙に、トンデモは忍び込んでくるのだ。疑う心は、トンデモの予防策である」とトンデモ本の世界Rで「疑うことの大切さ」を説いた山本弘さんが『何でもかんでも陰謀に見えてしまう「陰謀脳」』とか言い出すとはなあ。

 いやいやいや何言ってんだよお前!
 僕が説いている「疑うことの大切さ」というのは懐疑論だよ。陰謀論っていうのはまさに、誰かが言ってることや、自分がふと思いついたことを、何も考えずに鵜呑みにしちゃうこと。懐疑論とは正反対なの。
 そんな基本的なことから説かなくちゃいけないのか……(ため息)。

 そもそもみんな忘れてるかもしれないけど、今回の騒ぎが何で拡大したかって言ったら、単に「保育園落ちた」ブログが国会で取り上げられただけじゃない。「誰が書いたんだよ」「ちゃんと本人を出せ」というヤジが飛んだからだ。
 それがきっかけで、保育園に子供を預けられなかった人たちの怒りが爆発し、ツイッターで「#保育園落ちたの私だ」というタグが炎上した。

「保育園に落ちたの誰だ?私だ!デモ」が起こりそうな雰囲気高まる #保育園落ちたの私だ
http://togetter.com/li/945691

 自民党の平沢勝栄議員のヤジがなかったら、こんな大騒ぎにはならなかった。
 つまり、これが陰謀だとしたら、そのシナリオには平沢議員も加わってることになる。
 その方がよっぽど「不自然」だろ?

 他にも、こんな意見も飛び出した。

「『保育園落ちた』の署名を渡したママはブランド品の抱っこ紐を使ってるからプロ市民」に対する反応
http://togetter.com/li/949308

 デモに参加した女性たちの写真が「プロ市民臭い」「全員がオサレママ()御用達の某海外ブランド品を使っている」と邪推する人が出現。
 しかし、その「海外ブランド品」とは、エルゴベビーという人気商品で、今はお母さん方がごく普通に使っているものだった。
 知っている人間にとってはごく普通のことなのに、知識のない人間にとっては「不自然」で陰謀の証拠に見える……これはアポロ陰謀論や神州7号陰謀論とまったく同じ構造である。

 結論。
 陰謀論というのは、自分の世界観と現実の世界が食い違うところに生じる。

 Aという勢力が好きな人が、Aを貶めるような情報を目にする。
 その逆に、Bという勢力を嫌っている人が、Bを貶める情報が少ないことに不満を抱いてる。

 そこで彼らは、自分の世界観と現実のギャップを、主観による陰謀論で埋めようとする。

「Aを貶める××という情報はBの流したデマだ」
 とか、
「Bを貶める情報は隠蔽されているのだ」
 とか。

 ぶっちゃけて言えば「現実逃避」だ。

 保育園が足りない。子供を預けたくても預けられない人が大勢いる。それが現実。
 陰謀論を唱える人間は、その現実から目をそらしたいだけだ。

  
タグ :陰謀論デマ


Posted by 山本弘 at 15:42Comments(31)事件社会問題ツイッター

2016年03月16日

文庫化『UFOはもう来ない』『SF JACK』

 こちらも告知遅れました。以前に出した本の文庫版が2冊、すでに書店に並んでおります。


『UFOはもう来ない』は2012年発表の長編小説。宇宙船の事故によって京都の山中に取り残された異星人を3人の小学生が発見。巨大UFOカルトによって誘拐・監禁された異星人を、インチキUFO番組のディレクターと美人のUFO研究家、それに小学生たちが力を合わせて奪還に挑む……というお話です。
 ファースト・コンタクトもののSFであると同時に、コン・ゲーム小説であり、ジュヴナイル冒険小説でもあります。UFOをめぐるうんちくもたっぷり入ってます。
 単行本との違いは、各章のタイトルが日本語になったこと。さすがに『アウター・リミッツ』のサブタイトルの原題というのはマニアックすぎたかと反省しました(笑)。いちおう第一章の「宇宙人現わる」と最終章の「見知らぬ宇宙の相続人」は『アウター・リミッツ』なんですけどね。
 僕が『アウター・リミッツ』を見てた頃の、「何かすごいことが起きてる!」というプリミティヴなわくわくどきどき感を再現できないかと思って書きました。

 詳しい解説はこちら。
http://homepage3.nifty.com/hirorin/ufohamoukonai.html


『SF JACK』は2013年、日本SF作家クラブ50周年を記念して出版されたアンソロジー。新井素子、上田早夕里、冲方丁、小林泰三、今野敏、堀晃、宮部みゆき、山田正紀、山本弘、夢枕獏、吉川良太郎の作品を収録。
 単行本との違いは、瀬名秀明さんの作品が抜けていること(ご存知の通り、日本SF作家クラブを退会されたので)。
 僕の作品「リアリストたち」は、人類の大半が仮想現実で暮らすようになった22世紀の社会での、新たな差別意識の話。
 出版社の自主規制などもあり、現実の差別問題はなかなかストレートに描くのは難しい。でも、SFの形でなら、今はまだ存在しない架空の「差別」を描けるんじゃないか……。
 と思いついて書いた話なんですが、ネットでのレビューを見ると、これが差別をテーマにした話だと認識している人がほとんどいなくて、ちょっとがっかりしてます。それどころか、こういう未来世界を肯定しているような人もいて、頭抱えてます。
 ヒロインの一人称で書き、まず読者に感情移入させておいて、実は彼女はこういうおぞましい考えの持ち主だった……と明かしたらショックだろうと計算して書いたんですが、けっこうみんなショックを受けず、ヒロインの考え方を平然と受け入れてるみたいなんですよね。それは僕の意図と正反対なんですけど。
 ふと思いました。22世紀を待つまでもなく、この差別ってすでにはじまってんじゃないですかね? 最近のツイッターの「エルゴ」批判とか見てると、そう思えてきて怖いです。

 僕以外の作品では、冲方丁「神星伝」がダントツに面白いです。TVアニメの1クール分を短編に詰めこんだような和風ワイドスクリーン・バロック。おすすめです。
  
タグ :PRSF


Posted by 山本弘 at 09:25Comments(1)SFPR

2016年03月16日

『ウルトラ』シリーズ50周年・勝手に盛り上げよう関西SF作家の特撮トーク

山本弘のSF秘密基地LIVE#56
『ウルトラ』シリーズ50周年・勝手に盛り上げよう関西SF作家の特撮トーク

『ウルトラQ』『ウルトラマン』が放映開始されて今年で50年。特撮とともに育ってきた世代が、今やSF作家としてデビューし、怪獣やウルトラマンを題材にした小説を次々に発表しています。 『ウルトラマンデュアル』を上梓したばかりの三島浩司さんをゲストに迎え、怪獣やウルトラマンを愛する作家たちが、怪獣映画や『ウルトラ』シリーズの思い出、創作の裏話、創作にこめた熱意を語ります。SFファン、特撮ファン必見!


[出演] 山本弘、三島浩司(SF作家)

[日時] 2016年3月25日(金) 開場・19:00 開始・19:30

[会場] なんば紅鶴(大阪市中央区千日前2-3-9 レジャービル味園2F)(地図)南海なんば駅より南海通り東へ180m・駐車場有

[料金] 1500円  
(店内でのご飲食には別途料金がかかります。入場時に別途ワンドリンクをご購入いただきますのでご了承ください)

 詳しい情報はこちらから。
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=99735536
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 すみません、今月は前半に入院してたり(たいした病気じゃないのでご心配なく)、中盤は確定申告でひーひー言ってたんで、告知が遅れました。
 ご覧の通り、今月は特撮、それも『ウルトラ』をテーマにしたトークです。 これまでもLiveWireではいろんな特撮関係の話をしてきましたけど、そう言えば『ウルトラマン』に絞った話はまだしてなかったかも? もちろん『MM9』の話もしますし、三島浩司さんからは『ウルトラマンデュアル』の裏話とかも聞けると思います。お楽しみに。


  


Posted by 山本弘 at 08:14Comments(4)特撮PR

2016年02月16日

イベント:ビブリオバトルをやってみよう#3

山本弘のSF秘密基地LIVE#55
『世界が終わる前に BISビブリオバトル部』発刊記念
 ビブリオバトルをやってみよう#3


 本を通して人と人をつなぐ知的書評ゲーム〈ビブリオバトル〉。それを題材にした山本弘の新刊『世界が終わる前に BISビブリオバトル部』(東京創元社)の発売にちなんで、今回もイベントを開催します。
 会場ではビブリオバトルの実演も行ないます。チャンプ本を決める投票には、会場に来ていただいたみなさんも参加していただけます。
 なお、今回はビブリオバトルの出場者(発表参加者)も募集します。出場を希望される方は、当日、発表したい本を持ってお越しください。出場者には参加賞として、山本弘の新刊を1冊差し上げます。(参加希望者が多い場合はジャンケンになります。ご了承ください)


[出演] 山本弘

[日時] 2016年2月26日(金) 開場・19:00 開始・19:30

[会場] なんば紅鶴(大阪市中央区千日前2-3-9 レジャービル味園2F)南海なんば駅より南海通り東へ180m・駐車場有

[料金] 1500円  
(店内でのご飲食には別途料金がかかります。入場時に別途ワンドリンクをご購入いただきますのでご了承ください)

 詳しい情報はこちらから。
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=98297876
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 いつものように、大阪でもイベントをやります。今回は会場に来ていただいた方の中から、発表参加者も募集します。
 ルールは簡単。初心者でも本1冊あれば誰でも参加できます。

ビブリオバトル公式ルール
http://www.bibliobattle.jp/koushiki-ruru

 特にテーマは決めません。小説でもノンフィクションでもマンガでもかまいません。
 さすがに出場していただくのに何のお礼もしないというのはまずいと思うので、発表していただいた方全員に僕の新刊(『世界が終わる前に BISビブリオバトル部』か『怪奇探偵リジー&クリスタル』のどちらか)を差し上げることにしました。
 どっちも価格が料金(1500円)を超えてますから、発表すれば事実上、料金が無料になるわけです!
 ふるってご参加ください。
  


Posted by 山本弘 at 20:01Comments(2)PRビブリオバトル

2016年02月10日

今月、東京でのトークショー2件

 2月21日(日)と22日(月)、新宿で続けてトークショーをやることになりました。
 両日通し券購入の方には、入場料が500円引きになります。

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山本弘スペシャル2DAYS PART.1 懐古編
山本弘のSF秘密基地LIVE 東京特別版#4
「今、レトロが新しい!!」


 1930年代、パルプマガジン盛んなりし頃のアメリカが舞台のホラーミステリー『怪奇探偵リジー&クリスタル』を上梓した山本弘と、翌22日に金田一耕助パスティーシュのシリーズ最新刊『金田一耕助、パノラマ島へ行く 』を刊行する芦辺拓が揃い踏みします。
 二人が偏愛する、レトロSFとミステリ、児童小説、特撮映画など古き好き日を彩ったクラシックなエンターテイメントの魅力を、縦横無尽に語り合います。
 翌日の 「SFなんでも箱」とのハシゴも大歓迎。両日通し券購入の方には、入場料500円引きの2500円でOK。

[出演] 山本弘(作家)

[ゲスト] 芦辺拓(ミステリ作家)

[日時] 2016年2月21日(日) 開場・19:00 開始・19:30 (約2時間を予定)

[会場] Cafe Live Wire
     東京都新宿区新宿5丁目11-23 八千代ビル2F
    ・都営新宿線「新宿3丁目」駅 C6~8出口から徒歩5分
    ・丸ノ内線・副都心線「新宿3丁目」駅 B2出口から徒歩8分
    ・JR線「新宿」駅 東口から徒歩12分
 
[料金] 1500円 (当日券500円up)

http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=98391896

※終演後に出演者を交えてのフリーフード&フリードリンクの懇親会を開催します(23:30終了予定)。参加費は3500円です。懇親会参加者には、入場時にウェルカムの1ドリンクをプレゼント。参加希望の方はオプションの「懇親会」の項目を「参加する」に変更してお申し込みください。参加費も一緒にお支払いただきます。
※懇親会に参加されない方は、当日別途ドリンクチャージ1000円(2ドリンク)をお買い上げください。

※翌日2/22(月)に「池澤春菜&堺三保のSFなんでも箱#28 ゲスト・山本弘」を同じ会場・時間・料金設定で開催します(終了後に懇親会も開催します)。両日来場の場合は入場料が500円引きの合計2,500円とお得です。通し券希望の方はオプションの「22日」の項目を「参加する」または「参加する(+懇親会)」に変更してお申し込みください。2つのイベントの料金を一緒にお支払いいただきます。
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山本弘スペシャル2DAYS PART.2
池澤春菜&堺三保のSFなんでも箱(Anything Box) #28

 前日の「山本弘のSF秘密基地LIVE」とのハシゴも大歓迎。両日通し券購入の方には、入場料500円引きの2500円でOK。

[出演] 池澤春菜(声優、女優、エッセイスト)、堺三保(SF評論家、翻訳家)

[ゲスト] 山本弘(作家)

[日時] 2016年2月22日(月) 開場・19:00 開始・19:30 (約2時間を予定)

[会場] Cafe Live Wire
     東京都新宿区新宿5丁目11-23 八千代ビル2F (Googleマップ)
    ・都営新宿線「新宿3丁目」駅 C6~8出口から徒歩5分
    ・丸ノ内線・副都心線「新宿3丁目」駅 B2出口から徒歩8分
    ・JR線「新宿」駅 東口から徒歩12分
 
[料金] 1500円 (当日券500円up)

http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=98248023

※終演後に出演者を交えてのフリーフード&フリードリンクの懇親会を開催します(23:30終了予定)。参加費は3500円です。懇親会参加者には、入場時にウェルカムの1ドリンクをプレゼント。参加希望の方はオプションの「懇親会」の項目を「参加する」に変更してお申し込みください。参加費も一緒にお支払いただきます。
※懇親会に参加されない方は、当日別途ドリンクチャージ1000円(2ドリンク)をお買い上げください。
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 芦辺拓さんとは前から知り合いなんですが、こんな風に人前でトークするのは久しぶりです。
 先日、復刻された西條八十『あらしの白ばと』(盛林堂)がものすごく面白かったもんで、昔の児童小説がいかに自由奔放だったか……といった話からはじまって、『リジー&クリスタル』の裏話などをからめながら、レトロなSFやミステリや特撮の話を思う存分、展開しようと思っています。ついてこれる人、どれだけいるんでしょうね(笑)。
『あらしの白ばと』もいいけど、『魔境の二少女』もかなりわくわくする話で、復刻希望です。

 2日目は池澤春菜さんと堺三保さんの司会で、『BISビブリオバトル部』の話をからめながら、SFの話をいろいろとするつもりです。お楽しみに!
  
タグ :PRSFレトロ


Posted by 山本弘 at 21:28Comments(2)SFPR レトロ

2016年01月31日

新刊『世界が終わる前に BISビブリオバトル部』

『世界が終わる前に BISビブリオバトル部』

 東京創元社 1800円+税

 シリーズ第3作。 2月末予定の新刊です。

>ライバル校のミステリ研究会と交流試合を行うことになったBIS(美心国際学園)ビブリオバトル部。しかしミステリ研会長の早乙女寿美歌(さおとめ・すみか)は圧倒的なプレゼン力と膨大なミステリの知識を持つ強敵で、周囲は振り回されるばかり。両校のビブリオバトル対決の行方は?  寿美歌の個性的なキャラクターの陰に隠された素顔とは?  空(そら)がコミケに初参加する番外編「空の夏休み」を収録した、シリーズ最新刊。


 番外編「空の夏休み」は、空のコミケ初体験を描いたドタバタ話。最近はテレビで何度も取り上げられ、一般の人にもコミケというものの存在が知られるようになりましたが、まだまだ知られていない事が多いんじゃないかと思い、こういう話を書いてみました。

 本編の「世界が終わる前に」は、前作の最後に出てきたミステリマニアの中二病美少女・早乙女寿美歌をめぐる物語。劇中のビブリオバトルで何冊もミステリが紹介されるのはもちろん、この小説自体がミステリになってます。
 現実寄りの設定の話なんで、密室殺人とかの派手な展開はできないんですが、それでも謎めいた事件は起きます。「日常の謎」というやつです。詳しくは書けませんが、派手ではないけども大きなドンデン返しのある話だとだけ言っておきます。
 寿美歌は空のSF知識に匹敵するミステリ知識の持ち主ですが、かなり痛い性格。そのうえ重大な謎を隠している、危険な雰囲気の少女です。
 でも、謎を秘めているのは寿美歌だけじゃありません。実はレギュラーメンバーの中にも、大きな秘密を持つ人物がいたことが明らかになります。

 東京創元社さんはミステリをたくさん出してる出版社なんで、編集者にもミステリ好きが多く、原稿を読んで、僕が仕掛けた大きなトリックを途中で見抜いた人も何人かいたそうです。まあ、アンフェアにならないように、途中で大きなヒントを出してますからね。知ってる人なら、「あのトリックのバリエーションか」と気づくでしょう。
 ただ、最後の最後の意外な展開だけは読めなかったらしいです。実はこれ、1巻からずっと企んでた構想なんですよ。大半の読者が予想しているであろう展開を、わざとはずしたらびっくりするだろうなと。
 編集さんから「びっくりしました」という言葉を聞けて、してやったりと思いました。

 なお、「世界が終わる前に」というタイトル、同じ題名の歌がありますけど、まったく関係はありません。実は作中に登場するSF作品と関係しています。



  


Posted by 山本弘 at 19:17Comments(18)PRビブリオバトル

2016年01月15日

Live Wire「ガルパンはいいぞ! RWBYもいいぞ!~戦闘美少女総進撃」

Live Wire 16.1.29(金) なんば紅鶴

山本弘のSF秘密基地LIVE#54
ガルパンはいいぞ! RWBYもいいぞ!~戦闘美少女総進撃

 毎回オタク的なネタを扱うこの企画、今月はアニメやマンガやライトノベルの世界で大人気の、戦う少女の話です。
 フィクションの中で少女たちはいつから戦うようになったのか。その歴史と傾向の分析……といった堅苦しい話題ではなく(笑)、戦闘美少女の魅力について、いろんな考察や視点を交え、熱くミーハー的に盛り上がろうという企画です。『ガールズ&パンツァー』や『RWBY』、あるいは『プリキュア』『リリカルなのは』『まどか☆マギカ』など、好きな作品・好きなキャラクターについて存分に語り合いましょう!


[出演] 山本弘、鋼鉄サンボ

[日時] 2016年1月29日(金) 開場・19:00 開始・19:30

[会場] なんば紅鶴(大阪市中央区千日前2-3-9 レジャービル味園2F)南海なんば駅より南海通り東へ180m・駐車場有

[料金] 1500円  
(店内でのご飲食には別途料金がかかります。入場時に別途ワンドリンクをご購入いただきますのでご了承ください)

ご予約はこちらからどうぞ
http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=97353579
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 月1回のペースで、もう4年以上続けてきたこのイベント。実はこれまで本格的にアニメの話を取り上げたことがなかったんです。アニメ誌の歴史を振り返ったり、キャラクタープラモを紹介した回ならあったんですが。
 とは言っても堅苦しいアニメ論なんかやっても面白くない。今回は『ガールズ&パンツァー劇場版』と『RWBY』にハマったことから、「戦闘美少女」というくくりで、ミーハー的に論じてみようと思いつきました。
 戦闘美少女といっても、ロボットなどのメカに乗って戦う場合と、生身で(魔法によるパワーアップはあり)戦う場合に大別されます。さらに、メカ派と生身派のハイブリッドで、女の子が兵器であると同時に生身でもある『ストパン』『艦これ』なども出てきたわけです。
 メカ派の行き着いた先が『ガルパン』で、生身派のひとつの完成形が『RWBY』。しかもこの2作品、どっちも学園もの。並べて相違点や共通点を語ると、けっこう面白いんじゃないかと思います。

 先日、ゲストに来てくれる予定の鋼鉄サンボくんと『ガルパン劇場版』を鑑賞した後(彼は初めて。僕は4回目)、喫茶店で雑談していて、「そもそもマンガやアニメの中で女の子が戦うようになったのはいつ頃からか?」という話になりました。
 アメコミの場合、1930年代後半から40年代にかけて、シーナとかワンダーウーマンとかの戦うヒロインがすでに大勢デビューしていたわけですが(スーパーガールの登場はもう少し遅く、1958年)、日本では誰が最初だったのか。「やっぱりキューティーハニー?」とか思ったんだけど、考えてみると元祖は『リボンの騎士』じゃないかなと。
 一方、メカに乗って戦うヒロインのハシリっていったい何だろうな……と考えてみたら。

『キャプテン・スカーレット』(1967)のエンゼル・チームだ!

 いやあ、「女性だけの戦闘機隊」って、今となっては珍しくもない発想だけど、当時はものすごく斬新だったんですよね。
 この後、70年代になると、日本のアニメでも女の子がメカに乗ることが多くなるんだけど、男性ヒーローが操縦するロボットのサポート役だったり、合体ロボでも足の部分だったり、なかなか主人公にはなれなかったんですよね。かろうじてゴワッパー5のリーダーだった岬洋子がいるぐらい。その状況が80年代から少しずつ変わってきたわけで……。

 という風な話をしようと思っています。今では忘れられているマイナー作品も取り上げますが、もちろん「戦闘美少女」もののエポックメーキングと言える『セーラームーン』『リリカルなのは』『プリキュア』『まどか☆マギカ』の話もたっぷりします。
 お楽しみに!
  


Posted by 山本弘 at 18:06Comments(3)美少女PRアニメ

2015年12月27日

『ガールズ&パンツァー劇場版』

[ストーリー]
 華道や茶道と並ぶ女子のたしなみとして、昔から「戦車道」が普及している世界。
 西住みほの率いる大洗女子学園戦車道チームは、全国大会で優勝。それを記念して、大洗市内では大規模なエキシビジョン・マッチが開催されていた。
 そんな時、一度は撤回されたはずの大洗女子学園廃校の話が再浮上。みほたち戦車道チームも愛する学園艦を追われ、山の上の廃校で共同生活を送ることに。
 文科省との交渉の末、大学選抜チームに勝利すれば、今度こそ廃校が撤回されることになる。大学選抜チームを率いるのは、西住流と並び称される島田流戦車道の家元の娘、天才少女・島田愛里寿。
 大洗女子学園のピンチに、聖グロリアーナ、サンダース、アンツィオ、プラウダ、黒森峰など、かつてのライバル校のチームも集結、30輌対30輌の大規模殲滅戦が開始される!

 もう3回観た。正月には4回目に行こうかと思っている。 まだ『スター・ウォーズ』行ってないのに。
 実はテレビ版はそんなにハマってたわけじゃない。DVDも買ってないし、アンツィオ校の話もまだ観てないぐらい。
 でも、この劇場版はハマった!
 思わずBGM集、買っちゃいましたよ。各校のテーマが入ってるの。「ジョニーが凱旋するとき」とか「パンツァー・リート」とか。あと、ボコの歌も(笑)。
 特にエキシビジョンでプラウダ高校の戦車が登場するシーンで流れる「カチューシャ」は、やっぱり燃える。

 でね、これは絶対、劇場で観るべき!
 戦車のエンジン音、キャタピラ音、砲撃、爆発と、その音響効果は劇場でないと堪能できない。東京の立川シネマシティでは、最高の音響設備で「センシャラウンド ファイナル」による「極上爆音上映」というのをやってるんだそうで、これは東京に行く機会があったらぜひ行ってみたい。(冬コミの期間中は無理かも。人が多いだろうから)
 特に丘の上のシーンのあの大爆発は、普通の映画館(梅田ブルク)の音響でもビビったぐらいだから、さぞすごいだろうと思う。

 とにかく戦闘シーンがいい。血沸き肉躍る。
 前半の大洗での大市街戦も、テレビ版の総決算という感じで面白かったんだけど、後半の大学選抜チームとの殲滅戦がその何倍もすごい!
 単に撃ち合うだけじゃなく、頭脳戦が面白い。特にクライマックスの廃遊園地でのバトルは、奇抜なアイデアをものすごい密度で詰めこんでいて、楽しいったらない。ジェットコースターそう使うかとか、バイキングそう使うかとか。

 大勢のキャラクターにみんなきちんと見せ場を作ってるのもいい。
 劇場版で初登場の知波単学園は、前半では圧倒的な弱さを見せつける(笑)。とにかく突撃して散るのが伝統。もちろん、旧日本陸軍を皮肉った自虐ギャグなんだけど、後半、彼女たちがそれまでの戦い方をあらためてトリッキーな戦法を使いはじめてからは、見違えたように大活躍して大学チームを翻弄する。
 他にも印象的なのは、やはり初登場の継続高校。フィンランド軍の自走砲BT-42が、フィンランド民謡「サッキヤルヴェンポルッカ」をBGMに、軽快なフットワークで駆けまわる。この曲を戦闘シーンに流すってのは意表突かれました。
 模型店では今、BT-42がよく売れてるんだそうだ。分かるなあ。この映画観たら買いたくなるわ。今回、いちばんかっこいい戦車だもの。
 あとアンツィオ学園の思いがけない活躍も楽しいし、カチューシャの「撤退するわよ!」というシーンはちょっと泣かせる。

 そうして奮戦する大洗チームをものすごい勢いで屠ってゆく天才少女・愛里寿が、これまたかっこいい。
 クライマックスはその愛里寿と西住姉妹の壮絶なバトル。このへんはもう台詞すらほとんどなくて、3台の戦車が縦横無尽に走り回り、撃ちまくる。熱くなるしかない展開。

 戦闘のない中盤のシーンも、本来ならダレ場のはずなんだけど、ここも大洗のそれぞれのキャラクターの日常をこまめに描いていて、退屈しない。

 小ネタもいろいろ。「ミフネ作戦」というのは『1941』のことだろうし、選抜チームの隠し玉のアレにしても、『プラモ狂四郎』の対シミュレーションゲーマー編のオマージュじゃないかと思える。
 ほんとに細かいことなんだけど、神社のシーンで、怒ってるカチューシャの後ろでノンナが手を合わせてるのが、個人的にすごくおかしかった。戦車で境内に踏みこみはするけど、いちおう礼儀は欠かしてない(笑)。
 ノンナといえば、ノンナ(上坂すみれ)とクラーラ(ジェーニャ)のロシア語の会話はファンサービスだよね。それにしても、「ロシア語ぺらぺらでソ連戦車マニアの日本人声優」と「日本語ぺらぺらで父親がスペツナズ中佐のロシア人声優」がいるんだから、日本のアニメ界は人材豊富だ(笑)。

 アニメファンだけじゃなく、一般の映画ファンにもおすすめしたい。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』にしびれた人なら、この映画にもしびれると思う。 冬休みにはぜひ。
 ちなみに、映画の冒頭に、設定とテレビ版のストーリーの解説があるので、初見の人でも支障はないと思う。分からない点は「特殊なカーボン」だと思っておけばいいから(笑)。

 というわけで、ガルパンはいいぞ!
  


Posted by 山本弘 at 17:42Comments(16)美少女アニメ映画